JP4108942B2 - シートスプリングラバー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両懸架装置におけるコイルスプリングを支持するシートスプリングラバーに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両の懸架装置は、ショックアブソーバーとコイルスプリングとを組み合わせた構成が多く使用され、コイルスプリングの上端が車体側の支持部材に下端が車輪側の支持部材に支持され、このコイルスプリングの端部と車体側もしくは車輪側支持部材との間には、振動や騒音の伝達遮断を図るためのシートスプリングラバーが挟持されている。
【0003】
前記シートスプリングラバー50は、図6,7に示すように、車体側の支持部材であるシートブラケット55に設けられた凸部55aに嵌合する円筒部51と、前記円筒部51に続いて外周側へ延びたフランジ部53とが、所望のばね定数を有するゴム部材により一体に成形されたものである。
【0004】
上記円筒部51はコイルスプリング8の端部内周と嵌合し、互いの緩衝が防止されるとともに位置決めされ、フランジ部53がコイルスプリング8の上端部とシートブラケット55の座面55bとの間に挟持され、路面から受ける振動騒音の車体側への伝達が遮断されるようになっている。
【0005】
上記のシートスプリングラバー50においては、フランジ部53がコイルスプリング8により押圧されると、コイルスプリング8の端部が沈み込み、これに伴ってフランジ部53がコイルスプリングの端部を包み込むように変形し、フランジ外周部53aの側がシートブラケット55の前記座面55bからめくれ上がって逃げる現象が生じる。特に、車体の振動によって前記フランジ部53がコイルスプリング8により繰り返し強く押圧されるために、フランジ外周部53aがますますめくれ上がり、フランジ部53がコイルスプリング8により矢符S方向に徐々に押し出されていく。また、これに伴って、円筒部51もフランジ部53に引っ張られて徐々に沈み込むように変形し、一部ではコイルスプリング8の内周や端部から外れることになる。
【0006】
したがって、前記の変形が進行すると、コイルスプリング8がシートブラケット55の座面55bや凸部55aに接近または接触し、所期のばね定数が維持できなくなり車両の振動騒音特性が悪化したり、接触による異音を発生し、まためくれ上がったフランジ端部53aが干渉し騒音の原因となる問題がある。
【0007】
この変形発生を改善するものとして、硬度の高いゴム部材を用いることも試みられているが、ばね定数が上昇し振動騒音性能が満足できず、変形を抑える効果も充分でないのが実状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決するものであり、コイルスプリングの繰り返し押圧による変形を抑え、フランジ部のめくれ上がりを防ぎ、所期のばね定数を維持して優れた振動騒音性能を長期にわたり発揮することのできる、シートスプリングラバーを提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、車両懸架装置の車体側もしくは車輪側に設けられた支持部材に形成された凸部に嵌合し、かつコイルスプリング内周に沿って挿入される円筒部と、前記円筒部に続いて外周側へ延びて形成され、前記支持部材の座面とコイルスプリングの軸方向端部との間に挟持される該コイルスプリング外径より径大のフランジ部と、を備え、ゴムで一体に成形された全体として円環状をなし、前記支持部材の座面に当接するフランジ部に複数の凹溝が放射状に形成され、かつ前記円筒部の先端部分が前記支持部材の凸部より突出するように形成されたシートスプリングラバーにおいて、前記円筒部には、該円筒部の先端部分を含むゴム中に、前記支持部材の凸部に沿い、かつ前記コイルスプリングの内方側にあって、前記コイルスプリングの軸方向に長辺を有する断面長方形をなす円筒状の円環状金具が埋設されてなることを特徴とするシートスプリングラバーである。
【0010】
本発明によれば、シートスプリングラバーは円筒部に支持部材の凸部に沿って円環状金具が埋設されているので、コイルスプリング内周に隣接する円筒部の変形が抑制される。そのため、コイルスプリングによる押圧作用を繰り返し受けても、円筒部は前記円環状金具乃変形抑制により所定の形状を保ち、これによりフランジ部が外周側へ過度に押し出されるのを防止でき、シートスプリングラバーがコイルスプリングの内周から外れるおそれがない。しかも、前記円環状金具は円筒部にのみ埋設されているので、コイルスプリングの端部とシートブラケットの座面との間に挟まれるフランジ部では、従来と同じばね定数を確保できる。
【0011】
また、前記円環状金具が円筒状をなすものであると、シートスプリングラバーの円筒部の剛性や保形性をより高くすることができ、円筒部の沈み込みを防ぐ効果がより向上し、ひいてはフランジ部の変形を防ぎ、フランジ端部のめくれ上がり変形が防止される。
【0012】
さらに、前記金具の一端部が前記円筒部端部より露出して埋設することができ、これにより金具の円筒部内での位置決めが正確かつ容易となり、シートスプリングラバーの振動騒音性能を向上し、埋設位置のずれによる不具合を防止することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明によるシートスプリングラバーの好ましい実施形態を、コイルスプリングの上端を車体側において支持するアッパーシートスプリングラバーの実施例を図面に基づき説明する。
【0014】
図1及び図2は、第1の実施形態のシートスプリングラバー10を示し、図3は、このシートスプリングラバー10を車体側の支持部材であるシートブラケット7とコイルスプリング8の上端との間に挟持した状態を示したものである。
【0015】
前記シートブラケット7は、金属板を円環状にプレス成形したものの中央部に円錐台形状をなす凸部7aが形成され、ボルト9により車体に固定されている。
【0016】
このシートブラケット7の下面に装着されるシートスプリングラバー10は、全体として円環状をなすものであり、前記シートブラケット7の凸部7aに嵌合し、かつコイルスプリング8の内周に沿って挿入される円筒部2と、前記円筒部2に続いて外周側へ延びて形成され、前記シートブラケット7の座面7bとコイルスプリング8の軸方向端部の上端部との間に挟持されるスプリング外径よりやや径大のフランジ部3とを有してなり、所望のばね定数を有するゴムで一体に成形されている。また、ばね定数を調整するため、フランジ部3には複数の凹溝5が放射状に形成されている。
【0017】
前記円筒部2はシートブラケット7の凸部7aの下端とコイルスプリング8との接触を防ぐため、その先端部分2aが前記凸部7aより突出するように形成され、前記円筒部2には、その先端部分2aを含むゴム中に円環状金具4が埋設されている。この実施例では、前記円環状金具4として、比較的短い円筒状の金具が使用されている。
【0018】
上記のように構成されたシートスプリングラバー10は、図3に示すように、シートブラケット7とコイルスプリング8との間に挟持され装着されて使用されるが、この使用状態において、コイルスプリング8の端部によりフランジ部3が上方へ強く押圧されると、スプリング8の端部がフランジ部3にやや沈み込んだ状態になる。そして、車体の振動等によって前記フランジ部3がコイルスプリング8により繰り返し強く押圧されることにより、フランジ外周部3aがめくれ上がって外方へ押し出されるようとする。
【0019】
ところが、円筒部2のゴム中には円環状金具4が埋設されてているため、該円筒部2の剛性や保形性が高められて変形が抑制され、これによってこの円筒部2に続くフランジ部3の外方への過度の変形も防止される。
【0020】
また、コイルスプリング8の押圧作用を直接受けるフランジ部3のゴム剛性は従来と同様に維持され、所望ののばね定数を保っているので、シートスプリングラバー10による振動騒音性能に影響を与えることはない。
【0021】
従って、前記円環状金具4の埋設により、同一ゴム材料を用いながら、円筒部2においては前記円環状金具4による補強効果でシートスプリングラバー10の変形を抑えて原形を保ち、フランジ部3においては所望のばね定数を維持することにより、振動騒音性能を維持することができる。しかも、フランジ端部3aのシートブラケット座面7bからのめくれ上がりを防止することができるので、フランジ端部3aの干渉による騒音の発生も抑えることができる。
【0022】
前記の円環状金具4としては、シートスプリングラバー10の円筒部2を補強でき、シートスプリングラバーの変形を抑えることのできる形状であれば、種々の形態による実施が可能である。例えば、図5に示す実施形態のように、所要径の線材を円環状に形成した金具を埋設して実施することも可能であるが、実施上は、上記した例のように、円筒状の金具を埋設使用するのが好ましい。すなわち、円筒状の金具を使用した場合、シートスプリングラバー10の円筒部2の保形性をより高くすることができ、フランジ部3につられて円筒部2が沈み込むように変形するのを効果的に防止でき、ひいてはフランジ部3の変形、外周部3bのめくれ上がりを防止する効果がより向上する。この場合の円環状金具4の厚みや高さ等は適宜選択し設計することができる。
【0023】
また、前記円環状金具4は、図4や図5のように、ゴム中に完全に埋設しておくこともできるが、図1〜図3の実施例のように、円環状金具4の一端部4aを円筒部2の下端部より露出させて埋設したり、一部に下方に露出する突起部を形成して埋設することができる。
【0024】
これにより、円環状金具4の円筒部2内での上下、左右の位置決めが正確かつ容易となり、該金具4が傾斜して埋設されるなどの不都合も防止することができ、シートスプリングラバーの所期の振動騒音性能を発揮することができる。
【0025】
さらに、金具の埋設位置のずれに起因するゴム材料の発熱、クラック発生などの不具合を防止することができ、シートスプリングラバーの耐久性を向上することができる。
【0026】
なお、上記実施形態では、コイルスプリング上部の車体側シートスプリングラバーについて説明したが、本発明はコイルスプリング下部の車輪側シートスプリングラバーにおいても、もちろん適用することができる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によるシートスプリングラバーによれば、シートスプリングラバー円筒部に円環状金具を埋設することにより、コイルスプリングの繰り返し押圧によるシートスプリングラバーの変形及びフランジ端部の外方へのめくれ上がり、ひいては円筒部の沈め込みや外れを防止することができ、所期の振動騒音性能を発揮し維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態のシートスプリングラバー断面図(図2のA−A線断面)である。
【図2】図1のシートスプリングラバーの平面図である。
【図3】図1のシートスプリングラバーをシートブラケットとコイルスプリングとの間に装着した断面図である。
【図4】第2の実施形態のシートスプリングラバー断面図である。
【図5】第3の実施形態のシートスプリングラバー断面図である。
【図6】従来例のシートスプリングラバー断面図である。
【図7】従来例のシートスプリングラバーをシートブラケットとコイルスプリングとの間に装着した断面図である。
【符号の説明】
10……シートスプリングラバー
2……円筒部
3……フランジ部
3a……フランジ端部
4……円環状金具
7……シートブラケット
7a……シートブラケットの凸部
7b……シートブラケットの座面
8……コイルスプリング
Claims (2)
- 車両懸架装置の車体側もしくは車輪側に設けられた支持部材に形成された凸部に嵌合し、かつコイルスプリング内周に沿って挿入される円筒部と、前記円筒部に続いて外周側へ延びて形成され、前記支持部材の座面とコイルスプリングの軸方向端部との間に挟持される該コイルスプリング外径より径大のフランジ部と、を備え、ゴムで一体に成形された全体として円環状をなし、前記支持部材の座面に当接するフランジ部に複数の凹溝が放射状に形成され、かつ前記円筒部の先端部分が前記支持部材の凸部より突出するように形成されたシートスプリングラバーにおいて、
前記円筒部には、該円筒部の先端部分を含むゴム中に、前記支持部材の凸部に沿い、かつ前記コイルスプリングの内方側にあって、前記コイルスプリングの軸方向に長辺を有する断面長方形をなす円筒状の円環状金具が埋設されてなることを特徴とするシートスプリングラバー。 - 前記円環状金具の軸方向一端部が前記円筒部の端部より露出して埋設されていることを特徴とする請求項1に記載のシートスプリングラバー。
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JP2001128320A JP4108942B2 (ja) | 2001-04-25 | 2001-04-25 | シートスプリングラバー |
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