JP2011089487A - 内燃機関の排気装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】テールパイプへのサブマフラの介装や、大容量の共鳴室を有する消音器の設置を不要にして、内燃機関の減速時においてもテールパイプの気柱共鳴による音圧の増大を簡単な構造で抑制することができ、重量や製造コストを低減することができる内燃機関の排気装置を提供すること。
【解決手段】マフラ30が、マフラ本体31と、共鳴室30Aと拡張室30B、30Cとに区画するセパレータ32、33と、上流開口端34aおよび下流開口端34bを有する流通通路34cが形成され、共鳴室30Aと流通通路34cとを連通する連通通路34eが形成された連通管34dを有するインレットパイプ34と、下流開口端34bに設けられ、排気ガスの流量に応じて流通通路34cを開閉するバルブ36と、拡張室30Bと連通する上流開口端35aおよび下流開口端35bを有し、排気ガスを大気に排出するアウトレットパイプ35とを備えたことを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、内燃機関の排気装置に関し、特に、排気管内に生ずる気柱共鳴による排気音の音圧の増大を抑制するようにした内燃機関の排気装置に関する。
従来、この種の内燃機関の排気装置として、エンジンの排気ガスを浄化する触媒コンバータに連結された上流側排気管と、この上流側排気管に連結されたサブマフラと、このサブマフラの排気方向下流側に設けられたメインマフラと、サブマフラとメインマフラとに連結された下流側排気管と、この下流側排気管に設けられた消音バルブとから構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この消音バルブは、電磁アクチュエータにより開閉動作し、電磁アクチュエータはスロットルセンサの検出情報に基づいてコントロールユニットにより制御されるようになっている。
この排気装置においては、車両の定常走行時や加速時の排気音は、メインマフラおよびサブマフラによって消音される。他方、減速時の排気音は、次のようにして消音される。
すなわち、コントロールユニットがスロットルセンサの検出情報に基づいて車両が減速時であると判断すると、電磁アクチュエータにより消音バルブが閉状態となる。消音バルブが閉じられると、下流側排気管内における排気ガスの流量が減少するとともに、排気音の粒子速度が抑制されることになる。その結果、排気音の音圧の増大が抑制され、排気音が消音されることになる。
また、従来の内燃機関の排気装置として、図30に示すようなものが知られている。
図30に示すように、排気装置4は、フロントパイプ5aと、センターパイプ5bと、テールパイプ5cと、テールパイプ5cに連結されたメインマフラ6と、メインマフラ6に連結されたアウトレットパイプ7と、センターパイプ5bとテールパイプ5cとの間に介装されたサブマフラ8とから構成されている。フロントパイプ5aは、触媒コンバータ3に連結されており、触媒コンバータ3から流入する排気ガスはサブマフラ8を介してメインマフラ6に流入するようになっている。この触媒コンバータ3は、エンジン1から排気マニホールド2を経由して排気される排気ガスを浄化するようになっている。
図31に示すように、メインマフラ6は、テールパイプ5cの小孔5dから排気ガスが拡張されて導入される拡張室6aと、テールパイプ5cの下流開口端5fが挿通される共鳴室6bとを備えている。この下流開口端5fから共鳴室6b内に排気ガスが導入されると、特定の周波数の排気音がこの共鳴室6b内でヘルムホルツ共鳴を励起させ、このヘルムホルツ共鳴によって排気音が消音されるようになっている。
このようなヘルムホルツ共鳴構造を備えたメインマフラ6においては、例えば、共鳴室6bに突出する部分のテールパイプ5cの突出部分の長さをL(mm)とすると、この長さLを長くしたり、共鳴室6bの容積を大きくしたりして共鳴周波数を低周波数側にチューニングするようにしている。他方、この長さLを短くしたり、共鳴室6bの容積を小さくしたりして共鳴周波数を高周波数側にチューニングするようにしている。
また、サブマフラ8は、エンジン1の運転時の排気脈動によって、フロントパイプ5a、センターパイプ5bおよびテールパイプ5cにより構成される排気管の管長に対応して排気管内で発生する気柱共鳴の音圧の増大を抑制するよう、この排気管の最適な位置に設けられている。
一般に、排気ガスの排気方向の上流側および下流側にそれぞれ上流開口端5eおよび下流開口端5fを有するテールパイプ5cにおいては、エンジン1の運転時の排気脈動による入射波がテールパイプ5cの上流開口端5eおよび下流開口端5fで、いわゆる開口端反射する。この開口端反射により、前述の排気管の管長を半波長とした周波数の気柱共鳴の定在波が発生する。この気柱共鳴の定在波は、入射波が1次音圧モードからなる基本振動の自然数倍の周波数になったときにも発生するので、低次音圧モードから高次音圧モードまで、複数の周波数で発生することになる。しかしながら、特に、減速時などの低周波数領域にある低次音圧モードのとき、排気音の気柱共鳴により車室内にこもり音が生じ、排気音の騒音の問題が起き易くなる。
このような気柱共鳴による定在波の周波数fa(Hz)は、一般に、下記の開口端反射の式(1)、(2)で表される。
Figure 2011089487

Figure 2011089487

ただし、Lは排気管の管長(mm)、dは排気管の直径(mm)、Cは排気ガスの温度T(°K)における音速(m/s)、mは次数をそれぞれ表す。
式(1)、(2)から明らかなように、音速Cは、温度T(°K)に応じた一定の値となるので、排気管の管長Lが長い程、周波数faが問題となる低周波数側に移行してしまうことがわかる。
なお、排気管の気柱共鳴は、エンジン1の排気脈動により励起されるので、気柱共鳴の周波数fa(Hz)と排気脈動の周波数fe(Hz)とは同じ値となる。
このエンジン1の排気脈動の周波数fe(Hz)は、下記の式(3)に示される。
Figure 2011089487

ただし、Neはエンジン回転数(rpm)、nはエンジンの気筒数(自然数)を表す。
図11の破線で示すように、特定のエンジン回転数Neで、音圧レベル(dB)が高くなっていることがわかる。この音圧レベルの高い山の部分は、排気脈動に対応して発生した気柱共鳴によるもので、排気音の1次音圧モードfおよび2次音圧モードfで騒音の問題が生ずることになる。エンジン1の回転数Neが2000rpm〜5000rpmの常用回転数領域で排気管内に気柱共鳴が発生すると、この気柱共鳴の排気音が車室内に伝達され、車室内にこもり音を生じさせてしまい、運転者に不快感を与えてしまうことになる。特に、エンジン1の排気脈動の周波数が100Hz以下、すなわちエンジン回転数Neが3000rpm以下の低い回転数領域で気柱共鳴が発生するような場合に大きな騒音となる。
このため、図32に示すように、排気音の1次音圧モードにおける音圧が高い定在波の腹aとなる排気管のほぼ中央の位置に、メインマフラ6より容量の小さなサブマフラ8を設け、車両の加速時や減速時の気柱共鳴音を低減するようにしている。また、排気音の2次音圧モードに対しては、共鳴室6bにより加速時の気柱共鳴音を低減するようにしている。その結果、従来の排気装置においては、排気管にサブマフラ8を設けることで、エンジン1の回転数Neが2000rpm〜5000rpmの常用回転数領域で車室内にこもり音を生じさせてしまうのを抑制することができ、運転者に不快感を与えてしまうのを防止することができる。
また、従来の内燃機関の排気装置として、消音器本体と、この消音器本体に挿通された排気管と、この排気管から分岐するとともに先端部が消音器本体内で開口するレゾネータパイプと、このレゾネータパイプの途中から分岐するとともに先端部が排気管に連結された連通管と、この連通管の途中に設けられ連通管内の分岐通路を開閉する開閉弁と、この開閉弁の開閉を制御する制御装置とにより構成されたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
この内燃機関の排気装置においては、エンジンの回転数が比較的小さく、消音すべき排気音の周波数が比較的小さい場合には、開閉弁が制御装置により閉状態とされるようになっている。このように開閉弁を閉状態とすることにより、排気ガスが排気管側を流通するようになり、レゾネータパイプの全長を使用することができ、ヘルムホルツ共鳴による低周波数成分の騒音が低減されることになる。他方、エンジンの回転数が増大するに伴い、開閉弁が制御装置により、その開度が大きくなるよう制御されるようになっている。これにより、連通管内を流通する排気ガスの流量が増大し、レゾネータパイプにおける連通管の分岐部分からレゾネータパイプの先端部を使用することができ、ヘルムホルツ共鳴による高周波数成分の騒音が低減されることになる。その結果、単一の構造で、低周波数成分および高周波数成分からなる二つの周波数の騒音を低減するようにしている。
実開昭63−82022号公報 実開平2−119915号公報
この特許文献1に記載の従来の排気装置にあっては、車両の定常走行時や加速時の排気音がメインマフラおよびサブマフラの双方で消音されるようになっているので、排気装置の重量が増大してしまい、製造コストが増加してしまうという問題があった。また、内燃機関の減速時においては、スロットルセンサの検出情報に基づいてコントロールユニットが消音バルブを閉状態にし、下流側排気管内における音波の粒子速度を抑制するようにして排気音を消音しているので、構造が複雑となり、制御に手間がかかるという問題があった。
また、図30に示す従来の排気装置にあっては、サブマフラ8を設け、サブマフラ8とメインマフラ6との協働により、車両の加速時や減速時の気柱共鳴音を低減するようにしているので、排気装置の重量が増大してしまい、製造コストが増加してしまうという問題があった。この従来の排気装置において、解決策としてサブマフラ8を廃止し、排気管の気柱共鳴をメインマフラ6の共鳴室6bによって低減するようにしても、共鳴室6bの容積を大きくする必要があるため、メインマフラ6が大型化してしまうという問題がある。その結果、メインマフラ6の大型化に伴って排気装置4の重量が増大してしまうとともに、排気装置4の製造コストが増大してしまうという問題がある。
また、排気管の気柱共鳴をメインマフラ6の共鳴室6bによって低減する構造の場合、内燃機関の減速時にはアクセルペダルが解放されるため、エンジン1から排気装置4に排気されるガスの流量が急激に減少してしまい、共鳴室6bに導入される空気圧が小さくなる。このため、共鳴室6bにおいてヘルムホルツ共鳴を行うのに充分な空気圧を得ることができず、排気管の気柱共鳴の発生を抑制することが困難となってしまうという問題があった。特に、内燃機関の減速時にはエンジン1の回転数が急激に低下するため、2000rpm程度(気柱共鳴による排気音の1次音圧モード)の低回転数で車室内にこもり音を生じさせてしまい、運転者に不快感を与えてしまうという問題があった。
したがって、図30に示す従来の排気装置にあっては、排気管の最適な位置にサブマフラ8を設け、排気管の気柱共鳴によって音圧が増大してしまうのを抑制することが必須となり、結果的に、排気装置4の重量が増大してしまうとともに、排気装置4の製造コストが増大してしまうという問題が発生してしまった。
また、特許文献2に記載の排気装置にあっては、レゾネータパイプの途中から分岐するとともに先端部が排気管に連結された連通管が形成されており、排気ガスの流通ルートが排気管を通るルートと、レゾネータパイプおよび連通管を通るルートの複数のルートを有しているので構造が複雑となり、排気装置の製造コストが増大してしまうという問題があった。また、連通管内に設けられた開閉弁が、制御装置によりその分岐通路の開閉が制御されるので、さらに構造が複雑となり、開閉制御に手間が掛かり、排気装置4の製造コストが増大してしまうという問題があった。
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、テールパイプへのサブマフラの介装や、テールパイプの下流開口端の近傍への大容量の共鳴室を有する消音器の設置を不要にして、内燃機関の減速時においてもテールパイプの気柱共鳴による音圧の増大を簡単な構造で抑制することができ、重量や製造コストを低減することができる内燃機関の排気装置を提供することを課題とする。
本発明に係る内燃機関の排気装置は、上記課題を解決するため、(1)内燃機関の排気管内を流通する排気ガスの排気音を消音する消音器を備えた内燃機関の排気装置において、前記消音器が、内部空間が形成された消音器本体と、前記内部空間を前記排気ガスの排気方向上流側に位置する共鳴室と前記共鳴室に対して前記排気ガスの排気方向下流側に位置する拡張室とに区画する区画部材と、前記消音器本体に設けられ、前記排気管の下流端と接続される上流開口端および前記拡張室内で開口する下流開口端を有する流通通路が形成されるとともに、前記流通通路と前記共鳴室とを連通する連通通路が形成された連通管を有するインレットパイプと、前記共鳴室に対して前記排気方向下流側であって、前記インレットパイプの前記下流開口端および前記下流開口端と前記連通通路との間に位置する前記流通通路内のいずれか一方に設けられ、前記流通通路内を流れる前記排気ガスの流量に応じて前記流通通路を開閉する開閉部材と、前記消音器本体に設けられ、前記拡張室内で開口する上流開口端および前記消音器本体の外方に位置し大気中に開口する下流開口端を有し、前記拡張室から排気ガスを大気に排出するアウトレットパイプと、を備えたことを特徴とする。
この構成により、内燃機関が減速時や低回転領域にある場合、排気ガスは排気管内を流通し、排気管の下流端と接続されたインレットパイプの上流開口端から流通通路に流入し、閉状態の開閉部材とインレットパイプとの間に画成された隙間を通過して、拡張室に流入する。このとき、排気ガスの体積が急激に拡張され、内燃機関の排気脈動からなる圧力変動が弱められて、排気騒音の音圧レベルが広い周波数帯域に亘って低減される。
そして、拡張室内の排気ガスは、上流開口端からアウトレットパイプに流入し、下流開口端から大気に排出される。
また、インレットパイプの流通通路内の排気ガスは、連通管の連通通路を通って共鳴室に流入する。このとき、すなわち開閉部材が閉状態のとき、排気管およびインレットパイプにより画成された閉管の気柱内で発生する気柱共鳴の周波数と同じ周波数の共鳴が共鳴室内で発生する。この共鳴室内のいわゆるヘルムホルツ共鳴により、連通通路内で排気ガスが振動し、連通通路を囲む連通管の内壁と排気ガスとの摩擦などの抵抗により排気ガスの振動エネルギが熱エネルギに変換され、排気音が減衰する。この場合、インレットパイプの下流開口端の開閉部材が閉状態となっているので、共鳴室内の音圧が高い状態が確保され、ヘルムホルツ共鳴による排気音の減衰作用が高められる。
他方、内燃機関が加速時や高回転領域にある場合、排気ガスは排気管内を流通し、排気管の下流端と接続されたインレットパイプの上流開口端から流通通路に流入し、流通通路内の背圧および流動圧により開閉部材が開状態となる。排気ガスは、開閉部材を通過して、拡張室に流入し、前述の拡張効果により排気騒音の音圧レベルが広い周波数帯域に亘って低減される。そして、拡張室内の排気ガスは、上流開口端からアウトレットパイプに流入し、下流開口端から大気に排出される。
また、インレットパイプの流通通路内の排気ガスは、連通管の連通通路を通って共鳴室に流入する。このとき、すなわち開閉部材が開状態のとき、排気管およびインレットパイプにより画成された開管の気柱内で発生する気柱共鳴の周波数と同じ周波数の共鳴が共鳴室内で発生する。この共鳴室内のヘルムホルツ共鳴により排気音が減衰する。この場合、インレットパイプの下流開口端の開閉部材が開状態となり、その近傍の音圧が低下していても、内燃機関が高回転領域にある場合は、排気ガスの流量が増大して共鳴室内の音圧は高くなり、ヘルムホルツ共鳴による排気音は効果的に減衰する。また、開閉部材が開状態となっているので、排気管およびインレットパイプ内で背圧が高まることはなく、開閉部材により内燃機関に負荷が加えられることはない。
その結果、内燃機関が低回転領域にある場合であっても、排気管およびインレットパイプにより画成された閉管の気柱共鳴による音圧の増大が抑制される。また、内燃機関が高回転領域にある場合、排気管およびインレットパイプにより画成された開管の気柱共鳴による音圧の増大が抑制される。すなわち、簡単な構造で排気音の音圧の増大が抑制され、重量や製造コストが低減される。
上記(1)に記載の内燃機関の排気装置において、好ましくは、(2)前記連通管が、前記インレットパイプの軸線方向線に対して略直交するよう前記インレットパイプから突出し、突出方向先端部で開口する開口端を有するものから構成される。
この構成により、連通管がインレットパイプの軸線方向線に対して略直交するようインレットパイプから突出しているので、連通通路を比較的長く形成することができ、ヘルムホルツ共鳴の共鳴周波数を、問題の起き易い低周波数側に設定することができる。
また、連通管の連通通路および共鳴室を開閉部材の上流側の近傍に位置させることができ、内燃機関の減速時において、排気管およびインレットパイプにより画成された閉管の音圧の高い部分に連通通路を配置させることができる。その結果、特に、内燃機関が減速時や低回転領域にある場合、ヘルムホルツ共鳴による排気音の音圧の増大が効果的に抑制される。
上記(1)または(2)に記載の内燃機関の排気装置において、好ましくは、(3)前記連通管が、前記インレットパイプを囲むよう前記インレットパイプの軸線方向に沿って前記インレットパイプの外周部に設けられ、前記連通通路が前記連通管の内周面と前記インレットパイプの外周面とにより画成され、前記連通通路が前記インレットパイプの前記外周部に設けられた貫通孔を介して前記インレットパイプの前記流通通路と連通するものから構成される。
この構成により、連通管がを囲むようインレットパイプの軸線方向に沿ってインレットパイプの外周部に設けられているので、連通通路を比較的長く形成することができ、ヘルムホルツ共鳴の共鳴周波数を、問題の起き易い低周波数側に設定することができる。
また、共鳴室に連通する連通管の連通通路を開閉部材の上流側の直前に位置させることができ、内燃機関の減速時において、排気管およびインレットパイプにより画成された閉管の音圧の最も高い部分に連通通路を配置させることができる。その結果、特に、内燃機関が減速時のとき、ヘルムホルツ共鳴による排気音の音圧の増大が極めて効果的に抑制される。
上記(1)〜(3)のいずれかに記載の内燃機関の排気装置において、好ましくは、(4)前記消音器が、前記排気装置の前記排気方向下流側における最下流の位置に設けられたものから構成される。
この構成により、消音器が排気装置の排気方向下流側における最下流の位置に設けられるので、排気装置の上流側のサブマフラを不要にすることができ、重量や製造コストが低減される。
上記(1)〜(4)のいずれかに記載の内燃機関の排気装置において、好ましくは、(5)前記開閉部材が、前記内燃機関の減速時に閉状態となり、前記流通通路の通路断面積を絞り込むものから構成される。
この構成により、内燃機関の減速時の開閉部材を通過する排気ガスの流量が、加速時に開閉部材を通過する排気ガスの流量よりも少なくなるよう絞り込まれるので、内燃機関の減速時に開閉部材の上流側付近の排気音の音圧が高められる。
すなわち、内燃機関の減速時に音圧のピークを開閉部材の上流側付近にさせることができ、共鳴室内の音圧が高められる。その結果、減速時に排気管およびインレットパイプにより画成された閉管内に発生する気柱共鳴がヘルムホルツ共鳴により好適に抑制される。
本発明によれば、テールパイプへのサブマフラの介装や、テールパイプの下流開口端の近傍への大容量の共鳴室を有する消音器の設置を不要にして、内燃機関の減速時においてもテールパイプの気柱共鳴による音圧の増大を簡単な構造で抑制することができ、重量や製造コストを低減することができる内燃機関の排気装置を提供することができる。
本発明に係る内燃機関の排気装置の第1実施形態を示す図であり、内燃機関の排気系の構成を示す斜視図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第1実施形態を示す図であり、マフラの一部を断面で示すマフラの斜視図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第1実施形態を示す図であり、上流側から見たマフラの側面図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第1実施形態を示す図であり、図3のA−A断面を示すマフラの断面図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第1実施形態を示す図であり、特定周波数の音を低減するための連通部材の断面積S、連通部材の長さL、空洞の容積Vの関係を示す模式図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第1実施形態を示す図であり、インレットパイプの下流開口端の斜視図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第1実施形態を示す図であり、下流開口端側から見たインレットパイプの正面図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第1実施形態を示す図であり、図7のB−B断面を示すインレットパイプの断面図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第1実施形態を示す図であり、(a)は閉状態のインレットパイプ、マフラおよびアウトレットパイプ内の排気ガスの流れを示す図であり、(b)は開状態のインレットパイプ、マフラおよびアウトレットパイプ内の排気ガスの流れを示す図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第1実施形態を示す図であり、(a)は閉状態のテールパイプ内に発生する気柱共鳴の定在波を、縦軸に音圧を表し横軸にテールパイプの位置を模式的に表した音圧分布で説明する図であり、(b)は開状態のテールパイプ内に発生する気柱共鳴の定在波を、縦軸に音圧を表し横軸にテールパイプの位置を模式的に表した音圧分布で説明する図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第1実施形態を示す図であり、テールパイプの音圧レベルとエンジン回転数Neとの関係を示す図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第2実施形態を示す図であり、マフラの一部を断面で示すマフラの斜視図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第2実施形態を示す図であり、図12のインレットパイプとアウトレットパイプとの中心軸を通る面で切断されたマフラの縦断面図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第2実施形態を示す図であり、一部を断面で示すインレットパイプの斜視図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第2実施形態を示す図であり、下流開口端側から見たインレットパイプの正面図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第2実施形態を示す図であり、図15のC−C断面を示す縦断面図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第2実施形態を示す図であり、(a)は閉状態のインレットパイプ、マフラおよびアウトレットパイプ内の排気ガスの流れを示す図であり、(b)は開状態のインレットパイプ、マフラおよびアウトレットパイプ内の排気ガスの流れを示す図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第3実施形態を示す図であり、マフラの一部を断面で示すマフラの斜視図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第3実施形態を示す図であり、図20のインレットパイプとアウトレットパイプとの中心軸を通る面で切断されたマフラの縦断面図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第3実施形態を示す図であり、下流開口端側から見たインレットパイプの正面図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第3実施形態を示す図であり、図19のD−D断面を示すインレットパイプおよび連通管の断面図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第3実施形態を示す図であり、(a)は閉状態のインレットパイプ、マフラおよびアウトレットパイプ内の排気ガスの流れを示す図であり、(b)は開状態のインレットパイプ、マフラおよびアウトレットパイプ内の排気ガスの流れを示す図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第4実施形態を示す図であり、マフラの一部を断面で示すマフラの斜視図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第4実施形態を示す図であり、図23のインレットパイプパイプとアウトレットパイプとの中心軸を通る面で切断されたマフラの縦断面図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第4実施形態を示す図であり、図24の矢印E方向から見たインレットパイプの正面図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第4実施形態を示す図であり、図25のF−F断面を示すインレットパイプの断面図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の第4実施形態を示す図であり、(a)は閉状態のインレットパイプ、マフラおよびアウトレットパイプ内の排気ガスの流れを示す図であり、(b)は開状態のインレットパイプ、マフラおよびアウトレットパイプ内の排気ガスの流れを示す図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の変形例を示す図であり、マフラの一部を断面で示すマフラの斜視図である。 本発明に係る内燃機関の排気装置の変形例を示す図であり、図28のインレットパイプとアウトレットパイプとの中心軸を通る面で切断されたマフラの縦断面図である。 従来の排気装置を備えた排気系の構成を示す斜視図である。 従来の排気装置を備えた排気系を示す図であり、テールパイプとアウトレットパイプが連結されたマフラの縦断面図である。 従来の排気装置を備えた排気系を示す図であり、テールパイプ内に発生する気柱共鳴の定在波を、縦軸に音圧を表し横軸にテールパイプの位置を模式的に表した音圧分布で説明する図である。
以下、本発明に係る内燃機関の排気装置の第1実施形態〜第4実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1〜図11は、本発明に係る内燃機関の排気装置の第1実施形態を示す図である。
まず、構成を説明する。
第1実施形態に係る排気装置20は、図1に示すように、直列4気筒の内燃機関としてのエンジン10に接続されており、エンジン10から排出される排気ガスを浄化するとともに、排気音の発生を抑制し排気ガスを大気に排出するよう構成されている。
エンジン10は、車両の駆動源となるエンジン本体11と、エンジン本体11から排出される排気ガスを流通させる排気マニホールド12とを有している。
なお、エンジン10は、直列4気筒に限らず、直列3気筒または直列5気筒以上であってもよく、左右に分割されたそれぞれのバンクに3気筒以上の気筒を有するV型エンジンであってもよい。
排気マニホールド12は、エンジン本体11の第1気筒から第4気筒にそれぞれ連通する排気ポートにそれぞれ接続される4つの排気枝管12a、12b、12c、12dと、排気枝管12a、12b、12c、12dの下流側を集合させる排気集合管12eとから構成されている。このエンジン10の各気筒から排気される排気ガスは、排気枝管12a、12b、12c、12dを介して排気集合管12eに導入されるようになっている。
排気装置20は、触媒コンバータ21と、自在継手22を介して触媒コンバータ21に連結されたフロントパイプ23と、自在継手24を介してフロントパイプ23に連結されたセンターパイプ25と、センターパイプ25と接続された消音器としてのマフラ30とを備えている。この排気装置20は、車両の床下に弾性的に垂下されるようにしてエンジン10の下流側に設置されている。なお、上流側とは、エンジン10から排出される排気ガスの排気方向における上流側を示し、下流側とは、この排気ガスの排気方向における下流側を示している。
触媒コンバータ21は、ハニカム基材や粒状の活性アルミナ製担体に白金、パラジウム等の触媒を付着させたものからなり、本体ケースに収納されている。この触媒コンバータ21の上流端は、排気集合管12eの下流端に接続されており、排気集合管12eから流入する排気ガス中のNOxの還元やCO、HCの酸化を行うようになっている。
自在継手22は、ボールジョイントなどの球面継手から構成されており、触媒コンバータ21とフロントパイプ23との相対変位を許容するようになっている。また自在継手24も、自在継手22と同様、ボールジョイントなどの球面継手から構成されており、フロントパイプ23とセンターパイプ25との相対変位を許容するようになっている。
フロントパイプ23は、円筒状に形成されており、上流端23aで触媒コンバータ21の排気ガス流出口と連通し触媒コンバータ21から流出する排気ガスを上流端23aから下流端23bに流通させる排気通路23cを有している。センターパイプ25も、フロントパイプ23と同様、排気通路25cを有しており、フロントパイプ23から流出する排気ガスを上流端25aから下流端25bに流通させるようになっている。センターパイプ25の下流端25bは、マフラ30に接続されており、下流端25bから排気ガスがマフラ30内に流入するようになっている。
図2〜図4に示すように、マフラ30は、消音器本体としてのマフラ本体31と、区画部材としてのセパレータ32、33と、インレットパイプ34と、アウトレットパイプ35と、開閉部材としてのバルブ36とを含んで構成されている。インレットパイプ34からマフラ本体31に流入した排気ガスは、アウトレットパイプ35から排出されるようになっており、マフラ本体31内で排気音が消音されるようになっている。
マフラ本体31は、円筒状に形成されたアウタシェル41と、アウタシェル41の両端を閉塞し内部空間を画成するエンドプレート42、43とを含んで構成されている。このエンドプレート42、43はそれぞれアウタシェル41にかしめ構造などの固定手段により固定され、内部空間から外部に排気ガスが漏出しないようになっている。
このエンドプレート42とエンドプレート43との間には、セパレータ32が介装されるとともに、セパレータ32とエンドプレート43との間には、セパレータ33が介装されている。
セパレータ32は、マフラ本体31内の内部空間を排気方向上流側に位置する共鳴室30Aと、この共鳴室30Aの排気方向下流側に位置する拡張室30Bとに区画している。
また、セパレータ33は、マフラ本体31内の内部空間を拡張室30Bと、この拡張室30Bの排気方向下流側に位置する拡張室30Cとに区画している。
また、エンドプレート42には挿通孔42aが形成され、セパレータ32には挿通孔32aが形成され、さらにセパレータ33には挿通孔33aが形成されており、これらの挿通孔42a、32a、33aにはインレットパイプ34が挿通されている。
また、エンドプレート43に挿通孔43aが形成され、セパレータ33に挿通孔33bが形成されており、これらの挿通孔43a、33bにはアウトレットパイプ35が挿通されている。さらに、セパレータ33には、拡張室30Cと拡張室30Bとを連通する連通孔33cが形成されており、拡張室30C内の排気ガスが、連通孔33cを通って拡張室30Bに流入する際に、さらに拡張されるようになっている。
インレットパイプ34は、図4に示すように、センターパイプ25の下流端25bと接続される上流開口端34aと、拡張室30C内で開口する下流開口端34bと、この上流開口端34aと下流開口端34bとの間に形成された流通通路34cとを有している。
また、インレットパイプ34は、流通通路34cと共鳴室30Aとを連通する連通通路34eが形成された連通管34dを有している。この連通管34dは、インレットパイプ34の軸線方向に対して略直交するようインレットパイプ34から突出し、このインレットパイプ34の突出方向先端部が共鳴室30A内で開口する開口端34fを有している。
なお、インレットパイプ34、フロントパイプ23およびセンターパイプ25は、本発明の排気管としてのテールパイプ40を構成している。
ここで、拡張室とは、一般にインレットパイプ内の流通通路の断面積(mm)に対して比較的大きな断面積(mm)を有し、所定の容積(mm)を備えた空洞からなる。
この拡張室においては、排気ガスが、流通通路から拡張室内に流入する際、その体積が急激に拡張され、内燃機関の排気脈動からなる圧力変動が弱められて、排気音の音圧レベル(dB)が広い周波数帯域に亘って低減されるといういわゆる拡張効果が得られる。
また、共鳴室とは、一般にヘルムホルツの共鳴原理を利用して特定周波数(Hz)の排気音を共鳴させるよう、所定の容積(mm)を備えた空洞からなる。この共鳴室は、図5に模式的に示すように、共鳴部材Kの内部に形成された空洞kからなる。この共鳴部材Kは、筒部材Tに連通部材Rを介して連結されている。筒部材Tは気流通路tを有しており、連通部材Rは、気流通路tと空洞kとを連通するいわゆる首の部分からなる連通通路rを有している。この構成により、特定周波数(Hz)の排気音がこの空洞h内で共鳴するようになっている。
この特定周波数をfk(Hz)とし、連通通路rの断面積をS(mm)、連通通路rの長さをL(mm)とし、空洞hの容積をV(mm)とし、Cを空気中の音速(m/s)すると、特定周波数fkは下記の式(4)で表されることが知られている。
Figure 2011089487
この場合、連通通路rから空洞hに伝播する排気音の周波数(Hz)が、設定された特定周波数fk(Hz)とほぼ一致すると、排気音は、空洞h内で共鳴することになる。
そして、空洞hで共鳴が起きると、連通通路r内で空気が激しく振動し、連通部材Rの内壁と空気との摩擦などの抵抗により、空気の振動エネルギが熱エネルギに変換されて排気音が減衰することになる。その結果、空洞h内で共鳴した排気音の音圧レベル(dB)が低減される。
このように、排気音の音圧レベル(dB)の高い特定周波数fで共鳴するよう連通通路rの断面積Sおよび長さL、空洞hの容積Vを設計すれば、その1次音圧モードの周波数だけでなく、2次音圧モードや3次音圧モードなどの整数倍の音圧モードの周波数においても共鳴が励起されるので、複数の周波数の排気音も低減できる。例えば、エンジン10の回転数(rpm)によって発生する特定周波数fが100Hzであると、fが100Hzになるよう前述の断面積S、長さLおよび容積Vが設計されていれば、100Hzの排気音だけでなく、2次音圧モードの200Hz、3次音圧モードの300Hzなどの整数倍の音圧モードの排気音の音圧レベルを低減できる。
このマフラ30においては、図4に示すように、連通管34dの連通通路34eの長さ、すなわち流通通路34cと連通通路34eとの連通部分から開口端34fまでの長さはLで形成されている。また、連通通路34eの断面積はS、共鳴室30Aの体積は、Vで形成されており、それぞれ設定された各諸元に基づく特定の共鳴周波数(Hz)が設定されている。
したがって、このマフラ30においては、インレットパイプ34の流通通路34cから連通通路34eを経由して共鳴室30A内に排気ガスが導入されることにより、ヘルムホルツ共鳴によって特定の周波数(Hz)の排気音の音圧レベルが低減されるようになっている。すなわち、共鳴室30A内で、排気音が消音されるようになっている。
アウトレットパイプ35は、拡張室30B内で開口する上流開口端35aと、マフラ本体31の外方に位置し大気中に開口する下流開口端35bと、この上流開口端35aと下流開口端35bとの間に形成された流通通路35cとを有している。拡張室30B内の排気ガスは、上流開口端35aから流入し流通通路35cを通って下流開口端35bから大気中に排出されるようになっている。
バルブ36は、図6〜図8に示すように、軸受部51、52と、回動軸53と、この回動軸53の軸線方向の移動を規制する規制リング54、55と、弁体56とを含んで構成されている。軸受部51は、インレットパイプ34の下流開口端34bの外周部34gに突出して設けられ、貫通孔51aを有しており、この貫通孔51aおよびインレットパイプ34を貫通して設けられた貫通孔34hに回動軸53の一端が回動可能に挿通されている。また、軸受部52も、軸受部51と同様に、インレットパイプ34の下流開口端34bの外周部34gに突出して設けられ、貫通孔51aと軸線を同一にする貫通孔52aを有しており、この貫通孔52aおよびインレットパイプ34を貫通して設けられた貫通孔34hに回動軸53の他端が回動可能に挿通されている。
弁体56は、インレットパイプ34の内径よりも僅かに小さな直径を有する円盤からなり、本体部56aと、回動軸53と連結される連結部56bとを有している。本体部56aには、矢印gで示す重力方向の下方に切り欠き56cが形成されている。弁体56がインレットパイプ34の流通通路34cを閉状態にしたとき、この切り欠き56cとインレットパイプ34の内壁部との間に形成される隙間36aを通って、排気ガスが流通するようになっている。連結部56bには、貫通孔56dが形成されており、回動軸53が挿通されている。
このバルブ36においては、図8に示すように、インレットパイプ34の流通通路34c内を流通する排気ガスの流動圧(Pa)が所定の圧力(Pa)以上になると、弁体56が回動軸53を中心として滑らかに回動し流通通路34cが開状態になる。
排気ガスの流動圧(Pa)が所定の圧力(Pa)未満であると、弁体56がその自重により回動軸53を中心として矢印gの重力方向に回動し、閉状態になる。
本実施形態に係る排気装置20のフロントパイプ23およびセンターパイプ25の内径(mm)、厚さ(mm)および長さ(mm)、マフラ本体31の長さ(mm)、外形の大きさ(mm)、インレットパイプ34およびアウトレットパイプ35の内径(mm)、厚さ(mm)および長さ(mm)、バルブ36を開状態にする排気ガスの流動圧の所定値(Pa)、連通管34dの長さL(mm)、連通通路34eの断面積S(mm)、共鳴室30Aの体積V(mm)、拡張室30B、30Cの各体積(mm)、各構成要素の材質などの設計諸元は、本実施形態に係る排気装置20が適用される車両の設計諸元、シミュレーション、実験や経験値などのデータに基づいて適宜選択される。
次に、排気装置20の作用およびテールパイプ40内で発生する気柱共鳴について説明する。
まず、図1に示す排気装置20の上流側のエンジン10が始動されると、エンジン10の各気筒から排気される排気ガスは、排気マニホールド12から触媒コンバータ21に導入され、触媒コンバータ21によってNOxの還元やCO、HCの酸化などの排気ガスの浄化が行われる。浄化された排気ガスは、フロントパイプ23およびセンターパイプ25を通してインレットパイプ34内に導入される。
インレットパイプ34内に導入された排気ガスの一部は、図9(a)の矢印で示すように、流通通路34c内を流通し、連通通路34eを通って開口端34fから共鳴室30Aに導入される。
エンジン10の始動直後でエンジン回転数が比較的低回転数領域にある場合や、エンジン10の減速時の場合には、流通通路34c内を通る排気ガスの流量が比較的少ないので、バルブ36は、排気ガスの流動圧が加わっても回動しない。その結果、流通通路34cは閉状態に維持されている。
この場合、連通通路34eに流入しなかった排気ガスは、図8に示す隙間36aを通って、拡張室30Cに流入する。拡張室30Cに流入した排気ガスは、さらにセパレータ33の連通孔33cを通って拡張室30Bに流入し、アウトレットパイプ35の上流開口端35aから流通通路35cに流入し、下流開口端35bから大気に排出される。
流通通路34cが閉状態であると、テールパイプ40は、図10(a)に示すように、その上流端23aが開口端、その下流開口端34bが閉口端となる。この場合、テールパイプ40は閉管となり、次式(5)で表される周波数fの気柱共鳴が発生することになる。
Figure 2011089487

ただし、Lはテールパイプ40の管長(mm)、dはテールパイプ40の内径(mm)、Cは前述の式(2)で表される排気ガスの温度T(°K)における音速(m/s)、mは次数をそれぞれ表す。
この気柱共鳴は、図10(a)に示すように、長さLが(1/4)λの波長とほぼ一致する1次音圧モードとなり、バルブ36の上流側で音圧(Pa)が最も高くなる腹を有している。また、2次音圧モードでは、長さLが(3/4)λの波長とほぼ一致する気柱共鳴となり、バルブ36の上流側で音圧(Pa)が最も高くなる腹を有している。
テールパイプ40内で発生する周波数fの気柱共鳴は、マフラ30の共鳴室30A内でヘルムホルツ共鳴を励起させることにより、減衰させることができる。
すなわち、共鳴室30Aのヘルムホルツ共鳴の周波数を気柱共鳴の周波数fとほぼ一致させることにより、周波数fの気柱共鳴を減衰させることができる。
したがって、次式(6)で表されるヘルムホルツ共鳴の周波数をfとすることにより、テールパイプ40内で発生する周波数fの気柱共鳴が減衰する。
Figure 2011089487

ただし、図4に示すように、長さLは、連通通路34eの長さ(mm)、断面積Sは、連通通路34eの断面積(mm)、体積Vは、共鳴室30Aの体積(mm)をそれぞれ表している。
この共鳴室30Aにおいては、長さLとほぼ一致する(1/4)λの波長の周波数の自然数倍となる複数の周波数の共鳴を減衰させることができる。
内燃機関の減速時などの排気ガスの流量が少なく、流通通路34c内の圧力が小さい場合でも、この共鳴室30Aが、バルブ36の上流側で音圧(Pa)が最も高くなる腹の近傍に設けられているので、ヘルムホルツ共鳴を有効に機能させることができる。
他方、エンジン10の加速時など比較的高回転数領域にある場合には、流通通路34c内を通る排気ガスの流量が比較的多いので、図9(b)に示すように、バルブ36は、排気ガスの流動圧により回動する。その結果、流通通路34cは開状態となる。
そして、排気ガスはインレットパイプ34の下流開口端34bを通って、拡張室30Cに流入する。この排気ガスは、さらにセパレータ33の連通孔33cを通って拡張室30Bに流入し、アウトレットパイプ35の上流開口端35aから流通通路35cに流入し、下流開口端35bから大気に排出される。
また、インレットパイプ34内に導入された排気ガスの一部は、勢いよく流通通路34c内を流通し、連通通路34eを通って開口端34fから共鳴室30Aに導入される。
流通通路34cが開状態であると、テールパイプ40は、図10(b)に示すように、上流端23aが開口端、下流開口端34bが開口端となる。この場合、テールパイプ40は開管となり、次式(7)で表される周波数fの気柱共鳴が発生することになる。
Figure 2011089487

ただし、Lはテールパイプ40の管長(mm)、dはテールパイプ40の内径(mm)、Cは前述の式(2)で表される排気ガスの温度T(°K)における音速(m/s)、mは次数をそれぞれ表す。
この気柱共鳴は、図10(b)に示すように、長さLが(1/2)λの波長とほぼ一致する1次音圧モードとなり、テールパイプ40の排気方向の中間部で音圧(Pa)が最も高くなる腹を有している。また、2次音圧モードでは、長さLが1λの波長とほぼ一致する気柱共鳴となり、テールパイプ40の排気方向の二箇所で音圧(Pa)が最も高くなる腹を有している。
テールパイプ40内で発生する周波数fの気柱共鳴は、マフラ30の共鳴室30A内でヘルムホルツ共鳴を励起させることにより、減衰させることができる。
すなわち、共鳴室30Aのヘルムホルツ共鳴の周波数は、前述のように周波数fとほぼ一致するよう設定されており、この周波数fを基本周波数とすると、この基本周波数の自然数倍の周波数の共鳴を減衰させることができる。具体的には、基本となる周波数fが、(1/4)λの波長を有しているので、この波長の2倍となる(1/2)λの波長の周波数、この波長の3倍となる(3/4)λの波長の周波数、この波長の4倍となる1λの波長の周波数などの複数の周波数の共鳴を減衰させることができる。
したがって、エンジン10の加速時などのエンジン回転数が比較的高回転数領域にあり、流通通路34cが開状態となる場合にも、共鳴室30Aのヘルムホルツ共鳴により、図10(b)に示すように、長さLが(1/2)λの波長とほぼ一致する1次音圧モードおよび長さLが1λの波長とほぼ一致する2次音圧モードの気柱共鳴を減衰させることができる。この場合、共鳴室30Aは、バルブ36の上流側の比較的音圧が低く見える部分に位置することになるが、比較的高回転数領域では、排気ガスの流量が多く流動圧力が高いのでヘルムホルツ共鳴による減衰が効果的に機能する。
第1実施形態に係る排気装置20においては、前述のように構成されているので、次の効果が得られる。
すなわち、排気装置20においては、エンジン10が減速時や低回転領域にある場合、バルブ36が流通通路34cを閉状態に維持するので、テールパイプ40が閉管になる。このような閉管の場合、テールパイプ40内で気柱共鳴が発生すると、図10(a)に示すような音圧分布となり、1次音圧モードおよび2次音圧モードで、バルブ36の排気方向上流側が高い音圧となる。この高い音圧は、バルブ36に対して排気方向上流側に配置された共鳴室30Aに作用し、共鳴室30Aにおけるヘルムホルツ共鳴の排気音の減衰作用が高められるという効果が得られる。
したがって、エンジン10が低回転領域にある場合でも、テールパイプ40内に発生する気柱共鳴による音圧の増大を好適に抑制できる。その結果、従来の排気装置において必要とされ、テールパイプに設けられていた気柱共鳴を抑制するためのサブマフラが設置不要となり、構造が簡単になり、重量や製造コストの低減効果が得られる。
具体的には、図11に示すように、従来の排気装置において、エンジン回転数Neが比較的低回転数領域で生じてしまう気柱共鳴による1次音圧モードおよび2次音圧モードの破線で示す高い音圧レベル(dB)の山の部分が、実線で示す音圧レベルにまで低減される。その結果、気柱共鳴の排気音が車室内に伝達され、車室内にこもり音を生じさせてしまい、運転者に不快感を与えてしまうという問題が解消されるという効果が得られる。
他方、エンジン10が加速時や高回転領域にある場合、バルブ36が流通通路34cを開状態にするので、テールパイプ40が開管になる。このような開管の場合、テールパイプ40内で気柱共鳴が発生すると、図10(b)に示すような音圧分布となり、1次音圧モードおよび2次音圧モードで、バルブ36の排気方向上流側が低い音圧となる。
このようにバルブ36の排気方向上流側が低い音圧となっても、エンジン10が高回転領域にある場合、インレットパイプ34の流通通路34c内を流通する排気ガスの流量が増大しており、その流動圧力も高まっているので、共鳴室30Aにおけるヘルムホルツ共鳴の排気音の減衰作用が高められる。したがって、エンジン10が高回転領域にある場合においても、テールパイプ40内に発生する気柱共鳴による排気音の音圧の増大を好適に抑制できるという効果が得られる。
また、バルブ36が流通通路34cを開状態にするので、流通通路34c内を流通する排気ガスを、バルブ36から円滑に拡張室30Cに流入させることができ、テールパイプ40内で背圧が高まることはなく、エンジン10に負荷が加わることはない。
その結果、エンジン10が減速時や低回転領域にあっても、加速時や高回転領域にあっても、従来の排気装置において必要とされ、テールパイプに設けられていた気柱共鳴を抑制するためのサブマフラが設置不要となり、構造が簡単になり、重量や製造コストの低減効果が得られる。また、拡張室30B、30Cが共鳴室30Aよりも排気方向下流側に設けられているので、共鳴室30Aにおけるヘルムホルツ共鳴に影響を与えることはない。この拡張室30Cに、流通通路34cから排気ガスが流入する際、その体積が急激に拡張されるので、全周波数領域に亘って、排気音を低減できる。さらに、排気ガスが拡張室30Cから拡張室30Bに流入する際、再度、体積が急激に拡張されるので、さらに全周波数領域に亘って、排気音を低減でき、アウトレットパイプ35から排気ガスが大気に排出される際に、著しく排気音を低減できる。
また、連通管34dがインレットパイプ34の軸線方向線に対して略直交するようインレットパイプ34から突出しているので、簡単な構造で、連通通路34eを比較的長く形成でき、ヘルムホルツ共鳴の共鳴周波数を、問題の起き易い低周波数側に設定できるという効果が得られる。また、マフラ30をテールパイプ40における排気方向の最下流側に設けているので、次のような効果が得られる。
すなわち、連通通路34eおよび共鳴室30Aをバルブ36の上流側の近傍に位置させることができ、気柱共鳴の音圧の高い部分に連通通路34eを配置させることができる。
その結果、特に、エンジン10が減速時にある場合、ヘルムホルツ共鳴による排気音の音圧の増大を効果的に抑制できる。また、バルブ36が閉状態のとき、図7および図8に示すように、隙間36aは、流通通路34cの断面積よりも極めて小さく形成されているので、エンジン10が減速時にある場合、バルブ36の上流側の音圧をより効果的に高めることができる。
(第2実施形態)
なお、第2実施形態に係る排気装置60は、第1実施形態のマフラ30に替えてマフラ70により構成されているが、その他は同様に構成されている。したがって、同一の構成については、図1〜図11に示した第1実施形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
図1に示す排気装置60において、マフラ70の他は第1実施形態と同様に構成されており、図12、図13に示すように、マフラ70において、インレットパイプ61および開閉部材としてのバルブ50の他は第1実施形態と同様に構成されている。
インレットパイプ61は、上流開口端61aと、下流開口端61bと、流通通路61cと、連通通路61eが形成された連通管61dとを有している。この連通管61dは、突出方向先端部が共鳴室30A内で開口する開口端61fを有している。
なお、インレットパイプ61、フロントパイプ23およびセンターパイプ25は、本発明の排気管としてのテールパイプ40aを構成している。
このマフラ70においては、図13に示すように、第1実施形態と同様に、連通管61dの連通通路61eの長さはL、連通通路61eの断面積はS、共鳴室30Aの体積は、Vで形成されており、それぞれ設定された各諸元に基づく特定の共鳴周波数(Hz)が設定されている。
バルブ50は、図14〜図16に示すように、軸受部63、64と、回動軸65と、この回動軸65の軸線方向の移動を規制する規制リング66、67と、弁体68と、錘69とを含んで構成されている。軸受部63は、インレットパイプ61の上流開口端61aと下流開口端61bとの間の外周部61gに突出して設けられ、貫通孔63aを有しており、この貫通孔63aおよびインレットパイプ61を貫通して設けられた貫通孔61hに回動軸65の一端が回動可能に挿通されている。また、軸受部64は、軸受部63と対向する外周部61gに突出して設けられ、貫通孔63aと軸線を同一にする貫通孔64aを有しており、この貫通孔64aおよびインレットパイプ61を貫通して設けられた貫通孔61hに回動軸65の他端が回動可能に挿通されている。
弁体68は、インレットパイプ61の内径よりも僅かに小さな直径を有する円盤からなり、本体部68aと、回動軸65と連結される連結部68bとを有している。本体部68aには、図15の矢印gで示す重力方向の上方に切り欠き68cが形成されている。弁体68がインレットパイプ61の流通通路61cを閉状態にしたとき、この切り欠き68cとインレットパイプ61の内壁部との間に形成される隙間50aを通って、排気ガスが流通するようになっている。
連結部68bには、貫通孔68dが形成されており、回動軸65が挿通されている。
このバルブ50においては、図16に示すように、インレットパイプ61の流通通路61c内を流通する排気ガスの流動圧(Pa)が所定の圧力(Pa)以上になると、弁体68が回動軸65を中心として滑らかに回動し流通通路61cが開状態になる。
錘69は、弁体68の連結部68bよりも矢印gで示す重力方向の下方に設けられており、排気ガスの流動圧が所定の圧力未満のとき、弁体68が流通通路61cに直交する姿勢、すなわち閉状態で維持するよう構成されている。
次に、排気装置60の作用およびテールパイプ40a内で発生する気柱共鳴について説明する。
まず、図1に示すエンジン10が始動されると、第1実施形態と同様に、排気ガスはインレットパイプ61内に導入され、図17(a)の矢印で示すように、連通通路61eを通って開口端61fから共鳴室30Aに導入される。エンジン10が低回転数領域にある場合には、流通通路61c内を通る排気ガスの流量が比較的少ないので、バルブ50は、排気ガスの流動圧が加わっても回動せず、流通通路61cは閉状態に維持されている。
この場合、排気ガスは、図15に示す隙間50aを通って、拡張室30Cに流入し、さらに拡張室30Bに流入し、全周波数帯域に亘って排気音が低減されて下流開口端35bから大気に排出される。
流通通路61cが閉状態であると、テールパイプ40aは、第1実施形態と同様、バルブ50の上流側が閉口端となり、テールパイプ40aは長さLを有する閉管となるので、前述の式(5)と同様に特定周波数の気柱共鳴が発生することになる。この気柱共鳴は、第1実施形態と同様、長さLが(1/4)λの波長とほぼ一致する1次音圧モードとなり、バルブ50の上流側で音圧(Pa)が最も高くなる腹が形成されることになる。また、2次音圧モードでは、長さLが(3/4)λの波長とほぼ一致する気柱共鳴となり、バルブ50の上流側で音圧(Pa)が最も高くなる腹が形成されることになる。
テールパイプ40a内で発生する特定周波数の気柱共鳴は、第1実施形態と同様に、マフラ70の共鳴室30A内でヘルムホルツ共鳴を励起させることにより、減衰させることができる。内燃機関の減速時などの排気ガスの流量が少なく、流通通路61c内の圧力が小さい場合でも、第1実施形態と同様、共鳴室30Aがバルブ50の上流側で音圧(Pa)が最も高くなる腹の近傍に位置するので、ヘルムホルツ共鳴を有効に機能させることができる。
エンジン10が高回転数領域にある場合には、流通通路61c内を通る排気ガスの流量が比較的多いので、図17(b)に示すように、バルブ50は、排気ガスの流動圧により回動し、流通通路61cは開状態となる。そして、排気ガスは下流開口端61bを通って、拡張室30Cに流入し、さらに拡張室30Bに流入し、アウトレットパイプ35の下流開口端35bから大気に排出される。また、排気ガスの一部は、勢いよく連通通路61eを通って開口端61fから共鳴室30Aに導入される。
流通通路61cが開状態であると、テールパイプ40aは、第1実施形態と同様に、その下流開口端61bが開口端となり、長さLを有する開管となるので、前述の式(7)で表される特定周波数の気柱共鳴が発生することになる。この気柱共鳴は、第1実施形態と同様に、Lが(1/2)λの波長とほぼ一致する1次音圧モードとなり、テールパイプ40aの排気方向の中間部で音圧(Pa)が最も高くなる腹を有している。また、2次音圧モードでは、Lが1λの波長とほぼ一致する気柱共鳴となり、テールパイプ40aの排気方向の二箇所で音圧(Pa)が最も高くなる腹を有している。
エンジン10の加速時などのエンジン回転数が比較的高回転数領域にあり、流通通路61cが開状態となる場合にも、共鳴室30Aのヘルムホルツ共鳴により、長さLが(1/2)λの波長とほぼ一致する1次音圧モードおよび長さLが1λの波長とほぼ一致する2次音圧モードの気柱共鳴を減衰させることができる。
この場合、第1実施形態と同様に、共鳴室30Aは、バルブ50の上流側の比較的音圧が低く見える部分に位置することになるが、比較的高回転数領域では、排気ガスの流量が多く流動圧力が高いのでヘルムホルツ共鳴による減衰が効果的に機能する。
第2実施形態に係る排気装置60においては、前述のように構成されているので、次の効果が得られる。
すなわち、排気装置60においては、エンジン10が低回転領域にある場合、第1実施形態と比較して、バルブ50がより共鳴室30Aに近接して設けられているので、バルブ50の排気方向上流側が第1実施形態の場合よりも高い音圧となる。この高い音圧により、共鳴室30Aにおけるヘルムホルツ共鳴の排気音の減衰作用が高められ、気柱共鳴による排気音の音圧の増大をより好適に抑制できるという効果が得られる。その結果、車室内のこもり音の問題が解消されるという効果が得られ、第1実施形態と同様に、エンジン10が低回転領域にあっても、気柱共鳴を抑制するためのサブマフラが設置不要となり、構造が簡単になり、重量や製造コストの低減効果が得られる。
他方、エンジン10が高回転領域にある場合、バルブ50が流通通路61cを開状態にするので、テールパイプ40aが開管になる。このような開管の場合、第1実施形態と同様に、1次音圧モードおよび2次音圧モードで、バルブ50の排気方向上流側が低い音圧となっても、流通通路61c内を流通する排気ガスの流量が増大しており、その流動圧力も高まっているので、共鳴室30Aにおけるヘルムホルツ共鳴の排気音の減衰作用が高められる。したがって、高回転領域においても、テールパイプ40a内の気柱共鳴による排気音の音圧の増大を好適に抑制できるという効果が得られる。
また、第1実施形態と同様に、バルブ50が流通通路61cを開状態にするので、排気ガスを、円滑に拡張室30Cに流入させることができ、テールパイプ40a内で背圧が高まることはなく、エンジン10に負荷が加わることはない。
その結果、エンジン10が低回転から高回転までの全域で、気柱共鳴による排気音の音圧の増大が抑制されるので、従来の排気装置において必要とされ、テールパイプに設けられていたサブマフラが設置不要となり、構造が簡単になり、重量や製造コストの低減効果が得られる。
(第3実施形態)
なお、第3実施形態に係る排気装置80は、第1実施形態のマフラ30に替えてマフラ90により構成されているが、その他は同様に構成されている。したがって、同一の構成については、図1〜図11に示した第1実施形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
図1に示す排気装置80において、マフラ90の他は第1実施形態と同様に構成されており、図18ないし図20に示すように、マフラ90において、インレットパイプ81およびセパレータ74、75の他は第1実施形態と同様に構成されている。
インレットパイプ81は、上流開口端81aと、下流開口端81bと、流通通路81cと、連通管82とを有している。この連通管82は、インレットパイプ81の軸線方向に沿ってインレットパイプ81の外周部81dを囲む筒状部82aと、この筒状部82aとインレットパイプ81の外周部81dとを連結する連結部82bと、共鳴室30Aで開口する開口端82cとを有している。この連通管82の内周面とインレットパイプ81の外周部81dの外周面と連結部82bの内壁面との間にインレットパイプ81の流通通路81cと共鳴室30Aとを連通する連通通路83が画成されている。この連通通路83は、インレットパイプ81の外周部81dに設けられた直径dの貫通孔81eを介して流通通路81cと連通している。この直径dの大きさは、排気ガスが円滑に流通する程度のものであればよく、外周部81dの円周方向に複数個形成されていてもよい。また、この貫通孔81eの位置は、音圧の高いバルブ36の近傍であることが好ましい。
なお、インレットパイプ81、フロントパイプ23およびセンターパイプ25は、本発明の排気管としてのテールパイプ40bを構成している。
このマフラ90においては、第1実施形態と同様に、連通管82の連通通路83の長さ、連通通路83の断面積、共鳴室30Aの体積は所定の寸法で形成されており、それぞれ設定された各諸元に基づく特定の共鳴周波数(Hz)が設定されている。
バルブ50の回動軸53は、図20に示すように、インレットパイプ81の外周部81dに設けられた貫通孔81fに挿通されており、弁体56が回動軸53を中心として回動するようになっている。また、弁体56の切り欠き56cとインレットパイプ81の内壁部との間に隙間36aが画成されている。
セパレータ74は、図19に示すように、マフラ本体31内の内部空間を排気方向上流側に位置する共鳴室30Aと、この共鳴室30Aの排気方向下流側に位置する拡張室30Bとに区画している。また、セパレータ75は、マフラ本体31内の内部空間を拡張室30Bと、この拡張室30Bの排気方向下流側に位置する拡張室30Cとに区画している。
セパレータ74には挿通孔74aが形成され、さらにセパレータ75には挿通孔75aが形成されており、これらの挿通孔74a、75aにはインレットパイプ81が挿通されている。また、セパレータ75に挿通孔75bが形成されており、挿通孔75bにはアウトレットパイプ35が挿通されている。
次に、排気装置80の作用およびテールパイプ40b内で発生する気柱共鳴について説明する。
まず、図1に示すエンジン10が始動されると、第1実施形態と同様に、排気ガスは、インレットパイプ81内に導入され、図22(a)の矢印で示すように、貫通孔81eおよび連通通路83を通って開口端82cから共鳴室30Aに導入される。エンジン10が低回転数領域にある場合には、流通通路81c内を通る排気ガスの流量が比較的少ないので、バルブ36は、排気ガスの流動圧が加わっても回動せず、流通通路81cは閉状態に維持されている。この場合、排気ガスは、図20に示す隙間36aを通って、拡張室30Cに流入し、さらに拡張室30Bに流入し、全周波数帯域に亘って排気音が低減されてアウトレットパイプ35の下流開口端35bから大気に排出される。
流通通路81cが閉状態であると、テールパイプ40bは、第1実施形態と同様に、バルブ36の上流側が閉口端となり、長さLを有する閉管となるので、前述の式(5)と同様に特定周波数の気柱共鳴が発生することになる。この気柱共鳴は、第1実施形態と同様、長さLが(1/4)λの波長とほぼ一致する1次音圧モードとなり、バルブ36の上流側で音圧(Pa)が最も高くなる腹が形成されることになる。また、2次音圧モードでは、長さLが(3/4)λの波長とほぼ一致する気柱共鳴となり、バルブ36の上流側で音圧(Pa)が最も高くなる腹が形成されることになる。
テールパイプ40b内で発生する特定周波数の気柱共鳴は、第1実施形態と同様に、マフラ90の共鳴室30A内でヘルムホルツ共鳴を励起させることにより、減衰させることができる。内燃機関の減速時などの排気ガスの流量が少なく、流通通路81c内の圧力が小さい場合でも、第1実施形態と同様に、共鳴室30Aが、バルブ36の上流側で音圧(Pa)が最も高くなる腹の近傍に設けられているので、ヘルムホルツ共鳴を有効に機能させることができる。
エンジン10が高回転数領域にある場合には、流通通路81c内を通る排気ガスの流量が比較的多いので、図22(b)に示すように、バルブ36は、排気ガスの流動圧により回動し、流通通路81cは開状態となる。そして、排気ガスは下流開口端81bを通って、拡張室30Cに流入し、さらに拡張室30Bに流入し、全周波数帯域に亘って排気音が低減されて下流開口端35bから大気に排出される。また、排気ガスの一部は、勢いよく貫通孔81eおよび連通通路83を通って開口端82cから共鳴室30Aに導入される。
流通通路81cが開状態であると、テールパイプ40bは、第1実施形態と同様に、その下流開口端81bが開口端となり、長さLを有する開管となるので、前述の式(7)で表される特定周波数の気柱共鳴が発生することになる。この気柱共鳴は、第1実施形態と同様に、Lが(1/2)λの波長とほぼ一致する1次音圧モードとなり、テールパイプ40bの排気方向の中間部で音圧(Pa)が最も高くなる腹を有している。また、2次音圧モードでは、Lが1λの波長とほぼ一致する気柱共鳴となり、テールパイプ40bの排気方向の二箇所で音圧(Pa)が最も高くなる腹を有している。
エンジン10の加速時などのエンジン回転数が比較的高回転数領域にあり、流通通路81cが開状態となる場合にも、共鳴室30Aのヘルムホルツ共鳴により、長さLが(1/2)λの波長とほぼ一致する1次音圧モードおよび長さLが1λの波長とほぼ一致する2次音圧モードの気柱共鳴を減衰させることができる。
この場合、第1実施形態と同様に、共鳴室30Aは、バルブ36の上流側の比較的音圧が低く見える部分に位置することになるが、比較的高回転数領域では、排気ガスの流量が多く流動圧力が高いのでヘルムホルツ共鳴による減衰が効果的に機能する。
第3実施形態に係る排気装置80においては、前述のように構成されているので、次の効果が得られる。
すなわち、排気装置80においては、エンジン10が低回転領域にある場合、第1実施形態と同様に、バルブ36の排気方向上流側が高い音圧となる。この高い音圧により、共鳴室30Aにおけるヘルムホルツ共鳴の排気音の減衰作用が高められ、気柱共鳴による排気音の音圧の増大を好適に抑制できるという効果が得られる。その結果、気柱共鳴の排気音によるこもり音の問題が解消されるという効果が得られ、第1実施形態と同様に、エンジン10が低回転領域にあっても、気柱共鳴を抑制するためのサブマフラが設置不要となり、構造が簡単になり、重量や製造コストの低減効果が得られる。
他方、エンジン10が高回転領域にある場合、バルブ36が流通通路81cを開状態にするので、テールパイプ40bが開管になる。このような開管の場合、第1実施形態と同様に、1次音圧モードおよび2次音圧モードで、バルブ36の排気方向上流側が低い音圧となっても、排気ガスの流動圧力が高まっているので、共鳴室30Aにおけるヘルムホルツ共鳴の排気音の減衰作用が高められる。したがって、エンジン10が高回転領域にある場合においても、テールパイプ40b内の気柱共鳴による排気音の音圧の増大を好適に抑制できるという効果が得られる。また、第1実施形態と同様に、バルブ36が流通通路81cを開状態にするので、排気ガスを、バルブ36から円滑に拡張室30Cに流入させることができ、テールパイプ40b内で背圧が高まることはなく、エンジン10に負荷が加わることはない。
その結果、エンジン10が低回転から高回転までの全域で、気柱共鳴による排気音の音圧の増大が抑制されるので、従来の排気装置において必要とされ、テールパイプに設けられていた気柱共鳴を抑制するためのサブマフラが設置不要となり、構造が簡単になり、重量や製造コストの低減効果が得られる。
また、第1実施形態および第2実施形態と比較して、共鳴室30Aをバルブ36の上流側の極めて近くに位置させることができ、特に、エンジン10の減速時において、テールパイプ40bが閉状態になった際、気柱共鳴の音圧の高い部分に共鳴室30Aを配置させることができる。その結果、特に、エンジン10が減速時にある場合、ヘルムホルツ共鳴による排気音の音圧の増大を効果的に抑制できる。
(第4実施形態)
なお、第4実施形態に係る排気装置100は、第1実施形態のマフラ30に替えてマフラ110により構成されているが、その他は同様に構成されている。したがって、同一の構成については、図1〜図11に示した第1実施形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
図1に示す排気装置100において、マフラ110の他は第1実施形態と同様に構成されており、図23ないし図26に示すように、マフラ110において、インレットパイプ85、セパレータ86、87および開閉部材としてのバルブ88の他は第1実施形態と同様に構成されている。インレットパイプ85は、上流開口端85aと、下流開口端85bと、流通通路85cと、連通管85dとを有している。
セパレータ86は、マフラ本体31内の内部空間を排気方向上流側に位置する共鳴室110Aと、この共鳴室110Aの排気方向下流側に位置する拡張室110Bとに区画している。また、セパレータ87は、マフラ本体31内の内部空間を拡張室110Cと、この拡張室110Cの排気方向下流側に位置する拡張室110Bとに区画している。
セパレータ86には挿通孔86aが形成され、さらにセパレータ87には挿通孔87aが形成されており、これらの挿通孔86a、87aにはインレットパイプ85が挿通されている。また、セパレータ86に挿通孔86bが形成されており、挿通孔86bにはアウトレットパイプ35が挿通されている。
また、インレットパイプ85の下流開口端85bは、拡張室110C内で開口するよう、拡張室110C内でインレットパイプ85の軸線方向に略直交するよう屈曲部85hで屈曲して形成されている。また、連通管85dは、屈曲部85hからインレットパイプ85の軸線方向に延在して形成され、共鳴室110Aで開口する開口端85fを有している。また、連通管85dは、流通通路85cと共鳴室110Aとを連通する連通通路85eを有している。
なお、インレットパイプ85、フロントパイプ23およびセンターパイプ25は、本発明の排気管としてのテールパイプ40cを構成している。
このマフラ110においては、第1実施形態と同様に、連通管85dの連通通路85eの屈曲部85hから開口端85fまでの長さL、連通通路85eの断面積S、共鳴室110Aの体積Vは所定の寸法で形成されており、それぞれ設定された各諸元に基づく特定の共鳴周波数(Hz)が設定されている。
バルブ88は、図25、図26に示すように、弁体88aと、リテーナ88bとを有している。弁体88aは、インレットパイプ85の内径よりも僅かに小さな直径を有する円盤からなり、切り欠き88cが形成されている。弁体88aがインレットパイプ85の流通通路85cを閉状態にしたとき、この切り欠き88cとインレットパイプ85の内壁部との間に形成される隙間89を通って、排気ガスが流通するようになっている。
リテーナ88bは、弁体88aの切り欠き88cと対向する側であって、インレットパイプ85の流通通路85c側に屈曲するよう弁体88aと一体的に形成されている。
また、リテーナ88bは、インレットパイプ85の内壁部に密着するよう、湾曲して形成され、スポット溶接などの接合手段やリベットなどの固定手段によりインレットパイプ85の内壁部に取り付けられている。
このバルブ88は、ばね材などの弾性材料からなり、図26に示すように、インレットパイプ85の流通通路85c内を流通する排気ガスの流動圧(Pa)が所定の圧力(Pa)以上になると、弁体88aが弁体88aとリテーナ88bとの連結部分を中心として排気ガスの流出方向に弾性変形し流通通路85cが開状態になるよう構成されている。
排気ガスの流動圧(Pa)が所定の圧力(Pa)未満の場合は、図26の矢印gで示す重力方向に加わる自重に抗して閉状態が維持されるようになっている。
次に、排気装置110の作用およびテールパイプ40c内で発生する気柱共鳴について説明する。
まず、図1に示すエンジン10が始動されると、第1実施形態と同様に、排気ガスは、インレットパイプ85内に導入され、図27(a)の矢印で示すように、連通通路85eを通って開口端85fから共鳴室110Aに導入される。エンジン10が低回転数領域にある場合には、流通通路85c内を通る排気ガスの流量が比較的少ないので、バルブ88は、排気ガスの流動圧が加わっても弾性変形せず、流通通路85cは閉状態に維持されている。この場合、排気ガスは、図25に示す隙間89を通って拡張室110Cに流入し、さらに拡張室110Bに流入し、全周波数帯域に亘って排気音が低減されて下流開口端35bから大気に排出される。
流通通路85cが閉状態であると、テールパイプ40cは、第1実施形態と同様に、バルブ88の上流側が閉口端となり、テールパイプ40cは、長さLを有する閉管となるので、前述の式(5)と同様に特定周波数の気柱共鳴が発生することになる。
この気柱共鳴は、第1実施形態と同様、長さLが(1/4)λの波長とほぼ一致する1次音圧モードとなり、バルブ88の上流側で音圧(Pa)が最も高くなる腹が形成されることになる。また、2次音圧モードでは、長さLが(3/4)λの波長とほぼ一致する気柱共鳴となり、バルブ88の上流側で音圧(Pa)が最も高くなる腹が形成されることになる。テールパイプ40c内で発生する特定周波数の気柱共鳴は、第1実施形態と同様に、マフラ90の共鳴室30A内でヘルムホルツ共鳴を励起させることにより、減衰させることができる。減速時などの排気ガスの流量が少なく、流通通路85c内の圧力が小さい場合でも、第1実施形態と同様に、共鳴室30Aが、連通通路85eを介してバルブ88の上流側で音圧(Pa)が最も高くなる腹の近傍に設けられているので、ヘルムホルツ共鳴を有効に機能させることができる。
エンジン10が加速時などの比較的高回転数領域にある場合には、流通通路85c内を通る排気ガスの流量が比較的多いので、図27(b)に示すように、バルブ88は、排気ガスの流動圧により排気方向に弾性変形し、流通通路85cは開状態となる。
そして、排気ガスは下流開口端85bを通って、拡張室110Cに流入し、さらに拡張室110Bに流入し、全周波数帯域に亘って排気音が低減されて下流開口端35bから大気に排出される。また、排気ガスの一部は、勢いよく連通通路85eを通って開口端85fから共鳴室110Aに導入される。
流通通路85cが開状態であると、テールパイプ40cは、第1実施形態と同様に、その下流開口端81bが開口端となり、長さLを有する開管となるので、前述の式(7)で表される特定周波数の気柱共鳴が発生することになる。この気柱共鳴は、第1実施形態と同様に、Lが(1/2)λの波長とほぼ一致する1次音圧モードとなり、テールパイプ40cの排気方向の中間部で音圧(Pa)が最も高くなる腹を有している。また、2次音圧モードでは、Lが1λの波長とほぼ一致する気柱共鳴となり、テールパイプ40cの排気方向の二箇所で音圧(Pa)が最も高くなる腹を有している。
エンジン10が加速時などの高回転数領域にあり、流通通路85cが開状態となる場合にも、共鳴室110Aのヘルムホルツ共鳴により、長さLが(1/2)λの波長とほぼ一致する1次音圧モードおよび長さLが1λの波長とほぼ一致する2次音圧モードの気柱共鳴を減衰させることができる。
この場合、第1実施形態と同様に、共鳴室110Aは、バルブ88の上流側の比較的音圧が低く見える部分に位置することになるが、比較的高回転数領域では、排気ガスの流量が多く流動圧力が高いのでヘルムホルツ共鳴による減衰が効果的に機能する。
第4実施形態に係る排気装置100においては、前述のように構成されているので、次の効果が得られる。
すなわち、排気装置100においては、エンジン10が減速時や低回転領域にある場合、第1実施形態と同様に、バルブ88の排気方向上流側が高い音圧となる。この高い音圧により、共鳴室110Aにおけるヘルムホルツ共鳴の排気音の減衰作用が高められ、気柱共鳴による排気音の音圧の増大を好適に抑制できるという効果が得られる。その結果、気柱共鳴の排気音が車室内に伝達され、車室内にこもり音を生じさせてしまい、運転者に不快感を与えてしまうという問題が解消されるという効果が得られ、第1実施形態と同様に、エンジン10が低回転領域にある場合においても、気柱共鳴を抑制するためのサブマフラが設置不要となり、構造が簡単になり、重量や製造コストの低減効果が得られる。
他方、エンジン10が高回転領域にある場合、バルブ88が流通通路85cを開状態にするので、テールパイプ40cが開管になる。このような開管の場合、第1実施形態と同様に、1次音圧モードおよび2次音圧モードで、バルブ88の排気方向上流側が低い音圧となっても、その流動圧力が高まっているので、共鳴室110Aにおけるヘルムホルツ共鳴の排気音の減衰作用が高められる。したがって、高回転領域の場合でも、テールパイプ40c内に発生する気柱共鳴による排気音の音圧の増大を好適に抑制できるという効果が得られる。また、第1実施形態と同様に、バルブ88が流通通路85cを開状態にするので、排気ガスを、バルブ88から円滑に拡張室110Cに流入させることができ、テールパイプ40c内で背圧が高まることはなく、エンジン10に負荷が加わることはない。
その結果、エンジン10が低回転から高回転までの全域で、気柱共鳴による排気音の音圧の増大が抑制されるので、従来の排気装置において必要とされ、テールパイプに設けられていた気柱共鳴を抑制するためのサブマフラが設置不要となり、構造が簡単になり、重量や製造コストの低減効果が得られる。
また、第1実施形態および第2実施形態と比較して、共鳴室110Aをバルブ36の上流側の極めて近くに位置させることができ、特に、エンジン10の減速時において、テールパイプ40cが閉状態になった際、気柱共鳴の音圧の高い部分に共鳴室110Aを配置させることができる。その結果、特に、エンジン10が減速時にある場合、ヘルムホルツ共鳴による排気音の音圧の増大を効果的に抑制できる。また、第1実施形態および第2実施形態と比較して、連通管85dをより長く設定することができるので、共鳴室110Aにおける共鳴周波数を、より低周波数側に設定することができる。その結果、より低周波数側で生ずるこもり音による騒音の問題を解消することができる。
(変形例)
なお、第1ないし第4実施形態のマフラ30、70、90、110は、いずれも内部空間に、1個の共鳴室および2個の拡張室が形成される3室構造で構成されているが、それ以外の構造によりマフラを構成するようにしてもよい。例えば、図28、図29に示すように、マフラを2室構造で構成するようにしてもよい。
この2室構造のマフラ120は、図28、図29に示すように、消音器本体としてのマフラ本体91と、区画部材としてのセパレータ32と、インレットパイプ92と、アウトレットパイプ95と、開閉部材としてのバルブ36とを含んで構成されている。マフラ本体91は、円筒状に形成されたアウタシェル93と、アウタシェル93の両端を閉塞し内部空間を画成するエンドプレート42、43とを含んで構成されている。このエンドプレート42とエンドプレート43との間には、セパレータ32が介装されている。
セパレータ32は、マフラ本体91内の内部空間を排気方向上流側に位置する共鳴室120Aと、この共鳴室120Aの排気方向下流側に位置する拡張室120Bとに区画している。また、エンドプレート42には挿通孔42aが形成され、セパレータ32には挿通孔32aが形成され、これらの挿通孔42a、32aにはインレットパイプ92が挿通されている。また、エンドプレート43に挿通孔43aが形成され、アウトレットパイプ95が挿通されている。
インレットパイプ92は、センターパイプ25の下流端25bと接続される上流開口端92aと、拡張室120B内で開口する下流開口端92bと、この上流開口端92aと下流開口端92bとの間に形成された流通通路92cとを有している。また、インレットパイプ92は、流通通路92cと共鳴室120Aとを連通する連通通路92eが形成された連通管92dを有しており、共鳴室120A内で開口する開口端92fを有している。
アウトレットパイプ95は、拡張室120B内で開口する上流開口端95aと、マフラ本体91の外方で大気中に開口する下流開口端95bと、上流開口端95aから下流開口端95bまで連通する流通通路95cとを有している。このように、マフラ120が構成されているので、第1実施形態と同様に、エンジン10が低回転から高回転までの全域で気柱共鳴による排気音の音圧の増大が抑制され、従来の排気装置において必要とされ、テールパイプに設けられていた気柱共鳴を抑制するためのサブマフラが設置不要となり、構造が簡単になり、重量や製造コストの低減効果が得られる。
なお、第1実施形態の開閉部材としてのバルブ36は、軸受部51、52と、回動軸53と、この回動軸53の軸線方向の移動を規制する規制リング54、55と、弁体56とを含んで構成した場合について説明した。しかしながら、本発明の開閉部材を、このような軸受部を有する軸受構造以外の構造で構成してもよい。例えば、インレットパイプの内径よりも僅かに小さく形成した外形を有する弁体と、この弁体をインレットパイプの内壁面部に取り付けるよう、弾性変形可能な弾性材料からなる取付部材とにより構成したものであってもよい。さらに、この弁体と取付部材とを一体的に形成した一体構造のものであってもよい。このような構造にすることにより、より簡単な構造でバルブを形成することができ、製造コストをより低減することができる。
以上説明したように、本発明に係る内燃機関の排気装置は、テールパイプへのサブマフラの介装や、テールパイプの下流開口端の近傍への大容量の共鳴室を有する消音器の設置を不要にして、内燃機関の減速時においてもテールパイプの気柱共鳴による音圧の増大を簡単な構造で抑制することができ、重量や製造コストを低減することができるので、内燃機関の排気装置全般に有用である。
10 エンジン(内燃機関)
20、60、80、100 排気装置
23 フロントパイプ(排気管)
25 センターパイプ(排気管)
30、70、90、110、120 マフラ(消音器)
30A、110A、120A 共鳴室
30B、30C、110B、110C、120B 拡張室
31、91 マフラ本体(消音器本体)
32、33、74、75、86、87 セパレータ(区画部材)
34、61、81、85、92 インレットパイプ(排気管)
34a、35a、61a、81a、85a、92a、95a 上流開口端
34b、35b、61b、81b、85b、92b、95b 下流開口端
34c、61c、81c、85c、92c、95c 流通通路
34d、61d、82、85d、92d 連通管
34e、61e、83、85e、92e 連通通路
34f、61f、82c、85f、92f 開口端
35、95 アウトレットパイプ
36、50、88 バルブ
40、40a、40b、40c テールパイプ(排気管)

Claims (5)

  1. 内燃機関の排気管内を流通する排気ガスの排気音を消音する消音器を備えた内燃機関の排気装置において、
    前記消音器が、
    内部空間が形成された消音器本体と、
    前記内部空間を前記排気ガスの排気方向上流側に位置する共鳴室と前記共鳴室に対して前記排気ガスの排気方向下流側に位置する拡張室とに区画する区画部材と、
    前記消音器本体に設けられ、前記排気管の下流端と接続される上流開口端および前記拡張室内で開口する下流開口端を有する流通通路が形成されるとともに、前記流通通路と前記共鳴室とを連通する連通通路が形成された連通管を有するインレットパイプと、
    前記共鳴室に対して前記排気方向下流側であって、前記インレットパイプの前記下流開口端および前記下流開口端と前記連通通路との間に位置する前記流通通路内のいずれか一方に設けられ、前記流通通路内を流れる前記排気ガスの流量に応じて前記流通通路を開閉する開閉部材と、
    前記消音器本体に設けられ、前記拡張室内で開口する上流開口端および前記消音器本体の外方に位置し大気中に開口する下流開口端を有し、前記拡張室から排気ガスを大気に排出するアウトレットパイプと、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の排気装置。
  2. 前記連通管が、前記インレットパイプの軸線方向線に対して略直交するよう前記インレットパイプから突出し、突出方向先端部で開口する開口端を有することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気装置。
  3. 前記連通管が、前記インレットパイプを囲むよう前記インレットパイプの軸線方向に沿って前記インレットパイプの外周部に設けられ、前記連通通路が前記連通管の内周面と前記インレットパイプの外周面とにより画成され、前記連通通路が前記インレットパイプの前記外周部に設けられた貫通孔を介して前記インレットパイプの前記流通通路と連通することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の排気装置。
  4. 前記消音器が、前記排気方向下流側における最下流の位置に設けられたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1の請求項に記載の内燃機関の排気装置。
  5. 前記開閉部材が、前記内燃機関の減速時に閉状態となり、前記流通通路の通路断面積を絞り込むことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1の請求項に記載の内燃機関の排気装置。
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