JP3887520B2 - 連続鋳造装置の設備管理方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は連続鋳造装置の設備管理方法に関するものであり、ビレット,ブルーム,スラブといった各種鋳片を連続的に鋳造する装置の設備管理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ビレット,ブルーム,スラブといった各種鋳片を連続鋳造方法により製造することが一般的に行われており、この連続鋳造にあたっては、鋳型内の溶融金属の湯面にパウダーを添加し、鋳片の引き抜きに伴って該パウダーを鋳型−鋳片間に導入して鋳型と鋳片の摩擦抵抗を低減させている。また鋳片引き抜き方向と平行な方向に鋳型を振動させて、円滑な引き抜きの実現を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
鋳型の振動は上述の通り鋳片引き抜き方向と平行な方向(以下、引抜き方向と称することがある)のみに作用させているのであるが、この振動に伴って鋳片引抜き方向と直交する方向(以下、横方向と称することがある)にも少なからず振動が生じる(以下、横振れと称することがある)。この横振れは鋳造設備の劣化等が進むと次第にひどくなり、この為に鋳型−鋳片間へのパウダー流入に異常をきたしたり、また鋳型から鋳片に対して異常な荷重が加わり、鋳型内で進行している凝固反応に影響を及ぼす等の現象が生じる。すると鋳片表面にストリーク欠陥(パウダー不均一流入の為に生じた鋳片表面の窪み欠陥)や、凝固進行中の結晶組織が外力により破断することによる横割れ欠陥が発生する可能性が高くなり、品質上の問題が生じる。
【0004】
しかしながら従来においては上述の様な異常な状況が生じていても、それに気づかずに鋳造操業を継続して行っており、良質な製品を常に安定して製造することが困難であった。この為、鋳造後の鋳片に発生する品質不良を後工程において検査により検出し、良品を選別する作業が必要となっていた。
【0005】
そこで本発明は以上の様な状況に鑑みてなされたものであり、異常品質の鋳片が製造されることを未然に防止し、また鋳型の横振動を低位に安定させる為の設備の予防保全を適切に実行することのできる連続鋳造装置の設備管理方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る連続鋳造装置の設備管理方法は、鋳造中において鋳片引抜き方向と平行な方向(以下、単に平行方向ということがある)に鋳型を振動させ、鋳片引抜き方向と直交する方向(以下、単に直交方向ということがある)の鋳型振動量を測定して鋳造実施の適否を判断する方法であって、下式(1)を満足するときに鋳造実施適と判断し、満足しないときに鋳造実施不適と判断することを要旨とする。
W1/W0≦0.1 …(1)
W1:直交方向(鋳片引抜き方向と直交する方向)の鋳型振動量の最大値(μm)
W0:平行方向(鋳片引抜き方向と平行な方向)の鋳型振動量の設定値(μm)
或いは本発明に係る連続鋳造装置の管理方法は、非鋳造時において平行方向に鋳型を振動させ、直交方向の鋳型振動量を測定して鋳造実施の適否を判断する方法であって、下式 (1) を満足するときに鋳造実施適と判断し、満足しないときに鋳造実施不適と判断することを要旨とする。
W 1 /W 0 ≦0.1 … (1)
W 1 :直交方向の鋳型振動量の最大値(μ m )
W 0 :平行方向の鋳型振動量の設定値(μ m )。
【0007】
本発明者らは、鋳片表面付近の横割れやストリーク欠陥といった問題について検討したところ、その問題の発生原因が上記の如く鋳型の横振れにあることを見出した。従来の連続鋳造装置の設備管理方法においては、鋳型の横振れ状況を監視したり、また横振れの程度を測定したりすることを行っておらず、この為に良質な製品を安定して得ることが困難であったものと考えられる。
【0008】
本発明は上述の様に鋳片引抜き方向と直交する方向(横方向)の鋳型振動量、即ち横振れに関する鋳型振動量を測定し、この振動量が所定の基準値より大きければ、連続鋳造装置の部品交換や鋳造ラインの通り芯調整等のメンテナンスを予防的に行い、これによって上記振動量を低位に安定管理すると良く、この様にして常に横方向の振動量が小さい状態で連続鋳造を行うことにより、良質の鋳片を安定して製造することが可能となる。
【0009】
尚上記「非鋳造時」とは、鋳造を開始する前、或いは鋳造が完了した後の、鋳型内に鋳片(溶融金属及びその凝固体)が無い状態(空の状態)のときを言い、上記「鋳造中」とは、鋳型内に鋳片があり、鋳造が行われている状態のときを言う。
【0010】
また上記「振動量」とは、振動的変位の変動の幅を言い、つまり鋳型の振動をグラフで表したときの山〜谷までの距離を言う。
【0011】
そして本発明においては、前記鋳片引抜き方向と直交する方向の鋳型振動量、及び鋳片引抜き方向と平行な方向の鋳型振動量を測定し、これらの測定値が、下式(1)を満足する様にして連続鋳造を行うことが好ましい。
W1/W0≦0.1 …(1)
W1:鋳片引抜き方向と直交する方向の鋳型振動量の最大値(μm)
W0:鋳片引抜き方向と平行な方向の鋳型振動量の設定値(μm)。
【0012】
W1/W0が0.1超の場合は、鋳型の横振れが大き過ぎると判断され、従ってパウダーの流入状況があまり好ましくない傾向にあり、また鋳造中に鋳型から異常な横方向の荷重が鋳片に加えられていると推測されるから、連続鋳造装置のメンテナンスを行って上記式(1)を満足するようにする。これにより鋳片の品質異常の発生を未然に防止でき、また設備の保全を適切に行うことができる。特にストリーク欠陥が発生し易い鋼種(例えば、炭素を0.10%含有する鋼種)や、横割れ欠陥の発生し易い鋼種(例えば、炭素を0.10〜0.20%含有する鋼種)において、上記式(1)を満足することが望ましい。
【0013】
より好ましくは上記W1/W0が0.08以下であり、更に好ましくは0.07以下である。
【0014】
尚上記「鋳片引抜き方向と平行な方向の鋳型振動量の設定値(W0)」とは、鋳型に対して引抜き方向に振動を作用させる際の設定値である。
【0015】
また本発明に係る連続鋳造装置の設備管理方法は、非鋳造時において平行方向に鋳型を振動させ、直交方向(鋳片引抜き方向と直交する方向)の鋳型振動量を測定してこれを[M]とし、鋳造中において平行方向に鋳型を振動させ、直交方向の鋳型振動量を測定してこれを[N]とし、前記[M](非鋳造時における前記鋳片引抜き方向と直交する方向の鋳型振動量)と前記[N](鋳造中における前記鋳片引抜き方向と直交する方向の鋳型振動量)とを対比し、これらの差の絶対値が0.1mm以下のときに鋳造実施適と判断し、0.1mmより大きいときに鋳造実施不適と判断することを要旨とする。
【0016】
例えば鋳型内に鋳片がない状態(非鋳造時)の横方向の振動量に比べて、鋳型内に鋳片が存在している状態(鋳造中)の横方向の振動量が小さい値となった場合は、その差(変化量)の分だけ鋳片が横方向の荷重を受けているということであり、この変化量が大きいと鋳片に横割れ欠陥等を生じる懸念が増す。また逆に非鋳造時の横方向の振動量に比べて、鋳造中の横方向の振動量が大きい値の場合は、連続鋳造装置の鋳型や各ロールの配置がズレて、鋳造ラインの通り芯が精度良く出ていない可能性があり、この場合も鋳型内の鋳片に異常な力が作用して割れ欠陥やストリーク欠陥を生じる恐れがある。この様に上記変化量が大きいと、欠陥のある鋳片が製造される恐れが高いから、この変化量が少なくなる様に、連続鋳造装置のメンテナンス等を実行すると良い。
【0017】
更に本発明においては、非鋳造時における前記鋳片引抜き方向と直交する方向の鋳型振動量と、鋳造中における前記鋳片引抜き方向と直交する方向の鋳型振動量との差の絶対値が、0.1mm以下であることが好ましい。
【0018】
上記の様に非鋳造時と鋳造中の横方向振動量の差(変化量)が、絶対値で0.1mm以下であれば、上述の様な不具合を生じる懸念が少なく、良好な鋳片を安定して製造することが可能である。特に鋼種としてストリーク欠陥が発生し易い鋼種(例えば、炭素を0.10%含有する鋼種)や、横割れ欠陥の発生し易い鋼種(例えば、炭素を0.10〜0.20%含有する鋼種)において、上記変化量の絶対値を0.1mm以下にすると欠陥予防効果が高い。
【0019】
より好ましくは非鋳造時と鋳造中の横方向振動量の差の絶対値が0.08mm以下である。更に好ましくは0.05mm以下である。
【0020】
本発明おいて用いる鋳型振動検出装置としては、鋳型外面に取付けられた平板と、該鋳型における鋳片引抜き方向と直交する方向への鋳型振動に基づく該平板の位置変化を感知する位置センサーとを備えたものが挙げられる。
【0021】
例えば鋳型の振動から隔離された架台等(固定されたもの)に上記位置センサー(例えば渦流式センサー)を設置し、該センサーから上記平板(例えば金属平板)までの距離の変動状況を測定し、上記横方向の鋳型振動量を測定する。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の方法において用いる連続鋳造装置の一例を示す模式図であり、(a)は縦断面図で、(b)は鋳型11を上方から見た図である。図2,3は該連続鋳造装置の鋳型付近を表す拡大断面図で、図2は良好な鋳片が製造される場合を示し、図3は鋳型の横揺れが大きく鋳片に異常をきたす場合を示している。
【0023】
浸漬ノズル(図示せず)から鋳型14内に注入された溶融金属13は下方に引き抜かれつつ、次第に表面(鋳型との接触面)から凝固する(凝固殻12)。溶融金属13の湯面にはパウダー11が添加され、上記引き抜きに伴ってパウダー11が凝固殻12の表面を覆うようにして鋳型14と鋳片(凝固殻12)の間に入り、摩擦抵抗を低減させる。またこのとき鋳型14に引抜き方向(Z軸方向)の振動が加えられ、鋳片が引抜き易くなっている。尚本明細書において、上記溶融金属13と凝固殻12を合わせて鋳片と呼ぶことがある。
【0024】
上記連続鋳造装置の鋳型14外面には金属平板17が取付けられており(尚実際には、鋳型の周りの鉄製フレームに金属平板17を取り付けると良い)、鋳型14の振動と同じに金属平板17も振動する。そして該金属平板17に対向して渦流式センサー18が設置されており、該渦流式センサー18は固定した架台(図示せず)に取付けられ、動くことがない。これら金属平板17と渦流式センサー18により鋳型振動検出装置16が構成されている。
【0025】
上記渦流式センサー18は上記金属平板17との距離を測定し、これにより金属平板17の横方向の振動量、即ち鋳型14の横方向の振動量を測定する。尚図1(b)に示す左上の渦流式センサー18はX軸方向の振動を感知し、図1(b)に示す左下の渦流式センサー18はY軸方向の振動を感知する。ここでX軸方向とは引抜き方向(Z軸方向)と直交する一の方向で、Y軸方向とは該X軸方向及び前記Z軸方向と直交する方向である。横振れとは、上記X軸方向の振れ、上記Y軸方向の振れ、またはX軸方向とY軸方向を合成した振れである。
【0026】
連続鋳造を行うにあたって上記鋳型振動検出装置16を用いて、鋳造中或いは鋳造前等(非鋳造時)に鋳型の横振れの状況を監視し、予め設定された基準値と比較して上記横方向鋳型振動量が大きければ連続鋳造装置の部品交換や鋳造ラインの通り芯調整等を行い、常に横振れの小さい状態で鋳造を行う。これにより鋳型横振れによって生じる鋳片の品質不良を未然に防止できる。
【0027】
尚鋳型の横振れが大きいと、図3に示す様にパウダー11の流入が不均一となり、凝固殻にストリーク欠陥を生じる可能性が高くなる。また鋳型14から凝固殻12に対して異常な荷重が加わり、割れ欠陥15が発生する可能性も高くなる。
【0028】
これに対し鋳型14の横振れの小さい場合は、パウダー11が均一,良好に流入し、健全な凝固殻が形成される(図2)。
【0029】
尚本発明に係る方法は、鋳造段階の欠陥がそのまま製品に残存し易いニアネットシェイプ型の連続鋳造機(ビレット連続鋳造機,薄スラブ連続鋳造機等)において特に有効である。
【0030】
<実験1>
下記に示す鋼種a,bを用いて連続鋳造を行い、その際の横方向の鋳型振動量を測定し、また出来上がった鋼にストリーク欠陥が発生しているか否かを観察した。この連続鋳造のときに鋳型に付与した引抜き方向(Z軸方向)の振動量(設定値)は3000μm(W0)である。
鋼種a:C=0.10%、Si=0.02%、Mn=0.43%、S=0.030%、残部鉄
鋼種b:C=0.10%、Si=0.02%、Mn=0.43%、S=0.008%、残部鉄。
【0031】
図4は、ストリーク欠陥が発生しない確率(ストリーク欠陥非発生率(%))と上記横方向鋳型振動量との関係を表すグラフである。図4から分かる様に横方向の鋳型振動量が小さいもの程、ストリーク欠陥があまり発生せず、横方向の鋳型振動量が大きくなるとストリーク欠陥が多く発生する傾向にある(各結果は図4のグラフに示す2つの実線で挟まれた領域内に概ね入っている)。従って横方向の鋳型振動量を低減することが、ストリーク欠陥の減少に有効であることが分かる。
【0032】
尚上記の如くW0は3000μmであるから、上記式(1)を満足するのは横方向の鋳型振動量が300μm以下の場合であるが、図4に見られる様に横方向振動量230μm以下のものはストリーク欠陥があまり発生していない。
【0033】
<実験2>
ビレット連続鋳造装置(ストランドNo.1,2)を用いて連続鋳造を実施し、鋳造前(非鋳造時)と鋳造中における横方向の鋳型振動量を測定した。その結果を図5,6に示す。尚ストランドNo.1,2に作用させた引抜き方向の振動量、即ち引抜き方向の鋳型振動量の設定値W0は3000μmである。また図5,6のグラフに示す各値は、鋳造中における横方向鋳型振動量の平均値、また鋳造前に鋳型を引抜き方向に振動させたときの横方向鋳型振動量の平均値を、それぞれキャスト(一連の連続鋳造作業)単位で示したものである。また上記横方向鋳型振動量の平均値とは、渦流式センサー(位置センサー)の信号を0.1sec.毎に読み取り、その値の平均である。
【0034】
更に上記鋳造前の横方向鋳型振動量から鋳造中の横方向鋳型振動量を引いた値(変化量)のグラフを図7,8に示す。尚上記ストランドNo.1の結果は図5,7に、ストランドNo.2の結果は図6,8にそれぞれ示す。
【0035】
前述の様に横振れが大きいと、鋳片に割れ欠陥やストリーク欠陥が発生する懸念が高いが、上記の様に横方向の鋳型振動量を測定してその傾向を管理することにより、鋳型横揺れに影響を及ぼす重要部品(例えば鋳型振動装置のガイドレール、回転軸等)の摩耗等の劣化状況を把握でき、よって適切なタイミングでこれら部品の交換等のメンテナンスを予防的に行うことで、欠陥のない鋳片を安定して製造することが可能となる。
【0036】
例えばストランドNo.1ではキャストNo.7の前に部品Aの交換を行ったので、それ以降は、鋳造前と鋳造中の横振れの変化量が少なく(図7)、しかも該変化量の絶対値は50μm以下であり、安定して良品質の鋳片が得られた。また部品Aの交換以降、鋳造前や鋳造中の横方向の鋳型振動量も低減した(図5)。尚部品Aの交換前(キャストNo.1〜6)であってもW1/W0が最大でも0.07程度であり、概ね良好に鋳片が製造されていたが、更に部品Aの交換以降はW1/W0が最大でも0.06程度となり、より一層安定して良品質の鋳片が得られることとなった。
【0037】
ストランドNo.2ではキャストNo.17の前に部品Aの交換を行ったので、それ以降は鋳造前の横揺れが小さくなった上(図6)、鋳造前と鋳造中の横振れの変化量が少なくなり(図8)、良品質の鋳片が安定して得られるようになった。
【0038】
この様に予防的に早めのメンテナンスを行うことは、設備の保全を計画的に行う場合においても有効である。
【0039】
仮に設備不良の状態であると、大レベルの鋳型横振れが突発的に発生するという事故が起こることがあるが、この様な突発事故が起こった場合には、鋳造を中止して大規模な設備修理を行う必要がある。この点、上記の様に横振れの状態を監視して設備の劣化や異常の発生を早めに察知し、メンテナンスを行うことにより、上記突発事故を防止できる。この様に設備保全を計画的に実施するという観点からも有効であるから、生産計画に支障をきたすことなく、安定して良品質の製品を得ることが可能となる。
【0040】
また非鋳造時のみ或いは鋳造中のみの横振れを測定するだけでなく、非鋳造時と鋳造中の横振れの変化量を監視することにより、設備異常管理を一層高精度で行うことができる。
【0041】
例えば図6から分かる様にストランドNo.2における横方向の鋳型振動量は漸増しているが、図8に示す様にその変化量(非鋳造時と鋳造中との変化量)としてはあまり変わらない値を示している。ここから分かる様に、変化量(図8)に基づいて評価することにより、設備劣化等に伴うW1/W0の値(横方向鋳型振動量より算出)の経時変動の影響を受けることなく、鋳造中の鋳片に対して鋳型から加えられる外力の影響のみを精度良く抽出,評価することができ、より高品質な鋳片を安定して生産することが可能となる。
【0042】
以上の様に本発明に係る連続鋳造装置の設備管理方法に関して、例を示す図面を参照しつつ具体的に説明したが、本発明はもとより上記例に限定される訳ではなく、前記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0043】
【発明の効果】
本発明に係る連続鋳造装置の設備管理方法の如く、鋳型の横方向の振動を監視し、例えば横方向の振動が大きい場合には装置の部品交換や鋳造ラインの通り芯調整といったメンテナンス等を行うことにより、ストリーク欠陥や横割れ欠陥等の不良品の発生を防止でき、常に安定して良品質の鋳片を製造することが可能となる。加えて大きな設備異常が生じる前に、設備の予防保全を適切に実行することができる。
【0044】
また鋳型振動検出装置によれば、鋳型の横方向の振動を精度良く検知でき、上記本発明の連続鋳造装置の設備管理方法を容易に実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法において用いる連続鋳造装置の一例を示す図。
【図2】鋳片が正常な状態の場合における、連続鋳造装置の鋳型付近を表す拡大断面図。
【図3】鋳片に異常をきたした場合における、連続鋳造装置の鋳型付近を表す拡大断面図。
【図4】鋳型振動量とストリーク欠陥非発生率との関係を表すグラフ。
【図5】ストランドNo.1における横方向の鋳型振動量を示すグラフ。
【図6】ストランドNo.2における横方向の鋳型振動量を示すグラフ。
【図7】ストランドNo.1における横方向の鋳型振動量の変化量を示すグラフ。
【図8】ストランドNo.2における横方向の鋳型振動量の変化量を示すグラフ。
【符号の説明】
11 パウダー
12 凝固殻
13 溶融金属
14 鋳型
15 割れ欠陥
16 鋳型振動検出装置
17 金属平板
18 渦流式センサー
【発明の属する技術分野】
本発明は連続鋳造装置の設備管理方法に関するものであり、ビレット,ブルーム,スラブといった各種鋳片を連続的に鋳造する装置の設備管理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ビレット,ブルーム,スラブといった各種鋳片を連続鋳造方法により製造することが一般的に行われており、この連続鋳造にあたっては、鋳型内の溶融金属の湯面にパウダーを添加し、鋳片の引き抜きに伴って該パウダーを鋳型−鋳片間に導入して鋳型と鋳片の摩擦抵抗を低減させている。また鋳片引き抜き方向と平行な方向に鋳型を振動させて、円滑な引き抜きの実現を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
鋳型の振動は上述の通り鋳片引き抜き方向と平行な方向(以下、引抜き方向と称することがある)のみに作用させているのであるが、この振動に伴って鋳片引抜き方向と直交する方向(以下、横方向と称することがある)にも少なからず振動が生じる(以下、横振れと称することがある)。この横振れは鋳造設備の劣化等が進むと次第にひどくなり、この為に鋳型−鋳片間へのパウダー流入に異常をきたしたり、また鋳型から鋳片に対して異常な荷重が加わり、鋳型内で進行している凝固反応に影響を及ぼす等の現象が生じる。すると鋳片表面にストリーク欠陥(パウダー不均一流入の為に生じた鋳片表面の窪み欠陥)や、凝固進行中の結晶組織が外力により破断することによる横割れ欠陥が発生する可能性が高くなり、品質上の問題が生じる。
【0004】
しかしながら従来においては上述の様な異常な状況が生じていても、それに気づかずに鋳造操業を継続して行っており、良質な製品を常に安定して製造することが困難であった。この為、鋳造後の鋳片に発生する品質不良を後工程において検査により検出し、良品を選別する作業が必要となっていた。
【0005】
そこで本発明は以上の様な状況に鑑みてなされたものであり、異常品質の鋳片が製造されることを未然に防止し、また鋳型の横振動を低位に安定させる為の設備の予防保全を適切に実行することのできる連続鋳造装置の設備管理方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る連続鋳造装置の設備管理方法は、鋳造中において鋳片引抜き方向と平行な方向(以下、単に平行方向ということがある)に鋳型を振動させ、鋳片引抜き方向と直交する方向(以下、単に直交方向ということがある)の鋳型振動量を測定して鋳造実施の適否を判断する方法であって、下式(1)を満足するときに鋳造実施適と判断し、満足しないときに鋳造実施不適と判断することを要旨とする。
W1/W0≦0.1 …(1)
W1:直交方向(鋳片引抜き方向と直交する方向)の鋳型振動量の最大値(μm)
W0:平行方向(鋳片引抜き方向と平行な方向)の鋳型振動量の設定値(μm)
或いは本発明に係る連続鋳造装置の管理方法は、非鋳造時において平行方向に鋳型を振動させ、直交方向の鋳型振動量を測定して鋳造実施の適否を判断する方法であって、下式 (1) を満足するときに鋳造実施適と判断し、満足しないときに鋳造実施不適と判断することを要旨とする。
W 1 /W 0 ≦0.1 … (1)
W 1 :直交方向の鋳型振動量の最大値(μ m )
W 0 :平行方向の鋳型振動量の設定値(μ m )。
【0007】
本発明者らは、鋳片表面付近の横割れやストリーク欠陥といった問題について検討したところ、その問題の発生原因が上記の如く鋳型の横振れにあることを見出した。従来の連続鋳造装置の設備管理方法においては、鋳型の横振れ状況を監視したり、また横振れの程度を測定したりすることを行っておらず、この為に良質な製品を安定して得ることが困難であったものと考えられる。
【0008】
本発明は上述の様に鋳片引抜き方向と直交する方向(横方向)の鋳型振動量、即ち横振れに関する鋳型振動量を測定し、この振動量が所定の基準値より大きければ、連続鋳造装置の部品交換や鋳造ラインの通り芯調整等のメンテナンスを予防的に行い、これによって上記振動量を低位に安定管理すると良く、この様にして常に横方向の振動量が小さい状態で連続鋳造を行うことにより、良質の鋳片を安定して製造することが可能となる。
【0009】
尚上記「非鋳造時」とは、鋳造を開始する前、或いは鋳造が完了した後の、鋳型内に鋳片(溶融金属及びその凝固体)が無い状態(空の状態)のときを言い、上記「鋳造中」とは、鋳型内に鋳片があり、鋳造が行われている状態のときを言う。
【0010】
また上記「振動量」とは、振動的変位の変動の幅を言い、つまり鋳型の振動をグラフで表したときの山〜谷までの距離を言う。
【0011】
そして本発明においては、前記鋳片引抜き方向と直交する方向の鋳型振動量、及び鋳片引抜き方向と平行な方向の鋳型振動量を測定し、これらの測定値が、下式(1)を満足する様にして連続鋳造を行うことが好ましい。
W1/W0≦0.1 …(1)
W1:鋳片引抜き方向と直交する方向の鋳型振動量の最大値(μm)
W0:鋳片引抜き方向と平行な方向の鋳型振動量の設定値(μm)。
【0012】
W1/W0が0.1超の場合は、鋳型の横振れが大き過ぎると判断され、従ってパウダーの流入状況があまり好ましくない傾向にあり、また鋳造中に鋳型から異常な横方向の荷重が鋳片に加えられていると推測されるから、連続鋳造装置のメンテナンスを行って上記式(1)を満足するようにする。これにより鋳片の品質異常の発生を未然に防止でき、また設備の保全を適切に行うことができる。特にストリーク欠陥が発生し易い鋼種(例えば、炭素を0.10%含有する鋼種)や、横割れ欠陥の発生し易い鋼種(例えば、炭素を0.10〜0.20%含有する鋼種)において、上記式(1)を満足することが望ましい。
【0013】
より好ましくは上記W1/W0が0.08以下であり、更に好ましくは0.07以下である。
【0014】
尚上記「鋳片引抜き方向と平行な方向の鋳型振動量の設定値(W0)」とは、鋳型に対して引抜き方向に振動を作用させる際の設定値である。
【0015】
また本発明に係る連続鋳造装置の設備管理方法は、非鋳造時において平行方向に鋳型を振動させ、直交方向(鋳片引抜き方向と直交する方向)の鋳型振動量を測定してこれを[M]とし、鋳造中において平行方向に鋳型を振動させ、直交方向の鋳型振動量を測定してこれを[N]とし、前記[M](非鋳造時における前記鋳片引抜き方向と直交する方向の鋳型振動量)と前記[N](鋳造中における前記鋳片引抜き方向と直交する方向の鋳型振動量)とを対比し、これらの差の絶対値が0.1mm以下のときに鋳造実施適と判断し、0.1mmより大きいときに鋳造実施不適と判断することを要旨とする。
【0016】
例えば鋳型内に鋳片がない状態(非鋳造時)の横方向の振動量に比べて、鋳型内に鋳片が存在している状態(鋳造中)の横方向の振動量が小さい値となった場合は、その差(変化量)の分だけ鋳片が横方向の荷重を受けているということであり、この変化量が大きいと鋳片に横割れ欠陥等を生じる懸念が増す。また逆に非鋳造時の横方向の振動量に比べて、鋳造中の横方向の振動量が大きい値の場合は、連続鋳造装置の鋳型や各ロールの配置がズレて、鋳造ラインの通り芯が精度良く出ていない可能性があり、この場合も鋳型内の鋳片に異常な力が作用して割れ欠陥やストリーク欠陥を生じる恐れがある。この様に上記変化量が大きいと、欠陥のある鋳片が製造される恐れが高いから、この変化量が少なくなる様に、連続鋳造装置のメンテナンス等を実行すると良い。
【0017】
更に本発明においては、非鋳造時における前記鋳片引抜き方向と直交する方向の鋳型振動量と、鋳造中における前記鋳片引抜き方向と直交する方向の鋳型振動量との差の絶対値が、0.1mm以下であることが好ましい。
【0018】
上記の様に非鋳造時と鋳造中の横方向振動量の差(変化量)が、絶対値で0.1mm以下であれば、上述の様な不具合を生じる懸念が少なく、良好な鋳片を安定して製造することが可能である。特に鋼種としてストリーク欠陥が発生し易い鋼種(例えば、炭素を0.10%含有する鋼種)や、横割れ欠陥の発生し易い鋼種(例えば、炭素を0.10〜0.20%含有する鋼種)において、上記変化量の絶対値を0.1mm以下にすると欠陥予防効果が高い。
【0019】
より好ましくは非鋳造時と鋳造中の横方向振動量の差の絶対値が0.08mm以下である。更に好ましくは0.05mm以下である。
【0020】
本発明おいて用いる鋳型振動検出装置としては、鋳型外面に取付けられた平板と、該鋳型における鋳片引抜き方向と直交する方向への鋳型振動に基づく該平板の位置変化を感知する位置センサーとを備えたものが挙げられる。
【0021】
例えば鋳型の振動から隔離された架台等(固定されたもの)に上記位置センサー(例えば渦流式センサー)を設置し、該センサーから上記平板(例えば金属平板)までの距離の変動状況を測定し、上記横方向の鋳型振動量を測定する。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の方法において用いる連続鋳造装置の一例を示す模式図であり、(a)は縦断面図で、(b)は鋳型11を上方から見た図である。図2,3は該連続鋳造装置の鋳型付近を表す拡大断面図で、図2は良好な鋳片が製造される場合を示し、図3は鋳型の横揺れが大きく鋳片に異常をきたす場合を示している。
【0023】
浸漬ノズル(図示せず)から鋳型14内に注入された溶融金属13は下方に引き抜かれつつ、次第に表面(鋳型との接触面)から凝固する(凝固殻12)。溶融金属13の湯面にはパウダー11が添加され、上記引き抜きに伴ってパウダー11が凝固殻12の表面を覆うようにして鋳型14と鋳片(凝固殻12)の間に入り、摩擦抵抗を低減させる。またこのとき鋳型14に引抜き方向(Z軸方向)の振動が加えられ、鋳片が引抜き易くなっている。尚本明細書において、上記溶融金属13と凝固殻12を合わせて鋳片と呼ぶことがある。
【0024】
上記連続鋳造装置の鋳型14外面には金属平板17が取付けられており(尚実際には、鋳型の周りの鉄製フレームに金属平板17を取り付けると良い)、鋳型14の振動と同じに金属平板17も振動する。そして該金属平板17に対向して渦流式センサー18が設置されており、該渦流式センサー18は固定した架台(図示せず)に取付けられ、動くことがない。これら金属平板17と渦流式センサー18により鋳型振動検出装置16が構成されている。
【0025】
上記渦流式センサー18は上記金属平板17との距離を測定し、これにより金属平板17の横方向の振動量、即ち鋳型14の横方向の振動量を測定する。尚図1(b)に示す左上の渦流式センサー18はX軸方向の振動を感知し、図1(b)に示す左下の渦流式センサー18はY軸方向の振動を感知する。ここでX軸方向とは引抜き方向(Z軸方向)と直交する一の方向で、Y軸方向とは該X軸方向及び前記Z軸方向と直交する方向である。横振れとは、上記X軸方向の振れ、上記Y軸方向の振れ、またはX軸方向とY軸方向を合成した振れである。
【0026】
連続鋳造を行うにあたって上記鋳型振動検出装置16を用いて、鋳造中或いは鋳造前等(非鋳造時)に鋳型の横振れの状況を監視し、予め設定された基準値と比較して上記横方向鋳型振動量が大きければ連続鋳造装置の部品交換や鋳造ラインの通り芯調整等を行い、常に横振れの小さい状態で鋳造を行う。これにより鋳型横振れによって生じる鋳片の品質不良を未然に防止できる。
【0027】
尚鋳型の横振れが大きいと、図3に示す様にパウダー11の流入が不均一となり、凝固殻にストリーク欠陥を生じる可能性が高くなる。また鋳型14から凝固殻12に対して異常な荷重が加わり、割れ欠陥15が発生する可能性も高くなる。
【0028】
これに対し鋳型14の横振れの小さい場合は、パウダー11が均一,良好に流入し、健全な凝固殻が形成される(図2)。
【0029】
尚本発明に係る方法は、鋳造段階の欠陥がそのまま製品に残存し易いニアネットシェイプ型の連続鋳造機(ビレット連続鋳造機,薄スラブ連続鋳造機等)において特に有効である。
【0030】
<実験1>
下記に示す鋼種a,bを用いて連続鋳造を行い、その際の横方向の鋳型振動量を測定し、また出来上がった鋼にストリーク欠陥が発生しているか否かを観察した。この連続鋳造のときに鋳型に付与した引抜き方向(Z軸方向)の振動量(設定値)は3000μm(W0)である。
鋼種a:C=0.10%、Si=0.02%、Mn=0.43%、S=0.030%、残部鉄
鋼種b:C=0.10%、Si=0.02%、Mn=0.43%、S=0.008%、残部鉄。
【0031】
図4は、ストリーク欠陥が発生しない確率(ストリーク欠陥非発生率(%))と上記横方向鋳型振動量との関係を表すグラフである。図4から分かる様に横方向の鋳型振動量が小さいもの程、ストリーク欠陥があまり発生せず、横方向の鋳型振動量が大きくなるとストリーク欠陥が多く発生する傾向にある(各結果は図4のグラフに示す2つの実線で挟まれた領域内に概ね入っている)。従って横方向の鋳型振動量を低減することが、ストリーク欠陥の減少に有効であることが分かる。
【0032】
尚上記の如くW0は3000μmであるから、上記式(1)を満足するのは横方向の鋳型振動量が300μm以下の場合であるが、図4に見られる様に横方向振動量230μm以下のものはストリーク欠陥があまり発生していない。
【0033】
<実験2>
ビレット連続鋳造装置(ストランドNo.1,2)を用いて連続鋳造を実施し、鋳造前(非鋳造時)と鋳造中における横方向の鋳型振動量を測定した。その結果を図5,6に示す。尚ストランドNo.1,2に作用させた引抜き方向の振動量、即ち引抜き方向の鋳型振動量の設定値W0は3000μmである。また図5,6のグラフに示す各値は、鋳造中における横方向鋳型振動量の平均値、また鋳造前に鋳型を引抜き方向に振動させたときの横方向鋳型振動量の平均値を、それぞれキャスト(一連の連続鋳造作業)単位で示したものである。また上記横方向鋳型振動量の平均値とは、渦流式センサー(位置センサー)の信号を0.1sec.毎に読み取り、その値の平均である。
【0034】
更に上記鋳造前の横方向鋳型振動量から鋳造中の横方向鋳型振動量を引いた値(変化量)のグラフを図7,8に示す。尚上記ストランドNo.1の結果は図5,7に、ストランドNo.2の結果は図6,8にそれぞれ示す。
【0035】
前述の様に横振れが大きいと、鋳片に割れ欠陥やストリーク欠陥が発生する懸念が高いが、上記の様に横方向の鋳型振動量を測定してその傾向を管理することにより、鋳型横揺れに影響を及ぼす重要部品(例えば鋳型振動装置のガイドレール、回転軸等)の摩耗等の劣化状況を把握でき、よって適切なタイミングでこれら部品の交換等のメンテナンスを予防的に行うことで、欠陥のない鋳片を安定して製造することが可能となる。
【0036】
例えばストランドNo.1ではキャストNo.7の前に部品Aの交換を行ったので、それ以降は、鋳造前と鋳造中の横振れの変化量が少なく(図7)、しかも該変化量の絶対値は50μm以下であり、安定して良品質の鋳片が得られた。また部品Aの交換以降、鋳造前や鋳造中の横方向の鋳型振動量も低減した(図5)。尚部品Aの交換前(キャストNo.1〜6)であってもW1/W0が最大でも0.07程度であり、概ね良好に鋳片が製造されていたが、更に部品Aの交換以降はW1/W0が最大でも0.06程度となり、より一層安定して良品質の鋳片が得られることとなった。
【0037】
ストランドNo.2ではキャストNo.17の前に部品Aの交換を行ったので、それ以降は鋳造前の横揺れが小さくなった上(図6)、鋳造前と鋳造中の横振れの変化量が少なくなり(図8)、良品質の鋳片が安定して得られるようになった。
【0038】
この様に予防的に早めのメンテナンスを行うことは、設備の保全を計画的に行う場合においても有効である。
【0039】
仮に設備不良の状態であると、大レベルの鋳型横振れが突発的に発生するという事故が起こることがあるが、この様な突発事故が起こった場合には、鋳造を中止して大規模な設備修理を行う必要がある。この点、上記の様に横振れの状態を監視して設備の劣化や異常の発生を早めに察知し、メンテナンスを行うことにより、上記突発事故を防止できる。この様に設備保全を計画的に実施するという観点からも有効であるから、生産計画に支障をきたすことなく、安定して良品質の製品を得ることが可能となる。
【0040】
また非鋳造時のみ或いは鋳造中のみの横振れを測定するだけでなく、非鋳造時と鋳造中の横振れの変化量を監視することにより、設備異常管理を一層高精度で行うことができる。
【0041】
例えば図6から分かる様にストランドNo.2における横方向の鋳型振動量は漸増しているが、図8に示す様にその変化量(非鋳造時と鋳造中との変化量)としてはあまり変わらない値を示している。ここから分かる様に、変化量(図8)に基づいて評価することにより、設備劣化等に伴うW1/W0の値(横方向鋳型振動量より算出)の経時変動の影響を受けることなく、鋳造中の鋳片に対して鋳型から加えられる外力の影響のみを精度良く抽出,評価することができ、より高品質な鋳片を安定して生産することが可能となる。
【0042】
以上の様に本発明に係る連続鋳造装置の設備管理方法に関して、例を示す図面を参照しつつ具体的に説明したが、本発明はもとより上記例に限定される訳ではなく、前記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0043】
【発明の効果】
本発明に係る連続鋳造装置の設備管理方法の如く、鋳型の横方向の振動を監視し、例えば横方向の振動が大きい場合には装置の部品交換や鋳造ラインの通り芯調整といったメンテナンス等を行うことにより、ストリーク欠陥や横割れ欠陥等の不良品の発生を防止でき、常に安定して良品質の鋳片を製造することが可能となる。加えて大きな設備異常が生じる前に、設備の予防保全を適切に実行することができる。
【0044】
また鋳型振動検出装置によれば、鋳型の横方向の振動を精度良く検知でき、上記本発明の連続鋳造装置の設備管理方法を容易に実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法において用いる連続鋳造装置の一例を示す図。
【図2】鋳片が正常な状態の場合における、連続鋳造装置の鋳型付近を表す拡大断面図。
【図3】鋳片に異常をきたした場合における、連続鋳造装置の鋳型付近を表す拡大断面図。
【図4】鋳型振動量とストリーク欠陥非発生率との関係を表すグラフ。
【図5】ストランドNo.1における横方向の鋳型振動量を示すグラフ。
【図6】ストランドNo.2における横方向の鋳型振動量を示すグラフ。
【図7】ストランドNo.1における横方向の鋳型振動量の変化量を示すグラフ。
【図8】ストランドNo.2における横方向の鋳型振動量の変化量を示すグラフ。
【符号の説明】
11 パウダー
12 凝固殻
13 溶融金属
14 鋳型
15 割れ欠陥
16 鋳型振動検出装置
17 金属平板
18 渦流式センサー
Claims (5)
- 鋳造中において鋳片引抜き方向と平行な方向(以下、単に平行方向という)に鋳型を振動させ、鋳片引抜き方向と直交する方向(以下、単に直交方向という)の鋳型振動量を測定して鋳造実施の適否を判断する方法であって、
下式(1)を満足するときに鋳造実施適と判断し、満足しないときに鋳造実施不適と判断することを特徴とする連続鋳造装置の設備管理方法。
W1/W0≦0.1 …(1)
W1:直交方向の鋳型振動量の最大値(μm)
W0:平行方向の鋳型振動量の設定値(μm)。 - 非鋳造時において平行方向に鋳型を振動させ、直交方向の鋳型振動量を測定して鋳造実施の適否を判断する方法であって、
下式(1)を満足するときに鋳造実施適と判断し、満足しないときに鋳造実施不適と判断することを特徴とする連続鋳造装置の設備管理方法。
W1/W0≦0.1 …(1)
W1:直交方向の鋳型振動量の最大値(μm)
W0:平行方向の鋳型振動量の設定値(μm)。 - 非鋳造時において平行方向に鋳型を振動させ、直交方向の鋳型振動量を測定してこれを[M]とし、
鋳造中において平行方向に鋳型を振動させ、直交方向の鋳型振動量を測定してこれを[N]とし、
前記[M]と前記[N]とを対比し、これらの差の絶対値が0.1mm以下のときに鋳造実施適と判断し、0.1mmより大きいときに鋳造実施不適と判断することを特徴とする連続鋳造装置の設備管理方法。 - 鋳造中において平行方向に鋳型を振動させ、直交方向の鋳型振動量を測定し、その測定値が、下式(1)を満足するとき、
且つ、非鋳造時において平行方向に鋳型を振動させ、直交方向の鋳型振動量を測定してこれを[M]とし、
鋳造中において平行方向に鋳型を振動させ、直交方向の鋳型振動量を測定してこれを[N]とし、
前記[M]と前記[N]とを対比し、これらの差の絶対値が0.1mm以下のときに鋳造実施適と判断し、
他方、下式(1)を満足しないか、もしくは前記差の絶対値が0.1mmより大きいときには鋳造実施不適と判断することを特徴とする連続鋳造装置の設備管理方法。
W1/W0≦0.1 …(1)
W1:直交方向の鋳型振動量の最大値(μm)
W0:平行方向の鋳型振動量の設定値(μm)。 - 非鋳造時において平行方向に鋳型を振動させ、直交方向の鋳型振動量を測定し、その測定値が、下式(1)を満足するとき、
且つ、非鋳造時において平行方向に鋳型を振動させ、直交方向の鋳型振動量を測定してこれを[M]とし、
鋳造中において平行方向に鋳型を振動させ、直交方向の鋳型振動量を測定してこれを[N]とし、
前記[M]と前記[N]とを対比し、これらの差の絶対値が0.1mm以下のときに鋳造実施適と判断し、
他方、下式(1)を満足しないか、もしくは前記差の絶対値が0.1mmより大きいときには鋳造実施不適と判断することを特徴とする連続鋳造装置の設備管理方法。
W1/W0≦0.1 …(1)
W1:直交方向の鋳型振動量の最大値(μm)
W0:平行方向の鋳型振動量の設定値(μm)。
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