JP2011086000A - 運転支援装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両がカーブを走行する際、運転者に違和感を与えることなく、運転支援を適切に行う。
【解決手段】運転支援装置は、車両の進行方向の道路の道路形状を検出する道路形状検出手段(30)と、道路形状検出手段によって検出された道路形状に基づいて、車両の進行方向の道路の曲率半径を推定する曲率半径推定手段(11)と、車両の進行方向の道路の道路種別を推定する道路種別推定手段(12)と、曲率半径推定手段によって推定された曲率半径の推定精度が所定の基準値以下である場合には、道路種別推定手段によって推定された道路種別に対して規定された曲率半径範囲内の一の曲率半径に基づいて、運転支援を行う運転支援手段(13)とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の運転者のための運転支援を行う運転支援装置の技術分野に関する。
この種の運転支援装置として、車両の進行方向の道路の曲率を算出し、この曲率に応じてカーブ手前から車両の減速制御を行うものが知られている。道路の曲率を算出する技術としては、例えば、GPS(Global Positioning System)を利用して取得さた道路形状に関するノード(点データ)の集合に基づいて道路の曲率を算出する技術(例えば特許文献1参照)や、例えばミリ波レーダー、レーザーレーダー、カメラ等のセンサーを用いて道路形状を検出し、この検出した道路形状から道路の曲率を算出する技術などが知られている。
特開2004−272426号公報
しかしながら、上述したような道路の曲率を算出する技術によれば、GPSの検出誤差やGPS受信機の受信遮断、或いは、悪天候や道路の複雑さによって、道路の曲率を精度良く算出することが困難になるおそれがあるという技術的問題点がある。他方、例えば、カーブ手前から道路の曲率によらず、車両を一意的な所定速度まで減速させる減速制御を行うとすれば、運転者に違和感や不安感を与えてしまうおそれがあるという技術的問題点がある。
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、車両がカーブを走行する際、運転者に違和感を与えることなく、運転支援を適切に行うことが可能な運転支援装置を提供することを課題とする。
本発明の運転支援装置は上記課題を解決するために、車両の運転者のための運転支援を行う運転支援装置であって、前記車両の進行方向の道路の道路形状を検出する道路形状検出手段と、前記道路形状検出手段によって検出された前記道路形状に基づいて、前記車両の進行方向の道路の曲率半径を推定する曲率半径推定手段と、前記車両の進行方向の道路の道路種別を推定する道路種別推定手段と、前記曲率半径推定手段によって推定された前記曲率半径の推定精度が所定の基準値以下である場合には、前記道路種別推定手段によって推定された前記道路種別に対して規定された曲率半径範囲内の一の曲率半径に基づいて、前記運転支援を行う運転支援手段とを備える。
本発明の運転支援装置によれば、道路形状検出手段は、例えばミリ波レーダー、レーザーレーダー、カメラ等のセンサーを含んでなり、車両の進行方向の道路の道路形状(例えば車線幅、中央帯の幅員、路肩幅など)を検出する。曲率半径推定手段は、道路形状検出手段によって検出された道路形状に基づいて、車両の進行方向の道路の曲率半径(即ち、車両が走行する道路の進行方向前方のカーブの曲率半径)を推定する。運転支援手段は、基本的には、曲率半径推定手段によって推定された道路の曲率半径に基づいて、例えば車両の減速制御等の運転支援を行う。
ここで、曲率半径推定手段による曲率半径の推定は、道路検出手段によって検出される道路形状に基づくため、該曲率半径の推定精度は、例えば悪天候や道路の複雑さによって低下してしまうおそれがある。
本発明では特に、車両の進行方向の道路の道路種別を推定する道路種別推定手段を備え、運転支援手段は、曲率半径推定手段によって推定された曲率半径の推定精度が所定の基準値以下である場合には、道路種別推定手段によって推定された道路種別に対して規定された曲率半径範囲内の一の曲率半径(例えば、曲率半径範囲内の最小の曲率半径)に基づいて、運転支援を行う。本発明に係る「道路種別」とは、道路の設計上の種別であり、典型的には、道路構造令における「道路の区分」を意味し、各道路種別に対して曲率半径範囲が規定されている。本発明に係る「曲率半径の推定精度が所定の基準値以下である場合」とは、曲率半径推定手段によって推定された道路の曲率半径の確からしさが、予め定められた基準以下である場合を意味し、典型的には、曲率半径推定手段によって道路の曲率半径を推定することができない場合や、曲率半径推定手段によって推定された道路の曲率半径が誤っていると判定される場合が含まれる。本発明に係る「所定の基準値」は、例えば、車両の走行中に曲率半径推定手段によって、所定期間毎に複数回、道路の曲率半径が推定された際に、推定された複数の曲率半径のバラツキの大きさに対する基準値として設定される。
よって、例えば悪天候や道路の複雑さに起因して、曲率半径推定手段によって推定された道路の曲率半径の推定精度が所定値以下である場合であっても、道路種別に対して規定された曲率半径範囲内の例えば最小の曲率半径など一の曲率半径に基づいて、運転支援を行うので、車両がカーブを走行する際、運転者に違和感を与えることなく、運転支援を適切に行うことができる。即ち、道路種別に対して規定された曲率半径範囲内の一の曲率半径は、実際の道路の曲率半径に殆ど一致するので、該一の曲率半径に基づいて運転支援が行われることより、運転者に与える違和感を殆ど或いは完全に無くすことができる。
以上説明したように、本発明に係る運転支援装置によれば、車両がカーブを走行する際、運転者に違和感を与えることなく、運転支援を適切に行うことができる。
本発明の運転支援装置の一態様では、前記運転支援手段は、前記運転支援として、前記車両が前記一の曲率半径の道路を走行した場合に生じる遠心力が所定の閾値を超えないように、前記車両の速度を制御する速度制御支援を行う。
この態様によれば、車両がカーブを走行する際に、運転者に対して不快感や不安感を与えてしまうことを抑制或いは防止できる。尚、本発明に係る「所定の閾値」は、運転者が不快感や不安感を感じない遠心力の大きさとして適宜に設定することができる。
本発明の運転支援装置の他の態様では、前記道路種別推定手段は、前記道路形状検出手段によって検出された前記道路形状に基づいて前記道路種別を推定する。
この態様によれば、例えばミリ波レーダー、レーザーレーダー、カメラ等のセンサーを含んでなる道路形状検出手段によって検出された道路形状に基づいて、道路種別を確実に推定することができる。
本発明の運転支援装置の他の態様では、前記道路種別推定手段は、前記車両に搭載されたナビゲーション装置から前記道路種別に関する情報を取得し、該取得した情報に基づいて前記道路種別を推定する。
この態様によれば、車両に搭載されたナビゲーション装置から取得可能な道路種別に関する情報に基づいて、道路種別を確実に推定することができる。
本発明の運転支援装置の他の態様では、前記道路種別推定手段は、前記道路形状検出手段によって検出された前記道路形状に基づいて前記道路種別としての第1種別を推定すると共に、前記車両に搭載されたナビゲーション装置から前記道路種別に関する情報を取得し、該取得した情報に基づいて前記道路種別としての第2種別を推定し、前記第1種別と前記第2種別とが互いに異なる場合には、前記第1種別の確からしさを示す第1信頼度と前記第2種別の確からしさを示す第2信頼度とを算出し、前記第1及び第2信頼度のいずれが高いかに応じて前記道路種別として前記第1及び第2種別のうち一の種別を選択することにより、前記道路種別を推定する。
この態様によれば、道路種別推定手段によって道路種別を高精度に推定することができる。よって、運転支援手段によって運転支援をより適切に行うことができる。
本発明の運転支援装置の他の態様では、前記道路形状検出手段は、前記道路形状として、車線幅、中央帯の幅員及び路肩幅を検出する。
この態様によれば、道路検出手段によって検出された車線幅、中央帯の幅員及び路肩幅に基づいて、道路種別推定手段によって道路種別を高精度に推定することができる。
本発明の運転支援装置の他の態様では、前記道路形状検出手段は、ミリ波レーダー、レーザーレーダー及びカメラの少なくとも1つを含んでなる。
この態様によれば、道路形状検出手段によって、道路形状を確実に検出することができる。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
第1実施形態に係る運転支援装置の構成を示すブロック図である。 第1実施形態に係る運転支援装置によるカーブ曲率半径に基づく運転支援を説明するためのフローチャートである。 ミリ波レーダー、レーザーレーダー及びカメラ等のセンサーを用いた、物標検出、障害物検出、カーブ検出及びカーブ曲率推定の難易度を示す表である。 第2実施形態に係る運転支援装置の構成を示すブロック図である。 第2実施形態に係る運転支援装置における道路区分の推定を説明するためのフローチャートである。
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る運転支援装置について、図1から図3を参照して説明する。
先ず、本実施形態に係る運転支援装置の構成について、図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る運転支援装置の構成を示すブロック図である。
図1において、本実施形態に係る運転支援装置1は、図示しない車両に搭載されており、車両の運転者(ドライバー)のための運転支援を行う装置である。運転支援装置1は、運転支援ECU10を備えている。運転支援ECU10には、車速検出部20、道路形状検出部30、ブレーキスイッチ(ブレーキSW)40、メインスイッチ(メインSW)50及びナビゲーション装置60が接続されている。また、運転支援ECU10には、車両駆動力印加部70、警報ブザー80及びメーター90が接続されている。
運転支援ECU10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備え、車速検出部20、道路形状検出部30、ブレーキスイッチ40、メインスイッチ50及びナビゲーション装置60から入力される情報に基づいて、車両駆動力印加部70、警報ブザー80及びメーター90の動作を制御することが可能に構成された電子制御ユニットである。尚、運転支援ECU10の構成については、後に詳細に説明する。
車速検出部20は、例えば車両の前輪部分に取り付けられた車輪速センサーを含んでなり、車両が走行する速度(即ち、車速)を検出する。
道路形状検出部30は、ミリ波レーダー、レーザーレーダー及びカメラを含んでなり、車両の進行方向の道路の道路形状を検出する。具体的には、道路形状検出部30は、例えば、カメラ及びミリ波レーダーによって道路の白線幅を検出することにより道路形状として車線幅を検出したり、ミリ波レーダー、カメラ及びレーザーレーダーによって道路形状として中央帯の幅員や路肩幅を検出したりする。尚、道路形状検出部30は、本発明に係る「道路形状検出手段」の一例である。
ブレーキスイッチ40は、車両のブレーキペダルに取り付けられており、運転者によるブレーキペダルの操作を検出する。ブレーキスイッチ40は、運転者がブレーキペダルを操作して車両にブレーキ動作をさせようとした際に、ブレーキ信号を運転支援ECU10に出力する。
メインスイッチ50は、例えば車両の運転席に取り付けられている。運転者などがメインスイッチ50をオン(ON)にする操作をすると、メインスイッチ50は、オン信号を運転支援ECU10に出力する。運転支援ECU10は、このオン信号が入力されると、運転支援を開始する。
ナビゲーション装置60は、運転者に対して車両の現在位置や目的地までの経路を案内するカーナビゲーション装置である。ナビゲーション装置60は、GPS(Global positioning system)衛星から電波を受信して車両の測位位置を算出し、この測位位置に対してマップマッチング処理を行うことにより車両の現在位置を推定する。
車両駆動力印加部70は、例えばアクセルやブレーキを含んでなり、運転支援ECU10から出力される速度制御信号に基づいて、車両に所定の駆動力を印加する。
警報ブザー80は、例えば車室内のインストルメントパネル部に設けられており、運転者に到達する所定の音量の警報を発する。警報ブザー80が発する警報には、複数の種類が設定されている。警報ブザー80は、運転支援ECU10から出力される警報信号に基づいて、所定種類の警報を出力する。
メーター90は、例えば車室内のインストルメントパネル部に設けられており、運転支援ECU10から出力される表示信号に基づいて、運転支援に係る表示を行う。
運転支援ECU10は、カーブ曲率半径推定部11、道路種別推定部12及び運転支援部13を有している。
カーブ曲率半径推定部11は、本発明に係る「曲率半径推定手段」の一例であり、道路形状検出部30によって検出された道路形状に基づいて、車両の進行方向の道路のカーブ曲率半径(即ち、車両が走行する道路の進行方向前方のカーブの曲率半径)を推定する。
道路種別推定部12は、本発明に係る「道路種別推定手段」の一例であり、道路形状検出部30によって検出された道路形状に基づいて、車両の進行方向の道路の道路種別(本実施形態では、道路構造令における「道路の区分」)を推定する。尚、道路構造令において、「道路の区分(以下、「道路区分」と適宜称する)」は、道路を新設する際における道路の設計上の種別として複数規定されており(例えば道路構造令の第3条参照)、各道路区分に対して、例えば車線幅、中央帯の幅員、路肩幅、設計速度など、道路の構造に関する技術的基準が規定されている。
運転支援部13は、本発明に係る「運転支援手段」の一例であり、基本的には、カーブ曲率半径推定部11によって推定されたカーブ曲率半径に基づいて、例えば車両の減速制御等の運転支援を行う。例えば、運転支援部13は、カーブ曲率半径推定部11によって推定されたカーブ曲率半径に基づいて、車両が安全に走行可能な最高車速を算出する。算出した最高車速よりも現在の車速が高い場合には、運転支援部13は、運転支援として、例えば、車両駆動力印加部70に対して速度制御信号を出力することにより、車両の減速制御を車両駆動力印加部70に行わせたり、警報ブザー80に対して警報信号を出力することにより、減速すべき旨を示す警報を警報ブザー80に出力させたり、メーター90に対して表示信号を出力することにより、減速すべき旨を示す表示をメーター90に表示させたりする。
本実施形態では特に、運転支援部13は、カーブ曲率半径推定部11によって推定されたカーブ曲率半径の推定精度が所定の基準値以下である場合には、道路種別推定部12によって推定された道路区分に対して規定されたカーブ曲率半径範囲内の最小の曲率半径に基づいて、運転支援を行う。
次に、本実施形態に係る運転支援装置によるカーブ曲率半径に基づく運転支援について、図1に加えて図2を参照して説明する。
図2は、本実施形態に係る運転支援装置によるカーブ曲率半径に基づく運転支援を説明するためのフローチャートである。
図1及び図2において、運転支援装置1では、先ず、カーブ曲率半径Rが運転支援ECU10のカーブ曲率半径推定部11によって推定される(ステップS10)。即ち、カーブ曲率半径推定部11は、道路形状検出部30によって検出された道路形状に基づいて、車両の進行方向の道路のカーブ曲率半径Rを推定する。カーブ曲率半径Rは、車両の走行中に、例えば所定時間毎或いは所定走行距離毎に複数回、推定される。
次に、推定されたカーブ曲率半径Rが有効か否かが運転支援ECU10の運転支援部13によって判定される(ステップS20)。具体的には、運転支援部13は、例えば、所定期間毎に推定された複数のカーブ曲率半径Rのバラツキの大きさが、所定の基準となる大きさよりも小さい場合には、推定されたカーブ曲率半径Rが有効である(言い換えれば、推定されたカーブ曲率半径Rの推定精度が所定の基準推定精度よりも高い)と判定し、一方、所定期間毎に推定された複数のカーブ曲率半径Rのバラツキの大きさが、所定の基準となる大きさ以上である場合には、推定されたカーブ曲率半径Rが有効でない(即ち、無効である、言い換えれば、推定されたカーブ曲率半径Rの推定精度が所定の基準推定精度以下である)と判定する。
推定されたカーブ曲率半径Rが有効であると判定された場合には(ステップS20:Yes)、推定されたカーブ曲率半径Rに基づいて、運転支援ECU10の運転支援部13によって、例えば減速制御等の運転支援が行われる(ステップS30)。
一方、推定されたカーブ曲率半径Rが有効でない(即ち、無効である)と判定された場合には(ステップS20:No)、道路区分が運転支援ECU10の道路種別推定部12によって推定される(ステップS40)。具体的には、道路種別推定部12は、道路形状検出部30によって検出された道路形状(例えば、車線幅、中央帯の幅員、路肩幅など)に基づいて、車両の進行方向の道路の道路区分を推定する。尚、道路構造令において、各道路区分に対して例えば車線幅(即ち、車線の幅員)、中央帯の幅員、及び路肩幅(即ち、路肩の幅員)などが規定されている(例えば道路構造令の第5条、第6条、第8条参照)。
次に、カーブ曲率半径デフォルト値Rdefが運転支援ECU10の運転支援部13によって設定される(ステップS50)。具体的には、運転支援部13は、道路種別推定部12によって推定された道路区分に基づいて、車両が走行している道路の道路構造令における設計速度を算出し、この算出した設計速度に対して道路構造令において規定される曲率半径範囲内の最小の曲率半径を、カーブ曲率半径デフォルト値Rdefとして設定する。尚、道路構造令において、各道路区分に対して設計速度が規定され(例えば道路構造令の第13条参照)、各設計速度に対して曲率半径範囲(「曲線半径」の範囲)が規定されている(例えば道路構造令の第15条参照)。つまり、運転支援部13は、道路種別推定部12によって推定された道路区分に対して道路構造令に規定されている曲率半径範囲内の最小の曲率半径を、カーブ曲率半径デフォルト値Rdefとして設定する。尚、カーブ曲率半径デフォルト値Rdefは、本発明に係る「一の曲率半径」の一例である。
次に、カーブ曲率半径デフォルト値Rdefに基づいて、運転支援ECU10の運転支援部131によって、例えば減速制御等の運転支援が行われる(ステップS60)。例えば、運転支援部131は、運転支援として、カーブ曲率半径がカーブ曲率デフォルト値Rdefである道路を車両が走行した場合に生じる遠心力が、所定の閾値を超えないように、車速を制御する減速制御(速度制御支援)を行う。つまり、運転支援部13は、下記の式(1)を満たすように、目標車速Vを設定し、車速が目標車速Vとなるように車両駆動力印加部70を制御する。
/Rdef≦閾値 ・・・(1)
よって、運転制御装置1によれば、車両がカーブを走行する際に、運転者に対して不快感や不安感を与えてしまうこと(例えば、運転者にスピードオーバーの不安感が生じてしまうこと)を抑制或いは防止できる。尚、カーブ曲率半径がカーブ曲率デフォルト値Rdefである道路を車両が走行した場合に生じる遠心力に対する「所定の閾値」(或いは上記式(1)における「閾値」)は、運転者が不快感や不安感を感じない遠心力の大きさに応じて適宜に設定すればよい。
このように、運転支援装置1によれば、カーブ曲率半径推定部11によって推定されたカーブ曲率半径Rが有効でない(即ち、カーブ曲率半径推定部11によって推定されたカーブ曲率半径Rの推定精度が所定の基準推定精度以下である)場合には、道路種別推定部12によって推定された道路区分に対して規定された曲率半径範囲内の最小の曲率半径をカーブ曲率半径デフォルト値Rdefとして設定し、この設定したカーブ曲率半径デフォルト値Rdefに基づいて、運転支援を行う。よって、例えば悪天候や道路の複雑さに起因して、カーブ曲率半径推定部11によって推定されたカーブ曲率半径Rが有効でない場合であっても、車両がカーブを走行する際、運転者に違和感を与えることなく、運転支援を適切に行うことができる。
ここで、図3は、ミリ波レーダー、レーザーレーダー及びカメラ等のセンサーを用いた、物標検出、障害物検出、カーブ検出及びカーブ曲率推定の難易度を示す表である。
図3に示すように、ミリ波レーダー、レーザーレーダー及びカメラ等のセンサーを用いて、物標検出(即ち、車両の走行軌道上に存在する物標を検出すること)、障害物検出(即ち、車両が走行中の道路に存在する例えば物、カーブ、分岐等の障害物を検出すること)、カーブ検出(即ち、車両が走行中の道路の進行方向に存在するカーブ(例えば右方向へのカーブ、左方向へのカーブ)を検出すること)、及びカーブ曲率半径推定(即ち、車両が走行中の道路の進行方向に存在するカーブのカーブ曲率半径を推定すること)を行う場合、一般的に、この順に難易度が高くなる。即ち、物標検出よりも障害物検出のほうが困難であり、障害物検出よりもカーブ検出のほうが困難であり、カーブ検出よりもカーブ曲率半径推定のほうが困難である。
本実施形態に係る運転支援装置1によれば、例えば、仮に、ミリ波レーダー、レーザーレーダー及びカメラ等を含んでなる道路形状検出部30によって検出された道路形状に基づいて、カーブ曲率半径推定部11によってカーブ検出を行うことが可能であるが、カーブ曲率半径推定を行うことが困難或いは不可能である場合であっても、道路種別推定部12によって推定された道路区分に対応する最小の曲率半径をカーブ曲率半径デフォルト値Rdefとして設定し、この設定したカーブ曲率半径デフォルト値Rdefに基づいて運転支援を行うので、運転者に違和感を与えることなく、運転支援を適切に行うことができる。例えば、推定精度の低いカーブ曲率半径に基づいて減速制御を行うことにより、車両に不要に大きな減速を生じさせ、運転者に違和感を与えてしまうことを回避できる。
以上説明したように、本実施形態に係る運転支援装置1によれば、車両がカーブを走行する際、運転者に違和感を与えることなく、運転支援を適切に行うことができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る運転支援装置について、図4及び図5を参照して説明する。
図4は、本実施形態に係る運転支援装置の構成を示すブロック図である。
図4において、第2実施形態に係る運転支援装置2は、図1を参照して上述した第1実施形態における運転支援ECU10に代えて運転支援ECU10bを備える点で、上述した第1実施形態に係る運転支援装置1と異なり、その他の点については、上述した第1実施形態に係る運転支援装置1と概ね同様に構成されている。尚、図4において、図1に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の構成要素を付し、それらの説明は適宜省略する。
図4において、運転支援ECU10bは、図1を参照して上述した第1実施形態における道路種別推定部12に代えて道路種別推定部12bを有する点で、上述した第1実施形態における運転支援ECU10と異なり、その他の点については、上述した第1実施形態における運転支援ECU10と概ね同様に構成されている。
道路種別推定部12bは、道路形状検出部30によって検出された道路形状に基づいて道路区分を推定すると共に、ナビゲーション装置60から道路区分に関する情報を取得し、この取得した情報に基づいて道路区分を推定する。尚、以下では、道路形状検出部30によって検出された道路形状に基づいて推定される道路区分を「道路区分Cs」と適宜称し、ナビゲーション装置60から取得した情報に基づいて推定される道路区分を「道路区分Cn」と適宜称する。道路区分Csは、本発明に係る「第1種別」の一例であり、道路区分Cnは、本発明に係る「第2種別」の一例である。
道路種別推定部12bは、推定した道路区分Csと道路区分Cnとが互いに異なる場合には、道路区分Cs及びCnの各々の信頼度を算出し、信頼度が高い方の道路区分を選択することにより、1つの道路区分を推定する。尚、以下では、道路区分Csの信頼度を「信頼度Rs」と適宜称し、道路区分Cnの信頼度を「信頼度Rn」と適宜称する。信頼度Rsは、本発明に係る「第1信頼度」の一例であり、道路区分Csの確からしさを示す指標である。信頼度Rnは、本発明に係る「第2信頼度」の一例であり、道路区分Cnの確からしさを示す指標である。
道路種別推定部12bは、下記の式(2)に基づいて、道路区分Csの信頼度Rsを算出する。
信頼度Rs=C1×∫S1(車線幅)・Δt/Δt+C2×∫S2(中央帯の幅員)・Δt/Δt+C3×∫S3(路肩幅)・Δt/Δt ・・・(2)
但し、∫S1(車線幅)・Δt/Δtは、道路検出部30によって検出される車線幅に基づく道路区分の信頼度であり、車線幅を引数とする関数S1(車線幅)を時間Δtで積分したものである。∫S2(中央帯の幅員)・Δt/Δtは、道路検出部30によって検出される中央帯の幅員に基づく道路区分の信頼度であり、中央帯の幅員を引数とする関数S2(中央帯の幅員)を時間Δtで積分したものである。∫S3(路肩幅)・Δt/Δtは、道路検出部30によって検出される路肩幅に基づく道路区分の信頼度であり、路肩幅を引数とする関数S3(路肩幅)を時間Δtで積分したものである。また、C1、C2及びC3は定数である。定数C1及びC2は、式(3)を参照して後述する信頼度Rs、定数T1及びT2とのバランスを鑑みて適宜定めることができる。
道路種別推定部12bは、下記の式(3)に基づいて、道路区分Cnの信頼度Rnを算出する。
信頼度Rn=K1×∫T1(受信衛星数)・Δt/Δt+K2×∫T2(マッチング頻度)・Δt/Δt ・・・(3)
但し、∫T1(受信衛星数)・Δt/Δtは、ナビゲーション装置60の受信衛星数に基づく道路区分の信頼度であり、受信衛星数を引数とする関数T1(受信衛星数)を時間Δtで積分したものである。∫T2(マッチング頻度)・Δt/Δtは、ナビゲーション装置60のマッチング頻度(即ち、マップマッチング処理が行われる頻度)に基づく道路区分の信頼度であり、マッチング頻度を引数とする関数T2(マッチング頻度)を時間Δtで積分したものである。また、K1及びK2は定数である。定数K1及びK2は、式(2)を参照して上述した信頼度Rs、定数T1及びT2とのバランスを鑑みて適宜定めることができる。
次に、本実施形態に係る運転支援装置によるカーブ曲率半径に基づく運転支援について、図4に加えて図5を参照して説明する。
第2実施形態に係る運転支援装置2では、上述した第1実施形態に係る運転支援装置1と同様に、カーブ曲率半径Rがカーブ曲率半径推定部11によって推定され(図2のステップS10参照)、この推定されたカーブ曲率半径Rが有効であるか否かが運転支援部13によって判定される(図2のステップS20参照)。推定されたカーブ曲率半径Rが有効であると判定された場合には、推定されたカーブ曲率半径Rに基づいて運転支援部13によって運転支援が行われる(図2のステップS30参照)。
第2実施形態に係る運転支援装置2では、推定されたカーブ曲率半径Rが有効でない(即ち、無効である)と判定された場合には、道路区分が道路種別推定部12bによって推定される。以下では、道路種別推定部12bによる道路区分の推定に係る処理について主に説明する。
図5は、第2実施形態に係る運転支援装置における道路区分の推定を説明するためのフローチャートである。
図5において、先ず、道路形状検出部30によって道路形状が検出される(ステップS110)。即ち、ミリ波レーダー、レーザーレーダー及びカメラを含んでなる道路形状検出部30によって、道路形状として例えば車線幅、中央帯の幅員及び路肩幅などが検出される。尚、具体的には、例えば、車線幅は、カメラ及びミリ波レーダーによって道路の白線幅が検出されることにより検出され、中央帯の幅員や路肩幅は、ミリ波レーダー、カメラ及びレーザーレーダーによって検出される。
次に、道路形状検出部30によって検出された道路形状に基づいて、道路区分Csが運転支援ECU10bの道路種別推定部12bによって推定される(ステップS120)。
このようなステップS110及びステップS120に係る処理と並行して或いは相前後して、ステップS130及びステップS140に係る処理が行われる。
即ち、ステップS110及びステップS120に係る処理と並行して或いは相前後して、先ず、ナビゲーション装置60から道路区分に関する情報が、運転支援ECU10bの道路種別推定部12bによって取得される(ステップS130)。即ち、道路種別推定部12bは、現在走行中の道路の道路区分に関する情報を、ナビゲーション装置60から取得する。
次に、ナビゲーション装置60から取得した情報に基づいて、道路区分Cnが運転支援ECU10bの道路種別推定部12bによって推定される(ステップS140)。
道路区分Cs及びCnが推定された後、道路区分Csと道路区分Cnとが互いに同じであるか否かが、道路種別推定部12bによって判定される(ステップS150)。
道路区分Csと道路区分Cnとが互いに同じである場合には(ステップS150:Yes)、その同じ道路区分(即ち、道路区分Cs或いはCn)に基づいて、車両が走行している道路の道路構造令における設計速度が、道路種別推定部12bによって算出される(ステップS200)。続いて、この算出された設計速度に対して道路構造令において規定される曲率半径範囲内の最小曲率半径が、カーブ曲率半径デフォルト値Rdefとして、運転支援部13によって設定される(ステップS210)。
一方、道路区分Csと道路区分Cnとが互いに同じでない(即ち、互いに異なる)場合には(ステップS150:No)、道路区分Csの信頼度Rs及び道路区分Cnの信頼度Rnが道路種別推定部12bによって算出される(ステップS160)。具体的には、道路種別推定部12bは、道路区分Csの信頼度Rsを、上記式(2)に基づいて算出し、道路区分Cnの信頼度Rnを、上記式(3)に基づいて算出する。
次に、信頼度Rsが信頼度Rnよりも高いか否かが道路種別推定部12bによって判定される(ステップS170)。
信頼度Rsが信頼度Rnよりも高いと判定された場合には(ステップS170:Yes)、道路区分Csが道路種別推定部12bによって選択される(ステップS180)。即ち、道路種別推定部12bは、道路区分Cs及びCnのうち信頼度がより高い道路区分である道路区分Csを、道路区分の推定結果として選択する。
一方、信頼度Rsが信頼度Rnよりも高くはない(即ち、信頼度Rsが信頼度Rn以下である)と判定された場合には(ステップS170:No)、道路区分Cnが道路種別推定部12bによって選択される(ステップS190)。即ち、道路種別推定部12bは、道路区分Cs及びCnのうち信頼度がより高い道路区分である道路区分Cnを、道路区分の推定結果として選択する。尚、信頼度Rsと信頼度Rnとが互いに同じである場合には、道路区分の推定結果として、道路区分Csが選択されてもよいし、道路区分Cnが選択されてもよい。
このように、道路区分Cs及びCnの各々の信頼度が算出され(ステップS160)、信頼度が高い方の道路区分が選択されることにより、1つの道路区分が推定された後(ステップS170、S180、S190)、この推定された道路区分に基づいて、車両が走行している道路の道路構造令における設計速度が、道路種別推定部12bによって算出される(ステップS200)。続いて、算出された設計速度に対して道路構造令において規定される曲率半径範囲内の最小曲率半径が、カーブ曲率半径デフォルト値Rdefとして、運転支援部13によって設定される(ステップS210)。
尚、カーブ曲率半径デフォルト値Rdefが設定された後(ステップS210)、この設定されたカーブ曲率半径デフォルト値Rdefに基づいて、運転支援部13によって運転支援が行われる(図2のステップS60参照)。
以上のように、本実施形態では特に、道路種別推定部12bは、道路形状検出部30によって検出された道路形状に基づいて道路区分Csを推定すると共に、ナビゲーション装置60から道路区分に関する情報を取得し、この取得した情報に基づいて道路区分Cnを推定する。更に、道路種別推定部12bは、道路区分Csと道路区分Cnとが互いに異なる場合には、道路区分Csの信頼度Rsと道路区分Cnの信頼度Rnとを算出し、信頼度Rs及びCnのいずれが高いかに応じて道路区分Cs及びCnのうち一の道路区分を選択することにより、道路区分を推定する。よって、道路種別別推定部12bによって道路区分をより高精度に推定することができる。従って、運転支援部13によって運転支援をより適切に行うことができる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う運転支援装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10…運動支援ECU、11…カーブ曲率半径推定部、12…道路種別推定部、13…運転支援部、20…車速検出部、30…道路形状検出部、40…ブレーキスイッチ、50…メインスイッチ、60…ナビゲーション装置、70…車両駆動力印加部、80…警報ブザー、90…メーター

Claims (7)

  1. 車両の運転者のための運転支援を行う運転支援装置であって、
    前記車両の進行方向の道路の道路形状を検出する道路形状検出手段と、
    前記道路形状検出手段によって検出された前記道路形状に基づいて、前記車両の進行方向の道路の曲率半径を推定する曲率半径推定手段と、
    前記車両の進行方向の道路の道路種別を推定する道路種別推定手段と、
    前記曲率半径推定手段によって推定された前記曲率半径の推定精度が所定の基準値以下である場合には、前記道路種別推定手段によって推定された前記道路種別に対して規定された曲率半径範囲内の一の曲率半径に基づいて、前記運転支援を行う運転支援手段と
    を備えることを特徴とする運転支援装置。
  2. 前記運転支援手段は、前記運転支援として、前記車両が前記一の曲率半径の道路を走行した場合に生じる遠心力が所定の閾値を超えないように、前記車両の速度を制御する速度制御支援を行う請求項1に記載の運転支援装置。
  3. 前記道路種別推定手段は、前記道路形状検出手段によって検出された前記道路形状に基づいて前記道路種別を推定する請求項1又は2に記載の運転支援装置。
  4. 前記道路種別推定手段は、前記車両に搭載されたナビゲーション装置から前記道路種別に関する情報を取得し、該取得した情報に基づいて前記道路種別を推定する請求項1又は2に記載の運転支援装置。
  5. 前記道路種別推定手段は、
    前記道路形状検出手段によって検出された前記道路形状に基づいて前記道路種別としての第1種別を推定すると共に、
    前記車両に搭載されたナビゲーション装置から前記道路種別に関する情報を取得し、該取得した情報に基づいて前記道路種別としての第2種別を推定し、
    前記第1種別と前記第2種別とが互いに異なる場合には、前記第1種別の確からしさを示す第1信頼度と前記第2種別の確からしさを示す第2信頼度とを算出し、前記第1及び第2信頼度のいずれが高いかに応じて前記道路種別として前記第1及び第2種別のうち一の種別を選択することにより、前記道路種別を推定する
    請求項1又は2に記載の運転支援装置。
  6. 前記道路形状検出手段は、前記道路形状として、車線幅、中央帯の幅員及び路肩幅を検出する請求項1から5のいずれか一項に記載の運転支援装置。
  7. 前記道路形状検出手段は、ミリ波レーダー、レーザーレーダー及びカメラの少なくとも1つを含んでなる請求項1から6のいずれか一項に記載の運転支援装置。
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