JP5088392B2 - 無線通信システムとこれに用いる路側通信機及びタイムスロットの割当方法 - Google Patents
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Description
かかる高度道路交通システムは、主として、インフラ側の無線通信装置である複数の路側通信機と、各車両に搭載される無線通信装置である複数の車載通信機とによって構成される。
そこで、路側通信機の情報送信を優先的に行うためには、通信を行う時間を分割して路側通信機の送信専用のタイムスロットを設ける、時分割多重(TDMA:Time Division Multiple Access)によるマルチアクセスが有効となる。
なお、この場合、各路側通信機からの送信タイミングを制御するため、各路側通信機は他の路側通信機との時刻同期機能を有している必要がある。
特に、ITS用の通信帯域としては、700MHz帯で概ね10MHz幅とする規格が検討されており、かかる比較的狭い帯域幅の場合は、路側通信機の送信信号が到達するダウンリンクエリアでの車載通信機の送信時間を如何に有効に確保するかが問題となる。
このように路側通信機を複数の交差点に設置する場合には、ダウンリンクエリアが重複する範囲にある車載通信機に対する電波干渉(以下、「直接干渉」ということがある。)が生じないように、当該直接干渉が発生する位置関係にある路側通信機の送信時間を、異なるタイムスロットに割り当てるのが合理的である。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み、複数の路側通信機が無線通信を行うためのタイムスロットを割り当てる場合において、必要なスロット数を少なくして移動通信機の送信機会を有効に確保することを第1の目的とする。
しかし、直接干渉が生じない位置関係にある複数の路側通信機であっても、各路側通信機のタイムスロットのスロット長が揃っていないと、特定の車載通信機に対して、路側通信機からのダウンリンク信号と、他の車載通信機からの送信信号とが電波干渉する(以下、「間接干渉」ということがある。)ことがあり、このため、当該特定の車載通信機がダウンリンク信号を適切に受信できない場合がある。
(a) 1つの移動通信機に対して複数の路側通信機からのダウンリンク信号が同時に到達する直接干渉
このため、移動通信機の送信機会をより有効に確保することができ、前記第1の目的が達成される。
この場合、先行して無線送信する路側通信機の時刻が不正確である等の理由で、その送信時間の終了が遅れても、後続の送信時間との重複による直接干渉を未然に防止できるという利点がある。
その理由は、中規模又は小規模の交差点は、大規模の交差点に比べて道路の車線数が少なく、その分だけダウンリンク信号の情報量も少なく送信時間が短いので、所定のスロット長のタイムスロットにできるだけ多くの路側通信機の送信時間を割り当てることができるからである。
その理由は、大規模の交差点の場合は、ダウンリンク信号の送信データ量が多く送信時間が長いので、他の路側通信機の送信時間とともに同じタイムスロット内に時分割で割り当てると、当該タイムスロットのスロット長が大きくなり過ぎるからである。
この場合、直接干渉が生じないために同じタイムスロットが割り当てられる複数の路側通信機について、そのタイムスロットの開始時刻とスロット長が揃っていない場合に発生する、移動通信機間の無線通信を介した上記間接干渉を有効に防止することができ、前記第2の目的が達成される。
従って、本発明の路側通信機によれば、本発明の無線通信システムと同様に、前記第1の目的を達成することができる。
従って、この割当方法によれば、本発明の無線通信システムと同様に、前記第1の目的を達成することができる。
従って、この割当方法によれば、本発明の無線通信システムと同様に、前記第2の目的を達成することができる。
また、本発明によれば、移動通信機による無線通信を介した間接干渉を防止できるので、ダウンリンク信号の受信不良をより確実に防止することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る高度道路交通システム(ITS)の全体構成を示す概略斜視図である。なお、本実施形態では、道路構造の一例として、南北方向と東西方向の複数の道路が互いに交差した碁盤目構造を想定している。
図1に示すように、本実施形態の高度道路交通システムは、交通信号機1、路側通信機2、車載通信機3(図2及び図3参照)、中央装置4、車載通信機3を搭載した車両5、及び、車両感知器や監視カメラ等よりなる路側センサ6を含む。
中央装置4は、自身が管轄するエリアに含まれる各交差点Jiの交通信号機1及び路側通信機2とLAN(Local Area Network)を構成している。従って、中央装置4は、各交通信号機1及び各路側通信機2との間で双方向通信が可能である。なお、中央装置4は、交通管制センターではなく道路上に設置してもよい。
なお、図1及び図2では、図示を簡略化するために、各交差点Jiに信号灯器が1つだけ描写されているが、実際の各交差点Jiには、互いに交差する道路の上り下り用として少なくとも4つの信号灯器が設置されている。
中央装置4は、ワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)等よりなる制御部を有しており、この制御部は、路側通信機2、路側センサ6からの各種の交通情報の収集・処理(演算)・記録、信号制御及び情報提供を統括的に行う。
具体的には、中央装置4の制御部は、自身のネットワークに属する交差点Jiの交通信号機1に対して、同一道路上の交通信号機1群を調整する系統制御や、この系統制御を道路網に拡張した広域制御(面制御)を行うことができる。
信号制御指令S1は、前記系統制御や広域制御を行う場合の信号制御パラメータの演算周期(例えば、1.0〜2.5分)ごとに送信され、交通情報S2は、例えば5分ごとに送信される。
図2は、上記高度道路交通システムの管轄エリアの一部を示す道路平面図である。
図2では、互いに交差する2つの道路の各々が上りと下りで片側1車線のものとして例示されているが、道路構造はこれに限られるものではない。
図2にも示すように、本実施形態の高度道路交通システムは、車載通信機3との間で無線通信が可能な複数の路側通信機2と、キャリアセンス方式で他の通信機2,3と無線通信を行う移動無線送受信機の一種である車載通信機3と備えた無線通信システムとしても機能している。
車両5に搭載された各車載通信機3は、路側通信機2からのダウンリンク信号の到達範囲であるダウンリンクエリアAにおいてダウンリンク信号を受信可能である。
このように、本実施形態のITSでは、車載通信機3同士(車車間通信)の通信と、路側通信機2と車載通信機3との間(「路」から「車」への路車間通信と「車」から「路」への車路間通信との双方を含む。)の通信については、無線通信が用いられている。
なお、前記した通り、交通管制センターに設けられた中央装置4は、各路側通信機2と有線での双方向通信が可能であるが、これらの間も無線通信であってもよい。
すなわち、路側通信機2用のタイムスロット以外の時間帯は、車載通信機3のためのCSMA方式による送信時間として開放されている。
この路側通信機2の時刻同期は、例えば、自身の時計をGPS衛星から取得した時刻に合わせるGPS同期や、自身の時計を他の路側通信機2からの送信信号に合わせるエア同期等によって行われる。
図3は、路側通信機2と車載通信機3の内部構成を示すブロック図である。
路側通信機2は、無線通信のためのアンテナ20が接続された無線通信部(送受信部)21と、中央装置4と双方向通信する有線通信部22と、それらの通信制御を行うプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)等よりなる制御部23と、制御部23に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部24とを備えている。
路側通信機2の制御部23は、上記コンピュータプログラムを実行することで達成される機能部として、無線通信部21の送信タイミングを制御する送信制御部23Aと、各通信部21,22の受信データの中継処理を行うデータ中継部23Bとを有する。
また、データ中継部23Bは、無線通信部21が受信した車両情報S3を、いったん記憶部24に一時的に記憶させ、有線通信部22を介して中央装置4に転送する。
すなわち、路側通信機2の記憶部24は、例えば次のa)及びb)の情報を含む割当情報S6を記憶している。この割当情報S6は路側通信機2ごとに個別に設定される。
a) 自装置が使用中のスロット番号i(図4参照)
b) スロット番号iの第1スロットT1(図4参照)の開始時刻及び継続時間
送信制御部23Aは、設定された送信時間長のダウンリンク信号を生成して、このダウンリンク信号を設定された送信開始時刻に無線通信部21に送信させる。
また、路側通信機2の送信時間は、自装置に割り当てられたスロット長の範囲内で任意の時間長さに設定可能であり、そのスロット長よりも大幅に短い時間(例えば、1/3や1/2)に設定することもできる。
路側通信機2の送信制御部23Aは、上記割当情報S6を含むダウンリンク信号に、現在時刻のタイムスタンプを付して無線通信部21にブロードキャスト送信させる。
なお、後述するメイン周期Cmを割当情報S6に含めるようにすれば、スロットiの開始時刻やタイムスタンプの現在時刻をメイン周期Cm内の相対時刻で表現することができる。この場合、それらの時刻を絶対時刻で表現する場合に比べて、割当情報S6のビット数を低減することができる。
各路側通信機2に対する、割当情報S6及び送信時間の設定方法(タイムスロットの割当方法)の詳細については後述する。
図4は、路車間通信のタイムスロットの一例を示す概念図である。
図4に示すように、路車間通信のタイムスロットは、第1スロットT1と第2スロットT2とを含み、これらの合計期間が一定のスロット周期Csで繰り返ようになっている。各スロット周期Csの第1スロットT1は、路側通信機2用のタイムスロットであり、この時間帯では路側通信機2による無線送信が許容される。
また、第2スロットT2は、車載通信機3用のタイムスロットであり、この時間帯は車載通信機3による無線送信用として開放するため、路側通信機2の送信制御部23Aは第2スロットT2では無線送信を行わない。
なお、各周期Cs,Cmの時間長やスロット周期Csの総数nについては、システム事業者が適宜設定することができるが、本実施形態では、一例として、Cs=10ms、Cm=100ms及びn=10とする。
すなわち、図4の例では、スロット1に、交差点J1と交差点J11に設置された2つの路側通信機2の送信時間が割り当てられ、スロット2に、交差点J2、交差点J9、交差点J10に設置された2つの路側通信機2の送信時間が割り当てられている。
もっとも、直接干渉が発生し得る路側通信機2同士でも、第1スロットT1内において時分割で送信時間をスケジューリングすれば、同じスロット番号iに設定できるが、この点については後述する。また、直接干渉が生じない同じスロット番号iの路側通信機2同士でも、図7(b)に示す間接干渉が生じる場合があるが、この点についても後述する。
図3に戻り、車載通信機3は、無線通信のためのアンテナ30に接続された通信部(送受信部)31と、この通信部31に対する通信制御を行うプロセッサ等よりなる制御部32と、この制御部32に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部33とを備えている。
記憶部33は、制御部32が実行する通信制御のためのコンピュータプログラムや、各通信装置2,3の通信機ID等を記憶している。
従って、車載通信機3の通信部31は、所定の搬送波周波数の受信レベルを常時感知しており、その値がある閾値以上である場合は無線送信を行わず、当該閾値未満になった場合にのみ無線送信を行うようになっている。
そして、制御部32は、上記タイムスタンプの時刻を基準として、割当信号S6に記されたスロット番号iのタイムスロットT1以外の時間帯(図4の第2スロットT2)においてのみ、キャリアセンス方式による無線送信を通信部31に行わせる。
また、車載通信機3の制御部32は、他の車両5から直接受信した車両情報S3や、路側通信機2から受信した他の車両5の車両情報S3に含まれる、位置、速度及び方向に基づいて、右直衝突や出合い頭衝突等を回避する安全運転支援制御を行うことができる。
図5に示すように、車載通信機3の送信信号には、プリアンブル、ヘッダ、データ、CRC(Cyclic Redundancy Check)が含まれている。
このうち、データには、車両5の位置、方向(進行方向)及び速度が含まれるが、路側通信機2からの送信信号を受信した場合の受信レベルを含めることもできる。車両5の位置や方向は、通常は、GPS等の車両5側のセンサ類が自律的に測定した情報であるが、光ビーコン等のインフラ側から取得可能な場合もある。速度は、車両5の速度センサに基づいた情報である。
図6(a)は、直接干渉の説明図であり、図6(b)及び(c)は、直接干渉を回避するスロット割当を示すタイムチャートである。
ここで、「直接干渉」とは、1つの車載通信機3に対して複数の路側通信機2からのダウンリンク信号が同時に到達することをいう。この場合、複数のダウンリンク信号が衝突して電波干渉するため、車載通信機3がダウンリンク信号を適切に受信できなくなる可能性が高い。
そこで、このような直接干渉を回避するには、例えば図6(b)に示すように、一方の路側通信機2Aの送信時間Taをスロットk(スロット番号i=kの第1スロットT1)に割り当て、他方の路側通信機2Bの送信時間Tbをスロットk+1に割り当てるというように、両者の送信時間Ta,Tbを異なるスロット番号に割り当てればよい。
そこで、図6(c)に示すように、直接干渉が発生し得る位置関係にある路側通信機2A,2B同士でも、ダウンリンク送信に必要な送信時間Ta,Tbを、同じスロット番号kのタイムスロットT1内に時分割で割り当てることにしてもよい。
なお、図6(c)では、1つのスロットkに2つの路側通信機2A,2Bの送信時間Ta,Tbを割り当てているが、1つのスロットkに割り当てる路側通信機2の送信時間は、3つ以上であってもよく、この場合、3つ以上の送信時間がガードタイムGを挟んでスロットkの内部に稠密に割り当てられる。
一方、図6(c)において、例えば、先行して無線送信する路側通信機2Aの時刻が不正確であるため、送信時間Taの終了がガードタイムGを超えて遅れた場合には、後で無線送信する路側通信機2Bの送信時間Tbと重複し、直接干渉が生じる可能性がある。
このようにすれば、路側通信機2Bの送信時間TaがガードタイムGを超えて遅れた場合でも、路側通信機2Bの送信時間Tbとの重複を避けることができ、送信時間Ta,Tbの重複に伴う直接干渉を未然に防止することができる。
図7(a)は、間接干渉の説明図であり、図7(b)は、間接干渉が発生し得るスロット割当を示すタイムチャートである。また、図7(c)は、間接干渉を回避するスロット割当を示すタイムチャートである。
ここで、図7(a)に示すように、第1の路側通信機2AのダウンリンクエリアAに第1の車載通信機3Aがあり、第1の路側通信機2Aと直接干渉が生じない位置関係にある第2の路側通信機2BのダウンリンクエリアAに、第2の車載通信機3Bがある場合を想定する。
すなわち、図7(b)に示すように、路側通信機2A,2Bの送信時間Ta,Tbがいずれも同じスロット番号kのタイムスロットT1に割り当てられているが、路側通信機2Aに割り当てられたスロット長Laが、路側通信機2Bに割り当てられたスロット長Lbよりも長いと仮定する。
これに対して、路側通信機2BのダウンリンクエリアAでその路側通信機2Bの割当情報S6を取得した第2の車載通信機3Bは、短い方のスロット長Lbの範囲でしか無線送信が規制されず、スロット長Lbの経過後でかつスロット長Laの経過前の時間帯(図6(b)のLa−Lbの時間帯)に無線送信を行うことができる。
また、車載通信機3A,3B間の距離が電波到達距離を超える場合でも、第2の車載通信機3Bの送信信号Sbを受けて車両情報S3を中継する第3の車載通信機3Cの送信信号Scが、第1の車載通信機3Aに到達することもあり得る。
このようにすれば、直接干渉が生じないために同じスロットkが割り当てられる路側通信機2A,2Bについて、そのスロットkの開始時刻とスロット長La,Lbが揃っていないために発生する、車載通信機3A〜3Cの無線通信を介した間接干渉を有効に防止することができる。
また、第3の車載通信機3Cの送信信号Scについても想定する場合には、ダウンリンクエリアAの端同士が、車載通信機3の電波到達距離に車車間通信の中継可能回数を乗じた距離よりも遠い路側通信機2A,2B同士を、間接干渉の問題がないとして取り扱うようにすればよい。
この場合、路側通信機2A,2Bの送信時間Ta,Tbが異なるため、間接干渉が原因である車載通信機3の受信不良を未然に防止できると同時に、必要なスロット数もできるだけ少なくすることができる。
以下、図8〜図12を参照しつつ、本実施形態に係るスロット割当方法の具体例を説明する。ここで、図8は、路側通信機2の配置例を示す道路図である。
図8において、南北方向の6つの道路R1〜R6のうち、2つの道路R2,R4は幹線道路(例えば、合計4車線以上の道路)であり、その他の道路R1,R3,R5,R6は幹線道路よりも規模が小さい側道であるとする。
更に、図8に示す道路エリアにおいて、路側通信機2の運用を開始する初期段階に、幹線道路Raの交差点A1〜A6(A系列)に路側通信機2を設置し、次の二次段階に、幹線道路Rbの交差点B1〜B6(B系列)に路側通信機2を設置し、設置の普及が進行する三次段階に、側道Rc,Rdの交差点C1〜C6,D1〜D6(C系列とD系列)に路側通信機6を設置するものとする。
更に、図8に示す、南北方向の道路R1に沿う交差点A1,B1,C1,D1において、隣接する交差点間は直接干渉が生じる距離であるが、交差点C1,D1と交差点A1は直接干渉が生じない距離であるものとする。その他の南北方向の道路R2〜R6に沿う交差点Aj,Bj,Cj,Dj(j=2〜6)の場合も同様である。
A系列において、交差点A2,A4は、東西方向の幹線道路Raと南北方向の幹線道路R2,R4が交差する大規模の交差点であるため、図9(a)の表に示すように、必要な送信データ量が大きく(図例では5000バイト)、これに対応して必要な送信時間が長い(図例では3540μ秒)ものとする。
B系列についても同様であり、交差点B1〜B6の規模に対応する送信データ量に応じて、路側通信機2のダウンリンク信号に必要な送信時間が、図9(b)の表のように定まるものとする。
なお、後述する通り、C系列とD系列に設置する路側通信機2の送信時間は、同じスロットkに時分割で割り当てられるので、図9(c)の表の最右列には、C系列とD系列の送信時間の合計時間が記載されている。
この初期段階は、図8に示す道路エリアのA系列(交差点A1〜A6)に路側通信機2を新規に設置する最初の段階であるから、各交差点A1〜A6に設置する路側通信機2の送信時間を、順番にスロット1〜6にそれぞれ割り当てるようにする。
ここで、前記した通り、交差点B1は、南北方向の道路R1を通るA系列の交差点A1と近接しており、交差点A1と直接干渉が生じる位置関係にある。同様に、B系列の他の交差点B2〜B6も、それぞれ交差点A2〜A6と直接干渉が生じる位置関係にある。
そこで、図10(b)に示す例では、B系列の交差点Bj(j=1〜6)に設置する路側通信機2については、A系列の交差点Aj(j=1〜6)に設置する路側通信機2との直接干渉を回避すべく、A系列の場合とはスロット番号を入れ替えるようにしている。
すなわち、A系列とB系列には、幹線道路Ra,Rb,R2,R4のみが流入する大規模の交差点A2,A4,B2,B4が含まれており(図8参照)、かかる大規模の交差点A2,A4,B2,B4の場合には、路側通信機2の送信データ量が多く必要な送信時間(3540μ秒)が非常に大きい。
例えば、交差点A2と交差点B2の送信時間は3540μ秒であり、この送信時間を1つのスロットに割り当てると7000μ秒を超えるスロット長になるが、これでは、交差点A2と交差点B2間にある車載通信機3は、スロット周期Cs(=10m秒)内の70%超で無線送信できなくなる。
さらには、交差点A2や交差点B2の路側通信機2と間接干渉が生じ得る位置関係にある路側通信機2との間に位置する車載通信機3においても、スロット周期Cs内の70%超で無線送信ができなくなる。
そこで、図10(b)の表に示すB系列のスロット割当では、新設するB系列の路側通信機2のスロット長が、既設のA系列のスロット長と同じになるようにスロット番号を入れ替えている。
また、交差点B2の送信時間(3540μ秒)は交差点A4の送信時間(3540μ秒)と同じであるから(図9参照)、交差点B2に設置する路側通信機2のスロットとして、交差点A4のスロット4(スロット長=3.6m秒)がそのまま採用されている。
前記した通り、C系列の交差点Cj(j=1〜6)とD系列の交差点Dj(j=1〜6)は、いずれも、同じ番号jのA系列の交差点Aj(j=1〜6)と直接干渉が生じない位置関係にある。
そこで、図10(c)に示す通り、これらC系列とD系列については、既設のA系列のスロット1〜6をそのまま採用している。
ここで、前記した通り、C系列の交差点Cj(j=1〜6)とD系列の交差点Dj(j=1〜6)とは、同じ番号j同士のものについて互いに直接干渉する位置関係にある。
また、図9(c)に示すように、交差点C1と交差点D1の送信時間の合計は、交差点A1の送信時間ととほぼ同等であり、スロット1のスロット長に納めることができる。
同様に、交差点Cj(j=2〜6)に設置する路側通信機2の送信時間と、交差点Dj(j=2〜6)に設置する路側通信機2の送信時間とは、既設の交差点Aj(j=2〜6)に対応するスロット2〜6の内部に時分割に割り当てられる。
路側通信機2の普及が進む三次段階においては、中規模或いは小規模の交差点Cj,Dj(j=1〜6)に設置する路側通信機2にスロット割当を行う必要が生じるが、中規模或いは小規模の交差点の場合には、必要な送信時間が比較的小さいため、既に決定済みのスロット1〜6のスロット長の範囲内で、送信時間を時分割で割り当て可能となる場合が多いと考えられる。
図13は、本発明の変形例を示すための道路の平面図である。
この変形例に係る各路側通信機2は、指向性が異なる複数のアンテナを用いた無線通信が可能な無線通信部を搭載している。
上記無線通信部の各アンテナは、図11に矢印で示すように、交差点に流入する各道路の進行方向に沿った指向性を有しており、無線通信部は、そのアンテナごとに送受信タイミングを設定することができる。
そこで、路側通信機2ごとではなくアンテナごとに通信機が存在すると見なして、電波干渉の有無の判定やスロット割当を行うようにすれば、指向性アンテナごとに無線通信が可能な路側通信機2の場合にも、本発明を適用することができる。
今回開示した各実施形態は本発明の例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、上記実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲とその構成と均等な意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
例えば、上記実施形態において、所定エリア内にある複数の路側通信機2のスロット割当を中央装置4その他のインフラ側の制御装置が自動的に行ってもよいし、複数の路側通信機2の中から1つの親機を予め選定しておき、この親機が子機に対する総括的なスロット割当を行うことにしてもよい。
2 路側通信機
3 車載通信機(移動通信機)
4 中央装置
5 車両
21 無線通信部
22 有線通信部
23 制御部
23A 送信制御部
23B データ中継部
24 記憶部
30 アンテナ
31 通信部
32 制御部
33 記憶部
S1 信号制御指令
S2 交通情報
S3 車両情報
S4 感知情報
S5 画像データ
S6 割当情報
T1 第1スロット(タイムスロット)
T2 第2スロット(タイムスロット)
Claims (9)
- 所定サイクルで繰り返す複数のタイムスロットのうちの少なくとも1つで無線送信する複数の路側通信機と、前記タイムスロット以外の時間帯において無線送信が許容された移動通信機とを備えた無線通信システムであって、
次の(a)で定義される直接干渉又は次の(b)で定義される間接干渉が発生し得る位置関係にある複数の前記路側通信機の送信時間が、同じ前記タイムスロット内において時分割で割り当てられていることを特徴とする無線通信システム。
(a) 1つの移動通信機に対して複数の路側通信機からのダウンリンク信号が同時に到達する直接干渉
(b) 第1の路側通信機のダウンリンクエリアに第1の移動通信機があり、第1の路側通信機と前記直接干渉が生じない位置関係にある第2の路側通信機のダウンリンクエリアに、第2の移動通信機がある場合に、第1の路側通信機のダウンリンク信号と、第2の移動通信機の送信信号又はこの送信信号を契機として無線送信された他の移動通信機の送信信号とが、第1の移動通信機に対して同時に到達する間接干渉 - 同じ前記タイムスロット内において2番目以降に無線送信を行う前記路側通信機が、先行して無線送信する他の前記路側通信機のダウンリンク信号を受信可能であり、かつ、そのダウンリンク信号の送信完了を検出してから無線送信を開始する請求項1に記載の無線通信システム。
- 同じ前記タイムスロットに時分割で割り当れられる複数の前記路側通信機の送信時間が、所定のガードタイムを挟んで稠密に割り当てられている請求項1又は2に記載の無線通信システム。
- 同じ前記タイムスロットに時分割で割り当てられる複数の前記路側通信機は、少なくとも1つの側道に繋がる中規模又は小規模の交差点に設置される前記路側通信機である請求項1〜3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
- 幹線道路のみが流入する大規模の交差点に設置される前記路側通信機を更に含み、
当該路側通信機については、その送信時間が単独で1つの前記タイムスロットに割り当てられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の無線通信システム。 - 前記間接干渉が発生し得る位置関係にある複数の前記路側通信機のうち、同じ前記タイムスロット内における送信時間の時分割の割り当てを行わない複数の前記路側通信機の送信時間が、開始時刻とスロット長がほぼ同じに揃えられた同じ前記タイムスロットに割り当てられている請求項1〜5のいずれか1項に記載の無線通信システム。
- 所定サイクルで繰り返す複数のタイムスロットのうちの少なくとも1つで無線送信し、前記タイムスロット以外の時間帯を移動通信機による無線送信のために開放する路側通信機であって、
特定の前記路側通信機の送信時間と、次の(a)で定義される直接干渉又は次の(b)で定義される間接干渉が発生し得る位置関係にある他の前記路側通信機の送信時間とが、同じ前記タイムスロット内において時分割で割り当てられていることを特徴とする路側通信機。
(a) 1つの移動通信機に対して複数の路側通信機からのダウンリンク信号が同時に到達する直接干渉
(b) 第1の路側通信機のダウンリンクエリアに第1の移動通信機があり、第1の路側通信機と前記直接干渉が生じない位置関係にある第2の路側通信機のダウンリンクエリアに、第2の移動通信機がある場合に、第1の路側通信機のダウンリンク信号と、第2の移動通信機の送信信号又はこの送信信号を契機として無線送信された他の移動通信機の送信信号とが、第1の移動通信機に対して同時に到達する間接干渉 - 所定サイクルで繰り返す複数のタイムスロットのうちの少なくとも1つで無線送信し、前記タイムスロット以外の時間帯を移動通信機による無線送信のために開放する路側通信機に対する、タイムスロットの割当方法であって、
次の(a)で定義される直接干渉又は次の(b)で定義される間接干渉が発生し得る位置関係にある複数の前記路側通信機を抽出するステップと、
抽出された複数の前記路側通信機の送信時間を、同じ前記タイムスロット内において時分割で割り当てるステップと、
を含むことを特徴とするタイムスロットの割当方法。
(a) 1つの移動通信機に対して複数の路側通信機からのダウンリンク信号が同時に到達する直接干渉
(b) 第1の路側通信機のダウンリンクエリアに第1の移動通信機があり、第1の路側通信機と前記直接干渉が生じない位置関係にある第2の路側通信機のダウンリンクエリアに、第2の移動通信機がある場合に、第1の路側通信機のダウンリンク信号と、第2の移動通信機の送信信号又はこの送信信号を契機として無線送信された他の移動通信機の送信信号とが、第1の移動通信機に対して同時に到達する間接干渉 - 前記間接干渉が発生し得る位置関係にあるものとして抽出された複数の前記路側通信機のうち、同じ前記タイムスロット内における送信時間の時分割の割り当てを行わない複数の前記路側通信機の送信時間を、開始時刻とスロット長がほぼ同じに揃えられた同じ前記タイムスロットに割り当てるステップを、
更に含む請求項8に記載のタイムスロットの割当方法。
Priority Applications (1)
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