本発明は、搬送台車の車輪装置に関する。
台車を4個の車輪で走行する構造では、内輪差により、カーブでの走行に障害となることから、この改良を意図した構造が、以下の文献で説明されている。この文献を個々に説明する。
文献(1)は、特開2003−191861の「台車」である。この発明は、二つの発明があり、第一の発明は、台車の各隅角に設けた4個の車輪と、この台車の前進後退における走行方向の中央部に対(一方、他方)の転舵車輪を設け、この転舵車輪を無端ベルトで懸架し、この一方の転舵車輪を、前方連結部材で操作することで、この一方の転舵車輪の方向に対して、他方の転舵車輪の方向を、逆方向にする構造であり、これにより、内輪差を無くすることと、狭い範囲での旋回を可能とすること、又はこの転舵車輪を備えた台車の構造の簡素化を図ること、等を意図する。また、第二の発明は、第一の発明をさらに発展した構造であり、前記対の転舵車輪を、台車の前後方向の左右端に設けた構造であり、この対の転舵車輪で、先達の台車の軌跡を、第二の台車等を確実に走行可能として、前記第一の発明の意図を略100%達成することを意図する。尚、この文献(1)には、先行文献として、[0003]において、「特開平10−76976号公報に開示された台車の装置機構のようにパンタグラフを用いて構成されたものと、特開平9−315335号公報に開示された台車や特開2000−159116号公報に開示された台車のようにリンクロッドまたは連結杆等の棒状部材を用いて構成されたものとがある。」と開示されている。しかし、これらの先行文献は、転舵車輪を備えた台車の構造であるが、全体して、構造が複雑であり、コストの上昇と、安全な走行に改良点があること、また、走行の安定性に欠けること、等の問題を抱えている。
文献(2)は、特開平5−246346の「運搬台車」である。この発明は、台車の前後車輪の車軸に、それぞれ設けた車輪転舵用の対のロッドと、この対のロッドの転舵方向への正逆を図る、台車に装着したカム及リンクロッド、並びにシリンダ(ピストン)で構成し、前記前後車輪を転舵可能とすることを特徴とし、小型で簡単な操舵機構によって車輪の向きを変え、また旋回の際に移動スペースを必要としないことを意図する。
文献(3)は、特開平8−40261の「管内走行台車装置」である。この発明は、円形断面の管体内部を走行する走行台車の前後方向で、かつその台車幅方向の中央部に設けた旋回可能な軸受と、この軸受にそれぞれ設けた転舵可能な対の主輪と、この主輪の転舵を図る台車と軸受間に設けたシリンダと、前記各主輪の転舵に連動して一体的に揺動する揺動材と、この揺動材の両端に設けた補助輪とで構成し、この台車を、管体内において、転動かつ転舵可能とすることと、この台車を簡単、かつコンパクトにすること等を特徴とする。
特開2003−191861
特開平5−246346
特開平8−40261
文献(1)においては、対の転舵車輪を走行方向の中央部に設け、また、固定台車を各隅角に設け、かつこの転舵車輪を、前方連結材で操作する構造であり、複数の台車を連結するに際して、各台車が同軌跡を走行可能との保証がないこと、また、この転舵車輪と、固定車輪との総合的な取組みに違和感を感ずること、等の問題が考えられる。
次に、文献(2)においては、全ての車輪を転舵車輪構造とすることで、理想的である。然しながら、シリンダと複数のロッドとで駆動することから、構造が複雑となること、多数の台車を連結した場合に、各台車が順次、同じ動作をするとの保証がなく、前述の文献(1)と同じ問題を抱えていること、また、コストの上昇を招くこと、等の改良が考えられる。
また、前記文献(3)においては、補助輪を備えた転舵車輪構造であることから、管体の走行には有利性があるが、平坦な床面を走行する台車には、到底、採用できない構造であり、利用分野の限定がある。さらに、この文献(3)は、転舵車輪をシリンダで駆動することから、同じシリンダを採用する前述の文献(2)と同じ問題を抱えている。
請求項1の発明は、搬送用の台車は、その前進後退における走行方向の左右端中央部に対の固定車輪を設け、前進後退方向に向かった、その中央に対の転舵車輪を設けた構造であるので、極めて簡単な構造となり得ること、また、四輪構造であり、コストの削減化と、製造の容易化等に寄与すること、等を意図する。また、請求項1の発明は、対の転舵車輪を、カム板とリンクロッドとの組合せで操作する構造であり、確実な旋回を図り、内輪差の解消と、安全な旋回走行を可能とすること、等を意図する。さらに、請求項1の発明は、対の転舵車輪と、対の固定車輪を、台車を平面視して、クロス状(十字形状)に設ける構成としたので、確実な旋回を図り、旋回時の盲動解消と、安全な旋回走行を可能とすること、等を意図する。
請求項1は、搬送用の台車には、その前進後退における走行方向の左右端中央部に対の固定車輪を、軸受を介して架承するとともに、この台車には、前進後退方向に向かった、その中央に対の転舵車輪を、軸受を介して架承する構造であって、
この対の転舵車輪は、それぞれの軸受に設けたカム板を、前記左右端方向に向かって、対峙して設けるとともに、このカム板の自由端に、このカム板を連動するリンクロッドの自由端を枢着することで、このリンクロッドを、前記中央に対して偏芯位置に設ける構成とし、
また、この対の転舵車輪と、前記固定車輪を、前記台車を平面視して、クロス状に設ける構成とした搬送台車の車輪装置である。
請求項2の発明は、請求項1の意図を達成することと、在来の台車を利用し、この台車(用)の車輪装置を採用することで、転舵車輪付き台車に変更可能とすること、即ち、後付け式の台車(用)の車輪装置を提供すること、等を意図する。
請求項2は、搬送用の台車には、この台車に設けた基板を介して、その前進後退における走行方向の左右端中央部に対の固定車輪を、軸受を介して架承するとともに、この台車には、前進後退方向に向かった、その中央に対の転舵車輪を、軸受を介して架承する構造であって、
この対の転舵車輪は、それぞれの軸受に設けたカム板を、前記左右端方向に向かって、対峙して設けるとともに、このカム板の自由端に、このカム板を連動するリンクロッドの自由端を枢着することで、このリンクロッドを、前記中央に対して偏芯位置に設ける構成とし、
また、この対の転舵車輪と、前記固定車輪を、前記台車を平面視して、クロス状に設ける構成とした搬送台車(用)の車輪装置である。
請求項3の発明は、請求項1、又は請求項2の意図を達成すること、また、この意図を図り、かつこのカム板の回転限と復帰限を正確に決めることで、転舵車輪の正確な可動と、復帰とを図ること、等を意図する。
請求項3は、請求項1、又は請求項2に記載の搬送台車の車輪装置であって、
前記カム板の前進後退方向の回転限を、対のストッパーで規制する構成とした搬送台車の車輪装置である。
請求項4の発明は、請求項1、又は請求項2の意図を達成すること、また、この意図を図り、かつこの対の転舵車輪に、停止機構を正確に決めることで、転舵車輪の正確な可動と、復帰とを図ること、等を意図する。
請求項4は、請求項1、又は請求項2に記載の搬送台車の車輪装置であって、
前記対の転舵車輪に、停止機構を設けて規制する構成とした搬送台車の車輪装置である。
請求項5の発明は、請求項1の台車の車輪装置を構成するに最適な、対の固定車輪と、対の転舵車輪、及びそれぞれの軸受を設ける手段の一例を提供することを意図する。
請求項5は、請求項1に記載の搬送台車の車輪装置であって、
前記対の固定車輪と、対の転舵車輪、及びそれぞれの軸受を、台車のベースに設ける構成とした搬送台車の車輪装置である。
請求項6の発明は、請求項2の台車(用)の車輪装置を構成するに最適な、対の固定車輪と、対の転舵車輪、及びそれぞれの軸受を設ける手段の一例を提供することを意図する。
請求項6は、請求項2に記載の搬送台車(用)の車輪装置であって、
前記対の固定車輪と、対の転舵車輪、及びそれぞれの軸受を、台車のベースに設けた基板に設ける構成とした搬送台車(用)の車輪装置である。
請求項1の発明は、搬送用の台車には、前進後退における走行方向の左右端中央部に対の固定車輪を、軸受を介して架承するとともに、台車には、前進後退方向に向かった、中央に対の転舵車輪を、軸受を介して架承する構造であって、
対の転舵車輪は、それぞれの軸受に設けたカム板を、左右端方向に向かって、対峙して設けるとともに、カム板の自由端に、カム板を連動するリンクロッドの自由端を枢着することで、リンクロッドを、中央に対して偏芯位置に設ける構成とし、
また、対の転舵車輪と、固定車輪を、台車を平面視して、クロス状に設ける構成とした搬送台車の車輪装置である。
従って、請求項1は、搬送用の台車は、その前進後退における走行方向の左右端中央部に対の固定車輪を設け、前進後退方向に向かった、その中央に対の転舵車輪を設けた構造であるので、極めて簡単な構造となり得ること、また、四輪構造であり、コストの削減化と、製造の容易化等に寄与できること、等の特徴を有する。また、請求項1は、対の転舵車輪を、カム板とリンクロッドとの組合せで操作する構造であり、確実な旋回を図り、内輪差の解消と、安全な旋回走行を可能となること、等の利点を有する。さらに、請求項1は、対の転舵車輪と、対の固定車輪を、台車を平面視して、クロス状に設ける構成としたので、確実な旋回を図り、旋回時の盲動解消と、安全な旋回走行を可能となること、等の実益を有する。
請求項2の発明は、搬送用の台車には、台車に設けた基板を介して、前進後退における走行方向の左右端中央部に対の固定車輪を、軸受を介して架承するとともに、台車には、前進後退方向に向かった、中央に対の転舵車輪を、軸受を介して架承する構造であって、
対の転舵車輪は、それぞれの軸受に設けたカム板を、左右端方向に向かって、対峙して設けるとともに、カム板の自由端に、カム板を連動するリンクロッドの自由端を枢着することで、リンクロッドを、中央に対して偏芯位置に設ける構成とし、
また、対の転舵車輪と、固定車輪を、台車を平面視して、クロス状に設ける構成とした搬送台車(用)の車輪装置である。
従って、請求項2は、請求項1の意図を達成できることと、在来の台車を利用し、この台車(用)の車輪装置を採用することで、転舵車輪付き台車に変更可能となること、即ち、後付け式の台車(用)の車輪装置を提供できること、等の特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項1、又は請求項2に記載の搬送台車の車輪装置であって、
カム板の前進後退方向の回転限を、対のストッパーで規制する構成とした搬送台車の車輪装置である。
従って、請求項3は、請求項1、又は請求項2の意図を達成できること、また、この意図を図り、かつこのカム板の回転限と復帰限を正確に決めることで、転舵車輪の正確な可動と、復帰とが図れること、等の特徴を有する。
請求項4の発明は、請求項1、又は請求項2に記載の搬送台車の車輪装置であって、
対の転舵車輪に、停止機構を設けて規制する構成とした搬送台車の車輪装置である。
従って、請求項4は、請求項1、又は請求項2の意図を達成できること、また、この意図を図り、かつこの対の転舵車輪に、停止機構を正確に決めることで、転舵車輪の正確な可動と、復帰とが図れること、等の特徴を有する。
請求項5の発明は、請求項1に記載の搬送台車の車輪装置であって、
対の固定車輪と、対の転舵車輪、及びそれぞれの軸受を、台車のベースに設ける構成とした搬送台車の車輪装置である。
従って、請求項5は、請求項1の台車の車輪装置を構成するに最適な、対の固定車輪と、対の転舵車輪、及びそれぞれの軸受を設ける手段の一例を提供できる特徴がある。
請求項6の発明は、請求項2に記載の搬送台車(用)の車輪装置であって、
対の固定車輪と、対の転舵車輪、及びそれぞれの軸受を、台車のベースに設けた基板に設ける構成とした搬送台車(用)の車輪装置である。
従って、請求項6は、請求項2の台車(用)の車輪装置を構成するに最適な、対の固定車輪と、対の転舵車輪、及びそれぞれの軸受を設ける手段の一例を提供できる特徴がある。
車輪装置を備えた台車の斜視図
車輪装置を備えた台車の側面図
図2のA矢視図
台車の車輪装置の直進方向への走行を示した平面俯瞰図
台車の車輪装置の右旋回への走行を示した平面俯瞰図
台車の車輪装置の左旋回への走行を示した平面俯瞰図
台車の車輪装置の裏面図
従来の台車のベースに設ける台車用の車輪装置を示した平面俯瞰図
台車用の車輪装置の裏面図
従来の台車の軸受取付け台と台車用の車輪装置の基板との関係を示した取付け図
図8−1の基板の角隅と、軸受取付け台との関係を示した端面図
転舵車輪の一例を示した拡大側面図
転舵車輪の他の一例を示した拡大側面図
以下、本発明の一実施例を説明する。
図1〜図5に示した搬送用の新規の台車の製造時に、台車の車輪装置を設ける第一の実施例においては、1は台車であり、この台車1のベース1aには、前進後退方向(矢印イと、矢印ロ)における走行方向100の左右端101、102中央部103に対の軸受200、300を設け、この対の軸受200、300にそれぞれ固定車輪2、3を架承する。また、この台車1には、前進後退方向(矢印イと、矢印ロ)に向かった、走行中央104(中央)に対の軸受500、600を設け、この対の軸受500、600にそれぞれ転舵車輪5、6を架承する。従って、固定車輪2、3と、転舵車輪5、6は、平面視して、例えば、図4−1の如く、十字形状(クロス状)の位置関係であり、かつ走行中央104に対の転舵車輪5、6を有し、左右端101、102中央部103に対の固定車輪2、3を有する構造(この転舵車輪5、6のセンタ(中間)で交差する位置関係に、対の固定車輪2、3を有する構造)が、最大の特徴である。
そして、この対の転舵車輪5、6を架承する各軸受500、600の左右端500a、600aには、それぞれ左右端方向(矢印ハと、矢印ニ)に向かってカム板10、11(リンク板)を設ける。この実施例では、その折曲げ取付け部10a、11aを、各軸受500、600の左右端500a、600aに支持する。また、このカム板10、11は、平面視して、略三角形状で、その90°頂辺隅角を、台車1の内方部位に位置することで、その下辺自由端10b、11bが、左右端方向(矢印ハと、矢印ニ)に設けられる。そして、この下辺自由端10b、11bを切欠き、この下辺自由端10b、11bには、後述するリンクロッドの自由端を枢着するに最適(例えば、リンクロッドの引張に耐え得る強度を確保できる面積である)な領域を確保する。また、図4−1の如く、このリンクロッドの自由端の枢着部位を、転舵車輪5、6の車軸501、601と同じ位置とすることで、例えば、このリンクロッドの自由端のスムーズな動きと、その正確を確保すること、等を意図する。尚、この対の転舵車輪5、6には、図示しないが、回転停止用の停止機構を有する。この停止機構は、この対の転舵車輪5、6が、偏芯構造の自在車輪方式の際に有効であるが、後述する軸芯構造では、原則として、必要がない。
この各カム板10、11の下辺自由端10b、11bには、リンクロッド12の自由端12d、12eが枢着されており、このリンクロッド12は、台車1の走行中央104に形成される直線104aを袈裟切り状に交差する位置関係に設けられる構造であって、常に、この袈裟切り状の位置関係を維持する構造である。その一例を、図4−1から図4−3を基に説明する。この台車1の走行は、この台車1に設けた連結部13(引張連結手段)と、この連結部13の先端に設けた連結杆1300を、牽引車14の連結棒1400に套嵌することで、余裕を持って、先達の台車1から、順次、連結する他の台車1が、直進、又は左右方向に旋回可能に設けられる。そして、この図4−1においては、台車1が前後方向において、直進する状態であり、対の転舵車輪5、6は、図示の如く、直線104aに位置するとともに、カム板10、11は、その車軸501、601の方向であり、かつその軸芯方向に位置する。これにより、リンクロッド12は中間位置12aに存在する。従って、固定車輪2、3と、対の転舵車輪5、6とを介して、台車1が、牽引車14の車輪(図示しない)の軌跡に沿って、その走行方向100に直進する状態である。続いて、図4−2においては、台車1が右に旋回して走行する状態であり、一方の転舵車輪5は、図示の如く、直線104aに対して、向って右側に振られた状態であるのに対し、他方の転舵車輪6は、図示の如く、直線104aに対して、向って左側に振られた状態(逆方向に転向した状態)である。そして、この状態では、一方の転舵車輪5のカム板10は、前進限(最上位)であり、また、他方の転舵車輪6のカム板11も同様に前進限であり、かつ台車1のベース1aの裏面に設けた前進限ストッパー15により規制されている。従って、このカム板10、11は、この前進限で停止されている(回転限)。これにより、リンクロッド12は前進限位置12bに存在する。この一方の転舵車輪5の右側の旋回と、他方の転舵車輪6の左側の旋回とで、牽引車14の車輪の軌跡に沿っての走行が図れる特徴があり、かつ内輪差の弊害解消となる。さらに、図4−3においては、台車1が左に旋回して走行する状態であり、一方の転舵車輪5は、図示の如く、直線104aに対して、向って左側に振られた状態であるのに対し、他方の転舵車輪6は、図示の如く、直線104aに対して、向って右側に振られた状態(逆方向に転向した状態)である。そして、この状態では、一方の転舵車輪5のカム板10は、後退限(最下位)であり、また、他方の転舵車輪6のカム板11も同様に後退限であり、かつ台車1のベース1aの裏面に設けた後退限ストッパー16により規制されている(復帰限)。これにより、リンクロッド12は後退限位置12cに存在する。従って、このカム板10、11は、この後退限で停止されている。この一方の転舵車輪5の左側の旋回と、他方の転舵車輪6の右側の旋回とで、牽引車14の車輪の軌跡に沿っての走行が図れる特徴があり、かつ内輪差の弊害解消となる。
尚、このリンクロッド12は、ターンバックル1200を介して、長さ調整が可能であり、旋回範囲の調整を図ること、又は多様な走行と、内輪差の解消とを広範囲に図ること、等を意図する。
さらに、図6〜図8−2に示した(この第二の実施例においても、第一の実施例と同じ符号を利用する)、従来の台車1−1のベース1a−1に利用して、このベース1a−1に、簡易、かつ有効的に、台車用の車輪装置(車輪装置)を設ける(取付ける)第二の実施例においては(後付け方式の車輪装置)、このベース1a−1に設ける基板20には、この台車1−1の前進後退における走行方向100の左右端101、102中央部103に対の軸受200、300を設け、この対の軸受200、300にそれぞれ固定車輪2、3を架承する。また、この台車1−1には、前進後退方向に向かった、走行中央104(中央)に対の軸受500、600を設け、この対の軸受500、600にそれぞれ転舵車輪5、6を架承する。従って、固定車輪2、3と、転舵車輪5、6は、平面視して、例えば、図6の如く、十字形状(クロス状)の位置関係であり、かつ走行中央104に対の転舵車輪5、6を有し、左右端101、102中央部103に対の固定車輪2、3を有する構造)が、最大の特徴である。
そして、この第二の実施例におけるカム板10、11、並びにリンクロッド12等を設ける構造と作用、並びに特徴は、第一の実施例に準ずる。また、この第二の実施例における前進後退限ストッパー15、16は、基板20に設けることを基本とするが、台車1−1のベース1a−1に設けることも可能である。
尚、この第二の実施例における後付け方式では、台車1−1のベース1a−1に、前記基板20を取付けるに際し、この基板20の角隅部に切欠き20a〜20dを設け、この切欠き20a等を、台車1−1の軸受取付け台1−2の内側に落込むように設ける構造とする(面一か、又は落込み段差を設ける)。これにより、例えば、従来の台車1−1の車高さと略同一とするか、又はその高さを低くし、荷物の載架の容易化、経験の踏襲化、及び/又は、効率化に役立てること、また、台車1−1の保管の容易化、慣れに対応できる構造とする。また、この基板20の軽量化を意図して、空間部21を適宜設ける。そして、この実施例では、使用中の台車1−1に適用できることで、経済的であり、かつ重宝する。
また、この第二の実施例における台車1−1の走行方法100における直進走行と、右旋回、又は左旋回と、この旋回後の走行において、前述した、第一の実施例の牽引車14と、連結部13の操作、固定車輪2、3と、転舵車輪5、6の動きは、図4−1〜図4−3に準ずるので、説明は割愛する。
尚、図9−1と、図9−2は、台車1、1−1を後退する際を考慮したものであり、前記転舵車輪5、6(一方で説明する)を工夫し(軸芯構造)、この後退直進走行ができる一例を示している。例えば、図9−1において、この転舵車輪5の軸芯を、軸受500の中心に設けることで、この転舵車輪5が直線104aに配置される構造とする。従って、後退時において、転舵車輪5の直線104aの方向への転動ができ、もって、後退直進走行が確実に行える。また、図9−2においては、前記後退直進走行に、台車1等の前進側に設けた凸部、又は軸受500に枢着した連結部13を立上げ、手押しバーとして使用することで、前記転舵車輪5の規制、及び/又は、構造と相まって、後退直進走行が確実に行える。
1 台車
1−1 台車
1a ベース
1a−1 ベース
1−2 軸受取付け台
100 走行方向
101 左端
102 右端
103 中央部
104 走行中央
104a 直線
2 固定車輪
200 軸受
3 固定車輪
300 軸受
5 転舵車輪
500 軸受
500a 左端
501 車軸
6 転舵車輪
600 軸受
600a 右端
601 車軸
10 カム板
10a 折曲げ取付け部
10b 自由端
11 カム板
11a 折曲げ取付け部
11b 自由端
12 リンクロッド
1200 ターンバックル
12a 中間位置
12b 前進限位置
12c 後退限位置
12d 自由端
12e 自由端
13 連結部
1300 連結杆
14 牽引車
1400 連結棒
15 前進限ストッパー
16 後退限ストッパー
20 基板
20a 切欠き
20b 切欠き
20c 切欠き
20d 切欠き
21 空間部
本発明は、搬送台車の車輪装置に関する。
台車を4個の車輪で走行する構造では、内輪差により、カーブでの走行に障害となることから、この改良を意図した構造が、以下の文献で説明されている。この文献を個々に説明する。
文献(1)は、特開2003−191861の「台車」である。この発明は、二つの発明があり、第一の発明は、台車の各隅角に設けた4個の車輪と、この台車の前進後退における走行方向の中央部に対(一方、他方)の転舵車輪を設け、この転舵車輪を無端ベルトで懸架し、この一方の転舵車輪を、前方連結部材で操作することで、この一方の転舵車輪の方向に対して、他方の転舵車輪の方向を、逆方向にする構造であり、これにより、内輪差を無くすることと、狭い範囲での旋回を可能とすること、又はこの転舵車輪を備えた台車の構造の簡素化を図ること、等を意図する。また、第二の発明は、第一の発明をさらに発展した構造であり、前記対の転舵車輪を、台車の前後方向の左右端に設けた構造であり、この対の転舵車輪で、先達の台車の軌跡を、第二の台車等を確実に走行可能として、前記第一の発明の意図を略100%達成することを意図する。尚、この文献(1)には、先行文献として、[0003]において、「特開平10−76976号公報に開示された台車の装置機構のようにパンタグラフを用いて構成されたものと、特開平9−315335号公報に開示された台車や特開2000−159116号公報に開示された台車のようにリンクロッドまたは連結杆等の棒状部材を用いて構成されたものとがある。」と開示されている。しかし、これらの先行文献は、転舵車輪を備えた台車の構造であるが、全体して、構造が複雑であり、コストの上昇と、安全な走行に改良点があること、また、走行の安定性に欠けること、等の問題を抱えている。
文献(2)は、特開平5−246346の「運搬台車」である。この発明は、台車の前後車輪の車軸に、それぞれ設けた車輪転舵用の対のロッドと、この対のロッドの転舵方向への正逆を図る、台車に装着したカム及リンクロッド、並びにシリンダ(ピストン)で構成し、前記前後車輪を転舵可能とすることを特徴とし、小型で簡単な操舵機構によって車輪の向きを変え、また旋回の際に移動スペースを必要としないことを意図する。
文献(3)は、特開平8−40261の「管内走行台車装置」である。この発明は、円形断面の管体内部を走行する走行台車の前後方向で、かつその台車幅方向の中央部に設けた旋回可能な軸受と、この軸受にそれぞれ設けた転舵可能な対の主輪と、この主輪の転舵を図る台車と軸受間に設けたシリンダと、前記各主輪の転舵に連動して一体的に揺動する揺動材と、この揺動材の両端に設けた補助輪とで構成し、この台車を、管体内において、転動かつ転舵可能とすることと、この台車を簡単、かつコンパクトにすること等を特徴とする。
特開2003−191861
特開平5−246346
特開平8−40261
文献(1)においては、対の転舵車輪を走行方向の中央部に設け、また、固定台車を各隅角に設け、かつこの転舵車輪を、前方連結材で操作する構造であり、複数の台車を連結するに際して、各台車が同軌跡を走行可能との保証がないこと、また、この転舵車輪と、固定車輪との総合的な取組みに違和感を感ずること、等の問題が考えられる。
次に、文献(2)においては、全ての車輪を転舵車輪構造とすることで、理想的である。然しながら、シリンダと複数のロッドとで駆動することから、構造が複雑となること、多数の台車を連結した場合に、各台車が順次、同じ動作をするとの保証がなく、前述の文献(1)と同じ問題を抱えていること、また、コストの上昇を招くこと、等の改良が考えられる。
また、前記文献(3)においては、補助輪を備えた転舵車輪構造であることから、管体の走行には有利性があるが、平坦な床面を走行する台車には、到底、採用できない構造であり、利用分野の限定がある。さらに、この文献(3)は、転舵車輪をシリンダで駆動することから、同じシリンダを採用する前述の文献(2)と同じ問題を抱えている。
請求項1の発明は、搬送用の台車は、その前進後退における走行方向の左右端中央部に対の固定車輪を設け、前進後退方向に向かった、その中央に対の転舵車輪を設けた構造であるので、極めて簡単な構造となり得ること、また、四輪構造であり、コストの削減化と、製造の容易化等に寄与すること、等を意図する。また、請求項1の発明は、対の転舵車輪を、カム板とリンクロッドとの組合せで操作する構造であり、確実な旋回を図り、内輪差の解消と、安全な旋回走行を可能とすること、等を意図する。さらに、請求項1の発明は、対の転舵車輪と、対の固定車輪を、台車を平面視して、クロス状(十字形状)に設ける構成としたので、確実な旋回を図り、旋回時の盲動解消と、安全な旋回走行を可能とすること、等を意図する。さらに、この請求項1の発明は、カム板が、リンクロッドの引張に耐え得る強度を確保できる最適な領域(面積)を確保することを意図する。
請求項1は、搬送用の台車のベースに、前進後退方向の左右端中央部に、対の軸受を介して、それぞれ対の固定車輪を架承し、また、このベースに、前進後退方向の中央に、対の軸受を介して、それぞれ対の転舵車輪を架承し、さらに、前記固定車輪と、この対の転舵車輪を、前記ベースにクロス状に設ける構成とした搬送台車の車輪装置であって、
前記対の転舵車輪は、前記対の軸受の左右端に、両カム板の折曲げ取付け部を、それぞれ支持するとともに、この両カム板の三角形状の上辺自由端を、前記左右端方向の何れか一方に向かってそれぞれ設けるとともに、この両カム板を、前進後退における走行方向に対して対峙して設け、この両カム板の自由端に、この両カム板を連動するリンクロッドの自由端を、それぞれ枢着することで、このリンクロッドを、前記中央に対して偏芯位置に設ける構成とした搬送台車の車輪装置である。
請求項2の発明は、請求項1の意図を達成することと、在来の台車を利用し、この台車(用)の車輪装置を採用することで、転舵車輪付き台車に変更可能とすること、即ち、後付け式の台車(用)の車輪装置を提供すること、等を意図する。
請求項2は、搬送用の台車のベースに基板を取付け、この基板に、前進後退方向の左右端中央部に、対の軸受を介して、それぞれ対の固定車輪を架承し、また、この基板に、前進後退方向の中央に、対の軸受を介して、それぞれ対の転舵車輪を架承し、さらに、前記固定車輪と、この対の転舵車輪を、前記基板にクロス状に設ける構成とした搬送台車の車輪装置であって、
前記対の転舵車輪は、前記対の軸受の左右端に、両カム板の折曲げ取付け部を、それぞれ支持するとともに、この両カム板の三角形状の上辺自由端を、前記左右端方向の何れか一方に向かってそれぞれ設けるとともに、この両カム板を、前進後退における走行方向に対して対峙して設け、この両カム板の自由端に、この両カム板を連動するリンクロッドの自由端を、それぞれ枢着することで、このリンクロッドを、前記中央に対して偏芯位置に設ける構成とした搬送台車(用)の車輪装置である。
請求項3の発明は、請求項1、又は請求項2の意図を達成すること、また、この意図を図り、かつこのカム板の回転限と復帰限を正確に決めることで、転舵車輪の正確な可動と、復帰とを図ること、等を意図する。
請求項3は、請求項1、又は請求項2に記載の搬送台車の車輪装置であって、
前記カム板の一方のカム板の前進後退方向の回転限を、前進後退限ストッパーで規制する構成とした搬送台車の車輪装置である。
請求項4の発明は、請求項1、又は請求項2の意図を達成すること、また、この意図を図り、かつこの対の転舵車輪に、停止機構を正確に決めることで、転舵車輪の正確な可動と、復帰とを図ること、等を意図する。
請求項4は、 請求項1、又は請求項2に記載の搬送台車の車輪装置であって、
前記対の転舵車輪に、それぞれ停止機構を設けて車輪の回転を規制する構成とした搬送台車の車輪装置である。
請求項1は、搬送用の台車のベースに、前進後退方向の左右端中央部に、対の軸受を介して、それぞれ対の固定車輪を架承し、また、ベースに、前進後退方向の中央に、対の軸受を介して、それぞれ対の転舵車輪を架承し、さらに、固定車輪と、対の転舵車輪を、ベースにクロス状に設ける構成とした搬送台車の車輪装置であって、
対の転舵車輪は、対の軸受の左右端に、両カム板の折曲げ取付け部を、それぞれ支持するとともに、両カム板の三角形状の上辺自由端を、左右端方向の何れか一方に向かってそれぞれ設けるとともに、両カム板を、前進後退における走行方向に対して対峙して設け、両カム板の自由端に、両カム板を連動するリンクロッドの自由端を、それぞれ枢着することで、リンクロッドを、中央に対して偏芯位置に設ける構成とした搬送台車の車輪装置である。
従って、請求項1は、搬送用の台車は、その前進後退における走行方向の左右端中央部に対の固定車輪を設け、前進後退方向に向かった、その中央に対の転舵車輪を設けた構造であるので、極めて簡単な構造となり得ること、また、四輪構造であり、コストの削減化と、製造の容易化等に寄与できること、等の特徴を有する。また、請求項1は、対の転舵車輪を、カム板とリンクロッドとの組合せで操作する構造であり、確実な旋回を図り、内輪差の解消と、安全な旋回走行を可能となること、等の利点を有する。さらに、請求項1は、対の転舵車輪と、対の固定車輪を、台車を平面視して、クロス状に設ける構成としたので、確実な旋回を図り、旋回時の盲動解消と、安全な旋回走行を可能となること、等の実益を有する。さらに、請求項1は、カム板が、リンクロッドの引張に耐え得る強度を確保できる最適な領域(面積)を確保できる実益がある。
請求項2の発明は、搬送用の台車のベースに基板を取付け、基板に、前進後退方向の左右端中央部に、対の軸受を介して、それぞれ対の固定車輪を架承し、また、基板に、前進後退方向の中央に、対の軸受を介して、それぞれ対の転舵車輪を架承し、さらに、固定車輪と、この対の転舵車輪を、基板にクロス状に設ける構成とした搬送台車の車輪装置であって、
対の転舵車輪は、対の軸受の左右端に、両カム板の折曲げ取付け部を、それぞれ支持するとともに、両カム板の三角形状の上辺自由端を、左右端方向の何れか一方に向かってそれぞれ設けるとともに、両カム板を、前進後退における走行方向に対して対峙して設け、この両カム板の自由端に、両カム板を連動するリンクロッドの自由端を、それぞれ枢着することで、リンクロッドを、中央に対して偏芯位置に設ける構成とした搬送台車(用)の車輪装置である。
従って、請求項2は、請求項1の意図を達成できることと、在来の台車を利用し、この台車(用)の車輪装置を採用することで、転舵車輪付き台車に変更可能となること、即ち、後付け式の台車(用)の車輪装置を提供できること、等の特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項1、又は請求項2に記載の搬送台車の車輪装置であって、
カム板の一方のカム板の前進後退方向の回転限を、前進後退限ストッパーで規制する構成とした搬送台車の車輪装置である。
従って、請求項3は、請求項1、又は請求項2の意図を達成できること、また、この意図を図り、かつこのカム板の回転限と復帰限を正確に決めることで、転舵車輪の正確な可動と、復帰とが図れること、等の特徴を有する。
請求項4の発明は、請求項1、又は請求項2に記載の搬送台車の車輪装置であって、
対の転舵車輪に、それぞれ停止機構を設けて車輪の回転を規制する構成とした搬送台車の車輪装置である。
従って、請求項4は、請求項1、又は請求項2の意図を達成できること、また、この意図を図り、かつこの対の転舵車輪に、停止機構を正確に決めることで、転舵車輪の正確な可動と、復帰とが図れること、等の特徴を有する。
車輪装置を備えた台車の斜視図
車輪装置を備えた台車の側面図
図2のA矢視図
台車の車輪装置の直進方向への走行を示した平面俯瞰図
台車の車輪装置の右旋回への走行を示した平面俯瞰図
台車の車輪装置の左旋回への走行を示した平面俯瞰図
台車の車輪装置の裏面図
従来の台車のベースに設ける台車用の車輪装置を示した平面俯瞰図
台車用の車輪装置の裏面図
従来の台車の軸受取付け台と台車用の車輪装置の基板との関係を示した取付け図
図8−1の基板の角隅と、軸受取付け台との関係を示した端面図
転舵車輪の一例を示した拡大側面図
転舵車輪の他の一例を示した拡大側面図
以下、本発明の一実施例を説明する。
図1〜図5に示した搬送用の新規の台車の製造時に、台車の車輪装置を設ける第一の実施例においては、1は台車であり、この台車1のベース1aには、前進後退方向(矢印イと、矢印ロ)における走行方向100の左右端101、102中央部103に対の軸受200、300を設け、この対の軸受200、300にそれぞれ固定車輪2、3を架承する。また、この台車1には、前進後退方向(矢印イと、矢印ロ)に向かった、走行中央104(中央)に対の軸受500、600を設け、この対の軸受500、600にそれぞれ転舵車輪5、6を架承する。従って、固定車輪2、3と、転舵車輪5、6は、平面視して、例えば、図4−1の如く、十字形状(クロス状)の位置関係であり、かつ走行中央104に対の転舵車輪5、6を有し、左右端101、102中央部103に対の固定車輪2、3を有する構造(この転舵車輪5、6のセンタ(中間)で交差する位置関係に、対の固定車輪2、3を有する構造)が、最大の特徴である。
そして、この対の転舵車輪5、6を架承する各軸受500、600の左右端500a、600aには、それぞれ左右端方向(矢印ハと、矢印ニ)に向かってカム板10、11(リンク板)を設ける。この実施例では、その折曲げ取付け部10a、11aを、各軸受500、600の左右端500a、600aに支持する。また、このカム板10、11は、平面視して、略三角形状で、その90°頂辺隅角を、台車1の内方部位に位置することで、その上辺自由端10b、11bが、左右端方向(矢印ハと、矢印ニ)に設けられる。そして、この上辺自由端10b、11bを切欠き、この上辺自由端10b、11bには、後述するリンクロッドの自由端を枢着するに最適(例えば、リンクロッドの引張に耐え得る強度を確保できる面積である)な領域を確保する。また、図4−1の如く、このリンクロッドの自由端の枢着部位を、転舵車輪5、6の車軸501、601と同じ位置とすることで、例えば、このリンクロッドの自由端のスムーズな動きと、その正確を確保すること、等を意図する。尚、この対の転舵車輪5、6には、図示しないが、回転停止用の停止機構を有する。この停止機構は、この対の転舵車輪5、6が、偏芯構造の自在車輪方式の際に有効であるが、後述する軸芯構造では、原則として、必要がない。
この各カム板10、11の上辺自由端10b、11bには、リンクロッド12の自由端12d、12eが枢着されており、このリンクロッド12は、台車1の走行中央104に形成される直線104aを袈裟切り状に交差する位置関係に設けられる構造であって、常に、この袈裟切り状の位置関係を維持する構造である。その一例を、図4−1から図4−3を基に説明する。この台車1の走行は、この台車1に設けた連結部13(引張連結手段)と、この連結部13の先端に設けた連結杆1300を、牽引車14の連結棒1400に套嵌することで、余裕を持って、先達の台車1から、順次、連結する他の台車1が、直進、又は左右方向に旋回可能に設けられる。そして、この図4−1においては、台車1が前後方向において、直進する状態であり、対の転舵車輪5、6は、図示の如く、直線104aに位置するとともに、カム板10、11は、その車軸501、601の方向であり、かつその軸芯方向に位置する。これにより、リンクロッド12は中間位置12aに存在する。従って、固定車輪2、3と、対の転舵車輪5、6とを介して、台車1が、牽引車14の車輪(図示しない)の軌跡に沿って、その走行方向100に直進する状態である。続いて、図4−2においては、台車1が右に旋回して走行する状態であり、一方の転舵車輪5は、図示の如く、直線104aに対して、向って右側に振られた状態であるのに対し、他方の転舵車輪6は、図示の如く、直線104aに対して、向って左側に振られた状態(逆方向に転向した状態)である。そして、この状態では、一方の転舵車輪5のカム板10は、前進限(最上位)であり、また、他方の転舵車輪6のカム板11も同様に前進限であり、かつ台車1のベース1aの裏面に設けた前進限ストッパー15により規制されている。従って、このカム板10、11は、この前進限で停止されている(回転限)。これにより、リンクロッド12は前進限位置12bに存在する。この一方の転舵車輪5の右側の旋回と、他方の転舵車輪6の左側の旋回とで、牽引車14の車輪の軌跡に沿っての走行が図れる特徴があり、かつ内輪差の弊害解消となる。さらに、図4−3においては、台車1が左に旋回して走行する状態であり、一方の転舵車輪5は、図示の如く、直線104aに対して、向って左側に振られた状態であるのに対し、他方の転舵車輪6は、図示の如く、直線104aに対して、向って右側に振られた状態(逆方向に転向した状態)である。そして、この状態では、一方の転舵車輪5のカム板10は、後退限(最下位)であり、また、他方の転舵車輪6のカム板11も同様に後退限であり、かつ台車1のベース1aの裏面に設けた後退限ストッパー16により規制されている(復帰限)。これにより、リンクロッド12は後退限位置12cに存在する。従って、このカム板10、11は、この後退限で停止されている。この一方の転舵車輪5の左側の旋回と、他方の転舵車輪6の右側の旋回とで、牽引車14の車輪の軌跡に沿っての走行が図れる特徴があり、かつ内輪差の弊害解消となる。
尚、このリンクロッド12は、ターンバックル1200を介して、長さ調整が可能であり、旋回範囲の調整を図ること、又は多様な走行と、内輪差の解消とを広範囲に図ること、等を意図する。
さらに、図6〜図8−2に示した(この第二の実施例においても、第一の実施例と同じ符号を利用する)、従来の台車1−1のベース1a−1に利用して、このベース1a−1に、簡易、かつ有効的に、台車用の車輪装置(車輪装置)を設ける(取付ける)第二の実施例においては(後付け方式の車輪装置)、このベース1a−1に設ける基板20には、この台車1−1の前進後退における走行方向100の左右端101、102中央部103に対の軸受200、300を設け、この対の軸受200、300にそれぞれ固定車輪2、3を架承する。また、この台車1−1には、前進後退方向に向かった、走行中央104(中央)に対の軸受500、600を設け、この対の軸受500、600にそれぞれ転舵車輪5、6を架承する。従って、固定車輪2、3と、転舵車輪5、6は、平面視して、例えば、図6の如く、十字形状(クロス状)の位置関係であり、かつ走行中央104に対の転舵車輪5、6を有し、左右端101、102中央部103に対の固定車輪2、3を有する構造)が、最大の特徴である。
そして、この第二の実施例におけるカム板10、11、並びにリンクロッド12等を設ける構造と作用、並びに特徴は、第一の実施例に準ずる。また、この第二の実施例における前進後退限ストッパー15、16は、基板20に設けることを基本とするが、台車1−1のベース1a−1に設けることも可能である。
尚、この第二の実施例における後付け方式では、台車1−1のベース1a−1に、前記基板20を取付けるに際し、この基板20の角隅部に切欠き20a〜20dを設け、この切欠き20a等を、台車1−1の軸受取付け台1−2の内側に落込むように設ける構造とする(面一か、又は落込み段差を設ける)。これにより、例えば、従来の台車1−1の車高さと略同一とするか、又はその高さを低くし、荷物の載架の容易化、経験の踏襲化、及び/又は、効率化に役立てること、また、台車1−1の保管の容易化、慣れに対応できる構造とする。また、この基板20の軽量化を意図して、空間部21を適宜設ける。そして、この実施例では、使用中の台車1−1に適用できることで、経済的であり、かつ重宝する。
また、この第二の実施例における台車1−1の走行方法100における直進走行と、右旋回、又は左旋回と、この旋回後の走行において、前述した、第一の実施例の牽引車14と、連結部13の操作、固定車輪2、3と、転舵車輪5、6の動きは、図4−1〜図4−3に準ずるので、説明は割愛する。
尚、図9−1と、図9−2は、台車1、1−1を後退する際を考慮したものであり、前記転舵車輪5、6(一方で説明する)を工夫し(軸芯構造)、この後退直進走行ができる一例を示している。例えば、図9−1において、この転舵車輪5の軸芯を、軸受500の中心に設けることで、この転舵車輪5が直線104aに配置される構造とする。従って、後退時において、転舵車輪5の直線104aの方向への転動ができ、もって、後退直進走行が確実に行える。また、図9−2においては、前記後退直進走行に、台車1等の前進側に設けた凸部、又は軸受500に枢着した連結部13を立上げ、手押しバーとして使用することで、前記転舵車輪5の規制、及び/又は、構造と相まって、後退直進走行が確実に行える。
1 台車
1−1 台車
1a ベース
1a−1 ベース
1−2 軸受取付け台
100 走行方向
101 左端
102 右端
103 中央部
104 走行中央
104a 直線
2 固定車輪
200 軸受
3 固定車輪
300 軸受
5 転舵車輪
500 軸受
500a 左端
501 車軸
6 転舵車輪
600 軸受
600a 右端
601 車軸
10 カム板
10a 折曲げ取付け部
10b 自由端
11 カム板
11a 折曲げ取付け部
11b 自由端
12 リンクロッド
1200 ターンバックル
12a 中間位置
12b 前進限位置
12c 後退限位置
12d 自由端
12e 自由端
13 連結部
1300 連結杆
14 牽引車
1400 連結棒
15 前進限ストッパー
16 後退限ストッパー
20 基板
20a 切欠き
20b 切欠き
20c 切欠き
20d 切欠き
21 空間部
本発明は、搬送台車の車輪装置に関する。
台車を4個の車輪で走行する構造では、内輪差により、カーブでの走行に障害となることから、この改良を意図した構造が、以下の文献で説明されている。この文献を個々に説明する。
文献(1)は、特開2003−191861の「台車」である。この発明は、二つの発明があり、第一の発明は、台車の各隅角に設けた4個の車輪と、この台車の前進後退における走行方向の中央部に対(一方、他方)の転舵車輪を設け、この転舵車輪を無端ベルトで懸架し、この一方の転舵車輪を、前方連結部材で操作することで、この一方の転舵車輪の方向に対して、他方の転舵車輪の方向を、逆方向にする構造であり、これにより、内輪差を無くすることと、狭い範囲での旋回を可能とすること、又はこの転舵車輪を備えた台車の構造の簡素化を図ること、等を意図する。また、第二の発明は、第一の発明をさらに発展した構造であり、前記対の転舵車輪を、台車の前後方向の左右端に設けた構造であり、この対の転舵車輪で、先達の台車の軌跡を、第二の台車等を確実に走行可能として、前記第一の発明の意図を略100%達成することを意図する。尚、この文献(1)には、先行文献として、[0003]において、「特開平10−76976号公報に開示された台車の装置機構のようにパンタグラフを用いて構成されたものと、特開平9−315335号公報に開示された台車や特開2000−159116号公報に開示された台車のようにリンクロッドまたは連結杆等の棒状部材を用いて構成されたものとがある。」と開示されている。しかし、これらの先行文献は、転舵車輪を備えた台車の構造であるが、全体して、構造が複雑であり、コストの上昇と、安全な走行に改良点があること、また、走行の安定性に欠けること、等の問題を抱えている。
文献(2)は、特開平5−246346の「運搬台車」である。この発明は、台車の前後車輪の車軸に、それぞれ設けた車輪転舵用の対のロッドと、この対のロッドの転舵方向への正逆を図る、台車に装着したカム及リンクロッド、並びにシリンダ(ピストン)で構成し、前記前後車輪を転舵可能とすることを特徴とし、小型で簡単な操舵機構によって車輪の向きを変え、また旋回の際に移動スペースを必要としないことを意図する。
文献(3)は、特開平8−40261の「管内走行台車装置」である。この発明は、円形断面の管体内部を走行する走行台車の前後方向で、かつその台車幅方向の中央部に設けた旋回可能な軸受と、この軸受にそれぞれ設けた転舵可能な対の主輪と、この主輪の転舵を図る台車と軸受間に設けたシリンダと、前記各主輪の転舵に連動して一体的に揺動する揺動材と、この揺動材の両端に設けた補助輪とで構成し、この台車を、管体内において、転動かつ転舵可能とすることと、この台車を簡単、かつコンパクトにすること等を特徴とする。
特開2003−191861
特開平5−246346
特開平8−40261
文献(1)においては、対の転舵車輪を走行方向の中央部に設け、また、固定台車を各隅角に設け、かつこの転舵車輪を、前方連結材で操作する構造であり、複数の台車を連結するに際して、各台車が同軌跡を走行可能との保証がないこと、また、この転舵車輪と、固定車輪との総合的な取組みに違和感を感ずること、等の問題が考えられる。
次に、文献(2)においては、全ての車輪を転舵車輪構造とすることで、理想的である。然しながら、シリンダと複数のロッドとで駆動することから、構造が複雑となること、多数の台車を連結した場合に、各台車が順次、同じ動作をするとの保証がなく、前述の文献(1)と同じ問題を抱えていること、また、コストの上昇を招くこと、等の改良が考えられる。
また、前記文献(3)においては、補助輪を備えた転舵車輪構造であることから、管体の走行には有利性があるが、平坦な床面を走行する台車には、到底、採用できない構造であり、利用分野の限定がある。さらに、この文献(3)は、転舵車輪をシリンダで駆動することから、同じシリンダを採用する前述の文献(2)と同じ問題を抱えている。
請求項1の発明は、搬送用の台車は、その前進後退における走行方向の左右端中央部に対の固定車輪を設け、前進後退方向に向かった、その中央に対の転舵車輪を設けた構造であるので、極めて簡単な構造となり得ること、また、四輪構造であり、コストの削減化と、製造の容易化等に寄与すること、等を意図する。また、請求項1の発明は、対の転舵車輪を、カム板とリンクロッドとの組合せで操作する構造であり、確実な旋回を図り、内輪差の解消と、安全な旋回走行を可能とすること、等を意図する。さらに、請求項1の発明は、対の転舵車輪と、対の固定車輪を、台車を平面視して、クロス状(十字形状)に設ける構成としたので、確実な旋回を図り、旋回時の盲動解消と、安全な旋回走行を可能とすること、等を意図する。さらに、この請求項1の発明は、カム板が、リンクロッドの引張に耐え得る強度を確保できる最適な領域(面積)を確保することを意図する。
請求項1は、搬送用の台車のベースに、前進後退方向の左右端中央部に、対の軸受を介して、それぞれ対の固定車輪を架承し、また、このベースに、前進後退方向の中央に、対の軸受を介して、それぞれ対の転舵車輪を架承し、さらに、前記固定車輪と、この対の転舵車輪を、前記ベースにクロス状に設ける構成とした搬送台車の車輪装置であって、
前記対の転舵車輪は、前記対の軸受の左右端に、両カム板の折曲げ取付け部を、それぞれ支持するとともに、この両カム板の三角形状の自由端を、前記ベースの左右端に向かって対峙して設け、この両カム板の自由端に、この両カム板を連動するリンクロッドの自由端を、それぞれ枢着することで、このリンクロッドを、前記中央に対して偏芯位置に設ける構成とし、
前記両カム板の折曲げ取付け部と、その三角形状の自由端とが、同じ形状にする構成とするとともに、この両カム板の折曲げ取付け部は、前記軸受の左右端の全幅に亙る構成とした搬送台車の車輪装置である。
請求項2の発明は、請求項1の意図を達成することと、在来の台車を利用し、この台車(用)の車輪装置を採用することで、転舵車輪付き台車に変更可能とすること、即ち、後付け式の台車(用)の車輪装置を提供すること、等を意図する。
請求項2は、搬送用の台車のベースに基板を取付け、この基板に、前進後退方向の左右端中央部に、対の軸受を介して、それぞれ対の固定車輪を架承し、また、この基板に、前進後退方向の中央に、対の軸受を介して、それぞれ対の転舵車輪を架承し、さらに、前記固定車輪と、この対の転舵車輪を、前記基板にクロス状に設ける構成とした搬送台車の車輪装置であって、
前記対の転舵車輪は、前記対の軸受の左右端に、両カム板の折曲げ取付け部を、それぞれ支持するとともに、この両カム板の三角形状の自由端を、前記ベースの左右端に向かって対峙して設け、この両カム板の自由端に、この両カム板を連動するリンクロッドの自由端を、それぞれ枢着することで、このリンクロッドを、前記中央に対して偏芯位置に設ける構成とし、
前記両カム板の折曲げ取付け部と、その三角形状の自由端とが、同じ形状にする構成とするとともに、この両カム板の折曲げ取付け部は、前記軸受の左右端の全幅に亙る構成とした搬送台車(用)の車輪装置である。
請求項3の発明は、請求項1、又は請求項2の意図を達成すること、また、この意図を図り、かつこのカム板の回転限と復帰限を正確に決めることで、転舵車輪の正確な可動と、復帰とを図ること、等を意図する。
請求項3は、請求項1、又は請求項2に記載の搬送台車の車輪装置であって、
前記カム板の一方のカム板の前進後退方向の回転限を、前進後退限ストッパーで規制する構成とした搬送台車の車輪装置である。
請求項4の発明は、請求項1、又は請求項2の意図を達成すること、また、この意図を図り、かつこの対の転舵車輪に、停止機構を正確に決めることで、転舵車輪の正確な可動と、復帰とを図ること、等を意図する。
請求項4は、 請求項1、又は請求項2に記載の搬送台車の車輪装置であって、
前記対の転舵車輪に、それぞれ停止機構を設けて車輪の回転を規制する構成とした搬送台車の車輪装置である。
請求項1は、搬送用の台車のベースに、前進後退方向の左右端中央部に、対の軸受を介して、それぞれ対の固定車輪を架承し、また、ベースに、前進後退方向の中央に、対の軸受を介して、それぞれ対の転舵車輪を架承し、さらに、固定車輪と、対の転舵車輪を、ベースにクロス状に設ける構成とした搬送台車の車輪装置であって、
対の転舵車輪は、対の軸受の左右端に、両カム板の折曲げ取付け部を、それぞれ支持するとともに、両カム板の三角形状の自由端を、ベースの左右端に向かって対峙して設け、両カム板の自由端に、両カム板を連動するリンクロッドの自由端を、それぞれ枢着することで、リンクロッドを、中央に対して偏芯位置に設ける構成とし、
両カム板の折曲げ取付け部と、三角形状の自由端とが、同じ形状にする構成とするとともに、両カム板の折曲げ取付け部は、軸受の左右端の全幅に亙る構成とした搬送台車の車輪装置である。
従って、請求項1は、搬送用の台車は、その前進後退における走行方向の左右端中央部に対の固定車輪を設け、前進後退方向に向かった、その中央に対の転舵車輪を設けた構造であるので、極めて簡単な構造となり得ること、また、四輪構造であり、コストの削減化と、製造の容易化等に寄与できること、等の特徴を有する。また、請求項1は、対の転舵車輪を、カム板とリンクロッドとの組合せで操作する構造であり、確実な旋回を図り、内輪差の解消と、安全な旋回走行を可能となること、等の利点を有する。さらに、請求項1は、対の転舵車輪と、対の固定車輪を、台車を平面視して、クロス状に設ける構成としたので、確実な旋回を図り、旋回時の盲動解消と、安全な旋回走行を可能となること、等の実益を有する。さらに、請求項1は、カム板が、リンクロッドの引張に耐え得る強度を確保できる最適な領域(面積)を確保できる実益がある。
請求項2の発明は、搬送用の台車のベースに基板を取付け、基板に、前進後退方向の左右端中央部に、対の軸受を介して、それぞれ対の固定車輪を架承し、また、基板に、前進後退方向の中央に、対の軸受を介して、それぞれ対の転舵車輪を架承し、さらに、固定車輪と、この対の転舵車輪を、基板にクロス状に設ける構成とした搬送台車の車輪装置であって、
対の転舵車輪は、対の軸受の左右端に、両カム板の折曲げ取付け部を、それぞれ支持するとともに、両カム板の三角形状の自由端を、ベースの左右端に向かって対峙して設け、この両カム板の自由端に、両カム板を連動するリンクロッドの自由端を、それぞれ枢着することで、リンクロッドを、中央に対して偏芯位置に設ける構成とし、
両カム板の折曲げ取付け部と、三角形状の自由端とが、同じ形状にする構成とするとともに、両カム板の折曲げ取付け部は、軸受の左右端の全幅に亙る構成とした搬送台車(用)の車輪装置である。
従って、請求項2は、請求項1の意図を達成できることと、在来の台車を利用し、この台車(用)の車輪装置を採用することで、転舵車輪付き台車に変更可能となること、即ち、後付け式の台車(用)の車輪装置を提供できること、等の特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項1、又は請求項2に記載の搬送台車の車輪装置であって、
カム板の一方のカム板の前進後退方向の回転限を、前進後退限ストッパーで規制する構成とした搬送台車の車輪装置である。
従って、請求項3は、請求項1、又は請求項2の意図を達成できること、また、この意図を図り、かつこのカム板の回転限と復帰限を正確に決めることで、転舵車輪の正確な可動と、復帰とが図れること、等の特徴を有する。
請求項4の発明は、請求項1、又は請求項2に記載の搬送台車の車輪装置であって、
対の転舵車輪に、それぞれ停止機構を設けて車輪の回転を規制する構成とした搬送台車の車輪装置である。
従って、請求項4は、請求項1、又は請求項2の意図を達成できること、また、この意図を図り、かつこの対の転舵車輪に、停止機構を正確に決めることで、転舵車輪の正確な可動と、復帰とが図れること、等の特徴を有する。
車輪装置を備えた台車の斜視図
車輪装置を備えた台車の側面図
図2のA矢視図
台車の車輪装置の直進方向への走行を示した平面俯瞰図
台車の車輪装置の右旋回への走行を示した平面俯瞰図
台車の車輪装置の左旋回への走行を示した平面俯瞰図
台車の車輪装置の裏面図
従来の台車のベースに設ける台車用の車輪装置を示した平面俯瞰図
台車用の車輪装置の裏面図
従来の台車の軸受取付け台と台車用の車輪装置の基板との関係を示した取付け図
図8−1の基板の角隅と、軸受取付け台との関係を示した端面図
転舵車輪の一例を示した拡大側面図
転舵車輪の他の一例を示した拡大側面図
以下、本発明の一実施例を説明する。
図1〜図5に示した搬送用の新規の台車の製造時に、台車の車輪装置を設ける第一の実施例においては、1は台車であり、この台車1のベース1aには、前進後退方向(矢印イと、矢印ロ)における走行方向100の左右端101、102中央部103に対の軸受200、300を設け、この対の軸受200、300にそれぞれ固定車輪2、3を架承する。また、この台車1には、前進後退方向(矢印イと、矢印ロ)に向かった、走行中央104(中央)に対の軸受500、600を設け、この対の軸受500、600にそれぞれ転舵車輪5、6を架承する。従って、固定車輪2、3と、転舵車輪5、6は、平面視して、例えば、図4−1の如く、十字形状(クロス状)の位置関係であり、かつ走行中央104に対の転舵車輪5、6を有し、左右端101、102中央部103に対の固定車輪2、3を有する構造(この転舵車輪5、6のセンタ(中間)で交差する位置関係に、対の固定車輪2、3を有する構造)が、最大の特徴である。
そして、この対の転舵車輪5、6を架承する各軸受500、600の左右端500a、600aには、それぞれ左右端方向(矢印ハと、矢印ニ)に向かってカム板10、11(リンク板)を設ける。この実施例では、その折曲げ取付け部10a、11aを、各軸受500、600の左右端500a、600aに支持する。また、このカム板10、11は、平面視して、略三角形状で、その90°頂辺隅角を、台車1の内方部位に位置することで、その上辺自由端10b、11bが、左右端方向(矢印ハと、矢印ニ)に設けられる。そして、この上辺自由端10b、11bを切欠き、この上辺自由端10b、11bには、後述するリンクロッドの自由端を枢着するに最適(例えば、リンクロッドの引張に耐え得る強度を確保できる面積である)な領域を確保する。また、図4−1の如く、このリンクロッドの自由端の枢着部位を、転舵車輪5、6の車軸501、601と同じ位置とすることで、例えば、このリンクロッドの自由端のスムーズな動きと、その正確を確保すること、等を意図する。尚、この対の転舵車輪5、6には、図示しないが、回転停止用の停止機構を有する。この停止機構は、この対の転舵車輪5、6が、偏芯構造の自在車輪方式の際に有効であるが、後述する軸芯構造では、原則として、必要がない。
この各カム板10、11の上辺自由端10b、11bには、リンクロッド12の自由端12d、12eが枢着されており、このリンクロッド12は、台車1の走行中央104に形成される直線104aを袈裟切り状に交差する位置関係に設けられる構造であって、常に、この袈裟切り状の位置関係を維持する構造である。その一例を、図4−1から図4−3を基に説明する。この台車1の走行は、この台車1に設けた連結部13(引張連結手段)と、この連結部13の先端に設けた連結杆1300を、牽引車14の連結棒1400に套嵌することで、余裕を持って、先達の台車1から、順次、連結する他の台車1が、直進、又は左右方向に旋回可能に設けられる。そして、この図4−1においては、台車1が前後方向において、直進する状態であり、対の転舵車輪5、6は、図示の如く、直線104aに位置するとともに、カム板10、11は、その車軸501、601の方向であり、かつその軸芯方向に位置する。これにより、リンクロッド12は中間位置12aに存在する。従って、固定車輪2、3と、対の転舵車輪5、6とを介して、台車1が、牽引車14の車輪(図示しない)の軌跡に沿って、その走行方向100に直進する状態である。続いて、図4−2においては、台車1が右に旋回して走行する状態であり、一方の転舵車輪5は、図示の如く、直線104aに対して、向って右側に振られた状態であるのに対し、他方の転舵車輪6は、図示の如く、直線104aに対して、向って左側に振られた状態(逆方向に転向した状態)である。そして、この状態では、一方の転舵車輪5のカム板10は、前進限(最上位)であり、また、他方の転舵車輪6のカム板11も同様に前進限であり、かつ台車1のベース1aの裏面に設けた前進限ストッパー15により規制されている。従って、このカム板10、11は、この前進限で停止されている(回転限)。これにより、リンクロッド12は前進限位置12bに存在する。この一方の転舵車輪5の右側の旋回と、他方の転舵車輪6の左側の旋回とで、牽引車14の車輪の軌跡に沿っての走行が図れる特徴があり、かつ内輪差の弊害解消となる。さらに、図4−3においては、台車1が左に旋回して走行する状態であり、一方の転舵車輪5は、図示の如く、直線104aに対して、向って左側に振られた状態であるのに対し、他方の転舵車輪6は、図示の如く、直線104aに対して、向って右側に振られた状態(逆方向に転向した状態)である。そして、この状態では、一方の転舵車輪5のカム板10は、後退限(最下位)であり、また、他方の転舵車輪6のカム板11も同様に後退限であり、かつ台車1のベース1aの裏面に設けた後退限ストッパー16により規制されている(復帰限)。これにより、リンクロッド12は後退限位置12cに存在する。従って、このカム板10、11は、この後退限で停止されている。この一方の転舵車輪5の左側の旋回と、他方の転舵車輪6の右側の旋回とで、牽引車14の車輪の軌跡に沿っての走行が図れる特徴があり、かつ内輪差の弊害解消となる。
尚、このリンクロッド12は、ターンバックル1200を介して、長さ調整が可能であり、旋回範囲の調整を図ること、又は多様な走行と、内輪差の解消とを広範囲に図ること、等を意図する。
さらに、図6〜図8−2に示した(この第二の実施例においても、第一の実施例と同じ符号を利用する)、従来の台車1−1のベース1a−1に利用して、このベース1a−1に、簡易、かつ有効的に、台車用の車輪装置(車輪装置)を設ける(取付ける)第二の実施例においては(後付け方式の車輪装置)、このベース1a−1に設ける基板20には、この台車1−1の前進後退における走行方向100の左右端101、102中央部103に対の軸受200、300を設け、この対の軸受200、300にそれぞれ固定車輪2、3を架承する。また、この台車1−1には、前進後退方向に向かった、走行中央104(中央)に対の軸受500、600を設け、この対の軸受500、600にそれぞれ転舵車輪5、6を架承する。従って、固定車輪2、3と、転舵車輪5、6は、平面視して、例えば、図6の如く、十字形状(クロス状)の位置関係であり、かつ走行中央104に対の転舵車輪5、6を有し、左右端101、102中央部103に対の固定車輪2、3を有する構造)が、最大の特徴である。
そして、この第二の実施例におけるカム板10、11、並びにリンクロッド12等を設ける構造と作用、並びに特徴は、第一の実施例に準ずる。また、この第二の実施例における前進後退限ストッパー15、16は、基板20に設けることを基本とするが、台車1−1のベース1a−1に設けることも可能である。
尚、この第二の実施例における後付け方式では、台車1−1のベース1a−1に、前記基板20を取付けるに際し、この基板20の角隅部に切欠き20a〜20dを設け、この切欠き20a等を、台車1−1の軸受取付け台1−2の内側に落込むように設ける構造とする(面一か、又は落込み段差を設ける)。これにより、例えば、従来の台車1−1の車高さと略同一とするか、又はその高さを低くし、荷物の載架の容易化、経験の踏襲化、及び/又は、効率化に役立てること、また、台車1−1の保管の容易化、慣れに対応できる構造とする。また、この基板20の軽量化を意図して、空間部21を適宜設ける。そして、この実施例では、使用中の台車1−1に適用できることで、経済的であり、かつ重宝する。
また、この第二の実施例における台車1−1の走行方法100における直進走行と、右旋回、又は左旋回と、この旋回後の走行において、前述した、第一の実施例の牽引車14と、連結部13の操作、固定車輪2、3と、転舵車輪5、6の動きは、図4−1〜図4−3に準ずるので、説明は割愛する。
尚、図9−1と、図9−2は、台車1、1−1を後退する際を考慮したものであり、前記転舵車輪5、6(一方で説明する)を工夫し(軸芯構造)、この後退直進走行ができる一例を示している。例えば、図9−1において、この転舵車輪5の軸芯を、軸受500の中心に設けることで、この転舵車輪5が直線104aに配置される構造とする。従って、後退時において、転舵車輪5の直線104aの方向への転動ができ、もって、後退直進走行が確実に行える。また、図9−2においては、前記後退直進走行に、台車1等の前進側に設けた凸部、又は軸受500に枢着した連結部13を立上げ、手押しバーとして使用することで、前記転舵車輪5の規制、及び/又は、構造と相まって、後退直進走行が確実に行える。
1 台車
1−1 台車
1a ベース
1a−1 ベース
1−2 軸受取付け台
100 走行方向
101 左端
102 右端
103 中央部
104 走行中央
104a 直線
2 固定車輪
200 軸受
3 固定車輪
300 軸受
5 転舵車輪
500 軸受
500a 左端
501 車軸
6 転舵車輪
600 軸受
600a 右端
601 車軸
10 カム板
10a 折曲げ取付け部
10b 自由端
11 カム板
11a 折曲げ取付け部
11b 自由端
12 リンクロッド
1200 ターンバックル
12a 中間位置
12b 前進限位置
12c 後退限位置
12d 自由端
12e 自由端
13 連結部
1300 連結杆
14 牽引車
1400 連結棒
15 前進限ストッパー
16 後退限ストッパー
20 基板
20a 切欠き
20b 切欠き
20c 切欠き
20d 切欠き
21 空間部