JP2004048308A - 基地局無線通信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】路上に設置される基地局と車両に搭載する移動局間で通信を行う無線通信において、基地局の通信領域が重なり合う程度に接近して配置した場合に、基地局の運用する無線周波数を違えることで互いのの干渉を防止し、基地局を密に配置することが可能な、基地局無線通信装置を提供すること。
【解決手段】本発明の基地局無線通信装置は、受信する無線周波数を選択して移動局からの上り送信を受信する受信手段と、無線周波数を選択して送信する送信手段を備え、前記受信手段にて移動局から他の基地局へのデータ送信時の無線周波数を検出することにより、前記検出された無線周波数をもとに移動局と対向して通信する基地局の送信周波数を判別し、判別した送信無線周波数とは異なる無線周波数にて前記送信手段にて送信することにより、隣接する基地局との干渉を防止することが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の基地局無線通信装置は、受信する無線周波数を選択して移動局からの上り送信を受信する受信手段と、無線周波数を選択して送信する送信手段を備え、前記受信手段にて移動局から他の基地局へのデータ送信時の無線周波数を検出することにより、前記検出された無線周波数をもとに移動局と対向して通信する基地局の送信周波数を判別し、判別した送信無線周波数とは異なる無線周波数にて前記送信手段にて送信することにより、隣接する基地局との干渉を防止することが可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の無線周波数の中の一組の周波数を用いて、基地局と移動局間でデータの送信および受信を無線通信にて行う通信システムに係わる基地局無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
安全性の向上、輸送効率の向上、および快適性の向上を目指したサービスを実現するため、道路と車両を一体のシステムとした高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)の開発が進められている。このシステムでは、路上に設置する基地局と車両に搭載する移動局との間で行う無線通信等により、これらのサービスを実現しようとしている。この高度道路交通システムにおける通信方式の一例としては、社団法人 電波産業会にて定められた標準規格「有料道路自動料金収受システム標準規格ARIBSTD−T55 1.0版」(平成9年11月27日策定)等が知られている。
【0003】
前記通信方式では、基地局から移動局への通信(以下、下り通信)と移動局から基地局への通信(以下、上り通信)に異なる周波数を用い、通信フレームをスロットと呼ばれる固定長の区間に時分割した同期式時分割通信方式であるスロッテドアロハ方式を採用している。また、上り通信用と下り通信用では異なる周波数を用いると同時に、隣接した基地局同士の干渉を防止するため、複数の異なる周波数を用いる。
【0004】
図2に各周波数の割り当ての一例を示す。周波数f1、f2からf7までを下り通信に、周波数f8、f9からf14までを上り通信で使用し、運用に当たっては周波数f1とf8をペアで、周波数f2とf9をペアで、以降同様に組み合わせて使用する。
つまり、ある基地局の通信圏内では下り通信に周波数f1(以下、下りチャネルA)、上り通信に周波数f8(以下、上りチャネルA)を用いる(以下、モードA)。モードAで運用する基地局に隣接する他の基地局では、モードA以外の周波数例えば下り通信に周波数f7(以下、下りチャネルG)、上り通信に周波数f14(以下、上りチャネルG)を用いる(以下、モードG)。以降の説明では、周波数f1からf7までを、それぞれ下りチャネルAから下りチャネルGと呼称する。また周波数f8からf14までを、上りチャネルAから上りチャネルGと呼称する。
【0005】
上記技術による運用の一例を図3に示す。同図において、301、302は道路上に設置されたガントリ、303、304はガントリに取り付けられた基地局のアンテナ、305はアンテナ303の通信領域、306はアンテナ304の通信領域、307、308は地上に設置された基地局装置、309は車両、310は車両に搭載された移動局通信装置である。同図に示すようにアンテナ303、304を接近して設置する場合、通信領域が重なる領域311における互いの干渉を防止するために、異なる無線周波数で運用され、基地局からの下り送信は各々異なる周波数で送信される。また、移動局から基地局への上り通信に用いる周波数も、基地局の運用周波数に対応して異なる周波数が用いられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術によれば、通信領域が互いに重なり合う程度に接近した基地局では、それぞれ異なる運用周波数に設定する必要がある。例えば、既に運用中の基地局307の近傍に、新たに基地局308を設置する場合には、既運用中の基地局307の運用周波数を調査した上で、新たに設置する基地局308には異なる運用周波数を設定する必要がある。新たに設置する基地局308にて、既運用中の基地局307からの送信を直接受信できる場合には、その運用周波数を特定することが可能である。だが、基地局の通信領域の一部が重なり合う程度に接近している場合には、基地局同士は相手の送信を受信することが出来ない為、近傍の基地局の存在を検知出来ない。そのため、2つの基地局にて同一の周波数を使用する場合があり得る。その際には、通信領域が重なりあった領域311では、2つの基地局からの同一無線周波数の送信が干渉するため、領域に侵入した移動局は基地局との通信に障害が発生し得るという問題が生ずる。
【0007】
本発明の目的は、基地局がその近傍に設置された他の基地局の運用する無線周波数を検出し、それとは異なる運用無線周波数を設定することにより、複数の基地局が接近して配置された場合にも、基地局間の干渉を発生することなく良好な通信の確保を図った基地局無線通信装置を提供することにある。またそれにより、基地局を配置する際に基地局同士が接近した配置を容易にすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明は、受信する無線周波数を選択して移動局からの上り送信を受信する受信手段と、無線周波数を選択して送信する送信手段を備え、前記受信手段にて移動局から他の基地局へのデータ送信時の無線周波数を検出することにより、前記検出された無線周波数をもとに移動局と対向して通信する基地局の送信周波数を判別し、判別した送信無線周波数とは異なる無線周波数にて前記送信手段にて送信することにより、隣接する基地局との干渉を防止することが可能となる。
【0009】
さらに本発明は、前記受信手段を複数備えることにより、当該基地局が移動局との通信中であっても、移動局との通信に使用中の受信手段とは別の受信手段を用いて、他の基地局と通信する移動局が送信する無線周波数の検出を行うことにより、より高い頻度で検出を行うことができ、より確実に隣接する基地局との干渉を防止することが可能となる
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図を参照しながら説明する。まず、本発明の基地局通信装置と移動局通信装置が通信するための通信フォーマットについて予め説明する。
スロッテドアロハ方式の通信フレームは、通信スロットと制御スロットに大別され、通信スロットには複数の移動局との交信が可能なように、データ交換を行うためのメッセージデータスロット(MDS:Message Data Slot)が複数配置される。また制御スロットには、基地局が送信する通信フレームの構成情報、通信スロットの使用状況などを格納するフレームコントロールメッセージスロット(FCMS: Frame Control Message Slot)と、移動局が基地局に接続要求を送信するためのリンク要求スロット(ACTS:Activation Slot)からなる。
【0011】
図4は路車間の通信のフォーマットを示す図である。同図は路車間の通信を、1フレームを4スロットで構成した場合の例である。同図の構成の場合、スロット1の下りチャネルはフレーム制御スロット(FCMS)に、スロット4の上りチャネルはリンク要求スロット(ACTS)に、スロット2、およびスロット3はデータ交換のための通信スロット(MDS)に利用されている。スロット2は基地局からの下り通信に割り当てられており、スロット3は移動局からの上り通信に割り当てられている。
【0012】
この通信フレームを使って基地局との通信を行う移動局は、自局に割当てられた通信スロットの位置を判別するために、基地局が送信する通信フレームとの同期が必要になる。このためフレーム制御スロットのフレーム制御信号FCMC(Frame Control Message Channel)には他のスロットに配置されるデータ交換のためのMDC(Message Data Channel)、MDCの受信確認の為のACKC(Acknowledge Channel)、接続要求の為のACTC(Activation Channel)とは異なる同期信号パターンを多重し、通信フレームの時間基準としてフレーム制御スロットの位置が識別できるようにしている。また、フレーム制御信号FCMCには、基地局が運用する無線チャネル、FCMSの後に続くスロットの数、移動局への上りあるいは下りスロットの割り当てなどの通信フレーム構成情報が多重されている。移動局は受信したFCMCにて、自局へのスロットの割り付けを判別し、そのスロットでの送受信を行う。また、移動局は基地局が送信するFCMCの送信周波数からそれに対応した無線周波数にて送信を行う。なお、FCMCはスロットの期間の基準信号でもあり、移動局との通信を行わない場合でも、常時周期的に送信される。
【0013】
図5は図4に示したFCMC、MDC等の詳細を示す図である。同図において501はプリアンブル(PR)、502はFCMやMDCそれぞれに固有の同期検出用ビットパタンであるユニークワード(UW)、503はFCMCまたはMDCで送信される情報、504はエラー検出の為のコード(CRC)である。
【0014】
基地局および移動局はユニークワード502を検出することによって、データ受信を検知し、エラー検出コードにより受信したデータの誤りを検出することが出来る。
【0015】
上記した無線通信フォーマットに準じた場合を例にとって、本発明の一実施例による基地局通信装置の例を図1に示し、以下説明する。本実施例は、基地局が運用を開始するに先立って他の基地局と通信中の移動局からの上り送信を受信することにより、移動局の送信無線周波数から対抗する基地局の送信無線周波数を検出するものである。移動局からの送信を受信するにあたっては、基地局での受信チャネルを周期的に切り替えながら待機し、その間に移動局からの受信があるか否かを検出する。既に述べたように、基地局からの下り送信と移動局からの上り送信は決められた組み合わせの無線周波数を用いる為、移動局の送信する無線周波数を検出することにより、対向する基地局の送信周波数を知ることが可能である。
【0016】
同図において101、102はアンテナ、103は無線受信部、104は受信した信号の復調部、105は復調された信号を入力しユニークワードを検出し送信情報を取出し通信制御部に送るデータ受信手段、106は受信レベルをデジタル信号に変換するA/D変換器、107、108は発振器、109、110は発振器を制御する周波数制御部、111は通信制御部からの送信データにユニークワードやエラー検出コードを付加して送信するデータ送信手段、112は送信データを変調する変調部、113は無線送信部、114は通信の制御を行なう通信制御手段である。
【0017】
周波数制御部109は発振器107の発振周波数を制御することによってい、受信部103の受信周波数チャネルを切り替える。また周波数制御部110は発振器108の発振周波数を制御し、送信部113の送信周波数チャネルを切り替える。移動局からの無線信号はアンテナ101で受信され、受信部103で所望のチャネルの信号が取り出される。さらに、復調部104でデジタルデータに変換され、データ受信手段105により送信情報が取出され、受信データとして信号処理部114に入力される。データ受信手段では105では、入力したデータのユニークワードや検出した時刻から、受信したデータがどの移動局が送信したMDCかACKCかを判断して、その種別を取出した送信情報と伴に通信制御手段に送信する。またデータの受信動作と同時に、A/D変換器106にて受信した信号の電界強度が計測され、通信制御手段114に入力される。一方、送信データはデータ送信手段111にてユニークワードなどのヘッダ情報とエラー検出コード等のフッダー情報を付加した後に、変調部112で変調され、送信部113から送信チャネルの無線周波数で送信される。通信制御手段114には、受信チャネル毎に移動局からの受信を計数するためのカウンタを備え、運用周波数の設定時に移動局からの受信回数を記録する。
【0018】
次に図6を用いて、図1の移動局通信装置における受信部103の構成を説明する。図6は本発明の一実施例による基地局通信装置の無線受信部の構成図である。同図において601、604はバンドパスフィルタ、602、605は増幅器、603は周波数変換器、606は受信レベル検出手段である。ここでバンドパスフィルタ601は無線周波数f8からf14までを選択する広帯域なフィルタである。また、バンドパスフィルタ604はf8からf14のうちいずれか一つの無線周波数のみを選択する狭帯域なフィルタである。受信レベル検出手段606は検波器あるいはRSSI回路などであり、受信した無線入力強度に応じたレベル信号を出力する。
【0019】
基地局から送信された信号を移動局通信装置が受信する場合、アンテナで受信された信号はバンドパスフィルタ601で周波数f1からf7の範囲以外の妨害波をカットし、増幅器602で増幅された後、周波数変換器603で中間周波数に変換される。変換された信号はバンドパスフィルタ604でf1からf7の7つのうち一つの周波数成分のみが取り出され、増幅器605で増幅された後、復調部部に送られる。外部に設けた発振器から周波数変換器603に入力する周波数を変更することによって、バンドパスフィルタ604を通過する無線周波数を変更することができ、それによって受信するチャネルを選択する。つまり、外部の発振器から周波数変換器603に入力する周波数を変更することによって、上りチャネルAから上りチャネルGを選択して受信出来る。なお、バンドパスフィルタ601は無線周波数f1からf7以外の周波数成分をあらかじめ削除し、それによって妨害波の影響を低減する目的のために設けるものであり、運用される状況によってはあえて設けなくとも動作に支障は無い。
【0020】
次に図7を用いて、図1の基地局通信装置における通信制御手段114の運用無線周波数設定動作について説明する。図7は本発明の一実施例による移動局通信装置の動作のフローチャートである。まず設定動作に先立って、周波数制御部109の制御により、受信するチャネルを初期値に設定する。運用無線周波数の設定動作中は送信は行わない(処理701)。設定するチャネルはチャネルAからGまでのうち最も優先して検出したいチャネルに設定する。チャネル毎に優先順位の無い場合には特にどのチャネルに設定しても良いが、本実施例では一例としてチャネルAに設定を行った場合について以下説明を行う。更に、受信チャネル毎の受信回数の記録値を初期化する(処理702)。次に、受信チャネルを下りチャネルAに設定した状態で受信手段105にてデータの受信を待機する、それと同時にA/D変換器106にて予め規定された以上の受信レベルがあるか否かを一定期間待機する。データ受信手段105では図5に示すユニークワード502の検出およびエラー検出コード504による検査により移動局からの送信を検出する。待機期間中に、データ受信手段105にて移動局からのデータを検する、あるいはA/D変換器106から規定値以上の受信レベルの入力を得ることにより移動局からの上り送信を検出した場合には、待機動作を終了し処理704へ処理を継続する。検出が無かった場合には、処理705へ分岐する(処理703)。処理704では、現在設定中の受信チャンネル毎に受信を検出した回数を加算し記録する。
【0021】
次に、移動局からの送信の待機を開始した後、現在設定の受信チャネルでの待機時間が予め規定された時間経過したか否かを判定し、未経過の場合には処理703に戻り前記の動作を繰り返す。規定時間を経過していた場合には、処理706に継続する(処理705)。規定時間経過後は、受信チャネルの設定回数が予め規定回数に達したか否かを判定し、規定回数に達しない場合には、処理707に分岐する。規定回数に達した場合には、処理708に継続する。前記規定回数はチャネルAからチャネルGまでの全7チャネルを複数回繰り返し受信する回数に設定されている(処理706)。処理707では受信チャネルを次のチャネルに切り替え、処理703以降の処理を繰り返す。設定チャネルが一巡した後は、元に戻って初期の設定値を設定する。処理708に継続した場合には、処理704にて記録した受信回数の値より、受信の無かったチャネルでは基地局が運用を行ってはいないと判断し、受信が無かったあるいは受信回数が最も少ないチャネルを選択し、選択したチャネルに送受信チャネルを設定する(処理708)。以上で運用するチャネルの設定を終了する。以後は設定したチャネルにてFCMの送信を開始し、移動局からの接続要求を待機する。
【0022】
さらに図8に、具体的な例を用いて上記した運用無線周波数選の設定動作の一例を示す。図8は本発明の一実施例による基地局通信装置の運用周波数の設定動作の一例を示す図である。同図において801は他の基地局との通信における移動局の上り送信を示し、802、803は移動局が送信するMDC信号である。804は基地局の通信制御手段114が周波数制御部109に設定する受信チャネル設定信号、805は図1に示す無線受信部103から出力される受信レベル、806は制御手段114が処理703にて移動局からの送信有無の判別に用いるしきい値、807は移動局からの上り受信発生時の受信レベルを示す信号、808は図1に示すデータ受信手段105から出力されるデータ受信の有ったことを示す信号、809は移動局からの上り受信発生時のデータ受信を示す信号である。同図は、移動局からの送信無線チャネルが上りチャンネルC(無線周波数f10)の場合、すなわち下りチャネルCにて送信中の他の基地局と通信中であった場合の例を示すものである。
【0023】
基地局では受信待機する無線周波数の初期値としてチャネルAに設定し(処理701)、受信待機する(処理703)。設定したチャネルAにて所定の期間受信を待機し(処理705)、受信チャネルを次のチャネルBに切り替える(処理707)。同様にチャネル切り替えを繰り返し、チャネルCにて受信を待機した際に、移動局の送信MDC信号803を受信する。MDC信号の受信により、受信レベルが上昇ししきい値806を超える受信レベル信号807が出力される。同時に、データ受信手段105にて移動局からの上り送信データを受信する。受信レベルの検出およびデータ受信により、移動局からの送信を検出し、チャネルCにおける受信回数を加算し記録する(処理704)。同様に受信チャネルの切り替えを繰り返し、規定の回数切り替えを行った後、受信の無かったチャネルに設定する。図8の例では、受信チャネルCの場合にのみ受信があったため、近傍にチャネルCにて送信中の他の基地局があることが検出出来たため、チャネルC以外の例えばチャネルAに送受信チャネルを設定し、運用周波数の設定を終了する(処理708)。
【0024】
以上説明したごとく本実施例によれば、受信するチャネルを切り替えながら移動局のデータの受信することにより、近傍の他の基地局の運用する無線周波数を検出し、その無線周波数とは異なる運用無線周波数を設定することにより、複数の基地局が接近して配置された場合にも、基地局間の干渉を発生することなく良好な通信が可能となる。
【0025】
次に本発明の第二の実施例を図9および図10を用いて説明する。前記した図7の実施例では、運用開始以前に他の基地局の運用周波数を検出するが、検出期間中に他の基地局にて移動局との通信が無かった場合には、正しく検出できない場合があり得る。そこで、本実施例では当該基地局が運用を開始した後も移動局との通信を行わない期間には、他の基地局の運用する無線周波数の検出を行うことにより検出を行う頻度を高め、より精度の高い検出を行うものである。
【0026】
次に図9を用いて上記動作を実現するための、図1の基地局通信装置における通信制御手段114の運用無線周波数設定動作について説明する。図9は本発明の第二の実施例による移動局通信装置の動作のフローチャートである。なお、移動局との通信中である場合にはその通信が完了後に本設定動作を行うものであり、基地局が通信を行っておらず移動局からの接続要求を待機中に後述の設定動作を行うものである。まず設定動作に先立って、周波数制御部109の制御により、受信するチャネルを初期値に設定する。(処理901)。設定するチャネルはチャネルAからGまでのうち最も優先して検出したいチャネルに設定する。チャネル毎に優先順位の無い場合にはどのチャネルに設定しても良いが、本実施例では一例としてチャネルAに設定を行った場合について以下説明を行う。更に、受信チャネル毎の受信回数の記録値を初期化する(処理902)。
【0027】
次に、受信チャネルを下りチャネルAに設定した状態で受信手段105にてデータの受信を待機する、それと同時にA/D変換器106にて予め規定された以上の受信レベルがあるか否かを一定期間待機する。待機期間中に、データ受信手段105にて移動局からのデータを検する、あるいはA/D変換器106から規定値以上の受信レベルの入力を得ることにより移動局からの上り送信を検出した場合には、待機動作を終了し処理904へ処理を継続する。検出が無かった場合には、処理905へ分岐する(処理903)。処理904では、現在設定中の受信チャンネル毎に受信を検出した回数を加算し記録する。次に、現在のスロットの割付がリンク要求スロットの期間中か否かを判定し、リンク要求スロットの期間中であれば処理906へ分岐、それ以外の通信スロット等の期間であれば処理909に継続する。処理906へ分岐した場合には、受信チャネルを送信チャネルと同一のチャネルに設定する。つまり送信チャネルが下りチャネルCに設定の場合には、受信を上りチャネルCに設定する。さらにリンク要求スロットの期間中、移動局からの接続要求信号ACTCの受信を待機する(処理907)。待機中に移動局からの接続要求を受信した場合には本設定動作を中断し以降移動局との通信を行う。移動局との通信終了後は再度本設定動作を開始する。
【0028】
また、接続要求の受信が無かった場合には、処理909へ分岐し本設定動作を継続する(処理908)。処理909では、通信フレームが終了し次のフレームに更新されたか否かを判定し、フレームの更新が無かった場合には処理903に戻り以降の処理を繰り返す。通信フレームが更新された場合には、処理904における受信チャネル毎の受信回数の記録値の更新があったか否かを判定し(処理910)、更新が無かった場合には受信チャネルを次のチャネルに切り替え、903以降の処理を繰り返す。設定チャネルが一巡した後は、元に戻って初期の設定値を設定する(処理911)。受信回数の記録値の更新があった場合には、受信回数の値より、受信の無かったチャネルでは基地局が運用を行ってはいないと判断し、受信が無かったあるいは受信回数が最も少ないチャネルを選択し、選択したチャネルに送受信チャネルを設定し、更に処理903以降の処理を繰り返す(処理912)。以後は設定したチャネルにて基地局の運用を行う。すなわち設定周波数にてFCMの送信を開始し、移動局からの接続要求に応じて通信を行う。
【0029】
さらに図10に、具体的な例を用いて上記した運用無線周波数選の設定動作の一例を示す。図10は本発明の第二の実施例による基地局通信装置の運用周波数の設定動作の一例を示す図である。同図において1001は他の基地局との通信における移動局の上り送信を示し、1002から1006は移動局が送信するMDC信号である。1007は基地局が指定する通信フレームのスロット割付を示し、1008から1013はリンク要求スロットACTSである。1014は基地局の通信制御手段114が周波数制御部110に設定する送信チャネル設定信号、1015は基地局の通信制御手段114が周波数制御部109に設定する受信チャネル設定信号、1016は図1に示す無線受信部103から出力される受信レベル、1017は制御手段114が処理903にて移動局からの送信有無の判別に用いるしきい値、1018は移動局からの上り受信発生時の受信レベルを示す信号、1019は図1に示すデータ受信手段105から出力されるデータ受信を示す信号、1020は移動局からの上り受信発生時のデータ受信を示す信号である。同図は、基地局が当初チャネルCにて運用中に、移動局がチャネルCにて運用中の他の基地局と通信中であった場合の例を示すものである。
【0030】
基地局では受信待機する無線周波数の初期値としてチャネルAに設定し(処理901)、受信待機する(処理903)。ただしリンク要求スロット期間1008から1013の期間中は、移動局からの接続要求信号ACTCを受信する必要があるため、受信チャネルを運用中のチャネルCに設定する(処理906)。通信フレーム毎に受信チャネルを切り替え(処理911)、チャネルCにて受信を待機した際に、移動局の送信するMDC信号1004が受信される。MDC信号の受信により、受信レベルが上昇ししきい値1017を超える受信レベル信号1018が出力される。同時に、データ受信手段105にて移動局からの上り送信データを受信する。受信レベルの検出およびデータ受信により、移動局からの送信を検出し、チャネルCにおける受信回数を加算し記録する(処理904)。チャネルCにて受信回数が更新されたため、次のフレームにていまだ受信の無かったチャネル、例えばチャネルDに送受信チャネルを設定する(処理912)。更にフレーム毎に受信チャネルを切り替え、検出動作を継続する。
【0031】
以上説明したごとく本実施例によれば、運用を開始した以後も、受信するチャネルを切り替えながら移動局送信する他の基地局との通信を受信することにより、より高い頻度で近傍の他の基地局の運用する無線周波数を検出し、その無線周波数とは異なる運用無線周波数を設定することにより、複数の基地局が接近して配置された場合にも、基地局間の干渉を発生することなく良好な通信が可能となる。またリンク要求スロット期間中は、検出動作を中断し、移動局からの接続要求を待機する為、運用にも支障が無い。
【0032】
次に本発明の第三の実施例を図11および図12を用いて説明する。本実施例では、基地局が運用を開始し移動局からの上り通信を受信した際に、基地局がその移動局に対して上り通信の割り付けを行っていない場合には、移動局が他の基地局と通信を行っていると判断する。すなわち同一無線周波数で運用中の基地局が近傍に存在すると判断し、基地局の運用する無線周波数を他の周波数に設定するものである。
【0033】
次に図11を用いて、上記動作を実現するための図1の基地局通信装置における通信制御手段114の運用周波数設定動作について説明する。図11は本発明の第三の実施例による移動局通信装置の動作のフローチャートである。なお、当該基地局が移動局との通信中である場合にはその通信が完了後に本設定動作を行うものであり、基地局が移動局からの接続要求を待機中に後述の設定動作を行うものである。
【0034】
まず設定動作に先立って、受信チャネル毎の受信回数の記録値を初期化する(処理1101)。次に、受信手段105にてデータの受信を待機する、それと同時にA/D変換器106にて予め規定された以上の受信レベルがあるか否かを待機する。データ受信手段105にて移動局からのデータを検するか、あるいはA/D変換器106から規定値以上の受信レベルの入力を得ることにより移動局からの上り送信を検出した場合には、待機動作を終了し処理1103へ処理を継続する。検出が無かった場合には、待機動作を継続する(処理1102)。処理1103では基地局自身が移動局に対して上り通信スロットの割り付けを行った否かを判定し、スロットの割り付けを行っていない場合には処理1104に分岐し、移動局が他の基地局との通信を行っていると判断して以降の処理にて運用無線周波数を変更処理を行う。
【0035】
また基地局が移動局に対して上り通信スロットの割付を行っていた場合には、自基地局への送信であるため運用周波数の変更は行わず処理1102に戻って再度受信を待機する(処理1103)。処理1104では現在設定中の受信チャンネル毎の受信検出回数を加算し記録する。更に、それまでのチャネル毎の受信回数の値より、受信の無かったチャネルでは基地局が運用を行ってはいないと判断し、受信が無かったあるいは受信回数が最も少ないチャネルを選択し、次の通信フレームより選択したチャネルに送受信チャネルを設定し、処理1102に継続する(処理1105)。送受信チャネルの設定後は、新たな設定にて以降の運用を継続し移動局とは設定後の無線周波数にて通信を行う。
【0036】
さらに図12に、具体的な例を用いて上記した運用無線周波数選の設定動作の一例を示す。図12は本発明の第三の実施例による基地局通信装置の運用周波数の設定動作の一例を示す図である。同図において1201は他の基地局との通信における移動局の上り送信を示し、1202は移動局が上り送信するMDC信号である。1203は基地局が指定する通信フレームのスロット割付を示す。1204は基地局の通信制御手段114が周波数制御部110に設定する下り送信チャネル設定信号、1205は基地局の通信制御手段114が周波数制御部109に設定する上り受信チャネル設定信号、1206は図1に示す無線受信部103から出力される受信レベル、1207は制御手段114が処理1102にて移動局からの送信有無の判別に用いるしきい値、1208は移動局からの上り受信発生時の受信レベルを示す信号、1209は図1に示すデータ受信手段105から出力されるデータ受信を示す信号、1210は移動局からの上り受信発生時のデータ受信を示す信号である。同図は、基地局が当初チャネルCにて運用中に、移動局がチャネルCにて運用中の他の基地局と通信を行った場合の例を示すものである。
【0037】
基地局では当初の運用無線周波数の初期値としてチャネルCに設定し、移動局からの接続要求を待機中に、移動局の送信するMDC信号1202が受信される。MDC信号の受信により、受信レベルが上昇ししきい値1207を超える受信レベル信号1208が出力される。同時に、データ受信手段105にて移動局からの上り送信データを受信する。受信レベルの検出およびデータ受信により、移動局からの送信を検出する(処理1102)。更に、受信時に移動局に対して上り通信するロットの割り付けを行っていない事を確認する(処理1103)。次にチャネルCにおける受信回数を加算し記録する(処理1104)。受信回数の更新後、次のフレームにていまだ受信の無かったチャネル、例えばチャネルDに送受信チャネルを設定する(処理1105)。
【0038】
以上説明したごとく本実施例によれば、基地局が運用を開始した以降も、基地局が上り通信スロットの割り付けを行っていない移動局から受信することで、同一無線周波数で運用中の基地局が近傍に存在する事を検出し、基地局の運用する無線周波数を他の周波数に設定する事により、複数の基地局が接近して配置された場合にも、基地局間の干渉を発生することなく良好な通信が可能となる。
【0039】
次に、本発明の第四の実施例を図13を用いて説明する。図13は本発明の第四の実施例による基地局通信装置の構成例を示す。同図において1301、1302は受信する周波数を選択して受信する選択受信手段である。その他図1に示したものと同一の動作をするものについては同一の符号を付してある。前記選択受信手段では周波数制御部109からの指示により発振器107の発振周波数を制御することにより受信部103の受信周波数を切り替える。さらに復調部104にてデジタルデータに変換し、データ受信手段105により送信情報が受信される。図13に示した実施例では、チャネル選択受信手段を2系統備える点で、図1の実施例とは異なる。また本実施例では発振器107の出力を、選択受信手段1302の無線受信部103と、無線送信部113の両方供給することにより、送受信周波数を同時に制御する。
【0040】
本実施例では、移動局と自局との通信には選択受信手段1302を用い、移動局が他の基地局との通信時の上り送信のを受信するために、選択受信手段1301を用いる。選択受信手段を2系統備えることにより、自局が移動局との通信中であっても、他の基地局と通信中の移動局からの送信を受信し、近傍の基地局の運用周波数の検出を行うことが出来る。近傍の基地局の運用周波数の検出および運用周波数の設定は既に説明した図7および図8の検出動作と同様に動作する。
【0041】
上記した実施例では選択受信手段を複数備えることにより、自基地局が移動局と通信中であっても、同一無線周波数で運用中の基地局が近傍に存在する事を検出し、基地局の運用する無線周波数を他の周波数に設定する事により、複数の基地局が接近して配置された場合にも、基地局間の干渉を発生することなく良好な通信が可能となる。また本実施例では選択受信手段を2系統備えたが、より多くの選択受信手段を備え検出を行うことでより確実な検出動作が可能となることは明らかである。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、近傍の基地局と通信中の移動局からの送信を受信し、移動局が送信する無線周波数よりその基地局の運用周波数を特定し、自基地局の運用する無線周波数を先に特定した無線周波数とは異なる周波数に設定する事により、複数の基地局が接近して配置された場合にも、基地局間の干渉を発生することなく良好な通信が可能な基地局通信装置を提供でき、それにより基地局を接近して配置することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基地局通信装置の一実施例を示す構成図である。
【図2】無線通信で用いる無線周波数を示す図である。
【図3】無線通信の運用例を示す図である。
【図4】通信フレームの一例を示す図である。
【図5】データのフォーマットの一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施例による基地局通信装置の無線受信部の構成図である。
【図7】本発明の一実施例による移動局通信装置の動作のフローチャートである。
【図8】本発明の一実施例による基地局通信装置の運用周波数の設定動作の一例を示す図である。
【図9】本発明の第二の実施例による移動局通信装置の動作のフローチャートである。
【図10】本発明の第二の実施例による基地局通信装置の運用周波数の設定動作の一例を示す図である。
【図11】本発明の第三の実施例による移動局通信装置の動作のフローチャートである。
【図12】本発明の第三の実施例による基地局通信装置の運用周波数の設定動作の一例を示す図である。
【図13】本発明の第四の実施例による基地局通信装置の例を示す構成図
【符号の説明】
101、102…アンテナ、
103…無線受信部、
104…信号復調部、
105…データ受信手段、
106…A/D変換器、
107、108…発振器、
109、110…周波数制御部、
114…通信制御手段、
602、605…増幅器、
603…周波数変換器、
601、604…バンドパスフィルタ、
606…受信レベル検出手段。
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の無線周波数の中の一組の周波数を用いて、基地局と移動局間でデータの送信および受信を無線通信にて行う通信システムに係わる基地局無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
安全性の向上、輸送効率の向上、および快適性の向上を目指したサービスを実現するため、道路と車両を一体のシステムとした高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)の開発が進められている。このシステムでは、路上に設置する基地局と車両に搭載する移動局との間で行う無線通信等により、これらのサービスを実現しようとしている。この高度道路交通システムにおける通信方式の一例としては、社団法人 電波産業会にて定められた標準規格「有料道路自動料金収受システム標準規格ARIBSTD−T55 1.0版」(平成9年11月27日策定)等が知られている。
【0003】
前記通信方式では、基地局から移動局への通信(以下、下り通信)と移動局から基地局への通信(以下、上り通信)に異なる周波数を用い、通信フレームをスロットと呼ばれる固定長の区間に時分割した同期式時分割通信方式であるスロッテドアロハ方式を採用している。また、上り通信用と下り通信用では異なる周波数を用いると同時に、隣接した基地局同士の干渉を防止するため、複数の異なる周波数を用いる。
【0004】
図2に各周波数の割り当ての一例を示す。周波数f1、f2からf7までを下り通信に、周波数f8、f9からf14までを上り通信で使用し、運用に当たっては周波数f1とf8をペアで、周波数f2とf9をペアで、以降同様に組み合わせて使用する。
つまり、ある基地局の通信圏内では下り通信に周波数f1(以下、下りチャネルA)、上り通信に周波数f8(以下、上りチャネルA)を用いる(以下、モードA)。モードAで運用する基地局に隣接する他の基地局では、モードA以外の周波数例えば下り通信に周波数f7(以下、下りチャネルG)、上り通信に周波数f14(以下、上りチャネルG)を用いる(以下、モードG)。以降の説明では、周波数f1からf7までを、それぞれ下りチャネルAから下りチャネルGと呼称する。また周波数f8からf14までを、上りチャネルAから上りチャネルGと呼称する。
【0005】
上記技術による運用の一例を図3に示す。同図において、301、302は道路上に設置されたガントリ、303、304はガントリに取り付けられた基地局のアンテナ、305はアンテナ303の通信領域、306はアンテナ304の通信領域、307、308は地上に設置された基地局装置、309は車両、310は車両に搭載された移動局通信装置である。同図に示すようにアンテナ303、304を接近して設置する場合、通信領域が重なる領域311における互いの干渉を防止するために、異なる無線周波数で運用され、基地局からの下り送信は各々異なる周波数で送信される。また、移動局から基地局への上り通信に用いる周波数も、基地局の運用周波数に対応して異なる周波数が用いられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術によれば、通信領域が互いに重なり合う程度に接近した基地局では、それぞれ異なる運用周波数に設定する必要がある。例えば、既に運用中の基地局307の近傍に、新たに基地局308を設置する場合には、既運用中の基地局307の運用周波数を調査した上で、新たに設置する基地局308には異なる運用周波数を設定する必要がある。新たに設置する基地局308にて、既運用中の基地局307からの送信を直接受信できる場合には、その運用周波数を特定することが可能である。だが、基地局の通信領域の一部が重なり合う程度に接近している場合には、基地局同士は相手の送信を受信することが出来ない為、近傍の基地局の存在を検知出来ない。そのため、2つの基地局にて同一の周波数を使用する場合があり得る。その際には、通信領域が重なりあった領域311では、2つの基地局からの同一無線周波数の送信が干渉するため、領域に侵入した移動局は基地局との通信に障害が発生し得るという問題が生ずる。
【0007】
本発明の目的は、基地局がその近傍に設置された他の基地局の運用する無線周波数を検出し、それとは異なる運用無線周波数を設定することにより、複数の基地局が接近して配置された場合にも、基地局間の干渉を発生することなく良好な通信の確保を図った基地局無線通信装置を提供することにある。またそれにより、基地局を配置する際に基地局同士が接近した配置を容易にすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明は、受信する無線周波数を選択して移動局からの上り送信を受信する受信手段と、無線周波数を選択して送信する送信手段を備え、前記受信手段にて移動局から他の基地局へのデータ送信時の無線周波数を検出することにより、前記検出された無線周波数をもとに移動局と対向して通信する基地局の送信周波数を判別し、判別した送信無線周波数とは異なる無線周波数にて前記送信手段にて送信することにより、隣接する基地局との干渉を防止することが可能となる。
【0009】
さらに本発明は、前記受信手段を複数備えることにより、当該基地局が移動局との通信中であっても、移動局との通信に使用中の受信手段とは別の受信手段を用いて、他の基地局と通信する移動局が送信する無線周波数の検出を行うことにより、より高い頻度で検出を行うことができ、より確実に隣接する基地局との干渉を防止することが可能となる
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図を参照しながら説明する。まず、本発明の基地局通信装置と移動局通信装置が通信するための通信フォーマットについて予め説明する。
スロッテドアロハ方式の通信フレームは、通信スロットと制御スロットに大別され、通信スロットには複数の移動局との交信が可能なように、データ交換を行うためのメッセージデータスロット(MDS:Message Data Slot)が複数配置される。また制御スロットには、基地局が送信する通信フレームの構成情報、通信スロットの使用状況などを格納するフレームコントロールメッセージスロット(FCMS: Frame Control Message Slot)と、移動局が基地局に接続要求を送信するためのリンク要求スロット(ACTS:Activation Slot)からなる。
【0011】
図4は路車間の通信のフォーマットを示す図である。同図は路車間の通信を、1フレームを4スロットで構成した場合の例である。同図の構成の場合、スロット1の下りチャネルはフレーム制御スロット(FCMS)に、スロット4の上りチャネルはリンク要求スロット(ACTS)に、スロット2、およびスロット3はデータ交換のための通信スロット(MDS)に利用されている。スロット2は基地局からの下り通信に割り当てられており、スロット3は移動局からの上り通信に割り当てられている。
【0012】
この通信フレームを使って基地局との通信を行う移動局は、自局に割当てられた通信スロットの位置を判別するために、基地局が送信する通信フレームとの同期が必要になる。このためフレーム制御スロットのフレーム制御信号FCMC(Frame Control Message Channel)には他のスロットに配置されるデータ交換のためのMDC(Message Data Channel)、MDCの受信確認の為のACKC(Acknowledge Channel)、接続要求の為のACTC(Activation Channel)とは異なる同期信号パターンを多重し、通信フレームの時間基準としてフレーム制御スロットの位置が識別できるようにしている。また、フレーム制御信号FCMCには、基地局が運用する無線チャネル、FCMSの後に続くスロットの数、移動局への上りあるいは下りスロットの割り当てなどの通信フレーム構成情報が多重されている。移動局は受信したFCMCにて、自局へのスロットの割り付けを判別し、そのスロットでの送受信を行う。また、移動局は基地局が送信するFCMCの送信周波数からそれに対応した無線周波数にて送信を行う。なお、FCMCはスロットの期間の基準信号でもあり、移動局との通信を行わない場合でも、常時周期的に送信される。
【0013】
図5は図4に示したFCMC、MDC等の詳細を示す図である。同図において501はプリアンブル(PR)、502はFCMやMDCそれぞれに固有の同期検出用ビットパタンであるユニークワード(UW)、503はFCMCまたはMDCで送信される情報、504はエラー検出の為のコード(CRC)である。
【0014】
基地局および移動局はユニークワード502を検出することによって、データ受信を検知し、エラー検出コードにより受信したデータの誤りを検出することが出来る。
【0015】
上記した無線通信フォーマットに準じた場合を例にとって、本発明の一実施例による基地局通信装置の例を図1に示し、以下説明する。本実施例は、基地局が運用を開始するに先立って他の基地局と通信中の移動局からの上り送信を受信することにより、移動局の送信無線周波数から対抗する基地局の送信無線周波数を検出するものである。移動局からの送信を受信するにあたっては、基地局での受信チャネルを周期的に切り替えながら待機し、その間に移動局からの受信があるか否かを検出する。既に述べたように、基地局からの下り送信と移動局からの上り送信は決められた組み合わせの無線周波数を用いる為、移動局の送信する無線周波数を検出することにより、対向する基地局の送信周波数を知ることが可能である。
【0016】
同図において101、102はアンテナ、103は無線受信部、104は受信した信号の復調部、105は復調された信号を入力しユニークワードを検出し送信情報を取出し通信制御部に送るデータ受信手段、106は受信レベルをデジタル信号に変換するA/D変換器、107、108は発振器、109、110は発振器を制御する周波数制御部、111は通信制御部からの送信データにユニークワードやエラー検出コードを付加して送信するデータ送信手段、112は送信データを変調する変調部、113は無線送信部、114は通信の制御を行なう通信制御手段である。
【0017】
周波数制御部109は発振器107の発振周波数を制御することによってい、受信部103の受信周波数チャネルを切り替える。また周波数制御部110は発振器108の発振周波数を制御し、送信部113の送信周波数チャネルを切り替える。移動局からの無線信号はアンテナ101で受信され、受信部103で所望のチャネルの信号が取り出される。さらに、復調部104でデジタルデータに変換され、データ受信手段105により送信情報が取出され、受信データとして信号処理部114に入力される。データ受信手段では105では、入力したデータのユニークワードや検出した時刻から、受信したデータがどの移動局が送信したMDCかACKCかを判断して、その種別を取出した送信情報と伴に通信制御手段に送信する。またデータの受信動作と同時に、A/D変換器106にて受信した信号の電界強度が計測され、通信制御手段114に入力される。一方、送信データはデータ送信手段111にてユニークワードなどのヘッダ情報とエラー検出コード等のフッダー情報を付加した後に、変調部112で変調され、送信部113から送信チャネルの無線周波数で送信される。通信制御手段114には、受信チャネル毎に移動局からの受信を計数するためのカウンタを備え、運用周波数の設定時に移動局からの受信回数を記録する。
【0018】
次に図6を用いて、図1の移動局通信装置における受信部103の構成を説明する。図6は本発明の一実施例による基地局通信装置の無線受信部の構成図である。同図において601、604はバンドパスフィルタ、602、605は増幅器、603は周波数変換器、606は受信レベル検出手段である。ここでバンドパスフィルタ601は無線周波数f8からf14までを選択する広帯域なフィルタである。また、バンドパスフィルタ604はf8からf14のうちいずれか一つの無線周波数のみを選択する狭帯域なフィルタである。受信レベル検出手段606は検波器あるいはRSSI回路などであり、受信した無線入力強度に応じたレベル信号を出力する。
【0019】
基地局から送信された信号を移動局通信装置が受信する場合、アンテナで受信された信号はバンドパスフィルタ601で周波数f1からf7の範囲以外の妨害波をカットし、増幅器602で増幅された後、周波数変換器603で中間周波数に変換される。変換された信号はバンドパスフィルタ604でf1からf7の7つのうち一つの周波数成分のみが取り出され、増幅器605で増幅された後、復調部部に送られる。外部に設けた発振器から周波数変換器603に入力する周波数を変更することによって、バンドパスフィルタ604を通過する無線周波数を変更することができ、それによって受信するチャネルを選択する。つまり、外部の発振器から周波数変換器603に入力する周波数を変更することによって、上りチャネルAから上りチャネルGを選択して受信出来る。なお、バンドパスフィルタ601は無線周波数f1からf7以外の周波数成分をあらかじめ削除し、それによって妨害波の影響を低減する目的のために設けるものであり、運用される状況によってはあえて設けなくとも動作に支障は無い。
【0020】
次に図7を用いて、図1の基地局通信装置における通信制御手段114の運用無線周波数設定動作について説明する。図7は本発明の一実施例による移動局通信装置の動作のフローチャートである。まず設定動作に先立って、周波数制御部109の制御により、受信するチャネルを初期値に設定する。運用無線周波数の設定動作中は送信は行わない(処理701)。設定するチャネルはチャネルAからGまでのうち最も優先して検出したいチャネルに設定する。チャネル毎に優先順位の無い場合には特にどのチャネルに設定しても良いが、本実施例では一例としてチャネルAに設定を行った場合について以下説明を行う。更に、受信チャネル毎の受信回数の記録値を初期化する(処理702)。次に、受信チャネルを下りチャネルAに設定した状態で受信手段105にてデータの受信を待機する、それと同時にA/D変換器106にて予め規定された以上の受信レベルがあるか否かを一定期間待機する。データ受信手段105では図5に示すユニークワード502の検出およびエラー検出コード504による検査により移動局からの送信を検出する。待機期間中に、データ受信手段105にて移動局からのデータを検する、あるいはA/D変換器106から規定値以上の受信レベルの入力を得ることにより移動局からの上り送信を検出した場合には、待機動作を終了し処理704へ処理を継続する。検出が無かった場合には、処理705へ分岐する(処理703)。処理704では、現在設定中の受信チャンネル毎に受信を検出した回数を加算し記録する。
【0021】
次に、移動局からの送信の待機を開始した後、現在設定の受信チャネルでの待機時間が予め規定された時間経過したか否かを判定し、未経過の場合には処理703に戻り前記の動作を繰り返す。規定時間を経過していた場合には、処理706に継続する(処理705)。規定時間経過後は、受信チャネルの設定回数が予め規定回数に達したか否かを判定し、規定回数に達しない場合には、処理707に分岐する。規定回数に達した場合には、処理708に継続する。前記規定回数はチャネルAからチャネルGまでの全7チャネルを複数回繰り返し受信する回数に設定されている(処理706)。処理707では受信チャネルを次のチャネルに切り替え、処理703以降の処理を繰り返す。設定チャネルが一巡した後は、元に戻って初期の設定値を設定する。処理708に継続した場合には、処理704にて記録した受信回数の値より、受信の無かったチャネルでは基地局が運用を行ってはいないと判断し、受信が無かったあるいは受信回数が最も少ないチャネルを選択し、選択したチャネルに送受信チャネルを設定する(処理708)。以上で運用するチャネルの設定を終了する。以後は設定したチャネルにてFCMの送信を開始し、移動局からの接続要求を待機する。
【0022】
さらに図8に、具体的な例を用いて上記した運用無線周波数選の設定動作の一例を示す。図8は本発明の一実施例による基地局通信装置の運用周波数の設定動作の一例を示す図である。同図において801は他の基地局との通信における移動局の上り送信を示し、802、803は移動局が送信するMDC信号である。804は基地局の通信制御手段114が周波数制御部109に設定する受信チャネル設定信号、805は図1に示す無線受信部103から出力される受信レベル、806は制御手段114が処理703にて移動局からの送信有無の判別に用いるしきい値、807は移動局からの上り受信発生時の受信レベルを示す信号、808は図1に示すデータ受信手段105から出力されるデータ受信の有ったことを示す信号、809は移動局からの上り受信発生時のデータ受信を示す信号である。同図は、移動局からの送信無線チャネルが上りチャンネルC(無線周波数f10)の場合、すなわち下りチャネルCにて送信中の他の基地局と通信中であった場合の例を示すものである。
【0023】
基地局では受信待機する無線周波数の初期値としてチャネルAに設定し(処理701)、受信待機する(処理703)。設定したチャネルAにて所定の期間受信を待機し(処理705)、受信チャネルを次のチャネルBに切り替える(処理707)。同様にチャネル切り替えを繰り返し、チャネルCにて受信を待機した際に、移動局の送信MDC信号803を受信する。MDC信号の受信により、受信レベルが上昇ししきい値806を超える受信レベル信号807が出力される。同時に、データ受信手段105にて移動局からの上り送信データを受信する。受信レベルの検出およびデータ受信により、移動局からの送信を検出し、チャネルCにおける受信回数を加算し記録する(処理704)。同様に受信チャネルの切り替えを繰り返し、規定の回数切り替えを行った後、受信の無かったチャネルに設定する。図8の例では、受信チャネルCの場合にのみ受信があったため、近傍にチャネルCにて送信中の他の基地局があることが検出出来たため、チャネルC以外の例えばチャネルAに送受信チャネルを設定し、運用周波数の設定を終了する(処理708)。
【0024】
以上説明したごとく本実施例によれば、受信するチャネルを切り替えながら移動局のデータの受信することにより、近傍の他の基地局の運用する無線周波数を検出し、その無線周波数とは異なる運用無線周波数を設定することにより、複数の基地局が接近して配置された場合にも、基地局間の干渉を発生することなく良好な通信が可能となる。
【0025】
次に本発明の第二の実施例を図9および図10を用いて説明する。前記した図7の実施例では、運用開始以前に他の基地局の運用周波数を検出するが、検出期間中に他の基地局にて移動局との通信が無かった場合には、正しく検出できない場合があり得る。そこで、本実施例では当該基地局が運用を開始した後も移動局との通信を行わない期間には、他の基地局の運用する無線周波数の検出を行うことにより検出を行う頻度を高め、より精度の高い検出を行うものである。
【0026】
次に図9を用いて上記動作を実現するための、図1の基地局通信装置における通信制御手段114の運用無線周波数設定動作について説明する。図9は本発明の第二の実施例による移動局通信装置の動作のフローチャートである。なお、移動局との通信中である場合にはその通信が完了後に本設定動作を行うものであり、基地局が通信を行っておらず移動局からの接続要求を待機中に後述の設定動作を行うものである。まず設定動作に先立って、周波数制御部109の制御により、受信するチャネルを初期値に設定する。(処理901)。設定するチャネルはチャネルAからGまでのうち最も優先して検出したいチャネルに設定する。チャネル毎に優先順位の無い場合にはどのチャネルに設定しても良いが、本実施例では一例としてチャネルAに設定を行った場合について以下説明を行う。更に、受信チャネル毎の受信回数の記録値を初期化する(処理902)。
【0027】
次に、受信チャネルを下りチャネルAに設定した状態で受信手段105にてデータの受信を待機する、それと同時にA/D変換器106にて予め規定された以上の受信レベルがあるか否かを一定期間待機する。待機期間中に、データ受信手段105にて移動局からのデータを検する、あるいはA/D変換器106から規定値以上の受信レベルの入力を得ることにより移動局からの上り送信を検出した場合には、待機動作を終了し処理904へ処理を継続する。検出が無かった場合には、処理905へ分岐する(処理903)。処理904では、現在設定中の受信チャンネル毎に受信を検出した回数を加算し記録する。次に、現在のスロットの割付がリンク要求スロットの期間中か否かを判定し、リンク要求スロットの期間中であれば処理906へ分岐、それ以外の通信スロット等の期間であれば処理909に継続する。処理906へ分岐した場合には、受信チャネルを送信チャネルと同一のチャネルに設定する。つまり送信チャネルが下りチャネルCに設定の場合には、受信を上りチャネルCに設定する。さらにリンク要求スロットの期間中、移動局からの接続要求信号ACTCの受信を待機する(処理907)。待機中に移動局からの接続要求を受信した場合には本設定動作を中断し以降移動局との通信を行う。移動局との通信終了後は再度本設定動作を開始する。
【0028】
また、接続要求の受信が無かった場合には、処理909へ分岐し本設定動作を継続する(処理908)。処理909では、通信フレームが終了し次のフレームに更新されたか否かを判定し、フレームの更新が無かった場合には処理903に戻り以降の処理を繰り返す。通信フレームが更新された場合には、処理904における受信チャネル毎の受信回数の記録値の更新があったか否かを判定し(処理910)、更新が無かった場合には受信チャネルを次のチャネルに切り替え、903以降の処理を繰り返す。設定チャネルが一巡した後は、元に戻って初期の設定値を設定する(処理911)。受信回数の記録値の更新があった場合には、受信回数の値より、受信の無かったチャネルでは基地局が運用を行ってはいないと判断し、受信が無かったあるいは受信回数が最も少ないチャネルを選択し、選択したチャネルに送受信チャネルを設定し、更に処理903以降の処理を繰り返す(処理912)。以後は設定したチャネルにて基地局の運用を行う。すなわち設定周波数にてFCMの送信を開始し、移動局からの接続要求に応じて通信を行う。
【0029】
さらに図10に、具体的な例を用いて上記した運用無線周波数選の設定動作の一例を示す。図10は本発明の第二の実施例による基地局通信装置の運用周波数の設定動作の一例を示す図である。同図において1001は他の基地局との通信における移動局の上り送信を示し、1002から1006は移動局が送信するMDC信号である。1007は基地局が指定する通信フレームのスロット割付を示し、1008から1013はリンク要求スロットACTSである。1014は基地局の通信制御手段114が周波数制御部110に設定する送信チャネル設定信号、1015は基地局の通信制御手段114が周波数制御部109に設定する受信チャネル設定信号、1016は図1に示す無線受信部103から出力される受信レベル、1017は制御手段114が処理903にて移動局からの送信有無の判別に用いるしきい値、1018は移動局からの上り受信発生時の受信レベルを示す信号、1019は図1に示すデータ受信手段105から出力されるデータ受信を示す信号、1020は移動局からの上り受信発生時のデータ受信を示す信号である。同図は、基地局が当初チャネルCにて運用中に、移動局がチャネルCにて運用中の他の基地局と通信中であった場合の例を示すものである。
【0030】
基地局では受信待機する無線周波数の初期値としてチャネルAに設定し(処理901)、受信待機する(処理903)。ただしリンク要求スロット期間1008から1013の期間中は、移動局からの接続要求信号ACTCを受信する必要があるため、受信チャネルを運用中のチャネルCに設定する(処理906)。通信フレーム毎に受信チャネルを切り替え(処理911)、チャネルCにて受信を待機した際に、移動局の送信するMDC信号1004が受信される。MDC信号の受信により、受信レベルが上昇ししきい値1017を超える受信レベル信号1018が出力される。同時に、データ受信手段105にて移動局からの上り送信データを受信する。受信レベルの検出およびデータ受信により、移動局からの送信を検出し、チャネルCにおける受信回数を加算し記録する(処理904)。チャネルCにて受信回数が更新されたため、次のフレームにていまだ受信の無かったチャネル、例えばチャネルDに送受信チャネルを設定する(処理912)。更にフレーム毎に受信チャネルを切り替え、検出動作を継続する。
【0031】
以上説明したごとく本実施例によれば、運用を開始した以後も、受信するチャネルを切り替えながら移動局送信する他の基地局との通信を受信することにより、より高い頻度で近傍の他の基地局の運用する無線周波数を検出し、その無線周波数とは異なる運用無線周波数を設定することにより、複数の基地局が接近して配置された場合にも、基地局間の干渉を発生することなく良好な通信が可能となる。またリンク要求スロット期間中は、検出動作を中断し、移動局からの接続要求を待機する為、運用にも支障が無い。
【0032】
次に本発明の第三の実施例を図11および図12を用いて説明する。本実施例では、基地局が運用を開始し移動局からの上り通信を受信した際に、基地局がその移動局に対して上り通信の割り付けを行っていない場合には、移動局が他の基地局と通信を行っていると判断する。すなわち同一無線周波数で運用中の基地局が近傍に存在すると判断し、基地局の運用する無線周波数を他の周波数に設定するものである。
【0033】
次に図11を用いて、上記動作を実現するための図1の基地局通信装置における通信制御手段114の運用周波数設定動作について説明する。図11は本発明の第三の実施例による移動局通信装置の動作のフローチャートである。なお、当該基地局が移動局との通信中である場合にはその通信が完了後に本設定動作を行うものであり、基地局が移動局からの接続要求を待機中に後述の設定動作を行うものである。
【0034】
まず設定動作に先立って、受信チャネル毎の受信回数の記録値を初期化する(処理1101)。次に、受信手段105にてデータの受信を待機する、それと同時にA/D変換器106にて予め規定された以上の受信レベルがあるか否かを待機する。データ受信手段105にて移動局からのデータを検するか、あるいはA/D変換器106から規定値以上の受信レベルの入力を得ることにより移動局からの上り送信を検出した場合には、待機動作を終了し処理1103へ処理を継続する。検出が無かった場合には、待機動作を継続する(処理1102)。処理1103では基地局自身が移動局に対して上り通信スロットの割り付けを行った否かを判定し、スロットの割り付けを行っていない場合には処理1104に分岐し、移動局が他の基地局との通信を行っていると判断して以降の処理にて運用無線周波数を変更処理を行う。
【0035】
また基地局が移動局に対して上り通信スロットの割付を行っていた場合には、自基地局への送信であるため運用周波数の変更は行わず処理1102に戻って再度受信を待機する(処理1103)。処理1104では現在設定中の受信チャンネル毎の受信検出回数を加算し記録する。更に、それまでのチャネル毎の受信回数の値より、受信の無かったチャネルでは基地局が運用を行ってはいないと判断し、受信が無かったあるいは受信回数が最も少ないチャネルを選択し、次の通信フレームより選択したチャネルに送受信チャネルを設定し、処理1102に継続する(処理1105)。送受信チャネルの設定後は、新たな設定にて以降の運用を継続し移動局とは設定後の無線周波数にて通信を行う。
【0036】
さらに図12に、具体的な例を用いて上記した運用無線周波数選の設定動作の一例を示す。図12は本発明の第三の実施例による基地局通信装置の運用周波数の設定動作の一例を示す図である。同図において1201は他の基地局との通信における移動局の上り送信を示し、1202は移動局が上り送信するMDC信号である。1203は基地局が指定する通信フレームのスロット割付を示す。1204は基地局の通信制御手段114が周波数制御部110に設定する下り送信チャネル設定信号、1205は基地局の通信制御手段114が周波数制御部109に設定する上り受信チャネル設定信号、1206は図1に示す無線受信部103から出力される受信レベル、1207は制御手段114が処理1102にて移動局からの送信有無の判別に用いるしきい値、1208は移動局からの上り受信発生時の受信レベルを示す信号、1209は図1に示すデータ受信手段105から出力されるデータ受信を示す信号、1210は移動局からの上り受信発生時のデータ受信を示す信号である。同図は、基地局が当初チャネルCにて運用中に、移動局がチャネルCにて運用中の他の基地局と通信を行った場合の例を示すものである。
【0037】
基地局では当初の運用無線周波数の初期値としてチャネルCに設定し、移動局からの接続要求を待機中に、移動局の送信するMDC信号1202が受信される。MDC信号の受信により、受信レベルが上昇ししきい値1207を超える受信レベル信号1208が出力される。同時に、データ受信手段105にて移動局からの上り送信データを受信する。受信レベルの検出およびデータ受信により、移動局からの送信を検出する(処理1102)。更に、受信時に移動局に対して上り通信するロットの割り付けを行っていない事を確認する(処理1103)。次にチャネルCにおける受信回数を加算し記録する(処理1104)。受信回数の更新後、次のフレームにていまだ受信の無かったチャネル、例えばチャネルDに送受信チャネルを設定する(処理1105)。
【0038】
以上説明したごとく本実施例によれば、基地局が運用を開始した以降も、基地局が上り通信スロットの割り付けを行っていない移動局から受信することで、同一無線周波数で運用中の基地局が近傍に存在する事を検出し、基地局の運用する無線周波数を他の周波数に設定する事により、複数の基地局が接近して配置された場合にも、基地局間の干渉を発生することなく良好な通信が可能となる。
【0039】
次に、本発明の第四の実施例を図13を用いて説明する。図13は本発明の第四の実施例による基地局通信装置の構成例を示す。同図において1301、1302は受信する周波数を選択して受信する選択受信手段である。その他図1に示したものと同一の動作をするものについては同一の符号を付してある。前記選択受信手段では周波数制御部109からの指示により発振器107の発振周波数を制御することにより受信部103の受信周波数を切り替える。さらに復調部104にてデジタルデータに変換し、データ受信手段105により送信情報が受信される。図13に示した実施例では、チャネル選択受信手段を2系統備える点で、図1の実施例とは異なる。また本実施例では発振器107の出力を、選択受信手段1302の無線受信部103と、無線送信部113の両方供給することにより、送受信周波数を同時に制御する。
【0040】
本実施例では、移動局と自局との通信には選択受信手段1302を用い、移動局が他の基地局との通信時の上り送信のを受信するために、選択受信手段1301を用いる。選択受信手段を2系統備えることにより、自局が移動局との通信中であっても、他の基地局と通信中の移動局からの送信を受信し、近傍の基地局の運用周波数の検出を行うことが出来る。近傍の基地局の運用周波数の検出および運用周波数の設定は既に説明した図7および図8の検出動作と同様に動作する。
【0041】
上記した実施例では選択受信手段を複数備えることにより、自基地局が移動局と通信中であっても、同一無線周波数で運用中の基地局が近傍に存在する事を検出し、基地局の運用する無線周波数を他の周波数に設定する事により、複数の基地局が接近して配置された場合にも、基地局間の干渉を発生することなく良好な通信が可能となる。また本実施例では選択受信手段を2系統備えたが、より多くの選択受信手段を備え検出を行うことでより確実な検出動作が可能となることは明らかである。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、近傍の基地局と通信中の移動局からの送信を受信し、移動局が送信する無線周波数よりその基地局の運用周波数を特定し、自基地局の運用する無線周波数を先に特定した無線周波数とは異なる周波数に設定する事により、複数の基地局が接近して配置された場合にも、基地局間の干渉を発生することなく良好な通信が可能な基地局通信装置を提供でき、それにより基地局を接近して配置することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基地局通信装置の一実施例を示す構成図である。
【図2】無線通信で用いる無線周波数を示す図である。
【図3】無線通信の運用例を示す図である。
【図4】通信フレームの一例を示す図である。
【図5】データのフォーマットの一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施例による基地局通信装置の無線受信部の構成図である。
【図7】本発明の一実施例による移動局通信装置の動作のフローチャートである。
【図8】本発明の一実施例による基地局通信装置の運用周波数の設定動作の一例を示す図である。
【図9】本発明の第二の実施例による移動局通信装置の動作のフローチャートである。
【図10】本発明の第二の実施例による基地局通信装置の運用周波数の設定動作の一例を示す図である。
【図11】本発明の第三の実施例による移動局通信装置の動作のフローチャートである。
【図12】本発明の第三の実施例による基地局通信装置の運用周波数の設定動作の一例を示す図である。
【図13】本発明の第四の実施例による基地局通信装置の例を示す構成図
【符号の説明】
101、102…アンテナ、
103…無線受信部、
104…信号復調部、
105…データ受信手段、
106…A/D変換器、
107、108…発振器、
109、110…周波数制御部、
114…通信制御手段、
602、605…増幅器、
603…周波数変換器、
601、604…バンドパスフィルタ、
606…受信レベル検出手段。
Claims (3)
- 基地局と移動局間データの送信および受信を無線通信にて行い、前記無線通信用の複数の無線周波数の中の一組の無線周波数を用いて基地局から移動局への下り通信および移動局から基地局への上り通信を行う通信方式を用いる基地局の無線通信装置において、
受信する無線周波数を選択して移動局からの上り通信を受信する受信手段と、無線周波数を選択して送信する送信手段を備え、
前記受信手段にて移動局から他の基地局へのデータ送信時の無線周波数を検出することにより、前記検出された無線周波数をもとに移動局と対向して通信する基地局の送信周波数を判別し、判別した送信無線周波数とは異なる無線周波数にて前記送信手段にて送信することを特徴とする基地局無線通信装置。 - 前記受信手段を複数備え、当該基地局が移動局との通信中であっても、移動局との通信使用中の受信手段とは別の受信手段を用いて、他の基地局と通信する移動局が送信する無線周波数の検出を行うことを特徴とする請求項1に記載の基地局無線装置。
- 前記受信手段において、受信レベル検出手段を備え、予め設定した規定値以上の受信レベルを検出した際の受信無線周波数を、移動局の送信する無線周波数として検出することを特徴とする請求項1に記載の基地局無線通信装置。
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