JP2012257033A - 路側通信機、無線通信システム、無線信号の受信方法及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、車載通信機3が送信した無線信号を受信する路側通信機2に関する。路側通信機2は、非暗号化データを格納する第1領域と暗号化データを格納する第2領域を有する送信フレームの変調信号である無線信号を復調して、受信フレームを取り出す復調部(受信部40)と、取り出された受信フレームの第1領域に含まれる非暗号化データの内容に基づいて、受信フレームの優先度を設定する設定部52と、設定された優先度に従って、受信フレームの第2領域に含まれる暗号化データを復号する復号部54と、を備える。
【選択図】 図9
Description
この無線通信システムでは、限られた周波数帯域を有効に利用するため、路側通信機が送信するタイムスロットをTDMA(Time Division Multiple Access )方式で割り当て、残ったタイムスロットをCSMA(Carrier Sense Multiple Access )方式による車車間通信に割り当てることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、交差点に設置された路側通信機が受信した車両情報を、その交差点の周囲に向けて転送すれば、ある流入路を走行する車両の車両情報を別の流入路を走行する車両に通知できるので、右直衝突や出合い頭衝突を回避する安全運転支援に役立てることができる。
一方、ITSの無線通信システムでは、比較的狭い通信帯域(715〜725MHz)しか割り当てられないので、路側通信機は、短い周期(例えば、100m秒)に多くの車両(最大で200台程度が想定される。)が送信した無線信号を復調し、復調後に得られた受信フレームを高速でデータ処理せねばならない。
この場合、取得したすべての受信フレームにつき、単純に到着順に暗号化データを復号するとすれば、事故又は故障などの特殊情報を通知する車両からの受信フレームや、安全運転支援の場合に重要な交差点に向かう車両からの受信フレームなどの、有用性の高い受信フレームの処理が遅延したり、バッファ溢れによってその受信フレームが破棄されたりする可能性がある。
このため、有用性の高い受信フレームの処理遅延や、バッファ溢れによる破棄を未然に防止でき、車載通信機から取得した受信フレームを効率的に処理することができる。
また、車載通信機は、事故や故障などの個別情報を外部に通知する場合には、その情報を格納する送信フレームの受信側アドレス値を路側通信機宛のユニキャストに設定し、路側通信機に対して無線信号を送信する。
この場合、上記のような個別情報を含む有用性の高い受信フレームの暗号化データを、普段の情報を含む通常の受信フレームの暗号化データよりも優先的に復号することができる。
この場合、上記のような緊急情報や公共車両の車両情報を含む有用性の高い受信フレームの暗号化データを、普段の情報を含む通常の受信フレームの暗号化データよりも優先的に復号することができる。
逆に、所定時間内の送信回数(送信頻度)が比較的大きい車両は、送信エリアで低速走行又は停止したと推定できるので、この車両からの受信フレームは、交差点の周囲に発生する渋滞長を推定に有用である。
この場合、交差点の周囲に発生した渋滞長の推定に役立つ受信フレームの暗号化データを、その推定とは関係のない受信フレームの暗号化データよりも優先的に復号することができる。
この場合、路側通信機が交差点の近傍に設置されており、かつ、車載通信機から取得した受信フレームの転送回数が少ない場合には、その車載通信機の車両は、交差点の近傍にあって安全運転支援の必要性が高い車両であると推定できる。
この場合、交差点における安全運転支援に役立つ受信フレームの暗号化データを、その安全運転支援に余り関係のない受信フレームの暗号化データよりも優先的に復号することができる。
従って、本発明の無線通信システムは、上述の(1)〜(4)のいずれかに記載した本発明の路側通信機と同様の作用効果を奏する。
このため、有用性の高い受信フレームの処理遅延や、バッファ溢れによる破棄を未然に防止でき、車載通信機から取得した受信フレームを効率的に処理することができる。
このため、有用性の高い受信フレームの処理遅延や、バッファ溢れによる破棄を未然に防止でき、車載通信機から取得した受信フレームを効率的に処理することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る高度道路交通システム(ITS)の全体構成を示す概略斜視図である。なお、本実施形態では、道路構造の一例として、南北方向と東西方向の複数の道路が互いに交差した碁盤目構造を想定している。
図1に示すように、本実施形態の高度道路交通システムは、交通信号機1、路側通信機2、車載通信機3(図2及び図3参照)、中央装置4、車載通信機3を搭載した車両5、及び、各種の車両感知器よりなる路側センサ6などを含む。
中央装置4は、自身が管轄するエリアに含まれる各交差点Jiの交通信号機1及び路側通信機2とLAN(Local Area Network)を構成している。従って、中央装置4は、各交通信号機1及び各路側通信機2との間で双方向通信が可能である。なお、中央装置4は、交通管制センターではなく道路上に設置してもよい。
この車両感知器としては、例えば、超音波式車両感知器、マイクロ波式車両感知器、光学式車両感知器(光ビーコン)、「画像式車両感知器」及び「旅行時間計測用感知器」などを採用することができる。
中央装置4は、ワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)等よりなる制御部を有している。この制御部は、路側通信機2や路側センサ6からの各種の交通情報の収集・処理(演算)・記録、信号制御及び情報提供を統括的に行う。
具体的には、中央装置4の制御部は、自身のネットワークに属する交差点Jiの交通信号機1に対して、同一道路上の交通信号機1群を調整する系統制御や、この系統制御を道路網に拡張した広域制御(面制御)を行うことができる。
信号制御指令S1は、前記系統制御や広域制御を行う場合の信号制御パラメータの演算周期(例えば、1.0〜2.5分)ごとに送信され、交通情報S2は、例えば5分ごとに送信される。
中央装置4の制御部は、管轄エリア内の路側通信機2や路側センサ6などから通信部が取得した車両情報S3及び感知情報S4に基づいて、前記系統制御や広域制御を実行することができる。
図2は、上記高度道路交通システムの管轄エリアの一部を示す道路平面図である。
図2では、互いに交差する2つの道路の各々が上りと下りで片側1車線のものとして例示されているが、道路構造はこれに限られるものではない。
図2にも示すように、本実施形態の高度道路交通システムは、車載通信機3との間で無線通信が可能な複数の路側通信機2と、CSMA方式で無線通信を行う移動無線送受信機の一種である複数の車載通信機3とを有する、無線通信システムを含んでいる。
路側通信機2は、自身の受信エリアAr内にある車載通信機3からの無線信号を受信可能であり、その受信エリアArが他の路側通信機2のアンテナに到達している場合には、当該他の路側通信機2からの無線信号も受信可能である。
なお、図2では、交差点J2に設置された路側通信機2の受信エリアArのみが描かれているが、その他の交差点Jiに設置された路側通信機2の受信エリアArも同様に、交差点Jiから道路の延長方向に沿って延びた形状になっている。
なお、前記した通り、交通管制センターに設けられた中央装置4は、各路側通信機2と有線での双方向通信が可能となっているが、これらの間も無線通信であってもよい。
また、路側通信機2は、自身の送信タイミングを制御するために、他の路側通信機2との時刻同期機能を有している。この路側通信機2の時刻同期は、例えば、自身の時計をGPS時刻に合わせるGPS同期や、自身の時計を他の路側通信機2からの送信信号に合わせるエア同期等によって行われる。
また、「受信フレーム」とは、路車間通信又は車車間通信において、受信側となる通信機2,3の制御部23,32が生成する、受信した無線信号を復調することによって復元された、送信フレームと同じ通信フレームFのことをいう。
図3は、路側通信機2と車載通信機3の内部構成を示すブロック図である。
路側通信機2は、無線通信のためのアンテナ20a,20bを有する無線通信部(送受信部)21と、中央装置4と双方向通信する有線通信部22と、それらの通信制御を行うプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)等よりなる制御部23と、制御部23に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部24とを備えている。
無線通信部21は、交差点Jiの道路方向に沿った指向性を有する2つのアンテナ20a,20bを備えており、この2つのアンテナ20a,20bのうちのいずれか1つを受信アンテナとして選択する選択受信方式を採用している。なお、選択受信方式を採用する無線通信部21の具体的構成(図6)については後述する。
具体的には、制御部23は、無線通信部21が車載通信機3から受信した車両情報S3を記憶部24に一時的に記憶させ、有線通信部22を通じて中央装置4に転送する。また、制御部23は、有線通信部22が中央装置4から受信した交通情報S2等を、記憶部24に一時的に記憶させ、無線通信部21からブロードキャスト送信する。
路側通信機2から割当情報S5を取得した車両5の車載通信機3は、その割当情報S5を送信した路側通信機2が送信を行わない時間帯(図4の第2スロットT2)に、キャリアセンス方式による無線送信を行う。
図4は、上記割当情報S5に含まれるタイムスロットの一例を示す概念図である。
図4に示すように、タイムスロットには第1スロットT1と第2スロットT2とが含まれており、これらのスロットT1,T2は所定長のサイクルC(例えば、100m秒)内で所定回数だけ繰り返すようになっている。
第1スロットT1は、路側通信機2用のタイムスロットであり、この時間帯においては路側通信機2による無線送信が許容される。第1スロットT1にはスロット番号iが付されており、このスロット番号iは周期的にインクリメント又はデクリメントされる。
図4に示すタイムスロットにおいて、各スロット番号i=1〜3の第1スロットT1に記したドット●は、当該第1スロットT1に複数の路側通信機2の送信時間が割り当てられていることを示している。
かかるスロット割当は、中央装置4が総括的に行うこともできるし、他装置から取得した設置位置やスロット情報を利用して各路側通信機2が自律的に行うこともできる。
また、複数の路側通信機2,2…の中から1つの親機を予め選定しておき、この親機が、他の路側通信機2である子機同士で電波干渉が生じない送信タイミングとなるように、スロット割当を行うようにすることもできる。
図3に戻り、車載通信機3は、無線通信のためのアンテナ30を有する通信部(送受信部)31と、この通信部31に対する通信制御を行うプロセッサ等よりなる制御部32と、この制御部32に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部33とを備えている。
記憶部33は、制御部32が実行する通信制御のためのコンピュータプログラムや、各通信機2,3の通信機ID等を記憶している。
従って、車載通信機3の通信部31は、所定の搬送波周波数の受信レベルを常時感知しており、その値がある閾値以上である場合は無線送信を行わず、当該閾値未満になった場合にのみ無線送信を行うようになっている。
また、車載通信機3の制御部32は、他の車両5から直接受信した車両情報S3や、路側通信機2から受信した他の車両5の車両情報S3に含まれる、位置、速度及び方向に基づいて、右直衝突や出合い頭衝突等を回避するための安全運転支援制御を行うことができる。
従って、路側通信機2がダウンリンク送信した無線信号と、その路側通信機2の送信エリア外の車載通信機3がブロードキャスト送信した無線信号とが、その路側通信機2の送信エリア内の車載通信機3に同時に届くことはない。
図5(a)は、車車間通信と路車間通信とで共用する通信フレームFのフレームフォーマットの一例を示す図であり、図5(b)は、その通信フレームF中のMACヘッダの内容を示す表である。
図5(a)に示すように、通信フレームFはIEEE802.11に準拠したMAC(Media Access Control)フレームであり、先頭部分から順に、「MACヘッダ」、「RSU制御」、「データペイロード」及び「FCS(Frame Check Sequence)」を備える。
図5(b)に示すように、例えば、MACヘッダの「RA」には、受信無線機のMACアドレス、すなわち、無線信号の相手方となる受信機のMACアドレスが記され、「TA」には、送信無線機のMACアドレス、すなわち、無線信号の送信元となる送信機のMACアドレスが記される。
このようなアプリケーションの場合には、車載通信機3の制御部32は、路側通信機2のMACアドレス(通信機ID)をMACヘッダの「RA」に記した送信フレームを生成し、この送信フレームを通信部31に無線送信させる。
このようなアプリケーションの場合には、車載通信機3の制御部32は、自車両が緊急車両又は公共車両であることを示すMACアドレス(通信機ID)をMACヘッダの「TA」に記した送信フレームを生成し、この送信フレームを通信部31に無線送信させる。
前述の通り、路車間のTDMA方式と車車間のCSMA方式の通信が混在する本実施形態の無線通信システムでは、路側通信機2はタイムスロットの割当情報S5を自装置の周囲に放送形式で送信する。
このため、路側通信機2の送信エリアの端部において、その送信エリアに属する車両5の車載通信機3に対して、路側通信機2からの無線信号と、路側通信機2の送信エリア外の他の車両5の車載通信機3からの無線信号とが同時に到達し、干渉する場合がある。
しかし、この場合、割当情報S5の転送が何時までも継続すると、路側通信機2から極めて遠方にある車両5の送信機会が奪われることになる。
すなわち、路側通信機2が送信する送信フレームには、転送回数の値として必ず「0」が記され、車載通信機3が送信する送信フレームには、受信フレームに記された転送回数の値を1つインクリメントした値を記す。
そして、転送回数値が所定値を超える受信フレームは破棄する等の処理を行うことにより、古い割当情報S5が転送され続けるのを防止するようになっている。
図6に示すように、データペイロードには、アプリケーション層の「L7ヘッダ」と「ペイロード」が含まれている。L7ヘッダには、「データサイズ」と「セキュリティ有無」のフィールドが含まれており、ペイロードには、送信側機器(路側通信機2や車載通信機3)がデータを暗号化した場合の暗号化データが格納される。
図6に示すように、送信側機器が署名対象データを格納する場合には、公開鍵証明書や所定の署名が署名対象データの中に記される。
図7は、無線通信部21の構成例を示すブロック図である。
図7に示すように、路側通信機2の無線通信部21は、2つのアンテナ20a,20bと、いずれか一方のアンテナ20a,20bで受信された無線信号を処理して受信フレームを生成する受信部40と、制御部23が送出する送信データを無線信号に変換して送信する送信部41とを備えている。
このうち、切替スイッチ42はa接点とb接点とc接点を有する3ポートスイッチよりなり、a接点とb接点にそれぞれアンテナ20a,20bが接続されている。また、c接点には、後段のサーキュレータ43の一つのポートに接続されている。サーキュレータ43は3ポートを有しており、この各ポートには、切替スイッチ42のc接点、受信部40及び送信部41がそれぞれ接続されている。
図8に示すように、路側通信機2の2つのアンテナ20a,20bは、交差点Jの近傍に設置されている。各アンテナ20a,20bは、所定方向に対する感度が大きい指向性アンテナよりなり、本実施形態では、交差点Jに流入する流入路L1〜L4の延長方向を指向するように設置されている。
従って、第1アンテナ20aに対応する第1受信エリアAr1は、交差点Jを中心として東西方向に長いほぼ楕円形状になっており、第2アンテナ20bに対応する第2受信エリアAr2は、交差点Jを中心として南北方向に長いほぼ楕円形状になっている。
従って、制御部23は、2つのアンテナ20a,20bのうちのいずれか1つを送受信アンテナとして選択する選択部としての機能を有する。
また、送信部(変調部)41は、制御部23から送出された送信フレームにOFDM変調などの所定の変調処理を行い、その変調信号をD/A変換及び増幅して無線信号を生成し、その無線信号を制御部23から指定する送信タイミングでアンテナ20a,20bに送出する。
図9は、路側通信機2の制御部23に含まれるデータ処理部50の構成例を示すブロック図である。
このデータ処理部50は、路側通信機2の制御部23が行う信号処理のうち、車載通信機3から取得した受信フレームに対するデータ処理を行う機能部であり、図9の左側から順に、受信バッファ51、優先度設定部52、中継バッファ53、復号部54及び中継処理部55を備える。
優先度設定部52は、受信バッファ51から送られる受信フレームの第1領域(本実施形態では、図5の「MACヘッダ」と「RSU制御」)に対して、記憶部23に定義された所定の「設定基準」を受信フレームに適用して、受信フレームの優先度を設定する。
また、優先度設定部52は、第1領域に含まれるデータ内容が上記設定基準に適合しない受信フレームについては、その受信フレームのデータペイロードを、中継バッファ53の低優先度キューLに入力する。なお、この優先度の設定基準については後述する。
また、低優先度キューLは、記憶部24の設定基準に従って優先度設定部52が「低優先度」と定めた受信フレームを格納するためのキューである。
中継処理部55は、復号された受信フレームのデータから、自装置から送信する送信フレームを生成し、その送信フレームをそれぞれ送信部41と有線通信部22に中継する。
記憶部24に記憶する優先度の設定基準としては、例えば、次の設定基準1〜4のうちの少なくとも1つを採用することができる。
MACヘッダの「RA」の値がユニキャストである受信フレーム:「高優先度」
MACヘッダの「RA」の値がブロードキャストである受信フレーム:「低優先度」
この設定基準1は、故障や事故等の個別情報を路側通信機2に通知しようとする車載通信機3の受信フレームの暗号化データを、それ以外の通常の受信フレームの暗号化データよりも優先的に復号処理するための基準である。
MACヘッダの「TA」の値が緊急車両又は公共車両を示す受信フレーム:「高優先度」
MACヘッダの「TA」の値が緊急車両又は公共車両を示さない受信フレーム:「低優先度」
この設定基準2は、緊急車両や公共車両からの受信フレームの暗号化データを、それ以外の通常車両からの受信フレームの暗号化データよりも優先的に復号処理するための基準である。
同じ「送信元アドレス」の値(MACヘッダの「SA」の値)の所定時間内における検出頻度が所定の閾値Thk以上である受信フレーム:「高優先度」
同じ「送信元アドレス」の値(MACヘッダヘッダの「SA」の値)の所定時間内における検出頻度が所定の閾値Thk未満である受信フレーム:「低優先度」
上記設定基準3は、かかる渋滞長の推定に有用となる、送信頻度が高い車載通信機3からの受信フレームの暗号化データを、それ以外の車載通信機3からの受信フレームの暗号化データよりも優先的に復号処理するための基準である。
また、優先度設定部52は、SA=「12:34:56:78:9A」のフレーム受信回数が1秒以内に7回未満である場合には、その受信フレームの優先度を「低優先度」に設定する。
RSU制御の「転送回数」の値が所定の閾値Tht以下である受信フレーム:「高優先度」
RSU制御の「転送回数」の値が所定の閾値Thtを超えている受信フレーム:「低優先度」
このため、上記設定基準4は、交差点Jにおける安全運転支援に有用である、交差点Jに近い車載通信機3からの受信フレームの暗号化データを、それ以外の車載通信機3からの受信フレームの暗号化データよりも優先的に復号処理するための基準である。
従って、路側通信機2の送信エリアに属する複数の車載通信機3のうち、転送回数が1回である交差点Jに近い所の車載通信機3の受信フレームが、転送回数が2以上の交差点Jから遠い所にある車載通信機3の受信フレームよりも、優先的に復号処理される。
以上の通り、本実施形態の路側通信機2によれば、制御部23の優先度設定部52が、車載通信機3から取得した受信フレームの第1領域に含まれる非暗号化データの内容(具体的には、「MACヘッダ」の「RA」の値や「RSU制御」の「転送回数」の値など)に基づいて、その受信フレームの優先度を設定し、復号部54が、設定された優先度に従って、その受信フレームの第2領域(具体的には、図6の「ペイロード」)に含まれる暗号化データを復号する。
例えば、前記設定基準1によれば、事故や故障などの個別情報を通報するためにユニキャスト送信された受信フレームが、普通にブロードキャスト送信された受信フレームよりも、暗号化データの復号が優先的に行われるので、個別情報を含む有用性の高い受信フレームを、普段の情報を含む受信フレームよりも優先的に処理することができる。
図7及び図9に示すように、受信部40に設けた検波回路(図示せず)によって受信信号の検波電圧Vdを検出し、この電圧Vdから求めた受信電力Pを、設定基準4による優先度の判定基準に加えてもよい。
車車間通信における電波到達距離によっては、転送回数が「1」の受信フレームが必ず交差点J近傍の車載通信機3から取得したものとは言えない場合もあるので、受信電力Pが所定値上であることを、高優先度に設定する条件に加えることが好ましい。
今回開示した実施形態は本発明の例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲及びその構成と均等な範囲内のすべての変更が含まれる。
そこで、路側通信機2同士が有線通信部22による通信が可能である場合には、その間の割当情報S5や位置情報の交換を有線通信で行うようにしてもよい。
すなわち、本明細書における車載通信機3の「車載」とは、車両5に固定的に搭載されるものだけでなく、車両5の運転時に一時的に搭載される場合も含まれる意味である。
すなわち、本発明にいう「路側通信機」は、各構成要素が必ずしも1つの筐体に収納されている必要はなく、通信部21,22と制御部23とが別筐体で構成される場合を含む広義のものである。
2 路側通信機
3 車載通信機
4 中央装置
5 車両
6 路側センサ
21 無線通信部
22 有線通信部
23 制御部
24 記憶部
40 受信部(復調部)
41 送信部
50 データ処理部
51 受信バッファ
52 優先度設定部(設定部)
53 中継バッファ
54 復号部
J 交差点
Claims (8)
- 車載通信機が送信した無線信号を受信する路側通信機であって、
非暗号化データを格納する第1領域と暗号化データを格納する第2領域を有する送信フレームの変調信号である前記無線信号を復調して、受信フレームを取り出す復調部と、
取り出された前記受信フレームの前記第1領域に含まれる前記非暗号化データの内容に基づいて、前記受信フレームの優先度を設定する設定部と、
設定された優先度に従って、前記受信フレームの前記第2領域に含まれる前記暗号化データを復号する復号部と、
を備えていることを特徴とする路側通信機。 - 前記設定部は、前記第1領域における受信側アドレス値がユニキャストを示す前記受信フレームを、その値がブロードキャストを示す前記受信フレームよりも高優先度に設定する請求項1に記載の路側通信機。
- 前記設定部は、前記第1領域における送信側アドレス値が緊急車両又は公共車両を示す前記受信フレームを、その値がそれらの車両ではないことを示す前記受信フレームよりも高優先度に設定する請求項1又は2に記載の路側通信機。
- 前記設定部は、前記第1領域における送信元アドレス値の検出頻度が所定値以上である前記受信フレームを、その検出頻度が所定値未満である前記受信フレームよりも高優先度に設定する請求項1〜3のいずれか1項に記載の路側通信機。
- 前記設定部は、前記第1領域における転送回数値が所定値以下である前記受信フレームを、その転送回数値が所定値を超える前記受信フレームよりも高優先度に設定する請求項1〜4のいずれか1項に記載の路側通信機。
- CSMA方式による車車間通信を無線で行う車載通信機と、
前記車載通信機が送信した前記無線信号を受信する請求項1〜4のいずれか1項に記載の路側通信機と、
を備えていることを特徴とする無線通信システム。 - 車載通信機が送信した無線信号を路側通信機が受信する方法であって、
非暗号化データを格納する第1領域と暗号化データを格納する第2領域を有する送信フレームの変調信号である前記無線信号を復調して、受信フレームを取り出すステップと、
取り出された前記受信フレームの前記第1領域に含まれる前記非暗号化データの内容に基づいて、前記受信フレームの優先度を設定するステップと、
設定された前記優先度に従って、前記受信フレームの前記第2領域に含まれる前記暗号化データを復号するステップと、
を含むことを特徴とする無線信号の受信方法。 - 非暗号化データを格納する第1領域と暗号化データを格納する第2領域を有する受信フレームに、所定の復号処理を行うデータ処理部として、コンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムであって、
前記受信フレームの前記第1領域に含まれる前記非暗号化データの内容に基づいて、前記受信フレームの優先度を設定するステップと、
設定された前記優先度に従って、前記受信フレームの前記第2領域に含まれる前記暗号化データを復号するステップと、
を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
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