JPH11170021A - 連続鋳造の非定常バルジング検知方法および湯面制御方法 - Google Patents

連続鋳造の非定常バルジング検知方法および湯面制御方法

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JPH11170021A
JPH11170021A JP33888697A JP33888697A JPH11170021A JP H11170021 A JPH11170021 A JP H11170021A JP 33888697 A JP33888697 A JP 33888697A JP 33888697 A JP33888697 A JP 33888697A JP H11170021 A JPH11170021 A JP H11170021A
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unsteady bulging
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Masahiko Oka
正彦 岡
Kazuharu Hanazaki
一治 花崎
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続鋳造における非定常バルジング性湯面変
動を迅速に検出する。および非定常バルジング性湯面変
動が発生したとき、これを抑制する。 【解決手段】 ピンチロールモータの電流値の周期性と
湯面変動および湯面制御信号の周期性と、鋳造速度とロ
ールピッチから定まる周期性とを比較し、非定常バルジ
ング性湯面変動を判断する。非定常バルジング性湯面変
動が発生したとき、変動幅と変動周期に応じて、湯面レ
ベル制御ゲイン変更、鋳造速度変更および2次冷却条件
の少なくとも1つの変更を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造の非定常
バルジングを迅速に検知する方法と、非定常バルジング
によって発生する鋳型内の湯面変動を最小化する湯面レ
ベル制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄鋼業で広く用いられている連続鋳造機
において、鋳片内部が未凝固の状態で凝固シェルが溶鋼
の静圧に押され、2次冷却帯のロール間で鋳片が膨らむ
ことをバルジングという。バルジングが発生すると湯面
レベルは変化するが、鋳片の凝固シェルが変形して、バ
ルジング形状自体は2次冷却帯の間で一定の形を保つ場
合には湯面の継続的な変動は起きない。
【0003】しかし、何らかの原因で鋳片長手方向での
シェル厚さや温度のむらがあって、バルジングし凝固し
た部分がそのままの形状を保ち、鋳造の進行につれて2
次冷却帯のロールで断続的に圧縮されると、後続鋳片の
シェル厚さや温度のむらが拡大する。これを非定常バル
ジングという。非定常バルジングによって湯面は継続的
に変動する。この湯面変動を非定常バルジング性湯面変
動という。
【0004】非定常バルジング性湯面変動には2次冷却
帯のロール間隔と鋳造速度によって定まる周期性があ
る。非定常バルジング性湯面変動が発生した場合、特に
高速鋳造時には変動幅が大きく、変動速度が速いため、
湯面制御系の制御可能範囲を外れて湯面変動が増大し、
パウダー巻き込みによる鋳片品質の劣化や、甚だしい場
合にはブレークアウトが発生する。このため著しく鋳造
速度を低下して操業せざるをえない。
【0005】初期の段階では非定常バルジング性湯面変
動は小さいが、次第に増大する傾向があるため極力初期
の段階で検知し、適切な対処をしなければならない。し
かし、湯面レベルのチャートを監視しているだけでは非
定常バルジングの初期段階を検知するのは困難である。
【0006】このため、渦流センサーなどの変位検出器
を先端に取り付けたバルジングセンサーを2次冷却帯の
ロール間に挿入して鋳片表面の変位を計測する方法や、
特開平9−206906号公報に開示されているよう
に、2次冷却帯のロール反力を計測して、湯面レベルと
ロール反力との相関係数を算出し、非定常バルジングの
発生を検知する方法が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
2次冷却帯のロール間に挿入するバルジングセンサーは
鋳片の表面温度や2次冷却水によって計測精度が大きく
影響を受けるため、信頼性が低く、実用化には至ってい
ない。
【0008】また、前記特開平9−206906号公報
記載の2次冷却帯のロール反力を計測する方法は、計測
環境の悪い場所に新たにロードセル等の計測器を設置し
なければならないため、実用性に乏しい。さらに、同公
報の計算方法では計測ロールの位置によってロール反力
と湯面レベル変動との位相差があると、相関が隠れてし
まうという問題がある。また、同公報の技術は非定常バ
ルジング性湯面変動の対処に関しても、操業者の判断に
任せるところが大きく、対処が遅れたり、適切でないお
それがある。
【0009】このような問題を解決すべく、本発明の課
題は、信頼性の高い非定常バルジングの検知手段を提供
すること、さらに、非定常バルジング性湯面変動の測定
にもとづいて、精度のよい湯面制御方法を提供すること
である。
【0010】
【課題を解決するための手段】鋳造開始や終了直前を除
いて、連続鋳造における湯面変動には前記の非定常バル
ジング性のものと、鋳造速度変動、溶鋼温度変化、ある
いは鋳造ノズルの閉塞状態などの影響による湯面変動と
がある。
【0011】発明者らは非定常バルジング性湯面変動に
は周期性があるため、その周期性(周波数)を測定し、
鋳造速度と2次冷却帯のロールピッチで決まる周期性
(周波数 )とが一致しているかを判定すれば、非定常
バルジングの発生を検知できるとの 知見を得た。
【0012】しかし、湯面変動の周期性のみの観測で
は、鋳造速度の変化、ノズル閉塞の影響または2次冷却
帯のロール偏心の影響などもあって、必ずしもすべての
場合に検知できるとは限らない。非定常バルジングの周
期性は湯面レベルのほか、2次冷却帯のロールでも、ロ
ール反力や鋳片厚さの変動としても観測される。従っ
て、2次冷却帯のロールに加わる機械的変化(反力や変
位)の周期性も湯面レベルの代替信号として利用でき、
この機械的変化の信号の周期性と、鋳造速度と2次冷却
帯のロールピッチで決まる周期性とが一致すれば非定常
バルジングが発生していると推定できる。
【0013】ただし、非定常バルジングが発生しても、
湯面レベルは湯面レベル制御系によってフィードバック
制御されている。従って、非定常バルジングの初期段階
では、湯面レベルの観察のみでは比較的小さな変動しか
現れず、通常の湯面変動やオシレーションによる変動の
中に隠れて検知しにくいおそれもある。また、湯面制御
では操作端として、ストッパー(以下、STという)あ
るいはスライディングノズル(以下、SNという)を用
いるが、これらの機械的摩擦を補償するため、不感帯、
ヒステリシスなどの各種非線形制御要素を導入している
ため、非定常バルジングの検知を一層困難にしている。
【0014】そこで、発明者らは湯面制御の操作量(S
TまたはSNの開度指令。以下、湯面制御信号という)
に着目した。湯面制御信号には鋳造速度変化などにとも
なう緩やかな変化もあるが、湯面レベル制御にともなう
速い変化もある。非定常バルジングが発生した時は、湯
面制御の結果である湯面制御信号にも周期的変動が大き
く現れることを見出した。実プロセスでの試験を元に、
湯面制御信号を湯面レベル計の代替信号または合成信号
にして用いれば、湯面制御系全体の変動に隠れた非定常
バルジング性湯面変動を抽出できるとの知見を得た。こ
こで、合成信号とは、湯面レベルと湯面制御信号の重み
つき和信号を用いることをいう。
【0015】前述の2次冷却帯のロールに現れる機械的
な周期的変動を検出するについては、悪環境での信頼性
が要求される。2次冷却帯のロールにロードセルを設置
する方法では耐久性に問題がある。そのため発明者らは
鋳片を引抜くピンチロールのモータ電流に着目した。非
定常バルジングが発生すると、2次冷却帯のロールの荷
重も周期的に変動するが、ピンチロールのトルク、すな
わちモータ電流変動にも現れることを見出した。モータ
電流値は制御盤から取り出すことができるので、最も耐
久性に優れた測定方法といえる。むろん、ピンチロール
のトルクを直接測定する方法でも同等の効果があるが、
設備費と信頼性の点から、トルク計よりも電流測定の方
が有利である。
【0016】以上のように、鋳造速度と2次冷却帯のロ
ールピッチで決まる周期性と比較する対象として、湯面
レベル、湯面制御信号およびピンチロール電流の3種の
計測値がある。しかし、鋳造速度が変化しているときな
ど、比較基準が定めにくい場合は、前記3種の信号の相
互の周期性の一致(この場合はピンチロール電流値の周
期性を基準にして湯面レベルおよび/または湯面制御信
号を比較する)を判断する方法がよいとの知見を得た。
【0017】非定常バルジングが検知できれば、直ちに
連続鋳造プロセスで適切な対処をし、品質維持やブレー
クアウト防止などが可能になる。
【0018】プロセス制御での対処は各種の方法が考え
られる。例えば、鋳造速度の低下、湯面レベル制御の感
度(制御ゲイン)の低下、または2次冷却を強化して鋳
片の強度を上げる(凝固シェルを厚くする)などであ
る。これらの対処が過剰になると生産性や鋳片品質に悪
影響を及ぼすので、変更量を慎重に選び、優先順位をつ
けて制御することがのぞましい。
【0019】以上の知見に基づき、本発明の要旨は、以
下の(1) 〜(3) にある。 (1) 連続鋳造機の湯面レベル制御において、ピンチロー
ルモータの電流値の周期性と、湯面レベル値および湯面
制御信号値のうちいずれかまたは双方の合成値の周期性
が一致したとき、非定常バルジングと判定することを特
徴とする連続鋳造の非定常バルジング検知方法。
【0020】(2) 連続鋳造機の湯面レベル制御におい
て、ピンチロールモータの電流値の周期性と、湯面レベ
ル値および湯面制御信号値のうちのいずれかの周期性
と、鋳造速度と2次冷却帯のロールピッチから定まる周
期性が一致したとき、非定常バルジングと判定すること
を特徴とする連続鋳造の非定常バルジング検知方法。
【0021】(3) 連続鋳造機の湯面レベル制御におい
て、非定常バルジングを検知したときの湯面変動の変動
幅および/または変動周波数と、前記変動幅および/ま
たは変動周波数の制限値との比較に基づいて、湯面レベ
ル制御ゲインの変更、鋳造速度の変更および2次冷却条
件の変更のうち、少なくとも一つの変更を行うことを特
徴とする連続鋳造の湯面制御方法。
【0022】
【発明の実施の形態】図1に本発明の検知方法および湯
面制御方法の構成系統図を示す。溶鋼1はノズル6を経
由して鋳型2に内へ供給される。溶鋼供給量はストッパ
ー5の開度を調節する油圧シリンダ7の移動量によって
調整される。湯面レベル制御は湯面レベル計16の測定
値Lと、湯面レベル設定値Xの偏差に応じて第1コント
ローラ14が油圧シリンダ7の開度量(湯面制御信号
Y)を制御する。第1コントローラ14は従来から設置
されている通常の湯面レベル制御コントローラである。
【0023】一方、本発明の特徴である第2コントロー
ラ15は湯面レベル測定値Lとピンチロールモータ10
の電流(以下PR電流)信号により、後述するロジック
によって、非定常バルジングを検知し、湯面変動の抑制
処置をとる。
【0024】また、鋳造速度制御器13は、第2コント
ローラ15からの指令により、鋳造速度Vcの変更を行
い、2次冷却制御器12は、同じく第2コントローラ1
5からの指令により、2次冷却装置の冷却条件の変更を
行う。
【0025】以下に、非定常バルジングの検知方法につ
いて述べる。非定常バルジング発生時には、2次冷却帯
ロール群8の間で膨らんだ鋳片3が下流側のロールで圧
縮されるため、鋳片3の引き抜き抵抗が増大し、ピンチ
ロールモータ10の電流が変動する。このモータ電流の
変動周期と、鋳型内湯面レベル計16により測定された
湯面レベルの変動周期、およびその1/n(nは整数)
倍の周期と一致するかを第2コントローラ15により常
時監視し、一致すれば非定常バルジングに起因すると判
定し、非定常バルジングを検知する。
【0026】図2に非定常バルジングの検知方法のフロ
ーチャート例を示す。同図は本発明の請求項1に相当す
る。同図全体の考え方は、湯面レベル、湯面制御信号お
よびPR電流の周波数分析において、主要なスペクトル
を抽出し、相互に一致するものがないかを判定するもの
である。その場合、非合理的なスペクトルピークを拾わ
ないように、基本周波数の整数倍付近でスペクトルを抽
出している。
【0027】同図の各ステップを以下に説明する。同図
において、ステップ31および32(以下、S31,S
32のように記す)では湯面レベル、湯面制御信号、P
R電流をサンプリングし、周波数解析する。周波数解析
には市販の高速フーリエ変換解析装置等を用いることが
できる。
【0028】S33では、湯面レベルの変動の周期性を
抽出している。S34〜S35では非定常バルジング性
の湯面変動は2次冷却帯のロールピッチを鋳造速度で割
った周期(1/f0)を持っていることを考慮して、湯
面変動の周波数が基本周波数f0の整数倍のところにあ
るかを調べ、抽出されたスペクトルピークが合理的なも
のかをチェックしている。
【0029】同様に、S36〜37で湯面制御信号の周
波数fCn、S38〜39でPR電流の周波数fPnに
ついても、同様のチェックをおこなう。
【0030】S40では、湯面レベルの周期性とPR電
流の周期性とが一致しているかをチェックする。すなわ
ち、同一(またはその整数倍)の周波数があれば、非定
常バルジング性の湯面変動が発生していると判定してい
る。同様に、湯面制御信号についてもPR電流との周期
性のチェックをする。結果としてS41では、湯面変動
とPR電流変動の周期性が一致したとき、または、湯面
制御信号変動とPR電流変動の周期性が一致したとき、
非定常バルジングに因る湯面変動であると判定し、非定
常バルジングを検知する。
【0031】上記図2の説明では、PR電流を基準にし
て、湯面変動または湯面制御信号の周期性をチェックし
たが、基準はいずれの信号としてもよい。
【0032】本発明の請求項2の発明は、湯面レベル、
湯面制御信号およびPR電流の変動の何れかに基本周波
数f0があれば、直ちにバルジング性湯面変動と判定す
るものである。この判定方法は以下のように図2のフロ
ーを変更すればよい。
【0033】S34のステップを、「fLnが基本周波
数f0となる周波数があるか。(fLn/f0の小数部
≦0.1またはfLn/f0の小数部≧0.9か?」に
置き換える。すなわち、「湯面変動周波数fLnが基本
周波数f0と一致しているか?」という判断に置き換
え、「Yes」であれば直ちにS41にジャンプし、
「バルジング性湯面変動と判定」とする。一方、S34
の判定で「No」であれば、S36にジャンプし、S3
6では「湯面制御信号変動周波数fCnが基本周波数f
0と一致しているか?」との判断に置き換え、「Ye
s」であれば、直ちにS41にジャンプし、一方、S3
6で「No」ならS38にジャンプし、S38では「P
R電流変動周波数fPnが基本周波数f0と一致してい
るか?」と置き換え、「Yes」でS41にジャンプ、
「No」なら(END)にジャンプというフローにすれ
ばよい。
【0034】本発明の非定常バルジングの検知方法は図
2のフローチャート例に記載のステップ、もしくは制限
値に限定されるものではない。例えば、周期性の一致に
ついては相互相関関数計算、パワースペクトル計算など
各種の数学的手法を用いてもよい。また、同図では湯面
レベルと湯面制御信号は単独にPR電流と比較してる
が、重みつき平均値でもよい。
【0035】前記の方法で、または前記特開平9−20
6909号公報に開示された方法等で非定常バルジング
が検知されたとき、本発明の湯面制御方法は鋳造速度の
変更、湯面レベル制御ゲインの変更、および2次冷却条
件の変更の何れかの処置をとる。以下に、本発明の湯面
制御方法の詳細について述べる。
【0036】図3に本発明の制御方法例のフローチャー
ト例を示す。同図の考え方は、湯面変動ΔLに2つの管
理限界Lr1、Lr2を設定し、湯面変動ΔLがLr1以下な
ら正常としてアクションはとらず、Lr1<ΔL≦Lr2で
は要注意で軽度のアクションをとる。さらにΔLがLr2
より大きくなれば鋳造速度低下まで含めたアクションを
とるとの考えである。また、あまりにも変化の速い(周
波数の高い)湯面変動に対しては湯面レベル制御系のゲ
イン(感度)を落として、緩慢な制御とする。
【0037】以下、同図の詳細について説明する。同図
の処理(同図のSTART以下)は第2コントローラの
制御周期(0.1〜0.5s)毎に起動される。
【0038】同図のS51および52では非定常バルジ
ングの有無のチェックおよび湯面変動のチェックを行っ
ている。湯面変動幅ΔLが既定値Lr1以内であればアク
ションはとらない。ここで、湯面変動幅ΔLとは、例え
ば直近10秒間の最大値−最小値として定義されたもの
である。
【0039】S53の判断およびS60、S61の措置
は、湯面変動幅△Lが規定値Lr1超、Lr2超のとき、鋳
造速度Vcを低下させるよう、鋳造速度制御器12への
速度指令補正値V2を規定値△Vだけ減じる。なお、S
60は鋳造速度減速の下限制限で、鋳造速度補正値V2
の初期値は0である。
【0040】同図フローチャートの処理は制御周期毎
(例えば、0.2秒毎)に実行されるから、湯面変動幅
の大きい状態が続くと、速度指令補正値V2は漸次小さ
く(負で絶対値が大きく)なってゆき、最小値V2MIN
まで到達する。これは、一気に速度指令を低下させる
と、湯面レベル制御に大きな過渡変動がおきるのを防止
するためと、最小速度維持のためである。この場合の速
度指令の変化速度は毎分0.1〜1.0m/min程度が好
ましい。
【0041】S54は、湯面変動幅ΔLが既定値Lr2以
下のとき、湯面レベルが高速で変動しているか(変動周
波数が高い)、の判断である。湯面変動の周波数が制御
系の制御帯域FCON より高い場合、すなわち、第1コン
トローラ13を中心にした湯面レベル系の応答可能範囲
では湯面変動に追随できず、後手に回った制御をするた
め、かえって湯面変動幅を拡大してしまう。本発明では
この対応として、同図S58、S59に示すように、第
1コントローラ13の制御ゲインを低下させ、応答を鈍
くする措置をとっている。ただし、単に湯面レベル制御
の応答を鈍くすると、通常の湯面変動の制御に支障を来
たすので、制御ゲインの低下に制限を設ける。すなわち
制御ゲインの逆数である比例帯の最大値、P2MAX を設
ける。さらに、念のためS55、S56にて、2次冷却
水を強化し、非定常バルジング自体をなくすようにす
る。
【0042】S56における2次冷却水を強化する方法
は、2次冷却制御器11への冷却設定補正値C2を既定
値ΔCだけ増加させるという方法である。S59におけ
る制御ゲインを低下させるには、第1コントローラへの
比例帯設定補正値P2をΔP増加する。すなわち、第1
コントローラの比例帯は大きいほど制御ゲインは小さく
なる。いずれも、前記鋳造速度の変更指令の与え方と同
様に、制御周期毎に冷却設定補正値C2と比例帯設定補
正値P2を漸次上限値C2MAX 及びP2MAX まで変化さ
せる方法である。
【0043】本発明の湯面制御方法は図3に記載のフロ
ーチャート例に限定されるものではない。例えば、湯面
変動幅の管理値の設定の方法は同図記載のものに限らな
い。変動幅と変動周波数判断の順序、2次冷却アップ、
制御ゲイン下げまたは鋳造速度下げのアクションの順序
は適宜入れ替えてもよい。
【0044】
【実施例】(実施例1)本発明の非定常バルジング検知
方法を連続鋳造装置に適用し、鋳造試験を行った。表1
に試験用連続鋳造装置の仕様を示す。
【0045】図4は鋳造試験時のチャートで、同図(a)
は湯面レベル、同図(b) は第1コントローラからストッ
パーへの開度指令値、同図(c) はピンチロールモータ電
流のチャートである。電流値は定格17Aに対する%で
表示した。同図では50秒後の時点で非定常バルジング
が発生しているが、同図(a) 〜(c) を個別に観察して
も、50秒付近での大きな変化は見られなかった。
【0046】図5は非定常バルジングが発生していない
とき(20〜25秒時点)の周波数分析のチャートであ
る。同図(a) は湯面レベル、同図(b) は第1コントロー
ラの開度指令および同図(c) はピンチロールモータ電流
のチャートである。
【0047】図6は非定常バルジングが発生したとき
(50〜55秒時点)の周波数分析のチャートである。
同図(a) は湯面レベル、同図(b) は第1コントローラの
開度指令、同図(c) はピンチロールモータ電流のチャー
トである。
【0048】図5において、周波数のピークは同図(a)
の湯面レベルでは0.7Hz付近に見られ、同図(b) の
開度指令では、同様に0.7Hz付近に見られ、ピンチ
ロールモータ電流では0.1および0.5Hz付近にあ
まり高くないピークが見られる。
【0049】これに対し、図6(a) 〜(c) では、湯面レ
ベル、開度指令、ピンチロール電流のそれぞれに0.3
Hz付近での鋭いピークが見られる。この周波数は鋳造
速度Vcと2次冷却帯のロールピッチの比(Vc:4.
6m/s/ピッチ:250mm)に相当する数値であった。
【0050】前記の非定常バルジング性湯面変動検知ロ
ジックによって、周波数領域のピーク一致を検知し、非
定常バルジング発生を検知することができた。
【0051】
【表1】
【0052】(実施例2)本発明の湯面制御を連続鋳造
装置に適用し、鋳造を行った。比較例として、通常の湯
面レベル制御のみ(図1の第2コントローラがない構
成)での鋳造を行った。初期の鋳造速度Vcは5.0m
/min であった。図7に本発明の制御方法を用いた湯面
制御実施結果を示す。
【0053】尚、図2のフローチャートに示す定数は以
下の設定値にて実施した。 湯面変動幅基準1:Lr1=10mm(もしくは±5mm) 湯面変動幅基準2:Lr2=20mm(もしくは±10mm) 制御帯域Fcon :0. 1Hz 鋳造速度設定補正値 ΔV:(−0.015m/min
)/s 冷却設定補正値 ΔC:(0.17%)/s 冷却補正上限値 C2Max :20% 比例帯設定補正値 ΔP:(0.33%)/0.2s 比例帯補正上限値 P2Max :200% 以下、図7を用いて、本発明の湯面レベル制御経過を説
明する。
【0054】鋳造開始後の経過時間1805秒で非定常
バルジングが検知された。しかし、湯面変動量がLr1
(10mm)以下であるので操業条件はそのままであっ
た。
【0055】1900秒付近では非定常バルジング性湯
面変動量が10mmを越え、更に湯面変動周波数が制御帯
域Fcon (0. 1Hz)を越えたので、2次冷却の強化
と同時に制御ゲインの低下(第1コントローラの比例帯
の増加)を開始した。
【0056】1950秒付近で、湯面変動量は依然大き
いが、減少の方向であり、動きが緩やかになり、湯面変
動周波数が制御帯域Fcon 以下になったので、制御ゲイ
ンの低下を中止したが、2次冷却の強化は続行した。こ
のとき比例帯値483%で、2次冷却比水量は初期設定
値の8. 5%増であった。
【0057】1960秒付近で、湯面変動がLr1(10
mm)以下になったので、冷却強化を中止した。この時の
2次冷却比水量は初期設定値の10. 5%増であった。
以後は安定した鋳造を行うことができた。図8に従来方
法による制御例を示す。
【0058】同図の235秒付近で、本発明の検知方法
により、非定常バルジング性湯面変動が検知された。非
定常バルジング性湯面変動発生後も、迅速に有効な抑制
手段がとられていないため、変動の増加を抑制できず、
520秒付近で変動は最大±10mmを超えている。この
時点で手動にて2次冷却を1.3倍に強化し、鋳造速度
を5.0m/min から4.0m/min に低下させた。幸
いブレークアウト等のトラブルは発生しなかったが、鋳
造速度の大幅ダウンをまねき、急激なアクションを取っ
たため、鋳片には強度のパウダー巻き込みが見られた。
【0059】
【発明の効果】本発明に係る連続鋳造における非定常バ
ルジング検知、および鋳型内湯面レベル制御方法を用い
ることにより、非定常バルジング性湯面変動の抑制を実
現できるため、パウダー巻き込みによる鋳片品質の劣化
及びブレークアウト等のトラブルを回避し、安定操業を
実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制御系統の構成図である。
【図2】本発明の非定常バルジング検知方法のフローチ
ャートである。
【図3】本発明の湯面制御方法のフローチャートであ
る。
【図4】鋳造試験時のチャートで、同図(a) は湯面レベ
ル、同図(b) は第1コントローラからストッパーへの開
度指令値、同図(c) はピンチロールモータ電流のチャー
トである。
【図5】非定常バルジングが発生していないとき(20
〜25秒時点)の周波数分析のチャートで、同図(a) は
湯面レベル、同図(b) は第1コントローラの開度指令お
よび同図(c) はピンチロールモータ電流のチャートであ
る。
【図6】非定常バルジングが発生したとき(50〜55
秒時点)の周波数分析のチャートで、同図(a) は湯面レ
ベル、同図(b) は第1コントローラの開度指令および同
図(c) はピンチロールモータ電流のチャートである。
【図7】本発明の制御方法を用いた湯面制御実施結果の
チャートである。
【図8】従来方法による湯面制御実施結果のチャートで
ある。。
【符号の説明】 1 溶鋼 2 鋳型 3 鋳片 4 タンディッシュ 5 ストッパー 6 ノズル 7 油圧シリンダー 8 2次冷却帯ロール群 9 ピンチロール 10 ピンチロールモータ 11 2次冷却装置 12 2次冷却制御器 13 鋳造速度制御器 14 第1コントローラ 15 第2コントローラ 16 湯面レベル計 Vc 鋳造速度指令 V2 鋳造速度補正値 C1 2次冷却設定値 C2 2次冷却設定補正
値 P1 比例帯設定値 P2 比例帯設定補正値 X 湯面レベル設定値 Y 湯面制御信号 L 湯面レベル

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続鋳造機の湯面レベル制御において、
    ピンチロールモータの電流値の周期性と、湯面レベル値
    および湯面制御信号値のうちいずれかまたは双方の合成
    値の周期性が一致したとき、非定常バルジングと判定す
    ることを特徴とする連続鋳造の非定常バルジング検知方
    法。
  2. 【請求項2】 連続鋳造機の湯面レベル制御において、
    ピンチロールモータの電流値の周期性と、湯面レベル値
    および湯面制御信号値のうちのいずれかの周期性と、鋳
    造速度と2次冷却帯のロールピッチから定まる周期性が
    一致したとき、非定常バルジングと判定することを特徴
    とする連続鋳造の非定常バルジング検知方法。
  3. 【請求項3】 連続鋳造機の湯面レベル制御において、
    非定常バルジングを検知したときの湯面変動の変動幅お
    よび/または変動周波数と、前記変動幅および/または
    変動周波数の制限値との比較に基づいて、湯面レベル制
    御ゲインの変更、鋳造速度の変更および2次冷却条件の
    変更のうち、少なくとも一つの変更を行うことを特徴と
    する連続鋳造の湯面制御方法。
JP33888697A 1997-12-09 1997-12-09 連続鋳造の非定常バルジング検知方法および湯面制御方法 Withdrawn JPH11170021A (ja)

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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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