JP2011088857A - キヌクリジン類の製造法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンのシス−トランス異性体混合物にp−ニトロ安息香酸を反応させ、次いで分割してシス型2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンp−ニトロ安息香酸塩を得、次いでこれを塩酸塩に変換することを特徴とするシス型2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジン塩酸塩の製造法。
【選択図】なし
Description
従って、本発明は、環境負荷が小さく、かつ工業的に有利なcis−QMFの製造法を提供することを課題とする。
(1)2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンのシス−トランス異性体混合物にp−ニトロ安息香酸を反応させ、次いで分割してシス型2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンp−ニトロ安息香酸塩を得、次いでこれを塩酸塩に変換することを特徴とするシス型2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジン塩酸塩の製造法。
(2)2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンのシス−トランス異性体混合物にp−ニトロ安息香酸を反応させて2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンp−ニトロ安息香酸塩のシス−トランス異性体混合物を得、これを分割してシス型2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンp−ニトロ安息香酸塩を得るものである(1)記載の製造法。
(3)2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンのシス−トランス異性体混合物の硫酸水溶液にp−ニトロ安息香酸及び水酸化ナトリウムを反応させてシス型2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンp−ニトロ安息香酸塩を晶析させるものである(1)記載の製造法。
(4)前記2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンのシス−トランス異性体混合物が、水溶媒中、酸触媒の存在下に、3−ヒドロキシ−3−メルカプトメチルキヌクリジンにアルデヒドを反応させて得られたものである(1)〜(3)のいずれかに記載の製造法。
(5)前記分割によりトランス型2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンを得、これを異性化して2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンのシス−トランス混合物とし、これを原料として用いる工程を含むものである(1)〜(4)のいずれかに記載の製造法。
(6)異性化反応が、トランス型2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンに、有機溶媒中、(a)三フッ化ホウ素・エーテル錯体とp−ニトロ安息香酸、又は(b)塩酸若しくは臭化水素酸とアルデヒドを反応させるものである(5)記載の製造法。
(7)前記2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンのシス−トランス異性体混合物が、有機溶媒溶液又は硫酸水溶液として用いられる(1)〜(6)のいずれかに記載の製造法。
(8)水溶媒中、酸触媒の存在下に、3−ヒドロキシ−3−メルカプトメチルキヌクリジンにアルデヒドを反応させることを特徴とする2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンのシス−トランス異性体混合物の製造法。
(9)トランス型2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンに、有機溶媒中、(a)三フッ化ホウ素・エーテル錯体とp−ニトロ安息香酸、又は(b)塩酸若しくは臭化水素酸とアルデヒドを反応させることを特徴とする2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンのシス−トランス混合物の製造法。
(10)シス型2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンp−ニトロ安息香酸塩。
(11)シス型2−メチルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンp−ニトロ安息香酸塩。
本発明はQHTからQMFシス−トランス混合物を得る工程、p−ニトロ安息香酸による分割工程及び分割したろ液中のtrans−QMFをQMFシス−トランス混合物に異性化し再利用する工程からなっており、上記一連の工程は高収率で進行し、水溶媒系で行えるため、環境負荷が小さく、かつ工業的に有利にcis−QMFが得られる。
以下、各工程毎に説明する。
本工程は、水溶媒中、酸触媒の存在下、QHTにアルデヒドを反応させてQMFのシス−トランス異性体混合物を得る工程である。
本工程は、QMFシス−トランス異性体混合物にp−ニトロ安息香酸を反応させ、次いでシス体とトランス体を分割してcis−QMF・p−ニトロ安息香酸塩(cis−QMF・PNB)を得る工程である。この工程によれば、p−ニトロ安息香酸を用いることにより、QMFシス−トランス異性体混合物からcis−QMFが効率良く分割できる。
前記原料を添加した後、加熱して全ての原料を溶解し、熟成後、徐々に冷却すれば、cis−QMF・p−ニトロ安息香酸塩が選択的に晶析する。溶解温度付近でcis−QMF・p−ニトロ安息香酸塩の種晶を添加してもよい。析出した結晶は、ろ過、水洗、乾燥等により単離することができる。
本工程は、cis−QMF・p−ニトロ安息香酸塩をcis−QMF塩酸塩に変換する工程である。この反応は、cis−QMF・p−ニトロ安息香酸塩を、アルカリ処理後塩酸、塩化水素等を反応させることにより行うことができる。アルカリ処理は例えば水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等を、cis−QMF・p−ニトロ安息香酸塩に対して1当量以上添加すればよい。次に、塩酸/アルコールを添加してcis−QMF塩酸塩を析出させることにより行うことができる。また、cis−QMF塩酸塩は、水分調整によりcis−QMF塩酸塩1/2水和物等の水和物とすることもできる。
本工程は、前記分割工程で分離したcis−QMF・p−ニトロ安息香酸塩の残分であるtrans−QMFを異性化してQMFのシス−トランス混合物とする工程である。この異性化工程は、trans−QMFに、有機溶媒中、(a)三フッ化ホウ素・エーテル錯体とp−ニトロ安息香酸を反応させるか、あるいは(b)塩酸又は臭化水素酸とアルデヒドを反応させることにより行われる。異性化工程の原料であるtrans−QMFは、前記のcis−QMF・p−ニトロ安息香酸塩を分割した残部から、トルエン、キシレン等の有機溶媒により抽出することにより得ることができる。
(1)撹拌機、温度計を備えた100mL3つ口コルベンにQHT 10.0gと水20mLを加え、10〜15℃に冷却した。パラアルデヒド7.63g及び48%臭化水素酸水溶液48.6gを滴下後、40℃に昇温し同温度で20時間撹拌した。反応液を25℃に冷却しトルエン42mLを加え分液した。水層に再度、トルエン42mLを加え分液後、分離した水層を10〜15℃に冷却した。28%水酸化ナトリウム水溶液33mLを加え強アルカリにした後、トルエン84mLで抽出・分液した。トルエン層に水16.8mLを加え分液し、分離したトルエン層に活性炭0.84gを加え撹拌後、活性炭をろ過した。ろ別した活性炭はトルエン16.8mLで洗浄した。ろ液にp−ニトロ安息香酸7.19gを加え撹拌し、p−ニトロ安息香酸塩として析出した結晶を加熱溶解させた。徐冷により結晶を析出させた後、ヘキサン50mLを加え10〜15℃で2時間撹拌した。析出結晶をろ過後、ヘキサン34mLで洗浄し、ろ別した結晶を減圧下加熱乾燥することによりQMB(シス体、トランス体のp−ニトロ安息香酸塩の混合物)15.71gを得た。なお、得られた混合物のシス体、トランス体比率を液体クロマトグラフィーで分析した結果、シス体/トランス体=57.5/42.5であった。
(1)撹拌機、温度計を備えた10L 4つ口コルベンにQHT 500gと水500mLを加え、10〜15℃に冷却した。パラアルデヒド381.3g及び48%臭化水素酸水溶液1945.6gを滴下後、20〜30℃に昇温し同温度で5時間撹拌した。反応液を10〜15℃に冷却し、28%水酸化ナトリウム水溶液1350mLを加え強アルカリにした後、トルエン3750mLで抽出・分液した。トルエン層に水1500mLを加え分液し、分離したトルエン層に10%硫酸水溶液1040mLを加え撹拌後、分液した。分離したトルエン層に再度、10%硫酸水溶液100mLを加え撹拌後、分液した。全ての硫酸水層を併せ、QMF/硫酸水溶液(シス体、トランス体混合物の硫酸水溶液)として得た。
(1)実施例2(2)で得られたろ液2099.2g(シス体/トランス体=22.3/77.7 含量:QMFとして222.2g)に28%水酸化ナトリウム水溶液131mLを加え、強アルカリにした後、トルエン2043mLで2回抽出した。トルエン層に水817mLを加え分液し、分離したトルエン層に活性炭40.9gを加え撹拌後、活性炭をろ過した。ろ別した活性炭はトルエン409mLで洗浄後、ろ液にp−ニトロ安息香酸186.3gを加え撹拌した。反応系内を窒素雰囲気下とした後、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体553.9gを加え、40℃に加温後1.5時間撹拌した。反応液を10〜15℃に冷却後、水817mL及び28%水酸化ナトリウム水溶液1021mLを加え、強アルカリにした後、析出不溶物をろ過し、残渣をトルエン817mLで洗浄した。ろ液を分液し、トルエン層を水817mLで水洗後、トルエン層に活性炭39.5gを加え撹拌した。ろ過後、ろ別した活性炭はトルエン395mLで洗浄した。ろ液に10%硫酸水溶液513mLを加え撹拌後、分液した。分離したトルエン層に再度、10%硫酸水溶液79mLを加え撹拌後、分液した。全ての硫酸水層を併せ、QMF/硫酸水溶液(シス体/トランス体=50.3/49.7)として定量的に得た。
実施例2(2)で得られたろ液213.8g(シス体/トランス体=24.4/75.6 含量:QMFとして24.4g)に28%水酸化ナトリウム水溶液14mLを加え、強アルカリにした後、トルエン224mLで抽出した。トルエン層に水45mLを加え分液し、分離したトルエン層に活性炭2.24gを加え撹拌後、活性炭をろ過した。ろ別した活性炭はトルエン45mLで洗浄した。ろ液を0〜10℃に冷却後、パラアルデヒド47.9g及び35%塩酸水溶液69.2gを加え同温度で15時間撹拌した。反応液に28%水酸化ナトリウム水溶液74.5mLを加え、強アルカリにした後、20〜30℃に昇温後、分液した。トルエン層を水45mLで水洗後、10%硫酸水溶液55.3mLを加え撹拌後、分液した。分離したトルエン層に再度、10%硫酸水溶液5.2mLを加え撹拌後、分液した。全ての硫酸水層を併せ、QMF/硫酸水溶液(シス体/トランス体=51.2/48.8含量:QMFとして22.9g)として得た。
実施例3で得られたQCB−2 200.0gに水1000mL及び28%水酸化ナトリウム水溶液66mLを加え、強アルカリにした後、n−ヘキサン1000mLで4回抽出した。抽出したn−ヘキサン層に1mol/L水酸化ナトリウム水溶液200mLを加え分液後、次いで水200mLで水洗し、分液した。n−ヘキサン層に無水硫酸ナトリウム100g及び活性炭10gを加え撹拌後、ろ過し残渣をn−ヘキサン800mLで洗浄した。窒素雰囲気下、ろ液を10〜15℃に冷却後、7%塩酸/2−プロパノール溶液284.3gを滴下し、塩酸塩として析出した後、同温度で2時間撹拌した。析出結晶をろ過後、n−ヘキサン/2−プロパノール混合溶液(9/1容積比)400mLで洗浄し、ろ別した結晶を減圧下加熱乾燥した。乾燥した結晶を飽和炭酸カリウム水溶液で調湿した雰囲気下に放置することにより水和化し、塩酸セビメリン水和物117.7gを得た。
実施例4で得られたQMF/硫酸水溶液にp−ニトロ安息香酸9.8g及び28%水酸化ナトリウム8.3mLを加え撹拌した。p−ニトロ安息香酸塩として析出した結晶を加熱溶解後、徐冷した。溶解温度付近で種晶を添加し結晶を析出させ10〜15℃で2時間撹拌した。析出結晶をろ過後、水22.4mLで洗浄し、ろ別した結晶を減圧下加熱乾燥することによりQCB(シス体に富化したシス体、トランス体のp−ニトロ安息香酸塩の混合物)17.1gを得た。なお、得られた混合物のシス体、トランス体比率を液体クロマトグラフィーで分析した結果、シス体/トランス体=88.5/11.5であった。
Claims (17)
- 2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンのシス−トランス異性体混合物にp−ニトロ安息香酸を反応させ、次いで分割してシス型2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンp−ニトロ安息香酸塩を得、次いでこれを塩酸塩に変換することを特徴とするシス型2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジン塩酸塩の製造法。
- 2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンのシス−トランス異性体混合物にp−ニトロ安息香酸を反応させて2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンp−ニトロ安息香酸塩のシス−トランス異性体混合物を得、これを分割してシス型2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンp−ニトロ安息香酸塩を得るものである請求項1記載の製造法。
- 2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンのシス−トランス異性体混合物の硫酸水溶液にp−ニトロ安息香酸及び水酸化ナトリウムを反応させてシス型2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンp−ニトロ安息香酸塩を晶析させるものである請求項1記載の製造法。
- 前記2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンのシス−トランス異性体混合物が、水溶媒中、酸触媒の存在下に、3−ヒドロキシ−3−メルカプトメチルキヌクリジンにアルデヒドを反応させて得られたものである請求項1〜3のいずれか1項記載の製造法。
- 酸触媒が、臭化水素酸、塩酸、硫酸又は過塩素酸である請求項4記載の製造法。
- 酸触媒が、臭化水素酸である請求項4記載の製造法。
- 前記分割によりトランス型2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンを得、これを異性化して2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンのシス−トランス混合物とし、これを原料として用いる工程を含むものである請求項1〜6のいずれか1項記載の製造法。
- 異性化反応が、トランス型2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンに、有機溶媒中、(a)三フッ化ホウ素・エーテル錯体とp−ニトロ安息香酸、又は(b)塩酸若しくは臭化水素酸とアルデヒドを反応させるものである請求項7記載の製造法。
- 前記2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンのシス−トランス異性体混合物が、有機溶媒溶液又は硫酸水溶液として用いられる請求項1〜8のいずれか1項記載の製造法。
- アルデヒドが、アセトアルデヒド又はパラアルデヒドである請求項4〜9のいずれか1項記載の製造法。
- 水溶媒中、酸触媒の存在下に、3−ヒドロキシ−3−メルカプトメチルキヌクリジンにアルデヒドを反応させることを特徴とする2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンのシス−トランス異性体混合物の製造法。
- 酸触媒が、臭化水素酸、塩酸、硫酸又は過塩素酸である請求項11記載の製造法。
- 酸触媒が、臭化水素酸である請求項11記載の製造法。
- アルデヒドが、アセトアルデヒド又はパラアルデヒドである請求項11記載の製造法。
- トランス型2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンに、有機溶媒中、(a)三フッ化ホウ素・エーテル錯体とp−ニトロ安息香酸、又は(b)塩酸若しくは臭化水素酸とアルデヒドを反応させることを特徴とする2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンのシス−トランス混合物の製造法。
- シス型2−アルキルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンp−ニトロ安息香酸塩。
- シス型2−メチルスピロ(1,3−オキサチオラン−5,3’)キヌクリジンp−ニトロ安息香酸塩。
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