JP2013258467A - 路側通信機及び通信システム - Google Patents

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Shigeki Umehara
茂樹 梅原
Hideaki Shironaga
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Abstract

【課題】 GPS信号が受信できず、他の路側通信機からの時刻情報が受信できない場合であっても、時刻同期がとれるようにする。
【解決手段】 路側通信機は、自機のローカル時刻を補正する時刻補正部23A-1と、他の路側通信機2に時刻同期する機能を有する車載通信機3から無線送信されたデータを受信する受信部21と、を備えている。車載通信機3から無線送信されたデータには、時刻情報が含まれている。時刻補正部23A-1は、車載通信機3から無線送信されたデータに含まれる時刻情報を用いて、ローカル時刻を補正する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、例えば、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport System)に、好適に用いることができる路側通信機及び通信システムに関するものである。
近年、交通安全の促進や交通事故の防止を目的として、道路に設置されたインフラ装置からの情報を受信し、この情報を活用することで車両の安全性を向上させる高度道路交通システムが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
かかる高度道路交通システムは、主として、インフラ側の無線通信装置である複数の路側通信機と、各車両に搭載される無線通信装置である複数の車載通信機(移動体通信機)とによって構成される。
特許第2806801号公報 特開2011−199689号公報
隣接する路側通信機それぞれが同時に送信を行うと、車載通信機には、複数の路側通信機からの電波それぞれが到来し、いずれかの電波が干渉波となり、通信に支障を生じる。このため、複数の路側通信機間で、時刻同期をとって、電波干渉が生じる可能性のある位置関係にある路側通信機同士は、異なる時間帯で、送信を行うようにすべきである。
したがって、複数の路側通信機間では、同期がとれていることが好ましい。路側通信機の時刻同期の方法としては、例えば、路側通信機自身のローカル時刻をGPS(Global Positioning System)の時刻に合わせるGPS同期や、路側通信機自身のローカル時刻を他の路側通信機から無線送信された時刻情報(タイムスタンプ)に合わせるエア同期が考えられる(特許文献2参照)。
GSP同期を行うには、同期させたい路側通信機同士が、それぞれGPS受信機を有している必要があり、コスト高を招く可能性があるし、GPSを利用できない場合には、同期をとることができなくなる。
また、複数の路側通信機間でエア同期を行うには、当該複数の路側通信機同士の位置関係が、互いに通信できる位置関係、つまり、一方の路側通信機から送信された電波を他方の路側通信機にて受信できる位置関係、である必要がある。しかし、複数の路側通信機が、そのような位置関係にあるとは限らない。
例えば、一つの路側通信機の通信エリア(電波が届く範囲)が半径300m程度の範囲であるとする。この場合、車載通信機への電波干渉を避けるために、複数の路側通信機の通信エリアそれぞれが重ならないように、当該複数の路側通信機を設置すると、当該複数の路側通信機同士の距離は、例えば、1km程度となることがある。
この場合、複数の路側通信機同士は、通信できないため、エア同期は行えない。ただし、複数の路側通信機同士が通信できない場合であっても、当該複数の路側通信機の中間地点に存在する車載通信機には、複数の路側通信機それぞれから電波が届く可能性があるため、複数の路側通信機同士の同期がとれている必要がある。
また、複数の路側通信機同士の距離が、理論的には通信できる距離であったとしても、樹木や看板などの障害物の存在により、実際には通信できない場合がある。この場合も、当該複数の路側通信機の中間地点に存在する車載通信機には、複数の路側通信機それぞれから電波が届く可能性があるため、複数の路側通信機同士の同期がとれている必要がある。
このように、複数の路側通信機間でのエア同期を行うこともできず、GPS同期もできない場合には、路側通信機間での時刻同期をとることができなくなる。
また、時刻同期が必要な通信システムでは、路側通信機間での時刻同期が正確に行われているか否かの検証も必要となるが、路側通信機が、他の路側通信機との間で通信が行えない状況では、そのような検証も困難となる。
そこで、本発明は、路側通信機間で通信ができない場合において、路側通信機がGPS機能を用いなくても、移動体時刻情報を取得できるようにすることを目的とする。
(1)本発明は、自機のローカル時刻を補正する時刻補正部と、移動体通信機外部から取得した時刻情報に基づいて時刻同期する機能を有する移動体通信機から無線送信されたデータを受信する受信部と、を備え、前記移動体通信機から無線送信された前記データには、時刻情報が含まれ、前記時刻補正部は、前記移動体通信機から無線送信された前記データに含まれる前記時刻情報を用いて、前記ローカル時刻を補正することを特徴とする路側通信機である。
上記本発明によれば、路側通信機間で通信ができない場合において、路側通信機がGPS機能を用いなくても、移動体通信機から時刻情報を受信することができる。
(2)前記移動体通信機から無線送信された前記データに含まれる前記時刻情報の信頼性を示す情報に基づいて、前記データに含まれる前記時刻情報を用いた前記ローカル時刻の補正を行うか否かを判定する判定部を更に備え、前記時刻補正部は、前記判定部によって前記ローカル時刻の補正を行うよう判定された場合に、前記データに含まれる前記時刻情報を用いた前記ローカル時刻の補正を行うのが好ましい。この場合、時刻情報の信頼性に基づいて、ローカル時刻の補正を行うか否かを判定することができる。
(3)前記受信部は、前記移動体通信機以外の時刻情報送信源から送信された他の時刻情報も受信可能であり、前記移動体通信機から無線送信された前記データに含まれる前記時刻情報よりも優先して前記ローカル時刻の補正に用いられるべき他の時刻情報を受信できている場合には、前記時刻補正部は、前記移動体通信機から無線送信された前記データに含まれる前記時刻情報よりも前記他の時刻情報を優先的に用いて、前記ローカル時刻の補正を行うのが好ましい。
この場合、移動体通信機からの時刻情報よりも優先してローカル時刻の補正に用いられるべき他の時刻情報を受信できている場合には、当該他の時刻情報を優先的に用いて、ローカル時刻の補正が行われる。
(4)前記受信部は、他の路側通信機から送信された他の時刻情報も受信可能であり、前記他の路側通信機から送信された前記他の時刻情報を受信できている場合には、前記時刻補正部は、前記移動体通信機から無線送信された前記データに含まれる前記時刻情報よりも、前記他の路側通信機から送信された前記他の時刻情報を優先的に用いて、前記ローカル時刻の補正を行うのが好ましい。
この場合、他の路側通信機からの他の時刻情報を受信できている場合には、当該他の時刻情報を優先的に用いて、ローカル時刻の補正が行われる。
(5)前記時刻補正部は、前記他の時刻情報を所定の時間取得不能であった場合に、前記移動体通信機から無線送信された前記データに含まれる前記時刻情報を用いて、前記ローカル時刻の補正を行うのが好ましい。
この場合、他の時刻情報を所定の時間取得不能であった場合に、移動体通信機からの時刻情報が用いられる。
(6)前記受信部は、前記移動体通信機から無線送信された前記データに含まれる前記時刻情報(第1時刻情報)のほか、他の路側通信機から無線送信された第2時刻情報、及び、衛星測位システム信号に含まれる第3時刻情報を受信可能であり、前記第1、第2及び第3時刻情報に含まれる複数の時刻情報を受信できている場合には、前記時刻補正部は、以下1a)1b)に示す優先関係に基づいて、より優先して前記ローカル時刻の補正に用いられるべき時刻情報を用いて、前記ローカル時刻の補正を行うのが好ましい。
1a)第2時刻情報は、第1時刻情報よりも優先される。
1b)第3時刻情報は、第1時刻情報及び第2時刻情報よりも優先される。
(7)前記受信部は、前記移動体通信機から無線送信された前記データに含まれる前記時刻情報(第1時刻情報)のほか、他の路側通信機から無線送信された第2時刻情報、及び、自機に有線接続された時刻情報送信源から有線送信された第4時刻情報を受信可能であり、前記第1、第2及び第4時刻情報に含まれる複数の時刻情報を受信できている場合には、前記時刻補正部は、以下2a)2b)に示す優先関係に基づいて、より優先して前記ローカル時刻の補正に用いられるべき時刻情報を用いて、前記ローカル時刻の補正を行うのが好ましい。
2a)第1時刻情報は、第4時刻情報よりも優先される。
2b)第2時刻情報は、第1時刻情報及び第4時刻情報よりも優先される。
(8)前記受信部は、前記移動体通信機以外の時刻情報送信源から送信された他の時刻情報も受信可能であり、前記時刻補正部は、受信した時刻情報が示す時刻とローカル時刻とのずれが所定時間内であるときに、受信した時刻情報を用いて、前記ローカル時刻を補正し、前記所定時間は、受信した時刻情報の送信元が、前記移動体通信機であるか、前記移動体通信機以外の時刻情報送信源であるかによって異なるのが好ましい。
この場合、時刻情報送信源によって、受信した時刻情報が示す時刻とローカル時刻とのずれの許容度を異ならせることができる。
(9)他の観点からみた本発明は、受信した時刻情報に基づく時刻と、自機のローカル時刻と、を比較する比較部と、移動体通信機外部から取得した時刻情報に基づいて時刻同期する機能を有する移動体通信機から無線送信されたデータを受信する受信部と、を備え、前記移動体通信機から無線送信された前記データには、時刻情報が含まれ、前記比較部によって前記ローカル時刻と比較される前記時刻は、前記移動体通信機から無線送信された前記データに含まれる前記時刻情報に基づく時刻であることを特徴とする路側通信機である。
上記本発明によれば、路側通信機間で通信ができない場合において、路側通信機がGPS機能を用いなくても、移動体通信機から時刻情報を受信することができる。
(10)さらに他の観点からみた本発明は、前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の路側通信機を複数備えた通信システムである。
本発明によれば、路側通信機間で通信ができない場合において、路側通信機がGPS機能を用いなくても、移動体通信機から時刻情報を受信することができる。
高度道路交通システムの全体構成を示す概略斜視図である。 高度道路交通システムの管轄エリアの一部を示す道路平面図である。 路側通信機と車載通信機の内部構成を示すブロック図である。 路車間通信のタイムスロットの一例を示す概念図である。 通信フレームのフォーマットの一例を示す図であり、(a)は、路側通信機が送信する通信フレームのフォーマットであり、(b)は、車載通信機が送信する通信フレームのフォーマットである。 車載通信機によって路路間で時刻情報が中継される様子を示す図である。 同期モードの状態遷移図である。 GPS同期モードのフローチャートである。 中央装置同期モードのフローチャートである。 路路間動機モードのフローチャートである。 車路間同期モードのフローチャートである。 判定処理のフローチャートである。 判定処理のフローチャートである。
〔システムの全体構成〕
図1は、本発明の実施形態に係る高度道路交通システム(ITS)の全体構成を示す概略斜視図である。なお、本実施形態では、道路構造の一例として、南北方向と東西方向の複数の道路が互いに交差した碁盤目構造を想定している。
図1に示すように、本実施形態の高度道路交通システムは、交通信号機1、路側通信機2、移動体通信機としての車載通信機3(図2及び図3参照)、中央装置4、車載通信機3を搭載した車両5、及び、車両感知器や監視カメラ等よりなる路側センサ6を含む。
交通信号機1と路側通信機2は、複数の交差点Ji(図例では、i=1〜12)のそれぞれに設置されており、電話回線等の通信回線7を介してルータ8に接続されている。このルータ8は交通管制センター内の中央装置4に接続されている。
中央装置4(路側通信装置の管理装置)は、自身が管轄するエリアに含まれる各交差点Jiの交通信号機1及び路側通信機2とLAN(Local Area Network)を構成している。このように、中央装置4は、路側通信機2と有線接続されている。従って、中央装置4は、各交通信号機1及び各路側通信機2との間で双方向通信が可能である。なお、中央装置4は、交通管制センターではなく道路上に設置してもよい。
路側センサ6は、各交差点Jiに流入する車両台数をカウントする等の目的で、管轄エリア内の道路の各所に設置されている。この路側センサ6は、直下を通行する車両5を超音波感知する車両感知器、或いは、道路の交通状況を時系列に撮影する監視カメラ等よりなり、感知情報や画像データは通信回線7を介して中央装置4に送信される。
なお、図1及び図2では、図示を簡略化するために、各交差点Jiに信号灯器が1つだけ描写されているが、実際の各交差点Jiには、互いに交差する道路の上り下り用として少なくとも4つの信号灯器が設置されている。
〔中央装置〕
中央装置4は、ワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)等よりなる制御部を有しており、この制御部は、路側通信機2、路側センサ6からの各種の交通情報の収集・処理(演算)・記録、信号制御及び情報提供を統括的に行う。
具体的には、中央装置4の制御部は、自身のネットワークに属する交差点Jiの交通信号機1に対して、同一道路上の交通信号機1群を調整する系統制御や、この系統制御を道路網に拡張した広域制御(面制御)を行うことができる。
また、中央装置4は、通信回線7を介してLAN側と接続された通信インタフェースである通信部を有しており、この通信部は、信号灯器の灯色切り替えタイミングに関する信号制御指令や、渋滞情報等を含む交通情報を所定時間ごとに交通信号機1及び路側通信機2に送信している。また、中央装置4は、時刻情報を送信可能であり、時刻情報を、路側通信機2などに提供することができる。
また、中央装置4の通信部は、各交差点Jiに対応する路側通信機2から、その通信機2が車載通信機3から受信した車両5の現在位置等を含む車両情報、車両通過時に生じるパルス信号よりなる車両感知器(図示せず)の感知情報、及び、監視カメラが撮影した道路のデジタル情報よりなる画像データ等を受信しており、中央装置4の制御部は、これらの各種情報に基づいて前記系統制御や広域制御を実行する。
〔無線通信の方式等〕
図2は、上記高度道路交通システムの管轄エリアの一部を示す道路平面図である。
図2では、互いに交差する2つの道路の各々が上りと下りで片側1車線のものとして例示されているが、道路構造はこれに限られるものではない。
図2にも示すように、本実施形態の高度道路交通システムは、車載通信機3との間で無線通信が可能な複数の路側通信機2と、キャリアセンス方式で他の通信機2,3と無線通信を行う移動無線送受信機の一種である車載通信機(移動体通信機)3と備えた無線通信システムとしても機能している。
図1及び図2の例では、複数の路側通信機2は、それぞれ路側の交差点Jiごとに設置されていて、交通信号機1の支柱に取り付けられている。一方、車載通信機3は、道路を走行する車両5の一部又は全部に搭載されている。
車両5に搭載された各車載通信機3は、路側通信機2からのダウンリンク信号の到達範囲であるダウンリンクエリア(通信エリア)Aにおいてダウンリンク信号を受信可能である。
また、各路側通信機2は、自装置の通信エリアAの範囲内を走行する車載通信機3との無線通信が可能である。
このように、本実施形態のITSでは、車載通信機3同士(車車間通信)の通信と、路側通信機2と車載通信機3との間(「路」から「車」への路車間通信と「車」から「路」への車路間通信との双方を含む。)の通信については、無線通信が用いられている。
また、本実施形態では、隣接する路側通信機2同士が、十分に近ければ、路側通信機2同士での無線通信(路路間通信)も可能である。
路側通信機2は、自身が無線送信するための専用のタイムスロット(図4の第1スロットT1)をTDMA方式で割り当てており、このタイムスロット以外の時間帯(図4の第2スロットT2)には無線送信を行わない。
すなわち、路側通信機2用のタイムスロット以外の時間帯は、車載通信機3のためのCSMA方式による送信時間として開放されている。
また、路側通信機2は、自身の送信タイミングを制御するために他の路側通信機2との時刻同期機能を有している。
この路側通信機2の時刻同期は、例えば、自身の時計の時刻(ローカル時刻)をGPS衛星から取得した時刻情報が示す時刻に合わせるGPS同期や、自身の時計の時刻(ローカル時刻)を他の路側通信機2からの時刻情報が示す時刻に合わせるエア同期(路路間同期)によって行うことができる。
さらに、本実施形態の路側通信機2は、中央装置4から取得した時刻情報が示す時刻に合わせる中央装置同期も行うことができる。
車載通信機3は、路側通信機2から時刻情報(タイムスタンプ)を取得し、自身の時計の時刻(ローカル時刻)を当該路側通信機2からの時刻情報が示す時刻にあわせるエア同期(路車間同期)を行うことができる。また、車載通信機3は、GPS同期を行うことで、GPS同期を行う路側通信機2に対して間接的に同期するものであってもよい。
また、本実施形態の路側通信機2は、車載通信機3から取得した時刻情報(タイムスタンプ)が示す時刻に合わせるエア同期(車路間同期)を行うことで、間接的に、他の路側通信機2との時刻同期をとることもできる(詳細は後述)。
〔路側通信機及び車載通信機〕
図3は、路側通信機2と車載通信機3の内部構成を示すブロック図である。
図3(a)に示すように、路側通信機2は、各種の通信機能を備えた送受信部(受信部)21と、通信制御及び路側通信機におけるその他の制御を行う制御部23と、制御部23に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部24と、を備えている。
送受信部21は、無線通信機21aと、GPS受信機21bと、有線通信機21cと、を含んでいる。無線通信機21aは、他の無線通信機(路側通信機2及び車載通信機3)との間で無線通信を行うためのものである。GPS受信機21bは、GPS信号(衛星測位システム信号)を受信するためのものである。有線通信機21cは、路側通信機2の管理装置である中央装置4との間で有線通信を行うためのものである。なお、路側通信機2と中央装置4との間の一部の通信回線が、無線伝送路であってもよい。
路側通信機2の記憶部24は、制御部23が実行する制御処理のためのコンピュータプログラムや、各通信機2,3の通信機ID等を記憶している。
路側通信機2の制御部23は、上記コンピュータプログラムの実行によって達成される機能として、送受信部21(無線通信機21a)による送信タイミングを制御する機能のほか、時刻管理部23Aとしての機能を有している。
時刻管理部23Aは、さらに、時刻補正部23A−1、判定部23A−2、比較部23A−3としての機能を有している。
路側通信機2の制御部23は、他の路側通信機2との間で送信タイミングを同期させつつ、自機2に割り当てられた所定のスロット番号iのタイムスロットT1(図4参照:以下、「スロットi」ということがある。)内において、所定の送信時間だけ無線送信を行う。
また、制御部23は、他の路側通信機2に割り当てられたタイムスロットT1及び車載通信機3に割り当てられたタイムスロットT2において、他の路側通信機2及び車載通信機3から無線送信されたデータを受信することができる。
図3(b)に示すように、車載通信機3は、無線通信のためのアンテナ30に接続された通信部(送受信部)31と、この通信部31に対する通信制御を行うプロセッサ等よりなる制御部32と、この制御部32に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部33とを備えている。
記憶部33は、制御部32が実行する通信制御のためのコンピュータプログラムや、各通信装置2,3の通信機ID等を記憶している。
車載通信機3の制御部32は、車車間通信のためのキャリアセンス方式による無線通信を通信部31に行わせるものであり、路側通信機2のような時分割多重方式での通信制御機能は有していない。
従って、車載通信機3の通信部31は、所定の搬送波周波数の受信レベルを常時感知しており、その値がある閾値以上である場合は無線送信を行わず、当該閾値未満になった場合にのみ無線送信を行うようになっている。
車載通信機3の制御部32は、前記コンピュータプログラムを実行することで達成される機能部として、通信部31の無線送信タイミングを制御する送信制御部32Aと、通信部31の受信データの中継処理を行うデータ中継部32Bと、受信したタイムスタンプTs(時刻情報)を補正して補正時刻値Taを求める時刻補正部32Cとを有する。
車載通信機3の送信制御部32Aは、路側通信機2から取得したスロット情報に基づき、自身に許容された無線送信の時間帯を設定し、この時間帯だけ通信部31に無線送信を行わせる。
また、車載通信機3の送信制御部32Aは、時刻情報、車両5(車載通信機3)の現時の位置、方向及び速度等を含む車両情報を通信フレームに格納し、この通信フレームを、通信部31を介して外部にブロードキャストで無線送信させる。
車載通信機3のデータ中継部32Bは、通信部31が受信した通信フレームから所定のデータを抽出し、抽出したデータを送信フレームに含めて同通信部31に送信させる中継処理を行うことができる。
例えば、データ中継部32Bは、路側通信機2のダウンリンク信号から交通情報や他の車両5の車両情報を抽出し、抽出したデータを含む送信フレームを生成して通信部31に送信させる。
本実施形態では、車載通信機3の制御部32は、他の車両5(車載通信機3)から直接受信した車両情報や、路側通信機2から受信した他の車両5の車両情報に含まれる、位置、速度及び方向に基づいて、右直衝突や出合い頭衝突等を回避する安全運転支援制御を行うことができる。
さて、路側通信機2の制御部23は、自機2のローカル時刻が示す現在時刻に対して補正を加えたタイムスタンプTs(時刻情報)を、無線通信機21aからブロードキャスト送信させることができる。
なお、現在時刻に対する補正は、送信処理に伴う遅延を考慮した補正であり、例えば、タイプスタンプTsを送信情報中にセットしてから、実際に送信アンテナから電波として送信されるまでの遅延時間を、予め現在時刻に加算することで行われる。これにより、タイムスタンプTs(時刻情報)が示す時刻が、実際にタイムスタンプTsが送出された時刻とほぼ一致するようになる。
また、車載通信機3の時刻補正部32Cは、受信したタイムスタンプTs(時刻情報)に対して補正を加えた補正時刻値を求め、当該補正時刻値を自機3のローカル時刻としてセットする。タイムスタンプTsに対する補正は、受信処理に伴う遅延を考慮した補正であり、例えば、タイムスタンプTsの情報を含む信号を受信してから、タイムスタンプTsを情報として抽出するまでの遅延時間を、タイムスタンプTsに加算することで行われる。これにより、補正時刻値は、送信側である通信機2,3のローカル時刻とほぼ一致するようになる。
〔タイムスロットの内容〕
図4は、路車間通信のタイムスロットの一例を示す概念図である。
図4に示すように、路車間通信のタイムスロットは、第1スロットT1と第2スロットT2とを含み、これらの合計期間が一定のスロット周期Csで繰り返ようになっている。各スロット周期Csの第1スロットT1は、路側通信機2用のタイムスロットであり、この時間帯では路側通信機2による無線送信が許容される。
第1スロットT1にはスロット番号iが付されており、このスロット番号iは周期的にインクリメント(デクリメントであってもよい。)される。
また、第2スロットT2は、車載通信機3用のタイムスロットであり、この時間帯は車載通信機3による無線送信用として開放するため、路側通信機2の送信制御部23Aは第2スロットT2では無線送信を行わない。
スロット番号iは、予め定められた所定数nとなると当初番号(図例ではi=1)に戻る。従って、n回分のスロット周期Csをメイン周期Cmとすると、各スロット番号i〜nの第1スロットT1はそのメイン周期Cmごとに1回ずつ生じる。
なお、各周期Cs,Cmの時間長やスロット周期Csの総数nについては、システム事業者が適宜設定することができるが、本実施形態では、一例として、Cs=10ms、Cm=100ms及びn=10とする。
図4において、スロット番号i=1〜3の第1スロットT1に記したドット●は、当該スロット番号iの第1スロットT1に無線送信する路側通信機2を示し、ドット●が複数あるスロット1,2は、複数の路側通信機2が共用していることを示す。
すなわち、図4の例では、スロット1を、交差点J1と交差点J11に設置された2つの路側通信機2が共用しており、スロット2を、交差点J2、交差点J9、交差点J10に設置された3つの路側通信機2が共用している。
その理由は、例えば図1の交差点J1と交差点J11のように、距離が離れた路側通信機2同士はダウンリンクエリアAが重複しておらず、1つの車載通信機3が複数の路側通信機2から同時にダウンリンク信号を受ける直接干渉が生じないか、或いはその可能性が極めて低いことから、これらに同じスロットiを設定して各路側通信機2の送信時間が重複しても、車載通信機3が各路側通信機2からダウンリンク信号を適切に受信できるからである。
一方、1つの車載通信機3について上記直接干渉が発生し得る、比較的近い位置関係にある路側通信機2同士の場合は、スロット番号iを同じに設定して送信時間を重複させることはできない。
もっとも、直接干渉が発生し得る路側通信機2同士でも、第1スロットT1内において時分割で送信時間をスケジューリングすれば、同じスロット番号iを共用することもできる。
[通信フレーム]
図5(a)は、路側通信機2から送信される通信フレームのフォーマットの一例を示し、図5(b)は、車載通信機2から送信される通信フレームのフォーマットの一例を示している。
図5に示すフォーマットは、IEEE802.11に準拠しており、図5(a)(b)ともに、基本的には、共通している。
ヘッダには、当該通信フレームが路側通信機2及び車載通信機3のうちのいずれか送信されたものであるかを示す路/車フラグが設けられている。通信フレームを送信する通信機2,3は、自機が路側通信機であれば、路/車フラグを、路側通信機を示す状態にセットし、自機が車載通信機であれば、路/車フラグを、車載通信機を示す状態にセットする。
したがって、通信フレームの受信側は、路/車フラグを参照することで、受信した通信フレームが、路側通信機2及び車載通信機3のうちのいずれか送信されたものであるかを識別することができる。
また、時刻情報(タイムスタンプTs)は、通信フレームにおける所定の位置(例えば、データ部分の先頭から30バイトの部分)に格納されている。
車載通信機3から送信された通信フレームのヘッダには、中継回数情報が含まれている。中継回数情報は、路側通信機2から送信された情報が、データ中継部32Bによるデータ中継機能によって中継された回数を示す情報である。中継回数情報は、情報が中継される毎に、データ中継部32Bによって更新される。なお、中継可能回数は、データ部分に格納されていてもよい。
車載通信機3から送信された通信フレームのデータ部分には、時刻情報のほか、路車同期フラグと、当該通信フレームを送信した車載通信機3の種類を示す種類情報が格納されている。
路車同期フラグは、当該通信フレームを送信した車載通信機3が、路側通信機2との間で同期をとっている状態であるか、それとも、路側通信機2からタイムスタンプTsを取得できておらず、路側通信機2との間で同期がとれていない状態であるかを示すフラグである。
[時刻同期]
図6に示すように、本実施形態に係る通信システムでは、互いに同期させたい路側通信機2A,2B同士が通信できないほどの位置関係(例えば、電波が届かないほど離れている)にあっても、車載通信機3が、一方の路側通信機2AからタイムスタンプTs(時刻情報)を取得し、他方の路側通信機2Bに対して、そのタイムスタンプTsを送信(転送)することで、路側通信機2A,2B間の時刻同期をとることができる。
路側通信機2Bが、路側通信機2Aが生成したタイムスタンプTs(時刻情報)を、車載通信機3経由で取得するには、図6(a)に示すように、1台の車両5Aの車載通信機3だけを経由させてもよいし、図6(b)に示すように、複数台の車両5A,5Bの車載通信機3を経由させてもよい。
車載通信機3が、路側通信機2又は他の車載通信機3から取得したタイムスタンプTsの転送は、データ中継部32Bによるデータ中継機能によって行われる。
なお、データ中継部32Bが中継するタイムスタンプTsは、路側通信機2又は他の車載通信機3から受信したタイムスタンプTsそのものであってもよいし、当該タイムスタンプTsに基づいて補正された時刻補正値であってもよい。
[路側通信機の同期処理]
図7〜図13は、路側通信機2における同期処理を示している。
路側通信機2は、同期処理に関し、図7に示すように複数(4つ)の同期モードを有している。複数の同期モードには、GPS同期モード、路路間同期モード、車路間同期モード、及び中央装置同期モードが含まれる。
GPS同期モードは、GPS信号の時刻情報が示す時刻に同期するモードである。GPS同期モードにおいては、時刻補正部23A−1が、GPS受信機21bにて受信されたGPS信号(衛星測位システム信号)に含まれる時刻情報を用いて、自機2のローカル時刻を補正する。
路路間同期モードは、他の路側通信機からの時刻情報が示す時刻に同期するモードである。路路間同期モードにおいては、他の路側通信機2から送信されたタイムスタンプ(時刻情報)Tsを取得し、時刻補正部23A−1が、取得したタイムスタンプTsを用いて、自機2のローカル時刻を補正する。
路車間同期モードは、車載通信機3からの時刻情報が示す時刻に同期するモードである。路車間同期モードにおいては、車載通信機3から送信(転送)されたタイムスタンプ(時刻情報)Tsを取得し、時刻補正部23A−1が、取得したタイムスタンプTsを用いて、自機2のローカル時刻を補正する。
中央装置同期モードは、中央装置4から送信された時刻情報に同期するモードである。中央装置同期モードにおいては、時刻補正部23A−1が、有線通信機21cにて受信された中央装置4からの時刻情報を用いて、自機2のローカル時刻を補正する。
以下では、受信した時刻情報(タイムスタンプ)を、送信源毎に区別するため、第1〜第4時刻情報を、次のように定義する。
第1時刻情報:車載通信機3から受信した時刻情報
第2時刻情報:他の路側通信機2から受信した時刻情報
第3時刻情報:GPS衛星から受信した時刻情報
第4時刻情報:中央装置4から受信した時刻情報
本実施形態の路側通信機4の送受信部(受信部)21は、無線通信機21aのほか、GPS受信機21b及び有線通信機21cを備えているため、上記の第1〜第4時刻情報を受信可能である。
路側通信機2が、上記の第1〜第4時刻情報のうち、一つの時刻情報だけを受信できている場合には、受信できている時刻情報を用いて、自機2のローカル時刻の補正を行えばよい。
路側通信機2が、第1〜第4時刻情報のうち、いずれか任意の複数の時刻情報を受信できている場合には、以下に示す優先順位において、より優先順位の高い時刻情報を用いて、自機2のローカル時刻の補正を行う。
優先順位:
第3時刻情報 > 第2時刻情報 > 第1時刻情報 > 第4時刻情報
上記の優先順位は、時刻情報の精度に応じた順位となっている。つまり、GPS衛星から受信した第3時刻情報の優先順位が最も高いのは、当該第3時刻情報の精度が最も高いと考えられるからである。また、中央装置から受信した第4時刻情報の優先順位が最も低いのは、中央装置から送信される第4時刻情報には誤差が多く含まれ、精度が最も低いと考えられるからである。
路側通信機2から受信した時刻情報は、時刻情報送信源となった路側通信機2が、GPS信号の時刻情報に同期している場合を想定すると、GPS信号の時刻情報よりは精度が低下すると考えられる。
また、車載通信機2から受信した時刻情報は、時刻情報送信源となった車載通信機2が、路側通信機2の時刻情報に同期している場合であっても、車載通信機2による転送のため、誤差が生じ、路側通信機2からの時刻情報よりは精度が低下すると考えられる。
そして、前記4つの同期モードの優先順位は、GPS同期モードの優先順位が最も高く、路路間同期モード、車路間同期モード、中央装置同期モードの順で優先順位が下がる。
GPS受信機21bを搭載している路側通信機2の場合、初期設定では、GPS同期モードとなっており、GPS信号を用いた同期処理を行う。路側通信機2の制御部23は、GPS信号(に含まれる第3時刻情報)を取得(受信)可能な状態が続けば、GPS同期モードを維持するが、GPS信号(第3時刻情報)を取得不能である時間が、所定時間以上続くと、次の優先順位を持つ路路間同期モードに遷移する。
第3時刻情報を受信できているか否かは、制御部23が、GPS受信機21bから時刻情報を取得できているか否かによって判定される。
路側通信機2の制御部23は、他の路側通信機2からの第2時刻情報を取得(受信)可能な状態であれば、路路間同期モードを維持するが、第2時刻情報を取得不能である時間が、所定時間以上続くと、次の優先順位を持つ車路間同期モードに遷移する。
路側通信機2の制御部23は、車載通信機3からの第1時刻情報を取得(受信)可能な状態であれば、車路間同期モードを維持する。
第1時刻情報又は第2時刻情報を受信できているか否かは、制御部23が、無線通信機23cから時刻情報(通信フレーム)を取得できているか否かによって判定される。
また、無線通信機23cから取得した時刻情報が、第1時刻情報であるか第2時刻情報であるかは、制御部23が、通信フレーム中の路/車フラグを参照することによって、判定される。
車路間同期モードにおいて、第1時刻情報を取得不能である時間が、所定時間以上続くと、次の優先順位を持つ中央装置同期モードに遷移する。中央装置4からの時刻情報は、精度は必ずしも良くないが、路側通信機2と中央装置4とは、有線接続されているため、電波障害によって受信不能となるおそれが低く、比較的確実に時刻情報を取得できるため、精度はさておき同期を維持することができる。
なお、より低い優先順位の同期モードにあるときに、より高い優先順位の時刻情報を受信できるようになった場合には、受信できるようになった時刻情報を用いた同期モードに優先的に遷移する。
GPS同期モードにおいては、図8に示すように、GPS受信機21bがGPS信号に含まれる第3時刻情報を取得する(ステップS11)。時刻補正部23A−1は、受信した第3時刻情報を用いて、自機2のローカル時刻の補正を行う(ステップS12)。
中央装置同期モードにおいては、図9に示すように、有線通信機21cが、中央装置4から送信された第4時刻情報を取得する(ステップS21)。時刻補正部23A−1は、受信した第4時刻情報を用いて、自機2のローカル時刻の補正を行う(ステップS13)。
路路間同期モードにおいては、図10に示すように、無線通信機21aが、他の路側通信機2に割り当てられた第1スロットT1において、他の路側通信機2から送信された通信フレーム(データ)を受信する(ステップS31)。制御部23は、受信した通信フレームから、時刻情報(タイムスロットTs)を取得する(ステップS32)。
続いて、判定部23A−2は、受信した時刻情報を用いた時刻補正を行うか否かを判定する(図12参照。詳細は後述)。
判定処部23A−2によって時刻補正可と判定された場合、時刻補正部23A−1は、受信した時刻情報を用いて、自機2のローカル時刻の補正を行う。なお、時刻補正部23A−1は、車載通信機3の時刻補正部32Cと同様に、受信したタイムスタンプTs(時刻情報)に対して補正を加えた補正時刻値を求め、当該補正時刻値を自機2のローカル時刻としてセットしてもよいし、タイムスタンプTsが示す時刻自体を、自機2のローカル時刻としてセットしてもよい。
時刻補正値を自機2のローカル時刻としてセットすることで、受信処理に伴う遅延をキャンセルすることができる。
車路間同期モードにおいては、図11に示すように、無線通信機21aが、車載通信機3の送信用スロットである第2スロットT2において、車載通信機3から送信された通信フレームを受信する(ステップS41)。制御部23は、受信した通信フレームから、時刻情報(タイムスロットTs)を取得する(ステップS32)。
続いて、判定部23A−2は、受信した時刻情報を用いた時刻補正を行うか否かを判定する(図13参照。詳細は後述)。
判定処部23A−2によって時刻補正可と判定された場合、時刻補正部23A−1は、受信した時刻情報を用いて、自機2のローカル時刻の補正を行う。なお、時刻補正部23A−1は、車載通信機3の時刻補正部32Cと同様に、受信したタイムスタンプTs(時刻情報)に対して補正を加えた補正時刻値を求め、当該補正時刻値を自機2のローカル時刻としてセットしてもよいし、タイムスタンプTsが示す時刻自体を、自機2のローカル時刻としてセットしてよい。
路路間同期モードにおける判定処理(ステップS33)は、図12に示すように実行される。
まず、比較部23A−3は、取得した時刻情報が示す時刻と、自機2のローカル時刻とのずれを求める比較処理を行う(ステップS51)。
そして、判定部23A−2は、比較部23A−3が求めたずれが所定時間(第1の所定時間;例えば、16μsec)内であるか否かを判定する(ステップS52)。
比較部23A−3が求めたずれが所定時間(第1の所定時間)内である場合には、判定部23A−2は、判定結果を、時刻補正可にセットし(ステップS53)、判定処理を終了する。
比較部23A−3が求めたずれ(時刻情報の信頼性を示す情報)が所定時間(第1の所定時間)を超えている場合には、時刻情報の送信元である他の路側通信機2のローカル時刻が、自機2のローカル時刻に対して大きく異なっており、当該他の路側通信機2のローカル時刻の信頼性が低い可能性がある。このような場合、当該他の路側通信機2との間で時刻同期をとらないほうが良い。
そこで、判定部23A−2は、判定結果を、時刻補正不可にセットする(ステップS54)。また、制御部23は、比較部23A−3が求めたずれが所定時間(第1の所定時間)を超えていることを異常情報として、中央装置4へ通知する(ステップS55)。
なお、路路間同期モードにおいて、比較部23A−3が求めたずれが所定時間(第1の所定時間)を超えている場合には、車路間同期モードに遷移することができる。
また、制御部23は、他の路側通信機2から取得した時刻情報の信頼性と、車載通信機3から取得した時刻情報の信頼性とを、比較し、信頼性のより高い時刻情報を、時刻補正に用いても良い。
車路間同期モードにおける判定処理(ステップS43)は、図13に示すように実行される。
まず、判定部23A−2は、受信した通信フレーム中の路車同期フラグ(時刻情報の信頼性を示す情報)を参照し、受信した通信フレームの送信元の車載通信機3が、路側通信機2との間で同期をとっている状態であるか否かを判定する(ステップS61)。つまり、受信した時刻情報が、路側通信機2に由来する時刻情報であるか、それとも、路側通信機2と同期のとれていない車載通信機3からの時刻情報であるか否かの判定が行われる。
路側通信機2と同期のとれていない車載通信機3からの時刻情報である場合には、判定部23A−2は、判定結果を、時刻補正不可にセットし(ステップS68)、判定処理を終了する。
受信した時刻情報が、路側通信機2に由来する時刻情報である場合、ステップS61に続けて、判定部23A−2は、通信フレーム中の中継回数情報(時刻情報の信頼性を示す情報)を参照し、中継回数に関する判定を行う(ステップS62)。
車載通信機2による中継回数が多いと、中継に伴う誤差が蓄積するため、中継回数の多い時刻情報は、時刻補正に用いないほうが好ましい。中継回数に関する判定は、例えば、所定の閾値と中継回数を比較し、中継回数が閾値よりも多いか少ないかによって判定することができる。
中継回数が多い場合、判定部23A−2は、判定結果を、時刻補正不可にセットし(ステップS68)、判定処理を終了する。
中継回数が少ない場合、ステップS62に続けて、判定部23A−2は、通信フレーム中の種類情報(時刻情報の信頼性を示す情報)を参照し、送信元の車載通信機2の種類に関する判定を行う(ステップS63)。
車載通信機2による時刻情報の中継の際に、当該車載通信機2によってどのような処理が行われるかは、車載通信機2の種類によって異なる可能性がある。例えば、車載通信機2が受信したタイムスタンプTsそのものを中継する場合や、タイムスタンプTsから求めた時刻補正値を新たなタイムスタンプTsとして中継する場合がある。また、車載通信機2の性能によって中継のための処理時間が異なる場合があり、処理時間が長くなると、その分、タイムスタンプTsに対する誤差が大きくなる。
判定部23−A2は、通信フレーム中の種類情報(時刻情報の信頼性を示す情報)を参照し、時刻情報の信頼性が比較的高い、特定の種類の車載通信機3であるか否かを判定する。時刻情報の信頼性が比較的高い、特定の種類の車載通信機3ではない場合、判定部23A−2は、判定結果を、時刻補正不可にセットし(ステップS68)、判定処理を終了する。
時刻情報の信頼性が比較的高い、特定の種類の車載通信機3である場合、ステップS63に続けて、比較部23A−3は、取得した時刻情報が示す時刻と、自機2のローカル時刻とのずれを求める比較処理を行う(ステップS64)。
そして、判定部23A−2は、比較部23A−3が求めたずれが所定時間(第2の所定時間)内であるか否かを判定する(ステップS65)。第2の所定時間は、第1の所定時間よりも長く設定されている。
比較部23A−3が求めたずれが所定時間(第2の所定時間)内である場合には、判定部23A−2は、判定結果を、時刻補正可にセットし(ステップS66)、判定処理を終了する。
比較部23A−3が求めたずれ(時刻情報の信頼性を示す情報)が所定時間(第2の所定時間;例えば、32μsec)を超えている場合には、時刻情報の送信元である車載通信機3が送信した時刻情報が示す時刻が、自機2のローカル時刻に対して大きく異なっており、当該車載通信機3が送信した時刻情報の信頼性が低い可能性がある。このような場合、当該車載通信機3が送信した時刻情報を用いて時刻補正をしないほうが良い。
そこで、制御部23は、比較部23A−3が求めたずれが所定時間(第2の所定時間)を超えていることを異常情報として、中央装置4へ通知し(ステップS67)、判定部23A−2は、判定結果を、時刻補正不可にセットする(ステップS68)。
ずれに関する判定に用いられる車路間同期モードにおける第2の所定時間は、路路間同期モードにおける第1の所定時間よりも長く設定されているため、車路間同期モードでは、取得した時刻情報が示す時刻が、自機2のローカル時刻とのずれが多少大きいものであっても、時刻補正がなされる。車路間同期モードは、GPS同期モードも路路間同期モードも実行できない場合に実行されるため、ずれに対する許容度を高くすることで、さらに精度の低い中央装置からの時刻情報を用いた時刻補正を回避しつつ、確実に、時刻同期を行うことができる。
また、他の路側通信機2の異常検出という観点からみても、車載通信機3経由で取得した時刻情報は、含まれる誤差が大きい可能性があるため、他の路側通信機2の異常のおそれを検出する際にも、第2の所定時間が長いほうが好ましい。
なお、ステップS61〜ステップS65における処理(取得した時刻情報の信頼性に関する判定処理)は、すべて行う必要はなく、一部の処理だけを行っても良い。また、処理の順番も図示したものに限定されない。
図13では、ステップS61,S62,S63,S65の判定において、いずれか一つでも、補正不可となる判定結果が生じると、補正不可となるが、複数の判定に基づいて、時刻情報の信頼性をスコア化し、スコア化された信頼性に基づいて、補正可とするか、補正不可とするか判断してもよい。
また、複数の車載通信機3から時刻情報を取得できている場合には、制御部23は、それぞれの時刻情報について、ステップS61〜ステップS65における処理と同様の判定によって、スコア化された信頼性を求め、それぞれの時刻情報についてのスコア化された信頼性に基づいて、時刻補正に用いる時刻情報を選択してもよい。これにより、例えば、スコア化された信頼性の最も高い時刻情報を、時刻補正に用いることができる。
今回開示した各実施形態は本発明の例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、上記実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲とその構成と均等な意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
例えば、上記実施形態の高度道路交通システムおいて、移動体通信機としては、車載通信機3の代わりに或いは車載通信機3に加えて、歩行者等が携帯する通信機(携帯通信端末)を用いることもできる。
2 路側通信機
3 車載通信機(移動体通信機)
23 制御部
23A 時刻管理部
23A−1 時刻補正部
23A−2 判定部
23A−3 比較部
21 送受信部(受信部)

Claims (10)

  1. 自機のローカル時刻を補正する時刻補正部と、
    移動体通信機外部から取得した時刻情報に基づいて時刻同期する機能を有する移動体通信機から無線送信されたデータを受信する受信部と、
    を備え、
    前記移動体通信機から無線送信された前記データには、時刻情報が含まれ、
    前記時刻補正部は、前記移動体通信機から無線送信された前記データに含まれる前記時刻情報を用いて、前記ローカル時刻を補正する
    ことを特徴とする路側通信機。
  2. 前記移動体通信機から無線送信された前記データに含まれる前記時刻情報の信頼性を示す情報に基づいて、前記データに含まれる前記時刻情報を用いた前記ローカル時刻の補正を行うか否かを判定する判定部を更に備え、
    前記時刻補正部は、前記判定部によって前記ローカル時刻の補正を行うよう判定された場合に、前記データに含まれる前記時刻情報を用いた前記ローカル時刻の補正を行う
    請求項1記載の路側通信機。
  3. 前記受信部は、前記移動体通信機以外の時刻情報送信源から送信された他の時刻情報も受信可能であり、
    前記移動体通信機から無線送信された前記データに含まれる前記時刻情報よりも優先して前記ローカル時刻の補正に用いられるべき他の時刻情報を受信できている場合には、前記時刻補正部は、前記移動体通信機から無線送信された前記データに含まれる前記時刻情報よりも前記他の時刻情報を優先的に用いて、前記ローカル時刻の補正を行う
    請求項1又は2記載の路側通信機。
  4. 前記受信部は、他の路側通信機から送信された他の時刻情報も受信可能であり
    前記他の路側通信機から送信された前記他の時刻情報を受信できている場合には、前記時刻補正部は、前記移動体通信機から無線送信された前記データに含まれる前記時刻情報よりも、前記他の路側通信機から送信された前記他の時刻情報を優先的に用いて、前記ローカル時刻の補正を行う
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の路側通信機。
  5. 前記時刻補正部は、前記他の時刻情報を所定の時間取得不能であった場合に、前記移動体通信機から無線送信された前記データに含まれる前記時刻情報を用いて、前記ローカル時刻の補正を行う
    請求項3又は4記載の路側通信機。
  6. 前記受信部は、前記移動体通信機から無線送信された前記データに含まれる前記時刻情報(本請求項において、以下、「第1時刻情報」という)のほか、他の路側通信機から無線送信された第2時刻情報、及び、衛星測位システム信号に含まれる第3時刻情報を受信可能であり、
    前記第1、第2及び第3時刻情報に含まれる複数の時刻情報を受信できている場合には、前記時刻補正部は、以下1a)1b)に示す優先関係に基づいて、より優先して前記ローカル時刻の補正に用いられるべき時刻情報を用いて、前記ローカル時刻の補正を行う
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の路側通信機。
    1a)第2時刻情報は、第1時刻情報よりも優先される。
    1b)第3時刻情報は、第1時刻情報及び第2時刻情報よりも優先される。
  7. 前記受信部は、前記移動体通信機から無線送信された前記データに含まれる前記時刻情報(本請求項において、以下、「第1時刻情報」という)のほか、他の路側通信機から無線送信された第2時刻情報、及び、自機に有線接続された時刻情報送信源から有線送信された第4時刻情報を受信可能であり、
    前記第1、第2及び第4時刻情報に含まれる複数の時刻情報を受信できている場合には、前記時刻補正部は、以下2a)2b)に示す優先関係に基づいて、より優先して前記ローカル時刻の補正に用いられるべき時刻情報を用いて、前記ローカル時刻の補正を行う
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の路側通信機。
    2a)第1時刻情報は、第4時刻情報よりも優先される。
    2b)第2時刻情報は、第1時刻情報及び第4時刻情報よりも優先される。
  8. 前記受信部は、前記移動体通信機以外の時刻情報送信源から送信された他の時刻情報も受信可能であり、
    前記時刻補正部は、受信した時刻情報が示す時刻とローカル時刻とのずれが所定時間内であるときに、受信した時刻情報を用いて、前記ローカル時刻を補正し、
    前記所定時間は、受信した時刻情報の送信元が、前記移動体通信機であるか、前記移動体通信機以外の時刻情報送信源であるかによって異なる
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の路側通信機。
  9. 受信した時刻情報に基づく時刻と、自機のローカル時刻と、を比較する比較部と、
    移動体通信機外部から取得した時刻情報に基づいて時刻同期する機能を有する移動体通信機から無線送信されたデータを受信する受信部と、
    を備え、
    前記移動体通信機から無線送信された前記データには、時刻情報が含まれ、
    前記比較部によって前記ローカル時刻と比較される前記時刻は、前記移動体通信機から無線送信された前記データに含まれる前記時刻情報に基づく時刻である
    ことを特徴とする路側通信機。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の路側通信機を複数備えた通信システム。
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