JP2011063656A - インクジェット用インク組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも(a)紫外線吸収性基を有する繰り返し単位を顔料分散剤全質量に対し0.5質量%〜20質量%及び(b)顔料吸着性基を有する繰り返し単位を顔料分散剤全質量に対し5質量%〜30質量%を有する顔料分散剤と、顔料と、重合性化合物と、重合開始剤とを含有するインクジェット用インク組成物である。前記顔料分散剤が有する顔料吸着性基は、アミノ基及び顔料の部分骨格の少なくとも一方を有することが好ましい。
【選択図】なし
Description
インクジェット方式の一つとして、活性エネルギー線の照射により硬化可能な硬化性インク組成物を用いた記録方式がある。この方法によれば、印字後直ちに活性エネルギー線を照射することでインク液滴を硬化させることができるので、鮮鋭な画像を形成することができる。以下、単に「硬化性インク組成物」と称するときは、活性エネルギー線の照射により硬化可能な硬化性インク組成物を指す。
即ち、本発明の目的は、顔料が微細に分散され、かつ、長期間保存した場合においても顔料の分散安定性に優れたインクジェット用インク組成物を提供することにある。また、本発明の別の目的はインクジェット記録により画像を形成する際の光硬化性に優れ、かつ、形成した画像の耐光性に優れたインクジェット用インク組成物を提供することにある。
<1> 少なくとも(a)紫外線吸収性基を有する繰り返し単位を顔料分散剤全質量に対し0.5質量%〜20質量%及び(b)顔料吸着性基を有する繰り返し単位を顔料分散剤全質量に対し5質量%〜30質量%を有する顔料分散剤と、顔料と、重合性化合物と、重合開始剤とを含有するインクジェット用インク組成物である。
本発明のインクジェット用インク組成物は、少なくとも(a)紫外線吸収性基を有する繰り返し単位0.5質量%〜20質量%及び(b)顔料吸着性基を有する繰り返し単位5質量%〜30質量%を有する顔料分散剤と、顔料と、重合性化合物と、光重合開始剤とを含有する。
インクジェット用インク組成物は、界面活性剤や紫外線吸収剤等の他の成分を含んでいてもよい。以下、インクジェット用インク組成物を「インク組成物」と称することもある。
また、本発明のインクジェット用インク組成物に含まれる顔料分散剤は、(a)紫外線吸収性基を有する繰り返し単位0.5質量%〜20質量%及び(b)顔料吸着性基を有する繰り返し単位5質量%〜30質量%を有する重合体(以下、「特定重合体」ともいう)であり、(a)及び(b)以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。
かかる紫外線吸収剤の分布状態では、光(活性放射線)から保護されるべき顔料のそばのみならず、光の吸収を妨げられると機能を損なう光重合開始剤や重合性化合物のそばにも、紫外線吸収剤が存在し、非効率的である。また、紫外線吸収剤を余分に含有させるために、その分、インク組成物の硬化性に寄与する成分である重合性化合物や重合開始剤のインク組成物中の割合が少なくなり易い。
特定重合体の分子構造により、紫外線吸収性基は顔料近傍にのみ偏在し易くなり、換言すれば、インク組成物の硬化に寄与する成分の近傍に存在する紫外線吸収性基の濃度を低下できるため、インク組成物の硬化に寄与する成分である光重合開始剤や重合性化合物の光(活性放射線)吸収を妨げにくく、光(活性放射線)の照射によるインク組成物の硬化低下を抑制することができる。
従って、本発明のインクジェット用インク組成物は、厳密な粘度管理が必要なインクジェット用インク組成物として、インクジェットプリンターにより画像や文字を描画する用途に好適に用いられる。
以下、本発明のインクジェット用インク組成物の必須の構成成分である顔料分散剤(特定重合体)、顔料、重合性化合物、及び光重合開始剤について、詳細に説明する。
本発明のインクジェット用インク組成物に含まれる顔料分散剤(特定重合体)は、少なくとも、(a)紫外線吸収性基を有する繰り返し単位を顔料分散剤全質量に対し0.5質量%〜20質量%、(b)顔料吸着性基を有する繰り返し単位を顔料分散剤全質量に対し5質量%〜30質量%を有する重合体である。
さらに、特定重合体は、分子内に含まれる顔料吸着性基により顔料を吸着しつつ、同様に分子内に含まれる紫外線吸収性基により直接的に顔料を光から保護することにより、インク組成物中に、単に、顔料非吸着性の紫外線吸収剤を添加・分散させた場合と比較して、インク組成物を硬化する際の硬化感度に優れるという特徴を具備する。
特定重合体は、(a)紫外線吸収性基を有する繰り返し単位を含む。
紫外線吸収基としては、公知の紫外線吸収性化合物から水素原子を1つ取り除いた構造を有する基が挙げられる。
公知の紫外線吸収性化合物としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンズトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物が挙げられる。
従って、特定重合体が含む紫外線吸収性基としては、ベンズトリアゾール系化合物から水素原子を1つ取り除いた基、ベンゾフェノン系化合物から水素原子を1つ取り除いた基、トリアジン系化合物から水素原子を1つ取り除いた基、及びヒンダードアミン系化合物から水素原子を1つ取り除いた基が好ましい。さらには、ベンズトリアゾール系化合物から水素原子を1つ取り除いた基、ベンゾフェノン系化合物から水素原子を1つ取り除いた基、及びトリアジン系化合物から水素原子を1つ取り除いた基がより好ましい。
中でも、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイロキシエチルフェニル)−2H−ベンズトリアゾールが好ましい。
紫外線吸収性基を有する繰り返し単位の特定重合体中の割合は、特定重合体全質量に対し、1.0質量%〜20質量%であることが好ましく、5質量%〜20質量%であることがより好ましい。
特定重合体は、(b)顔料吸着性基を有する繰り返し単位を特定重合体全質量に対し5質量%〜30質量%を有する。
顔料への吸着性を高めるため、(b)顔料吸着性基は、アミノ基及び顔料と同一又は類似する構造を有する基の少なくとも一方を有することが好ましい。(b)顔料吸着性基が、アミノ基及び顔料と同一又は類似する構造を有する基の少なくとも一方を含むことにより、遊離の顔料分散剤量を減少することができ、顔料の分散性、及びインク租税物の保存安定性を高めることができる。
顔料と同一の構造を有する顔料吸着性基としては、顔料から水素原子を1つ取り除いた構造が挙げられる。顔料と類似する構造を有する顔料吸着性基としては、顔料の部分骨格で形成される構造や、置換基を有する顔料から水素原子を1つ取り除いた構造も含まれる。顔料が有する置換基としては、アルキル基(例えば、メチル、エチル、tert−ブチル等)、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子等)等が挙げられる。
顔料の部分骨格を有する基を形成し得る有用な顔料としては、具体的には、フタロシアニン系顔料、不溶性アゾ系顔料、アゾレーキ系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料等が挙げられる。
Jとしては−COO−、及びフェニレン基が好ましい。
R1で表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基が挙げられる。
R1で表されるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
R1としては、上記の中でも、水素原子が好ましい。
Wで表されるアラルキレン基としては、炭素数7〜13のアラルキレン基が好ましく、例えば、ベンジリデン基、シンナミリデン基等が挙げられる。
Wで表されるアリーレン基としては、炭素数6〜12のアリーレン基が好ましく、例えば、フェニレン基、クメニレン基、メシチレン基、トリレン基、キシリレン基等が挙げられ、中でもフェニレン基は特に好ましい。
R2、及びR3は、それぞれ独立に、水素又はアルキル基を表し、具体的には、水素、メチル基、エチル基、プロピル基等が好適である。
さらには、Pは、有機顔料を形成する複素環残基であることが好ましい。
有機顔料を形成する複素環残基としては、フタロシアニン系、不溶性アゾ系、アゾレーキ系、アントラキノン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾール系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、アントラピリミジン系、アンサンスロン系、インダンスロン系、フラバンスロン系、ペリノン系、ペリレン系、チオインジゴ系、キノフタロン系顔料を形成する複素環残基が挙げられる。
これらの内、ベンズイミダゾロンから水素原子を1つ取り除いた構造の基、インドールから水素原子を1つ取り除いた構造の基、キノリンから水素原子を1つ取り除いた構造の基、カルバゾールから水素原子を1つ取り除いた構造の基、アクリジンから水素原子を1つ取り除いた構造の基、アクリドンから水素原子を1つ取り除いた構造の基、アントラキノンから水素原子を1つ取り除いた構造の基、ナフタルイミドから水素原子を1つ取り除いた構造の基、ベンズイミダゾールから水素原子を1つ取り除いた基、キナクリドンから水素原子を1つ取り除いた基、およびフタルイミドから水素原子を1つ取り除いた構造の基がより好ましい。
顔料吸着性基は、アミノ基を有することが好ましい。
より具体的には、(b)顔料吸着性基を有する繰り返し単位は、アミノ基を有するモノマー由来の繰り返し単位を含むことが好ましく、特定重合体は、アミノ基を有するモノマーを共重合成分とする共重合体であることがより好ましい。
顔料吸着性基としては、アミノ基または顔料の部分骨格を含むことが好ましく、アミノ基と顔料の部分骨格の両方を含むことがより好ましい。顔料と異なる機構で吸着する二種の吸着基を使用することで、特定重合体は迅速にかつ安定に顔料に吸着するため、分散性と分散安定性を発現するものと思われる。
特定重合体はさらに、共重合成分としてさらに、(c)末端にエチレン性不飽和結合を有するマクロモノマー由来の繰り返し単位を特定重合体全質量に対し10質量%〜80質量%を有するグラフト重合体であることが特に好ましい。
マクロモノマーは、下記一般式(2)で表されるマクロモノマーであることが好ましい。
Yは、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又は、2−ヒドロキシエチル基であることが好ましい。
上記の中でも、R23は、メチル基、n−ブチル基、または、2−エチルヘキシル基、であることが好ましく、R24は、メチル基、ブチル基、または、ヘキシル基であることが好ましい。
一般式(4)におけるR32で表されるアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、tert−ブチレン基等が挙げられ、R32の炭素数は1〜3であることが好ましい。
一般式(4)におけるR33で表されるアルキレン基としては、置換基を有してもよいトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基本等が挙げられ、R33の炭素数は3〜7であることが好ましい。
一般式(4)におけるR34で表されるアリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられ、R34で表されるアリール基の炭素数は6〜12であることが好ましい。
中でも、−O−、−CH2−、−CH(OH)−からなる群より選択される1つ又は2〜6個の組合せからなる二価の連結基が好ましい。
一般式(5)におけるR36で表されるアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、tert−ブチレン基等が挙げられ、R36の炭素数は1〜5であることが好ましい。
一般式(5)におけるR37で表されるアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、tert−ブチレン基等が挙げられ、R37の炭素数は3〜7であることが好ましい。
一般式(5)におけるR38で表されるアリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられ、R38で表されるアリール基の炭素数は6〜12であることが好ましい。
中でも、−NH−、−O−、−C(=O)−からなる群より選択される1つ又は2〜3個の組合せからなる二価の連結基が好ましい。
一般式(5)で表されるマクロモノマーとしては、例えば、末端に2−エチルヘキサノイル基と水酸基を有するポリ(ε−カプロラクトン)と2−イソシアナトエチルメタクリレートの付加物などが挙げられ、これらは市販品であってもよいし、適宜合成したものであってもよい。
中でも、不飽和カルボン酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルキルアリールエステル及びカルボン酸ビニルエステルが好ましい。
特定重合体の重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であれば、インクジェット用インクとして経時保存後も、より安定に吐出可能なインクジェット用インクを得ることができる。
なお、本発明のインク組成物には、効果を損なわない限りにおいて、特定重合体に加えて、公知の顔料分散剤を併用することができる。公知の顔料分散剤の含有量としては、特定重合体の50質量%以下であることが好ましい。
本発明のインクジェット用インク組成物は、顔料を含有する。
顔料は、前記インクジェット用インク組成物の色材として機能する。本発明においては、粒径の微細な顔料が、顔料分散剤の機能により前記インク組成物中に均一、且つ安定に分散される結果、本発明の顔料分散物は発色性に優れ、鮮鋭かつ耐候性に優れる画像が形成可能となる。また、粗大な2次粒子を極力減少させることにより、吐出安定性に優れたインクジェット用インク組成物が得られる。
本発明で好ましく使用できる顔料としては、例えば、特開2008−224982号公報の段落番号[0032]に記載される顔料を用いることができ、中でも銅フタロシアニン顔料が好ましく、C.I.Pigment Blue(以下PBと略称する)15、PB15:1、PB15:2、PB15:3、PB15:4、PB15:6が好ましい。
本発明で好ましく使用できる顔料としてはC.I.Pigment Green(以下PGと略称する)7、PG8、PG10、PG36などが挙げられる。
本発明で好ましく使用できる顔料としては、C.I.Pigment Orange(以下POと略称する)2、その他、特開2008−224982号公報の段落番号[0035]に記載される顔料を用いることができる。
本発明で好ましく使用できる顔料としてはC.I.Pigment Violet(以下PVと略称する)13、PV17、PV23、PV29、PV32、PV37、PV50等が挙げられる。
ここで平均粒径とはインク組成物を公知の動的光散乱測定法やレーザー回折法により測定した際の体積平均粒径を指し、顔料が平均して微細化されている指標として用いる。最大粒径とは、インク組成物を個数カウント型粒度分布測定器やフロー式粒子像分析装置により測定した最大粒子径を指し、吐出不良の原因となる粗大な粒子の存在を確認するために用いる。
顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ニーダー、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル等の公知の分散装置を用いることができる。
顔料の分散をする上では、顔料濃度が低すぎると前記分散装置によるシェアがかかりにくいため、インクジェットインクよりも顔料濃度が濃厚な顔料分散物を予め作成し、インク調製時に顔料分散物を希釈し用いることが好ましい。顔料濃度が濃厚な顔料分散物中の顔料の濃度は10質量%〜50質量%が好ましく、10質量%〜30質量%がより好ましく、15質量%〜30質量%が最も好ましい。この範囲では分散装置のたとえばメディアなどによる顔料の凝集を破砕する力が効率的に伝わり、比較的短時間で分散が完了する傾向にある。
インク組成物中の非重合性化合物の含有量を、上記範囲にすることでインクの硬化性を維持することができ、硬化したインク画像の、耐溶剤性の劣化、ブロッキング性の低下を防ぐ事ができる。
本発明のインクジェット用インク組成物は、重合性化合物を含有する。
重合性化合物は、何らかのエネルギー付与により重合反応を生起し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、モノマー、オリゴマー、ポリマーの種を問わず使用することができるが、特に、重合開始剤から発生する開始種により重合反応を生起する、光ラジカル重合性化合物、光カチオン重合性化合物として知られる各種公知の重合性のモノマーが好ましい。
本発明のインクジェット用インク組成物には、硬化感度向上の観点から、重合開始剤を併用する。
重合開始剤は、ラジカル重合開始剤を含有することが好ましく、光重合開始剤を含有することがより好ましい。
本発明における光重合開始剤は、活性エネルギー線の作用、または、増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、化学変化を生じ、ラジカルを生成する化合物である。
インク組成物中の光重合開始剤の含有量は、インク組成物全質量に対して、0.1質量%〜20質量%の範囲であることが好ましく、0.5質量%〜15質量%であることがより好ましく、1質量%〜10質量%であることが特に好ましい。
吐出時の温度でのインク粘度は使用する重合性化合物の種類や顔料濃度を本発明の効果を損ねない範囲内で変更する事により上記範囲内に調整することができる。インク粘度を低下させるためには、重合性化合物として、例えば低極性や低分子量の低粘度な重合性化合物の使用比率を増加させたり、顔料の含有量を低下させることで調整可能である。一方、インク粘度を増加させる場合には、重合性化合物として、例えば、高極性の化合物や高分子量の化合物といった高粘土な重合性化合物の比率を増加させたり、顔料の含有量を増加させることで調整可能である。
インクジェット用インク組成物の表面張力は公知の界面活性剤を使用することで調整することができる。
このインクにより得られた印刷物は、画像部が活性エネルギー線照射により硬化しており、画像部の強度に優れるため、インクによる画像形成以外にも、例えば、平版印刷版のインク受容層(画像部)の形成など、種々の用途に使用しうる。
本発明の活性エネルギー線とは、その照射によりインクジェット用インク組成物において開始種を発生させうるエネルギーを付与することができるものであれば、特に制限はなく、α線、γ線、X線などの高エネルギー放射線、紫外線、可視光線、赤外線などの紫外線から赤外線に至る光線、電子線などの粒子線を広く包含するものであるが、なかでも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線および電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。したがって、本発明の硬化性組成物としては、紫外線を照射することにより硬化可能なものが好ましい。紫外線の光源としては水銀灯、メタルハライドランプ、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー、蛍光灯等が用いられる。本発明では、水銀灯、メタルハライドランプ、発光ダイオード、蛍光灯を光源として用いることが好ましく、300nm〜400nmに発光波長を有することがより好ましい。
(増感色素)
本発明のインクジェット用インク組成物には、光重合開始剤の感度を向上させる目的で、増感色素を添加してもよい。増感色素としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有するものが好ましい。
増感色素としては、例えば、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、アントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)が挙げられる。
さらに、本発明のインクジェット用インク組成物には、感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する公知の化合物を共増感剤として加えてもよい。
このような共増感剤としては、アミン類、例えば、M. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号に記載の化合物等が挙げられ、より具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
また他の共増感剤としては、例えば、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特願平6−191605号記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
以下に、本発明のインクジェット用インク組成物に用いうる添加剤を挙げる。
本発明のインクジェット用インク組成物には、液物性調整のためにノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤や、有機フルオロ化合物などを添加することもできる。
また、この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
本発明のインクジェット用インク組成物はインクジェットプリンターにより画像を形成し、活性エネルギー線により画像を定着させることが好ましい。本発明のインクジェット用インクを用いたインクジェット記録方法としては、前記インクジェット用インク組成物を40℃〜80℃に加熱して、インク組成物の粘度を30mPa・s以下とした後、射出することが好ましく、この方法を用いることにより高い射出安定性を実現することができる。
一般に、活性エネルギー線硬化型インク組成物では、概して水性インクより粘度が高いため、印字時の温度変動による粘度変動幅が大きい。このインク組成物の粘度変動は、そのまま液滴サイズ、液滴射出速度に対して大きな影響を与え、これにより画質劣化を引き起こすため、印字時のインク組成物温度はできるだけ一定に保つことが必要である。インク組成物温度の制御幅は設定温度±5℃とすることが好ましく、設定温度±2℃とすることがより好ましく、設定温度±1℃とすることが特に好ましい。
また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインク組成物が浸透する前に露光することができる為、未反応モノマーの残留を抑えられ、その結果として臭気を低減することができる。
前記インクジェット記録方法と本発明の硬化性インク組成物とを併せて用いることにより、大きな相乗効果をもたらすことになる。特に、25℃におけるインク粘度が200mPa・s以下のインク組成物を用いると大きな効果を得ることができる。
このような記録方法を取ることで、表面の濡れ性が異なる様々な被記録媒体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインクを重ねると、下部のインクまで照射線が到達しにくく、硬化感度の阻害、残留モノマーの増加および臭気の発生、密着性の劣化が生じやすい。また、照射は、全色を射出した後、まとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点から好ましい。
前記好ましい射出条件によれば、本発明のインク組成物は加温、降温を繰り返すことになるが、前記顔料分散剤(特定重合体)の機能により、このような温度条件下で保存された場合でも、顔料分散性の低下が抑制され、長期間にわたり優れた発色性が得られ、且つ、顔料の凝集に起因する吐出性の低下も抑制されるという利点をも有する。
本発明のインクジェット用インク組成物を適用しうる被記録媒体としては、特に制限はなく、通常の非コート紙、コート紙などの紙類、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性樹脂材料あるいは、それをフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム等が挙げられる。その他、被記録媒体材料として使用しうるプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが挙げられる。また、金属類や、ガラス類も被記録媒体として使用可能である。
−モノマーM−4の合成−
9(10H)アクリドン〔和光純薬工業社製〕(15g)、水酸化ナトリウム〔和光純薬工業社製〕(3.4g)をジメチルスルホキシド〔和光純薬工業社製〕(84g)に溶解させ、45℃に加熱した。これにCMS−P〔クロロメチルスチレン、セイミケミカル社製〕(17.6g)を滴下し、50℃でさらに5時間加熱攪拌して反応液を得た。この反応液を蒸留水(30g)、メタノール〔和光純薬工業社製〕(30g)の混合溶液に攪拌しながら注ぎ、得られた析出物を濾別、蒸留水、メタノールを同質量ずつ混合した溶液300gで洗浄することで、モノマーM−4を17.5g得た。
1,8−ナフタルイミド〔関東化学社製〕(355.0g)をN−メチルピロリドン〔和光純薬工業社製〕(1500mL)に溶解させ、25℃にてニトロベンゼン〔和光純薬工業社製〕(0.57g)を添加し、ここへDBU(ジアザビシクロウンデセン)〔和光純薬工業社製〕(301.4g)を滴下した。30分撹拌した後、CMS−P(412.1g)を滴下し、60℃でさらに4時間加熱攪拌して反応液を得た。この反応液へイソプロパノール〔和光純薬工業社製〕(2.7L)、蒸留水(0.9L)を加え、5℃に冷却しながら攪拌した。得られた析出物を濾別し、イソプロパノール(1.2L)で洗浄することで、モノマーM−17を544.0g得た。
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンズトリアゾール〔商品名:RUVA−93、大塚化学社製〕(4.0g)、2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート〔アルドリッチ社製、以下、「tBuAEMA」と表記することがある〕(4.0g)、末端にメタクリロイル基を有するポリ(メチルメタクリレート)マクロモノマー〔商品名:AA−6、東亞合成(株)製〕(12.0g)、及びメチルエチルケトン(40g)を、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して65℃まで昇温した。これに、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔V−65、和光純薬工業社製〕を40mg加え、65℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−65を40mg加え、3時加熱攪拌した。得られた反応液をヘキサン1000mLに攪拌しながら注ぎ、生じた沈殿を加熱乾燥させることで特定重合体1を得た。
特定共重合体1の重量平均分子量(ポリスチレン換算)をGPCにより測定した結果、76,500であったことより、特定重合体(ポリマー)が得られたことを確認した。
RUVA−93(1.0g)、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド〔和光純薬工業社製、以下「DMAPAAm」と表記することがある〕(4.0g)、モノマーM−17(2.0g)、AA−6(10.0g)、末端にメタクリロイル基を有するポリ(ε−カプロラクトン)〔商品名:プラクセルFA10L、30%トルエン溶液、ダイセル化学工業社製〕(10.0g)、及びメチルエチルケトン(33g)を、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して65℃まで昇温した。これに、V−65を20mg加え、65℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−65を20mg加え、3時加熱攪拌した。得られた反応液をヘキサン(1000mL)に攪拌しながら注ぎ、生じた沈殿を加熱乾燥させることで特定重合体2(重量平均分子量151,000)を得た。
RUVA−93(2.0g)、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド〔和光純薬工業社製〕(1.5g)、モノマーM−4(3.5g)、末端にメタクリロイル基を有するポリ(ブチルアクリレート−co−2−ヒドロキシエチルメタクリレート)〔商品名:AX−707S、60%トルエン溶液、東亞合成社製〕(21.7g)、及びメチルエチルケトン(35g)を、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して65℃まで昇温した。これに、V−65を40mg加え、65℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−65を40mg加え、3時加熱攪拌した。得られた反応液をヘキサン(1000mL)に攪拌しながら注ぎ、生じた沈殿を加熱乾燥させることで特定重合体3(重量平均分子量64,000)を得た。
RUVA−93(0.2g)、DMAPAAm(1.5g)、モノマーM−4(3.5g)、AX−707S(21.7g)、及びメチルエチルケトン(35g)を、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して65℃まで昇温した。これに、V−65を40mg加え、65℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−65を40mg加え、3時加熱攪拌した。得られた反応液をヘキサン(1000mL)に攪拌しながら注ぎ、生じた沈殿を加熱乾燥させることで特定重合体4(重量平均分子量51,000)を得た。
RUVA−93(2.0g)、tBuAEMA(0.4g)、モノマーM−4(0.6g)、AA−6(14.0g)、メチルメタクリレート〔和光純薬工業社製、以下「MMA」と表記することがある〕(3.0g)及びメチルエチルケトン(40g)を、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して65℃まで昇温した。これに、V−65を20mg加え、65℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−65を20mg加え、3時加熱攪拌した。得られた反応液をヘキサン(1000mL)に攪拌しながら注ぎ、生じた沈殿を加熱乾燥させることで特定重合体5(重量平均分子量121,000)を得た。
RUVA−93(2.0g)、DMAPAAm(1.5g)、モノマーM−4(3.5g)、AA−6(2.0g)、MMA(11.0g)及びメチルエチルケトン(40g)を、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して65℃まで昇温した。これに、V−65を20mg加え、65℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−65を20mg加え、3時加熱攪拌した。得られた反応液をヘキサン(1000mL)に攪拌しながら注ぎ、生じた沈殿を加熱乾燥させることで特定重合体6(重量平均分子量86,000)を得た。
RUVA−93(1.0g)、DMAPAAm(1.6g)、モノマーM−4(1.4g)、AA−6(16.0g)及びメチルエチルケトン(40g)を、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して65℃まで昇温した。これに、V−65を20mg加え、65℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−65を20mg加え、3時加熱攪拌した。得られた反応液をヘキサン(1000mL)に攪拌しながら注ぎ、生じた沈殿を加熱乾燥させることで特定重合体7(重量平均分子量186,000)を得た。
RUVA−93(4.0g)、AA−6(16.0g)及びメチルエチルケトン(40g)を、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して65℃まで昇温した。これに、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を40mg加え、65℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−65を40mg加え、3時加熱攪拌した。得られた反応液をヘキサン(1000mL)に攪拌しながら注ぎ、生じた沈殿を加熱乾燥させることで比較重合体1(重量平均分子量84,000)を得た。
N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド〔和光純薬工業社製〕(1.5g)、モノマーM−4(3.5g)、末端にメタクリロイル基を有するポリ(ブチルアクリレート−co−2−ヒドロキシエチルメタクリレート)〔商品名:AX−707S、60%トルエン溶液、東亞合成社製〕(21.7g)、MMA 2.0g、及びメチルエチルケトン(35g)を、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して65℃まで昇温した。これに、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を40mg加え、65℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−65を40mg加え、3時加熱攪拌した。得られた反応液をヘキサン(1000mL)に攪拌しながら注ぎ、生じた沈殿を加熱乾燥させることで比較重合体2(重量平均分子量64,000)を得た。
RUVA−93(4.0g)、MMA(16.0g)、n−ドデシルメルカプタン(0.06g)、及び、メチルエチルケトン(40g)を窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して65℃まで昇温した。これに、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を15mg加え、65℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−65を15mg加え、3時加熱攪拌した。得られた反応液をヘキサン(1000mL)に攪拌しながら注ぎ、生じた沈殿を加熱乾燥させることで比較重合体3(重量平均分子量98,000)を得た。
RUVA−93(5.0g)、tBuAEMA(1.0g)、AA−6(14.0g)及びメチルエチルケトン(40g)を、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して65℃まで昇温した。これに、V−65を30mg加え、65℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−65を30mg加え、3時加熱攪拌した。得られた反応液をヘキサン(1000mL)に攪拌しながら注ぎ、生じた沈殿を加熱乾燥させることで比較重合体4(重量平均分子量110,000)を得た。
RUVA−93(4.0g)、tBuAEMA(0.4g)、AA−6(15.6g)及びメチルエチルケトン(40g)を、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して65℃まで昇温した。これに、V−65を40mg加え、65℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−65を40mg加え、3時加熱攪拌した。得られた反応液をヘキサン(1000mL)に攪拌しながら注ぎ、生じた沈殿を加熱乾燥させることで比較重合体5(重量平均分子量91,000)を得た。
RUVA−93(4.0g)、tBuAEMA(7.0g)、AA−6(9.0g)及びメチルエチルケトン(40g)を、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して65℃まで昇温した。これに、V−65を40mg加え、65℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−65を40mg加え、3時加熱攪拌した。得られた反応液をヘキサン(1000mL)に攪拌しながら注ぎ、生じた沈殿を加熱乾燥させることで比較重合体6(重量平均分子量52,000)を得た。
特定重合体1(8.0g)を、2−フェノキシエチルアクリレート〔商品名:SR339、サートマー社製、重合性化合物〕(72g)に溶解させ、黄色顔料PY120〔商品名:Novoperm Yellow H2G、クラリアント社製〕(20g)と共にビーズミル〔モーターミルM50、アイガー社製、ビーズ:ジルコニアビーズ、直径0.65mm〕を用い、周速9.0m/sで2.0時間分散を行い、ミルベース(濃厚顔料分散液)1を得た。
ミルベース1の調製において、特定重合体1の代わりに、それぞれ特定重合体2〜特定重合体7、比較重合体1、比較重合体2、比較重合体4〜比較重合体6を用いた以外は同様にして、ミルベース2〜ミルベース7とミルベース101〜105を調製した。表1に顔料分散剤の組成とともにミルベース作成に用いた化合物の添加量を示す。併せて、紫外線吸収剤である比較重合体3の組成比も記載した。
−インクジェットインクの作製−
表2に示す量の重合性化合物、重合開始剤、界面活性剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤をミルベースに加え、混合させた後、これをメンブランフイルターで加圧濾過し、実施例1〜7、及び比較例1〜7イクジェット用インクを得た。なお、インクの作成に使用した各化合物の略称と名称、製造メーカーは以下の通りである。
SR508〔ジプロピレングリコールジアクリレート、サートマー社製〕
SR238〔1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、サートマー社製〕
SR339〔2−フェノキシエチルアクリレート、サートマー社製〕
LucirinTPO−L〔アシルフォスフィンオキサイド化合物、BASF社製〕
イルガキュア184〔チバスペシャルティケミカルズ社製〕
ベンゾフェノン〔和光純薬工業社製〕
RUVA−93〔2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンズトリアゾール、大塚化学社製〕
比較重合体3〔2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンズトリアゾール・メチルメタクリレート共重合体〕
・重合禁止剤・・・MEHQ〔メトキシハイドロキノン、東京化成工業社製〕
得られたインクジェットインクについて、下記の評価方法に従って評価した。その結果を表2に記す。
各インクジェットインクの40℃における粘度を、E型粘度計〔東機産業社製〕を用いて測定し、下記評価基準により評価した。
A:25mPas未満
B:25mPas以上、40mPas未満
C:40mPas以上(吐出上問題のあるレベル)
各インクジェットインクを25℃で1ヶ月保存した後の分散状態、及び60℃で1週間保存後の分散状態を、それぞれ粘度増加量により、下記評価基準で評価した。
A:粘度の増加が5%未満で吐出性に問題ないレベル。
B:粘度の増加が5%以上10%未満で吐出性が問題ないレベル。
C:粘度の増加が10%以上20%未満で吐出安定性が低下するレベル。
D:粘度の増加が10%以上であり吐出安定性が著しく低下するレベル。
得られた各インクジェットインクを、ピエゾ型インクジェットヘッド(CA3ヘッド、東芝テック(株)製、印字密度300dpi、打滴周波数4kHz、ノズル数64)を用いて、塩化ビニルフィルム上に印字してから、Deep UVランプ〔ウシオ電機(株)製、SP−7〕で1000mJ/cm2または1500mJ/cm2のエネルギーとなる条件で露光し、印字サンプルを得た。
硬化性は、硬化皮膜を指で触れて、べたつきの有無を以下の評価基準で評価した。
A:べたつきがない
B:僅かにべたつきがある
C:著しくべたつく
硬化性評価で用いた前記ピエゾ型インクジェットヘッドを用いて塩化ビニルフィルム上にベタ印字後、2000mJ/cm2の露光量で硬化させた画像に、ウエザーメーター(アトラスC.165)を用いて、キセノン光(100,000lx)を7日間照射した。キセノン照射前後の画像濃度を、反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率により、下記評価基準に基づき評価した。尚、前記反射濃度は1.0に固定し測定した。
A:色素残存率が95%以上
B:色素残存率が90%以上95%未満
C:色素残存率が90%未満
Claims (11)
- 少なくとも(a)紫外線吸収性基を有する繰り返し単位を顔料分散剤全質量に対し0.5質量%〜20質量%及び(b)顔料吸着性基を有する繰り返し単位を顔料分散剤全質量に対し5質量%〜30質量%を有する顔料分散剤と、顔料と、重合性化合物と、重合開始剤とを含有するインクジェット用インク組成物。
- 前記顔料分散剤が有する顔料吸着性基は、アミノ基及び顔料の部分骨格の少なくとも一方を有する請求項1に記載のインクジェット用インク組成物。
- 前記顔料吸着性基は、アクリドンから水素原子を1つ取り除いた基、アントラキノンから水素原子を1つ取り除いた基、ナフタルイミドから水素原子を1つ取り除いた基、ベンズイミダゾールから水素原子を1つ取り除いた基、キナクリドンから水素原子を1つ取り除いた基、及びベンズイミダゾロンから水素原子を1つ取り除いた基かならなる有機顔料を形成する複素環残基より選択される少なくとも1種を含む請求項1または請求項2に記載のインクジェット用インク組成物。
- 前記一般式(1)におけるPは、アクリドンから水素原子を1つ取り除いた基、アントラキノンから水素原子を1つ取り除いた基、ナフタルイミドから水素原子を1つ取り除いた基、ベンズイミダゾールから水素原子を1つ取り除いた基、キナクリドンから水素原子を1つ取り除いた基、及びベンズイミダゾロンから水素原子を1つ取り除いた基より選択される少なくとも1種である請求項4に記載のインクジェット用インク組成物。
- 前記(a)紫外線吸収性基が、ベンズトリアゾール系化合物から水素原子を1つ取り除いた基、ベンゾフェノン系化合物から水素原子を1つ取り除いた基、及びトリアジン系化合物から水素原子を1つ取り除いた基からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。
- 前記顔料分散剤は、共重合成分としてさらに、(c)末端にエチレン性不飽和結合を有するマクロモノマー由来の繰り返し単位を顔料分散剤全質量に対し10質量%〜80質量%を有する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。
- 前記末端にエチレン性不飽和結合を有するマクロモノマーは、末端にエチレン性不飽和結合を有する、ラクトンまたは、エチレン性不飽和結合を有するモノマーの付加重合体である請求項7又は請求項8に記載のインクジェット用インク組成物。
- 前記顔料分散剤は、(a)紫外線吸収性基を有する繰り返し単位を顔料分散剤全質量に対し0.5質量%〜20質量%、(b)顔料吸着性基を有する繰り返し単位を顔料分散剤全質量に対し5質量%〜30質量%、及び、(c)末端にエチレン性不飽和結合を有するマクロモノマー由来の繰り返し単位を顔料分散剤全質量に対し10質量%〜80質量%を有するグラフト重合体である請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。
- 前記顔料は、少なくとも、C.I.Pigment Yellow74、C.I.Pigment Yellow120、C.I.Pigment Yellow150、C.I.Pigment Yellow155、C.I.Pigment Yellow180、及びC.I.Pigment Yellow185からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。
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