JP2011085891A - 液晶配向剤および液晶表示素子 - Google Patents

液晶配向剤および液晶表示素子 Download PDF

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Abstract

【課題】印刷性にすぐれ、長時間駆動しても残像を生じる事のない、優れた液晶表示用垂直配向剤を供給する。
【解決手段】液晶配向剤は、テトラカルボン酸二無水物と、下記式(A−1)
Figure 2011085891

(式(A−1)中、Rはステロイド骨格を有する炭素数17〜30の有機基であるか、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1以上のアルキル基である。)で表される化合物に代表される化合物を含むジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸および該ポリアミック酸を脱水閉環してなるポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶配向剤および液晶表示素子に関する。さらに詳しくは、良好な垂直配向性および高い電圧保持率を示して高品位の表示が可能であるとともに累積駆動時間が長くなった場合であっても残像を生ずることのない液晶配向膜を与えることができ、しかも印刷性に優れる液晶配向剤、およびかかる液晶配向膜を具備する、表示品位が高く、残像特性に優れる液晶表示素子に関する。
液晶表示素子は、液晶分子を配向させるために液晶配向膜を具備する。この液晶配向膜の材料として、耐熱性、機械的強度、液晶との親和性などの各種特性に優れるポリアミック酸またはポリイミドが多くの液晶表示素子に適用されている。
液晶表示素子のひとつとして、負の誘電異方性を有する液晶分子を基板に垂直に配向させるVA(Virtical Alignment)型液晶表示素子が知られている。しかし、従来から知られているポリアミック酸またはポリイミドからなる液晶配向膜をそのままVA型液晶表示素子に適用すると、液晶分子の垂直配向規制力が不十分であることとなる。この問題を解決するために、これまでに各種の検討がなされている。
例えば特許文献1および2では、液晶配向膜材料として、長鎖アルキル基などの疎水性の官能基を有するジアミンを高い割合で含むジアミンを用いて得られたポリイミドを使用することが提案されている。この技術は、得られる液晶配向膜において、高い垂直配向規制力が認められる優れた技術であるが、液晶配向剤の印刷性が損なわれる場合があると指摘されており、さらなる改善が必要である。
またこれまで、液晶表示素子の問題点のひとつとして、累積駆動時間が長くなった場合に残像(いわゆる「焼き付き」)が見られることが挙げられる。この残像現象を改善すべく、従来幾つかの試みがなされている。そのほとんどは「焼き付き」と、液晶表示素子を駆動させる際に印加される直流電圧成分の偏在および蓄積(残留DC電圧)との関係に着目し、残留DC電圧を低減することにより「焼き付き」を改善しようとするものであった。例えば特許文献3では、クロマン構造を有する特定のジアミンを用いて合成された特定のポリアミドからなる液晶配向膜が残留DC電圧の低減に有効であるとし、これによる焼き付きの改善を試みている。しかしながら、特許文献3の液晶配向膜は、実施例において残像の改善効果が充分に検証されていないばかりか、累積駆動時間が長くなった場合の残像の発生については全く考慮されていない。
特開平9−241646号公報 特開2001−305549号公報 特開2001−97969号公報 特開2010−97188号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた垂直配向性を示し、累積駆動時間が長くなった場合であっても残像を生ずることのない液晶配向膜を与えることができるとともに印刷性にも優れる液晶配向剤、および表示品位が高く、累積駆動時間が長くなった場合の残像特性に優れる液晶表示素子を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
本発明によれば、本発明の上記目的は、第一に、
テトラカルボン酸二無水物と、
下記式(A)
Figure 2011085891
(式(A)中、Rはステロイド骨格を有する炭素数17〜30の有機基であるか、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1以上のアルキル基であり、
およびXIIは、それぞれ、単結合、−O−、−CO−、−COO−または−OCO−(以上において「*」を付した結合手がR側である。)であり、
はフェニレン基またはシクロへキシレン基であり、
IIIは単結合または−CO−であり、
nは0〜2の整数であり、
ただし、RおよびXIIが複数存在する場合の各Rおよび各XIIはそれぞれ互いに同一であっても相異なっていてもよい。)
で表される化合物を含むジアミンと
を反応させて得られるポリアミック酸および該ポリアミック酸を脱水閉環してなるポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有する液晶配向剤によって達成される。
本発明の上記目的は、第二に、
上記の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する液晶表示素子によって達成される。
本発明の液晶配向剤は印刷性に優れるとともに、優れた垂直配向性を示し、しかも累積駆動時間が長くなった場合であっても残像を生ずることのない液晶配向膜を与えることができる。かかる本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する本発明の液晶表示素子は、表示品位が高く、累積駆動時間が長くなった場合であっても残像を生ずることがない。
従って、本発明の液晶表示素子は種々の装置に有効に適用することができ、例えば時計、携帯型ゲーム、ワープロ、ノート型パソコン、カーナビゲーションシステム、カムコーダー、携帯情報端末、デジタルカメラ、携帯電話、各種モニター、液晶テレビなどの表示装置に用いることができる。
さらに、本発明の液晶配向剤は絶縁膜形成用組成物としても使用することができ、該組成物から形成された膜は、電子材料用の絶縁膜としても好適である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の液晶配向剤は、テトラカルボン酸二無水物と、上記式(A)で表される化合物を含むジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸および該ポリアミック酸を脱水閉環してなるポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体(以下、「特定重合体」ともいう。)を含有する。
<テトラカルボン酸二無水物>
本発明におけるポリアミック酸を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物などを;
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2:4,6:8−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオンなどを;
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えばピロメリット酸二無水物などを、それぞれ挙げることができるほか、
特許文献4(特開2010−97188号公報)に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。
前記ポリアミック酸を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、これらのうち、脂環式テトラカルボン酸二無水物を含むものであることが好ましく、特に2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を含むものであることが好ましい。
前記ポリアミック酸を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を、全テトラカルボン酸二無水物に対して、10モル%以上含むものであることが好ましく、20モル%以上含むものであることがより好ましい。
前記ポリアミック酸を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物のみからなるものであるか、あるいは
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物および1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物のみからなるものであることが、最も好ましい。
<ジアミン>
本発明におけるポリアミック酸を合成するために用いられるジアミンは、上記式(A)で表される化合物(以下、「化合物(A)」ともいう。)を含むものである。
上記式(A)におけるRの炭素数1以上のアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましく、炭素数3〜20の直鎖のアルキル基であることがより好ましく、その具体例として例えばn−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基などを挙げることができる。これらのアルキル基は、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子によって置換されていてもよい。Rのステロイド骨格を有する炭素数17〜30の有機基としては、例えばコレスタニル基、コレステニル基、ラノスタニル基などを挙げることができる。特に好ましいRは、炭素数5〜12の直鎖のアルキル基、コレスタニル基、コレステニル基またはラノスタニル基である。
の具体例としては、1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基を挙げることができ、これらのうち1,4−フェニレン基が好ましい。
としては、単結合、−O−または−CO−、(以上において「*」を付した結合手がR側である。)であることが;
IIとしては、単結合であることが、それぞれ好ましい。
IIIとしては、単結合または−CO−、(「*」を付した結合手がR側である。)であることが好ましく、単結合であることがより好ましいい。
nとしては0または1であることが好ましい。
ベンゼン環に結合している2つのアミノ基は、他の基に対して2,4−位にあることが好ましい。
かかる構造を有する化合物(A)の例としては、例えば下記式(A−1)〜(A−5)
Figure 2011085891
(上式中、Rは上記式(A)におけるのと同義である。)
のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。上記式(A−1)〜(A−5)におけるRの具体例としては、例えばn−ペンチル基、n−ヘプチル基、n−デシル基などを挙げることができる。
かかる上記(A)で表される化合物は、有機化合物の定法を適宜組み合わせることにより、合成することができる。
例えば上記式(A−3)で表される化合物は、例えば2,4−ジニトロフルオロベンゼンとピペラジンとを好ましくはフッ化セシウムの存在下に反応させて中間体2,4−ジニトロピペラジニルベンゼンとし、該中間体と所望の基Rを有する化合物R−Brとを反応させた後、適当な還元系を用いてニトロ基をアミノ基に変換することにより、得ることができる。
上記式(A−4)で表される化合物は、例えば上記と同様にして得た中間体2,4−ジニトロ(ピペラジニル)ベンゼンと、所望の基Rを有する化合物R−COClとを反応させた後、適当な還元系を用いてニトロ基をアミノ基に変換することにより、得ることができる。
上記式(A−5)で表される化合物は、例えば2,4−ジニトロフルオロベンゼンと4−ヒドロキシピペラジニルベンゼンとを好ましくは炭酸水素ナトリウムの存在下に反応させて中間体N−(4−ヒロドキシフェニル)−N’−(2,4−ジニトロフェニル)ピペラジンとし、該中間体と所望の基Rを有する化合物R−Brとを、好ましくは炭酸カリウムの存在下に反応させた後、適当な還元系を用いてニトロ基をアミノ基に変換することにより、得ることができる。
本発明におけるポリアミック酸を合成するためのジアミンとしては、化合物(A)のみを用いてもよく、化合物(A)とその他のジアミンとを組み合わせて用いてもよい。
ここで使用することのできるその他のジアミンとしては、例えば脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、ジアミノオルガノシロキサンなどを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族ジアミンとして、例えば1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどを;
脂環式ジアミンとして、例えば1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどを;
芳香族ジアミンとして、例えばp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルベンジジン、ドデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ドデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル、3,5−ジアミノ安息香酸コレステニル、3,5−ジアミノ安息香酸ラノスタニル、2,5−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、1,4−ビス−(4−アミノフェニル)−ピペラジンなどを;
ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンなどを、それぞれ挙げることができるほか、
特許文献4(特開2010−97188号公報)に記載のジアミンを用いることができる。
本発明におけるポリアミック酸を合成するために用いられるジアミンは、化合物(A)を、全ジアミンに対して、0.1モル%以上含むものであることが好ましく、0.1〜50モル%含むものであることがより好ましく、0.1〜30モル%含むものであることがさらに好ましく、特に1〜20モル%含むものであることが好ましい。
<分子量調節剤>
前記ポリアミック酸を合成するに際して、上記の如きテトラカルボン酸二無水物およびジミアンとともに、適当な分子量調節剤を用いて末端修飾型の重合体を合成することとしてもよい。特定重合体を、かかる末端修飾型の重合体とすることにより、本発明の効果を損なうことなく液晶配向剤の塗布性(印刷性)をさらに改善することができる。
前記分子量調節剤としては、例えば酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などを挙げることができる。これらの具体例としては、酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを;
モノアミン化合物として、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミンなどを;
モノイソシアネート化合物として、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを、それぞれ挙げることができる。
分子量調節剤の使用割合は、使用するテトラカルボン酸二無水物およびジアミンの合計100重量部に対して、20重量部以下とすることが好ましく、10重量部以下とすることがより好ましい。
<ポリアミック酸の合成>
ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。
ポリアミック酸の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において、好ましくは−20℃〜150℃、より好ましくは0〜100℃において、好ましくは0.1〜24時間、より好ましくは0.5〜12時間行われる。
ここで、有機溶媒としては、例えば非プロトン性極性溶媒、フェノールおよびその誘導体、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素などを挙げることができる。
これら有機溶媒の具体例としては、上記非プロトン性極性溶媒として、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどを;
上記フェノール誘導体として、例えばm−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノールなどを;
上記アルコールとして、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどを;
上記ケトンとして、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどを;
上記エステルとして、例えば乳酸エチル、乳酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチルなどを;
上記エーテルとして、例えばジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフランなどを;
上記ハロゲン化炭化水素として、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼンなどを;
上記炭化水素として、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテルなどを、それぞれ挙げることができる。
これらの有機溶媒のうち、非プロトン性極性溶媒ならびにフェノールおよびその誘導体よりなる群(第一群の有機溶媒)から選択される1種以上、または前期第一群の有機溶媒から選択される1種以上とアルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素および炭化水素よりなる群(第二群の有機溶媒)から選択される一種以上との混合物を使用することが好ましい。後者の場合、第二群の有機溶媒の使用割合は、第一群の有機溶媒および第二群の有機溶媒の合計に対して、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、さらに30重量%以下であることが好ましい。
有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物およびジアミンの合計量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して0.1〜50重量%になるような量とすることが好ましい。
以上のようにして、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。
この反応溶液はそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、または単離したポリアミック酸を精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。ポリアミック酸を脱水閉環してポリイミドとする場合には、上記反応溶液をそのまま脱水閉環反応に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで脱水閉環反応に供してもよく、または単離したポリアミック酸を精製したうえで脱水閉環反応に供してもよい。ポリアミック酸の単離および精製は公知の方法に従って行うことができる。
<ポリイミドの合成>
前記ポリイミドは、上記の如くして合成されたポリアミック酸を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。
本発明におけるポリイミドは、その前駆体であるポリアミック酸が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造が併存する部分イミド化物であってもよい。本発明におけるポリイミドは、そのイミド化率が30%以上であることが好ましく、50〜99%であることがより好ましく、65〜99%であることがより好ましい。このイミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。ここで、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。
ポリアミック酸の脱水閉環は、好ましくはポリアミック酸を加熱する方法により、またはポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。このうち、後者の方法によることが好ましい。
上記ポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸のアミック酸構造の1モルに対して0.01〜20モルとすることが好ましい。脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとすることが好ましい。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は好ましくは0〜180℃であり、より好ましくは10〜150℃である。反応時間は好ましくは1.0〜120時間であり、より好ましくは2.0〜30時間である。
このようにしてポリイミドを含有する反応溶液が得られる。この反応溶液は、これをそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液から脱水剤および脱水閉環触媒を除いたうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミドを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、または単離したポリイミドを精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。これらの精製操作は公知の方法に従って行うことができる。
<重合体の溶液粘度>
−溶液粘度−
以上のようにして得られる特定重合体は、これを濃度10重量%の溶液としたときに、20〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、30〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。
上記重合体の溶液粘度(mPa・s)は、当該重合体の良溶媒(例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドンなど)を用いて調製した濃度10重量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
<その他の添加剤>
本発明の液晶配向膜は、上記の如き特定重合体を必須成分として含有するが、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。かかるその他の成分としては、例えばその他の重合体、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ化合物」という。)、官能性シラン化合物などを挙げることができる。
[その他の重合体]
上記その他の重合体は、溶液特性および電気特性の改善のために使用することができる。かかるその他の重合体は、特定重合体以外の重合体であり、例えばテトラカルボン酸二無水物と化合物(A)を含まないジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸(以下、「他のポリアミック酸」という。)、該ポリアミック酸を脱水閉環してなるポリイミド(以下、「他のポリイミド」という。)、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらのうち、他のポリアミック酸または他のポリイミドが好ましく、他のポリアミック酸がより好ましい。
上記他のポリアミック酸または他のポリイミドを合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、特定重合体を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物として上述したものと同様のものを挙げることができるが、好ましくは1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオンよりなる群から選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。
上記他のポリアミック酸または他のポリイミドを合成するために用いられるジアミンとしては、特定重合体を合成する際に併用してもよいその他のジアミンとして上記に例示したもののうちから選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。他のポリアミック酸または他のポリイミドを合成するために用いられるジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸および1,4−ビス−(4−アミノフェニル)−ピペラジンよりなる群から選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。
その他の重合体の使用割合としては、重合体の合計(上記の特定重合体およびその他の重合体の合計をいう。以下同じ。)に対して好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは0.1〜40重量%であり、さらに0.1〜30重量%であることが好ましい。
[エポキシ化合物]
上記エポキシ化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−シクロヘキシルアミンなどを好ましいものとして挙げることができる。
これらエポキシ化合物の配合割合は、重合体の合計100重量部に対して、好ましくは40重量部以下、より好ましくは0.1〜30重量部である。
[官能性シラン化合物]
上記官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、2―グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2―グリシドキシエチルトリエトキシシラン、3―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3―グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
これら官能性シラン化合物の配合割合は、重合体の合計100重量部に対して、好ましくは2重量部以下、より好ましくは0.02〜0.2重量部である。
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、上記の如き特定重合体および必要に応じて任意的に配合されるその他の添加剤が、好ましくは有機溶媒中に溶解含有されて構成される。
本発明の液晶配向剤に使用される有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどを挙げることができる。これらは単独で使用することができ、または2種以上を混合して使用することができる。
本発明の液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計重量が液晶配向剤の全重量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明の液晶配向剤は、後述するように基板表面に塗布され、好ましくは加熱されることにより液晶配向膜である塗膜または液晶配向膜となる塗膜が形成されるが、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得ることができず、一方固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得ることができず、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる。
特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えばスピンナー法による場合には固形分濃度1.5〜4.5重量%の範囲が特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それにより溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。
本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは10〜50℃であり、より好ましくは20〜30℃である。
<液晶表示素子>
本発明の液晶表示素子は、上記の如き本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する。本発明の液晶表示素子としては、VA型液晶表示素子であることが好ましい。
本発明の液晶表示素子は、例えば以下の(1)および(2)の工程により製造することができる。
(1)先ず基板上に本発明の液晶配向剤を塗布し、次いで塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を一対として、その各透明性導電膜形成面上に、本発明の液晶配向剤を、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法またはインクジェット印刷法によりそれぞれ塗布し、次いで、各塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。ここで、本発明の液晶表示素子は、印刷性に優れているので、塗布方法としてオフセット印刷法を採用することが、本発明の優れた効果を最大限に発揮するとの観点から好ましい。
ここに、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜などを用いることができる。パターニングされた透明導電膜を得るには、例えばパターンなし透明導電膜を形成した後フォト・エッチングによりパターンを形成する方法、透明導電膜を形成する際に所望のパターンを有するマスクを用いる方法などによることができる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面および透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成するべき面に、官能性シラン化合物、官能性チタン化合物などを予め塗布する前処理を施しておいてもよい。
液晶配向剤塗布後、塗布した配向剤の液垂れ防止などの目的で、好ましくは予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30〜200℃であり、より好ましくは40〜150℃であり、特に好ましくは40〜100℃である。プレベーク時間は好ましくは0.25〜10分であり、より好ましくは0.5〜5分である。その後、溶媒を完全に除去し、必要に応じて重合体に含まれるアミック酸単位を熱イミド化することを目的として焼成(ポストベーク)工程が実施される。この焼成(ポストベーク)温度は、好ましくは80〜300℃であり、より好ましくは120〜250℃である。ポストベーク時間は好ましくは5〜200分であり、より好ましくは10〜100分である。このようにして、形成される膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
上記のようにして形成された塗膜は、これをそのまま液晶配向膜として使用することができるが、所望に応じてラビング処理を行った後に使用に供してもよい。
(2)上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより、液晶セルを製造する。ここで、塗膜に対してラビング処理を行った場合には、2枚の基板は、各塗膜におけるラビング方向が互いに所定の角度、例えば直交または逆平行となるように対向配置される。
基板間に液晶を配置するには、例えば以下の2つの方法が挙げられる。
第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部を、シール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造することができる。
第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法であり、液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に例えば紫外光硬化性のシール材を塗布し、さらに液晶配向膜面上に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより、液晶セルを製造することができる。
いずれの方法による場合でも、上記のようにして製造した液晶セルにつき、さらに、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶注入時の流動配向を除去することが望ましい。
そして、液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、本発明の液晶表示素子を得ることができる。
ここに、シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。前記液晶としては、例えばネマティック型液晶、スメクティック型液晶などを用いることができるが、負の誘電異方性を有するネマティック型液晶を使用することが好ましく、例えばジシアノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶などが用いられる。液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
本発明の液晶配向膜は、さらにPSA(Polymer Sustained Alignment)型の液晶表示素子へも好適に適用することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。重合例における各重合体溶液の溶液粘度およびポリイミドのイミド化率は以下の方法により測定した。
[重合体溶液の溶液粘度]
重合体溶液の溶液粘度(mPa・s)は、所定の溶媒を用い、重合体濃度10重量%に調整した溶液について、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
[ポリイミドのイミド化率]
ポリイミドの溶液を純水に投入し、得られた沈殿を室温で十分に減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温でH−NMRを測定した。得られたH−NMRスペクトルから、下記数式(1)で示される式によりイミド化率を求めた。
イミド化率(%)=(1−A/A×α)×100 (1)
(数式(1)中、Aは化学シフト10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、
はその他のプロトン由来のピーク面積であり、
αは重合体の前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
<化合物(A)の合成例>
以下の各合成例は、必要に応じて下記のスケールで繰り返すことにより、以降の重合例における必要量を確保した。
合成例1
下記スキーム1
Figure 2011085891
に従って、化合物(A−3−1)を合成した。
撹拌機、窒素導入管および温度計を備えた1L三口フラスコに、2,4−ジニトロフルオロベンゼン46g、フッ化セシウム42g、ジメチルスルホキシド400mLおよびピペラジン65gを仕込み、80℃で4時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物を3Lの水に投入して生成した沈殿をろ取して回収した。この沈殿を酢酸エチルに溶解して得た有機層を水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を除去して固体を得た。この固体をエタノールから再結晶することにより、化合物(A−3−1a)の結晶43gを得た。
次に、還流管、窒素導入管および温度計を備えた300mL三口フラスコに、上記で得た化合物(A−3−1a)を25g、ジメチルスルホキシド100mL、フッ化セシウム15gおよび1−ブロモ−n−デカン22gを仕込み、80℃で48時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物に酢酸エチル500mLを加えて得た有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去して固体を得た。この固体につき、ヘキサンおよび酢酸エチルからなる混合溶媒を用いてシリカカラムで精製し、得られた留分から減圧下で溶媒を除去することにより、化合物(A−3−1b)を20g得た。
続いて、還流管、窒素導入管および温度計を備えた500mL三口フラスコに、上記で得た化合物(A−3−1b)20g、塩化スズ(II)二水和物113gを仕込み、酢酸エチル750mLを加えて、4.5時間還流下に反応を行った。反応終了後、反応混合物に2モル/Lのフッ化カリウム水溶液300mLを添加し、析出したスズ塩をろ過により除去した。得られた有機層につき、2モル/Lのフッ化カリウム水溶液および水で順次に洗浄した後、減圧下で溶媒を除去することにより、化合物(A−3−1)6.7gを得た。
合成例2
下記スキーム2
Figure 2011085891
に従って、化合物(A−4−1)を合成した。
上記合成例1におけるのと同様にして、化合物(A−3−1a)の結晶42gを得た。
窒素導入管および温度計を備えた2L三口フラスコに、上記化合物(A−3−1a)25g、テトラヒドロフラン100mLおよびトリエチルアミン11gを仕込んで氷冷した。ここに、塩化−n−ウンデカノイル20gをテトラヒドロフラン40mLに溶解した溶液を30分かけて滴下し、室温で2時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物に酢酸エチル300mLを加えて得た有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を除去して得た固体をエタノールから再結晶することにより、化合物(A−4−1a)を32g得た。
次に、還流管、窒素導入管および温度計を備えた500mL三口フラスコ中で、上記で得た化合物(A−4−1a)21gおよび塩化スズ(II)二水和物113gを混合し、酢酸エチル750mLを加えて4.5時間還流下に反応を行った。反応終了後、反応混合物に2モル/Lのフッ化カリウム水溶液300mLを添加し、析出したスズ塩をろ過により除去した。得られた有機層につき、2モル/Lのフッ化カリウム水溶液および水で順次に洗浄した後、減圧下で溶媒を除去することにより、化合物(A−4−1)7.2gを得た。
合成例3
下記スキーム3
Figure 2011085891
に従って、化合物(A−5−1)を合成した。
撹拌機、窒素導入管および温度計を備えた500mL三口フラスコ中で、化合物(A−5−1a)5.8g、2,4−ジニトロフルオロベンゼン5.1gおよび炭酸水素ナトリウム2.1gを混合し、ここにN,N−ジメチルアセトアミド 300mLを加えて20℃で12時間攪拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物に酢酸エチル600mLを加えて得た有機層を水で洗浄した後、減圧下にて溶媒を除去して固体を得た。この固体をカラムクロマトグラフ(固定相:シリカ、展開溶媒:クロロホルム)により精製し、得られた留分から減圧下にて溶媒を除去して得た固体をエタノールおよびテトラヒドロフランからなる混合溶媒から再結晶することにより、化合物(A−5−1b)の黄色結晶を8.3g得た。
次いで、撹拌機、窒素導入管および温度計を備えた500mL三口フラスコ中で、上記で得た化合物(A−5−1b)8.3g、1−ブロモ−n−ヘプタン3.8gおよび炭酸カリウム10.4gを混合し、N,N−ジメチルアセトアミド 300mLを加えて80℃で8時間攪拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物に酢酸エチル 600mLを加えて得た有機層を水で洗浄した後、減圧下にて溶媒を除去して固体を得た。この固体をカラムクロマトグラフ(固定相:シリカ、展開溶媒:クロロホルム)により精製し、得られた留分から減圧下にて溶媒を除去することにより、黄色粉末である化合物(A−5−1−c)を8.3g得た。
還流管、窒素導入管および温度計を備えた500mL三口フラスコ中で、上記で得た化合物(A−5−1c)8.3gおよび塩化スズ(II)二水和物45.1gを混合し、酢酸エチル300mLを加えて4.5時間還流下に反応を行った。反応終了後、反応混合物に2モル/Lのフッ化カリウム水溶液200mLを添加し、析出したスズ塩をろ過により除去した。得られた有機層につき、2モル/Lのフッ化カリウム水溶液および水で順次に洗浄した後、減圧下で溶媒を除去することにより、化合物(A−5−1)1.8gを得た。
合成例4
上記合成例3において、1−ブロモ−n−ヘプタンの代わりに1−ブロモ−n−デカン5.5gを使用したほかは合成例3同様にして、下記式(A−5−2)
Figure 2011085891
で表される化合物(化合物(A−5−2))2.1gを得た。
<特定重合体の重合例>
[ポリイミドの重合例]
重合例1
テトラカルボン酸無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物(TCA)8.3gならびにジアミンとして上記合成例1で得た化合物(A−3−1)2.5g(TCA1モルに対して0.2モルに相当する。)およびp−フェニレンジアミン3.2gをN−メチル−2−ピロリドン56gに溶解し、60℃で6時間反応を行うことにより、ポリアミック酸を20重量%含有する溶液を得た。この溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えてポリアミック酸濃度10%重量の溶液として、25℃で測定した溶液粘度は82mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン130gを追加し、ピリジン4.4gおよび無水酢酸5.7gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換(この溶媒置換操作により、脱水閉環反応に使用したピリジンおよび無水酢酸を系外に除去した。以下同じ。)することにより、イミド化率70%のイミド化重合体(PI−1)を20重量%含有する溶液を得た。この溶液を少量分取してN−メチル−2−ピロリドンを加え、イミド化重合体濃度10重量%の溶液として、25℃で測定した溶液粘度は48mPa・sであった。
重合例2〜15
表1に示した種類および量のジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物を混合し、ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物の合計重量が反応溶液の全重量に対して20重量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンを加えて溶解し、60℃で6時間反応を行うことにより、ポリアミック酸を各20重量%含有する溶液をそれぞれ得た。これらの溶液をそれぞれ少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えてポリアミック酸濃度10%重量の溶液として、25℃で測定した溶液粘度を同様に表1に併せて示した。
次いで、得られた各ポリアミック酸溶液に、ポリアミック酸濃度が7重量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンを追加し、各ポリアミック酸の有するアミック酸単位数の1モルに対して、それぞれ表1に示した量のピリジンおよび無水酢酸を加え、110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換することにより、ポリイミド(PI−2)〜(PI−15)を各20重量%含有する溶液をそれぞれ得た。これらの溶液を少量分取してN−メチル−2−ピロリドンを加え、ポリイミド濃度10重量%の溶液として、25℃で測定した溶液粘度を表1に併せて示した。
<他の重合体の合成>
[他のポリアミック酸の重合例]
重合例16および17
表2に示した種類および量のジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物を混合し、ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物の合計重量が反応溶液の全重量に対して20重量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンを加えて溶解し、60℃で6時間反応を行うことにより、ポリアミック酸(PA−16)および(PA−17)を各20重量%含有する溶液をそれぞれ得た。これらの溶液をそれぞれ少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えてポリアミック酸濃度10%重量の溶液として、25℃で測定した溶液粘度を同様に表2に併せて示した。
[他のポリイミドの重合例]
重合例18〜21
表2に示した種類および量のジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物を混合し、ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物の合計重量が反応溶液の全重量に対して20重量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンを加えて溶解し、60℃で6時間反応を行うことにより、ポリアミック酸を各20重量%含有する溶液をそれぞれ得た。これらの溶液をそれぞれ少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えてポリアミック酸濃度10%重量の溶液として、25℃で測定した溶液粘度を同様に表2に併せて示した。
次いで、得られた各ポリアミック酸溶液に、ポリアミック酸濃度が7重量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンを追加し、各ポリアミック酸の有するアミック酸単位数の1モルに対して、それぞれ表2に示した量のピリジンおよび無水酢酸を加え、110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換することにより、ポリイミド(PI−18)〜(PI−21)を各20重量%含有する溶液をそれぞれ得た。これらの溶液を少量分取してN−メチル−2−ピロリドンを加え、ポリイミド濃度10重量%の溶液として、25℃で測定した溶液粘度を表2に併せて示した。
Figure 2011085891
Figure 2011085891
なお、表1および表2におけるジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物の略称は、それぞれ以下の意味である。
[ジアミン]
A−3−1:上記合成例1で合成した化合物(A−3−1)
A−4−1:上記合成例2で合成した化合物(A−4−1)
A−5−1:上記合成例3で合成した化合物(A−5−1)
A−5−2:上記合成例4で合成した化合物(A−5−2)
d−1:p−フェニレンジアミン
d−2:4,4’−ジアミノジフェニルメタン
d−3:2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル
d−4:3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル
d−5:2,4−ジアミノ−(n−オクタデシロキシ)ベンゼン
[テトラカルボン酸二無水物]
t−1:2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
t−2:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
t−3:ピロメリット酸二無水物
<液晶配向剤の調製および評価>
実施例1
〔印刷性評価用液晶配向剤の調製および液晶表示素子製造用液晶配向剤の調製〕
(1)印刷性評価用液晶配向剤の調製
上記重合例1で得られたポリイミド(PI−1)100重量部を含有する溶液に、エポキシ化合物としてN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4‘−ジアミノジフェニルメタン10重量部を加え、さらにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)およびブチルセロソルブ(BC)を加えて、溶媒組成がNMP:BC=60:40(重量比)、固形分濃度6.5重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、印刷性評価用液晶配向剤(P−1)を調製した。
(2)液晶表示素子製造用液晶配向剤の調製
上記印刷性評価用液晶配向剤の調製において、濾過前の溶液の固形分濃度を4.0重量%としたほかは上記と同様にして、液晶配向剤(S−1)を調製した。
〔液晶配向剤の評価〕
上記で調製した2種の配向剤につき、それぞれ下記の方法により評価を行った。評価結果は表3に示した。
(1)印刷性の評価
上記で調製した印刷性評価用液晶配向剤(P−1)を、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製、オングストローマーS40L−532)を用いてアニロックスロールへの液晶配向剤滴下量を往復20滴(約0.2g)の条件にて、ITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布した。ここで上記の液晶配向剤滴下量は同型の印刷機において通常採用される滴下量(往復30滴、約0.3g)と比較して液量が少なく、より厳しい印刷条件である。液層配向剤塗布後の基板を80℃で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、180℃で10分間加熱(ポストベーク)して、膜厚80nmの塗膜を形成した。この塗膜を倍率20倍の顕微鏡で観察して、ハジキおよび塗布ムラの有無を調べ、双方とも観察されなかった場合、塗布性「良好」、どちらかが観察された場合を塗布性「不良」として評価した。また、上記で形成した塗膜につき、触針式膜厚計(KLAテンコール社製)を用いて基板の中央における膜厚と塗膜の外側端から15mm中央に寄った位置における膜厚とをそれぞれ測定し、両者の膜厚差を調べた。この膜厚差が30Å以下であれば膜厚均一性は良好であるといえる。
(2)液晶表示素子の製造
厚さ1mmのガラス基板の一面に設けられたITO膜からなる透明導電膜上に、上記で調製した液晶配向剤(S−1)をスピンナーにより塗布し、ホットプレート上で80℃1分間のプレベークを行い、次いで230℃で30分間加熱することにより、膜厚80nmの塗膜(液晶配向膜)を形成した。この操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基盤を2枚(一対)製造した。
これら一対の基板の液晶配向膜を有するそれぞれの外縁に、直径3.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、液晶配向膜が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より基板間に、ネガ型液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止し、基板の外側の両面に偏光板を貼り合わせることにより、垂直配向型の液晶表示素子を製造した。
(3)垂直配向性の評価
上記で製造した液晶表示素子につき、電圧無印加時および交流電圧8V(ピーク−ピーク)印加時に、液晶表示素子に対し垂直方向から目視で観察した時、光漏れなどの表示不良が観察されず、電圧無印加時においては均一な黒表示、電圧印加時においては均一な白表示がなされたとき、垂直配向性を「良好」とした。
(4)電圧保持率の評価
上記で製造した液晶表示素子に、60℃の環境温度において5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。測定装置は(株)東陽テクニカ製の品名「VHR−1」を使用した。
(5)残像特性の評価
上記と同様にして製造した2つの液晶表示素子を準備し、そのうち1つに直流電圧1V、もう一つに直流電圧5Vを、それぞれ室温にて24時間印加した。その後、液晶表示素子の印加電圧を2.5Vとしたときの両素子の輝度を、それぞれ256階調で表した場合における輝度差(階調差)を調べた。この値が15階調以下であった場合、残像特性は良好であるといえる。
実施例2〜30および比較例1〜11
重合体を含有する溶液として、表3に示した重合体を含有する溶液をそれぞれ用い、表3に示した種類および量のエポキシ化合物を使用した他は、実施例1と同様にして液晶配向剤を調製し、評価した。評価結果は併せて表3に示した。
なお、実施例24〜28においては、重合体を含有する溶液をそれぞれ2種類ずつ用いた。
Figure 2011085891
Figure 2011085891
表3において、重合体名の後にカッコで付した数値は、使用した重合体溶液に含有される重合体の量(重量部)である。エポキシ化合物の後にカッコで付した数値は各エポキシ化合物の使用割合(重量部)である。
また、エポキシ化合物の略称は、それぞれ以下の通りである。
G−1:N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン
G−2:N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン

Claims (8)

  1. テトラカルボン酸二無水物と、
    下記式(A)
    Figure 2011085891
    (式(A)中、Rはステロイド骨格を有する炭素数17〜30の有機基であるか、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1以上のアルキル基であり、
    およびXIIは、それぞれ、単結合、−O−、−CO−、−COO−または−OCO−(以上において「*」を付した結合手がR側である。)であり、
    はフェニレン基またはシクロへキシレン基であり、
    IIIは単結合または−CO−であり、
    nは0〜2の整数であり、
    ただし、RおよびXIIが複数存在する場合の各Rおよび各XIIはそれぞれ互いに同一であっても相異なっていてもよい。)
    で表される化合物を含むジアミンと
    を反応させて得られるポリアミック酸および該ポリアミック酸を脱水閉環してなるポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有することを特徴とする、液晶配向剤。
  2. 式(A)中のXIIIが単結合である、請求項1に記載の液晶配向剤。
  3. 上記テトラカルボン酸二無水物が、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を含むものである、請求項1または2に記載の液晶配向剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤から形成されたことを特徴とする、液晶配向膜。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備することを特徴とする、液晶表示素子。
  6. テトラカルボン酸二無水物と、
    上記式(A)で表される化合物を含むジアミンと
    を反応させて得られるポリアミック酸。
  7. テトラカルボン酸二無水物と、
    上記式(A)で表される化合物を含むジアミンと
    を反応させて得られるポリアミック酸を脱水閉環してなるポリイミド。
  8. 上記式(A)で表される化合物。
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