本発明の実施形態に係る駆動装置及び画像形成装置の一例について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10の装置本体10A内には、記録媒体としての用紙Pを給紙するための給紙部20と、給紙部20から用紙Pを上方に向けて搬送する用紙搬送路18と、互いに異なった色のトナー画像(現像剤像)を形成する画像形成部30と、画像形成部30で形成されたトナー画像が転写される移動部材の一例としての中間転写ベルト32を有する中間転写部40と、中間転写部40から用紙Pに転写されたトナー画像を定着する定着部60と、画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部50とが設けられている。なお、図1は、画像形成装置10を裏面側から見た状態を表しており、図中に示す矢印Zは鉛直方向上方を示し、矢印Xは水平方向を示している。
給紙部20は、装置本体10Aの底部に設けられ、サイズの異なる用紙Pが収容された第1収容部22及び第2収容部24で構成されている。第1収容部22及び第2収容部24には、収容された用紙Pを取り出す給紙ロール23がそれぞれ設けられており、給紙ロール23の用紙搬送方向の下流側には、用紙Pを用紙搬送路18に1枚ずつ搬送するための搬送ロール対26がそれぞれ設けられている。
用紙搬送路18には、搬送ロール対26により搬送された用紙Pを上方に向けて搬送する複数の搬送ロール対27が設けられている。そして、搬送ロール対27の用紙搬送方向の下流側には、用紙Pを一端停止させ、予め定められたタイミングで後述する二次転写位置へ送り出す位置調整ロール対28が設けられている。
画像形成部30は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー各色に対応した4つの画像形成ユニット31Y、31M、31C、31Kで構成されている。画像形成ユニット31Y、31M、31C、31Kは、最初に中間転写ベルト32に転写されるイエロー(Y)のトナー画像が形成される画像形成ユニット31Yの位置が高く、最後に中間転写ベルト32に転写される黒(K)のトナー画像が形成される画像形成ユニット31Kの位置が低くなるように、矢印H方向に対して傾斜した状態で並べられている。
これらの4つの画像形成ユニット31Y、31M、31C、31Kは、基本的に同じ部材で構成されている。なお、以下の説明では、画像形成装置10を構成する各部材において、各トナー色を区別する場合には符号に各トナー色に対応する文字(Y、M、C、K)を付加し、特に区別しない場合には各トナー色に対応する文字を省略する。
図2に示すように、各トナー色の画像形成ユニット31には、後述する駆動ユニット70(図3(a)参照)によって矢印+R方向(図示の時計回り方向)に回転すると共に光照射によって形成される静電潜像を保持する第2被駆動体及び像保持体の一例としての感光体34が設けられている。感光体34の回転方向上流側には、図示しない通電手段により通電されて生じる電位差によって感光体34の表面を帯電する帯電手段の一例としての帯電ロール36が設けられている。帯電ロール36は、矢印−R方向(図示の反時計回り方向)に回転するようになっている。
また、帯電ロール36に対して感光体34の回転方向の下流側には、帯電ロール36により帯電した感光体34の外周面に各トナー色に対応した光を照射(露光)して静電潜像を形成する光照射手段の一例としての露光装置38が設けられている。ここで、感光体34表面で光が照射される位置を光照射位置PLとする。なお、本実施形態では、露光装置38としてLED(Light Emitting Diode)を用いているが、これに限らず、例えば、レーザー光をポリゴンミラーで走査するものであってもよい。
さらに、露光装置38に対して感光体34の回転方向の下流側には、感光体34の表面に形成された静電潜像を各色のトナーで現像し、トナー画像として可視化する現像ロール44を有する現像手段の一例としての現像器42が設けられている。現像ロール44は、図示しないモータによって矢印−R方向に回転するようになっている。
なお、図1に示すように、装置本体10A内で中間転写ベルト32の上方には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像器42にトナーを供給するトナーカートリッジ46Y、46M、46C、46Kが設けられている。そして、黒(K)色のトナーを収容したトナーカートリッジ46Kは、使用頻度が高いため、他のカラーのトナーカートリッジ46Y、46M、46Cと比較して大型化されている。
図2に示すように、中間転写ベルト32を挟んで感光体34の反対側には、感光体34の表面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト32に転写するための転写手段の一例としての一次転写部材48が設けられている。一次転写部材48は、中間転写ベルト32の移動に伴い矢印−R方向に従動回転する回転体で構成されており、該回転体の芯金に図示しない通電手段によって通電することにより設定された電位で保持される。なお、感光体34から中間転写ベルト32にトナー画像が転写される位置を一次転写位置PAとする。
さらに、感光体34の回転方向で一次転写部材48の下流側には、感光体34から中間転写ベルト32に転写されずに感光体34の表面に残留した残留トナーを清掃するクリーニング部材52が設けられている。
一方、図1に示すように、各画像形成ユニット31の上側には中間転写部40が設けられている。中間転写部40は、各トナー色の画像形成ユニット31で形成されたトナー画像が転写される無端状の中間転写ベルト32を有している。中間転写ベルト32は、中間転写ベルト32に駆動力(回転力)を付与するための第1被駆動体の一例としての駆動ロール54と、中間転写ベルト32に張力を付与すると共に従動回転する従動ロール56とに巻き掛けられている。
また、中間転写ベルト32は、後述する駆動ユニット70(図3(a)参照)により駆動ロール54が矢印−R方向に回転駆動され、従動ロール56が矢印−R方向に従動回転することで、矢印A方向に移動するようになっている。なお、駆動ユニット70は、装置本体10A内に設けられ画像形成装置10の各部の動作開始又は停止を制御する制御部50により駆動制御される。また、中間転写ベルト32の外側で駆動ロール54と対向する位置には、中間転写ベルト32表面に残留した残留トナーを清掃するクリーニングユニット53が設けられている。
さらに、用紙搬送路18上で中間転写ベルト32を挟んで従動ロール56と対向する位置には、中間転写ベルト32上に一次転写されたトナー画像を用紙Pに二次転写するための二次転写部材62が設けられている。二次転写部材62は、矢印+R方向に回転可能に設けられた回転体であり、図示しない通電手段により通電され設定された電位となることで、用紙P上にトナー画像を二次転写させる。なお、中間転写ベルト32を挟んで従動ロール56と二次転写部材62が対向する位置を二次転写位置PBとする。
また、用紙搬送路18上で二次転写部材62の上方には、二次転写部材62によってトナー画像が転写された用紙Pにトナー画像を定着させる定着部60が設けられている。定着部60は、用紙Pのトナー画像面側に配置された加熱ロール64と、用紙Pを加熱ロール64に向けて加圧する加圧ロール66とが設けられている。さらに、用紙搬送路18における定着部60よりも用紙Pの搬送方向下流側には、トナー画像が定着された用紙Pを装置本体10Aに形成された排出口13から排出する排出ロール対68が設けられている。これにより、排出ロール対68で排出された用紙Pは、装置本体10Aの上部に設けられた集積部69に集積されるようになっている。
ここで、画像形成装置10の画像形成工程について説明する。
画像形成装置10では、まず、図示しない画像読取装置あるいはパーソナルコンピュータなどの外部機器から送られた画像データに基づいて、各露光装置38(Y、M、C、K)に図示しない画像処理部から各色の画像データが順次出力される。そして、これらの露光装置38(Y、M、C、K)から画像データに応じて出射された光は、対応する各感光体34の表面をそれぞれ露光する。これにより、各感光体34の表面には静電潜像が形成される。
続いて、各感光体34の表面に形成された静電潜像は、各現像器42(Y、M、C、K)によって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー画像として現像される。そして、各感光体34の表面にそれぞれ形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー画像は、一次転写位置PAにおいて、一次転写部材48により中間転写ベルト32上に順次一次転写される。さらに、一次転写された中間転写ベルト32上のトナー画像は、二次転写位置PBに移動される。
一方、中間転写ベルト32上のトナー画像が二次転写位置PBに移動されるタイミングに合わせて、給紙部20から二次転写位置PBに向けて用紙Pが搬送される。用紙Pは、二次転写位置PBに到達する前に一旦搬送が停止され、中間転写ベルト32の移動タイミングに合わせて位置調整ロール対28が回転することで、用紙P上のトナー画像の位置合わせが行われる。
続いて、二次転写位置PBでは、タイミングを合わせて搬送されてきた用紙Pが、中間転写ベルト32と二次転写部材62とで挟まれる。このとき、二次転写部材62に通電(電圧印加)され、中間転写ベルト32上に保持されたトナー画像は、用紙P上に一括して二次転写される。
続いて、トナー画像が二次転写された用紙Pは定着部60に搬送される。定着部60では、用紙P上のトナー画像が加熱ロール64及び加圧ロール66によって加熱及び加圧され、用紙P上に定着される。そして、トナー画像定着後の用紙Pは、排出ロール対68によって、画像形成装置10の機外へ排出される。このようにして画像形成装置10の画像形成が行われる。
次に、駆動装置の一例としての駆動ユニット70について説明する。
図3(a)に示すように、装置本体10Aの側板11には、各感光体34と駆動ロール54(図3(b)参照)を駆動するための駆動ユニット70が取り付けられている。駆動ユニット70は、本体となるハウジング71を有しており、ハウジング71は、側板11に図示しないネジで固定され、後述の各ギヤを回転可能に支持している。
また、駆動ユニット70は、図示しない回転軸の先端にピニオン73が取り付けられた駆動源の一例としてのモータ72と、駆動ロール54(図1参照)と同軸且つ一体に回転される第1被駆動体用の歯車の一例としての駆動ギヤ96と、感光体34Y、34M、34C、34K(図1参照)と同軸且つ一体に回転される第2被駆動体用の歯車の一例としての感光体ギヤ84Y、84M、84C、84Kと、ピニオン73の回転を駆動ギヤ96に伝達させる第1歯車列の一例としての第1ギヤ列90と、ピニオン73の回転を感光体ギヤ84Y、84M、84C、84Kのそれぞれに伝達させる第2歯車列の一例としての第2ギヤ列80と、を有している。なお、一例として、ピニオン73の総歯数は9、感光体ギヤ84Y、84M、84C、84Kのそれぞれの総歯数は143、駆動ギヤ96の総歯数は124となっている。
ここで、感光体ギヤ84Kは黒色トナー(現像剤)用であり、感光体ギヤ84Cはシアントナー用である。さらに、感光体ギヤ84Mはマゼンタトナー用であり、感光体ギヤ84Yはイエロートナー用である。そして、感光体ギヤ84C、84Mは、感光体ギヤ84Y、84Kよりもモータ72からの駆動伝達経路の上流側に配置されている。
図3(b)に示すように、感光体ギヤ84Y、84M、84C、84Kは、感光体34Y、34M、34C、34Kの回転軸であるシャフト35Y、35M、35C、35Kの一方の端部に取り付けられており、駆動ギヤ96は、駆動ロール54の回転軸であるシャフト55の一方の端部に取り付けられている。これにより、感光体ギヤ84Y、84M、84C、84Kが回転すると感光体34Y、34M、34C、34Kが回転し、駆動ギヤ96が回転すると駆動ロール54が回転するようになっている。
図4には、駆動ユニット70を構成する各ギヤの配置及び噛み合い状態の模式図が示されている。なお、図4は、図3(a)において駆動ユニット70を矢印Y方向に(表面側から)見た状態を表しており、各ギヤの噛み合い部分(歯)は簡略化して図示している。
ここで、図3(a)、(b)、及び図4に示すように、駆動ユニット70は、ハウジング71が各ギヤの取り付け側を手前側として側板11にネジで固定されるようになっており、側板11におけるハウジング71の取り付け側とは反対側に各感光体34Y、34M、34C、34Kが配置されている。また、側板11に取り付けられたハウジング71の各ギヤを覆って、カバー部材75が設けられている。なお、画像形成装置10を裏面側から見たとき、駆動ロール54は、感光体34Yの左上に配置されており、駆動ギヤ96は、感光体ギヤ84Yよりも手前側に配置されている。
図4に示すように、第1ギヤ列90は、ピニオン73と噛み合って回転可能に設けられた総歯数72の中継ギヤ91と、中継ギヤ91と噛み合って回転可能に設けられた速度設定ギヤ92と、速度設定ギヤ92及び駆動ギヤ96と噛み合って回転可能に設けられた総歯数62の調整ギヤ94とを含んで構成されている。なお、駆動ギヤ96の総歯数と調整ギヤ94の総歯数とは整数倍(2倍)の関係となっている。また、速度設定ギヤの詳細は後述する。
第1ギヤ列90では、モータ72が駆動されピニオン73が回転すると、中継ギヤ91、速度設定ギヤ92(ギヤ92A、ギヤ92B)、調整ギヤ94、駆動ギヤ96の順で回転が伝達され、駆動ロール54(図3(b)参照)が矢印−R方向(図1参照)に回転するようになっている。
一方、第2ギヤ列80は、ピニオン73と噛み合って回転可能に設けられた中継ギヤ78と、中継ギヤ78、感光体ギヤ84M、及び感光体ギヤ84Cと噛み合って回転可能に設けられたアイドラギヤ82と、感光体ギヤ84Y及び感光体ギヤ84Mと噛み合って回転可能に設けられたアイドラギヤ86と、感光体ギヤ84C及び感光体ギヤ84Kと噛み合って回転可能に設けられたアイドラギヤ88とを含んで構成されている。
第2ギヤ列80では、モータ72が駆動されピニオン73が回転すると、中継ギヤ78、アイドラギヤ82の順で回転が伝達され、アイドラギヤ82から感光体ギヤ84C、84Mにそれぞれ回転が伝達される。そして、感光体ギヤ84Cの回転は、アイドラギヤ88を介して感光体ギヤ84Kに伝達され、感光体ギヤ84Mの回転は、アイドラギヤ86を介して感光体ギヤ84Yに伝達される。このようにして、感光体34Y、34M、34C、34K(図3(b)参照)が同じ方向(図2の矢印+R方向)に回転するようになっている。
図5に示すように、駆動ユニット70において、駆動ロール54の外径をD1、感光体34(Y、M、C、K)の外径をD2、駆動ギヤ96のピッチ円87の直径をD3(以下、ピッチ径D3という。)、感光体ギヤ84(Y、M、C、K)のピッチ円85の直径をD4(以下、ピッチ径D4という。)とする。一例として、駆動ロール54の外径D1=22.53mm、駆動ギヤ96のピッチ径D3=72.58mm、外径D1とピッチ径D3の比率K1(=D1/D3)≒0.31となっており、感光体34の外径D2=30.00mm、第2ギヤ列80の各感光体ギヤ84のピッチ径D4=66.62mm、外径D2とピッチ径D4の比率K2(=D2/D4)≒0.45となっている。また、図5では、感光体34Mと感光体ギヤ84Mのみ外径D2、ピッチ径D4を図示して、感光体34Y、34C、34Kと感光体ギヤ84Y、84C、84Kにおける外径D2、ピッチ径D4の図示を省略している。
駆動ユニット70を構成する各ギヤでは、製造時の各ギヤの金型の精度(設計値からのずれ)に合わせて生じる偏心などによる噛み合い誤差に起因して、各ギヤの回転時に角速度変動(Δθとする)が生じるため、各ギヤによって回転される感光体34(Y、M、C、K)及び駆動ロール54の周速にも速度変動(ΔVとする)が生じることになる。
ここで、図7に示すように、駆動ロール54の単位回転量Δθ1における速度変動をΔV1、感光体34(Y、M、C、K)の単位回転量Δθ1における速度変動をΔV2としたとき、Δθ1=Δθ2とすると、感光体34(Y、M、C、K)の外径D2(=30.00mm)の方が駆動ロール54の外径D1(=22.53mm)よりも大きいため、感光体34(Y、M、C、K)の速度変動ΔV2は、駆動ロール54の速度変動ΔV1よりも大きくなる。すなわち、相対的に大径である感光体34は、駆動ロール54に対して単位回転量(角速度変動)あたりの速度変動が大きくなる。
一方、感光体34(Y、M、C、K)から中間転写ベルト32(図5参照)へトナー画像が転写されるため、感光体34(Y、M、C、K)の周速度と駆動ロール54の周速度とを合わせる必要があるが、1つのモータ72(図4参照)で感光体34(Y、M、C、K)と駆動ロール54を駆動していること及び外径D1<外径D2となっていることから、第1ギヤ列90及び第2ギヤ列80(図4参照)の何れか一方に速度設定用のギヤが必要となる。ここで、速度設定用のギヤを設けることにより速度変動が生じるため、図4に示すように、速度設定用のギヤ(速度設定ギヤ92)は、Δθあたりの速度変動ΔV1が小さい駆動ロール54を駆動する第1ギヤ列90に設けている。
図4に示すように、速度設定ギヤ92は、中継ギヤ91と噛み合うギヤ92Aと、ギヤ92Aよりも大径で調整ギヤ94と噛み合うギヤ92Bとが同軸で固定された構成となっている。また、速度設定ギヤ92は、一例として、ギヤ92Aの総歯数を71、ギヤ92Bの総歯数を82に設定することで、各感光体34(図5参照)に対する中間転写ベルト32(図5参照)の相対速度を調整している。
一方、図4、図7に示すように、Δθあたりの速度変動ΔV2が大きい感光体34を駆動する第2ギヤ列80では、速度変動ΔV2を抑えるため、噛み合っている各ギヤの歯数を整数倍の関係としている。具体的には、第2ギヤ列80を構成する中継ギヤ78、アイドラギヤ82、86、88の各総歯数を72として、第2ギヤ列80の各ギヤの総歯数が整数倍の関係となるように設定してある。なお、第2ギヤ列80の各ギヤの総歯数は、ピニオン73に対しても整数倍の関係となっている。また、各感光体ギヤ84では、各感光体34の外周上の光照射位置PLから一次転写位置PA(以後、転写位置PAという)までの長さ(図6参照)に対応する歯数がアイドラギヤ82の総歯数の整数倍に設定されている。
この点について補足する。図6には、一例として、感光体34M及び感光体ギヤ84Mが示されている。感光体34Mの外周面において、光照射位置PLから転写位置PA(M)までの中心の角度θ1は、181.3°に設定されている。なお、角度θ1は、現像ロール44(図2参照)と対向する側(光照射位置PLが転写位置PA(M)に対し回転方向の上流となる側)の角度である。
ここで、感光体ギヤ84Mの総歯数は143であるので、感光体ギヤ84Mにおける光照射位置PLから転写位置PA(M)までの長さに対応する歯数は、143×181.3°/360°≒72となり、感光体ギヤ84Mの直前に設けられたアイドラギヤ82の総歯数72の整数倍(1倍)となっている。つまり、アイドラギヤ82の1回転と、光照射位置PLから転写位置PA(M)までの感光体34Mの移動とが同期している。同様にして、アイドラギヤ86、アイドラギヤ82、アイドラギヤ88の1回転と、光照射位置PLから転写位置PA(Y)、PA(C)、PA(K)までの感光体34Y、34C、34Kの移動とが同期しているが、図示及び説明を省略する。また、本実施形態では各感光体ギヤ84の総歯数を143としているが、総歯数を144として、第2ギヤ列80の各ギヤの総歯数72の2倍(整数倍)としてもよい。
なお、図5に示すように、本実施形態の駆動ユニット70では、アイドラギヤ82によって回転駆動される感光体ギヤ84M、84Cの回転を、アイドラギヤ86、88を介してそれぞれ感光体ギヤ84Y、84Kに伝達する構造となっている。このため、中間転写ベルト32上の各転写位置PA(Y、M、C、K)でトナー画像を重ねたときの速度変動による画像の位置ずれは、感光体ギヤ84M、84Cの速度変動だけでなく、噛み合った感光体ギヤ84Y、84Kの速度変動にも影響されるので、駆動ユニット70では、各感光体ギヤ84Y、84M、84C、84Kの配置角度が、各ギヤに設けられた図示しないマークを基準として噛み合い位置(位相)を合わせることで予め調整されている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
図7に示すように、感光体34の外径D2の方が駆動ロール54の外径D1よりも大きいため、感光体34の速度変動ΔV2は、駆動ロール54の速度変動ΔV1よりも大きくなる。しかし、感光体34側では、第2ギヤ列80(図4参照)を含む各ギヤの総歯数が整数倍の関係にあるので、各ギヤでの噛み合い誤差に起因する速度変動は抑制される。一方、駆動ロール54側では、外径D1が感光体34側に比べて小さいため、第1ギヤ列90(図4参照)を含む各ギヤでの噛み合い誤差に起因する速度変動は抑制される。
ここで、図8には、感光体34(図2参照)を駆動する側の各ギヤにおける周期と角速度誤差の関係が示されている。なお、ここでは感光体34の駆動状態を分かり易くするため、ピニオン73の16周期分(感光体ギヤ84の1周期に相当)の回転を基準として表示している。
図8において、ピニオン73の総歯数が9、中継ギヤ78の総歯数が72(ピニオン73の総歯数の8倍)となっているため、ピニオン73が16周期で回転しているとき、中継ギヤ78は2周期で回転する。そして、アイドラギヤ82の総歯数が72(中継ギヤ78の総歯数の1倍)となっているため、中継ギヤ78が2周期で回転しているとき、アイドラギヤ82も2周期で回転する。
さらに、感光体ギヤ84C、84Mの総歯数が143(アイドラギヤ82のほぼ2倍)となっているため、アイドラギヤ82が2周期で回転しているとき、感光体ギヤ84C、84Mはそれぞれ1周期で回転する。そして、感光体ギヤ84K、84Yの総歯数が143(アイドラギヤ86、88のほぼ2倍)となっているため、感光体ギヤ84C、84Mが1周期で回転しアイドラギヤ86、88が2周期で回転しているとき、感光体ギヤ84K、84Yは、それぞれ1周期で回転する。このように、ピニオン73からアイドラギヤ82までの総歯数、及びアイドラギヤ86、88の総歯数が整数倍で揃えられているため、感光体ギヤ84Y、84M、84C、84Kの速度変動は、感光体ギヤ84Y、84M、84C、84Kの回転の1周期毎に0となる。
加えて、図5、6に示すように、アイドラギヤ82、86、88の1回転と、光照射位置PLから転写位置PA(Y、M、C、K)までの感光体34Y、34M、34C、34Kの移動とが同期しているので、感光体34Y、34M、34C、34Kが光照射位置PLから転写位置PA(Y、M、C、K)に到達するまでに、感光体ギヤ84Y、84M、84C、84Kの速度変動は0に揃えられる。
一方、図9には、中間転写ベルト32を駆動する駆動ロール54(図1参照)側の各ギヤにおける周期と角速度誤差の関係が示されている。なお、ここでは、中間転写ベルト32の駆動状態を分かり易くするため、ピニオン73の11.9周期分(駆動ギヤ96の1周期分に相当)の回転を基準として表示している。
図9において、ピニオン73の総歯数が9、中継ギヤ91の総歯数が72(ピニオン73の総歯数の8倍)となっているため、ピニオン73が11.9周期で回転しているとき、中継ギヤ91は1.49周期で回転する。続いて、速度設定ギヤ92では、ギヤ92Aの総歯数が71となっているため、中継ギヤ91が1.49周期で回転しているとき、ギヤ92Aは1.51周期で回転する。同様に、同軸上のギヤ92Bも1.51周期で回転する。
続いて、総歯数が82のギヤ92Bが1.51周期で回転しているとき、総歯数が62の調整ギヤ94は2周期で回転する。そして、総歯数62の調整ギヤ94が2周期で回転しているとき、総歯数124(調整ギヤ94の総歯数の2倍)の駆動ギヤ96は、1周期で回転することになる。このように、中継ギヤ91の歯数及び速度設定ギヤ92の歯数が整数倍又は整数分の1の関係になっておらず、速度変動が0となる周期を揃えられない状態でも、調整ギヤ94と駆動ギヤ96の総歯数が整数倍(2倍)の関係にあるため、駆動ギヤ96と調整ギヤ94が同じところで噛み合い、調整ギヤ94との関係で駆動ギヤ96の速度変動が1周期毎に0となる。
ここで、図5において、感光体ギヤ84Y、84M、84C、84Kでは、図示しないマークを基準として回転の位相が揃えられている。このため、各ギヤの角速度誤差が低減され、中間転写ベルト32に転写されたトナー画像の位置は、例えばYのトナー画像が基準位置(誤差0)に対して中間転写ベルト32の移動方向に進んだ位置(+)にずれて転写されたとき、残りのM、C、Kのトナー画像も基準位置(誤差0)に対して中間転写ベルト32の移動方向に進んだ位置にずれて転写されることになる。また、Yのトナー画像が基準位置(誤差0)に対して中間転写ベルト32の移動方向で遅れた位置(−)にずれて転写されたとき、残りのM、C、Kのトナー画像も基準位置(誤差0)に対して中間転写ベルト32の移動方向で遅れた位置にずれて転写されることになる。このため、Y、M、C、Kのトナー画像の基準位置からの位置ずれが小さくなる。
また、本実施形態によれば、図5、6に示すように、感光体34Y、34M、34C、34Kが、光照射位置PLから転写位置PA(Y、M、C、K)に到達するまでに、感光体ギヤ84Y、84M、84C、84Kのアイドラギヤ82、86、88に対する速度変動は0に揃えられるので、より各トナー画像の位置ずれが小さくなる。
なお、以上の説明では、駆動ロール54と感光体34の外径D1、D2の大小を基準としていたが、駆動ロール54と感光体34の比率K1、K2の大小を基準としてもよい。図7に示すように、駆動ギヤ96と感光体ギヤ84において、各ギヤに入力される噛み合い誤差が同様であるとすると、入力されるギヤのピッチ径が大きいほど、この噛み合い誤差に起因する角速度変動Δθは小さくなる。すなわち、相対的にピッチ径が大きい駆動ギヤ96が駆動ロール54に伝えるΔθ1は、感光体ギヤ84が感光体34に伝えるΔθ2よりも小さくなる。このピッチ径とΔθとの反比例関係と、外径(周速)とΔVとの比例関係とにより、比率Kが大きくなると速度変動ΔVが大きくなることが分かる。この実施形態では、K1<K2であり、相対的に速度変動ΔV1が小さくなりやすい設定であるため、駆動ロール54側に速度設定ギヤ92を設定している。
なお、本実施形態は上記の構成に限定されない。
中間転写ベルト32に換えて用紙搬送ベルト(用紙搬送装置)を設け、該用紙搬送ベルト上に感光体34Y、34M、34C、34Kを配置して、用紙搬送ベルト上で搬送される記録媒体(用紙P)にトナー画像を転写する画像形成装置に適用してもよい。また、駆動ユニット70において、感光体34Kがモータ72とは別のモータで駆動され、感光体34Y、34M、34Cと中間転写ベルト32とが1つのモータ72で駆動されるものであってもよい。
また、モータ72によって駆動される感光体34の数は4つに限らず、例えば3つであってもよい。ここで、一例として、感光体34Kを別のモータで駆動し、感光体34Y、34M、34Cをモータ72で駆動した場合、感光体34Kだけ回すことがあると、途中で感光体34Kと感光体34Y、34M、34Cとで回転の始点がずれて位相ずれが生じる。この位相ずれと速度変動とにより転写した画像には位置ずれが生じるが、本実施形態のように感光体34側で各ギヤの歯数を整数倍(又は整数分の1)とすることで速度変動の増加が減少され、位置ずれは小さくなる。
また、各ギヤの総歯数、ピッチ円の直径は自由に設定することができ、前述のように、各感光体ギヤ84の総歯数を143ではなく144としてもよい。さらに、各ギヤの径の比較は、直径としての比較だけでなく半径で比較してもよい。また、機能上の要求などにより予めギヤの総歯数の関係を整数倍としたいギヤ列が決められている場合には、整数倍としたいギヤ列とは別のギヤ列により回転が伝達される被駆動体の外径を大きくしてもよい。例えば、駆動ロール54の外径D1が感光体34の外径D2よりも大きく、且つ比率K2>比率K1に設定してもよい。