JP4799031B2 - インク組成物、それを用いた画像形成方法、及び記録物 - Google Patents
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Description
従って、充分な流動性を有し、かつ微細化された顔料を安定に分散させ、さらに、顔料分散の経時安定性に優れるインク組成物が求められている。安定な顔料分散液を得るための分散剤については、種々の提案がなされている。
また、本発明の他の目的は、硬化可能であり、鮮明な色調と高い着色力を有するインク組成物を用いて得られた記録物を提供することにある。
(1)少なくともa)重合性化合物、b)顔料、c)シランカップリング基を有する分子量1,000〜50,000の高分子化合物、およびd)光重合開始剤を含むことを特徴とするインク組成物であって、前記c)シランカップリング基を有する高分子化合物が下記一般式(1)で表される高分子化合物又は下記一般式(2)で表される構造単位を有する重合体であることを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
(3)前記c)シランカップリング基を有する高分子化合物が下記一般式(2)で表される構造単位を有する重合体からなることを特徴とする(1)項に記載のインク組成物、
(3)前記a)重合性化合物がラジカル重合性化合物であり、前記d)重合開始剤が光ラジカル発生剤である(1)又は(2)に記載のインク組成物、
(4)前記a)重合性化合物がカチオン重合性化合物であり、前記d)重合開始剤が光酸発生剤である(1)〜(3)のいずれか1項に記載のインク組成物、
(5)前記顔料として平均粒径0.01〜0.4μmの顔料粒子を用いたことを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のインク組成物。
(6)前記顔料はインク組成物中、固形分換算で1〜20質量%添加されたことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のインク組成物。
(7)前記特定高分子化合物の含有量は、顔料の添加量に対し、1〜100質量%とされたことを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載のインク組成物。
(8)インクジェット用である(1)〜(7)のいずれか1項に記載のインク組成物、
(9)前記(1)〜(8)のいずれか1つに記載のインク組成物を用いて被記録材に画像を記録する画像記録工程と、記録された画像に活性エネルギー線を照射して硬化させる画像硬化工程とを含むことを特徴とする画像形成方法、
(10)前記画像記録工程は、前記インク組成物を吐出することにより前記画像をインクジェット記録する前記(9)に記載の画像形成方法(インクジェット記録方法)、
(11)前記(1)〜(10)のいずれか1つに記載のインク組成物を用いて記録したことを特徴とする記録物、
を提供するものである。
また、インクジェット記録方法を適用することで、非吸収性の被記録材上にも、高品質の画像をデジタルデータに基づき直接形成しうることから、本発明のインク組成物は大面積の記録物の作製にも好適に使用される。
また、本発明の記録物は、活性放射線の照射により硬化可能であり、鮮明な色調と高い着色力を有するインク組成物を用いて得られた、高品質な画像が形成されているという効果を奏する。
本発のインク組成物は、a)重合性化合物の機能により、活性放射線の照射により硬化する活性放射線硬化性インク組成物である。ここで活性放射線とは、その照射によりインク組成物中において開始種を発生させうるエネルギーを付与することができるものであれば、特に制限はなく、広くα線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含するものであるが、なかでも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線および電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。したがって、本発明のインク組成物は、活性放射線として、紫外線を照射することにより硬化可能な、紫外線硬化性インク組成物であることがさらに好ましい。
本発明の硬化性インク組成物はa)重合性化合物を含有する。本発明に用いられるa)重合性化合物は、何らかのエネルギー付与により重合反応を生起し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、モノマー、オリゴマー、ポリマーの種を問わず使用することができるが、特に、所望により添加される後述のd)重合開始剤から発生する開始種により重合反応を生起する、カチオン重合性モノマー、ラジカル重合性モノマーとして知られる各種公知の重合性のモノマーが好ましい。
重合性化合物は反応速度や、インク物性、硬化膜物性等を調整する目的で1種または複数を混合して用いることができる。また、重合性化合物は単官能化合物であっても、多官能化合物であってもよい。
本発明に用いうる単官能エポキシ化合物の例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物のなかでも、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが、硬化速度に優れるという観点から好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。
ビニルエーテル化合物としては、ジ又はトリビニルエーテル化合物が、硬化性、被記録材との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
本発明のインク組成物に使用しうるオキセタン環を有する化合物としては、その構造内にオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。このような化合物を使用することで、インク組成物の粘度をハンドリング性の良好な範囲に維持することが容易となり、また、硬化後のインクの被記録材との高い密着性を得ることができる。
本発明で使用するオキセタン化合物のなかでも、インク組成物の粘度と粘着性の観点から、オキセタン環を1〜2個有する化合物を使用することが好ましい。
ラジカル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類、等が挙げられる。なお、本明細書において「アクリレート」、「メタクリレート」の双方或いはいずれかを指す場合「(メタ)アクリレート」と、「アクリル」、「メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と、それぞれ記載することがある。
単官能(メタ)アクリレートとしては、ヘキシル基(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2Hパーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
四官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
五官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
六官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
インク組成物中のa)重合性化合物の含有量は、50〜95質量%が適当であり、好ましくは60〜92質量%、さらに好ましくは70〜90質量%の範囲である。
本発明のインク組成物は顔料を必須成分として含む。粒径の微細な顔料が、後述するc)シランカップリング基を有する高分子化合物の機能によりインク組成物中に、均一、且つ、安定に分散されることで、本発明のインク組成物により、発色性に優れた鮮鋭な画像を形成することができる。
ここで用いることのできる顔料には、特に制限はなく、用途に応じて公知の種々の顔料、染料を適宜選択して用いることができる。また、着色剤として顔料をふくむことから、本発明のインク組成物により得られる画像は耐候性に優れる。
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。さらに、市販の表面処理された顔料も、本発明の効果を損なわない限りにおいて用いることができる。本発明におけるc)シランカップリング基を有する高分子化合物は、特に無機顔料を用いた場合の分散安定性の向上にすぐれている故、c)シランカップリング基を有する高分子化合物を無機顔料、特に後述する白色顔料であるチタンホワイトやジンクホワイトに対して使用することが最も好ましい。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
顔料の分散を行う際には、分散剤の使用が好ましく、c)シランカップリング基を有する高分子化合物を添加することが特に好ましい。
また、顔料を添加するにあたっては、必要に応じて、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
インク組成物中における顔料の粒径は、公知の測定方法で測定することができる。具体的には遠心沈降光透過法、X線透過法、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法により測定することができる。
顔料はインク組成物中、固形分換算で1〜20質量%添加されることが好ましく、2〜10質量%がより好ましい。
次に、本発明における必須成分であるc)シランカップリング基を有する高分子化合物(以下、適宜c)特定高分子化合物と称する)について説明する。
本発明におけるc)特定高分子化合物における高分子化合物は、1000〜100000であり、1000〜50000程度が特に好ましい。この分子量が小さすぎる場合には、高分子鎖により十分な立体反発効果が得られず、分子量が大きすぎるとハンドリング適性が低下する。
本発明におけるc)特定高分子化合物としては以下の一般式(1)で表される化合物が特に好ましい。
なお、本発明のインク組成物には、効果を損なわない限りにおいて、c)特定高分子化合物に加えて、公知の顔料分散剤を併用することができる。この添加量としては、c)特定高分子化合物の50質量%以下であることが好ましい。
本発明のインク組成物はd)光重合開始剤を含有し、ラジカル重合に用いられる光ラジカル発生剤、若しくは、カチオン重合に用いられる光酸発生剤を含有することが好ましい。
本発明における光重合開始剤は光の作用、または、増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、化学変化を生じ、ラジカル、酸および塩基のうちの少なくともいずれか1種を生成する化合物である。
光重合開始剤は、照射される活性光線、例えば、250〜450nmの紫外線、遠紫外線、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームなどに感度を有するものを適宜選択して使用することができる。
光重合開始剤の他の例である(g)アジニウム塩化合物の例としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号ならびに特公昭46−42363号記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
上記チタノセン化合物の具体例としては、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−ブチルビアロイル−アミノ)フェニル〕チタン等を挙げることができる。
インク組成物中のd)重合開始剤の含有量は、インク組成物の全固形分換算で、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜7質量%である。
本発明おいては、光重合開始剤の感度を向上させる目的で、増感色素を添加しても良い。好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)。
式(X)中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立にアリール基を表し、−L3−による結合を介して連結している。ここでL3は−O−または−S−を表す。また、Wは一般式(IX)に示したものと同義である。
式(XI)中、A2は硫黄原子またはNR59を表し、L4は隣接するA2及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基またはアリール基を表す。
式(XII)中、A3、A4はそれぞれ独立に−S−または−NR62−または−NR63−を表し、R62、R63はそれぞれ独立に置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基を表し、L5、L6はそれぞれ独立に、隣接するA3、A4及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R60、R61はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団であるか又は互いに結合して脂肪族性または芳香族性の環を形成することができる。
式(XIII)中、R66は置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環を表し、A5は酸素原子、硫黄原子または−NR67−を表す。R64、R65及びR67はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表し、R67とR64、及びR65とR67はそれぞれ互いに脂肪族性または芳香族性の環を形成するため結合することができる。)
さらに本発明のインク組成物には、感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する公知の化合物を共増感剤として加えても良い。
このような共増感剤の例としては、アミン類、例えばM. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
また別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特願平6−191605号記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
本発明のインク組成物には、さらに、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤、射出物性の制御を目的としたチオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類、被記録材との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することができる。
また、液物性調整のためにノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤や、有機フルオロ化合物などを添加することもできる
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の被記録材への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
前記のうち、ピエゾ素子を用いたドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)のインクジェット記録用インクとして好適である。
本発明の画像形成方法は、既述した本発明のインク組成物を用いて被記録材に画像を記録する画像記録工程と、記録された画像に活性エネルギー線(活性線)を照射して硬化させる画像硬化工程とを設けて構成したものである。本発明では、画像硬化工程において活性エネルギー線を利用し、画像記録工程で被記録材に画像記録した後、記録された画像に活性エネルギー線を照射することによって、画像化に寄与する重合性化合物の重合硬化が進行し、良好に硬化され堅牢性の高い画像を形成することができる。
このインクにより得られた記録物は、画像部が紫外線などの放射線照射により硬化しており、画像部の強度に優れるため、例えば、平版印刷版のインク受容層(画像部)としても用いることもできる。
次に、本発明に好適に採用され得るインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置について、以下説明する。
このようなインクにおける活性放射線の好ましい照射条件について述べる。基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間をおいて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。WO99/54415号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明においては、これらの照射方法を用いることが可能である。
前記好ましい射出条件によれば、本発明のインク組成物は加温、降温を繰り返すことになるが、前記c)特定顔料分散剤の機能により、このような温度条件下で保存された場合でも、顔料分散性の低下が抑制され、長期間にわたり優れた発色性が得られ、且つ、顔料の凝集に起因する吐出性の低下も抑制されるという利点をも有する。
被記録材としては、インク浸透性の被記録材、及びインク非浸透性の被記録材のいずれも使用可能である。
合成樹脂を用いた基材の形状やその厚みについては、特に制限はなく、フィルム状、カード状、又はブロック状のいずれでもよく、所望の目的に応じて適宜選定することができる。また、合成樹脂は透明性、不透明性のいずれのものであってもよい。
メタクリル酸メチル10.0部、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.392部をメチルエチルケトン25.0部に溶解させる。これを窒素気流下、70℃で攪拌し、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬(株)製V−65)0.025部を加える。この反応液を窒素気流下、70℃で攪拌し、2時間後さらにV−65を0.025部加える。
4時間後、得られた反応液を減圧乾燥することで、重合体1(例示化合物P−1)の白色固体9.7部を得た。
メタクリル酸メチル5.0部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM−90G、新中村化学(株)製)24.8部、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.98部をメチルエチルケトン45.0部に溶解させる。これを窒素気流下、70℃で攪拌し、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬(株)製V−65)0.025部を加える。この反応液を窒素気流下、70℃で攪拌し、2時間後さらにV−65を0.025部加える。
4時間後、得られた反応液を減圧乾燥することで、重合体2(例示化合物P−10)の粘質固体24.5部を得た。
メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン2.90部、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド4.68部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NKエステルM−230G、新中村化学(株)製)55.6部をメチルエチルケトン75.0部に溶解させる。これを窒素気流下、70℃で攪拌し、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬(株)製V−65)0.25部を加える。この反応液を窒素気流下、70℃で攪拌し、2時間後さらにV−65を0.25部加える。
4時間後、得られた反応液を減圧乾燥することで、重合体3(例示化合物P−14)の粘質固体60.5部を得た。
下記に示すc)特定高分子化合物をa)重合性化合物に溶解させ、b)顔料と共にモーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで6時間分散を行い、インク原液を得た。ついでd)光重合開始剤をインク原液に加え、穏やかに混合させた後、これをメンブランフイルターで加圧濾過し、実施例1の硬化性インク組成物からなるインクジェットインクを得た。
・b)顔料〔酸化チタン:平均粒径150nm、屈折率2.52〕 5.0部
・c)特定顔料分散剤〔前記例示化合物P−1〕 2.5部
・a)重合性化合物〔ヘキサンジオールジアクリレート〕
(HDDA:ダイセルUCB(株)製) 60.0部
・a)重合性化合物〔カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 〕(DPCA−60:日本化薬(株)製) 27.5部
・d)重合開始剤〔アシルフォスフィンオキサイド化合物〕
(LucirinTPO−L:BASF製) 5.0部
実施例1において用いたc)特定高分子化合物である例示化合物P−1を、例示化合物P‐10に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例2インクジェットインクを得た。
実施例1において用いたc)特定高分子化合物である例示化合物P−1を、例示化合物P‐14に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例3のインクジェットインクを得た。
実施例1において用いたc)特定高分子化合物である例示化合物P‐1に代えて、市販の顔料分散剤である「SORSPERSE 24000GR」(Avecia製)を用いた以外はすべて実施例1と同様にして比較例1のインクジェットインクを得た。
実施例1において用いたc)特定高分子化合物である例示化合物P‐1に代えて、市販のシランカップリング剤であるビニルトリメトキシシラン「KBM‐1003」(信越化学製)を用いた以外はすべて実施例1と同様にして比較例2のインクジェットインクを得た。
実施例1〜3および比較例1〜2においてa)重合性化合物およびd)重合開始剤をそれぞれ下記に変更した以外はすべて同様にして実施例4〜6、比較例3〜4のインクジェットインクを得た。
(OXT−221:東亜合成(株)製) 70.0部
・a)重合性化合物:エポキシ化合物
(セロキサイド3000:ダイセル化学(株)製) 17.5部
・d)重合開始剤: トリフェニルスルホニウム塩
(UVI−6992:ダウケミカル社製) 5.0部
得られたインクジェットインクを下記の方法に従って評価した。その結果を表1に記す。
(1.粘度)
各インクジェットインクの40℃における粘度をE型粘度計を用いて測定した。
A:30mPas未満
B:30mPas以上、100mPas未満
C:100mPas以上(吐出上問題のあるレベル)
(2.安定性)
各インクジェットインクを25℃で1ヶ月保存後、および70℃で24時間保存後の分散状態を目視および粘度変化により評価した。
◎:沈殿物の発生、粘度の増加がない
○:沈殿物の発生なし、粘度が若干増加するが吐出性に問題ないレベル
△:沈殿物の発生はないが、粘度の増加により吐出性が低下し、実用上問題になるレベル
×:沈殿物の発生が認められる
(3.平均粒径)
各インクジェットインクについて、光散乱回折式の粒度分布測定装置(LA910、(株)堀場製作所製)を用いて体積基準平均粒径D50を測定し、評価した。
A:D50が200nm未満
B:D50が200nm以上、400nm未満
C:D50が400nm以上
(4.硬化性)
得られたインクジェットインクをインクジェットプリンタ(印字密度300dpi、打滴周波数4kHz、ノズル数64)でアート紙上に印字してから、Deep UVランプ(ウシオ製、SP−7)で100mJ/cm2のエネルギーとなる条件で露光し、印字サンプルを得た。
硬化皮膜を指で触れて、べたつきの有無を以下の基準で評価した。
A:べたつきがない
B:僅かにべたつきがある
C:著しくべたつく
一方、市販の高分子分散剤を用いた比較例は、当初の顔料分散性は良好であるが、特に分散安定性に欠け、実用上問題となるレベルであった。
Claims (11)
- 少なくともa)重合性化合物、b)顔料、c)シランカップリング基を有する分子量1,000〜50,000の高分子化合物、およびd)光重合開始剤を含むことを特徴とする活性放射線硬化性インク組成物であって、前記c)シランカップリング基を有する高分子化合物が下記一般式(1)で表される高分子化合物又は下記一般式(2)で表される構造単位を有する重合体であることを特徴とするインク組成物。
- 前記b)顔料が無機顔料であることを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
- 前記a)重合性化合物がラジカル重合性化合物であり、前記d)重合開始剤が光ラジカル発生剤である請求項1又は2に記載のインク組成物。
- 前記a)重合性化合物がカチオン重合性化合物であり、前記d)重合開始剤が光酸発生剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記顔料として平均粒径0.01〜0.4μmの顔料粒子を用いたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記顔料はインク組成物中、固形分換算で1〜20質量%添加されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記特定高分子化合物の含有量は、顔料の添加量に対し、1〜100質量%とされたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク組成物。
- インクジェット用である請求項1〜7いずれか1項に記載のインク組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のインク組成物を用いて被記録材に画像を記録する画像記録工程と、記録された画像に活性エネルギー線を照射して硬化させる画像硬化工程とを含むことを特徴とする画像形成方法。
- 前記画像記録工程は、前記インク組成物を吐出することにより前記画像をインクジェット記録する請求項9に記載の画像形成方法。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載のインク組成物を用いて記録したことを特徴とする記録物。
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