JP2011069446A - 車両用サスペンションのスプリングシート - Google Patents

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Abstract

【課題】車両用サスペンション装置を構成するコイルスプリングの押圧力を繰り返し受けても、コイルスプリング押圧面におけるめくれ上がりを阻止することができる車両用サスペンションのスプリングシートを提供する。
【解決手段】弾性部材により形成されて、車両用サスペンションを構成するコイルスプリング14と、コイルスプリング14が取り付けられるシートブラケット15との間に配置されたスプリングシート10の、コイルスプリング14の圧縮変形時にコイルスプリングのコイル端14aが密着するコイル端密着部13を、コイル端密着部13以外の弾性部材に比べ硬度が高い高硬度弾性部材により形成する。
【選択図】図2

Description

この発明は、車両用サスペンションのスプリングシートに関し、特に、車両用サスペンションを構成するコイルスプリングが取り付けられる取り付け部材に装着されて、コイルスプリングの受け座となる車両用サスペンションのスプリングシートに関する。
従来、車輪を支持するアーム部材、ショックアブソーバ、及びコイルスプリングからなる自動車のサスペンション装置において、コイルスプリングが取り付けられるスプリング取り付け部材とコイルスプリングの間に介装されて、スプリング取り付け部材にコイルスプリングを弾性連結させるスプリングシートが知られている。
このようなものとして、例えば、「車両懸架装置のスプリングシートラバー」(特許文献1参照)がある。この「車両懸架装置のスプリングシートラバー」は、アッパーシートブラケット凸部に嵌合する円筒部と、コイルスプリングとアッパーシートブラケット座面の間に挾持されるフランジ部とを有し、アッパーシートブラケット座面に当接する基端面が予めテーパ面に成形され、フランジ部の肉厚が外周側へ向かって徐々に薄肉となっている。
これにより、スプリングシートラバーがコイルスプリングの押圧力を繰り返し受けて変形し、ラバー外周部が浮き上がって外側へ押し出されるようになっても、ラバー外周部が浮き上がろうとする力が弱められるので、ラバー外周部が大きくめくれ上がってしまうのを防止することができる。よって、めくれ上がりによるスプリングシートラバーのスプリング取り付け部材とコイルスプリングの間からの抜け出しが抑えられる。
特開平10−184752号公報
しかしながら、従来の「車両懸架装置のスプリングシートラバー」(特許文献1参照)においては、スプリングシートラバーがコイルスプリングの押圧力を繰り返し受けることで、スプリングシートラバーに接しているコイルスプリングの切断端であるコイル端部がスプリングシートラバーに食い込み、スプリングシートラバーに亀裂を生じさせることがあった。そのため、コイルスプリングがスプリングシートラバーに潜り込んでしまい、最終的に、スプリングシートラバーが外へ押し出されるようになってめくれ上がってしまうことになる。
この発明の目的は、車両用サスペンション装置を構成するコイルスプリングの押圧力を繰り返し受けても、コイルスプリング押圧面におけるめくれ上がりを阻止することができる車両用サスペンションのスプリングシートを提供することである。
上記目的を達成するため、この発明に係る車両用サスペンションのスプリングシートは、弾性部材により形成されて、車両用サスペンションを構成するコイルスプリングと、前記コイルスプリングが取り付けられるスプリング取り付け部材との間に配置されており、前記コイルスプリングの圧縮変形時に前記コイルスプリングのコイル端が密着するコイル端密着部を、コイル端密着部以外の弾性部材に比べ硬度が高い高硬度弾性部材により形成している。
また、この発明の他の態様に係る車両用サスペンションのスプリングシートは、前記高硬度弾性部材を、JIS−A硬度が60以上で80以下の高硬度ゴムとしている。
この発明に係る車両用サスペンションのスプリングシートによれば、車両用サスペンション装置を構成するコイルスプリングの圧縮変形時にコイルスプリングのコイル端が密着するコイル端密着部は、コイル端密着部以外の弾性部材に比べて硬度が高い高硬度弾性部材により形成されているので、スプリングシートがコイルスプリングの押圧力を繰り返し受けても、コイル端部が食い込むのを防いで亀裂を生じさせず、コイルスプリング押圧面におけるめくれ上がりを阻止することができる。
また、上記車両用サスペンションのスプリングシートにおいて、高硬度弾性部材を、JIS−A硬度が60以上で80以下の高硬度ゴムとしているので、スプリングシートがコイルスプリングの押圧力を繰り返し受けても、コイル端部が食い込むのを確実に防いで亀裂を生じさせず、コイルスプリング押圧面におけるめくれ上がりを阻止することができる。
この発明の一実施の形態に係る車両用サスペンションのスプリングシートを示す受け座面側の斜視図である。 図1のスプリングシートをブラケットとコイルスプリングの間に装着した状態を示し、(a)はコイルスプリング側の平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
以下、この発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施の形態に係る車両用サスペンションのスプリングシートを示す受け座面側の斜視図である。図2は、図1のスプリングシートをブラケットとコイルスプリングの間に装着した状態を示し、(a)はコイルスプリング側の平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
図1及び図2に示すように、車両用サスペンションのスプリングシート10は、例えば、天然ゴム(Natural Rubber:NR)等の弾性部材により、断面が矩形状の肉厚円環(リング)形状に形成されており、一方の円環状端面を受け座面(スプリング接触面)11とし、他方の円環状端面をブラケット接触面(取り付け部材接触面)12としており、高硬度弾性部材により形成されたコイル端密着部13を有している。
このスプリングシート10が用いられる車両用サスペンションは、例えば、車輪を支持するアーム部材(図示しない)を、車体側部材に対し所定の揺動中心軸周りに揺動可能に取り付け、揺動端側をショックアブソーバ(図示しない)とコイルスプリング14(図2参照)を介して車体側と連結した構成を有しており、コイルスプリング14は、ショックアブソーバとは異なる位置に独立して配置されている。
コイルスプリング14は、一端(例えば上端)側が、弾性部材からなるアッパーシート、即ち、スプリングシート10を介して車体側部材のシートブラケット(スプリング取り付け部材)15に取り付けられ(図2参照)、他端(例えば下端)側が、図示しない弾性部材からなるロアシートを介して車輪側支持部材に取り付けられることにより、車体側部材と車輪側支持部材との間に組み込まれている。
シートブラケット15は、例えば、比較的厚肉の金属板をプレス成形により下向き略鍔付き帽子(ハット)状に形成されて、円錐台形状の凸部15aの周囲に鍔(フランジ)状のシート座面15bを有しており(図2参照)、ボルト・ナット或いは溶接等によって車体パネルに固定されている。
このシートブラケット15には、スプリングシート10が、その円筒状空間10a(図1参照)に凸部15aを嵌合状態に入り込ませた状態で位置決め固定され(図2参照)、シートブラケット15に位置決め固定されたスプリングシート10には、凸部15aを嵌合させたスプリングシート10端部をコイル内部空間に入り込ませた状態でコイルスプリング14が位置決め固定される(図2参照)。
つまり、スプリングシート10は、コイルスプリング14と、コイルスプリング14が取り付けられるシートブラケット15との間に配置されて、コイルスプリング14のシートブラケット15への取り付けを介在しており、受け座面11は、コイルスプリング14の一端(例えば上端)面形状に対応する平面視円環状に形成されて、コイルスプリング14の圧縮変形時、コイルスプリング14の一端面を受け止め、ブラケット接触面12でシートブラケット15のシート座面15bに接触している。
受け座面11の内周側には、円筒状空間10aを形成すると共にコイルスプリング14のコイル内部空間へ入り込ませることができる筒状壁部16が突設されている。筒状壁部16には、筒状壁部16と一体的に、受け座面11上に縦壁面16aを形成する縦壁部16b、及び円筒状空間10aに沿って突出する複数(ここでは3個)の案内突部16cが形成されている。そして、筒状壁部16と共に案内突部16cをコイルスプリング14のコイル内部空間に入り込ませ、縦壁面16aにコイルスプリング14の切断端面部であるコイル端14aを係止させることにより、コイルスプリング14は、スプリングシート10の受け座面11に接触した状態で位置決め固定される。
ブラケット接触面12は、シートブラケット15のシート座面15bに接触する平坦面からなる平面視円環状に形成されており、コイルスプリング14の圧縮変形時、コイルスプリング14からの押圧力により、シート座面15bに密着する(図2参照)。
そして、スプリングシート10の受け座面11に接触した状態で位置決め固定されるコイルスプリング14の圧縮変形時に、コイルスプリング14のコイル端14aが密着する、受け座面11のコイル端密着部13は、コイル端密着部13以外を形成する弾性ゴム(弾性部材)に比べ硬度が高い高硬度弾性ゴム(高硬度弾性部材)により形成されている(図1,2参照)。
このコイル端密着部13は、コイルスプリング14の圧縮変形時、縦壁面16aにコイル端14aが当接して位置決め固定されるコイルスプリング14からの押圧力が最も強く付加される押圧力付加領域、即ち、スプリングシート10の、少なくとも、コイルスプリング14からの押圧力を受けて受け座面11にコイルスプリング14が押圧状態に密着する部分である。なお、コイル端密着部13を、スプリングシート10の、受け座面11部分に加えて縦壁面16a及び縦壁部16bと共に筒状壁部16を含む部分としても良い(図1,2参照)。
コイル端密着部13を高硬度弾性ゴムにより形成したことで、コイルスプリング14の圧縮変形時にコイルスプリング14からの押圧力を受けるコイルスプリング押圧部分であるコイル端密着部13は、コイルスプリング14からの押圧力を受けても押圧力に抗してコイルスプリング14の食い込みを防ぐことができる十分な硬さを有することになる。よって、コイルスプリング14の圧縮変形時、受け座面11を押圧する状態になっても、受け座面11に亀裂が生じてしまうのを防止することができるので、コイル端14aが受け座面11内部へ入り込んでコイルスプリング14がスプリングシート10内に潜り込むのを防止することができる。
このコイル端密着部13は、例えば、二種類の特性の異なったゴムを加硫する二色成形により形成することができる。一例として、コイル端密着部13は、JIS−A硬度が60以上で80以下、望ましくは70以上の高硬度ゴムにより形成し、コイル端密着部13以外は、JIS−A硬度が40以上で60未満の、高硬度ゴムより硬度が低いゴムにより形成する。
なお、硬度を高めた高硬度ゴムにより形成するのは、コイルスプリング14の圧縮変形時に押圧力が付加されて最もめくれ易い押圧力付加相当領域となる、受け座面11のコイル端14a接触位置を含むコイル端密着部13のみで良い。
このように、スプリングシート10の受け座面11のコイル端密着部13を、コイル端密着部13以外を形成する弾性ゴムの硬度よりも高い硬度の高硬度弾性ゴムにより形成したので、コイルスプリング14の圧縮変形時に、コイル端14aが受け座面11内部へ食い込んで受け座面11に亀裂が発生するのを防ぐことができる。受け座面11に亀裂が発生するのを防ぐことで、コイルスプリング14がスプリングシート10内部へ潜り込むのを防止することができる。
この結果、スプリングシート10の受け座面11が、車両用サスペンション装置を構成するコイルスプリング14の押圧力を繰り返し受けても、スプリングシート10が、シートブラケット15とコイルスプリング14の間から抜け出して外側へと押し出されるようにめくれ上がるのを阻止することができる。
また、高硬度ゴムを使用するのは、スプリングシート10の一部分(コイル端密着部13)であり、スプリングシート10のコイル端密着部13以外の部分は、コイル端密着部13を形成する高硬度ゴムより硬度が低い、軟らかいゴムにより形成することができる。このため、動的バネ定数を下げることができるので、スプリングシート10全体を高硬度ゴムにより形成した場合に動的バネ定数が上がって発生する音や振動が増大してしまうのを、防ぐことができる。
10 車両用サスペンションのスプリングシート
10a 円筒状空間
11 受け座面
12 ブラケット接触面
13 コイル端密着部
14 コイルスプリング
14a コイル端
15 シートブラケット
15a 凸部
15b シート座面
16 筒状壁部
16a 縦壁面
16b 縦壁部
16c 案内突部

Claims (2)

  1. 車両用サスペンションを構成するコイルスプリングと、前記コイルスプリングが取り付けられるスプリング取り付け部材との間に配置される、弾性部材により形成された車両用サスペンションのスプリングシートにおいて、
    前記コイルスプリングの圧縮変形時に前記コイルスプリングのコイル端が密着するコイル端密着部を、コイル端密着部以外の弾性部材に比べ硬度が高い高硬度弾性部材により形成したことを特徴とする車両用サスペンションのスプリングシート。
  2. 前記高硬度弾性部材は、JIS−A硬度が60以上で80以下の高硬度ゴムであることを特徴とする請求項1に記載の車両用サスペンションのスプリングシート。
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