JP7198022B2 - 燃料電池車搭載用高圧水素貯蔵用タンクおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、補強繊維束に熱硬化性樹脂組成物を含浸させ、その表面近傍にエラストマー及び/または熱硬化性樹脂を偏在させたヤーンプリプレグを用いたガスボンベおよびその製造方法が開示されている。本技術も例示されている工法はウエット工法であり、ヤーンプリプレグの貯蔵安定性については何らの記載もない。
前記熱硬化性樹脂組成物(A)は、下記成分(A-1)、(A-2)、(A-3)及び(A-4)の4成分を必須成分として含み、前記4成分の合計を100重量部としたとき、それぞれの配合比(重量比)が(A-1)/(A-2)/(A-3)/(A-4)として、80.0~85.0/4.5~5.5/2.5~3.5/9.0~11.0であること、かつ固体成分である(A-2)及び(A-3)が熱硬化性組成物中に分散され、25μm以上の凝集物又は固形分を含まないこと、
(A-1)液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂20~15重量部に対し、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂80~85重量部から構成され、25℃における粘度が4000~8000mPa・sである液状エポキシ樹脂
(A-2)ジシアンジアミド
(A-3)下記式(1)および/または(2)で表される硬化促進剤、
(A-4)粒子状のコアシェル型ゴム、及び、前記炭素繊維束(B)は、1万~5万本の平均直径が5~8μmである炭素繊維から構成されることを特徴とする高圧水素タンクである。
本明細書において、熱硬化性樹脂組成物(A)は、その構成要素としてエポキシ樹脂(A-1)、潜在性硬化剤(A-2)、硬化促進剤を(A-3)、補強材を(A-4)を必須成分として含む。また本発明の高圧水素タンクにおける補強層は熱硬化性樹脂組成物(A)と炭素繊維束(B)からなる。以下、熱硬化性樹脂組成物(A)、エポキシ樹脂(A-1)、潜在性硬化剤(A-2)、硬化促進剤(A-3)、補強材(A-4)、炭素繊維束(B)をそれぞれ(A)成分、(A-1)成分、(A-2)成分、(A-3)成分、(A-4)成分、(B)成分ともいう。また(A)成分を(B)成分に含浸させテープ状としたプリプレグをトゥプリプレグともいう。
この粘度は、25℃におけるE型粘度計(コーンプレートタイプ)を使用して測定した粘度である。(A-1)成分の粘度が4000mPa・s未満であるとトゥプリプレグ生産時の通糸時や巻き取り時の液だれを起こしやすく、またフィラメントワインディング時に巻きずれ等があり好ましくない。8000mPa・sを超える場合、炭素繊維への含浸時に十分に含浸することができず、またフィラメントワインディング時にボイドが発生し易くなる。好ましくは4000mPa・s~6000mPa・sである。
(A-1)成分
・液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂:YDF-170(新日鉄住金化学株式会社製)
(エポキシ当量160~180g/eq,粘度2000mPa・s~5000mPa・s)
・液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂:(A-4)成分のエポキシマスターバッチ
(A-2)成分
・ジシアンジアミド:DICYANEX1400F(AIRPRODUCT社製)
(A-3)成分
・2MZA-PW(四国化成工業製) 2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-
メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン
・2MAOK-PW(四国化成工業製) 2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’
-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物
(A-4)成分
・MX-154(株式会社カネカ製):エポキシマスターバッチ
(コアシェルゴム配合量40wt%、BPA型エポキシ樹脂配合量60wt%、平均粒径
100nm、株式会社カネカ製)
その他硬化剤(A-2’)成分
・ジエチルメチルベンゼンジアミン:エタキュア100(Albemarle社製、室温液状)
・T720SC-36000-50C:東レ株式会社製(直径6μm、密度1.8g/cm3、本数36000、繊度1650TEX)
既知のトゥプリプレグ作製装置を用い、上記原料を配合して得られた(A)成分を炭素繊維束(B)に、(A)成分の含有量を20~30wt%になるように塗布調整し作製する。
最初に口金を取り付けたライナーを用意する。次に上記作製したトゥプリプレグをフィラメントワインディング法にて、ライナーにフープ巻、低角度、高角度のヘリカル巻きを用いて巻回する。
その後、トゥプリプレグを加熱炉にて硬化させる。加熱炉内にて加熱しエポキシ樹脂を熱硬化させ、ライナー外表面に補強層としての繊維強化プラスチック層を形成する。
作製したタンクの構成を図1に示す。高圧タンク(10)は、最内層の樹脂製ライナー(12)、口金(14,16)、繊維強化プラスチック層(40) からなる。口金は、ライナーの長手方向の両端に設けられている。ライナーは、ナイロン系樹脂など水素ガスに対してバリア性の樹脂を成形して構成されている。強化プラスチック層(40)は、ライナーと口金の外表面に形成されている。繊維強化プラスチック層は、フィラメントワインディング法によって、トウプリプレグをライナーと口金に巻回されて形成されている。
(1)硬化剤、硬化促進剤凝集物の有無:
JIS K 5600-2に準拠し、グラインドゲージ(粒度ゲージ)を用いて、25μm以上の固体の硬化剤、硬化促進剤の凝集物の存在の有無を評価した。
(2)トゥプリプレグの貯蔵安定性:
23℃、50%RHに調整された恒温恒湿槽に48時間保管したトゥプリプレグを用い、手触りにてタック性の有無を評価し、タックがあるものを○、無いものを×とした。
(3)高圧水素タンクの試験:
容器保安規則、国際圧縮水素自動車燃料装置用容器の技術基準の解釈に準じ、下記試験を行った。
初期破裂試験:判定基準 157.5MPa以上を合格(○)とし、未満を不合格(×)とした。
常温圧力サイクル試験2Ma⇔87.5MPa
判定基準:22000回以上 破裂無きことを合格(○)とし、未満を不合格(×)とした。
YDF-170の一部(3割)、DICYANEX、2MZA-PW、2MAOK-PWをディスパー(高速分散機)を用いて混合後に、3本ロールミルを用いて予備分散物(マスターバッチ)を作成した後、各成分が表1記載の材料、配合比となるよう残分(7割)のYDF-170、MX-154を投入し、50Lのプラネタリーミキサー(遊星式混練機)に投入し、上限温度が50℃を超えないように外部から水冷を行いながら、1時間混練し熱硬化性樹脂組成物(A-a)を得た。
YDF-170、エタキュア100、MX-154成分を表1記載の材料、配合比となるよう、50Lのプラネタリーミキサーに投入し、上限温度が50℃を超えないように外部から水冷を行いながら、1時間混練し熱硬化性樹脂組成物(A-b)を得た。
配合例1で得られた熱硬化性樹脂組成物(A-a)を炭素繊維束T720SC-36000-50Cに塗布、含浸させ、トゥプリプレグを得た後、フィラメントワインディング法により口金を取り付けたナイロン製ライナーに巻き付け、加熱炉に投入し、120℃60分+160℃60分硬化を行い、CFRP補強層を有する高圧水素タンクを得た。DICYANEXの中位粒径D50は2.5μm、2MZA-PWのD50は4.2μm、2MAOK-PWのD50は3.0μmであった。また得られたトゥプリプレグ中の熱硬化性樹脂組成物(A-a)含有量は25重量%であった。
配合例1において、DICYANEX、2MZA-PW、2MAOK-PWの3種の成分を事前に混合した後、微粉砕した(D50が1.2μm)ものを用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、トゥプリプレグ、高圧水素タンクを得た。
予備分散を行うことなく、表1の配合例1と同様の配合比にてプラネタリーミキサーのみで混練し、熱硬化性樹脂組成物(A)を得たこと以外は実施例1と同様の方法で、トゥプリプレグ、高圧水素タンクを得た。
熱硬化性樹脂組成物として、配合例2に記載の熱硬化性樹脂組成物(A-b)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で、トゥプリプレグ、高圧水素タンクを得た。
硬化温度を130℃2時間としたこと以外は、実施例1と同様の方法にて熱硬化性樹脂組成物(A)、トゥプリプレグ、高圧水素タンクを得た。
トゥプリプレグを製造する際に(A)成分の塗布、含浸量を調整し、(A)成分含有量を18重量%としたこと以外は、実施例1と同様の方法にて高圧水素タンクを得た。
トゥプリプレグを製造する際に(A)成分の塗布、含浸量を調整し、(A)成分含有量を40重量%としたこと以外は、実施例1と同様の方法にて高圧水素タンクを得た。
Claims (2)
- 密閉可能なプラスチック製の中空容器の外表面に補強層を備えた燃料電池車搭載用の高圧水素タンクであって、
前記補強層は、前記中空容器の外表面に、熱硬化性樹脂組成物(A)と炭素繊維束(B)の重量比(A):(B)が20~30:80~70であるテープ状のプリプレグが巻き付けられて形成されたプリプレグ層を、140℃以上の温度で硬化させて形成した層であり、
前記熱硬化性樹脂組成物(A)は、下記成分(A-1)、(A-2)、(A-3)及び(A-4)の4成分を必須成分として含み、前記4成分の合計を100重量部としたとき、それぞれの配合比(重量比)が(A-1)/(A-2)/(A-3)/(A-4)として、80.0~85.0/4.5~5.5/2.5~3.5/9.0~11.0であること、かつ固体成分である(A-2)及び(A-3)が熱硬化性組成物中に分散され、25μm以上の凝集物又は固形分を含まないこと、
(A-1)液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂20~15重量部に対し、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂80~85重量部から構成され、25℃における粘度が4000~8000mPa・sである液状エポキシ樹脂
(A-2)ジシアンジアミド
(A-3)下記式(1)および/または(2)で表される硬化促進剤、
前記炭素繊維束(B)は、1万~5万本の平均直径が5~8μmである炭素繊維から構成されることを特徴とする高圧水素タンク。 - 密閉可能なプラスチック製中空容器の外表面に補強層を備えた燃料電池車搭載用高圧水素タンクの製造方法であって、前記中空容器の外表面に、あらかじめ硬化前の熱硬化性樹脂組成物(A)が炭素繊維束(B)に、(A)20~30重量%、(B)80~70重量%の比率で含浸されたテープ状のプリプレグを巻き付けた後に、140℃以上の温度で硬化、固定化して補強層を形成し、前記補強層を構成する熱硬化性樹脂組成物(A)および炭素繊維束(B)が下記要件を満足することを特徴とする燃料電池車搭載用高圧水素タンクの製造方法。
(A)下記(A-1)、(A-2)、(A-3)、(A-4)の4種の必須成分からなり、(A-1)/(A-2)/(A-3)/(A-4)の配合比が80.0~85.0/4.5~5.5/2.5~3.5/9.0~11.0(重量%、4成分の配合比合計が100重量%)であり、かつ固体成分である(A-2)、(A-3)を組成物中に分散する工程を含み、25μm以上の凝集物を含まないように固形分が分散された熱硬化性樹脂組成物、
(A-1)液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂および液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂から構成され、その混合比がビスフェノールA型エポキシ樹脂20~15重量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が80~85重量部であり、25℃における粘度が4000~8000mPa・sであるエポキシ樹脂
(A-2)ジシアンジアミド
(A-3)化合物(1)および/または(2)
(A4)粒子状のコアシェル型ゴム、
(B)炭素繊維の平均直径が5~8μmであり、1万~5万本の前記炭素繊維から構成される炭素繊維束。
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