JP2011087277A - 路側通信機、無線通信システム及びスロット情報の生成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、路側からの無線送信専用のタイムスロット(第1スロットSL1)が時分割で割り当てられ、それ以外の時間帯(第2スロットSL2)だけ移動通信機3が無線送信するのを許容する路側通信機2に関する。この路側通信機2は、自装置2Aを含む複数の路側通信機2A,2Bの送信タイミングに関するスロット情報を取得する取得手段23Aと、その複数のスロット情報を1つに纏めた総合スロット情報S6を生成するスロット生成手段23Bと、その総合スロット情報S6を移動通信機2に送信する送信手段21と、を備えている。
【選択図】 図3
Description
かかる高度道路交通システムは、主として、インフラ側の無線通信装置である複数の路側通信機と、各車両に搭載される無線通信装置である複数の車載通信機とによって構成される。
そこで、限られた周波数帯域内で路路間、路車間及び車車間の各通信を行うべく、マルチアクセス(Multiple Access)が用いられることが検討されている。
しかし、路側通信機が存在するエリアでは、路車間通信、路路間通信及び車車間通信が共存する。
このように、路側通信機の情報送信を優先的に行うためには、通信を行う時間を分割して路側通信機の送信専用の時間スロットを設ける、時分割多重(TDMA:Time Division Multiple Access)によるマルチアクセスが有効となる。
なお、この場合、各路側通信機からの送信タイミングを制御するため、各路側通信機は他の路側通信機との時刻同期機能を有している必要がある。
その通知方式の1つとして、自装置の送信タイミングに関するスロット情報を各路側通信機が車載通信機に送信し、各路側通信機から取得した複数のスロット情報を1つに纏めたスロット情報(以下、「総合スロット情報」ということがある。)を車載通信機側において生成し、これを車車間通信によって他の車載通信機に送信する方式(以下、「車側生成方式」ということがある。)が考えられる。
(1) 各路側通信機2A,2Bは、自装置の送信タイミングのみを含むスロット情報Sa,Sbを送信データに含め、この送信データを、宛先を指定せずにブロードキャスト送信する。
(2) 各路側通信機2A,2Bから最初にスロット情報Sa,Sbを受信した第1の車載通信機5Xは、各路側通信機2A,2Bのスロット情報Sa,Sbを1つに纏めた総合スロット情報Ssを生成し、これを送信データに含めてブロードキャスト送信する。
(4) 上記(3)の転送処理において、第2の車載通信機5Yは、中継回数が少ない方のスロット情報を優先的に採用する。このため、例えば、第2の車載通信機5Yが、路側通信機2A,2Bからのスロット情報Sa,Sbも受信している場合には、このスロット情報Sa,Sbをブロードキャスト送信する。
なお、上記(4)の処理において、第2の車載通信機5Yは、所定の中継回数より多い総合スロット情報Ssしか受信できない場合には、受信した総合スロット情報Ssが古い情報であり、自車両が路車間通信のサービスエリア外であると判断し、受信した総合スロット情報Ssに含まれる送信タイミングを無視して車車間通信を行う。
このため、上記車側生成方式のように、車載通信機側で生成した複数の路側通信機の送信タイミングを含む総合スロット情報を、車車間通信によって順に転送する手段では、送信可能なデータ長のうちの非常に大きい部分を総合スロット情報が占めることになり、車車間通信の通信効率が悪化することが懸念される。
そこで、本発明は、総合スロット情報を路側通信機から通知できるようにして、移動通信機(車載通信機等)の通信帯域を有効に活用することを第1の目的とする。
この路側生成方式によれば、路側通信機が送信するデータ量に総合スロット情報を加えても3%程度の増加にしかならないので、車車間通信の通信帯域を有効に活用できるという利点がある。
すなわち、例えば、自装置から非常に遠いところにある他装置の他スロット情報をも含めて総合スロット情報を生成すると、この総合スロット情報を自装置から受信した車載通信機は、当該車載通信機にとって本来的に不要な他装置の送信時間によって無線送信が阻害されてしまい、当該車載通信機の送信時間が無駄に短縮されることになる。
このため、移動通信機の送信データに上記総合スロット情報を含める必要がなくなり、移動通信機の通信帯域を有効に活用することができ、前記第1の目的が達成される。
この場合、上記選択手段が、取得した複数のスロット情報の中から総合スロット情報の生成に必要な他スロット情報を選択可能になっているので、例えば、自装置の通信領域内の移動通信機と無関係なところに設置されている他装置のような、移動通信機にとって本来的に不要な他装置の他スロット情報を、総合スロット情報から除外することができる。
その理由は、自装置からの距離が所定の閾値内である比較的近いところにある他装置の場合には、移動通信機との無線通信が可能な他装置と判断でき、自装置から総合スロット情報を受ける移動通信機にとって不要な他装置とは言えないからである。
そして、この場合、移動通信機にとって不要な他装置とは、当該移動通信機とは無線通信できない程度に遠方に位置する他装置であるから、前記閾値としては、例えば、前記自装置から見て、当該路側通信機の通信可能距離の約2倍に設定しておけばよい。
すなわち、本発明の路側通信機において、前記選択手段は、前記総合スロット情報の生成に必要な前記他スロット情報として、自装置の通信領域内にある前記移動通信機との無線通信が可能な前記他装置の前記他スロット情報を選択することにしてもよい。
その理由は、自装置と直接的な無線通信が可能な他装置であれば、自装置の通信領域内にある移動通信機との間でも無線通信が可能であると考えられるからである。
この場合、上記中継回数を適当な回数(例えば、1回)に設定すれば、自装置の周囲にある複数の他装置の中から、自装置の通信領域内にある移動通信機との無線通信が可能な他装置を、適切に選択することができる。
この場合、直接干渉(図10(a)参照)が生じないために同じ開始時刻のタイムスロットに割り当てられる複数の路側通信機について、その路側通信機のスロット長が揃っていない場合に発生する、移動通信機の無線通信を介した間接干渉(図10(b)参照)を防止できるという効果がある。
この場合には、共用に係るタイムスロットの開始時刻が揃っていない場合でも、間接干渉を有効に防止することができる。
従って、この無線通信システムにおいても、本発明の移動通信機による作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
(a) 自装置の送信タイミングに関する自スロット情報
(b) その他の路側通信機である複数の他装置の送信タイミングに関する複数の他スロット情報のうち、自装置から前記移動通信機に通知すべきものとして選択された他スロット情報
このため、総合スロット情報を自装置から受信した移動通信機が、自身にとって不要な他装置(路側通信機)の送信時間によって無線送信が阻害されることがなく、当該移動通信機の送信時間が無駄に短縮されるのを防止することができる。
このため、総合スロット情報を自装置から受信した移動通信機が、自身にとって不要な他装置(路側通信機)の送信時間によって無線送信が阻害されることがなく、当該移動通信機の送信時間が無駄に短縮されるのを防止することができる。
また、本発明によれば、総合スロット情報の生成に必要なスロット情報を選択可能であるから、移動通信機にとって不要な他スロット情報を総合スロット情報から除外することにより、移動通信機の送信時間の無駄な短縮を防止することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る高度道路交通システム(ITS)の全体構成を示す概略斜視図である。なお、本実施形態では、道路構造の一例として、南北方向と東西方向の複数の道路が互いに交差した碁盤目構造を想定している。
図1に示すように、本実施形態の高度道路交通システムは、交通信号機1、路側通信機2、車載通信機3(図2及び図3参照)、中央装置4、車載通信機3を搭載した車両5、及び、車両感知器や監視カメラ等よりなる路側センサ6等を含む。
中央装置4は、自身が管轄するエリアに含まれる各交差点Jiの交通信号機1及び路側通信機2とLAN(Local Area Network)を構成している。従って、中央装置4は、各交通信号機1及び各路側通信機2との間で双方向通信が可能である。なお、中央装置4は、交通管制センターではなく道路上に設置してもよい。
この路側センサ6は、直下を通行する車両5を超音波感知する車両感知器、或いは、道路の交通状況を時系列に撮影する監視カメラ等よりなり、車両感知器の感知信号S4や監視カメラの画像データS5は、通信回線7を介して中央装置4に送信される。
中央装置4は、ワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)等よりなる制御部を有しており、この制御部は、路側通信機2や路側センサ6からの各種の交通情報の収集・処理(演算)・記録、信号制御及び情報提供を統括的に行う。
具体的には、中央装置4の制御部は、自身のネットワークに属する交差点Jiの交通信号機1に対して、同一道路上の交通信号機1群を調整する系統制御や、この系統制御を道路網に拡張した広域制御(面制御)を行うことができる。
信号制御指令S1は、前記系統制御や広域制御を行う場合の信号制御パラメータの演算周期(例えば、1.0〜2.5分)ごとに送信され、交通情報S2は、例えば5分ごとに送信される。
中央装置4の制御部は、通信部が取得したそれらの各種情報に基づいて、前記系統制御や広域制御を実行することができる。
図2は、上記高度道路交通システムの管轄エリアの一部を示す道路平面図である。
図2では、互いに交差する2つの道路の各々が上りと下りで片側1車線のものとして例示されているが、道路構造はこれに限られるものではない。
図2にも示すように、本実施形態の高度道路交通システムは、車載通信機3との間で無線通信が可能な複数の路側通信機2と、キャリアセンス方式で他の通信機2,3と無線通信を行う移動無線送受信機の一種である車載通信機3と備えている。
各路側通信機2は、その周囲に広がる通信領域A(路側通信機2の送信信号が十分に届く範囲:以下、「送信エリアA」という場合がある。)をそれぞれ有し、自身の通信領域Aを走行する車両5の車載通信機3との無線通信が可能である。また、各路側通信機2は、通信領域Aが重複(一部重複でも全部重複でもよい。)する他の路側通信機2とも無線通信が可能である。
なお、前記した通り、交通管制センターに設けられた中央装置4は、各路側通信機2と有線での双方向通信が可能となっているが、これらの間も無線通信であってもよい。
また、路側通信機2は、自身の送信タイミングを制御するために、他の路側通信機2との時刻同期機能を有している。この路側通信機2の時刻同期は、例えば、自身の時計をGPS時刻に合わせるGPS同期や、自身の時計を他の路側通信機2からの送信信号に合わせるエア同期等によって行われる。
図3は、路側通信機2と車載通信機3の内部構成を示すブロック図である。
路側通信機2は、無線通信のためのアンテナ20が接続された無線通信部(送受信部)21と、中央装置4と双方向通信する有線通信部22と、それらの通信制御を行うプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)等よりなる制御部23と、制御部23に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部24とを備えている。
更に、路側通信機2の制御部23は、上記コンピュータプログラムを実行することで達成される機能部分として、データ転送部23Aと、スロット生成部23Bと、スロット選択部23Cとを備えている。
このうち、データ転送部23Aは、有線通信部22が受信した中央装置4からの交通情報S2等を、いったん記憶部24に一時的に記憶させ、この交通情報S2等をペイロードに格納した送信データを、無線通信部21を介して自装置の通信領域Aにブロードキャスト送信する。
また、データ転送部23Aは、無線通信部21が受信した車両情報S3を、いったん記憶部24に一時的に記憶させ、有線通信部22を介して中央装置4に転送する。
一方、スロット生成部23Bは、他装置との間で送信タイミングの同期を取りながら、交互に現れる2種類のタイムスロットSL1,SL2を、一定の周期C内において所定数だけ生成する。
図4は、上記スロット生成部23Bが生成するタイムスロットSL1,SL2の一例を示す概念図である。図4に示すように、タイムスロットSL1,SL2は、第1スロットSL1と第2スロットSL2とを含む。
また、第2スロットSL2は、車載通信機3用のタイムスロットである。この時間帯は車載通信機3による無線送信用として開放するため、路側通信機2は第2スロットSL2では無線送信を行わない。
すなわち、図4においては、スロット番号1の第1スロットSL1には、2つの路側通信機2の送信時間が割り当てられ、スロット番号2の第1スロットSL1には、3つの路側通信機2の送信時間を割り当てられ、スロット番号3の第1スロットSL1には、1つの路側通信機2の送信時間が割り当てられている。
このように割り当てられるタイムスロットSL1を基に、スロット生成部23Bは、自装置の送信タイミングに関する自スロット情報だけでなく、他装置の送信タイミングに関する他スロット情報をも含めて、1つのスロット情報(総合スロット情報S6)に纏めて生成可能になっている。
図5(a)に示すように、総合スロット情報S6には、例えば次の内容が記される。
1) 1周期の長さ(例えば、100m秒)
2) 路車間で共有する現在時刻(例えば、30m秒)
3) スロット番号iのタイムスロットSL1の開始時刻(ti)
4) スロット番号iのタイムスロットSL1のスロット長(Li)
この場合、スロット番号1のタイムスロットSL1の開始時刻t1と、自装置に割り当てられたスロット長L11とが、自装置の送信タイミングに関する「自スロット情報」となる。
そして、スロット生成部23Bは、例えばスロット番号3(仮にi=3とする。)のタイムスロットSL1に、複数の路側通信機2の送信時間を重複して割り当てる場合には、その複数の路側通信機2が使用する長短複数種類のスロット長L3jのうちの最大値max(L3j)を選択し、この最大スロット長max(L3j)を、総合スロット情報S6のデータ項目4)における、スロット番号3のタイムスロットSL1のスロット長L3に設定する。
なお、スロット生成部23Bは、自スロット情報のみから総合スロット情報を生成することもでき、この場合には、自装置のタイムスロットSL1(スロット番号1)の開始時刻t1と、自装置のスロット長L11と同じ時間に設定されたスロット長L1が、前記データ項目3)及び4)に記載されることになる。
スロット選択部23Cは、上記総合スロット情報S6の生成に必要な他装置の他スロット情報を、所定の選択ロジックに従って選択する機能を有する。
具体的には、スロット選択部23Cは、自装置から他装置までの距離等に基づいて、ある他装置を自身の総合スロット情報S6に必要であるか否かを判定し、この判定結果が肯定的である他装置の他スロット情報のスロット長Lijに限り、総合スロット情報S6におけるスロット長Li(図5(a)のデータ項目4))の算出用データとして選択する。なお、このスロット選択部23Cによる選択処理の詳細については後述する。
図3に戻り、車載通信機3は、無線通信のためのアンテナ30に接続された通信部(送受信部)31と、この通信部31に対する通信制御を行うプロセッサ等よりなる制御部32と、この制御部32に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部33とを備えている。
記憶部33は、制御部32が実行する通信制御のためのコンピュータプログラムや、各通信装置2,3の通信機ID等を記憶している。
従って、車載通信機3の通信部31は、所定の搬送波周波数の受信レベルを常時感知しており、その値がある閾値以上である場合は無線送信を行わず、当該閾値未満になった場合にのみ無線送信を行うようになっている。
また、車載通信機3の制御部32は、他の車両5から直接受信した車両情報S3や、路側通信機2から受信した他の車両5の車両情報S3に含まれる、位置、速度及び方向に基づいて、右直衝突や出合い頭衝突等を回避するための安全運転支援制御を行うことができる。
図6に示すように、車載通信機3の送信信号には、プリアンブル、ヘッダ、データ、CRC(Cyclic Redundancy Check)が含まれている。
このうち、データには、車両5の位置、方向(進行方向)及び速度が含まれるが、路側通信機2からの送信信号を受信した場合の受信レベルを含めることもできる。車両5の位置や方向は、通常は、GPS等の車両5側のセンサ類が自律的に測定した情報であるが、光ビーコン等のインフラ側から取得可能な場合もある。速度は、車両5の速度センサに基づいた情報である。
なお、以下において、道路の交差点Jiに設置される複数の路側通信機2のうち、総合スロット情報S6の生成を行う特定の路側通信機2を、符号2Aを用いて「自装置2A」といい、これ以外の他の路側通信機2を、符号2Bを用いて「他装置2B」という。
一方、図8は、既設の各路側通信機2の配置例を示す道路平面図であり、図8に示す各地点(交差点)A〜Uに路側通信機2が設置されて、地点Eに自装置2Aがあるものとする。また、図8において、各地点A〜Uの右側に付した数字は、その地点A〜Uに設置されている各路側通信機2(自装置2A及び他装置2B)が使用中のスロット番号i(i=1〜8)を示している。
a) 近隣の他装置2B(例えば、図8の地点D3、地点B4、地点F5及び地点H2にある他装置2B)が、車載通信機3のために自身の通信領域Aに送信している送信データを傍受し、この送信データから他スロット情報と位置情報を抽出する。
c) 所定エリア内にあるすべての路側通信機2のスロット情報と位置情報を、有線通信によって中央装置4等から取得する。
d) 所定エリア内にあるすべての路側通信機2のスロット情報と位置情報を、記憶装置等に記憶させておいて、当該記憶装置から取得する。
すなわち、他装置2Bから傍受した送信データ中の他スロット情報や位置情報を利用すれば、自身のスロット情報と位置情報を各路側通信機2が送信データに含める必要があるものの、その情報交換のために路側通信機2の通信時間が短縮することがなく、有線通信の通信網も不要で設備コストがかからない。
次に、スロット選択部23Cは、引き渡された複数の他スロット情報の中から、自装置2Aが送信する総合スロット情報S6のスロット長Liの算出データに含めるべき他スロット情報を選択する選択処理を実行する(図7のステップST2)。
すなわち、スロット選択部23Cは、まず、取得した各他装置2Bの位置情報から、すべての他装置2Bの設置位置を抽出し、自装置2Aの設置位置(図8の地点E1)から各他装置2Bの設置位置(図8における地点E1を除くその他の地点)までの距離をそれぞれ算出する。
図9は、この選択処理の理解を容易にするため、スロット番号i(i=1〜8)と、各路側通信機2までの距離、最短距離及び選択結果との関係を示す表であり、この表中の距離及び地点は図8の配置例と対応している。
例えば、スロット番号1を使用する路側通信機2は、地点E1、地点J1及び地点U1にあるので、自装置2Aの設置位置からその3つの地点までの距離を、「各路側通信機との距離」の欄のスロット番号1に対応する行に列挙してある。なお、地点E1には自装置2Aがあるので、それに対応する距離は「0」になっている。
同様に、スロット番号3の場合、地点C3の距離が200m、地点D3の距離が200m、地点L3の距離が500m、及び、地点M3の距離が800mであるので、その最小値の200mが「最短距離」の欄に記載されている。スロット番号4以下の場合も同様である。
図9の例では、スロット番号1〜6の最短距離が1000m以下であるから、スロット選択部23Cは、スロット番号1〜6に対応する他スロット情報を、総合スロット情報S6に含めるものとして選択する。
ここで、選択から除外されたスロット番号7及び8を使用する他装置2Bは、地点P7と地点T8に設置されている。この除外された他装置2Bの地点P7,T8は、図8に示すように、自装置2Aの設置位置E1から見てかなり遠方にある。
なお、自装置2Aから総合スロット情報S6を受ける車載通信機3にとって不要な他装置2Bとは、当該車載通信機3とは無線通信できない程度に遠方に位置する他装置2Bであるから、上記選択処理に用いる所定の閾値は、自装置2Aから見て、路側通信機2の通信可能距離の約2倍に設定すればよい。
より具体的には、スロット生成部23Bは、自装置2Aのスロット番号1及び送信時間T11と、選択された他装置2Bのスロット番号i及び送信時間Tij(j≠1)とを用いて、各スロット番号iのタイムスロットSL1に必要なスロット長Liを設定し、総合スロット情報S6を生成する。
なお、あるスロット番号iのタイムスロットSL1に割り当てるべき路側通信機2が存在しない場合には、スロット生成部23Bは、当該スロット番号iのタイムスロットSL1を消滅させ、この消滅分の時間帯を車載通信機3用の送信時間として開放する。
以上の通り、本実施形態の路側通信機2によれば、スロット生成部23Bが、自スロット情報だけでなく、他スロット情報をも含めて1つに纏めた総合スロット情報S6を生成し、この情報S6を無線通信部21が車載通信機3に送信するので、車載通信機3が自ら総合スロット情報S6を生成して送信データに含める必要がなくなり、車載通信機3の通信帯域を有効に活用することができる。
このため、総合スロット情報S6を自装置2Aから受信した車載通信機3が、自身にとって不要な他装置2Bの送信時間によって無線送信が阻害されることがなく、当該車載通信機3の送信時間が無駄に短縮されるのを防止することができる。
例えば、図9の表中のスロット1(i=1)において、地点E1の自装置2Aに割り当てる送信時間が2ミリ秒であり、地点J1の他装置2Bに割り当てる送信時間が3ミリ秒であり、地点U1の他装置2Bに割り当てる送信時間が4ミリ秒であるとする。
しかし、本実施形態では、自装置2Aからの距離が1200mである、閾値(=1000m)よりも遠い地点U1の他装置2Bについては、スロット選択部23Cが、その地点U1の他装置2Bの他スロット情報(この場合は、送信時間4ミリ秒)を除外する。
上記実施形態において、スロット選択部23Cは、自装置2Aからの距離の大小ではなく、自装置2Aの通信領域A内にある車載通信機3との無線通信が可能か否かにより、総合スロット情報S6に含めるべき他装置を識別することもできる。
例えば、スロット選択部23Cは、総合スロット情報S6に含める他スロット情報として、少なくとも、自装置2Aと直接的な無線通信が可能な他装置2Bの他スロット情報を選択するができる。
もっとも、この場合には、実際は総合スロット情報S6に含めるべき他装置6Bが、選択から漏れてしまう可能性がある。
しかし、地点E1と地点G6とは同じ道路上にないので、その間に高層建築物等の構造物があって見通しが悪い場合には、その間で路側通信機2同士の無線通信ができない場合がある。
そこで、スロット選択部23Cは、総合スロット情報S6に含める他スロット情報として、所定数(例えば、1回)以下の中継回数で自装置2Aと無線通信が可能な他装置2Bの他スロット情報を選択することが好ましい。
これに対して、地点P7や地点T8にある他装置2Bの場合には、3回以上の中継を経ないと地点E1の自装置2Aに到達しないため、選択対象から外れることになる。
なお、上記中継回数によって選択対象とする他装置2Bを決定する場合には、各路側通信機2の送信データに中継回数を含める必要がある。この場合、自装置2Aは、受信した送信データに含まれる中継回数に基づいて、当該送信データが何回中継されて自装置2Aに届いたデータであるかを判定することができる。
図8に示す道路の各地点(交差点)A〜Uに設置された路側通信機2群は、これらと無線通信する車載通信機3群とにより無線通信システムを構成する。
この場合、上記無線通信システムの構成要素となる路側通信機2としては、他装置2Bの他スロット情報を自律的に選択して総合スロット情報S6を生成する本実施形態の路側通信機2(すなわち、前記スロット生成部23Bとスロット選択部23Cとを備えた路側通信機2)を採用することができる。
この手動設定は、各路側通信機2の設置位置とそのスロット情報を記したマップを作成しておき、このマップに基づいて人為的に選択した他スロット情報を記憶部24に入力することによって行うことができる。
しかし、設置台数が非常に多かったり、製造元が異なる複数種類の路側通信機2が混在したりするようなエリアでは、上記マップに基づいて他スロット情報を人為的に選択する作業が困難であることから、他スロット情報を自律的に選択可能な上記実施形態の路側通信機2を採用することが好ましい。
図10(a)は直接干渉の説明図であり、図10(b)は間接干渉の説明図である。また、図10(c)は間接干渉が発生し得るスロット割当を示すタイムチャートである。
以下、図10を参照して、本実施形態の無線通信システムにおいて問題となる上記2種類の電波干渉の内容と、間接干渉を回避するための総合スロット情報S6の生成方法について説明する。
かかる直接干渉は、図10(a)に示すように、2つの路側通信機2X,2Yの送信エリアA,Aが重複する範囲にある車両5に対して、各路側通信機2X,2Yが同時にダウンリンク送信する場合に発生する。
逆に言えば、上記直接干渉が生じない図10(b)に示す位置関係にある路側通信機2X,2Y同士については、路側通信機2X,2Yからの送信信号の直接的な衝突のみを想定すれば、基本的に同じスロットkに割り当てるのが効率的である。
この場合において、「間接干渉」とは、第1の路側通信機2Xのダウンリンク信号と、第2の車載通信機3Yの送信信号Sy、又は、この送信信号Syを契機として無線送信された他の車載通信機3Zの送信信号Szとが、第1の車載通信機3Xに対して同時に到達することをいう。
すなわち、図10(c)に示すように、路側通信機2X,2Yの送信時間Tx,Tyが同じ開始時刻のスロットk(スロット番号i=kの第1スロットSL1)に割り当てられているが、路側通信機2Xに割り当てられたスロット長Lxが、路側通信機2Yに割り当てられたスロット長Lyよりも長いと仮定する。
これに対して、路側通信機2Yの送信エリアAでスロット情報を受信した第2の車載通信機3Yの場合は、短い方のスロット長Lyの範囲でしか無線送信が規制されないので、スロット長Lyの経過後でかつスロット長Lxの経過前の時間帯(図10(c)の(Lx−Ly)の時間帯)に無線送信を行うことができる。
また、車載通信機3X,3Y間の距離が電波到達距離を超える場合でも、第2の車載通信機3Yの送信信号Syを受けて車両情報S3を中継する第3の車載通信機3Zの送信信号Szが、第1の車載通信機3Xに到達することもあり得る。
そこで、本実施形態では、路側通信機2Yのスロット生成部23Bが、スロットkを共用する路側通信機2X,2Yの長短2種類のスロット長Lx,Lyのうち、長い方のスロット長Lxをスロットkのスロット長に設定して、上記間接干渉を回避する。
具体的には 前述の通り、路側通信機2Yのスロット生成部23Bは、同じ開始時刻のタイムスロットSL1を割り当てる複数の路側通信機2X,2Yについては、その各スロット長Lx,Lyのうちの最大値Lxを、当該タイムスロットSL1のスロット長に設定する。
なお、図10(b)及び(c)では、2つの路側通信機2X,2Yの場合を例示したが、3つ以上の路側通信機2が同じスロットkを共用する場合も同様である。すなわち、この場合は、スロット生成部23Bにおいて、3つ以上の路側通信機2についてのスロット長のうちの最大値を、共用に係るスロットkのスロット長に設定すればよい。
この場合には、共用に係るスロットkのスロット長だけでなく、スロット開始時刻が揃っていない場合でも、前記間接干渉を有効に防止することができる。
以下、図11及び図12を参照しつつ、路側通信機2が総合スロット情報S6を生成する場合における、共用スロットのスロット長を最長に設定する効果を敷衍する。
図11は、路側通信機2の図8とは別の配置例を示す道路平面図である。図11において、南北方向の6つの道路R1〜R6のうち、2つの道路R2,R4は幹線道路(例えば、合計4車線以上の道路)であり、その他の道路R1,R3,R5,R6は幹線道路よりも規模が小さい側道であるとする。
更に、図11に示す、南北方向の道路R1に沿う交差点A1,B1,C1において、隣接する交差点間は直接干渉が生じる距離であるとし、交差点A1と交差点C1は直接干渉が生じないが、間接干渉が発生し得る距離であるとする。その他の南北方向の道路R2〜R6に沿う交差点Aj,Bj,Cj(j=2〜6)の場合も同様である。
図11に示すように、A系列では、交差点A2,A4が、東西方向の幹線道路Raと南北方向の幹線道路R2,R4が交差する大規模の交差点であり、必要な送信データ量が大きいので(例えば5000バイト)、図12に示すように、それに対応してスロット長が大き目(図例では3.6m秒)に設定されている。
B系列とD系列についても同様であり、交差点B1〜B6や交差点C1〜C6の規模に対応する送信データ量に応じて、ダウンリンク信号の送信に必要なスロット長が、図12のように設定されているものとする。
また、交差点C2の路側通信機2は、総合スロット情報S5の生成機能を有しておらず、自身のスロット情報しか送信できないとする。
一方、上記車両5が北上して、交差点C2のやや北側の地点Qに至ったとすると、この車両5の車載通信機3は、交差点B2の自装置2Aが生成した総合スロット情報S6を当該自装置2Aから受信する。
従って、地点Qに至った車載通信機3は、交差点C2の近傍であるにも拘わらず、この交差点C2からは直接干渉が生じない程度に離れた交差点A2の路側通信機2のスロット長(=3.6m秒)で無線送信が規制される。
以上説明した、共用スロットの時間調整機能を有する路側通信機2と、これを備えた無線通信システム及びスロット情報の生成方法の特徴を要約すると、次の通りである。
路側からの無線送信専用のタイムスロットが時分割で割り当てられ、そのタイムスロット以外の時間帯だけ移動通信機が無線送信するのを許容する無線通信システムに使用する路側通信機であって、
複数の前記路側通信機の送信タイミングに関するスロット情報を取得する取得手段と、
取得した複数の前記スロット情報に基づいて、共用に係る前記タイムスロットの開始時刻から終了時刻までの時間が最大長となる総合スロット情報を生成するスロット生成手段と、
生成した前記総合スロット情報を前記移動通信機に送信する送信手段と、
を備えていることを特徴とする路側通信機。
路側からの無線送信専用のタイムスロットが時分割で割り当てられた複数の路側通信機と、そのタイムスロット以外の時間帯において無線送信が許容された移動通信機とを備えた無線通信システムであって、
前記路側通信機のうちの全部又は一部が、複数の前記路側通信機の送信タイミングに関するスロット情報を取得し、取得した複数の前記スロット情報に基づいて、共用に係る前記タイムスロットの開始時間から終了時刻までの時間が最大長となる総合スロット情報を生成し、生成した前記総合スロット情報を前記移動通信機に送信することを特徴とする無線通信システム。
路側からの無線送信専用のタイムスロットが時分割で割り当てられ、そのタイムスロット以外の時間帯だけ移動通信機が無線送信するのを許容する無線通信システムに使用する路側通信機が行う、スロット情報の生成方法であって、
複数の前記路側通信機の送信タイミングに関するスロット情報を取得するステップと、
取得した複数の前記スロット情報に基づいて、共用に係る前記タイムスロットの開始時刻と終了時刻までの時間が最大長となる総合スロット情報を生成するステップと、を含むことを特徴とするスロット情報の生成方法。
今回開示した各実施形態は本発明の例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上記実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と、その構成と均等な意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
そこで、路側通信機2同士が有線通信部22による通信が可能である場合には、その間の総合スロット情報S6や位置情報の交換を有線通信で行うようにしてもよい。
すなわち、本発明にいう「路側通信機」は、通信部21,22とは別体構成とされた情報中継装置を含む広義のものである。
2 路側通信機
2A 自装置
2B 他装置
3 車載通信機(移動通信機)
4 中央装置
5 車両
21 無線通信部(送信手段)
22 有線通信部
23 制御部
23A データ転送部(取得手段)
23B スロット生成部
23C スロット選択部(選択手段)
24 記憶部
S6 総合スロット情報
SL1 第1スロット(タイムスロット)
SL2 第2スロット(タイムスロット)
Claims (13)
- 路側からの無線送信専用のタイムスロットが時分割で割り当てられ、そのタイムスロット以外の時間帯だけ移動通信機が無線送信するのを許容する無線通信システムに使用する路側通信機であって、
複数の前記路側通信機の送信タイミングに関するスロット情報を取得する取得手段と、
取得した複数の前記スロット情報を1つに纏めた総合スロット情報を生成するスロット生成手段と、
生成した前記総合スロット情報を前記移動通信機に送信する送信手段と、
を備えていることを特徴とする路側通信機。 - 取得した複数の前記スロット情報の中から、前記総合スロット情報の生成に必要な他装置の前記スロット情報(以下、特許請求の範囲において、「他スロット情報」という。)を選択可能な選択手段を更に備えている請求項1に記載の路側通信機。
- 前記選択手段は、前記総合スロット情報の生成に必要な前記他スロット情報として、自装置から前記他装置までの距離が所定の閾値内にある前記他装置の前記他スロット情報を選択する請求項2に記載の路側通信機。
- 前記選択手段は、前記自装置の位置情報と前記他装置の送信データに含まれる当該他装置の位置情報とに基づいて、前記距離を求める請求項3に記載の路側通信機。
- 前記閾値は、前記自装置から見て、当該路側通信機の通信可能距離の約2倍に設定されている請求項3又は4に記載の路側通信機。
- 前記選択手段は、前記総合スロット情報の生成に必要な前記他スロット情報として、自装置の通信領域内にある前記移動通信機との無線通信が可能な前記他装置の前記他スロット情報を選択する請求項2に記載の路側通信機。
- 前記選択手段は、前記総合スロット情報の生成に必要な前記他スロット情報として、自装置と直接的な無線通信が可能な前記他装置の前記他スロット情報を選択する請求項2に記載の路側通信機。
- 前記選択手段は、前記総合スロット情報の生成に必要な前記他スロット情報として、所定数以下の中継回数で自装置と無線通信が可能な前記他装置の前記他スロット情報を選択する請求項2に記載の路側通信機。
- 前記スロット生成手段は、同じ開始時刻の前記タイムスロットを共用する複数の前記路側通信機については、その各スロット長のうちの最大値を当該タイムスロットのスロット長に設定する請求項1〜8のいずれか1項に記載の路側通信機。
- 前記スロット生成手段は、同じスロット番号の前記タイムスロットを共用する複数の前記路側通信機については、最も早いスロット開始時刻から最も遅いスロット終了時刻までの時間を当該タイムスロットのスロット長に設定する請求項1〜8に記載の路側通信機。
- 路側からの無線送信専用のタイムスロットが時分割で割り当てられた複数の路側通信機と、前記タイムスロット以外の時間帯だけ無線送信するのが許容された移動通信機と、を備えている無線通信システムであって、
前記路側通信機は、複数の前記路側通信機の送信タイミングに関するスロット情報を取得する取得手段と、取得した複数の前記スロット情報を1つに纏めた総合スロット情報を生成するスロット生成手段と、生成された前記総合スロット情報を前記移動通信機に送信する送信手段と、を有することを特徴とする無線通信システム。 - 路側からの無線送信専用のタイムスロットが時分割で割り当てられた複数の路側通信機と、前記タイムスロット以外の時間帯だけ無線送信するのが許容された移動通信機と、を備えている無線通信システムであって、
前記路側通信機は、次の(a)及び(b)のスロット情報を1つに纏めた総合スロット情報を、前記移動通信機に送信可能な送信手段を有することを特徴とする無線通信システム。
(a) 自装置の送信タイミングに関する自スロット情報
(b) その他の路側通信機である複数の他装置の送信タイミングに関する複数の他スロット情報のうち、自装置から前記移動通信機に通知すべきものとして選択された他スロット情報 - 路側からの無線送信専用のタイムスロットが時分割で割り当てられ、そのタイムスロット以外の時間帯だけ移動通信機が無線送信するのを許容する無線通信システムに使用する路側通信機が行う、スロット情報の生成方法であって、
複数の路側通信機の送信タイミングに関する複数のスロット情報の中から、自装置から前記移動通信機に通知すべきものを選択する第1のステップと、
選択された前記スロット情報を1つに纏めた総合スロット情報を生成する第2のステップと、
を含むことを特徴とするスロット情報の生成方法。
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