JP6106119B2 - 共役二重結合を有する塩化炭化水素を製造する方法 - Google Patents
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Description
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、安価かつ立体選択的に共役二重結合を有するアルコールを塩素化し、共役二重結合を有する塩化炭化水素を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、下記一般式(1):
RCH=CHCH=CH−Z−OH (1)
(上式中、Rは、水素原子、又は二重結合もしくは三重結合を有しても良い炭素数1〜17の直鎖状、分岐鎖状又は環状の一価炭化水素基を示し、Zは、二重結合もしくは三重結合を有しても良い炭素数1〜17の直鎖状、分岐鎖状又は環状の二価炭化水素基を示す。但し、Zが、二重結合もしくは三重結合を有するときは参考例とする。)
で示される共役二重結合を有するアルコールを、該アルコールの塩素化のための金属塩を用いることなく、溶媒中、塩基の存在下、塩素化剤により塩素化し、共役二重結合を有する塩化炭化水素を製造する方法であって、前記塩素化剤が、スルホン酸塩化物であり、前記塩基が、ピリジン類である共役二重結合を有する塩化炭化水素の製造方法を提供する。
一般式(1)で表される化合物は、二重結合のシス−トスランス異性体が存在し、下記一般式(3)〜(6)で示される共役二重結合を有するアルコールが存在し得る。一般式(1)で示される化合物は、一般式(3)〜(6)からなる群から選ばれる異性体から選ばれる1種以上であり、幾何異性体として純粋ないずれか1種であってもよいし、2〜4種の幾何異性体の混合物であってもよく、通常は一般式(3)〜(6)で示される4種類の幾何異性体の混合物であり、次に示すように一般式(7)〜(10)で示される塩化炭化水素が得られる。
Rは、二重結合や三重結合を有しない場合、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基等の直鎖状の炭化水素基、イソプロピル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基等の分岐鎖状炭化水素基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の環状炭化水素基が挙げられる。また、Rは、二重結合を有する場合、例えば、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基、ノネニル基、ヘキサジエニル基、ヘプタジエニル基、ノナジエニル基、ノナトリエニル基、ウンデカトリエニル基、ドデカテトラエニル基等の1〜4個の二重結合を有する炭化水素基が挙げられる。また、Rは、三重結合を有する場合、例えば、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等の三重結合を有する炭化水素基が挙げられる。
Zは、二重結合や三重結合を有しない場合、例えば、メチレン基、エチレン基、へキシレン基、デシレン基、テトラデシレン基等直鎖状のアルキレン基、メチルエチレン基、1−メチルプロピレン基等分岐鎖状アルキレン基、シクロプロピレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基等のシクロアルキレン基が挙げられる。また、Zは、二重結合を有する場合、例えば、ビニレン基、アリレン基、ヘキセニレン基、ノネニレン基、ヘキサジエニレン基、ヘプタジエニレン基、ノナジエニレン基、ノナトリエニレン基、ウンデカトリエニレン基、ドデカテトラエニレン基等の1〜4個の二重結合を有する不飽和アルキレン基が挙げられる。また、Rは、三重結合を有する場合、例えば、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基等の三重結合を有する炭化水素基が挙げられる。
実施例1
反応器に(E,Z)体を主成分とする7,9−ドデカジエン−1−オール(EZ/EE/(ZE+ZZ)=84.6/14.2/1.2、36.46g、0.200mol)、ピリジン(28.48g、0.360mol)、N,N−ジメチルホルムアミド(60g)を添加し5〜10℃で30分間撹拌した。撹拌後、メタンスルホニルクロリド(32.07g、0.280mol)を5〜15℃にて滴下して、滴下終了後、60〜65℃にて2時間撹拌した。その後、反応液は水(100g)を添加することで反応を停止した。ヘキサン(100g)を添加して得られた反応液を分液した後、有機層は塩酸、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、減圧下で溶媒を除去濃縮して残渣を減圧蒸留すると、(E,Z)体を主成分とする1−クロロ−7,9−ドデカジエン(EZ/EE/(ZE+ZZ)=83.4/14.6/2.0、35.14g、0.175mol)が収率87.7%で得られ、共役二重結合の異性化は1%程度に抑えられた。なお、構造は核磁気共鳴スペクトル及びマススペクトルで決定した。
反応器に(E,Z)体を主成分とする7,9−ドデカジエン−1−オール(EZ/EE/(ZE+ZZ)=84.6/14.2/1.2、36.46g、0.200mol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(46.53g、0.360mol)、N,N−ジメチルホルムアミド(60g)を添加し5〜10℃で30分間撹拌した。撹拌後、メタンスルホニルクロリド(32.07g、0.280mol)を5〜15℃にて滴下して、滴下終了後、60〜65℃にて2時間撹拌した。その後、反応液は水(100g)を添加することで反応を停止した。ヘキサン(100g)を添加して得られた反応液を分液した後、有機層は塩酸、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、減圧下で溶媒を除去濃縮して残渣を減圧蒸留すると、(E,Z)体を主成分とする1−クロロ−7,9−ドデカジエン(EZ/EE/(ZE+ZZ)=76.1/20.2/3.7、32.31g、0.161mol)が収率80.4%で得られ、共役二重結合の異性化は8%程度に抑えられた。なお、構造は核磁気共鳴スペクトル及びマススペクトルで決定した。
反応器に(E,Z)体を主成分とする7,9−ドデカジエン−1−オール(EZ/EE/(ZE+ZZ)=84.6/14.2/1.2、36.46g、0.200mol)、N,N-ジメチルアニリン(43.62g、0.360mol)、N,N−ジメチルホルムアミド(60g)を添加し5〜10℃で30分間撹拌した。撹拌後、メタンスルホニルクロリド(32.07g、0.280mol)を5〜15℃にて滴下して、滴下終了後、60〜65℃にて2時間撹拌した。その後、反応液は水(100g)を添加することで反応を停止した。ヘキサン(100g)を添加して得られた反応液を分液した後、有機層は塩酸、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、減圧下で溶媒を除去濃縮して残渣を減圧蒸留すると、(E,Z)体を主成分とする1−クロロ−7,9−ドデカジエン(EZ/EE/(ZE+ZZ)=75.4/21.1/3.5、31.85g、0.159mol)が収率79.3%で得られ、共役二重結合の異性化は9%程度に抑えられた。なお、構造は核磁気共鳴スペクトル及びマススペクトルで決定した。
反応器に(E,Z)体を主成分とする7,9−ドデカジエン−1−オール(EZ/EE/(ZE+ZZ)=84.6/14.2/1.2、36.46g、0.200mol)、トリブチルアミン(68.09g、0.360mol)、N,N−ジメチルホルムアミド(60g)を添加し5〜10℃で30分間撹拌した。撹拌後、メタンスルホニルクロリド(32.07g、0.280mol)を5〜15℃にて滴下して、滴下終了後、60〜65℃にて2時間撹拌した。その後、反応液は水(100g)を添加することで反応を停止した。ヘキサン(100g)を添加して得られた反応液を分液した後、有機層は塩酸、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、減圧下で溶媒を除去濃縮して残渣を減圧蒸留すると、(E,Z)体を主成分とする1−クロロ−7,9−ドデカジエン(EZ/EE/(ZE+ZZ)=78.1/18.5/3.4、31.73g、0.158mol)が収率79.2%で得られ、共役二重結合の異性化は7%程度に抑えられた。なお、構造は核磁気共鳴スペクトル及びマススペクトルで決定した。
反応器に(E,Z)体を主成分とする7,9−ドデカジエン−1−オール(EZ/EE/(ZE+ZZ)=84.6/14.2/1.2、36.46g、0.200mol)、トリエチルアミン(36.43g、0.360mol)、N,N−ジメチルホルムアミド(60g)を添加し5〜10℃で30分間撹拌した。撹拌後、メタンスルホニルクロリド(32.07g、0.280mol)を5〜15℃にて滴下して、滴下終了後、60〜65℃にて8時間撹拌した。その後、反応液は水(100g)を添加することで反応を停止した。ヘキサン(100g)を添加して得られた反応液を分液した後、有機層は塩酸、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、減圧下で溶媒を除去濃縮して残渣を減圧蒸留すると、((E,Z)体を主成分とする1−クロロ−7,9−ドデカジエン(EZ/EE/(ZE+ZZ)=78.0/18.4/3.6、17.34g、0.0864mol)が収率43.2%で得られ、共役二重結合の異性化は7%程度に抑えられた。なお、構造は核磁気共鳴スペクトル及びマススペクトルで決定した。
反応器に(E,Z)体を主成分とする7,9−ドデカジエン−1−オール(EZ/EE/(ZE+ZZ)=84.6/14.2/1.2、36.46g、0.200mol)、ピリジン(28.48g、0.360mol)、N,N−ジメチルホルムアミド(60g)を添加し5〜10℃で30分間撹拌した。撹拌後、p−トルエンスルホニルクロリド(53.38g、0.280mol)を5〜15℃にて滴下して、滴下終了後、60〜65℃にて2時間撹拌した。その後、反応液は水(100g)を添加することで反応を停止した。ヘキサン(100g)を添加して得られた反応液を分液した後、有機層は塩酸、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、減圧下で溶媒を除去濃縮して残渣を減圧蒸留すると、(E,Z)体を主成分とする1−クロロ−7,9−ドデカジエン(EZ/EE/(ZE+ZZ)=83.1/15.0/1.9、33.57g、0.167mol)が収率83.6%で得られ、共役二重結合の異性化は2%程度に抑えられた。なお、構造は核磁気共鳴スペクトル及びマススペクトルで決定した。
反応器に(E,Z)体を主成分とする7,9−ドデカジエン−1−オール(EZ/EE/(ZE+ZZ)=84.6/14.2/1.2、36.46g、0.200mol)、ピリジン(28.48g、0.360mol)、N,N−ジメチルホルムアミド(60g)を添加し5〜10℃で30分間撹拌した。撹拌後、ベンゼンスルホニルクロリド(49.45g、0.280mol)を5〜15℃にて滴下して、滴下終了後、60〜65℃にて2時間撹拌した。その後、反応液は水(100g)を添加することで反応を停止した。ヘキサン(100g)を添加して得られた反応液を分液した後、有機層は塩酸、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、減圧下で溶媒を除去濃縮して残渣を減圧蒸留すると、(E,Z)体を主成分とする1−クロロ−7,9−ドデカジエン(EZ/EE/(ZE+ZZ)=84.3/14.1/1.6、31.26g、0.156mol)が収率77.9%で得られ、共役二重結合の異性化は0.5%程度に抑えられた。なお、構造は核磁気共鳴スペクトル及びマススペクトルで決定した。
反応器に(Z,E)体を主成分とする9,11−テトラデカジエン−1−オール(ZE/EE/(EZ+ZZ)=87.5/11.8/0.7、42.07g、0.200mol)、ピリジン(28.48g、0.360mol)、N,N−ジメチルホルムアミド(60g)を添加し5〜10℃で30分間撹拌した。撹拌後、メタンスルホニルクロリド(32.07g、0.280mol)を5〜15℃にて滴下して、滴下終了後、60〜65℃にて2時間撹拌した。その後、反応液は水(100g)を添加することで反応を停止した。ヘキサン(100g)を添加して得られた反応液を分液した後、有機層は塩酸、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、減圧下で溶媒を除去濃縮して残渣を減圧蒸留すると、(Z,E)体を主成分とする1−クロロ−9,11−テトラデカジエン(ZE/EE/(EZ+ZZ)=85.4/12.9/1.7、41.14g、0.180mol)が収率89.9%で得られ、共役二重結合の異性化は2%程度に抑えられた。
〔核磁気共鳴スペクトル〕1H−NMR(300MHz,CDCl3):δ1.02(3H,t),1.28−1.46(10H,m),1.76(2H,tt),2.08−2.20(4H,m),3.53(2H,t),5.30(1H,dt),5.70(1H,dt),5.95(1H,dd),6.30(1H,dd);13C−NMR(75.6MHz,CDCl3):δ13.20,25.32,26.28,27.04,28.25,28.53,28.73,29,08,32.07,44.51,124.08,128.09,128.82,135.45
〔マススペクトル〕EI−マススペクトル(70eV):m/z 228(M+),95,82,67,55,41,29
反応器に(E,E)体を主成分とする8,10−ドデカジエン−1−オール(EE/(ZE+EZ+ZZ)=95.3/4.7、36.46g、0.200mol)、ピリジン(28.48g、0.360mol)、N,N−ジメチルホルムアミド(60g)を添加し5〜10℃で30分間撹拌した。撹拌後、メタンスルホニルクロリド(32.07g、0.280mol)を5〜15℃にて滴下して、滴下終了後、60〜65℃にて2時間撹拌した。その後、反応液は水(100g)を添加することで反応を停止した。ヘキサン(100g)を添加して得られた反応液を分液した後、有機層は塩酸、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、減圧下で溶媒を除去濃縮して残渣を減圧蒸留すると、(E,E)体を主成分とする1−クロロ−8,10−ドデカジエン(EE/(ZE+EZ+ZZ)=96.3/3.7、35.72g、0.178mol)が収率88.9%で得られ、共役二重結合の異性化は1%程度に抑えられた。
〔核磁気共鳴スペクトル〕1H−NMR(300MHz,CDCl3):δ1.31(3H,t),1.32−1.48(6H,m),1.71−1.80(4H,m),2.04(2H,dt),3.52(2H,t),5.50−5.62(2H,m),5.95−6.70(2H,m);13C−NMR(75.6MHz,CDCl3):δ17.97,26.80,28.71,28.94,29.27,32.46,32.59,45.09,126.72,130.31,131.65,131.92
〔マススペクトル〕EI−マススペクトル(70eV):m/z 200(M+),95,81,68,55,41,27
反応器に(E,Z)体を主成分とする3,5−ペンタデカジエン−1−オール(EZ/EE/(ZE+ZZ)=86.1/11.4/2.4、44.87g、0.200mol)、ピリジン(22.15g、0.280mol)、N,N−ジメチルホルムアミド(60g)を添加し5〜10℃で30分間撹拌した。撹拌後、メタンスルホニルクロリド(27.49g、0.240mol)を5〜10℃にて滴下して、滴下終了後、60℃にて4時間撹拌した。その後、反応液は水(100g)を添加することで反応を停止した。ヘキサン(100g)を添加して得られた反応液を分液した後、有機層は塩酸、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、減圧下で溶媒を除去濃縮して残渣を減圧蒸留すると、(E,Z)体を主成分とする1−クロロ−3,5−ペンタデカジエン(EZ/EE/(ZE+ZZ)=84.3/13.2/2.4、46.38g、0.191mol)が収率95.3%で得られ、共役二重結合の異性化は2%程度に抑えられた。
〔核磁気共鳴スペクトル〕1H−NMR(300MHz,CDCl3):δ0.884(3H,t),1.21−1.34(14H,m),2.16(2H,dt),2.57(2H,dt),5.40(1H,dt),5.63(1H,dt),5.96(1H,dd),5.41(1H,dd);13C−NMR(75.6MHz,CDCl3):δ14.09,22.67,27.73,29.24,29.32,29.50,29.63,29.69,31.88,36.06、44.00,127.87,128.55,128.84,132.03
〔マススペクトル〕EI−マススペクトル(70eV):m/z 242(M+),116,81,67,55,41,29
反応器に(E,Z)体を主成分とする7,9−ドデカジエン−1−オール(EZ/EE/(ZE+ZZ)=84.6/14.2/1.2、36.46g、0.200mol)、トリエチルアミン(20.24g、0.200mol)、トルエン(63g)を添加し5〜10℃で10分間撹拌した。撹拌後、塩化チオニル(25.70g、0.216mol)を5〜20℃にて滴下して、滴下終了後、3時間で60℃までゆっくりと昇温する。昇温後に60〜65℃にて2時間撹拌した。その後、反応液は冷却後、25質量%水酸化ナトリウム水溶液(71g)、水(68g)を添加することで反応を停止した。ヘキサンを添加して得られた反応液を分液した後、減圧下で溶媒を除去濃縮して残渣を減圧蒸留すると、(E,Z)体を主成分とする1−クロロ−7,9−ドデカジエン(EZ/EE/(ZE+ZZ)=59.1/31.6/9.3)36.12g、0.180mol)が収率90%で得られた。
この様に塩素化剤として塩化チオニルを用いた塩素化では、共役二重結合の異性化は25%程度進行した。なお、構造は核磁気共鳴スペクトル及びマススペクトルで決定した。
Claims (1)
- 下記一般式(1):
RCH=CHCH=CH−Z−OH (1)
(上式中、Rは、水素原子、又は二重結合もしくは三重結合を有しても良い炭素数1〜17の直鎖状、分岐鎖状又は環状の一価炭化水素基を示し、Zは、炭素数1〜17の直鎖状、分岐鎖状又は環状の二価炭化水素基を示す。)
で示される共役二重結合を有するアルコールを、該アルコールの塩素化のための金属塩を用いることなく、溶媒中、塩基の存在下、塩素化剤により塩素化し、共役二重結合を有する塩化炭化水素を製造する方法であって、前記塩素化剤が、スルホン酸塩化物であり、前記塩基が、ピリジン類である共役二重結合を有する塩化炭化水素の製造方法。
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