JP2011062734A - ピンチロールに加わるトルクに基づいて連続鋳造での品質及び設備の異常を検知する異常検知方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ロールにおけるスケールの堆積が発生した場合におけるトルク変動値をa[%]、湯面変動幅をZa[mm]とすると共に、鋳片が圧延された圧延材において表面欠陥が検出され、当該欠陥を調査すると凝固組織異常が認められた場合におけるトルク変動値をb[%]、湯面変動幅をZb[mm]とする。トルク変動値N≧bの条件を満たす範囲を領域Bとし、領域B以外の領域であってトルク変動値N≧aの条件を満たす範囲を領域Aとする。鋳造中に測定されるトルク変動値Nが領域Bに属する場合には、該当部位を凝固組織起因の疵発生と判定して(S46B)、当該トルク変動値Nが領域Aに属する場合には、複数のロールの内のいずれかにスケール等の堆積があると判定する(S47B)。
【選択図】図17
Description
(1)連続鋳造でのモールドからピンチロールまでの総理論引抜力と、ピンチロール駆動総電力及び引抜速度から求めた総実引抜力との差により異常発生を察知して、不良鋳片を減少させ設備故障を未然に防止する方法(例えば、特許文献1参照)や、
(2)凝固スラブを引き抜く引抜速度又はピンチロール駆動用モータ電流の変動値を用いて、鋳込速度を制御することにより、非接触方式で連続鋳造におけるブレークアウトを防止する方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。
ただし、
ケース(1):複数のロールの内のいずれかのロールにおけるスケールの堆積が発生した場合におけるトルク変動値をa[%]、当該トルク変動時での湯面変動幅をZa[mm]とする。
ケース(2):鋳片が圧延され、その圧延材において表面欠陥が検出されて、当該欠陥を調査すると凝固組織異常が認められた場合における当該部位に相当する鋳造位置でのトルク変動値をb[%]、当該トルク変動時の湯面変動幅をZb[mm]とする。
領域B:トルク変動値N≧bの条件を満たす範囲とする。
領域A:前記領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧aの条件を満たす範囲とする。
湯面変動幅最小値Zx:湯面変動幅Za[mm]及びZb[mm]の内の小さい方の値とする。ただし、Zx>0を満たす。
また、異常発生の要因によってトルク変動の大きさが異なることを利用しているので、トルク変動値Nや湯面変動幅Zの大きさに応じて、如何なる異常(ここでは、ロールのスケール等の堆積、凝固組織起因の疵)が発生しているかを検知することができる。その結果、該当した異常に対して適切な処置を施すことができるので、鋳造中の異常として発生し得る前述した異常を早期に発見し、重大な品質及び設備のトラブルを未然に回避することができる。
また、重大な品質及び設備にトラブルを引き起こすブレークアウトの発生等は、異常検知の対象として一般的であるが、本発明では、ロールのスケール等の堆積や凝固組織起因の疵といった、従来では異常検知の対象となっていない異常も検知することが可能となる。
ただし、
ケース(3):複数のロールの内のいずれかにおけるベアリング異常が発生した場合におけるトルク変動値をc[%]、当該トルク変動時での湯面変動幅をZc[mm]、トルク変動値c[%]の持続時間をTc[sec]とする。
領域C:トルク変動値N≧c、及び、持続時間T≧Tcの両条件を満たす範囲とする。
領域B:領域C以外の領域であって、トルク変動値N≧bの条件を満たす範囲とする。
領域A:領域C及び領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧aの条件を満たす範囲とする。
湯面変動幅最小値Zx:湯面変動幅Za[mm]、Zb[mm]及びZc[mm]の内の最も小さい値とする。ただし、Zx>0を満たす。
また、異常発生の要因によってトルク変動の大きさが異なることを利用しているので、トルク変動値N、湯面変動幅Z及び持続時間Tの大きさに応じて、如何なる異常(ここでは、ロールのスケール等の堆積、凝固組織起因の疵、ロールのベアリング異常)が発生しているかを検知することができる。その結果、該当した異常に対して適切な処置を施すことができるので、鋳造中の異常として発生し得る前述した異常を早期に発見し、重大な品質及び設備の異常を回避することができる。
ただし、
ケース(4):ブレークアウトが発生した場合におけるトルク変動値をd[%]、当該トルク変動時での湯面変動幅をZd[mm]、トルク変動値d[%]の持続時間をTd[sec]とする。
領域D:トルク変動値N≧d、及び、持続時間T≧Tdの両条件を満たす範囲とする。
領域B:領域D以外の領域であって、トルク変動値N≧bの条件を満たす範囲とする。
領域A:領域D及び領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧aの条件を満たす範囲とする。
湯面変動幅最小値Zx:湯面変動幅Za[mm]、Zb[mm]及びZd[mm]の内の最も小さい値とする。ただし、Zx>0を満たす。
また、異常発生の要因によってトルク変動の大きさが異なることを利用しているので、トルク変動値N、湯面変動幅Z及び持続時間Tの大きさに応じて、如何なる異常(ここでは、ロールのスケール等の堆積、凝固組織起因の疵、ブレークアウト)が発生しているかを検知することができる。その結果、該当した異常に対して適切な処置を施すことができるので、鋳造中の異常として発生し得る前述した異常を早期に発見し、重大な品質及び設備のトラブルを未然に回避することができる。
ただし、
ケース(3):複数のロールの内のいずれかにおけるベアリング異常が発生した場合におけるトルク変動値をc[%]、当該トルク変動時での湯面変動幅をZc[mm]、トルク変動値c[%]の持続時間をTc[sec]とする。
ケース(4):ブレークアウトが発生した場合におけるトルク変動値をd[%]、当該トルク変動時での湯面変動幅をZd[mm]、トルク変動値d[%]の持続時間をTd[sec]とする。
領域D:トルク変動値N≧d、及び、持続時間T≧Tdの両条件を満たす範囲とする。
領域C:領域D以外の領域であって、トルク変動値N≧c、及び、持続時間T≧Tcの両条件を満たす範囲とする。
領域B:領域D及び領域C以外の領域であって、トルク変動値N≧bの条件を満たす範囲とする。
領域A:領域D、領域C及び領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧aの条件を満たす範囲とする。
湯面変動幅最小値Zx:湯面変動幅Za[mm]、Zb[mm]、Zc[mm]及びZd[mm]の内の最も小さい値とする。ただし、Zx>0を満たす。
また、異常発生の要因によってトルク変動の大きさが異なることを利用しているので、トルク変動値N、湯面変動幅Z及び持続時間Tの大きさに応じて、如何なる異常(ここでは、ロールのスケール等の堆積、凝固組織起因の疵、ロールのベアリング異常、ブレークアウト)が発生しているかを検知することができる。その結果、該当した異常に対して適切な処置を施すことができるので、鋳造中の異常として発生し得る前述した異常を早期に発見し、重大な品質及び設備のトラブルを未然に回避することができる。
周知の通り、連続鋳造設備の鋳造経路に着目すると、湾曲型連続鋳造設備と垂直曲げ型連続鋳造設備なるものがある。前者は、鋳型から鋳造経路に沿って、円弧経路部と矯正経路部、水平経路部を有するものであり、後者は、上記円弧経路部の上流に垂直経路部を設け、溶鋼中の介在物浮上を図ったものである。また、連続鋳造設備の鋳造する鋳片の断面形状に着目すると、断面形状のアスペクト比が2以上であるスラブと2以下のブルーム、更に、断面形状が正方形であるビレットなるものがある。本願発明の適用対象は、上記の通りに列記したすべての連続鋳造設備であり、以下、本明細書では、一例として、本願発明をブルーム向けの垂直曲げ型連続鋳造設備に適用した例を説明する。
・鋳型幅W[mm]は、250〜650とする。
・鋳型厚みD[mm]は、250〜650とする。
・鋳型高さH[mm]は、900〜1200とする。
・鋳造速度Vc[m/min]は、0.7〜1.0とする。
・溶鋼過熱度ΔT[℃]は、0〜60とする。
・比水量Wt[L/kg.Steel]は、0.15〜1とする。
・鋳型内電磁攪拌強度M−EMS[gauss]は、0〜1000とする。
・溶鋼成分は、当事者間の協定に基づく。代表的な成分は、CやSi、Mnである。これに、CrやMoなどが適宜に添加される。その他の不可避の不純物を含む。
・鋳型幅W[mm]及び鋳型厚みD[mm]は、図2に示されるように、鋳型1の上端で特定される。
・鋳造速度Vc[m/min]は、鋳片の引抜速度であって、前記複数のロール対3のうち最上流に配されるロール対3のピンチロール3bの周速度で特定される。
・溶鋼過熱度ΔT[℃]は、鋳型1内へ注湯される溶鋼の温度の指標である。
・比水量Wt[L/kg.Steel]は、鋼1kgに対して用いられる冷却水の容積を意味する。
・鋳型内電磁攪拌強度M−EMS[gauss]は、鋳型1内の溶鋼を攪拌するために作用される磁場の強度の指標である。
次に、図2を参照しつつ鋳型1の構造を説明する。図2(a)に示されるように本実施形態に係る鋳型1は、鋳造される鋳片が断面矩形であってアスペクト比が2以下となる所謂ブルーム向けに構成される。この鋳型1は、一対で対向し、鋳型広面1aを構成する広面鋳型5と、広面鋳型5の間に配され、一対で対向し、鋳型狭面1bを構成する狭面鋳型6と、これら広面鋳型5及び狭面鋳型6を支持する図示しない鋳型フレームと、を主たる構成として備える。
また、本実施形態において用いられる浸漬ノズル2は、有底円筒形状であって、一対の対向する溶鋼吐出孔7が内底よりも若干上方に形成される2孔式とされる。上記の浸漬ノズル2は、図2(b)に示されるように、一対の溶鋼吐出孔7が鋳型狭面1bに対して夫々対向するように鋳型1内に垂直にセットされる。換言すれば、浸漬ノズル2は、一対の溶鋼吐出孔7から吐出された溶鋼の流れが鋳型狭面1bに対して平面視で垂直に向かうように鋳型1内に垂直にセットされる。この状態で、浸漬ノズル2から鋳型1内へ溶鋼を注湯すると、浸漬ノズル2からの溶鋼流は先ず斜め下向きとなり、やがて鋳型狭面1bに衝突すると、上下方向に分岐し、もって、溶鋼の上昇流Qと下降流Rが形成される。このうち上昇流Qは、メニスカス近傍の溶鋼に対して熱を供給し、表面が凝固してしまう所謂皮張りを防ぐ役割を担っている。
・トルク変動値[%]:所定時間あたりのトルクの変動の大きさを示す指標であって、定常状態での鋳造におけるトルク値の推移において、過去30秒間のトルク平均値を取り、(その時点での発生トルク値)÷(過去30秒間のトルク平均値)をトルク変動値[%]とする。
・湯面変動幅[mm]:湯面レベルの変動幅の大きさを示す指標であって、定常状態での鋳造における鋳型内の湯面レベル計から得られる信号により測定し、トルク変動が発生した時点から、その後3秒以内における湯面レベルの最大変動幅を湯面変動幅[mm]とする。
・持続時間[sec]:所定のレベル以上でトルクの変動が持続している時間を示す指標であって、トルク変動が発生した時刻を起点として、その起点より過去30秒間のトルク平均値に戻るまでの時間を持続時間[sec]とする。
ここで言う“ロール”とは、鋳型下から鋳片を支えている全てのサポートロールを対象とする。
なお、スケールとは、鋳造時において鋳片表面が酸化し、酸化鉄として表層から剥離して発生したものを意味する。そのスケールは、一般的にスタンドのロールに巻き付いたりして堆積することがある。
このケース(1)においては、鋳造中の定常状態において明らかにロールにスケールが堆積しており、そのスケールを除去したらトルクが元に定常状態に戻った場合のみを採用する。
なお、凝固組織異常の検査方法は、後述する。
なお、ロールにおけるベアリング異常とは、鋳型下から鋳片を支えている全てのサポートロールを対象として、軸受の割損を発見した場合を意味する。
このケース(3)においては、鋳造中の定常状態において明らかにロールの軸受が割損している状態で鋳造していたことを確認し、その後、当該ロールを取り替える等により回復させるとトルクが元の定常状態に戻った場合のみを採用する。
なお、ブレークアウトとは、鋳型内での冷却において表層部の凝固シェルが破れ内部溶鋼が流出する現象を意味する。ブレークアウトが発生し外部へ流出した溶鋼が周囲のロールやスタンドなどを焼損させると鋳造停止などを余儀なくされ、かつ復旧に長時間を要することとなる。
このケース(4)においては、鋳造中の定常状態において明らかにブレークアウトが発生したことを確認し、その後、鋳型やスタンド等を元の状態に戻したときにトルクが元の定常状態に戻った場合のみを採用する。
具体的には、図6に示すように、
トルク変動値N≧d、且つ、持続時間T≧Tdで囲まれる範囲を領域を領域Dとし、
領域D以外の領域であって、トルク変動値N≧c、且つ、持続時間T≧Tcで囲まれる範囲を領域Cとし、
領域D及び領域C以外の領域であって、トルク変動値N≧bで囲まれる範囲を領域Bとし、
領域D、領域C及び領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧aで囲まれる範囲を領域Aとする。
いずれかのロールにおけるスケールの堆積が発生したときのトルク変動値及び湯面変動幅を表1に示す。ここで、表1に示されるトルク変動値をa[%]、湯面変動幅をZa[mm]と定義した。
鋳片が圧延され、その圧延材において表面欠陥が検出され欠陥を調査すると凝固組織異常が認められた場合において、その部位に相当する鋳造位置でのトルク変動値及び湯面変動幅を表2に示す。ここで、表2に示されるトルク変動値をb[%]、湯面変動幅をZb[mm]と定義した。
いずれかのロールにおいてベアリング異常が発生した場合におけるトルク変動値、その持続時間、及び、湯面変動幅を表3に示す。ここで、表3に示されるトルク変動値をc[%]、その持続時間をTc[sec]、湯面変動幅をZc[mm]と定義した。
ブレークアウトが発生した場合におけるトルク変動値、その持続時間、及び、湯面変動幅を表4に示す。ここで、表4に示されるトルク変動値をd[%]、その持続時間をTd[sec]、湯面変動幅をZd[mm]と定義した。
条件(i)では、
領域Dを、トルク変動値N≧d(25.0)、且つ、持続時間T≧Td(8.0)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Cを、領域D以外の領域であって、トルク変動値N≧c(18.0)、且つ、持続時間T≧Tc(5.0)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Bを、領域D及び領域C以外の領域であって、トルク変動値N≧b(12.0)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Aを、領域D、領域C及び領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧a(6.4)で囲まれる範囲の領域とした。
上記のように定義した領域A〜Dを示したグラフを図7(a)に示す。
領域Dを、トルク変動値N≧d(28.0)、且つ、持続時間T≧Td(10.5)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Cを、領域D以外の領域であって、トルク変動値N≧c(20.0)、且つ、持続時間T≧Tc(6.5)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Bを、領域D及び領域C以外の領域であって、トルク変動値N≧b(13.5)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Aを、領域D、領域C及び領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧a(7.2)で囲まれる範囲の領域とした。
上記のように定義した領域A〜Dを示したグラフを図7(b)に示す。
領域Dを、トルク変動値N≧d(24.0)、且つ、持続時間T≧Td(11.2)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Cを、領域D以外の領域であって、トルク変動値N≧c(22.0)、且つ、持続時間T≧Tc(7.2)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Bを、領域D及び領域C以外の領域であって、トルク変動値N≧b(12.8)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Aを、領域D、領域C及び領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧a(5.0)で囲まれる範囲の領域とした。
上記のように定義した領域A〜Dを示したグラフを図7(c)に示す。
ここで、上記した実施例の実施条件を紹介しておく。
鋳型寸法[mm]:幅430×厚み300
鋳型高さ:900mm,1200mm
型式:垂直曲げ型連鋳機
鋳造速度[m/min]:条件(i)〜(iii)に記載(表1〜表3参照)
2次冷却水比水量[L/kg.Steel]:条件(i)〜(iii)に記載(表1〜表3参照)
鋳造鋼種%[C]:条件(i)〜(iii)に記載(表1〜表3参照)
表面疵検査方法:ビレット(断面155mm×155mm)に圧延した段階において表面を観察し、線状の割れ疵の有無を調査した。
割れ疵があった場合には、割れ部分の断面観察を行い、当該割れ部分のサルファプリントにて、C,S濃度の偏析が認められた場合には、凝固組織異常と判断した。サルファプリント方法については、JIS規格(規格番号:JIS G 0560 標題:鋼のサルファプリント試験方法)に準じて行った。
鋳型内に置いて初期の凝固シェル厚みが不均一になると応力集中を生じ、これに起因した微小な割れが発生する。割れ近傍および先端部には、成分の偏析がみられるため、今回は割れ近傍におけるC,S濃度の偏析度を確認し、偏析が認められた場合には不均一凝固による割れであると判断した。上記内容は、糸山誓司著、「鉄鋼便覧(第2巻)12.5.1+鋳片の表面品質(追補)」、第4版(CD−ROM版)、(社)日本鉄鋼協会、2002年7月、P65」に記載されており、公知のものである。
圧延方法:連続鋳造にて得られた鋼塊を600℃〜800℃の温度で加熱炉へ挿入して1200℃〜1300℃まで加熱後、分塊圧延し、155mm角の鋼片とした。それ以外の制御については、当業者常法通りに熱間圧延して鋼片とした。
<第1実施形態の効果>
1)鋳造時におけるブレークアウト
2)ロールベアリング破損
3)凝固起因の表面疵
4)スケールがロールに堆積して押し込まれることにより発生する凹み疵の発生
以下、各項目の効果を詳細に説明する。
次に、第2実施形態に係る連続鋳造での品質及び設備の異常検知方法を、図8及び図9のフローチャートを参照して説明する。この第2実施形態に係る異常検知方法では、上記第1実施形態では予見可能であったブレークアウト発生の異常については検知せず、スケール堆積発生、表面疵発生、及び、ベアリング異常発生の3つの異常を予見可能である。なお、この第2実施形態では、上記した第1実施形態と同様の手順については、適宜省略する。
ケース(2)において、鋳片が圧延され、その圧延材において表面欠陥が検出され、当該欠陥を調査すると凝固組織異常が認められた場合、その部位に相当する鋳造位置でのトルク変動値をb[%]、トルク変動時の湯面変動幅をZb[mm]とする(ステップS22B)。
ケース(3)において、ロールにおけるベアリング異常が発生した場合におけるトルク変動値をc[%]、トルク変動時の湯面変動幅をZc[mm]、及び、そのトルク変動値c[%]の持続時間をTc[sec]とする(ステップS22C)。
具体的には、図10に示すように、
トルク変動値N≧c、且つ、持続時間T≧Tcで囲まれる範囲を領域Cとし、
領域C以外の領域であって、トルク変動値N≧bで囲まれる範囲を領域Bとし、
領域C及び領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧aで囲まれる範囲を領域Aとする。
条件(i)では、
領域Cを、トルク変動値N≧c(18.0)、且つ、持続時間T≧Tc(5.0)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Bを、領域C以外の領域であって、トルク変動値N≧b(12.0)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Aを、領域C及び領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧a(6.4)で囲まれる範囲の領域とした。
上記のように定義した領域A〜Cを示したグラフを図11(a)に示す。
領域Cを、トルク変動値N≧c(20.0)、且つ、持続時間T≧Tc(6.5)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Bを、領域C以外の領域であって、トルク変動値N≧b(13.5)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Aを、領域C及び領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧a(7.2)で囲まれる範囲の領域とした。
上記のように定義した領域A〜Cを示したグラフを図11(b)に示す。
領域Cを、トルク変動値N≧c(22.0)、且つ、持続時間T≧Tc(7.2)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Bを、領域C以外の領域であって、トルク変動値N≧b(12.8)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Aを、領域C及び領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧a(5.0)で囲まれる範囲の領域とした。
上記のように定義した領域A〜Cを示したグラフを図11(c)に示す。
次に、第3実施形態に係る連続鋳造での品質及び設備の異常検知方法を、図12及び図13のフローチャートを参照して説明する。この第3実施形態に係る異常検知方法では、上記第1実施形態では予見可能であったロールにおけるベアリングの異常については検知せず、スケール堆積発生、表面疵発生、及び、ブレークアウト発生の3つの異常を予見可能である。なお、この第3実施形態では、上記した第1実施形態と同様の手順については、適宜省略する。
ケース(2)において、鋳片が圧延され、その圧延材において表面欠陥が検出され、当該欠陥を調査すると凝固組織異常が認められた場合、その部位に相当する鋳造位置でのトルク変動値をb[%]、トルク変動時の湯面変動幅をZb[mm]とする(ステップS32B)。
ケース(4)において、鋳造中においてブレークアウトが発生した場合におけるトルク変動値をd[%]、トルク変動時の湯面変動幅をZd[mm]、及び、そのトルク変動値d[%]の持続時間をTd[sec]とする(ステップS32D)。
具体的には、図14に示すように、
トルク変動値N≧d、且つ、持続時間T≧Tdで囲まれる範囲を領域Dとし、
領域D以外の領域であって、トルク変動値N≧bで囲まれる範囲を領域Bとし、
領域D及び領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧aで囲まれる範囲を領域Aとする。
条件(i)では、
領域Dを、トルク変動値N≧d(25.0)、且つ、持続時間T≧Td(8.0)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Bを、領域D以外の領域であって、トルク変動値N≧b(12.0)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Aを、領域D及び領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧a(6.4)で囲まれる範囲の領域とした。
上記のように定義した領域A,B及びDを示したグラフを図15(a)に示す。
領域Dを、トルク変動値N≧d(28.0)、且つ、持続時間T≧Td(10.5)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Bを、領域D以外の領域であって、トルク変動値N≧b(13.5)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Aを、領域D及び領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧a(7.2)で囲まれる範囲の領域とした。
上記のように定義した領域A,B及びDを示したグラフを図15(b)に示す。
領域Dを、トルク変動値N≧d(24.0)、且つ、持続時間T≧Td(11.2)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Bを、領域D以外の領域であって、トルク変動値N≧b(12.8)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Aを、領域D及び領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧a(5.0)で囲まれる範囲の領域とした。
上記のように定義した領域A,B及びDを示したグラフを図15(d)に示す。
次に、第4実施形態に係る連続鋳造での品質及び設備の異常検知方法を、図16及び図17のフローチャートを参照して説明する。この第4実施形態に係る異常検知方法では、上記第1実施形態では予見可能であったベアリング異常の発生及びブレークアウト発生の異常については検知せず、スケール堆積発生、及び、表面疵発生2つの異常を予見可能である。なお、この第4実施形態では、上記した第1実施形態と同様の手順については、適宜省略する。
ケース(2)において、鋳片が圧延され、その圧延材において表面欠陥が検出され、当該欠陥を調査すると凝固組織異常が認められた場合、その部位に相当する鋳造位置でのトルク変動値をb[%]、トルク変動時の湯面変動幅をZb[mm]とする(ステップS42B)。
具体的には、
トルク変動値N≧bで囲まれる範囲を領域Bとし、
領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧aで囲まれる範囲を領域Aとする。
条件(i)では、
領域Bを、トルク変動値N≧b(12.0)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Aを、領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧a(6.4)で囲まれる範囲の領域とした。
領域Bを、トルク変動値N≧b(13.5)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Aを、領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧a(7.2)で囲まれる範囲の領域とした。
領域Bを、トルク変動値N≧b(12.8)で囲まれる範囲の領域とし、
領域Aを、領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧a(5.0)で囲まれる範囲の領域とした。
2 浸漬ノズル
3 ロール対
3a ロール
3b ピンチロール
4 冷却ノズル
5 広面鋳型
6 狭面鋳型
7 溶鋼吐出孔
9 タンディッシュ
11 モータ
12 トルク検出器
13 湯面レベル計
14 出力装置
20 制御部
21 記憶部
100 連続鋳造設備
Claims (4)
- ピンチロールにより鋳片を所定の速度で引き抜く際の当該ピンチロールにおけるトルク、及び、鋳型内の湯面レベルを測定し記憶することが可能な連続鋳造設備において、
鋳造中の定常状態において、以下のケース(1)及び(2)が発生した場合における前記ピンチロールのトルク変動値a[%]、b[%]、及び、前記鋳型内の湯面変動幅Za[mm]、Zb[mm]を定義すると共に、定義された前記トルク変動値a[%]、b[%]、及び、前記湯面変動幅Za[mm]、Zb[mm]に基づいて、領域A、領域B、湯面変動幅最小値Zxを定義しておき、
鋳造中に測定されるトルク変動値Nが前記領域Aに属し、且つ、鋳造中に測定される湯面変動幅Z[mm]が湯面変動幅最小値Zx以上の場合、複数のロールの内のいずれかにスケール等の堆積があると判定して、ロール設備の点検を行ってスケールを除去し、
鋳造中に測定されるトルク変動値Nが前記領域Bに属し、且つ、鋳造中に測定される湯面変動幅Z[mm]が湯面変動幅最小値Zx以上の場合、該当部位を凝固組織起因の疵発生と判定して、製品から除外選別することを特徴とする、連続鋳造での品質及び設備の異常を検知する異常検知方法。
ただし、
ケース(1):複数のロールの内のいずれかのロールにおけるスケールの堆積が発生した場合におけるトルク変動値をa[%]、当該トルク変動時での湯面変動幅をZa[mm]とする。
ケース(2):鋳片が圧延され、その圧延材において表面欠陥が検出されて、当該欠陥を調査すると凝固組織異常が認められた場合における当該部位に相当する鋳造位置でのトルク変動値をb[%]、当該トルク変動時の湯面変動幅をZb[mm]とする。
領域B:トルク変動値N≧bの条件を満たす範囲とする。
領域A:前記領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧aの条件を満たす範囲とする。
湯面変動幅最小値Zx:湯面変動幅Za[mm]及びZb[mm]の内の小さい方の値とする。ただし、Zx>0を満たす。 - 鋳造中の定常状態において、以下のケース(3)が発生した場合におけるトルク変動値c[%]、湯面変動幅Zc[mm]、及び、持続時間Tc[sec]をさらに定義すると共に、定義された前記トルク変動値a[%]、b[%]、c[%]、前記湯面変動幅Za[mm]、Zb[mm]、Zc[mm]、及び、前記持続時間Tc[sec]に基づいて、領域A、領域B、領域C、湯面変動幅最小値Zxを定義しておき、
鋳造中に測定されるトルク変動値Nが前記領域Aに属し、且つ、鋳造中に測定される湯面変動幅Z[mm]が湯面変動幅最小値Zx以上の場合、複数のロールの内のいずれかにスケール等の堆積があると判定して、ロール設備の点検を行ってスケールを除去し、
鋳造中に測定されるトルク変動値Nが前記領域Bに属し、且つ、鋳造中に測定される湯面変動幅Z[mm]が湯面変動幅最小値Zx以上の場合、該当部位を凝固組織起因の疵発生と判定して、製品から除外選別し、
鋳造中に測定されるトルク変動値N及び持続時間Tが前記領域Cに属し、且つ、鋳造中に測定される湯面変動幅Z[mm]が湯面変動幅最小値Zx以上の場合、複数のロールの内のいずれかのベアリングに異常をきたしていると判定し、ロール設備の点検を行うことを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造での品質及び設備の異常を検知する異常検知方法。
ただし、
ケース(3):複数のロールの内のいずれかにおけるベアリング異常が発生した場合におけるトルク変動値をc[%]、当該トルク変動時での湯面変動幅をZc[mm]、トルク変動値c[%]の持続時間をTc[sec]とする。
領域C:トルク変動値N≧c、及び、持続時間T≧Tcの両条件を満たす範囲とする。
領域B:領域C以外の領域であって、トルク変動値N≧bの条件を満たす範囲とする。
領域A:領域C及び領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧aの条件を満たす範囲とする。
湯面変動幅最小値Zx:湯面変動幅Za[mm]、Zb[mm]及びZc[mm]の内の最も小さい値とする。ただし、Zx>0を満たす。 - 鋳造中の定常状態において、以下のケース(4)が発生した場合におけるトルク変動値d[%]、湯面変動幅Zd[mm]、及び、持続時間Td[sec]をさらに定義すると共に、定義された前記トルク変動値a[%]、b[%]、d[%]、前記湯面変動幅Za[mm]、Zb[mm]、Zd[mm]、及び、前記持続時間Td[sec]に基づいて、領域A、領域B、領域D、湯面変動幅最小値Zxを定義しておき、
鋳造中に測定されるトルク変動値Nが前記領域Aに属し、且つ、鋳造中に測定される湯面変動幅Z[mm]が湯面変動幅最小値Zx以上の場合、複数のロールの内のいずれかにスケール等の堆積があると判定して、ロール設備の点検を行ってスケールを除去し、
鋳造中に測定されるトルク変動値Nが前記領域Bに属し、且つ、鋳造中に測定される湯面変動幅Z[mm]が湯面変動幅最小値Zx以上の場合、該当部位を凝固組織起因の疵発生と判定して、製品から除外選別し、
鋳造中に測定されるトルク変動値N及び持続時間Tが前記領域Dに属し、且つ、鋳造中に測定される湯面変動幅Z[mm]が湯面変動幅最小値Zx以上の場合、ブレークアウトが発生する危険性が高いと判定し、直ちに鋳造を停止することを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造での品質及び設備の異常を検知する異常検知方法。
ただし、
ケース(4):ブレークアウトが発生した場合におけるトルク変動値をd[%]、当該トルク変動時での湯面変動幅をZd[mm]、トルク変動値d[%]の持続時間をTd[sec]とする。
領域D:トルク変動値N≧d、及び、持続時間T≧Tdの両条件を満たす範囲とする。
領域B:領域D以外の領域であって、トルク変動値N≧bの条件を満たす範囲とする。
領域A:領域D及び領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧aの条件を満たす範囲とする。
湯面変動幅最小値Zx:湯面変動幅Za[mm]、Zb[mm]及びZd[mm]の内の最も小さい値とする。ただし、Zx>0を満たす。 - 鋳造中の定常状態において、以下のケース(3)及び(4)が発生した場合におけるトルク変動値c[%]、d[%]、湯面変動幅Zc[mm]、Zd[mm]、及び、持続時間Tc[sec]、Td[sec]をさらに定義すると共に、定義された前記トルク変動値a[%]、b[%]、c[%]、d[%]、前記湯面変動幅Za[mm]、Zb[mm]、Zc[mm]、Zd[mm]、及び、前記持続時間Tc[sec]、Td[sec]に基づいて、領域A、領域B、領域C、領域D、湯面変動幅最小値Zxを定義しておき、
鋳造中に測定されるトルク変動値Nが前記領域Aに属し、且つ、鋳造中に測定される湯面変動幅Z[mm]が湯面変動幅最小値Zx以上の場合、複数のロールの内のいずれかにスケール等の堆積があると判定して、ロール設備の点検を行ってスケールを除去し、
鋳造中に測定されるトルク変動値Nが前記領域Bに属し、且つ、鋳造中に測定される湯面変動幅Z[mm]が湯面変動幅最小値Zx以上の場合、該当部位を凝固組織起因の疵発生と判定して、製品から除外選別し、
鋳造中に測定されるトルク変動値N及び持続時間Tが前記領域Cに属し、且つ、鋳造中に測定される湯面変動幅Z[mm]が湯面変動幅最小値Zx以上の場合、複数のロールの内のいずれかのベアリングに異常をきたしていると判定し、ロール設備の点検を行い、
鋳造中に測定されるトルク変動値N及び持続時間Tが前記領域Dに属し、且つ、鋳造中に測定される湯面変動幅Z[mm]が湯面変動幅最小値Zx以上の場合、ブレークアウトが発生する危険性が高いと判定し、直ちに鋳造を停止することを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造での品質及び設備の異常を検知する異常検知方法。
ただし、
ケース(3):複数のロールの内のいずれかにおけるベアリング異常が発生した場合におけるトルク変動値をc[%]、当該トルク変動時での湯面変動幅をZc[mm]、トルク変動値c[%]の持続時間をTc[sec]とする。
ケース(4):ブレークアウトが発生した場合におけるトルク変動値をd[%]、当該トルク変動時での湯面変動幅をZd[mm]、トルク変動値d[%]の持続時間をTd[sec]とする。
領域D:トルク変動値N≧d、及び、持続時間T≧Tdの両条件を満たす範囲とする。
領域C:領域D以外の領域であって、トルク変動値N≧c、及び、持続時間T≧Tcの両条件を満たす範囲とする。
領域B:領域D及び領域C以外の領域であって、トルク変動値N≧bの条件を満たす範囲とする。
領域A:領域D、領域C及び領域B以外の領域であって、トルク変動値N≧aの条件を満たす範囲とする。
湯面変動幅最小値Zx:湯面変動幅Za[mm]、Zb[mm]、Zc[mm]及びZd[mm]の内の最も小さい値とする。ただし、Zx>0を満たす。
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- 2009-09-18 JP JP2009216340A patent/JP5509426B2/ja not_active Expired - Fee Related
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