JP2006241191A - インク組成物、それを用いたインクジェット記録方法、及び印刷物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (a)重合性化合物、(b)顔料、及び(c)少なくとも窒素原子含有基及びエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーからなる重合単位を有する重合体を含有することを特徴とするインク組成物、及びそれを用いたインクジェット記録方法、並びに印刷物。
【選択図】 なし
Description
インクジェット方式の一つとして、活性放射線の照射により、硬化可能なインクジェット記録用インクを用いた記録方式がある。この方法によれば、印字後直ちに放射線照射し、インク液滴を硬化させることで鮮鋭な画像を形成することができる。
このような硬化性インク組成物は、発色性に優れた高精細画像を形成するため、高い顔料分散性とその経時的な安定性が求められる。インク組成物に鮮明な色調と高い着色力を付与するためには、顔料の微細化が必須である。特に、インクジェット記録用に用いられるインクでは、吐出されるインク液滴が画像の鮮鋭度に大きな影響を与えるため、吐出液滴も少量となり、且つ、該インクより形成されるインク硬化膜の膜厚よりも微細な粒子を用いることが必須となる。このように、高い着色力を得るために顔料粒子をより微細化していくと、微粒子の分散が困難になり、凝集体が発生しやすくなる。また、分散剤の添加により組成物の粘度が上昇するといった問題も生じる。顔料凝集体の発生やインク組成物の粘度上昇はいずれもインク吐出性に悪影響を与え、インク組成物への使用は好ましくない。
従って、充分な流動性を有し、かつ微細化された顔料を安定に分散させ、さらに、顔料分散の経時安定性に優れるインク組成物が求められている。安定な顔料分散液を得るための分散剤については、種々の提案がなされている。
また、特殊な高分子化合物であるポリ(エチレンイミン)−ポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)グラフトポリマーなどの分散剤と該分散剤を溶解させる特定のモノマーを含有する、有機溶剤を用いないインク組成物(例えば、特許文献3参照。)が提案されている。このインク組成物は分散剤により、顔料の分散安定性を向上させているが、顔料の微細化が不十分である。さらには、長期間あるいは温度変化を繰り返した際の分散安定性が未だ不十分であるという問題があった。
また、本発明の他の目的は、鮮明な色調と高い着色力を有するインク組成物を用いて得られた印刷物を提供することにある。
即ち、本発明は、以下のとおりである。
<2> 前記少なくとも窒素原子含有基及びエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーが、下記一般式(I)で表されるモノマーであることを特徴とする<1>に記載のインク組成物。
<4> 前記重合体が、更に、末端にエチレン性不飽和二重結合を有する重合性オリゴマー(マクロモノマー)からなる重合単位を有するグラフト重合体であることを特徴とする<1>〜<3>の何れか1つに記載のインク組成物。
<6> 更に光重合開始剤を含有することを特徴とする<1>〜<5>の何れか1つに記載のインク組成物。
<8> 前記(a)重合性化合物がカチオン重合性化合物であり、前記光重合開始剤が光酸発生剤であることを特徴とする<6>に記載のインク組成物。
<9> インクジェット記録用インク組成物であることを特徴とする<1>〜<8>の何れか1つに記載のインク組成物。
<11> <9>に記載のインク組成物をインクジェットプリンターにより印字した後、活性放射線を照射してインク組成物を硬化させてなる印刷物。
また、インクジェット記録方法を適用することで、非吸収性の被記録媒体上にも、高品質の画像をデジタルデータに基づき直接形成しうることから、本発明のインク組成物は大面積の印刷物の作製にも好適に使用される。
また、本発明の印刷物は、活性放射線の照射により硬化可能であり、鮮明な色調と高い着色力を有するインク組成物を用いて得られ、高品質の画像が形成されているという効果を奏する。
本発のインク組成物は、(a)重合性化合物の機能により、何らかのエネルギーを付与することで硬化することが好ましく、より好ましくは(d)重合開始剤を含有し、活性放射線の照射により硬化する組成物である。ここで活性放射線とは、その照射によりインク組成物中において開始種を発生させうるエネルギーを付与することができるものであれば、特に制限はなく、広くα線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含するものであるが、なかでも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線および電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい、したがって、本発明のインク組成物としては、放射線として、紫外線を照射することにより硬化可能なインク組成物が好ましい。
[(c)少なくとも窒素原子含有基及びエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーからなる重合単位を有する重合体]
前記少なくとも窒素原子含有基及びエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーは、さらに窒素原子含有基が塩基性基であることが好ましく、下記一般式(I)で表わされることが特に好ましい。
前記一般式(1)で表されるモノマーは、さらに下記の一般式(I−2)〜(I−4)のいずれかで表される化合物であることが特に好ましい。
本発明における重合性オリゴマーは、所定の分子量を有する化合物であることからマクロモノマーとも呼ばれる。このようなマクロモノマーを使用してグラフトポリマーを作製することで、所望の鎖長(分子量)の枝部を有する重合体を容易に得ることができ、機能を勘案した分子設計に基づく分散剤を容易に得ることができる。特に、顔料分散剤としての機能を勘案した設計が可能である。
また、重合性オリゴマーは、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1000〜20000の範囲にあることが好ましく、特に、2000〜10000の範囲が好ましい。
尚、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」を意味するものとする。
前記重合性オリゴマーは、下記一般式(1)で表されるオリゴマーであることが特に好ましい。
これら共重合可能な他のモノマーの例として、不飽和カルボン酸(例、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸)、芳香族ビニル化合物(例、スチレン、α−メチルスチレン及びビニルトルエン)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート及びi−ブチル(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリル酸アルキルアリールエステル(例、ベンジル(メタ)アクリレート)、グリシジル(メタ)アクリレート、カルボン酸ビニルエステル(例、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル)、シアン化ビニル(例、(メタ)アクリロニトリル及びα−クロロアクリロニトリル)、及び脂肪族共役ジエン(例、1、3−ブタジエン及びイソプレン)を挙げることができる。これらの中で、不飽和カルボン酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルキルアリールエステル及びカルボン酸ビニルエステルが好ましい。
1)ジメチルアミノエチルアクリレート/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート共重合体
2)ジエチルアミノエチルアクリレート/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート共重合体
3)ジ−n−ブチルアミノエチルアクリレート/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート共重合体
4)ジ−i−ブチルアミノエチルアクリレート/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート共重合体
5)ジメチルアミノエチルアクリレート/末端メタクリロイル化ポリスチレン共重合体
6)ジメチルアミノエチルアクリレート/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体
7)ジエチルアミノエチルアクリレート/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体
8)ジ−n−ブチルアミノエチルアクリレート/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体
9)ジ−i−ブチルアミノエチルアクリレート/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体
11)N,N−メチル−2−ピペリジルエチルアクリレート/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体
12)1−ピペリジノエチルアクリレート/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体
13)N,N−メチルフェニルアミノエチルアクリレート/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体
14)4−モルホリノエチルアクリレート/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体
15)ジメチルアミノエチルアクリレート/末端メタクリロイル化ポリスチレン/ベンジルメタクリレート共重合体
16)ジメチルアミノエチルアクリレート/末端メタクリロイル化ポリスチレン/メチルメタクリレート共重合体
17)ジメチルアミノエチルアクリレート/末端メタクリロイル化ポリスチレン/スチレン共重合体
18)3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート共重合体
19)3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/末端メタクリロイル化ポリスチレン共重合体
20)2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリルアミド/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート共重合体
21)2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルアクリルアミド/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート共重合体
22)3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/n−ブチルアクリレート共重合体
23)N−ビニルイミダゾール/n−ブチルアクリレート共重合体
24)4−ビニルピリジン/3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/メチルメタクリレート共重合体
なお、本発明のインク組成物には効果を損なわない限りにおいて、(c)特定重合体に加えて、公知の顔料分散剤を併用することができる。この添加量としては(c)特定重合体の50質量%以下であることが好ましい。
本発明の硬化性インク組成物は(a)重合性化合物を含有する。本発明に用いられる(a)重合性化合物は、何らかのエネルギー付与により重合反応を生起し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、モノマー、オリゴマー、ポリマーの種を問わず使用することができるが、特に、所望により添加される(d)光重合開始剤から発生する開始種により重合反応を生起する、光カチオン重合性モノマーとして知られる各種公知のカチオン重合性のモノマー(カチオン重合性化合物)が好ましい。
重合性化合物は反応速度や、インク物性、硬化膜物性等を調整する目的で1種または複数を混合して用いることができる。また、重合性化合物は単官能化合物であっても、多官能化合物であってもよい。
カチオン重合性モノマーとしては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892、同2001−40068、同2001−55507、同2001−310938、同2001−310937、同2001−220526などの各公報に記載されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
本発明に用いうる単官能エポキシ化合物の例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物のなかでも、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが、硬化速度に優れるという観点から好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。
ビニルエーテル化合物としては、ジ又はトリビニルエーテル化合物が、硬化性、被記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
本発明のインク組成物に使用しうるオキセタン環を有する化合物としては、その構造内にオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。このような化合物を使用することで、インク組成物の粘度をハンドリング性の良好な範囲に維持することが容易となり、また、硬化後のインクの被記録媒体との高い密着性を得ることができる。
本発明で使用するオキセタン化合物のなかでも、インク組成物の粘度と粘着性の観点から、オキセタン環を1〜2個有する化合物を使用することが好ましい。
ラジカル重合性のモノマーとしては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類、等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、ヘキシル基(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、
六官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
本発明のインク組成物は顔料を必須成分として含む。粒径の微細な顔料が、前記(c)特定重合体の機能によりインク組成物中に、均一、且つ、安定に分散されることで、本発明のインク組成物により、発色性に優れた鮮鋭な画像を形成することができる。
ここで用いることのできる顔料には、特に制限はなく、用途に応じて公知の種々の顔料を適宜選択して用いることができる。また、着色剤として顔料をふくむことから、本発明のインク組成物により得られる画像は耐候性に優れる。
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。さらに、市販の表面処理された顔料も、本発明の効果を損なわない限りにおいて用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
顔料の分散を行う際には、前記(c)特定重合体を添加する。
また、顔料を添加するにあたっては、必要に応じて、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
顔料は、インク組成物中、固形分換算で1〜20質量%添加されることが好ましく、2〜10質量%がより好ましい。
次に本発明のUVインクに使用されるラジカル重合、若しくは、カチオン重合の光重合開始剤について説明する。
本発明における(d)光重合開始剤は、光の作用、または、増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、化学変化を生じ、ラジカル、酸および塩基のうちの少なくともいずれか1種を生成する化合物であり、光ラジカル発生剤であることが好ましい。
また、F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物等を挙げることができる。ドイツ特許第2641100号に記載されているような化合物、ドイツ特許第3333450号に記載されている化合物、ドイツ特許第3021590号に記載の化合物群、あるいはドイツ特許第3021599号に記載の化合物群、等を挙げることができる。
本発明おいては、光重合開始剤の感度を向上させる目的で、増感色素を添加してもよい。好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)。
さらに本発明のUVインクには、感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する公知の化合物を共増感剤として加えてもよい。
この様な共増感剤の例としては、アミン類、例えばM. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
本発明のインク組成物には、さらに、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤、射出物性の制御を目的としたチオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することができる。
また、液物性調整のためにノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤や、有機フルオロ化合物などを添加することもできる
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
このインクにより得られた印刷物は、画像部が紫外線などの放射線照射により硬化しており、画像部の強度に優れるため、インクによる画像形成以外にも、例えば、平版印刷版のインク受容層(画像部)の形成など、種々の用途に使用しうる。
次に、本発明に好適に採用され得るインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置について、以下説明する。
このようなインクにおける活性放射線の照射条件について述べる。基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間をおいて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。WO99/54415号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明においては、これらの照射方法を用いることが可能である。
前記好ましい射出条件によれば、本発明のインク組成物は加温、降温を繰り返すことになるが、前記(c)特定重合体の機能により、このような温度条件下で保存された場合でも、顔料分散性の低下が抑制され、長期間にわたり優れた発色性が得られ、且つ、顔料の凝集に起因する吐出性の低下も抑制されるという利点をも有する。
本発明のインク組成物を適用しうる被記録媒体としては、特に制限はなく、通常の非コート紙、コート紙などの紙類、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性樹脂材料あるいは、それをフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム等を挙げることができる。その他、被記録媒体材料として使用しうるプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが挙げられる。また、金属類や、ガラス類も被記録媒体として使用可能である。
〔(c)特定重合体の合成〕
(合成例1)
1−メトキシ−2−プロピルアセテート15質量部を窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して78℃まで昇温する。別に調製した、下記のモノマー溶液と開始剤溶液をそれぞれ2時間かけて同時に滴下した。滴下後、さらにV−65(和光純薬(株)製、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.08質量部添加し、78℃にて3時間加熱攪拌を行った。得られた反応液をヘキサン1000部に攪拌しながら注ぎ、生じた沈殿を加熱乾燥させることで重合体1を得た。
・3−(N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド) 4.1質量部
・n−ブチルアクリレート 25.9質量部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート 45質量部
・2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
(和光純薬(株)製V−65) 0.04質量部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート 9.6質量部
合成例1において、モノマー溶液を下記組成のモノマー溶液に変更した以外は、合成例1と同様にして重合体2を得た。
(モノマー溶液)
・ジメチルアミノエチルアクリレート 4.1質量部
・末端にメタクリロイル基を有するポリメチルメタクリレート
(数平均分子量6000、東亜合成化学(株)製AA−6) 25.9質量部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート 45質量部
合成例2において、ジメチルアミノエチルアクリレート4.1質量部をN−ビニルピリジン4.1質量部に変更した以外は、合成例2と同様にして重合体3を得た。
下記に示す(c)特定重合体を(a)重合性化合物に溶解させ、(b)顔料と共にモーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで6時間分散を行い、活性エネルギー線硬化型インク原液を得た。ついで(d)光重合開始剤をインク原液に加え、穏やかに混合させた後、これをメンブランフイルターで加圧濾過し、実施例1の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを得た。
・(b)顔料〔フタロシアニン系顔料PB15:3〕 5.0部
・(c)特定重合体〔合成例1で得た重合体1〕 2.5部
・(a)重合性化合物〔ヘキサンジオールジアクリレート〕
(HDDA:ダイセルUCB(株)製) 60.0部
・(a)重合性化合物〔カプトラクトン変性ジペンタエリスリトール
ヘキサアクリレート、DPCA−60:日本化薬(株)製) 27.5部
・(d)光重合開始剤〔アシルフォスフィンオキサイド化合物
(LucirinTPO−L:BASF製) 5.0部
実施例1において、用いた(c)特定重合体である重合体1を、それぞれ合成例2及び3で得た重合体2及び3に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例2〜3の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを得た。
実施例1において用いた(c)特定重合体である重合体1に代えて、市販の顔料分散剤である「SORSPERSE 24000GR」(Avecia製)を用いた以外はすべて実施例1と同様にして比較例1の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを得た。
実施例1において用いた(c)特定重合体である重合体1に代えて、市販の顔料分散剤であるAvecia社「SORSPERSE 32000」を用いた以外はすべて実施例1と同様にして比較例2の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを得た。
実施例1〜3および比較例1〜2において、用いた(b)顔料PB15:3を、PY−120に変更した以外はすべて同様にして実施例4〜6、比較例3〜4の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを得た。
実施例1〜3および比較例1〜2において(a)重合性化合物および(d)光重合開始剤を下記に変更した以外はすべて同様にして実施例7〜9、比較例5〜6のインクジェットインクを得た。
(OXT−221:東亜合成(株)製) 70.0部
(a)重合性化合物:エポキシ化合物
(セロキサイド3000:ダイセル化学(株)製) 17.5部
(d)光重合開始剤: トリフェニルスルホニウム塩
(アデカオプトマーSP−150、旭電化製) 5.0部
実施例7〜9および比較例5〜6において、顔料PB15:3をキナクリドン系顔料PR122に変更した以外はすべて同様にして実施例10〜12、比較例7〜8のインクジェットインクを得た。
得られたインクジェットインクを下記の方法に従って評価した。その結果を表1に記す。
(1.粘度)
各インクジェットインクの25℃における粘度をE型粘度計を用いて測定した。
A:30mPas未満
B:30mPas以上100mPas未満
C:100mPas以上
各インクジェットインクを25℃で1ヶ月保存後、および70℃で24時間保存後の分散状態を目視および粘度変化により評価した。
◎:沈殿物の発生、及び粘度の増加がない
○:沈殿物の発生なし、粘度が若干増加するが吐出性に問題ないレベル
△:沈殿物の発生なはいが、粘度の増加により吐出性が低下し、実用上問題になるレベル
×:沈殿物の発生が認められる
各インクジェットインクについて、光散乱回折式の粒度分布測定装置(LA910、(株)堀場製作所製)を用いて体積基準平均粒径D50を測定し、平均粒径として評価した。
A:D50が100nm未満
B:D50が100nm以上、200nm未満
C:D50が200nm以上
得られたインク組成物をインクジェットプリンター(印字密度300dpi、打滴周波数4kHz、ノズル数64)でアート紙上に印字してから、Deep UVランプ(ウシオ製、SP−7)で100mJ/cm2のエネルギーとなる条件で露光し、印字サンプルを得た。硬化皮膜を指で触れて、べたつきの有無を以下の基準で評価した。
A:べたつきがない
B:僅かにべたつきがある
C:著しくべたつく
得られたインク組成物を、25℃から60℃の昇温・降温サイクルを10回繰り返した後、前記インクジェットプリンターで印字を行いノズル欠の有無について観察し、以下の基準で評価を行った。
○:ノズル欠が発生せず高品質の画像が形成された
△:一部でサテライトが発生し、画像欠陥が観察された
×:ノズル欠が発生し、画像欠陥が著しい
一方、市販の高分子分散剤を用いた比較例は、当初の顔料分散性は良好であるが、特に高温度条件下での保存や、引く返し加熱によるヒートサイクル性が劣り、実用上問題となるレベルであった。
Claims (11)
- (a)重合性化合物、(b)顔料、及び(c)少なくとも窒素原子含有基及びエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーからなる重合単位を有する重合体を含有することを特徴とするインク組成物。
- 前記重合体が、窒素原子含有基及びエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーからなる重合単位を、全重合単位の5〜30質量%の範囲で有することを特徴とする請求項1又は2に記載のインク組成物。
- 前記重合体が、更に、末端にエチレン性不飽和二重結合を有する重合性オリゴマー(マクロモノマー)からなる重合単位を有するグラフト重合体であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のインク組成物。
- 前記重合性オリゴマーが、アルキル(メタ)アクリレート、スチレンおよびその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種のモノマーから形成される単独重合体あるいは共重合体であることを特徴とする請求項4に記載のインク組成物。
- 更に光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のインク組成物。
- 前記(a)重合性化合物がラジカル重合性化合物であり、前記光重合開始剤が光ラジカル発生剤であることを特徴とする請求項6に記載のインク組成物。
- 前記(a)重合性化合物がカチオン重合性化合物であり、前記光重合開始剤が光酸発生剤であることを特徴とする請求項6に記載のインク組成物。
- インクジェット記録用インク組成物であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のインク組成物。
- 請求項9に記載のインク組成物をインクジェットプリンターにより被記録材に印字する工程、及び、印字されたインク組成物に活性放射線を照射して硬化する工程を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
- 請求項9に記載のインク組成物をインクジェットプリンターにより印字した後、活性放射線を照射してインク組成物を硬化させてなる印刷物。
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