JP2011070116A - 反射防止フィルム製造用組成物、反射防止フィルム、反射防止フィルムの製造方法、偏光板、および液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】モスアイ型反射防止フィルムを製造するために用いられる反射防止フィルム製造用組成物であって、分子量が198〜214の範囲内であり、かつ2官能以上であるアクリル樹脂を含有することを特徴とする反射防止フィルム製造用組成物を提供することにより上記課題を解決する。
【選択図】図1
Description
しかしながら、このような複数層を用いる技術においても幾つかの問題点があった。まず第1に、反射防止効果に優れた複数層を形成するには、通常、真空蒸着法などを用いて成膜する必要があるため、表示装置を製造するに際して真空設備を備えることが必要となってしまうという問題点があった。また、真空蒸着法では、成膜時間も長時間になるのが一般的であったことから製造効率の問題も指摘されていた。特に周囲光が非常に強い環境で使用されるディスプレイに対しては高い反射防止性能が要請されるため、複数層を構成する層数を増加させる必要があり、製造コストが著しく高くなってしまうという問題点があった。
第2に、技術的観点からしても複数層による反射防止技術は光の干渉現象を利用するものであるため、反射防止効果が光の入射角や波長に大きく影響してしまい、望みどおりの反射防止効果を得ることが困難であるという問題点があった。
なお、上記モスアイ構造に用いられる凹凸パターンとしては、円錐形や四角錐形などの錐形体が一般的である。
このため、本発明によれば簡易な工程で製造可能な反射防止フィルムを得ることができる。
以下、これらの各発明について順に説明する。
まず、本発明の反射防止フィルム製造用組成物について説明する。上述したように本発明の反射防止フィルム製造用組成物は、モスアイ型反射防止フィルムを製造するために用いられる反射防止フィルム製造用組成物であって、分子量が198〜214の範囲内であり、かつ2官能以上であるアクリル樹脂を含有することを特徴とするものである。
ここで、モスアイ型反射防止フィルムは、通常、少なくとも表面にモスアイ構造が賦型された反射防止層と、当該反射防止層を支持する光透過性基板を有するものであるが、本発明の反射防止フィルム製造用組成物は、上記反射防止層を製造するために用いられるものである。
以下、このような本発明の反射防止フィルム製造用組成物について詳細に説明する。
まず、本発明に用いられるアクリル樹脂について説明する。本発明に用いられるアクリル樹脂は、分子量が198〜214の範囲内であり、かつ2官能以上であるものである。本発明の反射防止フィルム製造用組成物はこのようなアクリル樹脂が含有されることにより、粘着層等を介することなく光透過性基板と直接接着させることが可能な反射防止層を形成することができるのである。
ここで、本発明においてアクリル樹脂の分子量を上記範囲内とするのは、分子量が197以下であるアクリル樹脂を用いると、光透過性基板の表面に存在する微細な凹凸形状に対して、微細な凹凸形状よりもアクリル樹脂が小さいため、アクリル樹脂と凹凸形状との物理的な接触が起こり難くなり、強固に接着することができないからである。一方、分子量が215以上、特に226以上であるアクリル樹脂を用いると、光透過性基板の表面に存在する微細な凹凸形状よりもアクリル樹脂が大きいため、凹凸形状の中へ入ることができず、接着することができないためである。
なお、本発明の反射防止フィルム製造用組成物においては、アクリル樹脂が重合前のモノマーの状態で含まれることになる。
100℃であることがさらに好ましい。上述したように、本発明の反射防止フィルム製造用組成物はモスアイ型反射防止フィルムの反射防止層を製造するために用いられるものであるところ、上記アクリル樹脂のTgが上記範囲内であるアクリル樹脂を用いると、Tgが製造工程での室温よりも大幅に高くなるため、反射防止フィルム製造用金型から反射防止フィルムを離型する際に、硬化した組成物が適度に硬化した状態で、部分的な組成物が残ることなく、反射防止フィルム製造用金型から反射防止フィルムを離型することができるからである。一方、Tgが45℃未満であるアクリル樹脂を用いると、Tgが製造工程での室温により近くなるため、反射防止フィルム製造用金型から反射防止フィルムを離型する際に、硬化した組成物が軟化した状態で剥離され、部分的な組成物の剥離不良が発生する場合があるからである。
なお、本発明における上記Tgは、試験片を室温から5℃/分の割合で昇温させ、示差走査熱量計(DSC)にて発熱量を測定してグラフを作成した後、作成した吸熱曲線(発熱曲線)に2本の延長線を引き、延長線間の1/2直線と吸熱曲線の交点によって算出された値を指すものとする。
上述したように、本発明の反射防止フィルム製造用組成物は上述した特性を有するアクリル樹脂を含有するものであるが、必要に応じて他の任意の成分を含むものであってもよい。本発明に用いられる他の任意の成分としては、例えば、上記アクリル樹脂以外の樹脂成分、重合開始剤、スリップ剤、酸化防止剤、光安定化剤、紫外線吸収剤等を挙げることができる。
ここで、上記重合開始剤としては、例えば、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン及び2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等の分子開裂型や、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド等の水素引き抜き型の光重合開始剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、上記スリップ剤としては、疎水基がパーフルオロカーボンチェインをもつ界面活性剤を用いることができ、例えば、フルオロアルキルカルボン酸、N−パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−(フルオロアルキルオキシ)−1−アルキルスルホン酸ナトリウム、3−(ω−フルオロアルカノイル−N−エチルアミノ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、N−(3−パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベタイン、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキルスルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル−N−エチルスルホニルグリシン塩、リン酸ビス(N−パーフルオロオクチルスルホニル−N−エチルアミノエチル)等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、上記酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール誘導体、チオプロピオン酸誘導体、ホスファイト誘導体等を挙げることができ、具体的には、4,4’−チオビス(6−tert−3−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン、ジ−オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルホスフェート等が挙げられるが、これらに限定されない。
光安定化剤としては、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体、ヒンダードアミン系光安定剤等を挙げられるが、これらに限定されない。
さらに、上記紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートモノプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレート、オリゴエステルテトラ(メタ)アクリレート等のエステル(メタ)アクリレート化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。ここで、挙げた「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」または「メタクリル」を意味している。
本発明に用いられる反射防止フィルム製造用組成物は、モスアイ型反射防止フィルムを製造するために用いられるものである。より具体的には、表面にモスアイ構造が賦型された反射防止層と、当該反射防止層を支持する光透過性基板とを有する反射防止フィルムを製造する際に上記反射防止層を形成するために用いられるものである。上記光透過性基板としては、特に限定されるものではないが樹脂材料からなる樹脂性フィルムが好適に用いられる。光透過性基板として樹脂性フィルムが用いられることにより、本発明の反射防止フィルム製造用組成物を用いて、光透過性基板と反射防止層とがより強固に接着した反射防止フィルムを製造することができるからである。
次に、本発明の反射防止フィルムについて説明する。上述したように本発明の反射防止フィルムは、光透過性基板と、上記光透過性基板上に直接形成され、硬化性樹脂材料からなり、かつ表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された凹凸形状を有する反射防止層とを有するものであって、上記硬化性樹脂材料が分子量198〜214の範囲内であり、かつ2官能以上であるアクリル樹脂を含有することを特徴とするものである。
このような例において、本発明の反射防止フィルム10は、上記硬化性樹脂材料が分子量198〜214の範囲内であり、かつ2官能以上であるアクリル樹脂を含有することを特徴とするものである。
なお、本発明において上記アクリル樹脂は、重合された状態で上記反射防止層中に存在することになる。
以下、本発明に用いられる各構成について順に説明する。
まず、本発明に用いられる反射防止層について説明する。本発明に用いられる反射防止層は、後述する光透過性基板上に形成され、表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された凹凸形状を有するものであり、分子量が198〜214の範囲内であり、かつ2官能以上であるアクリル樹脂が含まれるものである。本発明における反射防止層はこのようなアクリル樹脂が含有されることにより、粘着層等を介さなくても上記光透過性基板との接着性に優れたものになる。
なお、錐形の構造物が形成された周期、高さ、および間隔は、それぞれ図3におけるP、Q、およびRで表される距離を指すものである。
なお、上記周期の凹凸形状はすべて規則性があるのではなく、単位面積におけるピッチの平均値を指すものとする。
なお、本発明における上記間隔はすべての構造物において均一ではない場合があるが、その場合における上記距離は、単位面積あたりに形成された構造物間の間隔の平均距離を指すものとする。
次に、本発明に用いられる光透過性基板について説明する。本発明に用いられる光透過性基板は上述した反射防止層を支持するものであり、上記反射防止層と相まって本発明の反射防止フィルムに所望の反射防止機能を付与するものである。
ここで、上記光透過率は、例えば株式会社日立ハイテクノロジーズ製分光光度計、U−4100により測定することができる。
なお、本発明に用いられる光透過性基板の屈折率の値は、上述した硬化性樹脂の屈折率との関係において決定されるものであるから特に好ましい値はないが、通常1.30〜1.70の範囲内とされる。
本発明の反射防止フィルムは、少なくとも上記反射防止層と上記光透過性基板とを有するものであるが、必要に応じて他の任意の構成が用いられていてもよい。本発明に用いられる任意の構成は特に限定されるものではなく、本発明の反射防止フィルムの用途等に応じて所望の機能を付与することができる構成を適宜選択して用いることができる。なかでも本発明に好適に用いられる任意の構成としては、反射防止層の表面に形成される保護層や防汚層、帯電防止層を挙げることができる。
本発明の反射防止フィルムは、上記「A.反射防止フィルム製造用組成物」の項において説明した、本発明の反射防止フィルム製造用組成物を用いることにより、モスアイ型反射防止フィルムの製造方法として公知の方法を用いて製造することができる。このような製造方法としては、例えば、後述する「C.反射防止フィルムの製造方法」の項において説明する製造方法を挙げることができる。
次に、本発明の反射防止フィルムの製造方法について説明する。上述したように本発明の反射防止フィルムの製造方法は、光透過性基板を用い、分子量が198〜214の範囲内であり、かつ2官能以上であるアクリル樹脂を含有する反射防止フィルム製造用組成物からなる反射防止層を、上記光透過性基板上に直接形成する反射防止層形成工程と、反射防止フィルム製造用金型を用い上記反射防止層の表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された凹凸形状を賦型する賦型工程と、上記反射防止フィルム製造用金型を上記反射防止層から剥離する金型剥離工程とを有することを特徴とするものである。
このような例において、本発明の反射防止フィルムの製造方法は、上記反射防止層形成工程に用いられる反射防止フィルム製造用組成物として、分子量が198〜214の範囲内であり、かつ2官能以上であるアクリル樹脂を含有する反射防止フィルム製造用組成物が用いられることを特徴とするものである。
このため、本発明によれば簡易な工程で反射防止フィルムを製造することができる。
以下、本発明に用いられる各工程について順に説明する。
まず、本発明に用いられる反射防止層形成工程について説明する。本工程は、光透過性基板を用い、分子量が198〜214の範囲内であり、かつ2官能以上であるアクリル樹脂を含有する反射防止フィルム製造用組成物からなる反射防止層を、上記光透過性基板上に直接形成する工程である。
次に、本発明に用いられる賦型工程について説明する。本工程は、反射防止フィルム製造用金型を用い上記反射防止層の表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された凹凸形状を賦型する工程である。
次に、本発明における金型剥離工程について説明する。本工程は、上記反射防止フィルム製造用金型を上記反射防止層から剥離する工程である。本工程において上記反射防止フィルム製造用金型を上記反射防止層から剥離する方法は特に限定されるものではなく、単純に上記反射防止層の表面から上記反射防止フィルム製造用金型を剥離すればよい。本工程において反射防止フィルム製造用金型を剥離することにより、光透過性基板上に反射防止層が直接形成された反射防止フィルムを得ることができる。
次に、本発明の偏光板について説明する。上述したように本発明の偏光板は、偏光子と、上記偏光子の少なくとも一方に貼り合わされた反射防止フィルムとを有するものであって、上記反射防止フィルムが、光透過性基板と、上記光透過性基板上に直接形成され、分子量が198〜214の範囲内であり、かつ2官能以上であるアクリル樹脂を含有する硬化性樹脂材料からなり、表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された凹凸形状を有する反射防止層と、を有するものであることを特徴とするものである。すなわち、本発明の偏光板は、上記反射防止フィルムが上記本発明に係る反射防止フィルムであることを特徴とするものである。
このような例において、本発明の偏光板20は、上記反射防止フィルム10として、上記本発明に係る反射防止フィルムが用いられていることを特徴とするものである。
なお、図5に例示するように本発明の偏光板20には、偏光板保護フィルム22が用いられることが好ましい。
以下、本発明に用いられる各構成について順に説明する。
本発明に用いられる反射防止フィルムは、上記本発明に係る反射防止フィルムである。すなわち、本発明に用いられる反射防止フィルムは、光透過性基板と、上記光透過性基板上に直接形成され、分子量が198〜214の範囲内であり、かつ2官能以上であるアクリル樹脂を含有する硬化性樹脂材料からなり、表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された凹凸形状を有する反射防止層とを有するものである。
ここで、本発明に用いられる反射防止フィルムについては、上記「B.反射防止フィルム」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
次に、本発明に用いられる偏光子について説明する。本発明に用いられる偏光子は、本発明の偏光板に所望の偏光特性を付与できるものであれば特に限定されるものではなく、一般的に液晶表示装置の偏光板に用いられる偏光子を特に制限なく用いることができる。このような偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコールからなるフィルムにヨウ素を含浸させ、これを一軸延伸することによってポリビニルアルコールとヨウ素との錯体を形成させたものを挙げることができる。
本発明の偏光板は、上記偏光子の少なくとも一面に反射防止フィルムが貼り合わされた構成を有するものである。したがって、本発明の偏光板としては偏光子の一方の面のみに反射防止フィルムが貼り合わされたものであってもよく、あるいは偏光子の両面に反射防止フィルムが貼り合わされたものであってもよい。
次に、本発明の液晶表示装置について説明する。上述したように本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、上記液晶セルの両側に偏光板が配置された構成を有する液晶表示装置であって、上記偏光板が偏光子と、上記偏光子の少なくとも一方に貼り合わされた反射防止フィルムとを有するものであり、上記反射防止フィルムが光透過性基板と、上記光透過性基板上に直接形成され、分子量が198〜214の範囲内であり、かつ2官能以上であるアクリル樹脂を含有する硬化性樹脂材料からなり、表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された凹凸形状を有する反射防止層と、を有するものであることを特徴とするものである。すなわち、本発明の液晶表示装置は、上記偏光板として、上記本発明に係る偏光板が用いられたことを特徴とするものである。
このような例において本発明の液晶表示装置30は、上記偏光板のうち少なくと一方(20)が、偏光子21と、上記偏光子21の少なくとも一方に貼り合わされた反射防止フィルム10とを有するものであり、上記反射防止フィルム10が光透過性基板1と、上記光透過性基板1上に直接形成され、分子量が198〜214の範囲内であり、かつ2官能以上であるアクリル樹脂を含有する硬化性樹脂材料からなり、表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された凹凸形状を有する反射防止層2とを有するものであることを特徴とするものである。
なお、以下において、部および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。
1リットルのガラス製容器にペンタエリスリトールトリアクリレート/HDIヌレート体(デスモジュールN3300 住化バイエルウレタン(株)製、「HDI」は、ヘキサメチレンジイソシアネートを示す。)15部、ポリエチレングリコールジアクリレート35部、1,4−ブタンジオールジアクリレート(官能基数:2、分子量:198、Tg:45℃、SR213サートマー社製)50部、光重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イルガキュア184,チバスペシャリティーケミカルス(株)製)5部、スリップ剤(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、メガファックF443,DIC(株)製)0.6部を入れ、ディスペーサーで撹拌し(温度50〜60℃、撹拌時間30分)、本発明の反射防止フィルム製造用組成物を得た。
実施例1において、ペンタエリスリトールトリアクリレート/HDIヌレート体(デスモジュールN3300 住化バイエルウレタン(株)製、「HDI」は、ヘキサメチレンジイソシアネートを示す。)の量を18部、ポリエチレングリコールジアクリレートの量を42部、1,4−ブタンジオールジアクリレート(官能基数:2、分子量:198、Tg:45℃、SR213サートマー社製)の量を40部に変更したこと以外は、実施例1と全く同様にしてガラス板成型フィルムと反射防止フィルムを作製した。得られたガラス板成型フィルムを碁盤目密着試験したところ、○を示し、90度剥離強度を測定したところ、密着力が強すぎるため、反射防止層をトリアセチルセルロースフィルムから剥離することはできず、測定不可であった。また、得られた反射防止フィルムを碁盤目密着試験したところ、△を示した。
実施例1において1,4ーブタンジオールジアクリレートに替えて、ジエチレングリコールジアクリレート(官能基数:2、分子量:214、Tg:100℃、SR230サートマー社製)を用いた以外は、実施例1と全く同様にしてガラス板成型フィルムと反射防止フィルムを作製した。得られたガラス板成型フィルムを碁盤目密着試験したところ、○を示し、90度剥離強度を測定したところ、密着力が強すぎるため、反射防止層をトリアセチルセルロースフィルムから剥離することはできず、測定不可であった。また、得られた反射防止フィルムを碁盤目密着試験したところ、○を示し、同一の反射防止フィルムを複数回作製すると、反射防止フィルム製造用金型表面に上記組成物は残存しなかったため、再剥離性は○を示した。
実施例2において、1,4ーブタンジオールジアクリレートに替えて、ジエチレングリコールジアクリレート(官能基数:2、分子量:214、Tg:100℃、SR230サートマー社製)を用いた以外は、実施例1と全く同様にしてガラス板成型フィルムと反射防止フィルムを作製した。得られたガラス板成型フィルムを碁盤目密着試験したところ、○を示し、90度剥離強度を測定したところ、密着力が強すぎるため、反射防止層をトリアセチルセルロースフィルムから剥離することはできず、測定不可であった。また、得られた反射防止フィルムを碁盤目密着試験したところ、△を示した。
実施例1において、1,4ーブタンジオールジアクリレートに替えて、1,3ブチレングリコールジアクリレート(官能基数:2、分子量:198、Tg:101℃、SR212サートマー社製)を用いた以外は、実施例1と全く同様にしてガラス板成型フィルムと反射防止フィルムを作製した。得られたガラス板成型フィルムを碁盤目密着試験したところ、○を示し、90度剥離強度を測定したところ、密着力が強すぎるため、反射防止層をトリアセチルセルロースフィルムから剥離することはできず、測定不可であった。また、得られた反射防止フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示した。
実施例1において、ペンタエリスリトールトリアクリレート/HDIヌレート体(デスモジュールN3300 住化バイエルウレタン(株)製、「HDI」は、ヘキサメチレンジイソシアネートを示す。)30部、ポリエチレングリコールジアクリレート70部を用いた以外は、実施例1と全く同様にしてガラス板成型フィルムと反射防止フィルムを作製した。
得られたガラス板成型フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示し、90度剥離強度を測定したところ、10.3N/mmを示した。また、得られた反射防止フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示した。
実施例1において1,4ーブタンジオールジアクリレートに替えて、イソボロニルアクリレート(官能基数:1、分子量:208、Tg:88℃、SR506サートマー社製)を用いた以外は、実施例1と全く同様にしてガラス板成型フィルムと反射防止フィルムを作製した。得られたガラス板成型フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示し、90度剥離強度を測定したところ、24.4N/mmを示した。また、得られた反射防止フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示した。
実施例1において1,4ーブタンジオールジアクリレートに替えて、ジプロピレングリコールジアクリレート(官能基数:2、分子量:242、Tg:103℃、SR508サートマー社製)を用いた以外は、実施例1と全く同様にしてガラス板成型フィルムと反射防止フィルムを作製した。得られたガラス板成型フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示し、90度剥離強度を測定したところ、密着力が強すぎるため、反射防止層をトリアセチルセルロースフィルムから剥離することはできず、測定不可であった。また、得られた反射防止フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示した。
実施例1において1,4ーブタンジオールジアリレートに替えて、1,6ヘキサンジオールジアクリレート(官能基数:2、分子量:226、Tg:43℃、SR238Fサートマー社製)を用いた以外は、実施例1と全く同様にしてガラス板成型フィルムと反射防止フィルムを作製した。得られたガラス板成型フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示し、90度剥離強度を測定したところ、密着力が強すぎるため、反射防止層をトリアセチルセルロースフィルムから剥離することはできず、測定不可であった。また、得られた反射防止フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示した。
実施例1において1,4ーブタンジオールジアリレートに替えて、テトラエチレングリコールジアクリレート(官能基数:2、分子量:302、Tg:23℃、SR268サートマー社製)を用いた以外は、実施例1と全く同様にしてガラス板成型フィルムと反射防止フィルムを作製した。得られたガラス板成型フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示し、90度剥離強度を測定したところ、密着力が強すぎるため、反射防止層をトリアセチルセルロースフィルムから剥離することはできず、測定不可であった。また、得られた反射防止フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示した。
実施例1において1,4ーブタンジオールジアリレートに替えて、ペンタエリスリトールトリアクリレート(官能基数:3、分子量:298、Tg:103℃、SR444サートマー社製)を用いた以外は、実施例1と全く同様にしてガラス板成型フィルムと反射防止フィルムを作製した。得られたガラス板成型フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示し、90度剥離強度を測定したところ、8.1N/mmを示した。得られた反射防止フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示した。
実施例1において1,4ーブタンジオールジアリレートに替えて、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(官能基数:4、分子量:352、Tg:103℃、SR295サートマー社製)を用いた以外は、実施例1と全く同様にしてガラス板成型フィルムと反射防止フィルムを作製した。得られたガラス板成型フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示し、90度剥離強度を測定したところ、7.0N/mmを示した。得られた反射防止フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示した。
実施例1において1,4ーブタンジオールジアリレートに替えて、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(官能基数:4、分子量:482、Tg:98℃、SR355サートマー社製)を用いた以外は、実施例1と全く同様にしてガラス板成型フィルムと反射防止フィルムを作製したが、反射防止フィルムを反射防止フィルム製造用金型から剥離する際に、反射防止層とトリアセチルセルロースフィルムの密着力が低く、反射防止フィルム製造用金型と反射防止層の密着力より弱いため、部分的に剥離することができず、×を示した。得られたガラス板成型フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示し、90度剥離強度を測定したところ、5.3N/mmを示した。また、得られた反射防止フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示した。
実施例1において、ペンタエリスリトールトリアクリレート/HDIヌレート体(デスモジュールN3300 住化バイエルウレタン(株)製、「HDI」は、ヘキサメチレンジイソシアネートを示す。)の量を27部、ポリエチレングリコールジアクリレートの量を63部、1,4−ブタンジオールジアクリレート(官能基数:2、分子量:198、Tg:45℃、SR213サートマー社製)の量を10部に変更した以外は、実施例1と全く同様にしてガラス板成型フィルムと反射防止フィルムを作製した。得られたガラス板成型フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示し、90度剥離強度を測定したところ、13.6N/mmを示した。得られた反射防止フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示した。
実施例3において、ペンタエリスリトールトリアクリレート/HDIヌレート体(デスモジュールN3300 住化バイエルウレタン(株)製、「HDI」は、ヘキサメチレンジイソシアネートを示す。)の量を27部、ポリエチレングリコールジアクリレートの量を63部、ジエチレングリコールジアクリレート(官能基数:2、分子量:214、Tg:100℃、SR230サートマー社製)の量を10部に変更した以外は、実施例1と全く同様にしてガラス板成型フィルムと反射防止フィルムを作製した。得られたガラス板成型フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示し、90度剥離強度を測定したところ、13.4N/mmを示した。得られた反射防止フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示した。
実施例5において、ペンタエリスリトールトリアクリレート/HDIヌレート体(デスモジュールN3300 住化バイエルウレタン(株)製、「HDI」は、ヘキサメチレンジイソシアネートを示す。)の量を27部、ポリエチレングリコールジアクリレートの量を63部、1,3ブチレングリコールジアクリレート(官能基数:2、分子量:198、Tg:101℃、SR212サートマー社製)の量を10部に変更した以外は、実施例1と全く同様にしてガラス板成型フィルムと反射防止フィルムを作製した。得られたガラス板成型フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示し、90度剥離強度を測定したところ、12.6N/mmを示した。得られた反射防止フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示した。
比較例2において、ペンタエリスリトールトリアクリレート/HDIヌレート体(デスモジュールN3300 住化バイエルウレタン(株)製、「HDI」は、ヘキサメチレンジイソシアネートを示す。)の量を27部、ポリエチレングリコールジアクリレートの量を63部、イソボロニルアクリレート(官能基数:1、分子量:208、Tg:88℃、SR506サートマー社製)の量を10部に変更した以外は、実施例1と全く同様にしてガラス板成型フィルムと反射防止フィルムを作製した。得られたガラス板成型フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示し、90度剥離強度を測定したところ、11.3N/mmを示した。また、得られた反射防止フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示した。
比較例3において、ペンタエリスリトールトリアクリレート/HDIヌレート体(デスモジュールN3300 住化バイエルウレタン(株)製、「HDI」は、ヘキサメチレンジイソシアネートを示す。)の量を27部、ポリエチレングリコールジアクリレートの量を63部、ジプロピレングリコールジアクリレート(官能基数:2、分子量:242、Tg:103℃、SR508サートマー社製)の量を10部に変更した以外は、実施例1と全く同様にしてガラス板成型フィルムと反射防止フィルムを作製した。得られたガラス板成型フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示し、90度剥離強度を測定したところ、12.1N/mmを示した。また、得られた反射防止フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示した。
比較例4において、ペンタエリスリトールトリアクリレート/HDIヌレート体(デスモジュールN3300 住化バイエルウレタン(株)製、「HDI」は、ヘキサメチレンジイソシアネートを示す。)の量を27部、ポリエチレングリコールジアクリレートの量を63部、1,6ヘキサンジオールジアクリレート(官能基数:2、分子量:226、Tg:43℃、SR238Fサートマー社製)の量を10部に変更した以外は、実施例1と全く同様にしてガラス板成型フィルムと反射防止フィルムを作製した。得られたガラス板成型フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示し、90度剥離強度を測定したところ、11.6N/mmを示した。また、得られた反射防止フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示した。
比較例5において、ペンタエリスリトールトリアクリレート/HDIヌレート体(デスモジュールN3300 住化バイエルウレタン(株)製、「HDI」は、ヘキサメチレンジイソシアネートを示す。)の量を27部、ポリエチレングリコールジアクリレートの量を63部、テトラエチレングリコールジアクリレート(官能基数:2、分子量:302、Tg:23℃、SR268サートマー社製)の量を10部に変更した以外は、実施例1と全く同様にしてガラス板成型フィルムと反射防止フィルムを作製した。得られたガラス板成型フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示し、90度剥離強度を測定したところ、11.7N/mmを示した。また、得られた反射防止フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示した。
比較例6において、ペンタエリスリトールトリアクリレート/HDIヌレート体(デスモジュールN3300 住化バイエルウレタン(株)製、「HDI」は、ヘキサメチレンジイソシアネートを示す。)の量を27部、ポリエチレングリコールジアクリレートの量を63部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(官能基数:3、分子量:298、Tg:103℃、SR444サートマー社製)の量を10部に変更した以外は、実施例1と全く同様にしてガラス板成型フィルムと反射防止フィルムを作製した。得られたガラス板成型フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示し、90度剥離強度を測定したところ、9.9N/mmを示した。また、得られた反射防止フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示した。
比較例7において、ペンタエリスリトールトリアクリレート/HDIヌレート体(デスモジュールN3300 住化バイエルウレタン(株)製、「HDI」は、ヘキサメチレンジイソシアネートを示す。)の量を27部、ポリエチレングリコールジアクリレートの量を63部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(官能基数:4、分子量:352、Tg:103℃、SR295サートマー社製)の量を10部に変更した以外は、実施例1と全く同様にしてガラス板成型フィルムと反射防止フィルムを作製した。得られたガラス板成型フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示し、90度剥離強度を測定したところ、9.3N/mmを示した。また、得られた反射防止フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示した。
比較例8において、ペンタエリスリトールトリアクリレート/HDIヌレート体(デスモジュールN3300 住化バイエルウレタン(株)製、「HDI」は、ヘキサメチレンジイソシアネートを示す。)の量を27部、ポリエチレングリコールジアクリレートの量を63部、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(官能基数:4、分子量:482、Tg:98℃、SR355サートマー社製)の量を10部に変更した以外は、実施例1と全く同様にしてガラス板成型フィルムと反射防止フィルムを作製した。得られたガラス板成型フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示し、90度剥離強度を測定したところ、9.2N/mmを示した。また、得られた反射防止フィルムを碁盤目密着試験したところ、×を示した。
上記実施例及び比較例における各評価は、次のような方法によって行った。
〈碁盤目密着試験〉
JIS K5600に準拠し、クロスカットCCJ−1(コーテック(株)製)を用い、組成物が硬化した面に碁盤目状の切り傷を入れ、1mm角の100マス作製する。ニチバン製工業用24mm幅のセロテープ(本明細書におけるセロテープは登録商標である。)を碁盤目の上に貼り、その上からヘラで往復10回擦って、密着させ150°方向に急速剥離を行ない、同様の動作を5回繰り返し、残った升目の数をカウントする。また、判定基準は以下とする。碁盤目の升目が1/4以上剥離した場合を1升剥離とカウントする。残った升目数が100/100であった場合を「○」とし、80〜99/100であった場合を「△」とし、80未満/100の場合を「×」と評価する。
〈90度剥離強度試験〉
JIS−C6481−1995に準拠して行った。トリアセチルセルロースフィルムへのガラス成型層の密着力は、成型側の面を台上に両面テープで固定し、トリアセチルセルロースフィルムを成型面に対して垂直になる方向に引張り、毎分約50mmの速さで連続的に約50mm剥がして、この間での荷重の最低値を引き剥がし強さとして、トリアセチルセルロースフィルムへのガラス成型層の密着力の評価に用いた。
〈離型性試験〉
硬化直後に,反射防止フィルム製造用金型からトリアセチルセルロースフィルムを剥離する際に,反射防止フィルム製造用金型上に組成物が残らなかった場合を「○」とし,組成物が全面に残った場合を「×」と評価する。
〈再離型性試験〉
硬化直後に、反射防止フィルム製造用金型からトリアセチルセルロースフィルムを剥離する工程を複数回繰り返す際に、反射防止フィルム製造用金型上に組成物が部分的に残る現象が観察されることがあるため、再度、反射防止フィルム製造用金型に上記組成物を吐工し、組成物を均一に広げ、硬化させ、剥離したときに部分的に残った組成物が剥離できた場合を「○」とし,剥離できなかった場合を「×」と評価する。
実施例及び比較例で得られたガラス板成型フィルム及び反射防止フィルムにおいて、碁盤目密着試験、90度剥離強度試験、離型性試験、再離型性試験の結果も合わせて表1、2に示す。
実施例1の反射防止フィルム製造用組成物を用いた反射防止フィルムの碁盤目密着試験を実施すると、残った升目数が100/100を示し、全く密着不良が観察されない状態を示した。官能基数が2で、分子量が198であるアクリル樹脂を用いたため、光透過性基板の微細な凹凸形状よりもアクリル樹脂が小さく、アクリル樹脂が凹凸形状の中へ入り、接着することができたため、反射防止フィルムの碁盤目密着試験において、我々が実用上目安にしている残った升目数が100/100以上を示した。
実施例2の反射防止フィルム製造用組成物を用いた反射防止フィルムの碁盤目密着試験を実施すると、残った升目数が80/100以上を示した。実施例1と同様のアクリル樹脂を用いたが、添加量が40重量部と低いため、光透過性基板と反射防止フィルム製造用組成物が良好な密着性が得られず、反射防止フィルムの碁盤目密着試験において、我々が実用上目安にしている残った升目数が100/100以下を示した。また、碁盤目密着試験を実施する際には、反射防止フィルムには微細な凹凸形状が存在し、セロテープの粘着剤が凹凸形状に入り込み、セロテープと凹凸形状がより強固に密着するため、セロテープと凹凸形状の密着が、光透過性基板と反射防止フィルム製造用組成物の密着よりも強固な密着を示した。
実施例3の反射防止フィルム製造用組成物を用いた反射防止フィルムの碁盤目密着試験を実施すると、残った升目数が100/100を示し、全く密着不良が観察されない状態を示した。官能基数が2で、分子量が214であるアクリル樹脂を用いたため、光透過性基板の微細な凹凸形状よりもアクリル樹脂が小さく、アクリル樹脂が凹凸形状の中へ入り、接着することができたため、反射防止フィルムの碁盤目密着試験において、我々が実用上目安にしている残った升目数が100/100以上を示した。
実施例4の反射防止フィルム製造用組成物を用いた反射防止フィルムの碁盤目密着試験を実施すると、残った升目数が80/100以上を示した。実施例3と同様のアクリル樹脂を用いたが、実施例2と同様に添加量が40重量部と低いため、光透過性基板と反射防止フィルム製造用組成物が良好な密着性が得られず、反射防止フィルムの碁盤目密着試験において、我々が実用上目安にしている残った升目数が100/100以下を示した。また、碁盤目密着試験を実施する際には、反射防止フィルムには微細な凹凸形状が存在し、セロテープの粘着剤が凹凸形状に入り込み、セロテープと凹凸形状がより強固に密着するため、セロテープと凹凸形状の密着が、光透過性基板と反射防止フィルム製造用組成物の密着よりも強固な密着を示した。
実施例5の反射防止フィルム製造用組成物を用いた反射防止フィルムの碁盤目密着試験を実施すると、残った升目数が80/100以下を示した。反射防止フィルムには微細な凹凸形状が存在し、セロテープの粘着剤が凹凸形状に入り込み、セロテープと凹凸形状がより強固に密着するため、セロテープと凹凸形状の密着が、光透過性基板と反射防止フィルム製造用組成物の密着よりも強固な密着を示した。
また、実施例1の反射防止フィルム製造用組成物を用いた反射防止フィルムの再離型性試験を実施すると、反射防止フィルム製造用金型の上に、部分的に残った組成物は剥離されなかった。組成物にはTgが45℃であるアクリル樹脂を用い、アクリル樹脂のTgが製造工程での室温により近くなるため、反射防止フィルムを離型する際に、硬化した組成物が軟化した状態で剥離され、部分的な組成物の剥離不良が発生する。
実施例3の反射防止フィルム製造用組成物を用いた反射防止フィルムの再離型試験を実施すると、反射防止フィルム製造用金型の上に、部分的に残った組成物は剥離された。組成物にはTgが100℃であるアクリル樹脂を用い、アクリル樹脂のTgが製造工程での室温よりも大幅に高くなるため、硬化した組成物が適度に硬化した状態で、部分的な組成物が残ることなく、金型から反射防止フィルムは離型される。
一方、比較例2の反射防止フィルム製造用組成物には、官能基数が1であるアクリル樹脂を用いたため、官能基数が少なく、アクリル樹脂のモノマーと光透過性基板の接着や、モノマー同士の接合が起こり難くなり、ガラス板成型フィルムの碁盤目密着試験において、我々が実用上目安にしている残った升目数が100/100以下を示した。
比較例3〜5の反射防止フィルム製造用組成物には、官能基数が2で、分子量が226〜302であるアクリル樹脂を用い、光透過性基板の微細な凹凸形状よりもアクリル樹脂が大きいため、アクリル樹脂が凹凸形状の中へ入ることができず、良好な密着性が得られなくなり、ガラス板成型フィルムの碁盤目密着試験において、我々が実用上目安にしている残った升目数が100/100以下を示した。
比較例6〜8の反射防止フィルム製造用組成物には、官能基数が3〜4で、分子量が298〜482あるアクリル樹脂を用い、光透過性基板の微細な凹凸形状よりもアクリル樹脂が大きいため、アクリル樹脂が凹凸形状の中へ入ることができず、良好な密着性が得られなくなり、ガラス板成型フィルムの碁盤目密着試験において、我々が実用上目安にしている残った升目数が100/100以下を示した。
実施例6〜8と比較例9〜15の反射防止フィルム製造用組成物を用いたガラス板成型フィルムの碁盤目密着試験を実施すると、残った升目数が80/100未満を示した。添加量が10重量部と低いため、光透過性基板と反射防止フィルム製造用組成物を強固に密着できず、ガラス板成型フィルムの碁盤目密着試験において、我々が実用上目安にしている残った升目数が100/100以下を示した。実施例6〜8の反射防止フィルム製造用組成物を用いたガラス板成型フィルムの90度剥離強度を測定したところ、12.6〜13.6N/mmを示し、比較例9〜15の反射防止フィルム製造用組成物を用いたガラス板成型フィルムの90度剥離強度を測定したところ、9.2〜12.1N/mmを示し、実施例6〜8のアクリル樹脂を用いると、添加量が低い領域においても、90度剥離強度の値が高くなった。
以上より、2官能以上であり、かつ分子量が198〜214の範囲内であるアクリル樹脂の添加量が少ない場合でも、反射防止フィルム製造用組成物を光透過性基板に直接形成し、両者を強固に密着することができることが確認できた。
2、2’ … 反射防止層
3 … 反射防止フィルム製造用金型
10 … 反射防止フィルム
20 … 偏光板
21 … 偏光子
22 … 偏光板保護フィルム
23 … 接着層
30 … 液晶表示装置
31 … 液晶セル
32 … 偏光板
Claims (8)
- モスアイ型反射防止フィルムを製造するために用いられる反射防止フィルム製造用組成物であって、
分子量が198〜214の範囲内であり、かつ2官能以上であるアクリル樹脂を含有することを特徴とする反射防止フィルム製造用組成物。 - 前記アクリル樹脂のTgが45〜101℃の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の反射防止フィルム製造用組成物。
- 全樹脂材料中の前記アクリル樹脂の含有量が40〜50質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の反射防止フィルム製造用組成物。
- 前記アクリル樹脂が1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、または1,3−ブチレングリコールジアクリレートであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の反射防止フィルム製造用組成物。
- 光透過性基板と、前記光透過性基板上に直接形成され、硬化性樹脂材料からなり、かつ表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された凹凸形状を有する反射防止層と、を有する反射防止フィルムであって、
前記硬化性樹脂材料が、分子量が198〜214の範囲内であり、かつ2官能以上であるアクリル樹脂を含有することを特徴とする反射防止フィルム。 - 光透過性基板を用い、分子量が198〜214の範囲内であり、かつ2官能以上であるアクリル樹脂を含有する反射防止フィルム製造用組成物からなる反射防止層を、前記光透過性基板上に直接形成する、反射防止層形成工程と、
反射防止フィルム製造用金型を用い、前記反射防止層の表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された凹凸形状を賦型する賦型工程と、
前記反射防止フィルム製造用金型を、前記反射防止層から剥離する金型剥離工程と
を有することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。 - 偏光子と、前記偏光子の少なくとも一方に貼り合わされた反射防止フィルムとを有する偏光板であって、
前記反射防止フィルムが、光透過性基板と、前記光透過性基板上に直接形成され、分子量が198〜214の範囲内であり、かつ2官能以上であるアクリル樹脂を含有する硬化性樹脂材料からなり、表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された凹凸形状を有する反射防止層と、を有するものであることを特徴とする、偏光板。 - 液晶セルと、前記液晶セルの両側に偏光板が配置された構成を有する液晶表示装置であって、
前記偏光板が、偏光子と、前記偏光子の少なくとも一方に貼り合わされた反射防止フィルムとを有するものであり、
前記反射防止フィルムが、光透過性基板と、前記光透過性基板上に直接形成され、分子量が198〜214の範囲内であり、かつ2官能以上であるアクリル樹脂を含有する硬化性樹脂材料からなり、表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された凹凸形状を有する反射防止層と、を有するものであることを特徴とする、液晶表示装置。
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