以下、本発明の実施の形態に係る重量物取付方法および揚重装置について、図1乃至図13を参照しながら説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
以下の説明では、鉛直方向を上下方向と言い、乗りかごに乗客が乗降する方向を前後方向と言い、乗りかごの乗降口から見た間口方向を左右方向と言うことがある。各図では、斜視方向を適宜変えて示すことがある。
本発明の実施の形態に係る重量物取付方法は、予め巻上機の本体にこの巻上機の出力軸と平行な長尺の梁材を取付けておき、昇降路頂部に設置される梁構造物のうちの後内壁面に沿って左右方向に延びる巻上機支持梁の上に、梁材及び巻上機が梁材の長手方向を軸方向とする支軸回転を行えるようにして、この梁材を保持する軸受機構を取付けておく。この重量物取付方法は、この梁材を軸受機構に取付けた状態で、ワイヤ類による張力によって巻上機をこの軸受機構に対して回転させて巻上機の取付け場所に位置決め固定する取付方法である。
図1は軸受機構を含む梁構造物の斜視図である。図2は図1の矢印Z方向からこの梁構造物を見た矢視図である。1は軸受機構である。図1において昇降路2の頂部付近にまで巻上機3(重量物)が揚重された後、軸受機構1がこの巻上機3を、支軸部70を回転中心として矢印u方向に支軸回転させ終わった直後の巻上機3が示されている。図2には、曲線wで破断した場合の矢印Z方向から見た軸受機構1下部の内部構造が示されている。
第1の支持梁4と第2の支持梁5とはそれぞれ昇降路2の前後方向に設けられている。昇降路2内には図示しない4本のかごガイドレール及びカウンタウェイトガイドレールが立設されている。支持梁4はこれらのガイドレールのうちのいずれか2本の各上端部の間に水平に設けられており、支持梁5は他の2本のガイドレールの各上端部の間に水平に設けられている。支持梁4、5上の昇降路2の前壁側には、2つの起立部材6、7が取付けられており、これらの起立部材6、7の上端には、図示しないメインロープを掛渡すための2本の梁8が水平に設けられている。2本の梁8はいずれも鋼材である。これらの梁8の上には滑車装置9、10(滑車)が取付けられており、軸受機構1に係止されるワイヤ類が巻掛けられるようにされている。
軸受機構1は昇降路2頂部に設置される前後方向及び上下方向にそれぞれ複数本の梁からなる梁構造物11と一体的に構成される。この梁構造物11は、それぞれ支持梁4、5の上に設けられた2本の移動規制部材12と、これらの移動規制部材12を介して支持梁4、5間に設けられ後内壁面2aに沿って左右方向に延びる2本の巻上機支持梁13と、それぞれこれらの巻上機支持梁13の上に設けられ断面U字状の切欠き部位を有する2つの軸受兼用枠取付基部14とを備える。断面とは左右側内壁面に平行な面で切断したときの面を指す。
更に軸受機構1は、それぞれこれらの軸受兼用枠取付基部14に軸支される円柱状の丸棒部材を三角形の一頂点部に組付けて成る三角形トラス状の三角形状枠15、16(一対の枠)を一対2つ有する。また、巻上機3にはこの巻上機3の外周胴部に巻上機3の出力軸と平行に直線状に延びる長尺のモータ側梁材17(梁材)が固定されており、このモータ側梁材17が三角形状枠15、16の各々の別の一頂点部間に固定されるようになっている。
図3は巻上機3、モータ側梁材17及び三角形状枠15、16からなる構造体の分解組立図である。巻上機3は、円筒状の巻上機本体18と、この巻上機本体18内に設けられた図示しないモータ部と、このモータ部の出力軸に連結されたトラクションシーブ19と、巻上機本体18に固定された台座部20とを有する。巻上機本体18には、それぞれネジ孔加工を施された2つのブラケット21が溶接などにより固定されている。
モータ側梁材17は断面コの字状の鋼材である。モータ側梁材17の底面17aには複数のネジ孔17bが取付孔として穿設加工されている。螺刻されたボルトやピンがこれらのネジ孔17bに累合され、モータ側梁材17及びブラケット21を締着することにより、モータ側梁材17と巻上機3とが固定される。モータ側梁材17の長手方向中央部には、丸鋼からなる円柱状の丸棒部材17cが溶接などにより固定されている。モータ側梁材17を単体で揚重等するときの吊元として備え付けられている。つまり、モータ側梁材17に揚重対象物の取付け措置が施され、及び吊元が設けられている。
三角形状枠15は、互いに長手方向を直交あるいはV字状に交叉させた状態で端部が連結された直交アーム28、29と、長手方向をこれらの直交アーム28、29の各長手方向と斜行させ両端部が直交アーム28、29に連結された傾斜アーム30とを有する。三角形状枠15と同様、三角形状枠16も、2本の直交アーム28、29と、傾斜アーム30とを有する。2つの三角形状枠15、16はいずれも三頂点部を有する。
直交アーム29及び傾斜アーム30が交叉して成る頂点部にはモータ側梁材17が軸装される切欠き状の開口部22が形成されている。モータ側梁材17の両端にはそれぞれ円柱状の丸棒部材23(軸材)が軸方向外方に向かって突出して固定されている。溶接などによって丸棒部材23はモータ側梁材17に固定されている。一方の丸棒部材23と、開口部22とは、カバー24及びオイレスブッシュ25を介して回動可能になるようにして互いに取付けられる。
つまり開口部22はモータ側梁材17を取付けるための梁材取付部として機能している。直交アーム29を水平に保持したときにこの開口部22の切欠きの開口は下方に位置しこの開口部分にモータ側梁材17の丸棒部材23が挿入されるようになっている。
オイレスブッシュ25は、この丸棒部材23の外表面に被せられる。このオイレスブッシュ25によって覆われた丸棒部材23がこの開口部分に挿入される。2つの丸棒部材23はともにカバー24を介在させてそれぞれ三角形状枠15、16に対して回転可能になるようにして取付けられている。切欠きに丸棒部材23を嵌挿させたときの切欠き先端と反対側の開いた部分がカバー24により閉じられる。なお、直交アーム29の丸棒部材23に向く面には開口部22の周りに開口形状と同じ形状の切込みを有する補強部材を取付けても良い。
また、2つの三角形状枠15、16の3頂点部のうち、直交アーム29及び直交アーム28が交叉して成る頂点部には軸受兼用枠取付基部14に嵌挿される丸棒部材26が組付けられている。この丸棒部材26には補強用の板26aを取付けてもよい。
図4(a)は三角形状枠16の直交アーム29、28間の頂点部の拡大斜視図であり、補強用の板26aが取払われた状態の例が示されている。丸棒部材26の両端にはオイレスブシュ27がそれぞれ取付けられるようにされている。
図4(b)は軸受兼用枠取付基部14の拡大斜視図である。同図には昇降路2の左側内壁面側からこの軸受兼用枠取付基部14を見た例が示されている。軸受兼用枠取付基部14は、それぞれ断面コの字状の鋼材である2本のベース梁14aと、これらのベース梁14aの上に設けられそれぞれU字状の切欠き部31を有する2枚の支軸片14bとを有する。ベース梁14aはこれらベース梁14aの面部を互いに向合わせた状態で並置されている。これらの面部の間には三角形状枠16の直交アーム28の厚みと同じ程度の距離の間隙が設けられている。各切欠き部31が上方に開口し、三角形状枠16のオイレスブシュ27付きの丸棒部材26が嵌挿されるようになっている。
図4(c)は三角形状枠16と軸受兼用枠取付基部14とが嵌挿された状態のこれらの斜視図である。抜け止め部材であるカバー32が軸受部の両側を覆うようにして取付けられ、この状態で三角形状枠15は軸受兼用枠取付基部14に回動可能に取付けられるようにされている。換言すれば、軸受兼用枠取付基部14の上面が切欠き状に開口しており、軸材としての丸棒部材26がオイレスブシュ27付きで挿入される。切欠きに丸棒部材26が嵌挿されたときの切欠きの先端と反対側の開いた部分が支軸片14bの一片までくり抜きされたまま開にされている。
三角形状枠15が、軸受兼用枠取付基部14に嵌挿される部分の構造も、図4の例と同様であり、三角形状枠16が軸受兼用枠取付基部14に嵌挿される部分の構造と同じである。
また、図3の2つの三角形状枠15、16の3頂点部のうち、直交アーム28及び傾斜アーム30が交叉して成る頂点部の外方には、ワイヤ、ロープあるいはチェーンなどの索体が係止される係止孔33(引張部)が形成されている。一方の係止孔33には、軸受機構1に対して軸回転の引っ張り張力を与えるための索体と、同じ軸受機構1に対して落下回転を阻止するための索体との2本が係止される。他方の係止孔33にも軸受機構1に対して引っ張り張力と、落下回転阻止用との2本の索体が係止される。
引っ張り張力を軸受機構1に付与する各1本の索体はそれぞれ滑車装置9、10に巻掛けられる。図1の滑車装置9は、互いに面対向する平板状の一対の起立支持片と、これらの起立支持片によって軸受けされた車輪とを有し、この車輪の上下のうち上側の外周に索体が巻掛けられるようになっている。この索体は、滑車装置9の下方から車輪上側に巻掛けられ、この車輪外周にて折返されて下方へと延ばされ左側の三角形状枠15の係止孔33に係止されるようになっている。滑車装置10の構成も滑車装置9の構成と同じである。滑車装置10を通される索体は、この滑車装置10の下方から車輪上側に巻掛けられ、車輪外周にて折返されて下方へと延ばされ右側の三角形状枠16の係止孔33に係止されるようになっている。これらの滑車装置9、10は、ネジ留めなどにより、2本の梁8に取付可能であり、かつこれらの梁8から取外し可能である。
図1〜図4に示されるように、三角形状枠15の3本の各アーム軸によって形成される面と、三角形状枠16の各アーム軸によって形成される面とが略平行になるようにして、モータ側梁材17はこれらの三角形状枠15、16間を連結する。三角形状枠15、16はそれぞれ三箇所の頂点部を有する。それぞれ直角状の頂点部は軸受兼用枠取付基部14に回転自在に軸受けされている。第2、第3の鋭角状の頂点部のうちの一方はそれぞれモータ側梁材17に回転可能に軸受されている。第3の頂点部はそれぞれ係止孔33を介して張力を与えられ及び回転抑止力を与えられる。
三角形状枠15、16の各左右一対の丸棒部材26と、左右2つの軸受兼用枠取付基部14の各支軸片14bとによって支軸部70が形成されている。軸受機構1は、揚重対象物である巻上機3を、左右方向に伸びるこの支軸部70を支軸として支えるとともに第3の頂点部付近の左右の係止孔33を引っ張ることで、一対の係止孔33の位置を斜め上方に変位させ、支軸を中心として軸回転させるようにしている。軸受機構1は、三角形状枠15、16を支軸周りに回転させることにより、台座部20の座面が水平面に対して傾斜した姿勢から、この座面が昇降路2の底部を向く姿勢へと巻上機3の姿勢を回転させるようにする。また、回転力を与えるための引っ張り張力を、滑車装置9、10を介して軸受機構1の上方から作用させるようにして、吊元を昇降路2の頂部に設けずに、巻上機3を所望する位置に着座させるようにしている。
また、本実施形態に係る揚重装置は、梁構造物11に取付けられた軸受機構1と、この軸受機構1に対して異なる向きの力を与えるための滑車装置9、10と、昇降路2の下方に設けられるチェーンブロック等の揚重機と、一端部がこの軸受機構1に係止され、途中部がこれらの滑車装置9、10に巻掛けられ、他端部がこの揚重機に係止された索体とを備える。
上述の構成の揚重装置を用いた本実施形態に係る重量物取付方法について、図5から図13を参照して詳述する。図5は本実施形態に係る重量物取付方法の工程図であり、図6〜図13は図5の各工程における構造物及び構造物に設置されるエレベータ用品が示されている。図6〜図13では、揚重装置の斜視方向を図1の例とは適宜変えて示す。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。
図6は吊元を設置する工程を示す図である。図5のステップA1では、建屋最上階の乗降口2bの直下に位置する昇降路2の前側内壁面2cに吊元としての固定具37、39、41が設けられる。移動規制部材12は移動規制や振動吸収を行う。これらの移動規制部材12を介在させて2本の巻上機支持梁13が支持梁4、5上に平行に設けられる。各巻上機支持梁13はいずれも断面H型の鋼材である。2本の巻上機支持梁13の上には長手方向中央部に位置決めされた座板13aが設けられる。
図7は滑車装置9、10を設置する工程を示す図である。図5のステップA2において、滑車装置9、10が、2本の梁8の上に設置される。
図8は2つの軸受兼用枠取付基部14を設置する工程を示す図である。図5のステップA3において、2本の巻上機支持梁13の上にそれぞれ軸受兼用枠取付基部14が取付けられる。これらの軸受兼用枠取付基部14の設置間隔は、モータ側梁材17の全長と、それぞれこのモータ側梁材17の両端に設けられる2つの丸棒部材23と、三角形状枠15、16の左右方向の各厚みとによって決められる。
図5のステップA4では、三角形状枠15、16が2本の軸受兼用枠取付基部14に取付けられる。図9は三角形状枠15、16を設置する工程を示す図である。同図中手前では、2本の梁8の途中部が取払われた状態の例が示されている。
ステップA5では、モータ側梁材17を巻上機3に取付ける。図3に示すように、昇降路2の下方に搬入された巻上機3に、人がボルトやピンを用いてネジ留め固定し、モータ側梁材17が巻上機3に固定される。昇降路2内の上方のいずれかの壁面には図示しない取付具が別途吊元として設けられている。この状態で、索体をモータ側梁材17の丸棒部材17cに係止し、チェーンブロック等の揚重機を動作させることによって、昇降路2の底部から梁構造物11が設置された昇降路2の頂部へと巻上機3が揚重される。モータ側梁材17の昇降路2内での高さ位置が、三角形状枠15、16の取付位置と同じになるよう揚重機を人が操作する。
図10はモータ側梁材17と三角形状枠15、16とを締結する作業の工程を示す図である。ステップA6では、図3に示すように、巻上機3に固定されたモータ側梁材17を三角形状枠15、16の下方からこれらの三角形状枠15、16の開口部22に人が挿入して取付ける。
ステップA7において揚重機を設置する。揚重機にはチェーンブロックが用いられる。図11は巻上機3の吊持構造を示す図である。3つのチェーンブロック34、35、36はいずれもチェーンやワイヤなどの索状体巻上げ及び索状体巻下げを駆動するものである。チェーンブロック34の一端側のフックは、このチェーンブロック34を昇降路壁面上の固定具37に係止される。チェーンブロック34により牽引される索体38は、滑車装置9に上方から巻掛けられ、この索体38の他端側は2つの三角形状枠16の直交アーム28の係止孔33に図示しないシャックルを介して連結される。人が係止孔33にシャックル又はリングを介装させたシャックルを連結し、このシャックルにワイヤあるいはチェーンを係止する。
また、2番目のチェーンブロック35の一端側フックは別の固定具39に係止される。このチェーンブロック35によって牽引される索体40は分岐しており索体40a、索体40bとからなる。一方の索体40aは、滑車装置9、10のいずれも通らずに、2本の支持梁8の下方を通って、一方の三角形状枠16の直交アーム28の係止孔33にシャックルを介して連結される。他方の索体40bも滑車装置9、10のいずれも通らずに2本の支持梁8の下方を通って、他方の三角形状枠15の直交アーム28の係止孔33にシャックルを介して連結される。
更に右端のチェーンブロック36の一端側フックは第3の固定具41に係止される。このチェーンブロック36によって牽引される索体42は、滑車装置10に上方から巻掛けられ、この索体42の他端側は三角形状枠15の直交アーム28の係止孔33にシャックルを介して連結される。2個の三角形状枠15、16には計4本の索体38、40a、40b、42が連結される。
続いて図5のステップA8で2つのチェーンブロック34、36の揚重動作を人が開始させる。両端側の索体38、42がそれぞれ滑車装置9、10に上から掛渡された状態でチェーンブロック34、36が巻上げ駆動すると、それぞれ揚重前下方に端部を向けさせていた2本の直交アーム28の各係止孔33には、斜め上方へ向かう向きの張力が加えられる。この張力の作用と連動して、三角形状枠15、16は、丸棒部材26等の軸受部の軸芯を回転中心として回転する。長手方向を水平に向けていた直交アーム28が、丸棒部材23等の軸受部の軸芯を回動中心とし、この直交アーム28が起立するようにして、巻上機3が回転をし始める。このとき、チェーンブロック35は索体40a、40bの張力を緩めるように操作をされ、索体40a、40bは張力を与えられないまま撓ませられる。索体38、42はともに張られ巻上機3に対して回転トルクを作用させる。
索体40a、40bは巻上機3の反対側への落下回転力を抑止するためのものである。巻上機3は2本の索体38、42に加えられる張力によって回転力を与えられて回転する。回転角度が90度を越えると、今度は巻上機3は自重による落下回転力を受け始める。回転角度が90度から180度までの間、2本の直交アーム28の係止孔33に巻下げ力を作用させ、回転トルクの方向と逆方向の向きの張力を与えるようにしている。索体40a、40bは三角形状枠15、16の回転量あるいは回転速度が過剰になることを抑止するための張力を直交アーム28に与えるために用いられる。巻上機3が回転角度90度を超えた後、支軸部70の軸芯を中心とし回転し過ぎて反対側の巻上機支持梁13の上に勢いをつけて落下しないように索体40a、40bが三角形状枠15、16へ張力を与えるようになっている。
図2に示すように、巻上機3の回転量が90度を越えて回転すると、巻上機3は回転しながら反対側へ落ち込むように力が作用する。チェーンブロック34、36への駆動操作をオフにして索体38、42の張力を弛緩させた状態で、チェーンブロック35は、固定具37の側へ向かう引っ張り荷重を、直交アーム28へ与えながら、巻上機3を反対側へ落下回転させる。図12は回転し終えた状態の巻上機3の斜視図である。
また、図5のステップA9では、図12の状態の巻上機3に取付けられたモータ側梁材17、三角形状枠15、16及び滑車装置9、10をそれぞれ取外す。揚重と回転とに用いたエレベータ用品を全て取払う。図13に、揚重及び回転に用いた用品を撤去した状態の巻上機3の斜視図を示す。巻上機3は、台座部20が座板13aの上に着座した状態にされる。
このようにして、本実施形態に係る重量物取付方法によれば、重量物の所定位置までの移動を、人力を用いずに最後まで揚重機の操作で行うことが出来るようになる。3本のアーム部材を組合わせたリンク機構を用いて、巻上機3を鉛直方向にZ方向矢視断面内で円形状に回転させることにより、垂直方向の揚重と水平方向の移動を同時に、揚重機を用いて行うことができるようになる。
以上を総括すると、図1に示すように、揚重装置は、揚重対象物である巻上機3と、この巻上機3の軸方向に沿って直線状に固定された直線状材料であるモータ側梁材17と、それぞれこのモータ側梁材17の両端に回動可能に取付けられた2つの三角形状枠15、16とを備える。三角形状枠15、16は、それぞれ軸受兼用枠取付基部14に回動可能に取付けられており、軸受兼用枠取付基部14は揚重対象物設置部として2本の巻上機支持梁13上に固定されている。
揚重操作では、三角形状枠15、16を構成する直交アーム28の係止孔33が引張部として機能する。図示しないシャックル、及びワイヤやチェーンなどの索体を介して取付けられているチェーンブロック34、35、36を操作することにより、三角形状枠15、16の各支軸部70を回転中心に揚重装置は巻上機3、モータ側梁材17及び三角形状枠15、16を回転させる。これにより、揚重対象物の巻上機3の揚重及び水平方向の移動が可能となる。
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。上記の実施形態では、巻上機を取付ける方法について説明したが、本発明の実施の形態に係る重量物取付方法は、他の重量を有するエレベータ用品を揚重する場合にも用いられる。巻上機3に取付けられる枠材は、三角形状枠15、16のように三角形状枠であったが、三角形に限らず、四角形、五角形などの多角形状枠を用いてもよい。一対の枠としては、多角形状枠に限られずに、各頂点部を有する例えば板状の平板を用いてもよい。
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。