JP2011089071A - エポキシ樹脂組成物、繊維強化複合材料およびそれを有してなる釣竿穂先 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、繊維強化複合材料およびそれを有してなる釣竿穂先 Download PDF

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Abstract

【課題】十分含浸できる粘度であり、優れた速硬化性を有しながら、引き抜き成形時の粘度変化が小さく、並びに曲げ撓み量と強度に優れた引き抜き成形品および曲がり量に優れた釣竿穂先を提供する。
【解決手段】(a)エポキシ樹脂、(b)酸無水物、(c)イミダゾール誘導体および(d)内部離型剤を含むエポキシ樹脂組成物であって、(a)エポキシ樹脂は、25℃における粘度が3000mPa・s以下の2官能エポキシ樹脂を、全エポキシ樹脂100質量部中に60〜100質量部含むエポキシ樹脂であり、(d)内部離型剤が、全エポキシ樹脂100質量部に対して8質量部より多く、15質量部以下含まれていることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、釣竿穂先に好適に用いられるエポキシ樹脂組成物、およびその硬化物と強化繊維を含んでなる繊維強化複合材料に関する。
強化繊維とマトリックス樹脂とからなる繊維強化複合材料は、強化繊維とマトリックス樹脂の利点を活かした材料設計ができるため、航空宇宙分野をはじめ、スポーツ分野、一般産業分野等に広く用途が拡大されている。
強化繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ボロン繊維等が用いられる。マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも用いられるが、強化繊維への含浸が容易な熱硬化性樹脂が用いられることが多い。そして、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂等が用いられることが多い。
繊維強化複合材料の製造には、プリプレグ法、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法、プルトルージョン(引き抜き成形)法、RTM(Resin Transfer Molding)法、プレス成形法等の方法が適用される。この中で、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法、引き抜き成形法、RTM法、プレス成形法では、樹脂を速やかに繊維に含浸させるため、十分低粘度である必要がある。
この中で、引き抜き成形法は、強化繊維を液状の熱硬化樹脂組成物の満たされた含浸槽に連続的に通し、熱硬化樹脂組成物を含浸させ、スクイーズダイ及び、加熱金型を通して引張機によって連続的に引き抜きつつ、成形、硬化させる成形方法であり、繊維強化複合材料を連続的に成形できるという利点を有する。この利点から、釣竿、ロッド、パイプ、シート、アンテナ、建築構造物等の強化繊維プラスチック(FRP)の製造には、引き抜き成形が行われている。中でも、釣竿穂先等に用いる場合(例えば、特許文献1)、中実の引き抜き成形品は中空のものよりもより細く、軽量化することが可能であり、かつ強度が大きいものを生産できるというさらなる利点を有する。
引き抜き成形において樹脂組成物は、含浸槽で速やかに強化繊維へ含浸させるために十分に低粘度である必要があり、また長時間の連続生産性の観点から粘度の安定性が重要である。加えて、高速生産を可能にするためには、金型内で樹脂が素早く硬化する速硬化性との両立も必要となる。
引き抜き成形に用いられる樹脂組成物としては、エポキシ樹脂、酸無水物、イミダゾールからなる組成物が知られている(例えば、特許文献2)。しかし、これらは、使用するエポキシ樹脂の粘度が高いため、樹脂組成物の粘度が高くなり強化繊維への含浸性が悪くなるために機械特性が発現しにくく、成形品の表面品位が悪くなるという欠点があった。
かかる問題に対し、低粘度なエポキシ樹脂を引き抜き成形に用いた例も知られている(例えば、特許文献3)。この例においては、使用するエポキシ樹脂は、低粘度であるが多官能であるために、反応性が高く、粘度安定性が低下し連続生産性が低下するという問題がある。
かかる問題に対し、粘度安定性と速硬化性を両立した引き抜き成形用樹脂組成物も知られている(例えば、特許文献4)。しかしながら、この例で得られる成形品は建築材料等の強度、耐熱性が要求される用途には適するものの、例えば釣竿等の柔軟性が要求される用途には不向きであった。
このような柔軟性が要求される用途には、成形品の曲げ撓み量が大きいことが求められる。特に、釣竿穂先に用いるためには、リールの糸を必要以上に巻きすぎると巻き取られる浮きなどの仕掛けが穂先のガイドで引っかかり、さらに糸を巻き過ぎると細い穂先が曲がり、やがてその曲がりに耐えられなくなったところで穂先が破損するトラブルを防ぐために、曲げ曲率を極限まで大きくしても折れない、という特性が必要になる。
成形品の曲げ撓み量を大きくする、並びに穂先の曲がり量を大きくするためには、エポキシ樹脂の強度や弾性率を保持しつつ、伸度や靭性を大きくすることが1つの方策である。伸度や靭性を大きくする手法として、エポキシ樹脂組成物中へのゴム成分や熱可塑性樹脂等の改質剤の添加や、高分子量エポキシ樹脂の添加が知られている。しかし、これらの改質剤や高分子量のエポキシ樹脂を添加すると、樹脂組成物の粘度が増加し、加えて樹脂硬化物の弾性率が低下することがある。例えば、プリプレグ用の樹脂組成物としては、高分子量エポキシ樹脂の添加による伸度の向上(例えば、特許文献5)や、熱可塑性樹脂の添加による靭性の向上(例えば、特許文献6)が効果的であるが、いずれも高粘度となるため、引き抜き成形には使用しにくいといった問題があった。このように、引き抜き成形用の粘度特性を維持し、例えば釣竿用途のような、柔軟性と強度を併せ持った成形品を得る事は容易ではなく、これらの特性に優れた製品が待望されている。
一方、引き抜き成形では成形性を確保するために内部離型剤を添加することがある(例えば、特許文献2,4,7)。内部離型剤は一般的に成形品と金型の離型性を発現し、連続生産性を向上させるものであり、せいぜいエポキシ樹脂100部に対して0.1〜8質量部添加するものであって、これにより成形品の曲げ撓み量が大きくなること、また、釣竿穂先を引き抜き成形した場合の穂先の曲がり量が大きくなることは全く示唆されていない。
特開昭63−269939号公報 特開2005−343112号公報 特許平5−117412号公報 特開2008−38082号公報 特開2000−336191号公報 特開2006−291092号公報 特開平11−236432号公報
本発明の課題は、引き抜き成形により繊維強化複合材料を製造するに際し好適に用いられるエポキシ樹脂組成物が、当該引き抜き成形において、十分含浸できる粘度であり、優れた速硬化性を有しながら、引き抜き成形時の粘度変化が小さく、曲げ撓み量と強度に優れた引き抜き成形品および釣竿穂先としたときに、曲がり量が大きい引き抜き成形品および釣竿穂先を提供することである。
上記課題を解決するために種々検討を行った結果、本発明者は、以下に示すエポキシ樹脂組成物を見いだすに至った。
すなわち、
(1)(a)エポキシ樹脂、(b)酸無水物、(c)イミダゾール誘導体および(d)内部離型剤を含むエポキシ樹脂組成物であって、(a)エポキシ樹脂は、25℃における粘度が3000mPa・s以下の2官能エポキシ樹脂を、全エポキシ樹脂100質量部中に60〜100質量部含むエポキシ樹脂であり、(d)内部離型剤が、全エポキシ樹脂100質量部に対して8質量部より多く、15質量部以下含まれていることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
(2)前記25℃における粘度が3000mPa・s以下の2官能エポキシ樹脂が、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルo−トルイジン、レゾルシノール型エポキシ樹脂、および脂環式エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、(1)に記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(3)(d)内部離型剤が、25℃で液状の脂肪酸エステル系離型剤である、(1)または(2)に記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させた硬化物と、強化繊維を含んでなる繊維強化複合材料。
(5)前記強化繊維が炭素繊維である前記(4)に記載の繊維強化複合材料。
(6)引き抜き成形により得られたものである、前記(4)または(5)に記載の繊維強化複合材料。
(7)前記(4)〜(6)記載の繊維強化複合材料を有してなる釣竿穂先。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、低粘度のエポキシ樹脂組成物が必要な成形法、特に引き抜き成形法に好適に用いられるものであり、引き抜き成形法において、十分含浸できる粘度であり、優れた速硬化性を有しながら、引き抜き成形時の粘度変化が小さく、連続生産性に優れる。
加えて、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる内部離型剤を、通常添加される量よりもはるかに多くの量を添加することで、曲げ撓み量および強度に優れた成形品、特に釣竿穂先とした時に曲がり量が大きい成形品、釣竿穂先を提供できる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(a)エポキシ樹脂、(b)酸無水物、(c)イミダゾール誘導体および(d)内部離型剤を含むエポキシ樹脂組成物であって、(a)エポキシ樹脂は、25℃における粘度が3000mPa・s以下の2官能エポキシ樹脂を、全エポキシ樹脂100質量部中に60〜100質量部含むエポキシ樹脂であり、(d)内部離型剤が、全エポキシ樹脂100質量部に対して8質量部より多く、15質量部以下含まれており、引き抜き成形により繊維強化複合材料を製造するに際し好適に用いられるエポキシ樹脂組成物である。
本発明で用いられる(a)エポキシ樹脂は、25℃における粘度が3000mPa・s以下の2官能エポキシ樹脂を、全エポキシ樹脂100質量部中に60質量部以上100質量部以下含むエポキシ樹脂である。ここで言う2官能とは、エポキシ基を分子中に2個持つもののことを指す。また、25℃における粘度が3000mPa・s以下の2官能エポキシ樹脂は、引き抜き成形性の向上の観点から全エポキシ樹脂100質量部中に70質量部以上含まれていることが好ましい。
また、25℃における粘度が3000mPa・s以下の2官能エポキシ樹脂は、25℃における粘度が、5mPa・s以上3000mPa・s以下のものが好ましく用いられる。より好ましくは、5mPa・s以上2500mPa・s以下である。5mPa・s未満であると、最終的に(b)酸無水物や、(c)イミダゾール誘導体と組み合わせてエポキシ樹脂組成物とした際に、初期粘度が低すぎるために、引き抜き成形時に強化繊維への付着量がへり表面品位等が悪化することがある。3000mPa・sを超えると、最終的にエポキシ樹脂組成物とした際に、初期粘度が高くなるために、引き抜き成形時に強化繊維束内に、樹脂が含浸せずボイドの原因となることがある。ここで言う粘度とは、25℃において、ISO2884−1(1999)における円錐−平板型回転粘度計を使用した測定方法により求められる。また、初期粘度とは、調合表に記載された比率で成分をすべて混合した直後の粘度のことを指す。
25℃における粘度が3000mPa・s以下の2官能エポキシ樹脂としては、ビスフェノールF型エポキシ、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルo−トルイジン、レゾルシノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシが好ましく用いられる。なかでも、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルo−トルイジンが、機械特性の面から好ましく用いられる。25℃における粘度が3000mPa・s以下の2官能エポキシ樹脂の市販品としては、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、“jER(登録商標)”806(粘度:2000mPa・s)、“jER(登録商標)”1750(粘度:1300mPa・s)(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、GY285(粘度:2500mPa・s)、PY306(粘度:1400mPa・s)(以上ハンツマン・アドバンスドマテリアル社製)等が挙げられる。
脂環式エポキシとしては、(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートとしては、“セロキサイド(登録商標)”2021P(粘度:250mPa・s、ダイセル化学工業(株)製)やCY179(粘度:400mPa・s、ハンツマン・アドバンストマテリアルズ(株)製)等が挙げられる。(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)オクチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートとしては、“セロキサイド(登録商標)”2081(粘度:100mPa・s、ダイセル化学工業(株)製)、1−メチル−4−(2−メチルオキシラニル)−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタンとしては、“セロキサイド(登録商標)”3000(粘度:20mPa・s、ダイセル化学工業(株)製)、等が挙げられる。
ジグリシジルアニリンの市販品としては、GAN(粘度:120mPa・s、日本化薬(株)製)が挙げられる。
ジグリシジルo−トルイジンの市販品としては、GOT(粘度:70mPa・s、日本化薬(株)製)が挙げられる。
レゾルシノール型エポキシ樹脂の市販品としては、“ERISYS(登録商標)”RDGE/H(粘度:250mPa・s、PTIジャパン製)、“デナコール(登録商標)”Ex−203(ナガセケムテックス(株)製)等が挙げられる。
また、(a)エポキシ樹脂には、25℃における粘度が3000mPa・s以下の2官能エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を、全エポキシ樹脂100質量部中に0〜40質量部の範囲で配合することができる。この場合、25℃における粘度が3000mPa・s以下の2官能エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂は、引き抜き成形に用いられる粘度範囲内で配合することができる。引き抜き成形に用いられる粘度範囲内とは、具体的には、引き抜き成形に用いるエポキシ樹脂組成物としたときに、粘度が、好ましくは50〜2000mPa・sとなることをいい、酸無水物や、イミダゾール誘導体の添加/混合によりこの領域に調製することができる。25℃における粘度が3000mPa・s以下の2官能エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジル−m−アミノフェノールなどのグリシジルアミン型エポキシ、フタル酸グリシジルエステルや、ヒドロフタル酸グリシジルエステルなどのグリシジルエステル型エポキシ、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などが挙げられる。より耐熱性が必要な場合、グリシジルアミン型エポキシ樹脂を添加することが好ましい。
本発明は(b)酸無水物を含んでいる。酸無水物としては特に制限はないが、(a)エポキシ樹脂、(c)イミダゾール誘導体と混合して得られる樹脂組成物の粘度が低くなることから、25℃で液体であるものが好ましく、特に25℃の粘度が20mPa・s以上1000mPa・s以下であることが好ましい。さらに好ましくは20mPa・以上200mPa・s以下、最も好ましくは20mPa・以上150mPa・s以下である。20mPa・s未満であると、50mPa・s以下の低粘度なエポキシ樹脂を用いた場合、樹脂組成物の粘度が低くなりすぎて、引き抜き成形時に、強化繊維への樹脂の付着量が減ることがある。具体的な例として、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデシル無水コハク酸等が挙げられる。特に40〜70mPa・s程度の低粘度であり、得られる硬化物の耐熱性に優れることから、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。また、必要に応じて2種以上を混合して用いても良い。
メチルテトラヒドロ無水フタル酸の市販品としては、“リカシッド(登録商標)”MT500(粘度:50mPa・s、新日本理化(株)製)等が挙げられる。
ヘキサヒドロ無水フタル酸の市販品としては、“リカシッド(登録商標)”HH(融点:34℃、新日本理化(株)製)等が挙げられる。
メチルヘキサヒドロ無水フタル酸の市販品としては、“EPICLON(登録商標)”B−570(粘度:40mPa・s)、“EPICLON(登録商標)” B−650(粘度:65mPa・s)(以上DIC(株)製)等が挙げられる。
ヘキサヒドロ無水フタル酸とメチルヘキサヒドロフタル酸の混合物の市販品としては、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸:ヘキサヒドロ無水フタル酸=70:30で配合された“リカシッド(登録商標)”MH700(粘度:60mPa・s、新日本理化(株)製)等が挙げられる。
無水メチルナジック酸の市販品としては、“カヤハード(登録商標)”MCD(粘度:200mPa・s、日本化薬(株)製)等が挙げられる。トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸の市販品としては、“jERキュア(登録商標)”YH−306(粘度:130mPa・s、ジャパンエポキシレジン(株)製)等が挙げられる。
(b)酸無水物は、エポキシ樹脂組成物の初期粘度と得られる耐熱性のバランスが良いことから、(a)エポキシ樹脂に含有されるエポキシ基のエポキシ1当量に対する酸無水物の活性水素当量(酸無水物の分子量を反応点数で割ったもの)が0.5〜1.5当量の範囲になるように配合量を決定することが好ましい。さらに好ましくは、0.7〜1.2当量である。0.5当量より少ないと、初期粘度が高くなることや硬化が不十分になることがあり、1.5当量より多いと、硬化物の機械特性が低下することがある。
本発明で用いられる(c)イミダゾール誘導体とは、分子中にイミダゾール環を有する化合物を意味する。具体的には、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、イミダゾール誘導体の中では、1位に置換基を有するイミダゾール誘導体が、粘度の安定性に優れ、好ましく使用される。中でも、組成物の粘度を必要以上に上げないために、好ましくは融点が50℃以下のもの、より好ましくは融点が25℃以下であり25℃で液状であるイミダゾール誘導体が用いられる。これらイミダゾール誘導体は、単独でも用いても、複数種組み合わせて用いてもよい。
(c)イミダゾール誘導体に含まれる1位に置換基を有するイミダゾール誘導体の具体的な市販品を列挙すると、1,2−ジメチルイミダゾールの市販品としては、“キュアゾール(登録商標)”1,2DMZ(融点:35℃、四国化成(株)製)等が挙げられる。
1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールの市販品としては、“キュアゾール(登録商標)”1B2PZ(融点:40℃、四国化成(株)製)等が挙げられる。
1−ベンジル−2−メチルイミダゾールの市販品としては、“jERキュア(登録商標)”BMI12(粘度:2300mPa・s、ジャパンエポキシレジン(株)製)等が挙げられる。
1−シアノエチル−2−メチルイミダゾールの市販品としては、“キュアゾール(登録商標)”2MZ−CN(融点:53℃、四国化成(株)製)等が挙げられる。
1−イソブチル−2−メチルイミダゾールの市販品としては、“jERキュア(登録商標)”IBMI12(粘度:800mPa・s、ジャパンエポキシレジン(株)製)等が挙げられる。
(c)イミダゾール誘導体には、イミダゾール環の1位に置換基を有しないイミダゾール誘導体を、粘度安定性に悪影響を及ぼさない範囲で使用できる。イミダゾール環の1位に置換基を有しないイミダゾール誘導体の具体的な市販品を列挙すると、2―メチルイミダゾールの市販品としては、“キュアゾール(登録商標)”2MZ(四国化成(株)製)等が挙げられる。
2―エチル−4−メチルイミダゾールとしては“キュアゾール(登録商標)”2E4MZ(四国化成(株)製)、“jERキュア(登録商標)”EMI24(ジャパンエポキシレジン(株)製)等が挙げられる。
(c)イミダゾール誘導体は全エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましい。0.1質量部より少ないと、樹脂組成物の硬化速度が遅く、高速成形に用いられないことがある。また、5質量部より多いと、樹脂組成物の粘度上昇が大きく、連続生産における安定した生産ができないことがある。特に、0.5〜4質量部であると好ましい。
本発明で用いられる(d)内部離型剤としては、金属石鹸類、ポリエチレンワックス、カルバナワックスをはじめとする植物ワックス、脂肪酸エステル系離型剤、シリコンオイル、動物ワックス、フッ素系非イオン界面活性剤、等が挙げられるが、離型性、粘度、エポキシ樹脂との親和性の観点から、25℃で液状の脂肪酸エステル系離型剤であることが好ましい。液状であることにより、低粘度な組成物においても均一に混ぜ合わせることができる。また、内部離型剤を樹脂中に混合しておくことで、金型と成形品の離型性が向上し、引き抜き成形性が向上する。このことにより、成形品の表面品位や繊維の配向が良くなるために成形品の曲げ撓み量、強度などの機械特性が向上する。さらに、内部離型剤を樹脂中に混合しておくことで、樹脂と強化繊維との接着性が低下し、適切に調整されることにより、成形品の曲げ撓み量が向上する。
(d)内部離型剤は、全エポキシ樹脂100質量部に対して8質量部より多く、15質量部以下であることが必要である。8質量部以下であると、内部離型剤の大部分が樹脂表面にブリードアウトし、樹脂内部に残る量が少ないため、樹脂と強化繊維との接着性低下効果が小さくなり、十分な成形品の曲げ撓み量が得られないことがある。8質量部より多く、15質量部以下であると、内部離型剤が樹脂内部に残存する量が適切になり、驚くべきことに成形品の曲げ撓み量が向上する。一方、15質量部より多く添加すると、樹脂中に適切な量以上の離型剤が残存し、樹脂と強化繊維との接着性が低下しすぎるとともに、過剰の内部離型剤が樹脂の架橋構造形成を妨げ、樹脂硬化物の伸度や強度低下を引き起こすことが考えられ、その結果、成形品の曲げ撓み量の低下、樹脂硬化物の耐熱性の低下、樹脂組成物の硬化速度の低下、および樹脂組成物の粘度上昇を引き起こすことがある。
この様な25℃で液状の内部離型剤としては、エポキシ樹脂組成物と相分離せず、かつ金型の温度で蒸発や分解しないものなら特に限定されない。なかでも、樹脂組成物の粘度への影響を抑えるために、25℃で液状の内部離型剤の粘度が50mPa・s以上1000mPa・s以下のものが好ましく用いられる。
具体的な市販品としては、有機酸誘導体、グリセリドおよび合成樹脂の混合物であるMOLD WIZ INT−1846(粘度:425mPa・s)、MOLD WIZ INT−1836、MOLD WIZ INT−1850(粘度:350mPa・s)、MOLD WIZ INT−1854(粘度:500mPa・s)(以上AXEL PLASTICS RESEARCH LABORATORIES INC.製)等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(a)エポキシ樹脂、(b)酸無水物、(c)イミダゾール誘導体、(d)内部離型剤を攪拌棒等にて攪拌し、混合することで得られる。必要に応じて、加熱、加圧しても良いが、長時間の加熱は樹脂組成物の粘度を上昇させるため、好ましくない。混合されたエポキシ樹脂組成物は、均一に溶解していることが好ましい。これらの一部が固体である、もしくは液状であっても分離した相をなす場合は、含浸過程において成分の局所的な不均一性を招く恐れがあるため、好ましくない。また、(d)内部離型剤は、混合過程のどの工程で添加してもよいが、均一に分散させるために、(b)酸無水物ならびに(c)イミダゾール誘導体を混合する前に、(a)エポキシ樹脂に添加し、十分に撹拌し、分散させておくことが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物の混合直後の25℃における初期粘度は、強化繊維へ十分含浸するために、50〜2000mPa・sが好ましく、より好ましくは100〜1000mPa・sである。50mPa・s未満であると強化繊維への樹脂の含浸量が少なくなることがある。また、2000mPa・sよりも高粘度であると強化繊維内へ入りこみにくくなり含浸性が不足しボイドとなることがある。さらに、連続成形における生産性を保つために、エポキシ樹脂組成物を25℃で8時間放置した後の25℃における粘度は、初期粘度の1.0倍以上3.5倍以下であることが好ましい。より好ましくは1.0倍以上3.0倍以下である。増粘倍率は、硬化剤および硬化促進剤、特にイミダゾールの種類、配合量の影響が大きく、増粘倍率が大きい場合は、イミダゾールの種類を変える、または配合量を減らすことで増粘を抑えることが可能である。
また、高速成形を達成するために、エポキシ樹脂組成物の190℃におけるゲルタイムが60秒以内であることが好ましい。より好ましくは、30秒以内である。ここでいうゲルタイムとは、キュラストメーター装置を用い、測定開始後、トルクが0.001N・mを越えた時間とする。ゲルタイムは、硬化剤および硬化促進剤、特にイミダゾールの種類、配合量の影響が大きく、硬化性が不足する場合は、イミダゾールの種類を変える、または配合量を増やすことでゲルタイムの短縮が可能である。
本発明で用いられる強化繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ボロン繊維等が好ましいが、特に強度に優れていることから炭素繊維を使用するのが好ましい。炭素繊維の引張弾性率としては150〜500GPaが釣竿用途としては好ましい。炭素繊維の引張弾性率とは、JIS R 7601(1986)に従って測定したストランド弾性率のことを指す。
また、炭素繊維の単繊維の断面形状としては、特に限定されないが、実質的に真円状であることが好ましい。ここで、単繊維の断面形状が実質的に真円であるとは、単繊維の断面形状に外接する円の半径Rと内接する円の半径rとの比R/rが、1.0〜1.1、好ましくは、1.0〜1.05の範囲であることを意味する。単繊維の断面形状が真円状の場合、引き抜き成形時に炭素繊維の単糸同士もしくは束同士の擦過による単糸切れに起因する強度の低下や、毛羽発生、糸の破断などのプロセス面でのトラブルが発生しにくい。また、単繊維の断面形状が、楕円状、卵状、空豆状、3葉状である場合、得られる複合材料の機械特性が低下することがある。断面形状が真円状の炭素繊維として、“トレカ(登録商標)”T700S、“トレカ(登録商標)”M30Sなどがあげられる。
また、炭素繊維にサイジング剤としてエポキシ基、水酸基、アクリレート基、メタクリレート基、アミド基、カルボキシル基、カルボン酸無水物から選ばれる少なくとも1種類の官能基をもつ成分を0.01〜5質量%付着させたものが生産時における擦過性、エポキシ樹脂との親和性に優れている。特に、エポキシ基や水酸基をもつ成分を含むものがサイジング剤として好ましい。また、炭素繊維へのサイジング剤の付着量は、炭素繊維を秤量(W1)した後、50リットル/分の窒素気流中、温度450℃に設定した電気炉に15分間放置し、サイジング剤を完全に熱分解させる。そして、20リットル/分の乾燥窒素気流中の容器に移し、15分間冷却した後の炭素繊維を秤量(W2)して、次式によりサイジング剤付着量を求める。
サイジング付着量(%)=[W1−W2]/W1×100。
本発明に用いられる炭素繊維としては、フィラメント数が1000〜200000本のものが好ましく用いられる。1000本未満であると、所定の幅、厚みを得るために、必要な炭素繊維ボビン数が増えるため作業が繁雑となり好ましくなく、また、200000本以上であると、炭素繊維束の内部まで樹脂が含浸しにくくなりボイドの原因と成ることがある。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて得た引き抜き成形品の製造方法について説明する。
本発明においては、エポキシ樹脂組成物を用いて一般的な引き抜き成形法を行い、引き抜き成形と並行して、または引き抜き成形後に加熱硬化させて引き抜き成形品とすることができる。一般的な引き抜き成形方法としては、強化繊維をエポキシ樹脂組成物の含浸槽に連続的に通し、スクイーズダイ及び、加熱金型を通して引張機によって連続的に引き抜き成形しつつエポキシ樹脂組成物を硬化させる。さらに、アフターキュアオーブン内にて完全硬化させる。なお前記は引き抜き成形法の一例を示しただけであり、限定するものではない。
含浸槽は、10〜40℃に保たれていることが好ましい。より好ましくは、20〜30℃である。含浸槽の温度が40℃以上では、エポキシ樹脂組成物の粘度安定性が悪くなることがある。また、含浸槽の温度が10℃以下では、繊維への含浸が悪くなることがある。
金型の温度は100〜250℃であることが好ましい。より好ましくは120〜220℃である。100℃以下では金型内での硬化不良を起こすことがあり、250℃以上ではエポキシ樹脂組成物の暴走反応が起こることがある。
金型内の滞留時間としては、30秒から5分であることが好ましい、滞留時間が30秒以下では金型内での硬化が不十分であり、外観が悪くなることがある。また、5分以上であると金型内で完全に硬化し、引き抜けなくなることがある。
耐熱性を高めたり、エポキシ基の反応を完結させるために、アフターキュアを行っても良い。アフターキュアは、金型を通過後、製品回収までの間に、アフターキュアオーブンを設置して、オンラインでキュアしても良いし、回収後、オーブンに入れてキュアしてもよい。アフターキュアの温度は、耐熱性や物性の観点から100〜220℃であることが好ましい。より好ましくは、110〜200℃である。100℃以下であると、樹脂のガラス転移温度を超えないため反応が進みにくくなることがあり、アフターキュアの時間がかかり生産性が落ちることがある。一方、220℃以上であると、熱により変形したり、分解したりすることがある。アフターキュア時間は、キュア温度にもよるが、1分から1時間であることが好ましい。1分よりも短いキュアでは、短すぎて十分に反応が完結しないことがある。また1時間よりも長いと、例えばオンラインで使用する場合、長すぎて生産性が落ちる懸念がある。
本発明の引き抜き成形品の炭素繊維の体積含有率(Vf)は、軽量かつ柔軟性と強度に優れる特徴を十分に引き出すために40〜75%であることが好ましい。40%以下であると、繊維が金型内で均一に分散しにくく、曲がりや反りが発生しやすいために、強度が低下する可能性や、撓む方向によって撓み性の異なる穂先になる可能性がある。75%以上であると、成形品の剛性が高くなりすぎ、柔軟性が不足する可能性がある。ここで、引き抜き成形品のVfは、重量含有率(Wf)と、炭素繊維および樹脂の比重から計算できる。Wfは、JIS K7075(1991)に記載の燃焼法に基づいて、燃焼前後の重量を測定することにより求めることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて得た引き抜き成形品を釣竿穂先として用いる場合、直径2〜6mmの円形金型を使用して500〜1000mm棒状の引き抜き成形品を作製した後に周囲を研磨し、テーパー加工を施すことにより、穂先として使用できる。丸棒状の引き抜き成形品の柔軟性は、引き抜き成形品の3点曲げ試験における曲げ撓み量から知る事ができる。曲げ撓み量とは、引き抜き成形品を、JIS K7074(1988)に準拠し、3点曲げを行った時の引き抜き成形品破断時のクロスヘッド移動量である。テーパー加工後の穂先の曲がり量は端部を固定した状態で反対の端を曲げ、破断するまで曲げ曲率を大きくしていくことにより評価できる。
次に、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、表1、2中のエポキシ樹脂組成物の含有割合の単位は、特に断らない限り「質量部」を意味し、(b)酸無水物については、用いられるエポキシ樹脂の平均エポキシ基量に対する(b)酸無水物の活性水素当量の割合(eq.)を意味する。
(樹脂原料)
エポキシ樹脂
・“jER(登録商標)”806(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、粘度:2000mPa・s、ジャパンエポキシレジン(株)製)
・GAN(ジグリシジルアニリン、粘度:120mPa・s、日本化薬(株)製)
・“エポトート(登録商標)”YD128(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、粘度:13500mPa・s、東都化成(株)製)
・“スミエポキシ(登録商標)”ELM434(テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、粘度:100000mPa・s、住友化学工業(株)製)。
酸無水物
・“リカシッド(登録商標)”MH700(メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸、70/30の混合物、粘度:60mPa・s、新日本理化(株)製)
イミダゾール誘導体
・“jERキュア(登録商標)”BMI12(1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、粘度:2300mPa・s、ジャパンエポキシレジン(株)製)。
(内部離型剤)
・“MOLD WIZ(登録商標)” INT1846(粘度:425mPa・s、AXEL PLASTICS RESEARCH LABORATORIES INC.製)。
(強化繊維)
・“トレカ(登録商標)”T700S−12K−50C(炭素繊維、フィラメント数12000本、東レ(株)製)。
(1)樹脂組成物の調製
表1、2に記載の配合比に従って、25℃で、エポキシ樹脂、酸無水物、イミダゾール誘導体、内部離型剤を混合し、樹脂組成物を得た。
(2)樹脂組成物の粘度測定
ISO 2884−1(1999)における円錐−平板型回転粘度計を使用した測定方法に従い、エポキシ樹脂組成物を調整した直後と、25℃の恒温装置内に調整後8時間放置した粘度をそれぞれ25℃にて測定した。装置は(株)トキメック製のTVE−30H型を用いた。ここで、ローターは1°34′×R24を用い、サンプル量は1cmとした。
(3)樹脂組成物のゲルタイム測定
エポキシ樹脂組成物を調整した直後のゲルタイムを190℃にて測定した。装置は(株)オリエンテック製のキュラストメーターV型を用いた。サンプル量は2cmとした。測定開始後、トルクが0.001N・mを超えた時間をゲルタイムとした。
(4)引き抜き成形品の作製
実施例1〜4ならびに比較例1〜6の樹脂組成物を25℃の原料槽に2時間滞留させた。この樹脂組成物の入った原料槽にフィラメント数48000本になるように上記炭素繊維をひき通して樹脂を含浸させ、次いでこれを円形金型に挿通し、190℃で1.5分加熱硬化させ、150℃で4分アフターキュアを行い、直径2mm、Vf約55%の炭素繊維強化複合材料を得た。
(5)引き抜き成形品の0°曲げ試験
上記(4)の方法で作製した炭素繊維強化複合材料を繊維方向を長さ方向として、長さ100mmにカットし、試験片を得た。この試験片を用いて、JIS K7074(1988)に従って3点曲げを行い、破断時の曲げ撓み量および強度を測定した。装置はインストロン5565型を使用し、クロスヘッドスピード5mm/min、スパン長80mm、圧子半径5mm、支点半径2mmにて測定した。ここで曲げ撓み量とは、3点曲げを行った時の破断時のクロスヘッド移動量である。
(6)釣竿穂先の曲がり量測定
上記(4)の方法で作製した炭素繊維強化複合材料を繊維方向を長さ方向として、長さ550mmになるようにカットし、元側が直径1.9mm、先側が直径0.8mmになるようにセンタレス研磨加工によりテーパーを施し、釣竿穂先とした。釣竿穂先の元側をスケール上に固定した状態で、先側を丸めてスケール上に接触させ、接触した先端部をスケールに沿わせて移動(約5mm/s)させることにより曲げ曲率を大きくしていき、破断するまでの移動量を測定し、曲がり量とした。
表1に記載の実施例1〜7に示す通り、25℃における粘度が3000mPa・s以下の2官能エポキシ樹脂を、全エポキシ樹脂100質量部中に60〜100質量部と、内部離型剤を全エポキシ樹脂100質量部に対して8質量部より多く、15質量部以下含むことにより、良好な結果が得られた。特に、25℃における粘度が3000mPa・s以下の2官能エポキシ樹脂を、全エポキシ樹脂100質量部中に70質量部以上含む実施例1〜6はより良好であった。
表2の比較例1〜6より、内部離型剤が全エポキシ樹脂100質量部に対して8質量部以下、もしくは15質量部より多い場合は、引き抜き成形品0°曲げ撓み量や釣竿穂先曲がり量といった引き抜き成形品の物性や、樹脂粘度上昇率、ゲルタイムが実施例に比べ劣る。また、比較例7、8に示す通り、25℃における粘度が3000mPa・s以下の2官能エポキシ樹脂が、全エポキシ樹脂100質量部中に60質量部未満の場合は、実施例に比べ高粘度となるため、引き抜き成形性や引き抜き成形品の物性が劣る。
Figure 2011089071
Figure 2011089071
本発明の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物は、スポーツ用途、一般産業用途、航空機用途において曲げ撓みに優れた成形品を提供できるものである。特に引き抜き成形法において、十分含浸できる粘度であり、優れた粘度安定性と速硬化性を有するために引き抜き成形において好適に用いられ、並びに曲げ撓み量と強度に優れた成形品を提供できるため、釣竿穂先等の用途に適した引き抜き成形品を提供できるものである。

Claims (7)

  1. (a)エポキシ樹脂、(b)酸無水物、(c)イミダゾール誘導体および(d)内部離型剤を含むエポキシ樹脂組成物であって、(a)エポキシ樹脂は、25℃における粘度が3000mPa・s以下の2官能エポキシ樹脂を、全エポキシ樹脂100質量部中に60〜100質量部含むエポキシ樹脂であり、(d)内部離型剤が、全エポキシ樹脂100質量部に対して8質量部より多く、15質量部以下含まれていることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. 前記25℃における粘度が3000mPa・s以下の2官能エポキシ樹脂が、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルo−トルイジン、レゾルシノール型エポキシ樹脂、および脂環式エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. (d)内部離型剤が、25℃で液状の脂肪酸エステル系離型剤である、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させた硬化物と、強化繊維を含んでなる繊維強化複合材料。
  5. 前記強化繊維が炭素繊維である、請求項4に記載の繊維強化複合材料。
  6. 引き抜き成形により得られたものである、請求項4または5に記載の繊維強化複合材料。
  7. 請求項4〜6に記載の繊維強化複合材料を有してなる釣竿穂先。
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