JP5206486B2 - 通信制御装置とこれを備えた路側通信機、及び、スロット割当方法 - Google Patents

通信制御装置とこれを備えた路側通信機、及び、スロット割当方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport System)の構成要素として好適な通信制御装置とこれを備えた路側通信機に関する。より具体的には、その路側通信機等が行うスロット割当方法に関する。
近年、交通安全の促進や交通事故の防止を目的として、道路に設置されたインフラ装置からの情報を受信し、或いは車両同士で情報交換を行い、これらの情報を活用することで車両の安全性を向上させる高度道路交通システムが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
かかる高度道路交通システムは、主として、インフラ側の無線通信装置である複数の路側通信機と、各車両に搭載される無線通信装置である複数の車載通信機とによって構成される。
この場合、各通信主体間で行う通信の組み合わせには、路側通信機同士が行う路路間通信と、路側通信機と車載通信機とが行う路車(又は車路)間通信と、車載通信機同士が行う車車間通信とが含まれる。
特許第2806801号公報
上記高度道路交通システムにおいては、車車間通信をはじめ、路車間通信や路路間通信及び路歩間通信も含め、これらの各通信の共存を図るに当たって、帯域を有効利用してどのような通信制御を行うかが課題となる。そこで、限られた周波数帯域内で路路間、路車間及び車車間の各通信を行うべく、マルチアクセス(Multiple Access)が用いられることが検討されている。
このマルチアクセス方式としては、周波数分割多重(FDMA:Frequency Division Multiple Access)や符号分割多重(CDMA:Code Division Multiple Access)があるが、山間部などで少数の車載通信機のみでの通信も想定される車車間通信としてのマルチアクセス方式としては、例えばCSMA(Carrier Sense Multiple Access)に代表される自律的なランダムアクセス方式を採用するのが好ましい。
しかし、路側通信機が存在するエリアでは、路車間通信、路路間通信及び車車間通信が共存する。この場合、インフラ側である路側通信機の取り扱う情報の優先度が高いのが一般的であるため、車車間通信よりも路車間通信や路路間通信が優先的に行われる仕組みが必要である。
そこで、路側通信機の情報送信を優先的に行うためには、通信を行う時間を分割して路側通信機の送信専用の時間スロットを設ける、時分割多重(TDMA:Time Division Multiple Access)によるマルチアクセスが有効となる。
従って、例えば、交差点ごとに設置された複数の路側通信機群で構成される通信システムを想定すると、各路側通信機が送信する時間スロットをTDMA方式で割り当て、残った時間スロットをCSMA方式による車車間通信に使用させるのが、合理的な通信システムになると考えられる。
なお、この場合、各路側通信機からの送信タイミングを制御するため、各路側通信機は他の路側通信機との時刻同期機能を有している必要がある。
上記のような路側の送信制御のためのTDMA方式と、車車間でのマルチアクセスのためのCSMA方式が混在する高度道路交通システムでは、例えば、都市部において多数の路側通信機が比較的狭いエリアに集中して設置されることが想定されるため、路側通信機を新設する際には、その新設の路側通信機が近隣の既設の路側通信機と電波干渉しないように、自装置の送信時間を設定してスロット割当を行う必要がある。
かかる新設の路側通信機に対するスロット割当の方法としては、既設の路側通信機が使用するタイムスロットの割当情報(以下、単に「割当情報」ということがある。)を事業者が記録しておき、新設の路側通信機に対して使用可能なタイムスロットを事業者が手動で人為的に割り当てるのが確実である。
しかし、これでは、多数の交差点(全国の交差点は約19万個ある。)に設置すべき路側通信機の割当情報を事業者がすべて管理せねばならず、割当情報の管理が繁雑になる。また、設置後における近隣の路側通信機との電波干渉の状況を考慮して、自律的にスロット変更する機能を路側通信機に持たせる場合には、割当情報の管理が更に困難になる。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み、既設の路側通信機のタイムスロットの割当情報を管理しなくても、設置現場において最適なタイムスロットを自動的に選択することができる通信制御装置とこれを備えた路側通信機、及び、これによるスロット割当方法を提供することを目的とする。
本発明の通信制御装置(請求項1)は、路側通信機が無線送信を行う時間帯を時分割で割り当て、それ以外の時間帯を移動通信機による無線送信のために開放する通信制御装置であって、特定の路側通信機以外の他の路側通信機が使用中の複数のタイムスロットと、当該他の路側通信機の設置位置に関する他装置情報を取得する取得手段と、前記他の路側通信機の設置位置と当該他の路側通信機が使用中の複数のタイムスロットとに基づいて、前記特定の路側通信機が使用するタイムスロットを選択するスロット選択手段と、を備えていることを特徴とする。
なお、上記設置位置に関する他装置情報は、設置位置の絶対座標でもよいし、設置位置の相対座標でもよい。また、設置されている交差点の識別情報(識別コード等)や、地図データにおけるノードの識別情報(識別コード等)など、それらの情報から設置位置の絶対座標や相対座標を取得できる情報でもよい。
本発明の路側通信機によれば、上記スロット選択手段が、取得手段が取得した他の路側通信機の設置位置と当該他の路側通信機が使用中の複数のタイムスロットとに基づいて、特定の路側通信機が使用するタイムスロットを選択するので、他の路側通信機の割当情報を事業者が人為的に入力しなくても、特定の路側通信機に最適なタイムスロットを自律的に選択することができる。
このため、路側通信機の新設時にタイムスロットの割当情報を設定する作業が不要であり、路側通信機の新設作業が簡便になる。
本発明の通信制御装置において、特定の路側通信機と他の路側通信機とが同じタイムスロットを使用できるためには、両者間で電波干渉が生じないことが必要となるが、この電波干渉の発生如何は、特定の路側通信機と他の路側通信機との間の距離の大小によって概ね正確に判定することができる。
そこで、前記スロット選択手段として、前記他の路側通信機の設置位置に基づいて前記特定の路側通信機との電波干渉の度合いを判定し、当該電波干渉の度合いに基づいて前記特定の路側通信機が使用するタイムスロットを選択するものを採用することができる(請求項2)。この場合、例えば、前記特定の路側通信機との電波干渉の度合いが最も小さい設置位置にある前記他の路側通信機が使用するタイムスロットを、当該特定の路側通信機のタイムスロットとして選択するようにすればよい(請求項3)。
もっとも、この場合、特定の路側通信機と他の路側通信機との間に高層ビルその他の障害物がある場合には、両者が比較的近距離である場合でも電波干渉が生じない可能性がある。逆に、他の路側通信機とからの見通しがよい場所に特定の路側通信機を設置すると、両者間に電波干渉が生じる可能性が高い。
そこで、前記スロット選択手段は、前記他の路側通信機との距離、及び、当該他の路側通信機からの見通しの少なくとも1つに基づいて、前記特定の路側通信機との電波干渉の度合いを判定することが好ましい(請求項4)。
この場合、他の路側通信機からの見通しが良いか否かは、例えば、特定の路側通信機と他の路側通信機とが同じ道路上にあるか否かによって判定することができる。特定の路側通信機と同じ道路上にない他の路側通信機については、両者間に何らかの障害物が存在すると見なせるので、距離対応の干渉評価値を所定値だけ増加させる補正処理を行って、他の路側通信機との距離を実際よりも遠目に見積もることにより、他の路側通信機との間で生じ得る電波干渉の有無をより正確に推定できるようになる。
また、本発明の通信制御装置において、前記スロット選択手段は、前記他の路側通信機のタイムスロットの中に選択すべきタイムスロットがない場合に、前記通信制御装置が使用していないタイムスロットを前記特定の路側通信機用のタイムスロットとして選択することにしてもよい(請求項6)。
この場合、スロット選択手段が未使用のタイムスロットを選択するので、他の路側通信機との関係で電波干渉が有りと推定される場合でも、特定の路側通信機用のタイムスロットを自律的に割り当てることができる。
もっとも、移動通信機に対して最大限にタイムスロットを開放するという観点からは、なるべく他の路側通信機が使用中のタイムスロットを特定の路側通信機用のタイムスロットとして選択することが好ましい(請求項5)。従って、電波干渉の発生が明白であるため、選択すべきタイムスロットが存在しないことが明らかである場合にのみ、未使用のタイムスロットから選択することが好ましい。
更に、本発明の通信制御装置において、前記スロット選択手段は、いずれのタイムスロットを選択しても前記他の路側通信機と前記特定の路側通信機との間で電波干渉が生じる場合に、前記特定の路側通信機と共通のデータを前記他の路側通信機に無線送信させることにしてもよい(請求項7)。
この場合、他の路側通信機が特定の路側通信機と共通のデータを無線送信するので、特定の路側通信機が自身の通信エリアに無線送信しなくても、移動通信機に所定のデータを伝送できるようになる。
また、本発明の通信制御装置において、前記スロット選択手段は、選択したタイムスロットを使用する前記他の路側通信機と前記特定の路側通信機との間で電波干渉が生じる場合に、それらの路側通信機のいずれか一方又は双方の送信電力を低下させるようにしてもよい(請求項8)。
この場合、特定の路側通信機又は他の路側通信機若しくはこれらの双方の送信電力が低下するので、他の路側通信機が使用するタイムスロットを特定の路側通信機用として選択しても、両者間で電波干渉が生じるのを防止することができる。
本発明の通信制御装置は、更に、前記他装置情報の送信を前記他の路側通信機に要求するリクエスト信号を、少なくとも前記特定の路側通信機の起動時に当該特定の路側通信機の通信部に送信させる通信制御部を備えていることが好ましい(請求項9)。
この場合、上記通信制御部が、少なくとも特定の路側通信機の起動時に上記リクエスト信号を当該特定の路側通信機の通信部に送信するので、前記スロット選択手段による自律的なスロット選択を自装置の起動時に必ず実行させることができる。
また、本発明の通信制御装置において、前記通信制御部が、前記リクエスト信号を、予め設定された所定期間おきに前記特定の路側通信機の通信部に送信させるようにすれば(請求項10)、前記スロット選択手段による自律的なスロット選択を所定期間おきに実行させることができるので、近隣の交差点に他の路側通信機が別途追加されたり、或いは他の路側通信機が撤去されたりして当該他の路側通信機との電波干渉状態が事後的に変化しても、その変化に対応した適切なタイムスロットを選択し直すことができる。
本発明の通信制御装置において、前記取得手段は、前記他の路側通信機が無線送信した前記他装置情報を受信可能な無線通信部より構成することができる(請求項11)。
この場合、特定の路側通信機が他の路側通信機と通信回線で繋がっていなくても、近隣の他の路側通信機から他装置情報を取得することができる。
前記した本発明に係る通信制御装置は、路側通信機とは別個にインフラ側に設置されていてもよいが、当該通信制御装置を路側通信機が備えていてもよい(請求項12)。
この場合、子機のスロット割当を行う親機の路側通信機が本発明の通信制御装置を備えていてもよいし、自装置に対するスロット割当を自律的に行う路側通信機が本発明の通信制御装置を備えていてもよい。
本発明のスロット割当方法(請求項13)は、移動通信機との無線送信が可能な路側通信機が無線送信を行う時間帯を時分割で割り当てるためのスロット割当方法であって、
特定の路側通信機以外の他の路側通信機が使用中の複数のタイムスロットと、当該他の路側通信機の設置位置に関する他装置情報を取得するステップと、前記他の路側通信機の設置位置と前記他の路側通信機が使用中の複数のタイムスロットとに基づいて、前記特定の路側通信機が使用するタイムスロットを選択するステップと、を含むことを特徴とする。
本発明のスロット割当方法によれば、取得した他の路側通信機の設置位置と当該他の路側通信機が使用中の複数のタイムスロットとに基づいて、特定の路側通信機が使用するタイムスロットを選択するので、他の路側通信機の割当情報を事業者が人為的に入力しなくても、特定の路側通信機に最適なタイムスロットを自律的に選択することができる。
このため、路側通信機の新設時にタイムスロットの割当情報を設定する作業が不要であり、路側通信機の新設作業が簡便になる。
以上の通り、本発明によれば、特定の路側通信機の割当情報を人為的に入力しなくても最適なタイムスロットを自律的に選択するので、路側通信機の新設時においてタイムスロットの割当情報の設定作業が不要であり、路側通信機の新設作業が簡便になる。
高度道路交通システムの全体構成を示す概略斜視図である。 高度道路交通システムの管轄エリアの一部を示す道路平面図である。 路側通信機と車載通信機の内部構成を示すブロック図である。 タイムスロットの一例を示す概念図である。 車載通信機が送信するデータフォーマットの一例を示す図である。 タイムスロットの割当処理の一例を示すフローチャートである。 新設の自装置と既設の他装置の配置例を示す道路の平面図である。 図7の配置例において、各地点の他装置に対応するスロット番号や干渉評価値等の一例を纏めた表である。 新設の自装置と既設の他装置の別の配置例を示す道路の平面図である。 図9の配置例において、各地点の他装置に対応するスロット番号や干渉評価値等の一例を纏めた表である。 本発明の変形例を示すための道路の平面図である。
〔システムの全体構成〕
図1は、本発明の実施形態に係る高度道路交通システム(ITS)の全体構成を示す概略斜視図である。なお、本実施形態では、道路構造の一例として、南北方向と東西方向の複数の道路が互いに交差した碁盤目構造を想定している。
図1に示すように、本実施形態の高度道路交通システムは、交通信号機1、路側通信機2、車載通信機3(図2及び図3参照)、中央装置4、車載通信機3を搭載した車両5、及び、車両感知器や監視カメラ等よりなる路側センサ6を含む。
交通信号機1と路側通信機2は、複数の交差点Ji(図例では、i=1〜12)のそれぞれに設置されており、電話回線等の通信回線7を介してルータ8に接続されている。このルータ8は交通管制センター内の中央装置4に接続されている。
中央装置4は、自身が管轄するエリアに含まれる各交差点Jiの交通信号機1及び路側通信機2とLAN(Local Area Network)を構成している。従って、中央装置4は、各交通信号機1及び各路側通信機2との間で双方向通信が可能である。なお、中央装置4は、交通管制センターではなく道路上に設置してもよい。
路側センサ6は、各交差点Jiに流入する車両台数をカウントする等の目的で、管轄エリア内の道路の各所に設置されている。この路側センサ6は、直下を通行する車両5を超音波感知する車両感知器、或いは、道路の交通状況を時系列に撮影する監視カメラ等よりなり、感知情報S4や画像データS5は通信回線7を介して中央装置4に送信される。
なお、図1及び図2では、図示を簡略化するために、各交差点Jiに信号灯器が1つだけ描写されているが、実際の各交差点Jiには、互いに交差する道路の上り下り用として少なくとも4つの信号灯器が設置されている。
〔中央装置〕
中央装置4は、ワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)等よりなる制御部を有しており、この制御部は、路側通信機2、路側センサ6からの各種の交通情報の収集・処理(演算)・記録、信号制御及び情報提供を統括的に行う。
具体的には、中央装置4の制御部は、自身のネットワークに属する交差点Jiの交通信号機1に対して、同一道路上の交通信号機1群を調整する系統制御や、この系統制御を道路網に拡張した広域制御(面制御)を行うことができる。
また、中央装置4は、通信回線7を介してLAN側と接続された通信インタフェースである通信部を有しており、この通信部は、信号灯器の灯色切り替えタイミングに関する信号制御指令S1や、渋滞情報等を含む交通情報S2を所定時間ごとに交通信号機1及び路側通信機2に送信している(図1参照)。
信号制御指令S1は、前記系統制御や広域制御を行う場合の信号制御パラメータの演算周期(例えば、1.0〜2.5分)ごとに送信され、交通情報S2は、例えば5分ごとに送信される。
また、中央装置4の通信部は、各交差点Jiに対応する路側通信機2から、その通信機2が車載通信機3から受信した車両5の現在位置等を含む車両情報S3、車両通過時に生じるパルス信号よりなる車両感知器(図示せず)の感知情報S4、及び、監視カメラが撮影した道路のデジタル情報よりなる画像データS5等を受信しており、中央装置4の制御部は、これらの各種情報に基づいて前記系統制御や広域制御を実行する。
〔無線通信の方式等〕
図2は、上記高度道路交通システムの管轄エリアの一部を示す道路平面図である。
図2では、互いに交差する2つの道路の各々が上りと下りで片側1車線のものとして例示されているが、道路構造はこれに限られるものではない。
図2にも示すように、本実施形態の高度道路交通システムは、車載通信機3との間で無線通信が可能な複数の路側通信機2と、キャリアセンス方式で他の通信機2,3と無線通信を行う移動無線送受信機の一種である車載通信機3と備えている。
複数の路側通信機2は、それぞれ路側の交差点Jiごとに設置されていて、図1及び図2の例では交通信号機1の支柱に取り付けられている。一方、車載通信機3は、道路を走行する各車両5にそれぞれ搭載されている。
各路側通信機2は、その周囲に広がる通信エリアA(路側通信機2の送信信号が十分に届く範囲)をそれぞれ有し、自身の通信エリアAを走行する車両5の車載通信機3との無線通信が可能である。また、各路側通信機2は、通信エリアAが重複(一部重複でも全部重複でもよい。)する他の路側通信機2とも無線通信が可能である。
本実施形態の高度道路交通システムでは、路側通信機2同士(路路間通信)については無線通信が用いられ、また、路側通信機2と車載通信機3との間(「路」から「車」への路車間通信と「車」から「路」への車路間通信との双方を含む。)と車載通信機3同士(車車間通信)についても、無線通信が用いられている。
なお、前記した通り、交通管制センターに設けられた中央装置4は、各路側通信機2と有線での双方向通信が可能となっているが、これらの間も無線通信であってもよい。
路側通信機2は、自身が無線送信するためのタイムスロット(図4の第1スロットT1)をTDMA方式で割り当てており、このタイムスロット以外の時間帯(図4の第2スロットT2)には無線送信を行わない。従って、路側通信機2用のタイムスロット以外の時間帯は、車載通信機3のためのCSMA方式による送信時間として開放されている。
また、路側通信機2は、自身の送信タイミングを制御するために他の路側通信機2との時刻同期機能を有している。この路側通信機2の時刻同期は、例えば、自身の時計をGPS時刻に合わせるGPS同期や、自身の時計を他の路側通信機2からの送信信号に合わせるエア同期等によって行われる。
なお、本実施形態では、後述の通り、路側通信機2が自装置に対するスロット割当を自律的に行う場合を例示するが、複数の路側通信機2の中から1つの親機を予め選定しておき、この親機が、自身が管理する子機同士で電波干渉が生じない送信タイミングとなるように、子機に対する総括的なスロット割当を行うことにしてもよい。
また、本実施形態では、後述のスロット割当手段23Bやスロット選択手段23C等を要旨とする本発明の「通信制御装置」を、各路側通信機2に搭載した場合を例示するが、その通信制御装置は、上記親機となる路側通信機2のみに設けてもよいし、路側通信機2とは別個に路側に設置することにしてもよい。
〔路側通信機〕
図3は、路側通信機2と車載通信機3の内部構成を示すブロック図である。
路側通信機2は、無線通信のためのアンテナ20が接続された無線通信部(送受信部)21と、中央装置4と双方向通信する有線通信部22と、それらの通信制御を行うプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)等よりなる制御部23と、制御部23に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部24とを備えている。
路側通信機2の記憶部24は、制御部23が実行する通信制御のためのコンピュータプログラムや、各通信機2,3の通信機ID等を記憶している。
路側通信機2の制御部23は、後述するグラント情報Gの送信を他装置に要求するリクエスト信号Rを、少なくとも自装置の起動時に無線通信部21に送信させる通信制御を実行可能である。
また、路側通信機2の制御部23は、上記リクエスト信号Rを、予め設定された所定期間(例えば、1日〜数日)おきに無線通信部21に送信させる通信制御も実行可能となっている。
更に、路側通信機2の制御部23は、上記コンピュータプログラムを実行することで達成される機能部として、データ転送手段23Aと、スロット生成手段23Bと、スロット選択手段23Cとを備えている。
〔データ転送手段〕
このうち、制御部23のデータ転送手段23Aは、有線通信部22が受信した中央装置4からの交通情報S2等を、いったん記憶部24に一時的に記憶させ、無線通信部21を介して自装置の通信エリアAにブロードキャスト送信する。
また、データ転送手段23Aは、無線通信部21が受信した車両情報S3を、いったん記憶部24に一時的に記憶させ、有線通信部22を介して中央装置4に転送する。
更に、データ転送手段23Aは、後述するスロット選択手段23Cで選択された、自装置が使用するタイムスロットの割当情報S6を、いったん記憶部24に一時的に記憶させ、無線通信部21を介して自装置の通信エリアAにブロードキャスト送信する。
この割当情報S6は、自装置の送信時間を車載通信機3に通知するためのものであり、例えば次の内容(1)及び(2)が含まれる。
(1) 自装置及び他装置が使用中のスロット番号i(図4参照)
(2) そのスロット番号iの第1スロットT1(図4参照)の開始時刻及び継続時間
通信エリアAを走行する車両5の車載通信機3は、路側通信機2からの割当情報S6を受信すると、もともと車車間通信用として割り当てられた時間帯に加え、その割当情報S6に記された第1スロットT1以外の時間帯(図4の第2スロットT2)も利用して、キャリアセンス方式による無線送信を行う。
〔スロット生成手段〕
制御部23のスロット生成手段23Bは、他装置との間で送信タイミングの同期を取りつつ、所定のタイムスロットT1,T2を一定の周期Cで繰り返すように生成する。
図4は、スロット生成手段23Bが生成するタイムスロットT1,T2の一例を示す概念図である。図4に示すように、タイムスロットT1,T2は、第1スロットT1と第2スロットT2とを含み、これらの合計期間が一定の周期Cで繰り返すようになっている。
第1スロットT1は、路側通信機2用のタイムスロットであり、この時間帯においては路側通信機2による無線送信が許容される。第1スロットT1にはスロット番号iが付されており、このスロット番号iは周期的にインクリメント又はデクリメントされる。
また、第2スロットT2は、車載通信機3用のタイムスロットである。この時間帯は車載通信機3による無線送信用として開放するため、路側通信機2は第2スロットT2では無線送信を行わない。
なお、図4に示すタイムスロットにおいて、各スロット番号i=1〜3の第1スロットT1に記したドット●は、当該第1スロットT1に複数の路側通信機2が送信時間を割り当てていることを示している。
すなわち、図4において、スロット番号(1)の第1スロットT1には、2つの路側通信機2が送信時間を割り当てており、スロット番号(2)の第1スロットT1には、3つの路側通信機2が送信時間を割り当てており、スロット番号(3)の第1スロットT1には、1つの路側通信機2が送信時間を割り当てている。
この図4に示すように、本実施形態の路側通信機2(具体的には、制御部23のスロット選択手段23C)は、自装置の送信時間を他装置の送信時間と重複して割り当てる重複割当機能を有している。
すなわち、各路側通信機2は、自装置が使用可能な複数の第1スロットT1のうち、他装置2Bが使用していない空きの第1スロットT1を単純に選択するのではなく、1つの第1スロットT1に対して他装置の送信時間と重複して割り当て可能となっている。
〔スロット選択手段〕
制御部23のスロット選択手段23Cは、次の内容(1)〜(4)を含むグラント情報Gを生成し、このグラント情報Gは記憶部24に記憶される。
(1) 自装置の通信機ID
(2) 自装置が使用中のスロット番号i
(3) そのスロット番号iの第1スロットT1の開始時刻及び継続時間
(4) 自装置の設置位置
(5) 自装置の設置位置を通過する道路の識別情報
本実施形態のスロット選択手段23Cは、他装置から受信した上記グラント情報G(図3参照)に含まれる他装置の設置位置を利用して、他装置との間の電波干渉状態を判定する判定処理を実行可能である。
この電波干渉状態の判定処理は、具体的には、他装置と自装置との間の距離の大小や、自装置から他装置への見通しの有無によって行うことができるが、この判定処理の詳細については後述する。
また、スロット選択手段23Cは、上記電波干渉状態の判定結果に基づいて、複数の第1スロットT1の中から自装置が使用すべきスロット番号iを選択し、上記の内容(1)〜(5)を含む自装置のグラント情報Gを生成する。
具体的には、スロット選択手段23Cは、既設の複数の他装置から受信した複数のグラント情報Gから、複数の他装置が使用中のスロット番号iをすべて抽出し、上記電波干渉状態の判定結果を考慮して、自装置が使用するのに適した第1スロットT1を、他装置が既に使用中の複数の第1スロットT1の中から選択する。
もっとも、スロット選択手段23Cは、上記電波干渉状態の判定結果により、他装置2Bが使用する第1スロットT1の中に選択すべきものがない場合には、他装置2Bが使用していない第1スロットT1を自装置用のタイムスロットとして選択する。なお、この選択処理の詳細についても後述する。
〔車載通信機〕
図3に戻り、車載通信機3は、無線通信のためのアンテナ30に接続された通信部(送受信部)31と、この通信部31に対する通信制御を行うプロセッサ等よりなる制御部32と、この制御部32に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部33とを備えている。
記憶部33は、制御部32が実行する通信制御のためのコンピュータプログラムや、各通信装置2,3の通信機ID等を記憶している。
車載通信機3の制御部32は、車車間通信のためのキャリアセンス方式による無線通信を通信部31に行わせるものであり、路側通信機2との間の時分割多重方式での通信制御機能は有していない。
従って、車載通信機3の通信部31は、所定の搬送波周波数の受信レベルを常時感知しており、その値がある閾値以上である場合は無線送信を行わず、当該閾値未満になった場合にのみ無線送信を行うようになっている。
なお、車載通信機3の制御部32は、車両5(車載通信機3)の現時の位置、方向及び速度等を含む車両情報S3を、通信部31を介して外部にブロードキャストで無線送信させている。
また、車載通信機3の制御部32は、他の車両5から直接受信した車両情報S3や、路側通信機2から受信した他の車両5の車両情報S3に含まれる、位置、速度及び方向に基づいて、右直衝突や出合い頭衝突等を回避するための安全運転支援制御を行うことができる。
図5は、車載通信機3が送信するデータフォーマットの一例を示す図である。
図5に示すように、車載通信機3の送信信号には、プリアンブル、ヘッダ、データ、CRC(Cyclic Redundancy Check)が含まれている。
このうち、データには、車両5の位置、方向(進行方向)及び速度が含まれるが、路側通信機2からの送信信号を受信した場合の受信レベルを含めることもできる。車両5の位置や方向は、通常は、GPS等の車両5側のセンサ類が自律的に測定した情報であるが、光ビーコン等のインフラ側から取得可能な場合もある。速度は、車両5の速度センサに基づいた情報である。
〔路側通信機によるスロット割当〕
なお、以下において、道路の交差点Jiに設置される複数の路側通信機2のうち、スロット割当の実施対象である特定の路側通信機2を「自装置」といい、これ以外の他の路側通信機2を「他装置」という。
図6は、新設の路側通信機(自装置)2の制御部23が実施する、スロット割当の処理内容を示すフローチャートである。
一方、図7は、新設及び既設の路側通信機2の配置例を示す道路の平面図であり、図7に示す各地点(交差点)A〜Eに、他装置2Bが設置されているものと仮定する。また、図7において、各地点A〜Eの右側に付した数字は、その地点A〜Eに設置されている他装置2Bが使用中のスロット番号iを示している。
更に、図7の地点Pに自装置2Aを新設するものとし、この新設の自装置2Aは、無線通信のみで他装置2Bと通信可能であり、丸印を付した地点A1、地点B4及び地点C2からの送信電波を受信可能であると仮定する。
なお、図7の配置例において、新設の自装置2Aは、地点A4及び地点B2からの電波を受信可能な可能性が高く、地点A3、地点A5及び地点B1からの送信電波も受信可能な可能性もあるが、以下においては、理解を容易にするために上記3つの地点A1,B4,C2からの無線送信のみを想定する。
〔電波干渉状態の判定〕
図6に示すように、自装置2Aの制御部23は、電源がオンになると、無線通信部21を通じてリクエスト信号Rを無線送信させる(図6のステップST1)。これにより、近隣の他装置2B(図7の地点A1、地点B4及び地点C2にある他装置2B)に対してリクエスト信号Rが通知される。
その後、自装置2Aの制御部23は、各他装置2Bからグラント情報Gを受信したか否かを判定する(図6のステップST2)。
ここで、地点A1の他装置2Bは、それと無線通信が可能である周囲の他装置2B、すなわち、図7の地点A3、地点A4及び地点A5に設置された他装置2Bのグラント情報Gも察知している。従って、地点A1の他装置2Bからは、地点A1、地点A3、地点A4及び地点A5にある各他装置2Bのグラント情報Gが得られる。
同様に、地点B4の他装置2Bからは、地点B4、地点A5、地点B2及び地点B1にある各他装置2Bのグラント情報Gが得られる。また、地点C2の他装置2Bからは、地点C2、地点C3及び地点C6にある各他装置2Bのグラント情報Gが得られる。
上記グラント情報Gを受信した場合には、自装置2Aの制御部23(スロット選択手段23C)は、電波干渉状態の判定処理を実行する(図6のステップST3)。
この判定処理は、基本的には、他装置2Bと自装置2Aとの間の距離に基づいて行われるが、本実施形態では、自装置2Aから見た他装置2Bへの見通しの有無も加味した干渉評価値Kに基づいて行われる。すなわち、自装置2Aの制御部23(スロット選択手段23C)は、まず、グラント情報Gに含まれる他装置2Bの設置位置に基づいて、自装置2Aの設置位置(図7の地点P)から他装置2Bまでの距離を算出する。
また、自装置2Aの制御部23(スロット選択手段23C)は、グラント情報Gに含まれる他装置2Bの設置位置を通る道路の識別情報に基づいて、他装置2Bの設置位置が自装置2Aの設置位置と同じ道路上であるか否かを判定する。
そして、自装置2Aの制御部23(スロット選択手段23C)は、他装置2Bが自装置2Aと同じ道路上にある場合には、当該他装置2Bまでの距離をそのまま干渉評価値Kとして採用し、逆に、他装置2Bが自装置2Aと同じ道路上にない場合には、予め設定された所定の加算値(例えば、200m)を実距離に加算した値を、干渉評価値Kとして採用する。
例えば、上記判定処理を図7の地点A1について検討すると、自装置2Aの新設地点Pから地点A1までの距離が300mであるとした場合、地点A1は地点Pと同じ道路上にあって地点Pから見て見通しがあるので、地点A1の干渉評価値Kはその実距離分の300mとなる。
これに対して、図7の地点A5の場合には、自装置2Aの新設地点Pから地点A5までの距離が500mであるとすると、地点A5は地点Pと同じ道路上になく地点Pから見て地点A5は見通しがないので、地点A5の干渉評価値Kは、実距離である500mに加算値である200mを加えた700mとなる。
次に、自装置2Aの制御部23(スロット選択手段23C)は、自装置2Aが使用するタイムスロットの選択処理を実行する(図6のステップST4)。
この選択処理は、複数の他装置2Bのグラント情報Gから抽出された各他装置2Bの第1スロットT1の中から、電波干渉状態の判定結果を考慮して、自装置2Aが使用するのに適した第1スロットT1を選択する処理である。
図8は、タイムスロットの選択処理の理解を容易にするために、各地点に設置された他装置2Bに対応するスロット番号iや干渉評価値K等の一例を纏めた表である。
図8の表において、「距離」は、各地点A〜Cにある他装置2Bの自装置2Aからの距離を示し、「見通し」は、他装置2Bの設置位置が自装置2Aと同じ道路上である場合には「○」、そうでない場合には「×」として表示してある。
図8の表のようなデータが得られている場合において、自装置2Aの制御部23(スロット選択手段23C)は、例えば、すべての干渉評価値Kが700m以上のものであり、かつ、最も干渉評価値Kが高いスロット番号iを選択する。
図8の場合には、地点C6にある他装置2Bが使用するスロット番号i=6がそれに該当するので、自装置2Aの制御部23(スロット選択手段23C)は、当該スロット番号i=6の第1スロットT1を自装置2Aが使用する第1スロットT1として選択する。
一方、例えば、各地点A〜Cの他装置2Bについての干渉評価値Kがすべて700m未満である場合には、他装置2Bが使用中のどのスロット番号iの第1スロットT1を自装置2Aが使用しても、電波干渉が生じる恐れがある。
そこで、この場合には、自装置2Aの制御部23(スロット選択手段23C)は、どの他装置2Bも未だ使用していないスロット番号i(図8の例では、i=7又は8)の第1スロットT1を自装置2Aの送信用として選択する。
図6に戻り、上記のようにして、自装置2Aが使用するタイムスロットT1が決定すると、自装置2Aの制御部23(データ転送手段23A)は、自装置2Aの前記割当情報S6を生成し、その割当情報S6を無線通信部21から通信エリアAに無線送信する(図6のステップST5)。
また、自装置2Aの制御部23(ステップ選択手段23C)は、自装置2Aのグラント情報Gを生成し、記憶部24に記憶させる。
なお、本実施形態では、自装置2Aの制御部23が、自装置の起動時だけでなく、予め設定された所定期間(例えば、1日〜数日)おきにリクエスト信号Rを無線通信部21に送信させることができる。このため、図6に示すスロット割当の処理は、自装置2Aの新設時だけでなく、定期的に実施することができる。
このため、自装置2Aを設置した後に、近隣の交差点に他装置2Bが別途追加されたり、或いは同他装置2Bが撤去されたりして、他装置2Bとの電波干渉状態が事後的に変化しても、その変化に対応した適切なタイムスロットT1を選択し直すことができる。
以上の通り、本実施形態の路側通信機2によれば、自装置2Aの制御部23(スロット選択手段23C)が、他装置2Bから取得した他装置2Bの設置位置に基づいて、当該他装置2Bが使用中の第1スロットT1の中から自装置1Aが使用する第1スロットT1を選択するので、他装置2Bの割当情報S6を事業者が人為的に入力しなくても、自装置2Aが最適なタイムスロットを自律的に選択することができる。
このため、路側通信機2の新設時にタイムスロットの割当情報S6を設定する作業が不要であり、路側通信機2の新設作業が簡便になる。
〔変形例1:タイムスロットの選択が困難である場合〕
図9は、新設及び既設の路側通信機2の別の配置例を示す道路の平面図である。
図9に示す配置例は、図7の配置例と対比して、地点F6と地点F7に更に既設の他装置2Bが設置されている。
なお、図9の配置例においても、各地点A〜Fの右側に付した数字は、その地点A〜Fに設置されている他装置2Bが使用中のスロット番号iを示している。また、地点Pに自装置2Aを新設するものとし、この新設の自装置2Aは、無線通信のみで他装置2Bと通信可能であり、丸印を付した地点A1、地点B4、地点F6及び地点C2からの送信電波を受信可能であると仮定する。
図10は、図9の配置例の場合に、各地点に設置された他装置2Bに対応するスロット番号iや干渉評価値K等の一例を纏めた表である。
図10の表においても、「距離」は、各地点A〜Fにある他装置2Bの自装置2Aからの距離を示し、「見通し」は、他装置2Bの設置位置が自装置2Aと同じ道路上である場合には「○」、そうでない場合には「×」として表示してある。
ここで、前述のように、干渉評価値Kが700m以上であることを自装置2Aにおけるスロット選択の必要条件とすると、図10の表のようなデータが得られている場合には、その必要条件を満たすスロット番号iが存在せず、他装置2Bが使用中のどのスロット番号iの第1スロットT1を自装置2Aが選択しても、電波干渉が生じる恐れがある。
また、図10の表に示すように、この場合、既設の他装置2Bが使用していない未使用のスロット番号iの第1スロットT1が存在しない。
このような場合に採りうる方策として、例えば次の2つの方策が考えられる。
(1) 自装置2A自身は無線送信を行わず、代わりに、周囲の他装置2Bに無線送信を行って貰う。
(2) 自装置2Aは敢えていずれかのタイムスロットを選択するが、自装置2A又は他装置2B若しくはこれらの双方の送信電力を低下させる。
上記方策(1)の具体的手段としては、他装置自装置2Aと通信エリアAが重複する他装置2B(図9の配置例では、地点A1、地点B4、地点F6及び地点F7にある他装置2B)に、自装置2Aと共通のデータを無線送信させるようにすればよく、これにより、自装置2Aが自身の通信エリアAに無線送信しなくても、車載通信機3に所定のデータを伝送できるようになる。
なお、他装置2Bに共通のデータを無線送信させる方法としては、その旨を記した制御信号を、自装置2Aが周囲の他装置2Bに無線送信することが考えられる。
一方、上記方策(2)によれば、自装置2A又は他装置2B若しくはこれらの双方の送信電力を低下させるので、他装置2Bが使用するタイムスロットを自装置2A用として選択しても、両者間で電波干渉が生じるのを防止することができる。
例えば、図10の表において、自装置2Aの制御部23(スロット選択手段23C)が、敢えてスロット番号i=3の第1スロットT1を選択すると仮定した場合、制御部23は、送信電力を下げる旨の制御信号を地点A3の他装置2Bに送信するとともに、自装置2Aの送信電力も下げるように、無線送信部21を制御すればよい。
もっとも、この場合、両者間の電波干渉の防止が目的であるから、必ずしも自装置2Aと他装置2B(地点A3)の双方の送信電力を下げさせる必要はなく、いずれか一方のみの送信電力を下げることにしてもよい。
〔変形例2:指向性のある路側通信機〕
図11は、本発明の変形例を示すための道路の平面図である。
この変形例に係る各路側通信機2は、指向性が異なる複数のアンテナを用いた無線通信が可能な無線通信部を搭載している。
上記無線通信部の各アンテナは、図11に矢印で示すように、交差点に流入する各道路の進行方向に沿った指向性を有しており、無線通信部は、そのアンテナごとに送受信タイミングを設定することができる。
上記のような路側通信機2の場合には、1つの路側通信機2に対して、アンテナごとに独立した複数の通信エリアがあるものと見なすことができる。
そこで、路側通信機2ごとではなくアンテナごとに通信機が存在すると見なして、電波干渉の有無の判定やスロット割当を行うようにすれば、指向性アンテナごとに無線通信が可能な路側通信機2の場合にも、本発明を適用することができる。
〔その他の変形例〕
今回開示した各実施形態は本発明の例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、上記実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲とその構成と均等な意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
例えば、上記実施形態では、路路間通信が無線で行われることを前提として、路側通信機2間のリクエスト信号Rとグラント情報Gのやり取りを無線通信で実施する場合を例示したが、路側通信機2と移動通信機3との無線通信帯域を十分に確保するため、路路間通信には無線通信の帯域が割り当てられない場合もあり得る。
そこで、路側通信機2同士が有線通信部22による通信が可能である場合には、リクエスト信号Rとグラント情報Gのやり取りを有線通信で行うようにしてもよい。
また、上記実施形態では、他の路側通信機(他装置2B)との距離と見通しの双方を考慮して特定の路側通信機(自装置2A)との電波干渉の度合いを判定しているが、他の路側通信機との距離だけに基づいて特定の路側通信機との電波干渉の度合いを判定してもよいし、他の路側通信機からの見通しの有無だけに基づいて特定の路側通信機との電波干渉の度合いを判定してもよい。
また、上記実施形態では、各路側通信機2が自装置2Aに対するスロット割当を自律分散的に行う場合を例示したが、複数の路側通信機2の中から1つの親機を予め選定しておき、この親機が、自身が管理する子機同士で電波干渉が生じない送信タイミングとなるように、子機に対する総括的なスロット割当を行うことにしてもよい。
更に、上記実施形態の高度道路交通システムおいて、車載通信機3の代わりに或いは車載通信機3に加えて、歩行者等が携帯する通信機(携帯通信端末)を用いることもできる。もっとも、この場合には、その携帯通信端末が、上記実施形態の車載通信機3の場合と同様に、路側通信機2の送信時間(第1スロットT1)中においては無線送信を行わないという規約に従う必要がある。
1 交通信号機
2 路側通信機(通信制御装置)
2A 自装置
2B 他装置
3 車載通信機(移動通信機)
4 中央装置
5 車両
6 路側センサ
7 通信回線
8 ルータ
20 アンテナ
21 無線通信部(取得手段)
22 有線通信部(取得手段)
23 制御部
23A データ転送手段
23B スロット生成手段
23C スロット選択手段
24 記憶部
30 アンテナ
31 通信部
32 制御部
33 記憶部
S1 信号制御情報
S2 交通情報
S3 車両情報
S4 感知情報
S5 画像データ
S6 割当情報
R リクエスト信号
G グラント情報(他装置情報)
T1 第1スロット(タイムスロット)
T2 第2スロット(タイムスロット)

Claims (13)

  1. 路側通信機が無線送信を行う時間帯を時分割で割り当て、それ以外の時間帯を移動通信機による無線送信のために開放する通信制御装置であって、
    特定の路側通信機以外の他の路側通信機が使用中の複数のタイムスロットと、当該他の路側通信機の設置位置に関する他装置情報を取得する取得手段と、
    前記他の路側通信機の設置位置と当該他の路側通信機が使用中の複数のタイムスロットとに基づいて、前記特定の路側通信機が使用するタイムスロットを選択するスロット選択手段と、
    を備えていることを特徴とする通信制御装置。
  2. 前記スロット選択手段は、前記他の路側通信機の設置位置に基づいて前記特定の路側通信機との電波干渉の度合いを判定し、当該電波干渉の度合いに基づいて前記特定の路側通信機が使用するタイムスロットを選択する請求項1に記載の通信制御装置。
  3. 前記スロット選択手段は、前記特定の路側通信機との電波干渉の度合いが最も小さい設置位置にある前記他の路側通信機が使用するタイムスロットを、当該特定の路側通信機のタイムスロットとして選択する請求項2に記載の通信制御装置。
  4. 前記スロット選択手段は、前記他の路側通信機との距離、及び、当該他の路側通信機からの見通しの少なくとも1つに基づいて、前記特定の路側通信機との電波干渉の度合いを判定する請求項2又は3に記載の通信制御装置。
  5. 前記スロット選択手段は、前記他の路側通信機が使用中のタイムスロットを前記特定の路側通信機用のタイムスロットとして選択する請求項1〜4のいずれか1項に記載の通信制御装置。
  6. 前記スロット選択手段は、前記他の路側通信機のタイムスロットの中に選択すべきタイムスロットがない場合に、前記他の路側通信機が使用していないタイムスロットを前記特定の路側通信機用のタイムスロットとして選択する請求項1〜4のいずれか1項に記載の通信制御装置。
  7. 前記スロット選択手段は、いずれのタイムスロットを選択しても前記他の路側通信機と前記特定の路側通信機との間で電波干渉が生じる場合に、前記特定の路側通信機と共通のデータを前記他の路側通信機に無線送信させる請求項2〜5のいずれか1項に記載の通信制御装置。
  8. 前記スロット選択手段は、選択したタイムスロットを使用する前記他の路側通信機と前記特定の路側通信機との間で電波干渉が生じる場合に、それらの路側通信機のいずれか一方又は双方の送信電力を低下させる請求項2〜5のいずれか1項に記載の通信制御装置。
  9. 前記他装置情報の送信を前記他の路側通信機に要求するリクエスト信号を、少なくとも前記特定の路側通信機の起動時に当該特定の路側通信機の通信部に送信させる通信制御部を備えている請求項1〜8のいずれか1項に記載の通信制御装置。
  10. 前記通信制御部は、前記リクエスト信号を、予め設定された所定期間おきに前記特定の路側通信機の通信部に送信させる請求項9に記載の通信制御装置。
  11. 前記取得手段は、前記他の路側通信機が無線送信した前記他装置情報を受信可能な無線通信部よりなる請求項1〜10のいずれか1項に記載の通信制御装置。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の通信制御装置を備えた路側通信機。
  13. 移動通信機との無線送信が可能な路側通信機が無線送信を行う時間帯を時分割で割り当てるためのスロット割当方法であって、
    特定の路側通信機以外の他の路側通信機が使用中の複数のタイムスロットと、当該他の路側通信機の設置位置に関する他装置情報を取得するステップと、
    前記他の路側通信機の設置位置と前記他の路側通信機が使用中の複数のタイムスロットとに基づいて、前記特定の路側通信機が使用するタイムスロットを選択するステップと、
    を含むことを特徴とするスロット割当方法。
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