JP2002304063A - 画像形成装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な駆動系で像担持体から転写手段への転
写状態を安定させてきれいな画像を得る。 【解決手段】 トナー像を担持する像坦持体４１を駆動
する像担持体駆動歯車列ＧＤと、像担持体上のトナー像
が転写される転写手段３０を駆動する転写手段駆動歯車
列ＧＴとを有し、これら両駆動歯車列を同一の駆動源歯
車ＧＭで駆動し、かつ、転写手段駆動歯車列ＧＴを介し
て像担持体駆動歯車列ＧＤを駆動し、駆動源歯車ＧＭか
ら最終段の像担持体駆動歯車Ｇｄ４までの歯車列が分岐
のない１列の歯車列で構成されており、転写手段３０の
周速をＶｔ、像坦持体４１の周速をＶｄとしたとき、Ｖ
ｔ＜Ｖｄとなっている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真技術を用
いて画像を形成するプリンタ、コピー機、ファクシミリ
等の画像形成装置に関する。特に、トナー像を担持する
像坦持体と、この像担持体上のトナー像が転写される転
写手段とを駆動する駆動技術に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、電子写真技術を用いた画像形成
装置は、外周面に感光層を有する像担持体としての感光
体と、この感光体の外周面を一様に帯電させる帯電手段
と、この帯電手段により一様に帯電させられた外周面を
選択的に露光して静電潜像を形成する露光手段と、この
露光手段により形成された静電潜像に現像剤であるトナ
ーを付与して可視像（トナー像）とする現像手段と、こ
の現像手段により現像されたトナー像を転写対象である
用紙等の記録媒体に転写させる転写手段とを有してい
る。転写手段としては、感光体上に形成されたトナー像
が転写（一次転写）され、このトナー像をさらに転写対
象である用紙等の記録媒体に転写（二次転写）する中間
転写体を用いたものと、記録媒体を搬送しつつ記録材に
直接転写させるものとが知られている。また、カラー画
像を形成する画像形成装置としては、上記のような像担
持体を、中間転写体に対して、色別に複数個（例えば４
個）配置し、これら各色像担持体上のトナー像を順次中
間転写体に転写して中間転写体上で複数色（例えば、イ
エロー、シアン、マゼンタ、ブラック）のトナー像を重
ね合わせて中間転写体上でカラー画像を得る中間転写体
形式のものと、記録媒体保持体で記録媒体（例えば用
紙）を保持搬送し、複数色のトナー像を順次記録媒体に
転写して記録媒体上で複数色のトナー像を重ね合わせて
記録媒体上にカラー画像を得る形式のものとが知られて
いる。

【０００３】以上のような画像形成装置においてトナー
像の良好な転写状態（したがってきれいな画像）が得ら
れるようにするためには、像担持体の周速と転写手段の
周速とを完全に一致させることが望ましい。しかしなが
ら、実際には、像担持体、転写手段、あるいはこれらの
駆動系をなす各部品には必ず製造誤差があるから、像担
持体の周速と転写手段の周速とを完全に一致させること
は実際には不可能である。そして、像担持体の周速と転
写手段の周速との差が変動する、例えば、ある時点では
像担持体の周速が転写手段の周速に比べて大きいのに、
他の時点では像担持体の周速が転写手段の周速に比べて
小さくなる等の変動が生じると、転写状態が著しく不安
定になり、きれいな画像が得られなくなる。特に、上述
したように複数色のトナー像を重ね合わせてカラー画像
を得る場合には、各色間でのズレが生じて画質が著しく
低下してしまう。

【０００４】そこで、これを解決すべく、常に、像担持
体の速度の方が転写手段の速度に比べて速くなるように
設定する技術が、特開平４−３２４８８１号公報として
開示されている。図５は、その従来技術を示す図であ
る。２は中間転写ドラムであり、この中間転写ドラム２
に対して感光ドラム１（Ｙ、Ｍ、Ｃ、Ｋ）が色別に４個
配置されている。感光ドラム１Ｙによるイエロートナー
像、感光ドラム１Ｍによるマゼンタトナー像、感光ドラ
ム１Ｃによるシアントナー像、感光ドラム１Ｋによるブ
ラックトナー像が中間転写ドラム２に順次転写されてフ
ルカラートナー像となり、このフルカラートナー像が中
間転写ドラム２から記録媒体Ｐへ転写される。中間転写
ドラム２は、その駆動系４で駆動され、各感光ドラム１
（Ｙ、Ｍ、Ｃ、Ｋ）は、それぞれの駆動系３（Ｙ、Ｍ、
Ｃ、Ｋ）で駆動される。各駆動系３（Ｙ、Ｍ、Ｃ、Ｋ）
は、それぞれモータおよび歯車列を有する特設速度変換
部５（Ｙ、Ｍ、Ｃ、Ｋ）を備えている。

【発明が解決しようとする課題】上述した従来の技術
（図５）では、像担持体（感光ドラム１）の速度を転写
手段（中間転写ドラム２）の速度よりも速くするため
に、像担持体の駆動系と転写手段の駆動系とを別々の駆
動源で駆動する構造となっているので、その構造が非常
に複雑になり、装置も大型化してしまうという問題があ
る。なお、特開平４−３８４４２号公報（特願平３−１
３３３５１号）には、転写手段を駆動源で駆動し、この
転写手段を介して像担持体を駆動する技術が開示されて
はいるが、この技術では、像担持体の周速と転写手段の
周速との差の変動についての考慮が全くなされておら
ず、上述したように転写状態が著しく不安定になるの
で、きれいな画像を得ることができない。特に、上述し
たように複数色のトナー像を重ね合わせてカラー画像を
得る場合には、各色間でのズレが生じて画質が著しく低
下してしまう。この発明の目的は、以上のような問題を
解決し、簡単な駆動系で像担持体から転写手段への転写
状態を安定させてきれいな画像を得ることのできる画像
形成装置を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項１記載の画像形成装置は、トナー像を担持する
像坦持体を駆動する像担持体駆動歯車列と、前記像担持
体上のトナー像が転写される転写手段を駆動する転写手
段駆動歯車列とを有し、これら両駆動歯車列を同一の駆
動源歯車で駆動し、かつ、転写手段駆動歯車列を介して
像担持体駆動歯車列を駆動し、前記駆動源歯車から最終
段の像担持体駆動歯車までの歯車列が分岐のない１列の
歯車列で構成されており、前記転写手段の周速をＶｔ、
前記像坦持体の周速をＶｄとしたとき、Ｖｔ＜Ｖｄとな
っていることを特徴とする。請求項２記載の画像形成装
置は、請求項１記載の画像形成装置において、前記転写
手段が中間転写体であり、この中間転写体に対して前記
像担持体が色別に複数個配置され、この中間転写体に対
して、前記複数個の像担持体のトナー像が順次転写され
ることを特徴とする。請求項３記載の画像形成装置は、
請求項１または２記載の画像形成装置において、前記転
写手段の表面硬度が前記像担持体の表面硬度よりも大き
いことを特徴とする。請求項４記載の画像形成装置は、
請求項１，２，または３記載の画像形成装置において、
前記転写手段の表面粗さが前記像担持体の表面粗さより
も大きいことを特徴とする。請求項５記載の画像形成装
置は、請求項１，２，３，または４記載の画像形成装置
において、前記転写手段の表面に、研磨剤が付加されて
いることを特徴とする。

【０００６】

【作用効果】請求項１記載の画像形成装置は、トナー像
を担持する像坦持体を駆動する像担持体駆動歯車列と、
前記像担持体上のトナー像が転写される転写手段を駆動
する転写手段駆動歯車列とを有し、これら両駆動歯車列
を同一の駆動源歯車で駆動し、かつ、転写手段駆動歯車
列を介して像担持体駆動歯車列を駆動し、前記駆動源歯
車から最終段の像担持体駆動歯車までの歯車列が分岐の
ない１列の歯車列で構成されており、前記転写手段の周
速をＶｔ、前記像坦持体の周速をＶｄとしたとき、Ｖｔ
＜Ｖｄとなっているので、この画像形成装置によれば次
のような作用効果が得られる。すなわち、転写手段の周
速をＶｔ、像坦持体の周速をＶｄとしたとき、Ｖｔ＜Ｖ
ｄとなっているので、像担持体と転写手段との間の周速
差の変動を小さく抑えることができ、したがって像担持
体から転写手段への転写状態を安定させてきれいな画像
を得ることが可能となる。そして、像坦持体を駆動する
像担持体駆動歯車列と、転写手段を駆動する転写手段駆
動歯車列とを有し、これら両駆動歯車列を同一の駆動源
歯車で駆動する構成となっているので、上述した従来技
術（図５）の駆動系に比べて、その構造が著しく簡素化
され、結果として装置の小型化を図ることが可能とな
る。しかも、転写手段駆動歯車列を介して像担持体駆動
歯車列を駆動し、前記駆動源歯車から最終段の像担持体
駆動歯車までの歯車列が分岐のない１列の歯車列で構成
されているので、像坦持体の周速Ｖｄが転写手段の周速
Ｖｔよりも大きくなっているにもかかわらず、転写手段
駆動歯車列におけるバックラッシュが生じなくなる。し
たがって、上記Ｖｔ＜Ｖｄなる速度関係を確実に得るこ
とができ、像担持体と転写手段との間の周速差の変動を
確実に小さく抑えて、像担持体から転写手段への転写状
態を確実に安定させ、結果としてきれいな画像を確実に
得ることが可能となる。以上のように、この請求項１記
載の画像形成装置によれば、簡単な駆動系で像担持体か
ら転写手段への転写状態を確実に安定させてきれいな画
像を確実に得ることが可能となる。特に、この画像形成
装置が、請求項２記載の画像形成装置のように、転写手
段が中間転写体であり、この中間転写体に対して像担持
体が色別に複数個配置され、この中間転写体に対して、
前記複数個の像担持体のトナー像が順次転写されてカラ
ー画像が形成される構成、あるいは、転写手段が、記録
媒体保持体で記録媒体を保持搬送し、複数色のトナー像
を順次記録媒体に転写させて記録媒体上でカラー画像を
得る構成である場合には、上記請求項１記載の構成によ
って、複数個の像担持体および転写手段の駆動系が著し
く簡素化され、しかも、色ズレのないきれいなカラー画
像が確実に得られることとなる。請求項３記載の画像形
成装置によれば、請求項１または２記載の画像形成装置
において、前記転写手段の表面硬度が前記像担持体の表
面硬度よりも大きくなっているので、次のような作用効
果が得られる。すなわち、一般に、像担持体上には転写
残りのトナーが存在し、このトナーは像担持体上に徐々
に滞留して、いわゆるフィルミングを発生させ、画質低
下の一因となる。これに対し、この請求項３記載の画像
形成装置によれば、転写手段の表面硬度が像担持体の表
面硬度よりも大きくなっているので、転写手段と像担持
体との周速差によって、像担持体の表面が転写手段との
接触によってごく僅かずつ常に削られて常にリフレッシ
ュされることとなる。したがって、上記フィルミングが
防止され、画質が向上することとなる。請求項４記載の
画像形成装置によれば、請求項１，２，または３記載の
画像形成装置において、前記転写手段の表面粗さが前記
像担持体の表面粗さよりも大きくなっているので、上述
したと同様、転写手段と像担持体との周速差によって、
像担持体の表面が転写手段との接触によってごく僅かず
つ常に削られて常にリフレッシュされることとなる。し
たがって、上記フィルミングが防止され、画質が向上す
ることとなる。請求項５記載の画像形成装置によれば、
請求項１，２，３，または４記載の画像形成装置におい
て、前記転写手段の表面に、研磨剤が付加されているの
で、上述したと同様、転写手段と像担持体との周速差に
よって、像担持体の表面が転写手段との接触によってご
く僅かずつ常に削られて常にリフレッシュされることと
なる。したがって、上記フィルミングが防止され、画質
が向上することとなる。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図１は本発明に係る画像形
成装置の一実施の形態を示す概略正面図、図２はその像
担持体および転写手段の駆動系を示す図である。

【０００８】図１に示すように、この画像形成装置は、
駆動ローラ１０と従動ローラ２０とに張架されて図示矢
印方向（反時計方向）へ循環駆動される転写手段として
の中間転写ベルト３０と、この中間転写ベルト３０に対
して複数個（４個）配置された単色トナー像形成手段４
０（Ｙ、Ｃ、Ｍ、Ｋ）とを備え、中間転写ベルト３０に
対して、複数個の単色トナー像形成手段４０によるトナ
ー像が個別の転写用部材５１，５２，５３，５４で順次
転写されるようになっている。それぞれの転写部（一次
転写部）をＴ１Ｙ、Ｔ１Ｃ、Ｔ１Ｍ、Ｔ１Ｋで示す。

【０００９】単色トナー像形成手段は、イエロー用のも
の４０（Ｙ）と、マゼンタ用のもの４０（Ｍ）と、シア
ン用のもの４０（Ｃ）と、ブラック用のもの４０（Ｋ）
とが配置されている。これら単色トナー像形成手段４０
（Ｙ、Ｃ、Ｍ、Ｋ）は、それぞれ、像担持体としての、
外周面に感光層を有する感光体４１と、この感光体４１
の外周面を一様に帯電させる帯電手段としての帯電ロー
ラ４２と、この帯電ローラ４２により一様に帯電させら
れた外周面を選択的に露光Ｌして静電潜像を形成する露
光手段４３と、この露光手段４３により形成された静電
潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像（トナー
像）とする現像手段としての現像ローラ４４と、この現
像ローラ４４により現像されたトナー像が中間転写体
（一次転写対象）である中間転写ベルト３０に転写され
た後に感光体４１の表面に残留しているトナーを除去す
るクリーニング手段としてのクリーニングブレード４５
とを有している。

【００１０】中間転写ベルト３０に順次一次転写され、
中間転写ベルト３０上で順次重ね合わされてフルカラー
となったトナー像は、二次転写部Ｔ２において用紙等の
記録媒体Ｐに二次転写され、定着部である定着ローラ対
６１を通ることで記録媒体Ｐ上に定着され、排紙ローラ
対６２によって、装置上部に形成された排紙トレイ６８
上へ排出される。

【００１１】６３は多数枚の記録媒体Ｐが積層保持され
ている給紙カセット、６４は給紙カセット６３から記録
媒体Ｐを一枚ずつ給送するピックアップローラ、６５は
二次転写部Ｔ２への記録媒体Ｐの供給タイミングを規定
するゲートローラ対、６６は中間転写ベルト３０との間
で二次転写部Ｔ２を形成する二次転写用部材としての二
次転写ローラ、６７は二次転写後に中間転写ベルト３０
の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手
段としてのクリーニングブレードである。

【００１２】図１からも明らかなように、この実施の形
態では、各々の単色トナー像形成手段４０（Ｙ、Ｃ、
Ｍ、Ｋ）の像担持体４１が、中間転写ベルト３０の弛み
側に接触配置されているが、張り側に配置（駆動ローラ
１０と従動ローラ２０とを逆に配置）してもよい。いず
れにしても、中間転写体（転写手段）である転写ベルト
３０の速度（周速）をＶｔ、各像坦持体４１の周速をＶ
ｄ（Ｖｄｉ＝Ｖｄ１，Ｖｄ２，Ｖｄ３，Ｖｄ４）とした
とき、Ｖｔ＜Ｖｄｉとなるように構成されている。な
お、各像坦持体４１の周速Ｖｄｉは同一速度（Ｖｄ１＝
Ｖｄ２＝Ｖｄ３＝Ｖｄ４）としてもよいし、駆動ローラ
１０から離れるにしたがって大きく（Ｖｄ１＜Ｖｄ２＜
Ｖｄ３＜Ｖｄ４）なるようにしてもよい。

【００１３】図２に示すように、この装置は、各像坦持
体４１を駆動する像担持体駆動歯車列ＧＤと、中間転写
ベルト３０を駆動するベルト（転写手段）駆動歯車列Ｇ
Ｔとを有し、これら両駆動歯車列を同一の駆動源歯車Ｇ
Ｍで駆動するようになっている。また、ベルト駆動歯車
列ＧＴを介して像担持体駆動歯車列ＧＤを駆動し、駆動
源歯車ＧＭから最終段の像担持体駆動歯車Ｇｄ４までの
歯車列が分岐のない１列の歯車列で構成されている。す
なわち、駆動源歯車ＧＭはモータＭの出力軸に固定され
ていることによって駆動され、この駆動源歯車ＧＭにア
イドルギヤＧａｔを介して歯車Ｇｔが噛み合っているこ
とによって駆動ローラ１０が周速Ｖｔ（＜Ｖｄ）で駆動
され、その歯車ＧｔにアイドルギヤＧａ５，Ｇａ４を介
して歯車Ｇｄ１が噛み合っていることによって像担持体
４１（Ｙ）が周速Ｖｄ１で駆動され、その歯車Ｇｄ１に
アイドルギヤＧａ１を介して歯車Ｇｄ２が噛み合ってい
ることによって像担持体４１（Ｃ）が周速Ｖｄ２で駆動
され、その歯車Ｇｄ２にアイドルギヤＧａ２を介して歯
車Ｇｄ３が噛み合っていることによって像担持体４１
（Ｍ）が周速Ｖｄ３で駆動され、その歯車Ｇｄ３にアイ
ドルギヤＧａ３を介して歯車Ｇｄ４が噛み合っているこ
とによって像担持体４１（Ｋ）が周速Ｖｄ４で駆動され
るようになっている。したがって、ベルト駆動歯車列Ｇ
Ｔ（歯車ＧａｔおよびＧｔ）を介して像担持体駆動歯車
列ＧＤ（歯車Ｇａ５，Ｇａ４，Ｇｄ１，Ｇａ１，Ｇｄ
２，Ｇａ２，Ｇｄ３，Ｇａ３，Ｇｄ４）が駆動され、駆
動源歯車ＧＭから最終段の像担持体駆動歯車Ｇｄ４まで
の歯車列が分岐のない１列の歯車列で構成されている。

【００１４】図１からも明らかなように、中間転写ベル
ト３０から記録媒体Ｐへカラートナー像を転写する二次
転写部Ｔ２は、駆動ローラ１０に対する中間転写ベルト
３０の巻き掛け部において形成されており、記録媒体Ｐ
は、二次転写部Ｔ２を下方から上方へ向かって通過する
ようになっている。また、二次転写後に中間転写ベルト
３０に残留している残留トナーを除去するクリーニング
ブレード６７は、駆動ローラ１０への中間転写ベルト３
０の巻き掛け部において中間転写ベルト３０に当接して
いる。

【００１５】中間転写ベルト３０は、その表面硬度を像
担持体４１の表面硬度よりも大きく構成し、および／ま
たは、その表面粗さを像担持体１０の表面粗さよりも大
きく構成し、および／または、その表面に、研磨剤（例
えば、高硬度微粒子、アルミナ、セラミック等）を付加
する。研磨剤は、ベルト表面に含浸させてもよいし、塗
布してもよい。

【００１６】以上のような画像形成装置によれば次のよ
うな作用効果が得られる。 （ａ）トナー像を担持する像坦持体４１を駆動する像担
持体駆動歯車列ＧＤと、像担持体上のトナー像が転写さ
れる転写手段３０を駆動する転写手段駆動歯車列ＧＴと
を有し、これら両駆動歯車列ＧＤ、ＧＴを同一の駆動源
歯車ＧＭで駆動し、かつ、転写手段駆動歯車列ＧＴを介
して像担持体駆動歯車列ＧＤを駆動し、駆動源歯車ＧＭ
から最終段の像担持体駆動歯車Ｇｄ４までの歯車列が分
岐のない１列の歯車列で構成されており、転写手段３０
の周速をＶｔ、像坦持体４１の周速をＶｄとしたとき、
Ｖｔ＜Ｖｄとなっているので、次のような作用効果が得
られる。すなわち、転写手段３０の周速をＶｔ、像坦持
体４１の周速をＶｄとしたとき、Ｖｔ＜Ｖｄとなってい
るので、像担持体４１と転写手段３０との間の周速差の
変動を小さく抑えることができ、したがって像担持体４
１から転写手段３０への転写状態を安定させてきれいな
画像を得ることが可能となる。そして、像坦持体４１を
駆動する像担持体駆動歯車列ＧＤと、転写手段３０を駆
動する転写手段駆動歯車列ＧＴとを有し、これら両駆動
歯車列ＧＤ、ＧＴを同一の駆動源歯車ＧＭで駆動する構
成となっているので、前述した従来技術（図５）の駆動
系に比べて、その構造が著しく簡素化され、結果として
装置の小型化を図ることが可能となる。

【００１７】しかも、転写手段駆動歯車列ＧＴを介して
像担持体駆動歯車列ＧＤを駆動し、駆動源歯車ＧＭから
最終段の像担持体駆動歯車Ｇｄ４までの歯車列が分岐の
ない１列の歯車列で構成されているので、像坦持体４１
の周速Ｖｄが転写手段３０の周速Ｖｔよりも大きくなっ
ているにもかかわらず、転写手段駆動歯車列ＧＴにおけ
るバックラッシュが生じなくなる。この点について詳し
く説明する。転写手段３０に対して像坦持体４１がより
速い速度Ｖｄにて当接すると、その接触部において Ｆｔ＝μＰ（図２参照） μ：像坦持体４１と転写手段３０との間の摩擦係数 Ｐ：両者間の当接荷重 なる摩擦力が発生し、この摩擦力Ｆｔは転写手段３０に
対して増速力として作用する。この実施の形態では、転
写手段３０が転写ベルトで構成されているので、上記摩
擦力Ｆｔ（図２参照）によって、転写ベルト３０は、駆
動ローラ１０への巻き掛け終端部と像坦持体４１との接
触部との間において引っ張られる方向に力をうける。な
お、逆に、像担持体４１は、その反作用として、転写ベ
ルト３０から力Ｆｄを受けることとなる。転写手段３０
が転写ドラム等で構成されている場合も同様である。上
記転写ベルト３０に対する増速力（この実施の形態では
引っ張り力）Ｆｔは各接触部（Ｔ１）で発生するが、像
担持体４１（Ｙ）を代表させて説明すると、力Ｆｔは、
転写手段３０を介して歯車Ｇｔに伝達される。このよう
な状況において、仮に、図３に示すように、転写手段駆
動歯車列ＧＴ’を像担持体駆動歯車列ＧＤから独立さ
せ、駆動系を分岐させて駆動源歯車ＧＭからアイドルギ
ヤＧａｔ１および歯車Ｇｔを介して転写手段３０（この
場合駆動ローラ１０）を駆動する構成にしたとすると、
転写手段３０を介して歯車Ｇｔに伝達される力Ｆｔは歯
車Ｇｔ、Ｇａｔ１を、所定の回転数よりも速く（像担持
体４１の周速と等速で）回転させようとする力であるた
め、図４（ａ）に示すように、歯車ＧｔとＧａｔ１との
噛み合い部ｂ（あるいは歯車Ｇａｔ１とＧＭとの噛み合
い部ａ（図３参照））においてバックラッシュＳが発生
し、転写手段３０の回転状態が不安定なものとなってし
まうおそれがある。これに対し、この実施の形態によれ
ば、図２に示したように、転写手段駆動歯車列ＧＴを介
して像担持体駆動歯車列ＧＤを駆動し、駆動源歯車ＧＭ
から最終段の像担持体駆動歯車Ｇｄ４までの歯車列が分
岐のない１列の歯車列で構成されているので、図４
（ｂ）に示すように、上記力Ｆｔが歯車Ｇｔ、Ｇａｔを
所定の回転数よりも速く（像担持体４１の周速と等速
で）回転させようとする力として作用しようとしても作
用し得ない。なぜならば、上記力Ｆｔが歯車Ｇｔ、Ｇａ
ｔを所定の回転数よりも速く（像担持体４１の周速と等
速で）回転させようとする力として作用しようとし、図
４（ｂ）に示すように、バックラッシュＳが生じそうに
なると、駆動力の伝達ギアであるアイドルギアＧａｔか
ら歯車Ｇｔへの動力伝達がなされなくなり、転写手段３
０に対して増速されている像担持体４１（歯車Ｇｔの後
段にある像担持体駆動歯車列ＧＤ）への動力伝達もなさ
れなくなってしまうからである。すなわち、この実施の
形態の構成によると、上記力Ｆｔが転写手段３０および
歯車Ｇｔ、Ｇａｔを所定の回転数よりも速く（像担持体
４１の周速と等速で）回転させようとしてもさせ得ず、
図４（ｂ）に示した状態（バックラッシュＳが生じる状
態）とはなり得ない。このため、像坦持体４１の周速Ｖ
ｄが転写ベルト３０の速度Ｖｔよりも大きくなっている
にもかかわらず、転写手段駆動歯車列ＧＴにおける上記
バックラッシュが生じ得なくなり、転写手段３０の回転
状態が安定し、結果として、良好な色重ね精度が得られ
ることとなる。すなわちこの実施の形態によれば、上記
Ｖｔ＜Ｖｄなる速度関係を確実に得ることができ、像担
持体４１と転写手段３０との間の周速差の変動を確実に
小さく抑えて、像担持体４１から転写手段３０への転写
状態を確実に安定させ、結果としてきれいな画像を確実
に得ることが可能となる。

【００１８】以上のように、この実施の形態の画像形成
装置によれば、簡単な駆動系で像担持体４１から転写手
段３０への転写状態を確実に安定させてきれいな画像を
確実に得ることが可能となる。特に、この実施の形態の
画像形成装置のように、転写手段３０が中間転写体であ
り、この中間転写体３０に対して像担持体４１が色別に
複数個配置され、この中間転写体３０に対して、複数個
の像担持体４１のトナー像が順次転写されてカラー画像
が形成される構成、あるいは、図示はしないが、転写手
段が、記録媒体保持体で記録媒体を保持搬送し、複数色
のトナー像を順次記録媒体に転写させて記録媒体上でカ
ラー画像を得る構成である場合には、上記駆動系の構成
によって、複数個の像担持体４１および転写手段３０の
駆動系が著しく簡素化され、しかも、色ズレのないきれ
いなカラー画像が確実に得られることとなる。

【００１９】（ｂ）転写手段３０の表面硬度が像担持体
４１の表面硬度よりも大きくなっていることにより、次
のような作用効果が得られる。すなわち、一般に、像担
持体４１上には転写残りのトナーが存在し、このトナー
は像担持体４１上に徐々に滞留して、いわゆるフィルミ
ング発生させ、画質低下の一因となる。これに対し、こ
の実施の形態の画像形成装置によれば、転写手段３０の
表面硬度が像担持体４１の表面硬度よりも大きくなって
いるので、転写手段３０と像担持体４１との周速差によ
って、像担持体４１の表面が転写手段３０との接触によ
ってごく僅かずつ常に削られて常にリフレッシュされる
こととなる。したがって、上記フィルミングが防止さ
れ、画質が向上することとなる。 （ｃ）転写手段３０の表面粗さを像担持体４１の表面粗
さよりも大きくすることにより、上述したと同様、転写
手段３０と像担持体４１との周速差によって、像担持体
４１の表面が転写手段３０との接触によってごく僅かず
つ常に削られて常にリフレッシュされることとなる。し
たがって、上記フィルミングが防止され、画質が向上す
ることとなる。 （ｄ）転写手段３０の表面に、研磨剤を付加することに
より、上述したと同様、転写手段３０と像担持体４１と
の周速差によって、像担持体３０の表面が転写手段３０
との接触によってごく僅かずつ常に削られて常にリフレ
ッシュされることとなる。したがって、上記フィルミン
グが防止され、画質が向上することとなる。

【００２０】（ｅ）この実施の形態の画像形成装置は、
駆動ローラ１０と従動ローラ２０とに張架されて循環駆
動される転写ベルト３０と、この転写ベルト３０に対し
て複数個配置された、像担持体４１を有する単色トナー
像形成手段４０とを備え、転写ベルト３０に対して、複
数個の単色トナー像形成手段４０によるトナー像を順次
転写する画像形成装置であって、各々の単色トナー像形
成手段４０の像担持体４１が、転写ベルト３０の弛み側
に接触配置されているとともに、転写ベルト３０の速度
をＶｔ、各像坦持体の周速をＶｄｉ（この実施の形態で
はｉ＝１〜４）としたとき、Ｖｔ＜Ｖｄｉとなっている
ので、この装置によれば、各々の単色トナー像形成手段
４０の像担持体４１が転写ベルト３０の弛み側に接触配
置されているにもかかわらず、転写ベルト３０と像担持
体４１との接触状態が安定することとなる。すなわち、
従来のこの種の画像形成装置においては、転写ベルトの
周速と像担持体との周速とを同一速度とすることが一般
であるため、転写ベルトの弛み側に像担持体を接触配置
した場合には、転写ベルトと像担持体との接触を安定さ
せるために、比較的大きな力Ｆで転写ベルトに比較的大
きな張力を付与するためのテンションロールを設ける必
要があったが、この実施の形態の画像形成装置によれ
ば、転写ベルト３０の速度をＶｔ、この転写ベルト３０
の弛み側に接触配置されている各像坦持体の周速をＶｄ
ｉとしたとき、Ｖｔ＜Ｖｄｉとしてあるので、装置が作
動すると（転写ベルト３０および像担持体４１が回転駆
動されると）、転写ベルト３０と像担持体４１との接触
部（一次転写部Ｔ１）において、像担持体４１の回転に
より転写ベルト３０に対してその弛みを低減させる張力
が作用することとなる。すなわち、前述した摩擦力Ｆｔ
（図２参照）によって、転写ベルト３０は、駆動ローラ
１０への巻き掛け終端部と像坦持体４１との接触部との
間において引っ張られる方向に力をうける。それぞれの
転写部（接触部）においてはある程度のスリップが生じ
るから、この摩擦力（ベルト張力）Ｆｔはそれぞれの転
写部（Ｔ１）にて発生し、駆動ローラ１０の出口側で発
生したベルト３０のたるみを吸収し、ベルト３０は各転
写部間において張り渡された状態になり、ベルト３０の
走行姿勢が、皺、たるみがなく安定し、転写位置が所定
の位置に一義的に固定されることとなる。したがって、
この装置によれば、各々の単色トナー像形成手段４０の
像担持体４１を転写ベルト３０の弛み側に接触配置して
あるにもかかわらず、必ずしも従来必要であったテンシ
ョンロール等を設けなくても、転写ベルト３０と像担持
体４１との接触状態を安定させることが可能となり、レ
ジスト合わせが良好で色ずれが少ない画像を得ることが
可能となる。すなわち、この画像形成装置によれば、転
写ベルト３０の張架構造を単純化して（駆動ローラ１０
と従動ローラ２０とのみによって張架する構造として）
画像形成装置のさらなる小型化を図ることが可能とな
る。同時に、従来必要であったテンションロール等を必
ずしも設けなくてもよくなるため、画像形成装置が長期
間作動しない（転写ベルト３０および像担持体４１が駆
動されない）場合においては、転写ベルト３０にそれほ
ど大きな張力が作用しなくなり、転写ベルト３０を駆動
するために必要な必要最低限の張力のみが付加されてさ
えいればよく、結果として、転写ベルト３０のクリープ
変形が生じなくなって、その後の画像形成に悪影響を及
ぼすということもなくなる。しかも、ベルトに付与する
テンションが小さくて済む結果としてベルトの蛇行力も
小さくなり、簡単なつきあて部材等によっても蛇行を十
分に防止できる。したがって、複雑な蛇行防止制御も不
要となる。 （ｆ）各像坦持体４１の周速Ｖｄｉを同一速度とした場
合には、像坦持体４１の偏心で発生する速度差の周期を
一定にする事ができ、それぞれ像坦持体４１の偏心位相
を一致させる事で、レジスト精度（各色間における色ず
れ防止）を向上させることができる。また、像担持体４
１である感光体に対する露光手段４３による潜像の書き
込み速度（クロック、回転数）を共通化でき、装置の簡
略化を図ることができる。 （ｇ）転写手段が中間転写ベルトであり、この中間転写
ベルト３０に残留している残留トナーを除去するクリー
ニングブレード６７が、駆動ローラ１０への中間転写ベ
ルト３０の巻き掛け部において中間転写ベルト３０に当
接しているので、中間転写ベルト３０の伸縮状態が安定
し、駆動初期においても、その伸縮状態は安定したもの
となる。すなわち、二次転写後のクリーニングブレード
６７は、中間転写ベルト３０の循環に対して抵抗として
作用し、特に、駆動開始時には大きな抵抗となるが、こ
の画像形成装置では、二次転写後のクリーニングブレー
ド６７が、中間転写ベルト３０の従動ローラ２０への巻
き掛け部にではなく、駆動ローラ１０への巻き掛け部に
おいて中間転写ベルト３０に当接しているので、その当
接部におけるクリーニングブレード６７による抵抗は、
中間転写ベルト３０に対する引っ張り力としては作用し
得ない。駆動ローラ１０への巻き掛け部上において抵抗
として作用するだけである。このため、クリーニングブ
レード６７の中間転写ベルト３０に対する当接状態が両
者の摩擦によって安定していないとしても、その状態
は、中間転写ベルト３０に作用する張力には何らの影響
も及ぼさない。したがって、中間転写ベルト３０の伸縮
状態が安定し、駆動初期においても安定した状態とな
る。このため、中間転写ベルト３０上への各色トナー像
の転写位置間におけるずれが著しく低減し、特に画像形
成初期においてもずれが生じ難くなり、結果として、カ
ラー画像の画質が向上することとなる。 （ｈ）中間転写ベルト３０から記録媒体Ｐへカラートナ
ー像を転写する二次転写部Ｔ２が駆動ローラ１０に対す
る中間転写ベルト３０の巻き掛け部において形成されて
いて、記録媒体Ｐが二次転写部Ｔ２を下方から上方へ向
かって通過する構成となっているので、さらに次のよう
な作用効果が得られる。すなわち、中間転写ベルト３０
から記録媒体Ｐへカラートナー像を転写する二次転写部
Ｔ２が駆動ローラ１０に対する中間転写ベルト３０の巻
き掛け部において形成されているので、駆動ローラ１０
以外に転写バックアップローラを設ける必要がなくな
り、ベルト３０の張架構造および装置全体の小型化を図
ることが可能となる。また、駆動ローラ１０は、図示は
しないが、その軸の両端が軸受け等によって回転可能に
固定されていて軸芯が変位しないので、安定した二次転
写部Ｔ２を形成することが可能となる。

【００２１】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものでは
なく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能
である。例えば、上記実施の形態では、転写手段として
中間転写ベルト３０を用いた場合について説明したが、
転写手段として中間転写ドラムを用い、あるいは記録媒
体を保持搬送するベルトやドラム等を用いた場合にも適
用可能である。また、上記の実施の形態の転写用部材５
１，５２，５３，５４は、それぞれ転写ブレードで構成
してあるが、コロナ転写器で構成してもよい。また、従
動ローラ２０は、テンションローラ（および／または蛇
行規制ローラ）として構成することも可能である。

【００２２】

【発明の効果】請求項１〜５記載のいずれの画像形成装
置によっても、簡単な駆動系で像担持体から転写手段へ
の転写状態を確実に安定させてきれいな画像を確実に得
ることが可能となる。特に、この画像形成装置が、請求
項２記載の画像形成装置のように、転写手段が中間転写
体であり、この中間転写体に対して像担持体が色別に複
数個配置され、この中間転写体に対して、前記複数個の
像担持体のトナー像が順次転写されてカラー画像が形成
される構成、あるいは、転写手段が、記録媒体保持体で
記録媒体を保持搬送し、複数色のトナー像を順次記録媒
体に転写させて記録媒体上でカラー画像を得る構成であ
る場合には、請求項１記載の構成によって、複数個の像
担持体および転写手段の駆動系が著しく簡素化され、し
かも、色ズレのないきれいなカラー画像が確実に得られ
ることとなる。さらに、請求項３〜５記載のいずれの画
像形成装置によっても、フィルミングが防止され、画質
が向上することとなる。

【００２３】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る画像形成装置の一実施の形態を示
す概略正面図。

【図２】像担持体および転写手段の駆動系を示す図。

【図３】像担持体および転写手段の駆動系の比較例を示
す図

【図４】（ａ）（ｂ）は作用説明図。

【図５】従来技術の説明図。

【符号の説明】

１０ 駆動ローラ ２０ 従動ローラ ３０ 中間転写ベルト（転写手段） ４０ 単色トナー像形成手段 ４１ 像担持体 ＧＤ 像担持体駆動歯車列 ＧＴ ベルト駆動歯車列 ＧＭ 駆動源歯車 Ｐ 用紙（記録媒体）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 雄二郎 長野県諏訪市大和３丁目３番５号 セイコ ーエプソン株式会社内 Ｆターム(参考） 2H030 AA01 AA06 AB02 AD16 BB23 BB42 BB53 2H035 CA07 CB01 CG03 2H071 CA01 CA02 CA05 DA09 DA15 DA26 EA04 EA18 2H200 FA04 FA08 FA17 FA20 GA12 GA23 GA29 GA47 HA02 HB14 JA02 JB06 JB10 JB47 JB49 JC02 JC03 JC17 JC19 LA27 LA29 MA12 MA13 MC02 MC06 PA11

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 トナー像を担持する像坦持体を駆動する
   像担持体駆動歯車列と、前記像担持体上のトナー像が転
   写される転写手段を駆動する転写手段駆動歯車列とを有
   し、これら両駆動歯車列を同一の駆動源歯車で駆動し、
   かつ、転写手段駆動歯車列を介して像担持体駆動歯車列
   を駆動し、前記駆動源歯車から最終段の像担持体駆動歯
   車までの歯車列が分岐のない１列の歯車列で構成されて
   おり、 前記転写手段の周速をＶｔ、前記像坦持体の周速をＶｄ
   としたとき、 Ｖｔ＜Ｖｄとなっていることを特徴とする画像形成装
   置。
2. 【請求項２】 前記転写手段が中間転写体であり、この
   中間転写体に対して前記像担持体が色別に複数個配置さ
   れ、この中間転写体に対して、前記複数個の像担持体の
   トナー像が順次転写されることを特徴とする請求項１記
   載の画像形成装置。
3. 【請求項３】 前記転写手段の表面硬度が前記像担持体
   の表面硬度よりも大きいことを特徴とする請求項１また
   は２記載の画像形成装置。
4. 【請求項４】 前記転写手段の表面粗さが前記像担持体
   の表面粗さよりも大きいことを特徴とする請求項１，
   ２，または３記載の画像形成装置。
5. 【請求項５】 前記転写手段の表面に、研磨剤が付加さ
   れていることを特徴とする請求項１，２，３，または４
   記載の画像形成装置。