JP5909883B2 - 路側通信機、無線通信システム、無線信号の受信方法及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Description
この無線通信システムでは、限られた周波数帯域を有効に利用するため、路側通信機が送信するタイムスロットをTDMA(Time Division Multiple Access )方式で割り当て、残ったタイムスロットをCSMA(Carrier Sense Multiple Access )方式による車車間通信に割り当てることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
そこで、交差点に流入する流入路の方向に対応する指向性を有する複数のアンテナを1つの路側通信機に設けることにより、隠れ端末による干渉を防止することが提案されている(例えば、特願2010−87917号の段落0005〜0006参照)。
1) 各々のアンテナが受信した無線信号をすべて復調し、それぞれの復調信号から受信データを取り出す方式(以下、「全受信方式」という。)
2) 複数のアンテナのうちのいずれか1つを受信アンテナとして選択し、選択された受信アンテナが受信した無線信号だけを復調し、その復調信号から受信データを取り出す方式(以下、「選択受信方式」という。)
これに対して、選択受信方式では、増幅や復調を行う受信回路が1つで足りるので、路側通信機の製作コストの高騰化を抑えることができる。
例えば、ある交差点に流入する複数の流入路に、車両感知器がない第1流入路と車両感知器がある第2流入路が含まれている場合には、第1流入路にある車載通信機からの情報の方が、第2流入路にある車載通信機からの情報よりも有用である。
このため、流入路を走行する車両の車載通信機からの情報収集を、より効率的に行うことができる。
その理由は、上述した車両感知器の有無のように、流入路における車両感知器の設置状況は、特定の交通情報(例えば、渋滞長や旅行時間など)の推定精度に影響を与え、当該流入路にある車載通信機から取得する情報の有用性(価値)を左右するからである。
(x) 交通情報の推定精度が第2設置状況よりも低い第1設置状況
(y) 交通情報の推定精度が第1設置状況よりも高い第2設置状況
逆に、交通情報の推定精度が高い第2設置状況の第2流入路の場合には、車載通信機からの情報によってその推定精度がさほど高まらないことから、当該情報の有用性が低いからである。
(a) 車両感知器が未設置である状況
(b) 車両感知器が既設置である状況
逆に、車載通信機が既設置である第2流入路の場合には、車両感知器からの情報によって交通情報の推定が可能であることから、第2流入路にある車載通信機からの情報の有用性が低いからである。
(c) 特定種別の車両感知器の設置間隔がより大である状況
(d) 同種の特定種別の車両感知器の設置間隔がより小である状況
逆に、上記と同種の特定種別の車両感知器の設置間隔がより小である第2流入路の場合には、渋滞長等の交通情報の推定精度が高いことから、第2流入路にある車載通信機からの情報の有用性が低いからである。
(e) 得られる情報の種類がより少ない車両感知器が設置されている状況
(f) 得られる情報の種類がより多い車両感知器が設置されている状況
逆に、得られる情報の種類がより多い車両感知器(例えば、車両の存在だけでなく渋滞長を画像データから直接検出できる画像式車両感知器)が設置されている第2流入路の場合には、その車両感知器の感知情報による交通情報の推定精度が高く、第2流入路にある車載通信機からの情報の有用性が低いからである。
(g) 路車間通信が不能な車両感知器が設置されている状況
(h) 路車間通信が可能な車両感知器が設置されている状況
逆に、路車間通信が可能な車両感知器(例えば、光学式車両感知器(光ビーコン))が設置されている第2流入路の場合には、光通信対応の車載機から得たプローブ情報などによって精度の高い交通情報の推定が行え、第2流入路にある車載通信機からの情報の有用性が低いからである。
なお、上記混雑状況を表す指標としては、例えば、当該流入路における混雑度(交通量を交通容量で除した値)、渋滞長、平均速度又は旅行時間などが含まれる。
このようにすれば、実際に混雑中或いは混雑が予想される第1流入路にある車載通信機からの情報をより多く取得することができ、第1流入路における混雑度合いを正確に推定することができる。
このため、複数のアンテナの指向性と対応する方向の各流入路にそれぞれ車載通信機が存在する場合には、路側通信機が自身の受信エリアに含まれる複数の車載通信機から取得できる、単位時間当たりの情報量は減少する。
そこで、本発明の路側通信機において、前記選択部は、前記交差点に流入する前記流入路の交通量に応じて、すべての前記アンテナを前記受信アンテナとして選択する全選択モードを実行可能であることが好ましい。
このため、混信の可能性が低い状態で、各流入路に存在する車載通信機からの無線信号を受信でき、路側通信機が取得する単位時間当たりの情報量を増やすことができる。
従って、本発明の無線通信システムは、上述の(1)〜(9)のいずれかに記載した本発明の路側通信機と同様の作用効果を奏する。
このため、流入路を走行する車両の車載通信機からの情報収集を、効率的に行うことができる。
このため、流入路を走行する車両の車載通信機からの情報収集を、効率的に行うことができる。
図1は、本発明の実施形態に係る高度道路交通システム(ITS)の全体構成を示す概略斜視図である。なお、本実施形態では、道路構造の一例として、南北方向と東西方向の複数の道路が互いに交差した碁盤目構造を想定している。
図1に示すように、本実施形態の高度道路交通システムは、交通信号機1、路側通信機2、車載通信機3(図2及び図3参照)、中央装置4、車載通信機3を搭載した車両5、及び、各種の車両感知器よりなる路側センサ6などを含む。
中央装置4は、自身が管轄するエリアに含まれる各交差点Jiの交通信号機1及び路側通信機2とLAN(Local Area Network)を構成している。従って、中央装置4は、各交通信号機1及び各路側通信機2との間で双方向通信が可能である。なお、中央装置4は、交通管制センターではなく道路上に設置してもよい。
本実施形態では、車両感知器として例えば以下に述べる種別のものが採用されており、各種別の車両感知器の機能に応じて生成された感知情報S4が、通信回線7を通じて中央装置4に送られる。
超音波式車両感知器は、ヘッドと呼ばれる超音波送受器から超音波を地上に向けて発射し、超音波が反射して戻るまでの時間を計測することにより、車両5の有無を感知する車両感知器である。ヘッドは、通常、道路の真上約5mの高さで路面に垂直に取り付けられている。
マイクロ波式車両感知器は、マイクロ波送受器から送出されたマイクロ波の反射波の強弱により、車両5の存在を感知する車両感知器である。また、マイクロ波式車両感知器は、ドップラー効果を利用した車両速度の計測が可能であるとともに、車両5の存在時間から車種を判別することもできる。
光ビーコンは、道路の比較的狭い通信エリアで近赤外線光を投光又は受光するビーコンヘッドを備えており、車両5がその通信エリアを通過する間に光通信可能な車載機との間で双方向通信(路車間通信)を行う機能を有する車両感知器である。また、光ビーコンは、道路を走行する車両5の存在を感知する機能を併有していることが多い。
画像式車両感知器は、テレビカメラで複数の車線を走行する車両を撮像し、画像処理することによって車両5の速度や車種の計測、車両5の存在などを感知する車両感知器である。
この感知器は、道路の上部に配置したCCDカメラによって車両を撮影し、撮影された車両5の画像をリアルタイムに読み取って、同一車両の通過時刻の差から特定区間の旅行時間を計測するものである。
中央装置4は、ワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)等よりなる制御部を有している。この制御部は、路側通信機2や路側センサ6からの各種の交通情報の収集・処理(演算)・記録、信号制御及び情報提供を統括的に行う。
具体的には、中央装置4の制御部は、自身のネットワークに属する交差点Jiの交通信号機1に対して、同一道路上の交通信号機1群を調整する系統制御や、この系統制御を道路網に拡張した広域制御(面制御)を行うことができる。
信号制御指令S1は、前記系統制御や広域制御を行う場合の信号制御パラメータの演算周期(例えば、1.0〜2.5分)ごとに送信され、交通情報S2は、例えば5分ごとに送信される。
中央装置4の制御部は、管轄エリア内の路側通信機2や路側センサ6などから通信部が取得した車両情報S3及び感知情報S4に基づいて、前記系統制御や広域制御を実行することができる。
図2は、上記高度道路交通システムの管轄エリアの一部を示す道路平面図である。
図2では、互いに交差する2つの道路の各々が上りと下りで片側1車線のものとして例示されているが、道路構造はこれに限られるものではない。
図2にも示すように、本実施形態の高度道路交通システムは、車載通信機3との間で無線通信が可能な複数の路側通信機2と、CSMA方式で無線通信を行う移動無線送受信機の一種である複数の車載通信機3とを有する、無線通信システムを含んでいる。
路側通信機2は、自身の受信エリアAr内にある車載通信機3からの無線信号を受信可能であり、その受信エリアArが他の路側通信機2のアンテナに到達している場合には、当該他の路側通信機2からの無線信号も受信可能である。
なお、図2では、交差点J2に設置された路側通信機2の受信エリアArのみが描かれているが、その他の交差点Jiに設置された路側通信機2の受信エリアArも同様に、交差点Jiから道路の延長方向に沿って延びた形状になっている。
なお、前記した通り、交通管制センターに設けられた中央装置4は、各路側通信機2と有線での双方向通信が可能となっているが、これらの間も無線通信であってもよい。
また、路側通信機2は、自身の送信タイミングを制御するために、他の路側通信機2との時刻同期機能を有している。この路側通信機2の時刻同期は、例えば、自身の時計をGPS時刻に合わせるGPS同期や、自身の時計を他の路側通信機2からの送信信号に合わせるエア同期等によって行われる。
図3は、路側通信機2と車載通信機3の内部構成を示すブロック図である。
路側通信機2は、無線通信のためのアンテナ20a,20bを有する無線通信部(送受信部)21と、中央装置4と双方向通信する有線通信部22と、それらの通信制御を行うプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)等よりなる制御部23と、制御部23に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部24とを備えている。
無線通信部21は、交差点Jiの道路方向に沿った指向性を有する2つのアンテナ20a,20bを備えており、この2つのアンテナ20a,20bのうちのいずれか1つを受信アンテナとして選択する選択受信方式を採用している。なお、選択受信方式を採用する無線通信部21の具体的構成(図6)については後述する。
具体的には、制御部23は、無線通信部21が車載通信機3から受信した車両情報S3を記憶部24に一時的に記憶させ、有線通信部22を通じて中央装置4に転送する。また、制御部23は、有線通信部22が中央装置4から受信した交通情報S2等を、記憶部24に一時的に記憶させ、無線通信部21からブロードキャスト送信する。
路側通信機2から割当情報S5を取得した車両5の車載通信機3は、その割当情報S5を送信した路側通信機2が送信を行わない時間帯(図4の第2スロットT2)に、キャリアセンス方式による無線送信を行う。
図4は、上記割当情報S5に含まれるタイムスロットの一例を示す概念図である。
図4に示すように、タイムスロットには第1スロットT1と第2スロットT2とが含まれており、これらのスロットT1,T2は所定長のサイクルC(例えば、100m秒)内で所定回数だけ繰り返すようになっている。
第1スロットT1は、路側通信機2用のタイムスロットであり、この時間帯においては路側通信機2による無線送信が許容される。第1スロットT1にはスロット番号iが付されており、このスロット番号iは周期的にインクリメント又はデクリメントされる。
図4に示すタイムスロットにおいて、各スロット番号i=1〜3の第1スロットT1に記したドット●は、当該第1スロットT1に複数の路側通信機2の送信時間が割り当てられていることを示している。
かかるスロット割当は、中央装置4が総括的に行うこともできるし、他装置から取得した設置位置やスロット情報を利用して各路側通信機2が自律的に行うこともできる。
また、複数の路側通信機2,2…の中から1つの親機を予め選定しておき、この親機が、他の路側通信機2である子機同士で電波干渉が生じない送信タイミングとなるように、スロット割当を行うようにすることもできる。
図3に戻り、車載通信機3は、無線通信のためのアンテナ30を有する通信部(送受信部)31と、この通信部31に対する通信制御を行うプロセッサ等よりなる制御部32と、この制御部32に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部33とを備えている。
記憶部33は、制御部32が実行する通信制御のためのコンピュータプログラムや、各通信機2,3の通信機ID等を記憶している。
従って、車載通信機3の通信部31は、所定の搬送波周波数の受信レベルを常時感知しており、その値がある閾値以上である場合は無線送信を行わず、当該閾値未満になった場合にのみ無線送信を行うようになっている。
また、車載通信機3の制御部32は、他の車両5から直接受信した車両情報S3や、路側通信機2から受信した他の車両5の車両情報S3に含まれる、位置、速度及び方向に基づいて、右直衝突や出合い頭衝突等を回避するための安全運転支援制御を行うことができる。
図5に示すように、車載通信機3の送信信号には、プリアンブル、ヘッダ、データ、CRC(Cyclic Redundancy Check)が含まれている。
このうち、データには、車両5の位置、方向(進行方向)及び速度が含まれるが、路側通信機2からの送信信号を受信した場合の受信レベルを含めることもできる。
車両5の位置や方向は、通常は、GPS等の車両5側のセンサ類が自律的に測定した情報であるが、光ビーコン等のインフラ側から取得可能な場合もある。速度は、車両5の速度センサに基づいた情報である。
図6は、無線通信部21の構成例を示すブロック図である。
図6に示すように、路側通信機2の無線通信部21は、2つのアンテナ20a,20bと、いずれか一方のアンテナ20a,20bで受信された無線信号を受信処理して受信データを生成する受信部40と、制御部23からの受信データを無線信号に変換して送信する送信部41とを備えている。
このうち、切替スイッチ42はa接点とb接点とc接点を有する3ポートスイッチよりなり、a接点とb接点にそれぞれアンテナ20a,20bが接続されている。また、c接点には、後段のサーキュレータ43の一つのポートに接続されている。サーキュレータ43は3ポートを有しており、この各ポートには、切替スイッチ42のc接点、受信部40及び送信部41がそれぞれ接続されている。
図7に示すように、路側通信機2の2つのアンテナ20a,20bは、交差点Jの近傍に設置されている。各アンテナ20a,20bは、所定方向に対する感度が大きい指向性アンテナよりなり、本実施形態では、交差点Jに流入する流入路L1〜L4の延長方向を指向するように設置されている。
従って、第1アンテナ20aに対応する第1受信エリアAr1は、交差点Jを中心として東西方向に長いほぼ楕円形状になっており、第2アンテナ20bに対応する第2受信エリアAr2は、交差点Jを中心として南北方向に長いほぼ楕円形状になっている。
従って、制御部23は、2つのアンテナ20a,20bのうちのいずれか1つを送受信アンテナとして選択する選択部としての機能を有する。
また、送信部(変調部)41は、制御部23から送出された送信データにOFDM変調などの所定の変調処理を行い、その変調信号をD/A変換及び増幅して無線信号を生成し、その無線信号を制御部23から指定する送信タイミングでアンテナ20a,20bに送出する。
図6に示すように、路側通信機2の記憶部24には、流入路L1〜L4の状況に応じて時分割で割り当てられた受信時間が記録されたタイムテーブルTが格納されている。
このタイムテーブルTは、路側通信機2が有する第1及び第2アンテナ20a,20bをエントリに含んでおり、そのアンテナ20a,20bを使用する時間(受信時間)を予め定義した参照テーブルよりなる。
例えば、図6の例では、第1アンテナ20aの使用時間が8秒で、第2アンテナ20bの使用時間が2秒と定義されている。そこで、制御部23は、10秒間の制御周期において、8秒間はスイッチ42の接点aを選択する制御信号Sを生成し、2秒間はスイッチ42の接点bを選択する制御信号Sを生成する。
ここで、図7に示すように、ある交差点Jに流入する流入路L1〜L4のうち、東西方向の流入路L1,L2が比較的交通量の少ない「従道路」(以下、「第1流入路」ともいう。)であり、南北方向の流入路L3,L4が比較的交通量の多い「主道路」(以下、「第2流入路」ともいう。)であるとする。
この場合、第1流入路L1,L2については、感知情報S4がないので交通情報を推定できず、車載通信機3からの車両情報S3を取得する必要性が高いが、第2流入路L3,L4については、感知情報S4が得られるので交通情報の推定が可能であり、車載通信機3からの車両情報S3を取得する必要性が、第1流入路L1,L2よりは低い。
このため、本実施形態では、前述の図6に示すタイムテーブルTにおいて、第1アンテナ20aの使用時間が「8秒」に設定され、第2アンテナ20bの使用時間が「2秒」に設定されている。
もっとも、中央装置4が路側通信機2にアンテナ20a,20bの使用時間を通知し、通知された使用時間に基づいて、路側通信機2の制御部23がタイムテーブルTを作成することにしてもよい。また、中央装置4からは車両感知器の設置状況のみを通知し、通知された設置状況に基づいて、路側通信機2の制御部23がアンテナ20a,20bの使用時間を自身で特定して、タイムテーブルTを作成することにしてもよい。
以上の通り、本実施形態の路側通信機2によれば、記憶部24が、交差点Jに流入する流入路L1〜L4における車両感知器(路側センサ6)の設置状況に応じて時分割で割り当てられた、アンテナ20a,20bの使用時間を定義したタイムテーブルTを記憶しており、制御部23が、そのタイムテーブルTに記録された使用時間に基づいて、流入路L1〜L4の方向に対応する指向性を有するアンテナ20a,20bのいずれか1つを受信アンテナとして選択するタイミングを決定する。
このため、アンテナ20a,20bの使用時間を単純に均等に割り当てる場合に比べて、実情に即した適切なタイミングでアンテナ20a,20bを選択することができ、流入路L1〜L4を走行する車両5の車載通信機3からの情報収集を、より効率的に行うことができる。
図7の例では、第1流入路L1,L2に車両感知器が未設置であり、第2流入路L3,L4に車両感知器が既設置である場合を例示したが、アンテナ20a,20bの使用時間に格差を付ける第1及び第2流入路L1〜L4における車両感知器の設置状況としては、図7の例以外にも種々のバリエーションがある。
一例として、第1流入路L1,L2では、渋滞長や旅行時間などを推定するために、交差点Jの停止線から250m間隔で超音波式車両感知器が設置されているが、第2流入路L3,L4では、それらの交通情報をより正確に推定するため、150m、300m及び500mの位置に同感知器が設置されているとする。
これにより、交通情報の推定精度がより低い設置状況である、第1流入路L1,L2を走行中の車両5の車載通信機3からの車両情報S3をより多く取得でき、第1流入路L1,L2における交通情報の推定精度を高めることができる。
一例として、第1流入路L1,L2では、「超音波式車両感知器」が設置されているが、第2流入路L3,L4では、「画像式車両感知器」が設置されているとする。
これに対して、画像式車両感知器は、テレビカメラで撮影した画像を処理することで、車両5の存在や速度を特定できるので、画像式車両感知器を設けた路線では、超音波式車両感知器を設けた路線に比べて、渋滞長や旅行時間などの交通情報をより正確に推定することができる。
これにより、交通情報の推定精度がより低い設置状況である第1流入路L1,L2を走行中の車両5の車載通信機3からの車両情報S3をより多く取得でき、第1流入路L1,L2における交通情報の推定精度を高めることができる。
一例として、第1流入路L1,L2では、路車間通信が不能な「超音波式車両感知器」が設置されているが、第2流入路L3,L4では、路車間通信が可能な「光学式車両感知器」(光ビーコン)が設置されているとする。
このため、光ビーコンが設けられた路線では、超音波式車両感知器が設けられた路線に比べて、渋滞長や旅行時間などの交通情報をより正確に推定することができる。
これにより、交通情報の推定精度がより低い設置状況である第1流入路L1,L2を走行中の車両5の車載通信機3からの車両情報S3をより多く取得でき、第1流入路L1,L2における交通情報の推定精度を高めることができる。
図8は、無線通信部21の別の構成例を示すブロック図である。
上述の実施形態に係る無線通信部(図6)と図8の変形例に係る無線通信部21との相違は、前者では、サーキュレータ43によってアンテナ20a,20bが送受信兼用となっているのに対して、後者では、送信部41に送信専用の無指向性のアンテナ20tを設けることにより、2つのアンテナ20a,20bを受信専用とした点にある。
図9に示すように、この変形例では、送信専用のアンテナ20tが無指向性アンテナよりなるので、アンテナ20tからの電波が届く範囲である送信エリアAtは、交差点Jを中心としたほぼ円形となっている。
上述の実施形態では、各流入路L1〜L4における「車両感知器の設置状況」に応じて、2つのアンテナ20a,20bの受信時間を設定しているが、その設置状況に代えて、流入路L1〜L4における「混雑状況」に応じて、アンテナ20a,20bの受信時間を時分割で割り当てるようにしてもよい。
これらの指標は、中央装置4によって所定時間ごとに算出されているので、中央装置4から混雑状況を表す指標を路側通信機2に通知し、通知された指標を用いて路側通信機2の制御部23がアンテナ20a,20bの受信時間を求めることにより、タイムテーブルTを更新すればよい。
その後、制御部23は、更新されたテーブルTの受信時間に従って、切替スイッチ42に対する切替タイミングを制御する。
なお、第2の変形例において、流入路L1〜L4の混雑状況を表す指標は、必ずしも現時点の推定値に限らず、近い将来の予測値であってもよい。
上述の実施形態では、指向する方向が異なる2つのアンテナ20a,20bのうち、一方のアンテナ20aを東西方向の流入路L1,L2に対応させ、他方のアンテナ20bを南北方向の流入路L3,L4に対応させているが、交差点Jに流入する流入路L1〜L4と同数(十字路交差点の場合には4つ)のアンテナを設け、それらのアンテナを各流入路L1〜L4にそれぞれ一対一で対応させることにしてもよい。
また、路側通信機2を設置する交差点Jは、必ずしも十字路交差点である必要はなく、流入路が3つであるT字路や三又路、或いは、五又路以上の交差点であってもよい。
図10は、無線通信部21の別の構成例を示すスイッチ部分の回路図である。
この変形例に係る無線通信部21では、切替スイッチ42が、いずれか一方のアンテナ20a,20bと高周波的に接続された接点a,bに加えて、双方のアンテナ20a,20bと高周波的に接続された接点dが設けられた4ポートスイッチよりなり、制御部23は、接点a,bだけでなく接点dを選択する制御信号Sを生成することができる。
なお、図10に示す切替スイッチ42は、図6及び図8に示すいずれの無線通信部21にも採用可能である。
その理由は、複数の車両5が各流入路L1〜L4をそれぞれ通行しており、各流入路L1〜L4に車載通信機3が存在する場合には、各車載通信機からの無線信号が対応するアンテナ20a,20bに同時に到達して混信する恐れがあるが、各流入路L1〜L4が閑散状態であれば、そのような混信が生じる可能性が低いからである。
また、制御部23は、現時点の交通量に基づいて全受信モードの実行可否を判定することにしてもよいし、近い将来に予想される予測交通量(例えば、中央装置4から取得)に基づいて全受信モードの実行可否を判定することにしてもよい。
今回開示した実施形態は本発明の例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲及びその構成と均等な範囲内のすべての変更が含まれる。
そこで、路側通信機2同士が有線通信部22による通信が可能である場合には、その間の割当情報S5や位置情報の交換を有線通信で行うようにしてもよい。
すなわち、本明細書における車載通信機3の「車載」とは、車両5に固定的に搭載されるものだけでなく、車両5の運転時に一時的に搭載される場合も含まれる意味である。
すなわち、本発明にいう「路側通信機」は、各構成要素が必ずしも1つの筐体に収納されている必要はなく、通信部21,22と制御部23とが別筐体で構成される場合を含む広義のものである。
2 路側通信機
3 車載通信機
4 中央装置
5 車両
6 路側センサ(車両感知器)
20a アンテナ
20b アンテナ
21 無線通信部
22 有線通信部
23 制御部(選択部)
24 記憶部
40 受信部(復調部)
41 送信部
42 切替スイッチ
43 サーキュレータ
J 交差点
L1,L2 第1流入路(東西方向)
L3,L4 第2流入路(南北方向)
Claims (10)
- 車載通信機が送信した無線信号を受信する路側通信機であって、
交差点に流入する流入路の方向に対応する指向性を有する複数のアンテナと、
複数の前記アンテナのうちのいずれか1つを受信アンテナとして選択可能な選択部と、
前記受信アンテナが受信した前記無線信号を復調して受信データを取り出す復調部と、
前記流入路の状況に応じて時分割で割り当てられた受信時間を記憶する記憶部と、を備えており、
前記選択部は、記憶された前記受信時間に基づいて、前記アンテナを選択するタイミングを決定し、
記憶された前記受信時間は、前記流入路における車両感知器の設置状況に応じて時分割で割り当てられたものであることを特徴とする路側通信機。 - 複数の前記流入路は、前記設置状況が次の(x)の第1設置状況である第1流入路と、前記設置状況が次の(y)の第2設置状況である第2流入路とを含み、
前記第1流入路に対応する前記受信時間が、前記第2流入路に対応する前記受信時間よりも長めに設定されている請求項1に記載の路側通信機。
(x) 交通情報の推定精度が第2設置状況よりも低い第1設置状況
(y) 交通情報の推定精度が第1設置状況よりも高い第2設置状況 - 前記第1設置状況が次の(a)の状況であり、前記第2設置状況が次の(b)の状況である請求項2に記載の路側通信機。
(a) 車両感知器が未設置である状況
(b) 車両感知器が既設置である状況 - 前記第1設置状況が次の(c)の状況であり、前記第2設置状況が次の(d)の状況である請求項2に記載の路側通信機。
(c) 特定種別の車両感知器の設置間隔がより大である状況
(d) 同種の特定種別の車両感知器の設置間隔がより小である状況 - 前記第1設置状況が次の(e)の状況であり、前記第2設置状況が次の(f)の状況である請求項2に記載の路側通信機。
(e) 得られる情報の種類がより少ない車両感知器が設置されている状況
(f) 得られる情報の種類がより多い車両感知器が設置されている状況 - 前記第1設置状況が次の(g)の状況であり、前記第2設置状況が次の(h)の状況である請求項2に記載の路側通信機。
(g) 路車間通信が不能な車両感知器が設置されている状況
(h) 路車間通信が可能な車両感知器が設置されている状況 - 前記選択部は、前記交差点に流入する前記流入路の交通量に応じて、すべての前記アンテナを前記受信アンテナとして選択する全選択モードを実行可能である請求項1〜6のいずれか1項に記載の路側通信機。
- CSMA方式による車車間通信を無線で行う車載通信機と、
前記車載通信機が送信した前記無線信号を受信する請求項1〜7のいずれか1項に記載の路側通信機と、
を備えていることを特徴とする無線通信システム。 - 車載通信機が送信した無線信号を路側通信機が受信する方法であって、
交差点に流入する流入路の状況に応じて時分割で割り当てられた受信時間に基づいて、前記流入路の方向に対応する指向性を有する複数のアンテナのうちのいずれか1つを、受信アンテナとして選択するタイミングを決定するステップと、
前記受信アンテナが受信した前記無線信号を復調して受信データを取り出すステップと、を含み、
前記受信時間は、前記流入路における車両感知器の設置状況に応じて時分割で割り当てられたものであることを特徴とする無線信号の受信方法。 - 交差点に流入する流入路の方向に対応する指向性を有する複数のアンテナのうちのいずれか1つを、受信アンテナとして選択する選択部として、コンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムであって、
前記流入路の状況に応じて時分割で割り当てられた受信時間を記憶部から読み出すステップと、
読み出された前記受信時間に基づいて、前記アンテナを選択するタイミングを決定するステップと、を含み、
前記受信時間は、前記流入路における車両感知器の設置状況に応じて時分割で割り当てられたものであることを特徴とするコンピュータプログラム。
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