JP2011075062A - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】過度のライン圧の上昇を防止するように構成した自動変速機の油圧制御装置を提供する
【解決手段】後進レンジになると、マニュアルバルブ21は、前進レンジ圧の出力を遮断し、プライマリレギュレータバルブ22のゲインを1未満から1以上に切換えると共に、C−2リレーバルブ27のスプール27pを左半位置に切換える。C−2リレーバルブ27が左半位置になると、入力ポート27cと出力ポート27eとの連通が遮断されると共に、入力ポート27dと出力ポート27eとが連通し、油路d,eを介してリニアソレノイドバルブSLC2の入力ポートSLC2aにモジュレータ圧が供給されることにより、その元圧がDレンジ圧からモジュレータ圧に切換えられる。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えば乗用車、トラックなどの車輌に搭載される自動変速機の油圧制御装置に関する。
一般に、車輌に搭載される自動変速機は、オイルポンプによって発生した油圧をプライマリレギュレータバルブなどのレギュレータバルブによって各油圧制御装置の元圧であるライン圧に調圧しており、該調圧弁は、通常、専用のリニアソレノイドバルブからのパイロット圧に基づいてライン圧を調圧している。
また、近年、入力ディスク、出力ディスク及びこれら両ディスクに挟持されたパワーローラを有し、該パワーローラの位置制御によって変速を可能にしているトロイダル式無段変速機の油圧制御装置において、複数のパイロットシャトルチェックバルブを階層的に備え、変速用の複数のリニアソレノイドバブルにより摩擦係合要素の係合圧として調圧された作動圧のうち、最大の作動圧をプライマリレギュレータバルブまで導くと共に、該最大の作動圧を上記パイロット圧として使用するものが案出されている(例えば特許文献1参照)。
即ち、このものは、2つの入力ポートと、1つの出力ポートと、これら入力ポートの作動圧が対向して入力されるチェックボールとを備え、圧力差により該チェックボールが移動することにより、低圧側の入力ポートが遮断され、高圧側の入力ポートと出力ポートとが連通する上記パイロットシャトルチェックバルブを組み合わせることによって、上記複数の作動圧の内、最大の作動圧をレギュレータバルブに入力し、該最大の作動圧よりもライン圧が所定圧だけ高くなるように上記オイルポンプによって発生した油圧を調圧している。
特開2007−271058号公報
上記特許文献1のように、複数のリニアソレノイドが調圧した作動圧のうち、最大の作動圧をプライマリレギュレータバルブのパイロット圧(制御圧)として使用すると、プライマリレギュレータバルブを制御するための専用のソレノイドバルブが必要なくなり、部品点数を削減できると共にコンパクト化することができるが、これら摩擦係合要素の係合圧を調圧するリニアソレノイドバルブは、変速時に高い作動圧が要求される場合があるため、元圧としてライン圧が供給されており、バルブが開いた状態で固着して作動圧の制御が出来なってしまう(以下、オープンスティック)と、このライン圧がパイロット圧としてレギュレータバルブに直接、出力されてしまう。
この時、レギュレータバルブのゲイン(パイロット圧の変化に対する出力圧(ライン圧)の変化率)が1以上であると、レギュレータバルブは、パイロット圧として入力されたライン圧よりも現在のライン圧を高くしようとするため、オイルポンプが回転している間中、ライン圧が際限なく上昇していってしまう虞がある。
そこで、本発明は、プライマリレギュレータバルブのゲインが1以上の場合には、パイロット圧を出力する作動圧調圧弁の元圧をモジュレータ圧とすることによって、上記課題を解決した自動変速機の油圧制御装置を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、油圧発生源(20)と、前記油圧発生源(20)の油圧をライン圧に調圧するライン圧調圧弁(22)と、前記ライン圧を該ライン圧よりも低い一定圧のモジュレータ圧に調圧するモジュレータ圧調圧弁(23)と、前記ライン圧を調圧して作動圧として複数の摩擦係合要素(C−1,C−2,C−3,B−1,B−3)の油圧サーボ(例えば、30,31)に直接供給する複数の作動圧調圧弁(SLC1,SLC2,SLB1)と、複数の前記作動圧調圧弁(SLC1,SLC2,SLB1)により調圧された各作動圧のうち、最大の作動圧を前記ライン圧調圧弁(22)まで導く最大圧導通回路(26)とを備え、前記ライン圧調圧弁(22)は、前記最大圧導通回路(26)からの作動圧を制御圧とし、この制御圧に基づいてライン圧を調圧する自動変速機の油圧制御装置(1)において、
前記ライン圧調圧弁(22)のゲインを1以上と1未満で切換え可能にするゲイン切換え部(21)と、
前記ライン圧調圧弁(22)の制御圧を出力する前記作動圧調圧弁(SLC1,SLC2,SLB1)の元圧を、前記ライン圧と前記モジュレータ圧とに切換える元圧切換え弁(27)と、を備え、
前記ゲイン切換え部(21)により前記ライン圧調圧弁(22)のゲインが1未満に切換えられた際には、前記元圧切換え弁(27)により前記作動圧調圧弁(SLC1,SLC2,SLB1)の元圧を前記ライン圧に切換え、前記ゲイン切換え部(21)により前記ライン圧調圧弁(22)のゲインが1以上に切換えられた際には、前記元圧切換え弁(27)により前記作動圧調圧弁(SLC1,SLC2,SLB1)の元圧を前記モジュレータ圧に切換えてなる、
ことを特徴とする自動変速機の油圧制御装置(1)にある。
請求項2に係る発明は、前記ゲイン切換え部(21)は、前記ライン圧が入力され、レンジ位置に応じて該ライン圧を前進レンジ圧もしくは後進レンジ圧として出力するレンジ切換え弁であり、
レンジ位置が前進レンジの際には、前記ライン圧調圧弁(22)に前記前進レンジ圧を作用させて前記ライン圧調圧弁(22)のゲインを1未満になるようにし、後進レンジの際には前記ライン圧調圧弁のゲインが1以上になるようにした、
請求項1記載の自動変速機の油圧制御装置(1)にある。
請求項3に係る発明は、前記ライン圧調圧弁(22)は、前進レンジ時には前記最大圧導通回路(26)により導かれた前記最大の作動圧に基づいて前記ライン圧を調圧し、後進レンジ時には複数の前記作動圧調圧弁(SLC1,SLC2,SLB1)のうち、特定の作動圧調圧弁(例えばSLC2)から入力された作動圧に基づいて前記ライン圧を調圧してなる、
請求項2記載の自動変速機の油圧制御装置(1)にある。
請求項4に係る発明は、前記元圧切換えバルブ(27)は、前記特定の作動圧調圧弁(SLC2)と、該特定の作動圧調圧弁(SLC2)が作動圧を供給する第1摩擦係合要素(C−2)及び第2摩擦係合要素(B−3)の油圧サーボ(30,31)と、の間に介在するように配設され、これら第1摩擦係合要素(C−2)及び第2摩擦係合要素(B−3)の油圧サーボ(30,31)に、選択的に前記特定の作動圧調圧弁(SLC2)からの作動圧を供給してなる、
請求項3記載の自動変速機の油圧制御装置(1)にある。
請求項5に係る発明は、前記第2摩擦係合要素(B−3)は後進時に係合される摩擦係合要素であり、
該第2摩擦係合要素(B−3)の油圧サーボ(31)と前記元圧切換えバルブ(27)との間に介在し、前進レンジ時には前記第2摩擦係合要素(B−3)の油圧サーボ(31)へ前記特定の作動圧調圧弁(SLC)2からの作動圧が供給されるように切換え、後進レンジ時には前記第2摩擦係合要素(B−3)の油圧サーボ(31)へ前記レンジ切換え弁(21)から後進レンジ圧を直接供給するように切換える作動圧切換え弁(32)を備えた、
請求項4記載の自動変速機の油圧制御装置(1)にある。
請求項6に係る発明は、前記作動圧切換え弁(32)を切換える信号圧を調圧すると共に、該信号圧の元圧として前記モジュレータ圧調圧弁(23)で調圧されたモジュレータ圧を使用する制御弁(SL)を備えた、
請求項5記載の自動変速機の油圧制御装置(1)にある。
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
請求項1に係る発明によると、ライン圧調圧弁のパイロット圧を調圧する作動圧調圧弁の元圧を、ライン圧調圧弁のゲインが1未満の場合にはライン圧とし、このライン圧調圧弁のゲインがゲイン切換え部により1以上に切換えられると、上記作動圧調圧弁の元圧を元圧切換え弁によりモジュレータ圧へと切換えることによって、例え、ライン圧調圧弁のゲインが1以上の際に作動圧調圧弁がオープンスティックしたとしても、レギュレータバルブには、ライン圧よりも所定圧低いモジュレータ圧以上の圧力がパイロット圧として出力されることがないため、レギュレータバルブにより減圧されずにライン圧が際限なく上昇してしまうことを防止することができる。
請求項2に係る発明によると、ライン圧調圧弁のゲインを、前進レンジ時には1未満、後進レンジ時には1以上とすることによって、前進時に比して摩擦係合要素のトルク容量が大きいために高いライン圧が必要となる後進時において、ライン圧を高く設定することができる。
請求項3に係る発明によると、後進時には特定の作動圧調圧弁から入力された作動圧に基づいて、ライン圧調圧弁によりライン圧を調圧することによって、前進時に比して後進時の最大圧導通回路における作動圧の切換わりを少なくし、制御圧の切換わりに起因するライン圧の一時的な低下を防止することができる。
請求項4に係る発明によると、元圧切換えバルブを、第1摩擦係合要素及び第2摩擦係合要素の油圧サーボに、特定の作動圧調圧弁からの作動圧を選択的に供給するためのリレーバルブとしても使用することによって、バルブの本数を削減し、部品点数を少なくすることができる。
請求項5に係る発明によると、特定の作動圧調圧弁と第2摩擦係合要素の油圧サーボとの間に作動圧切換えバルブを介在させることにより、前進時に比して高い係合圧の必要な後進時には、モジュレータ圧を元圧とする特定の作動圧調圧弁からの作動圧ではなく、レンジ切換え弁からRレンジ圧を第2摩擦係合要素の油圧サーボに直接出力することによって、該第2摩擦係合要素を確実に係合することができる。
請求項6に係る発明によると、作動圧切換え弁を切換える制御弁の元圧であるモジュレータ圧を、特定の作動圧調圧弁の元圧としても使用することによって、これら制御弁及び特定の作動圧調圧弁とでモジュレータ圧調圧弁を兼用することができ、油圧制御装置の部品点数を減らすことができると共に、コンパクト化を図ることができる。
本発明に係る自動変速機を示すスケルトン図。 (a)本発明に係る自動変速機の係合表、(b)本発明に係る自動変速機の速度線図。 本発明に係る自動変速機の油圧制御装置を示す回路図。 (a)本発明に係るプライマリレギュレータバルブの拡大図、(b)本発明に係るプライマリレギュレータバルブのライン圧とパイロット圧との相関関係を示すグラフ。
以下、本発明に係る実施の形態を図1乃至図3に沿って説明する。
[自動変速機の概略構成]
まず、本発明を適用し得る自動変速機の概略構成について図面に沿って説明する。図1に示すように、例えばFFタイプ(フロントエンジン、フロントドライブ)の車輌に用いて好適な自動変速機3は、エンジンに接続し得る自動変速機3の入力軸8を有しており、該入力軸8の軸方向を中心としてトルクコンバータ4と、自動変速機構5とを備えている。
上記トルクコンバータ4は、自動変速機3の入力軸8に接続されたポンプインペラ4aと、作動流体を介して該ポンプインペラ4aの回転が伝達されるタービンランナ4bとを有しており、タービンランナ4bは、上記入力軸8と同軸上に配設された自動変速機構5の入力軸10に接続されている。また、トルクコンバータ4には、ロックアップクラッチ7が備えられており、ロックアップクラッチ7が係合されると、自動変速機3の入力軸8の回転が自動変速機構5の入力軸10に直接伝達される。
上記自動変速機構5には、入力軸10上において、プラネタリギヤユニットPUが備えられている。該プラネタリギヤユニットPUは、4つの回転要素としてサンギヤS1、サンギヤS2、キャリヤCR、及びリングギヤRを有し、キャリヤCRに、サンギヤS2及びリングギヤRに噛合するロングピニオンPLと、サンギヤS1に噛合するショートピニオンPSとを互いに噛合する形で有している、いわゆるラビニヨ型プラネタリギヤである。
上記プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2は、ブレーキB−1に接続されてミッションケース9に対して固定自在となっていると共に、上記クラッチC−3に接続され、該クラッチC−3を介して入力軸10の回転が入力自在となっている。また、上記サンギヤS1は、クラッチC−1に接続されており、上記入力軸10の回転が入力自在となっている。
更に、上記キャリヤCRは、入力軸10の回転が入力されるクラッチ(第1摩擦係合要素)C−2に接続され、該クラッチC−2を介して入力軸10の回転が入力自在となっており、また、ワンウェイクラッチF−2及びブレーキ(第2摩擦係合要素)B−3に接続されて、該ワンウェイクラッチF−2を介してミッションケース9に対して一方向の回転が規制されると共に、該ブレーキB−3を介して回転が固定自在となっている。そして、上記リングギヤRは、カウンタギヤ11に接続されており、該カウンタギヤ11は、不図示のカウンタシャフト、ディファレンシャル装置を介して駆動車輪に接続されている。
図2は、上述した自動変速機の作動表及び各変速段の速度線図であり、上記自動変速機1は、この作動表に示された組み合わせで各クラッチ及び各ブレーキを作動させることにより、前進1速〜4速の変速段と、後進1速の変速段を形成する。
[油圧制御装置の構成]
次に、本発明に係る自動変速機の油圧制御装置1について説明する。なお、本実施の形態においては、スプール位置を説明するため、図3中に示す右半分の位置を「右半位置」、左半分の位置を「左半位置」という。また、前進レンジ(Dレンジ)の際にマニュアルバルブ(ゲイン切換え部,レンジ切換え弁)から出力されるライン圧を前進レンジ圧(Dレンジ圧)、後進レンジ(Rレンジ)の際にマニュアルバルブから出力されるライン圧を後進レンジ圧(Rレンジ圧)としてレンジ毎に便宜的に区別して呼ぶこととするが、どちらもライン圧のことである。
図3に示すように、本油圧制御装置1は、オイルポンプ(油圧発生源)20、マニュアルバルブ21、プライマリレギュレータバルブ(ライン圧調圧弁)22、ソレノイドモジュレータバルブ(モジュレータ圧調圧弁)23等を備えており、エンジンが始動されると、上述したトルクコンバータ4のポンプインペラ4a(図1参照)に駆動連結されたオイルポンプ20がエンジンの回転に連動して駆動することにより、オイルパンからストレーナ25を介してオイルを吸上げる形で油圧を発生させる。
上記オイルポンプ20により発生された油圧は、詳しくは後述するシグナルチェックバルブ(最大圧導通回路)26からのパイロット圧(制御圧)PSIGに基づいてプライマリレギュレータバルブ22によって排出調整されつつライン圧Pに調圧され、油路a2,a5を介してマニュアルバルブ21及びソレノイドモジュレータバルブ23に供給される。
ソレノイドモジュレータバルブ23は、スプール23pと、該スプール23pを図中上方に付勢するスプリング23sと、スプール23pの図中上方に形成された油室23aと、入力ポート23bと、ドレーンポートEXと、を有して構成されており、入力ポート23bには、上記油路a5が接続されてライン圧Pが入力されている。
上記ソレノイドモジュレータバルブ23は、スプリング23sの付勢力によってスプール23pが右半位置になると、入力ポート23bと出力ポート23bを連通させると共に、油室23aに出力ポート23dから出力された油圧がフィードバックされてスプール23pが左半位置になると、入力ポート23bと出力ポート23dの連通を遮断し、出力ポート23dとドレーンポートEXとを連通させる。これにより、ソレノイドモジュレータバルブ23は、ライン圧Pを、該ライン圧Pよりも低い略々一定圧となるモジュレータ圧PMODに調圧しており、モジュレータ圧PMODは、不図示の油路を介してソレノイドバルブ(制御弁)SLに元圧として供給されると共に、油路dを介してC−2リレーバルブ(元圧切換え弁)27の入力ポート27dに入力される。
一方、マニュアルバルブ21は、運転席(不図示)に設けられたシフトレバーに機械的(或いは電気的)に駆動されるスプール21pを有しており、該スプール21pの位置がシフトレバーにより選択されたシフトレンジ(例えばP,R,N,D)に応じて切換えられることにより、油路a2を介して入力ポート21aに入力されたライン圧Pの出力状態や非出力状態(ドレーン)を設定する。
詳細には、シフトレバーの操作に基づきレンジ位置が前進レンジ(Dレンジ)にされると、該スプール21pの位置に基づき入力ポート21aと前進レンジ圧出力ポート21bとが連通し、該前進レンジ圧出力ポート21bよりライン圧PがDレンジ圧Pとして出力される。また、シフトレバーの操作に基づきレンジ位置が後進レンジ(Rレンジ)にされると、該スプール21pの位置に基づき上記入力ポート21aと後進レンジ圧出力ポート21cとが連通し、該後進レンジ圧出力ポート21cよりライン圧Pが後進レンジ圧(Rレンジ圧)PREVとして出力される。更に、シフトレバーの操作に基づきPレンジ及びNレンジにされた際は、上記入力ポート21aと前進レンジ圧出力ポート21b及び後進レンジ圧出力ポート21cとの間がスプール21pによって遮断されると共に、これら前進レンジ圧出力ポート21b及び後進レンジ圧出力ポート21cがドレーンポートEXに連通される。つまりDレンジ圧P及びRレンジ圧PREVがドレーン(排出)された非出力状態となる。
ついで、変速制御を行う部分について説明する。本油圧制御装置1は、クラッチC−1の油圧サーボ(不図示)、ブレーキB−1の油圧サーボ(不図示)、クラッチC−2の油圧サーボ30、ブレーキB−3の油圧サーボ31、クラッチC−3の油圧サーボ(不図示)、の計5つの油圧サーボを有しており、前進時にのみ係合されるクラッチC−1、ブレーキB−1及びクラッチC−2の油圧サーボ31には、それぞれリニアソレノイドバルブSLC1,SLB1,SLC2により調圧された作動圧が係合圧として供給されると共に、後進時に使用されるクラッチC−3の油圧サーボ(不図示)には、上述したRレンジ圧PREVが直接供給されるように構成されている。
また、ブレーキB−3の油圧サーボ31には、リニアソレノイドバルブ(特定の作動圧調圧弁)SLC2により調圧された作動圧PSLC2もしくはRレンジ圧PREVのどちらか一方が係合圧PB3として供給されるように構成されており、係合圧を、作動圧PSLC2又はRレンジ圧PREVに切換えるための部分として、B−3リレーバルブ(作動圧切換え弁)32及びソレノイドバルブSLを備えている。
図3に示す油路b1、油路b2、油路b3には、マニュアルバルブ21の前進レンジ圧出力ポート21bが接続されており、前進レンジ圧Pが入力し得るように構成されていると共に、油路dにはソレノイドモジュレータバルブ23からのモジュレータ圧PMODが入力されるように構成されている。上記油路b2及び油路dは、詳しくは後述するC−2リレーバルブ27の入力ポート27c,27dに接続しており、これら入力ポート27c,27dを介して入力されたDレンジ圧P及びモジュレータ圧PMODは、C−2リレーバルブ27の出力ポート27eから選択的に油路eに出力される。
リニアソレノイドバルブSLC2は、上記油路eを介してDレンジ圧Pもしくはモジュレータ圧PMODが入力される入力ポートSLC2aと、該Dレンジ圧P/モジュレータ圧PMODを調圧した作動圧PSLC2を係合圧PC2としてクラッチC−2もしくはブレーキB−3の油圧サーボ30,31に出力する出力ポートSLC2bとを有している。即ち、該リニアソレノイドバルブSLC2は、制御部(不図示)からの指令値に基づく通電時には、指令値に応じた係合圧PC2,PB3を出力し得るように構成されている。リニアソレノイドバルブSLC2の出力ポートSLC2bは、油路g1、C−2リレーバルブ27、油路g2を介してクラッチC−2の油圧サーボ30に接続されていると共に、油路g1、C−2リレーバルブ27、B−3リレーバルブ32、油路hを介してブレーキB−3の油圧サーボ31に接続されている。
C−2リレーバルブ27は、上記入力ポート27c,27d及び出力ポート27eの他に、入力ポート27gと,出力ポート27h,27fと、ドレーンポートEXと、スプール27pと、該スプール27pを上方に付勢するスプリング37sと、を有していると共に、スプール27pの図中上方に形成された油室27aと、スプール27pの図中下方に形成された油室37dとを有して構成されている。
このC−2リレーバルブ27は、リニアソレノイドバルブSLC2の元圧を、Dレンジ圧Pとモジュレータ圧PMODに切換えるリレーバルブ(切換え弁)であると共に、リニアソレノイドバルブSLC2からの作動圧をクラッチC−2及びブレーキB−3の油圧サーボ30,31に選択的に切換えて供給するリレーバルブであり、油室27aにDレンジ圧Pが供給されてスプール27pが右半位置になると、入力ポート27cと出力ポート27eとが連通して、Dレンジ圧PがリニアソレノイドバルブSLC2の入力ポートSLC2aに元圧として供給される。また、同時に入力ポート27gと出力ポート27hとが連通し、これにより油路g2を介してリニアソレノイドバルブSLC2の出力ポートSLC2bとクラッチC−2の油圧サーボ30とが連通する。
一方、油室27bにソレノイドバルブS1からの信号圧PS1が入力されてスプール27pが左半位置になると、入力ポート27cと出力ポート27eとの連通が遮断されると共に、入力ポート27dと出力ポート27eとが連通してリニアソレノイドバルブSLC2の入力ポートSLC2aにモジュレータ圧PMODが元圧として供給される。また、同時に入力ポート27gと出力ポート27hとの連通が遮断され、入力ポート27gと出力ポート27fとが連通する。
B−3リレーバルブ32は、スプール32pと、該スプール32pを上方に付勢するスプリング32sと、スプール32pの上方に形成されソレノイドバルブSLからの信号圧PSLが入力される油室32aと、を有していると共に、入力ポート32cと、入力ポート32bと、出力ポート32dと、を備えて構成されている。入力ポート32cは、油路g4を介して上記C−2リレーバルブ27の出力ポート27fと接続していると共に、入力ポート32bは、油路c1を介してマニュアルバルブ21の後進レンジ圧出力ポート21cと接続している。また、出力ポート32dは、ブレーキB−3の油圧サーボ31と油路hを介して接続している。
上記B−3リレーバルブ32は、スプリング32sの付勢力によってスプール32pが左半位置になると、入力ポート32bと出力ポート32dとが連通し、Rレンジ圧PREVがブレーキB−3の油圧サーボ31に出力される。一方、ソレノイドバルブSLからの信号圧PSLが油室32aに入力されてスプール32pが右半位置になると、入力ポート32bと出力ポート32dとの連通が遮断されると共に、入力ポート32cと出力ポート32dとが連通し、リニアソレノイドバルブSLC2からの制御圧PSLC2がブレーキB−3の油圧サーボ31に出力可能となる。
なお、リニアソレノイドバルブSLC2以外のリニアソレノイドバルブSLC1,SLB1には、図示を省略した油路によって元圧としてDレンジ圧Pが供給されている。
ついで、ライン圧を調圧するライン圧調圧部の詳細な構成について説明をする。上述したようにオイルポンプ20によって発生した油圧は、シグナルチェックバルブ26からのパイロット圧PSIGに基づいてプライマリレギュレータバルブ22によってライン圧Pに調圧されており、ライン圧調圧部は、これらプライマリレギュレータバルブ22及びシグナルチェックバルブ26、シグナルチェックバルブ26の信号圧PSIGの元圧となる各作動圧(係合圧)を調圧するリニアソレノイドバルブSLC1,SLB1,SLC2、マニュアルバルブ21などによって構成されている。
シグナルチェックバルブ26は、第1シャトル弁41と第2シャトル弁42とが油圧制御装置(コントロールバルブ)1の同じ位置(穴)に一体となって階層的に組み合わされて構成されており、4つの入力ポート26a,26b,26c,26dと、2つの出力ポート26e,26fと、を備えている。これら第1及び第2シャトル弁41,42は、2つの入力ポートと1つの出力ポートとを備え、該出力ポートが最大圧側の入力ポートと連通するように構成されており、それにより、シグナルチェックバルブ26の最終的な出力ポート26fは、上記入力ポート26a,26b,26cのうちの最も高い圧力側の入力ポートと連通している。なお、これら第1及び第2シャトル弁41,42は、必ずしも油圧制御装置1の同じ位置に配設される必要はなく、階層的に組み合わされている限り、油圧回路上のどのような位置に配設されてもよい。
上記第1シャトル弁41は、入力ポート26aと、入力ポート26bと、出力ポート26eとを有しており、入力ポート26aにはC−2ダンパー44が連結された油路g3を介してクラッチC−2の係合圧PC2(作動圧PSLC2)が供給され、入力ポート26bにはブレーキB−1の係合圧PB1(作動圧PSLB1)が供給されている。これら係合圧PC2,PB1は受圧部材であるチェックボール41aに対して対抗入力され、該チェックボール41aが係合圧PC2,PB1の圧力差によってどちらか一方の方向に移動して油圧が低い方の入力ポート26a,26bを遮断すると共に、油圧が高い方の入力ポート26a,26bと出力ポート26eとが連通するように構成されている。
また、第2シャトル弁42も第1シャトル弁41と同様に、入力ポート26cと、入力ポート26dと、出力ポート26fとを有しており、入力ポート26dは油路k1を介して上記第1シャトル弁41の出力ポート26eと接続している。そのため入力ポート26dには、上述したクラッチC−2の係合圧PC2とブレーキB−1の係合圧PB1とのうちのどちらか高い方の油圧が供給され、入力ポート26cにはクラッチC−1の係合圧PC1(作動圧PSLC1)が供給される。これら係合圧PC1,PC2/PB1は受圧部材であるチェックボール42aに対して対抗入力され、該チェックボール42aが係合圧PC1,PC2/PB1の圧力差によってどちらか一方の方向に移動して油圧が低い方の入力ポート26c,26dを遮断すると共に、油圧が高い方の入力ポート26c/26dと出力ポート26fとが連通するように構成されている。
また、クラッチC−1は、図2(a)に示すように、大きな駆動トルクが必要な低速側の変速段において常に係合されるクラッチであり、使用頻度が高いと共に、その係合圧PC1がクラッチC−2、ブレーキB−1の係合圧PC2,PB1よりも高いことが多いため、上記シグナルチェックバルブ26は、クラッチC−1の係合圧PC1が1回の比較で出力ポート26fからパイロット圧PSIGとして出力できるように、第2シャトル弁42の入力ポート26cに入力するように構成されている。
なお、第1及び第2シャトル弁41,42は、入力ポート26a,26b,26c,26dに同じ圧力の係合圧が入力された際に、チェックボールが略々中央部で停止して出力ポート26e,26fを遮断してしまうことを防止するために、弱いバネを入れるなどしてチェックボール41a,42aを片側に軽く付勢しても良い。
一方、上記シグナルチェックバルブ26からのパイロット圧PSIGが入力されるプライマリレギュレータバルブ22は、スプール22pと、該スプール22pを上方に付勢するスプリング22sと、スプール22pの図中上方に形成された油室22aと、スプール22pの図中下方に形成された油室22bと、を有していると共に、入力ポート22cと、入力ポート22dと、オイルポンプ20からの過剰な油圧を排圧する2つのドレーンポート22e,22fなどを有して構成されている。
入力ポート22cには油路a3を介してオイルポンプ20によって発生した油圧(ライン圧P)が供給されており、プライマリレギュレータバルブ22は、スプール22pが右半位置の場合、入力ポート22cとドレーンポート22e,22fとが連通し、過剰な油圧がドレーンポート22e,22fから排出されてライン圧Pを減圧する。また、スプール22pが左半位置の場合、これら入力ポート22cとドレーンポート22e,22fとの連通が遮断されるため、ライン圧Pは昇圧する。なお、ドレ−ンポート22fから排出された油圧は、不図示のセカンダリレギュレータバルブによってセカンダリ圧に調圧されると共に、ドレーンポート22eから排出された油圧は、油路mを介してオイルパンに還流される。
また、図4(a)に示すように、油室22aには油路a4を介してライン圧Pが、油室22bには油路k2を介してパイロット圧PSIGが、入力ポート22dには油路b3を介してDレンジ圧Pが入力されるように構成されており、パイロット圧PSIGが作用するスプール22pのランド部22Pの受圧面積(第1受圧面積)をA、スプリング22sの付勢力をFs、Dレンジ圧Pが作用するスプール22pのランド部22Pの受圧面積(第2受圧面積)をA、ライン圧Pが作用するスプール22pのランド部22pの受圧面積(第3受圧面積)をAとすると、スプール22pに働く、油室22a方向への作用力i、油室22b方向への作用力ii,iiiは以下の式で表される。
i=PSIG*A+Fs
ii=P*A(Dレンジ時)
iii=P*A(Rレンジ時)
即ち、スプール22pは、互いに対向する油室22a方向への作用力iと、油室22b方向への作用力iiもしくはiiiが釣り合うように移動し、作用力iに比して作用力iiもしくはiiiが強い場合、油室22a側に移動し、作用力iに比して作用力iiもしくは力iiiが弱い場合、スプール22Pは油室22a側に移動する。
また、上述したようにスプール22pは、パイロット圧PSIGが出力されていなくともスプリング22sの付勢力Fsによって油室22a方向に付勢されており、図4(b)に示すように、ライン圧Pは、この付勢力Fsに対応するだけの圧力が少なくとも初期圧として出力される。
図4(a)に示すように、上記スプール22pの各ランド部22p,22p,22pは、その径が異なって形成されており、その受圧面積は、第2受圧面積Aが最も大きく、以下、第1受圧面積A、第3受圧面積Aの順に小さくなっている(A>A>A)。プライマリレギュレータバルブ22の入出力比であるゲインは、これらパイロット圧PSIGの受圧面積Aと、Dレンジ圧Pもしくはライン圧Pの受圧面積A,Aとの比で決定されるため、プライマリレギュレータバルブ22は、Dレンジ圧Pが入力ポート22dに入力されるか否かで2つのゲインを有している。
言い換えると、プライマリレギュレータバルブ22は、Dレンジ時のDレンジゲインG=A/Aと、Rレンジ時のRレンジゲインG=A/Aと、をマニュアルバルブ21によって切換えており、該DレンジゲインGが1未満に、RレンジゲインGが1以上になるように設定している(G<1,G≧1)。
なお、プライマリレギュレータバルブ22は、Dレンジ時とRレンジ時との切換わり時のみならず、Dレンジにあって、高い油圧を必要とする変速時と通常走行時との切換わり時にプライマリレギュレータバルブ22のゲインの切換えを行っても良い。また、マニュアルバルブ21ではなく、ソレノイドバルブによってプライマリレギュレータバルブ22に油圧を供給してゲインを切換えても良い。
次に、本実施の形態に係る油圧制御装置1の作用について説明をする。例えば運転手によりイグニッションがONされると、本油圧制御装置1の油圧制御が開始される。エンジンが始動されると、エンジン回転に基づくオイルポンプ20の回転により油圧が発生し、油路a3,a4を介してプライマリレギュレータバルブ22の油室22a及び入力ポート22cに入力される。すると、油室22aに供給された油圧とスプリング22sの付勢力とがバランスする位置にスプール22pが移動し、上記オイルポンプ20で発生した油圧がライン圧Pの初期圧に調圧される。該ライン圧Pは油路a2を介してマニュアルバルブ21の入力ポート21aに入力されると共に、油路a5を介してソレノイドモジュレータバルブ23の入力ポート23bに入力される。
[前進1〜4速段の動作]
続いて、運転手によりシフトレバーがNレンジ位置からDレンジ位置に移動され、制御部(不図示)により前進1〜4速段のいずれかの変速段が判断されると、マニュアルバルブ21の前進レンジ圧出力ポート21bから油路b1〜b3に前進レンジ圧Pが出力される。
すると、C−2リレーバルブ27の油室27aにDレンジ圧Pが供給されて、スプール27pが右半位置になり、入力ポート27cと出力ポート27eとが連通すると共に、該入力ポート27eからリニアソレノイドバルブSLC2の入力ポートSLC2aにDレンジ圧Pが元圧として入力される。また、同時にスプール27pが右半位置に移動することによって、入力ポート27gと出力ポート27hとが連通してリニアソレノイドバルブSLC2の作動圧がクラッチC−2の油圧サーボ30に出力可能になる。
更に、リニアソレノイドバルブSLC2以外のリニアソレノイドバルブSLC1,SLB1にも不図示の油路を介してDレンジ圧Pが元圧として供給される。これらリニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLB1は、制御部からの電気指令により変速段に応じて作動圧(係合圧)PSLC1,PSLC2,PSLB1を各摩擦係合要素C−1,C−2,B−1,B−3の油圧サーボ30,31に出力し、変速段に応じた摩擦係合要素C−1,C−2,B−1,B−3を係合させる。そして、これらの摩擦係合要素C−1,C−2,B−1,B−3の係合により前進1速段から前進4速段までの変速段が達成される。
[前進1速段のエンジンブレーキにおける動作]
また、制御部により前進1速段のエンジンブレーキが判断されると、該制御部からの電気指令により、ソレノイドバルブS1から信号圧PS1がC−2リレーバルブ27の油室27bに出力される。すると、C−2リレーバルブ27は、スプール27pが右半位置から左半位置に切換わり、入力ポート27cと出力ポート27eとの連通を遮断すると共に、該出力ポート27eと入力ポート27dとを連通させ、リニアソレノイドバルブSLC2の入力ポートSLC2aにモジュレータ圧PMODを元圧として供給する。
また、同時に入力ポート27gと出力ポート27hとの連通が遮断されると共に、入力ポート27gと出力ポート27fとが連通することによって、リニアソレノイドバルブSLC2の出力ポートSLC2bと、クラッチC−2の油圧サーボ30との連通が遮断される。
更に、前進1速段のエンジンブレーキが判断されると、B−3リレーバルブ32の油室32aにソレノイドバルブSLから信号圧PSLが出力され、スプール32pが右半位置に切換わりって、入力ポート32cと出力ポート32dが連通するため、リニアソレノイドバルブSLC2の作動圧PSLC2は、油路g1、C−2リレーバルブ27、油路g4、B−3リレーバルブ32及び油路hを介してブレーキB−3の油圧サーボ31に出力され、ブレーキB−3が係合される。
そして、上記ブレーキB−3の係合と、クラッチC−1がリニアソレノイドバルブSLC1からの作動圧PSLC1により係合することとが相俟って前進1速段のエンジンブレーキが達成される。
[Dレンジ時のプライマリレギュレータバルブの動作]
一方、シグナルチェックバルブ26の入力ポート26a,26b,26cには、上記リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLB1から出力された作動圧(係合圧)PSLC1,PSLC2,PSLB1が入力され、この内の最も高い作動圧が油路K2を介してパイロット圧PSIGとしてプライマリレギュレータバルブ22の油室22bに入力される。
プライマリレギュレータバルブ22は、パイロット圧PSIGが油室22bに入力されると、DレンジゲインGに基づいた比率だけ変化するようにライン圧Pを調圧する。即ち、パイロット圧PSIGの変化量にDレンジゲインGを掛けた値だけライン圧Pが変化するようにライン圧Pを調圧する。
この時、DレンジゲインGは1よりも小さい値に設定されているため、パイロット圧PSIGに比してライン圧Pの変化量は小さくなるが、ライン圧Pはスプリング22sの付勢力に応じた初期圧を有しているため、少なくともパイロット圧PSIGよりもライン圧Pが低くなることはない。
[Dレンジにおいてリニアソレノイドバルブがオープンスティックした際の動作]
また、車輌の前進中に上記複数のリニアソレノイドバルブSLC1,SLC2,SLB1のうちの何れか1つがオープンスティックし、その元圧であるDレンジ圧Pがシグナルチェックバルブ26を介しパイロット圧PSIGとして、直接、プライマリレギュレータバルブ22の油室22bに出力されると、プライマリレギュレータバルブ22は、上記DレンジゲインGにもとづいてライン圧Pを上昇させる。
すると、上昇したライン圧Pがオープンスティックしたリニアソレノイドバルブから出力され、パイロット圧PSIGとして再度、プライマリレギュレータバルブ22の油室22bに出力され、ライン圧Pが上昇してゆく(図4(b)参照)。そして、プライマリレギュレータバルブ22のDレンジゲインDは1以下であるため(ライン圧Pの上昇幅がパイロット圧PSIGの上昇幅よりも小さいため)、パイロット圧PSIGがライン圧Pと同圧になるまで上昇すると、これらパイロット圧PSIGとライン圧Pとが平衡し、ライン圧Pが限界圧に達する。つまり、ライン圧Pは限界圧以上、上昇しない。
[後進1速段における動作]
ついで、運転手のシフトレバーの操作によってシフトレバーがRレンジ位置にされると、マニュアルバルブ21の後進レンジ圧出力ポート21cからRレンジ圧PREVが出力されると共に、該Rレンジ圧PREVは不図示の油路を介してクラッチC−3の油圧サーボ32に係合圧PC3として直接、供給され、クラッチC−3が係合する。
また、シフトレバーセンサによりシフトレバーがRレンジ位置であることが検出され、制御部により該シフトレバー位置としてRレンジが判定されると、ソレノイドバルブSLはOFFされた状態に維持され、上記B−3リレーバルブ32のスプール32pはスプリング32sの付勢力によって右半位置に付勢される。
すると、B−3リレーバルブ32は、入力ポート32bと出力ポート32dとが連通し、油路hを介してブレーキB−3の油圧サーボ31にRレンジ圧PREVが供給され、ブレーキB−3が係合される。これらブレーキB−3、クラッチC−3が係止/係合されることによって後進1速段が達成される。
[Rレンジ時のプライマリレギュレータバルブの動作]
また、シフトレバー位置としてRレンジが判定されると、ソレノイドバルブS1から信号圧PS1がC−2リレーバルブ27の油室27bに出力されて、スプール27pが左半位置に付勢される。すると、Dレンジにおいて連通していた入力ポート27cと出力ポート27eとが遮断されると共に、入力ポート27dと出力ポート27eとが連通することによって、リニアソレノイドバルブの元圧がDレンジ圧Pからモジュレータ圧PMODに切換わる。
元圧をモジュレータ圧PMODに切換えられたリニアソレノイドバルブSLC2は、制御部からの電気指令にもとづいて、モジュレータ圧PMODを作動圧PSLC2を調圧し、出力ポートSLC2bから出力する。後進時、他のソレノイドバルブSLC1,SLB1には元圧であるDレンジ圧Pが供給されないため、シグナルチェックバルブ26の入力ポート26a,26b,26cには作動圧PSLC2しか出力されておらず、上記作動圧PSLC2は、シグナルチェックバルブ26の出力ポート26fから、パイロット圧PSIGとしてプライマリレギュレータバルブ22の油室22bに出力される。
プライマリレギュレータバルブ22は、油室22bにパイロット圧PSIGが出力されると、該パイロット圧PSIGに基づいて、RレンジゲインGに基づいた比率だけ変化するようにライン圧Pを調圧する。即ち、パイロット圧PSIGの変化量にRレンジゲインGを掛けた値がライン圧Pの変化量になるようにライン圧を調圧する。
[Rレンジにおいてリニアソレノイドバルブがオープンスティックした際の動作]
一方、後進時に、上記リニアソレノイドバルブSLC2がオープンスティックし、その元圧であるモジュレータ圧PMODがシグナルチェックバルブ26を介しパイロット圧PSIGとして、直接、プライマリレギュレータバルブ22の油室22bに出力されると、ライン圧Pはこのモジュレータ圧PMODにRレンジゲインGを掛けた分だけ上昇する。
しかし、ライン圧Pが上昇したとしてもモジュレータ圧PMODは、ソレノイドモジュレータバルブ23によってライン圧Pよりも低い略一定の圧まで減圧されるため、このモジュレータ圧PMOD以上にパイロット圧PSIGは上昇せず、ライン圧Pもこのモジュレータ圧PMODに対応した圧力以上に上昇はしない。
このように、プライマリレギュレータバルブ22のゲインを、Dレンジ時には1未満とし、Rレンジ時には1以上とすることによって、高い係合圧を要求されるRレンジ時にはライン圧Pの設定を高くすることが出来る。
また、プライマリレギュレータバルブ22のゲインが1以上であるRレンジ時には、パイロット圧PSIGを出力するリニアソレノイドバルブSLC2の元圧をDレンジ圧Pから、ライン圧Pを減圧したモジュレータ圧PMODに切換えることによって、このリニアソレノイドバルブSLC2がオープンスティックして作動圧の調圧ができなくなったとしても、パイロット圧PSIGがモジュレータ圧PMOD以上には上昇しないため、ライン圧Pが際限なく上昇してしまうことを防止することができる。
なお、本実施形態においては、リニアソレノイドバルブSLC2のみ元圧を、Dレンジ圧Pとモジュレータ圧PMODとに切換えたが、プライマリレギュレータバルブ22にパイロット圧PSIGを出力する可能性のある、他のリニアソレノイドバルブSLC1,SLB1についても元圧をゲインによって切換え可能に構成しても良い。
また、Rレンジ時に、SLC2からパイロット圧PSIGを出力するようにしたが、Rレンジ時に作動圧を出力可能であり、かつRレンジ時にこの作動圧が摩擦係合要素の係合に使用されないリニアソレノイドであれば、どのようなリニアソレノイドからパイロット圧PSIGを出力するようにしても良い。
更に、本実施の形態においては、本自動変速機の油圧制御装置1を前進4速段及び後進1速段を達成する自動変速機3に適用した場合を一例として説明したが、勿論これに限るものではなく、例えば前進6速段を達成する自動変速機に適用してもよく、プライマリレギュレータバルブのゲインが1以上の自動変速機であれば、どのような自動変速機にあっても本発明を適用することができる。
1 自動変速機の油圧制御装置
20 油圧発生源(オイルポンプ)
21 ゲイン切換え部(マニュアルバルブ)
22 ライン圧調圧弁(プライマリレギュレータバルブ)
23 モジュレータ圧調圧弁(ソレノイドモジュレータバルブ)
26 最大圧導通回路(シグナルチェックバルブ)
27 元圧切換え弁(C−2リレーバルブ)
30,31 油圧サーボ
32 作動圧切換え弁(B−3リレーバルブ)
C−1,C−2,C−3 摩擦係合要素(クラッチ)
C−2 第1摩擦係合要素(クラッチ)
B−1,B−3 摩擦係合要素(ブレーキ)
B−3 第2摩擦係合要素(ブレーキ)
SLC1,SLC2,SLB1 作動圧調圧弁(リニアソレノイドバルブ)
SLC2 リニアソレノイドバルブ(特定の作動圧調圧弁)
SL 制御弁(ソレノイドバルブ)

Claims (6)

  1. 油圧発生源と、前記油圧発生源の油圧をライン圧に調圧するライン圧調圧弁と、前記ライン圧を該ライン圧よりも低い一定圧のモジュレータ圧に調圧するモジュレータ圧調圧弁と、前記ライン圧を調圧して作動圧として複数の摩擦係合要素の油圧サーボに直接供給する複数の作動圧調圧弁と、複数の前記作動圧調圧弁により調圧された各作動圧のうち、最大の作動圧を前記ライン圧調圧弁まで導く最大圧導通回路とを備え、前記ライン圧調圧弁は、前記最大圧導通回路からの作動圧を制御圧とし、この制御圧に基づいてライン圧を調圧する自動変速機の油圧制御装置において、
    前記ライン圧調圧弁のゲインを1以上と1未満で切換え可能にするゲイン切換え部と、
    前記ライン圧調圧弁の制御圧を出力する前記作動圧調圧弁の元圧を、前記ライン圧と前記モジュレータ圧とに切換える元圧切換え弁と、を備え、
    前記ゲイン切換え部により前記ライン圧調圧弁のゲインが1未満に切換えられた際には、前記元圧切換え弁により前記作動圧調圧弁の元圧を前記ライン圧に切換え、前記ゲイン切換え部により前記ライン圧調圧弁のゲインが1以上に切換えられた際には、前記元圧切換え弁により前記作動圧調圧弁の元圧を前記モジュレータ圧に切換えてなる、
    ことを特徴とする自動変速機の油圧制御装置。
  2. 前記ゲイン切換え部は、前記ライン圧が入力され、レンジ位置に応じて該ライン圧を前進レンジ圧もしくは後進レンジ圧として出力するレンジ切換え弁であり、
    レンジ位置が前進レンジの際には、前記ライン圧調圧弁に前記前進レンジ圧を作用させて前記ライン圧調圧弁のゲインを1未満になるようにし、後進レンジの際には前記ライン圧調圧弁のゲインが1以上になるようにした、
    請求項1記載の自動変速機の油圧制御装置。
  3. 前記ライン圧調圧弁は、前進レンジ時には前記最大圧導通回路により導かれた前記最大の作動圧に基づいて前記ライン圧を調圧し、後進レンジ時には複数の前記作動圧調圧弁のうち、特定の作動圧調圧弁から入力された作動圧に基づいて前記ライン圧を調圧してなる、
    請求項2記載の自動変速機の油圧制御装置。
  4. 前記元圧切換えバルブは、前記特定の作動圧調圧弁と、該特定の作動圧調圧弁が作動圧を供給する第1摩擦係合要素及び第2摩擦係合要素の油圧サーボと、の間に介在するように配設され、これら第1摩擦係合要素及び第2摩擦係合要素の油圧サーボに、選択的に前記特定の作動圧調圧弁からの作動圧を供給してなる、
    請求項3記載の自動変速機の油圧制御装置。
  5. 前記第2摩擦係合要素は後進時に係合される摩擦係合要素であり、
    該第2摩擦係合要素の油圧サーボと前記元圧切換えバルブとの間に介在し、前進レンジ時には前記第2摩擦係合要素の油圧サーボへ前記特定の作動圧調圧弁からの作動圧が供給されるように切換え、後進レンジ時には前記第2摩擦係合要素の油圧サーボへ前記レンジ切換え弁から後進レンジ圧を直接供給するように切換える作動圧切換え弁を備えた、
    請求項4記載の自動変速機の油圧制御装置。
  6. 前記作動圧切換え弁を切換える信号圧を調圧すると共に、該信号圧の元圧として前記モジュレータ圧調圧弁で調圧されたモジュレータ圧を使用する制御弁を備えた、
    請求項5記載の自動変速機の油圧制御装置。
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