JP2016196010A - スラブ品質推定装置およびスラブ品質推定方法 - Google Patents

スラブ品質推定装置およびスラブ品質推定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鋳片の中心偏析に影響される各スラブの品質を連続鋳造機の操業中にオンラインで簡易に推定できること。【解決手段】本発明の一態様であるスラブ品質推定装置は、連続鋳造機によって連続鋳造される鋳片の凝固完了位置を算出する凝固完了位置算出部と、中心偏析の影響による鋳片の品質悪化を示す品質指標を判定する品質指標処理部と、鋳片を切断して製造されるスラブと品質指標とを対応付けて管理する品質管理部と、を備える。品質指標処理部は、凝固完了位置よりも鋳造方向の上流側に位置するピンチロールを選択し、選択したピンチロールのトルク信号を周波数解析して各周波数成分を取得し、取得した各周波数成分のうち非定常バルジング起因の周波数成分をもとに、鋳片の品質指標を判定する。品質管理部は、品質指標に基づいてスラブ毎の品質を推定する。【選択図】図1

Description

本発明は、連続鋳造機によって製造される鋳片のスラブ毎の品質を推定するスラブ品質推定装置およびスラブ品質推定方法に関するものである。
鋼の連続鋳造工程において、一般に、連続鋳造機は、鋳型に注入された溶鋼をその周囲から鋳型によって冷却(1次冷却)し、これにより、鋳型内の溶鋼の表層部分を凝固させて凝固シェルを形成する。ついで、連続鋳造機は、凝固シェルを形成した溶鋼、すなわち、凝固シェルによって囲まれる内部に未凝固相を有する鋳片を、ピンチロールを用いて鋳型から鋳造方向に引き抜きながら搬送するとともに冷却水によって冷却(2次冷却)して凝固させる。連続鋳造機は、このような処理を順次行って、鋳造方向に長手となる平坦状の鋳片を連続鋳造する。その後、連続鋳造機は、連続鋳造して得た鋳片をその長手方向(鋳造方向)に沿って所定の長さ毎に切断し、これにより、厚板スラブ等の鋼のスラブを順次製造する。
従来、上述したように連続鋳造機によって連続鋳造される鋳片には、スラブの品質悪化を招く中心偏析が発生している。このような中心偏析の発生原因の一つとして、鋳片の凝固完了位置(以下、凝固完了位置といえば鋳片の凝固完了位置を意味する)よりも鋳造方向の上流側近傍の鋳片部分に存在する非定常バルジングが挙げられる。非定常バルジングは、鋳型から引き抜かれた鋳片を支えつつ鋳造方向の下流側へ送出するサポートロールや上述したピンチロール等の連続鋳造機に設けられる回転ロール体の間において、未だ凝固が完了していない連続鋳造中の鋳片がその厚さ方向に部分的に膨らむ現象である。このような非定常バルジングは、例えば、連続鋳造中の鋳片において表層部分が内部の未凝固相からの復熱によって高温状態となり且つ凝固シェルの層厚が薄い場合、凝固シェルの強度低下等に起因して発生する。
一方、鋳片の中心偏析を低減する手法として、凝固完了位置よりも鋳造方向の上流側近傍における凝固未完了の鋳片(例えば凝固末期の鋳片)を、鋳片の凝固収縮量に見合う圧下量で徐々に圧下(以下、軽圧下という)する手法がある。しかし、連続鋳造中の鋳片に過剰な量の非定常バルジングが発生した場合、中心偏析を低減するために上述の凝固未完了の鋳片を軽圧下しても、軽圧下による中心偏析の低減効果は小さくなる。その原因として、例えば、軽圧下によって鋳片の凝固収縮時に鋳片凝固部分に吸い込まれるはずの濃化成分が非定常バルジングに起因して鋳片の凝固未完了である中心部分に押し戻される故、中心偏析が悪化すること等が挙げられる。
上述したような非定常バルジングを検知する従来技術として、例えば、渦流式センサを用いて鋳片の非定常バルジングを検知する渦流式センサ方式がある。この渦流式センサ方式では、鋳片に近接して設置した渦流式センサにより、鋳片と渦流式センサとの距離が測定され、得られた距離の測定結果をもとに、鋳型内の溶鋼の湯面レベル変動に影響する非定常バルジングが検知される。しかし、高温高湿度の環境下や気化したオイルが発生する可能性のある環境下、すなわち、連続鋳造機の操業中の環境下に渦流式センサが設置された場合、渦流式センサ方式では、長期間に亘り継続して非定常バルジングを検知することが困難である。また、渦流式センサに対し、連続鋳造機の操業中の環境に耐え得るように環境対策を施す場合、多大なコストがかかるという問題がある。
また、上述した渦流式センサ方式とは別の手法によって非定常バルジングを検知する従来技術として、例えば、水柱式超音波レベル計を用いる方式がある。この方式では、高温高湿度環境下であっても、水柱式超音波レベル計によって非定常バルジングを計測することが可能である。しかし、連続鋳造機の操業中の環境下では、鋳型から引き抜いた鋳片を2次冷却して凝固させるべく、冷却スプレーから多量の冷却水が噴射されており、水柱式超音波レベル計の水柱に上述の冷却水が干渉してノイズが発生してしまう。このため、連続鋳造機の操業中の環境下において、水柱式超音波レベル計を用い、常時精度良く非定常バルジングを検知することは困難である。
一方、非定常バルジングを検知する更に別の従来技術として、例えば、非定常バルジングに起因する鋳型内の湯面レベル変動の周期が2次冷却帯のロールピッチと鋳造速度とによって決まることを利用し、ピンチロールモータの電流値の周期性と、湯面レベル値および湯面制御信号値のうち何れか一方の周波数または双方の合成値の周波数とが一致したとき、非定常バルジングが発生していると判定するものがある(特許文献1参照)。また、鋳型内の湯面レベル値の振幅が第1の閾値を超え、且つ、この湯面レベル値の周波数特性において、サポートロール(鋳片支持ロール)のロールピッチと鋳造速度とに基づいて求められる、発生し得る湯面レベル変動の周波数範囲での振幅が第2の閾値を超えたとき、非定常バルジングの発生を検知する方法がある(特許文献2参照)。
特開平11−170021号公報 特開2007−136480号公報
ところで、連続鋳造中の鋳片に発生した中心偏析は、連続鋳造機によって鋳片から順次製造される各スラブの品質に悪影響を及ぼす。このような中心偏析に影響される各スラブの品質を連続鋳造機の操業中にオンラインで推定することは、連続鋳造機の操業上、極めて重要である。しかしながら、上述した従来技術では、鋳片の中心偏析に影響される各スラブの品質を連続鋳造機の操業中にオンラインで推定することは困難であり、たとえ連続鋳造中の鋳片の非定常バルジングを検知しても、非定常バルジングの検知結果を各スラブの品質推定に活用することができなかった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、鋳片の中心偏析に影響される各スラブの品質を連続鋳造機の操業中にオンラインで簡易に推定することができるスラブ品質推定装置およびスラブ品質推定方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるスラブ品質推定装置は、連続鋳造機の鋳型に注入された溶鋼を凝固させながら前記鋳型から引き抜いて連続鋳造される鋳片の凝固完了位置を算出する凝固完了位置算出部と、前記鋳型から前記鋳片を引き抜く前記連続鋳造機の1以上のピンチロールの中から、前記凝固完了位置よりも前記鋳片の鋳造方向の上流側に位置するピンチロールを選択し、選択した前記ピンチロールのトルク信号を周波数解析して前記トルク信号の各周波数成分を取得し、取得した前記各周波数成分のうち前記鋳片の非定常バルジングに起因する周波数成分をもとに、前記鋳片の中心偏析の影響による前記鋳片の品質悪化を示す品質指標を判定する品質指標処理部と、前記鋳片を切断して製造されるスラブと前記品質指標とを対応付けて管理し、前記品質指標に基づいて前記スラブ毎の品質を推定する品質管理部と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかるスラブ品質推定装置は、上記の発明において、前記品質指標処理部は、前記1以上のピンチロールの中から、前記凝固完了位置よりも前記鋳片の鋳造方向の上流側に位置し且つ前記連続鋳造機の軽圧下帯を構成する前記ピンチロールを選択することを特徴とする。
また、本発明にかかるスラブ品質推定装置は、上記の発明において、前記品質指標処理部は、前記鋳片の中心偏析に対する非定常バルジングの影響の重み付けを設定し、前記凝固完了位置と選択した前記ピンチロールの設置位置との距離に応じ前記重み付けを変化させて、前記品質指標を判定することを特徴とする。
また、本発明にかかるスラブ品質推定方法は、連続鋳造機の鋳型に注入された溶鋼を凝固させながら前記鋳型から引き抜いて連続鋳造される鋳片の凝固完了位置を算出する凝固完了位置算出ステップと、前記鋳型から前記鋳片を引き抜く前記連続鋳造機の1以上のピンチロールの中から、前記凝固完了位置よりも前記鋳片の鋳造方向の上流側に位置するピンチロールを選択する選択ステップと、前記選択ステップによって選択した前記ピンチロールのトルク信号を周波数解析して、前記トルク信号の各周波数成分を取得する周波数解析ステップと、前記周波数解析ステップによって取得した前記各周波数成分のうち前記鋳片の非定常バルジングに起因する周波数成分をもとに、前記鋳片の中心偏析の影響による前記鋳片の品質悪化を示す品質指標を判定する品質指標判定ステップと、前記鋳片を切断して製造されるスラブと前記品質指標とを対応付けて管理する管理ステップと、前記品質指標に基づいて前記スラブ毎の品質を推定する品質推定ステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明にかかるスラブ品質推定方法は、上記の発明において、前記選択ステップは、前記1以上のピンチロールの中から、前記凝固完了位置よりも前記鋳片の鋳造方向の上流側に位置し且つ前記連続鋳造機の軽圧下帯を構成する前記ピンチロールを選択することを特徴とする。
また、本発明にかかるスラブ品質推定方法は、上記の発明において、前記品質指標判定ステップは、前記鋳片の中心偏析に対する非定常バルジングの影響の重み付けを設定し、前記凝固完了位置と選択した前記ピンチロールの設置位置との距離に応じ前記重み付けを変化させて、前記品質指標を判定することを特徴とする。
本発明によれば、鋳片の中心偏析に影響される各スラブの品質を連続鋳造機の操業中にオンラインで簡易に推定することができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態にかかるスラブ品質推定装置の一構成例を示す図である。 図2は、本発明の実施の形態における連続鋳造機の一構成例を示す図である。 図3は、本発明の実施の形態にかかるスラブ品質推定方法の一例を示すフローチャートである。 図4は、本実施例において注目する各ピンチロールのトルクのトレンドデータを示す図である。 図5は、本実施例における注目ピンチロールのうち最上流のピンチロールから収集したトルク信号の周波数解析結果の一例を示す図である。 図6は、本実施例における注目ピンチロールのうち中間のピンチロールから収集したトルク信号の周波数解析結果の一例を示す図である。 図7は、本実施例における注目ピンチロールのうち最下流のピンチロールから収集したトルク信号の周波数解析結果の一例を示す図である。 図8は、本実施例における鋳片の品質指標と中心偏析値との相関の一例を示す図である。
以下に、添付図面を参照して、本発明にかかるスラブ品質推定装置およびスラブ品質推定方法の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態では、連続鋳造機の一例として垂直曲げ型の連続鋳造機を例示するが、本実施の形態により、本発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、各図面において、同一構成部分には同一符号が付されている。
(連続鋳造機)
まず、本発明の実施の形態にかかるスラブ品質推定装置を適用した連続鋳造機について説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかるスラブ品質推定装置の一構成例を示す図である。図1には、本発明の実施の形態にかかるスラブ品質推定装置1と、これを適用した連続鋳造機11とが図示されている。図2は、本発明の実施の形態における連続鋳造機の一構成例を示す図である。
図1,2に示すように、連続鋳造機11は、溶鋼10aを所定の形状に鋳造する鋳型12と、溶鋼10aの貯蔵および供給を適宜行うタンディッシュ13と、タンディッシュ13から鋳型12に溶鋼10aを注入するための浸漬ノズル14とを備える。また、連続鋳造機11は、鋳型12からの鋳片10を支えながら鋳造方向の下流側へ送出する複数のサポートロール15と、鋳型12から鋳片10を引き抜きながら鋳造方向の下流側に搬送する複数のピンチロール16〜19とを備える。その他、図1,2には図示しないが、連続鋳造機11は、鋳型12から引き抜かれた鋳片10を2次冷却するための冷却水をノズルから噴射するエアミストスプレー等の複数の冷却スプレー、並びに、連続鋳造した鋳片10を所定長さのスラブに切断する切断部等の連続鋳造工程に必要な各種設備を備える。
鋳型12は、液状の溶鋼10aを所定の形状に固めるためのものである。なお、図1,2には、本発明を説明し易くするために、鋳型12の断面の概略構造が図示されている。本実施の形態において、鋳型12には、入口側から出口側に亘って貫通する矩形状等の貫通孔が形成されており、図1,2に示すように、鋳型12は、タンディッシュ13の下方に設けられる。鋳型12は、入口側から注入された液状の溶鋼10aを1次冷却し、これにより、この液状の溶鋼10aをその表層部分から凝固させて、凝固シェルを形成する。このようにして、鋳型12は、この液状の溶鋼10aを鋳片10に順次鋳造する。この段階において、鋳片10は、凝固シェルによって囲まれる内部に未凝固相を有する凝固未完了の状態である。
タンディッシュ13は、鋳型12の内部に溶鋼10aを注入するものである。具体的には、図1,2に示すように、タンディッシュ13は、鋳型12の上方に設けられる。また、タンディッシュ13の底部には、鋳型12への溶鋼注入口となる浸漬ノズル14が設けられている。浸漬ノズル14は、図1,2に示すように、鋳型12の内部の溶鋼10a中に浸漬するように配置される。タンディッシュ13は、取鍋(図示せず)から注ぎ込まれた溶鋼10aを貯蔵し、この貯蔵した溶鋼10aを、浸漬ノズル14を介して鋳型12の内部に適宜注入する。
サポートロール15は、ロール外周方向に回転自在に軸支された回転ロール体であり、図1,2に示すように、鋳片10をその厚さ方向に挟み且つ鋳片10の鋳造方向に沿って並ぶように複数設置される。なお、鋳片10の鋳造方向は、図1,2の太線矢印によって示されるように、鋳型12から引き抜き搬送されながら連続鋳造される鋳片10の引き抜き搬送方向である。これら複数のサポートロール15は、鋳型12から引き抜かれた鋳片10を支えつつ鋳造方向の上流側から下流側へ送出する。
ピンチロール16〜19は、モータ(図示せず)の駆動力によってロール外周方向に回転可能な回転ロール体であり、図1,2に示すように、鋳片10をその厚さ方向に挟むように鋳片10の鋳造方向に沿って複数(本実施の形態では4対)設置される。具体的には、ピンチロール16〜19は、各々、鋳型12から鉛直下方に引き抜かれた鋳片10の長手方向を水平方向に徐々に矯正するために好適な位置に設置される。以下、このようなピンチロール16〜19の各設置位置は、ピンチロール位置Pmと称される。なお、番号mは、ピンチロール16〜19の各々を特定する数字である。本実施の形態では、図1,2に示すように、ピンチロール16は、最上流のピンチロール位置P1に設置され、ピンチロール17は、これよりも鋳造方向の下流側であるピンチロール位置P2に設置される。ピンチロール18は、このピンチロール17よりも鋳造方向の下流側であるピンチロール位置P3に設置され、ピンチロール19は、最下流のピンチロール位置P4に設置される。
本実施の形態において、各ピンチロール位置Pm(m=1,2,3,4)は、連続鋳造機11における基準位置P0からの鋳造方向に沿った距離によって表される位置である。例えば、基準位置P0が、鋳型12に注入された溶鋼10aのメニスカス10bの位置である場合、各ピンチロール位置Pm(m=1,2,3,4)は、メニスカス10bの位置からの鋳造方向に沿った距離(以下、メニスカス距離という)によって表される。すなわち、図1,2に示すように、ピンチロール位置P1は、メニスカス距離L1の位置であり、ピンチロール位置P2は、このメニスカス距離L1に比して長いメニスカス距離L2の位置である。ピンチロール位置P3は、このメニスカス距離L2に比して長いメニスカス距離L3の位置であり、ピンチロール位置P4は、このメニスカス距離L3に比して長いメニスカス距離L4の位置である。
上述したように設置されたピンチロール16〜19は、モータの駆動による回転力(トルク)を用い、鋳型12から鋳片10を複数のサポートロール15に沿って鋳造方向に所定の引き抜き速度(以下、鋳造速度という)で順次引き抜く。さらに、これらのピンチロール16〜19は、引き抜いた鋳片10を複数のサポートロール15に沿って鋳造方向に所定の鋳造速度で順次搬送する。
ここで、連続鋳造機11は、鋳型12から引き抜いた凝固未完了の鋳片10を完全に凝固させるための2次冷却を行う複数の冷却帯を備えている。具体的には、本実施の形態において、連続鋳造機11は、図1,2に示すように、鋳型12の出口側近傍から鋳片10の鋳造方向に並ぶ9つのゾーンに、冷却帯21a〜29aおよび冷却帯21b〜29bを各々備える。
冷却帯21a〜29aは、鋳型12から引き抜かれた鋳片10を、その基準面と反対の面側(具体的には上面側)から2次冷却するものである。これらの冷却帯21a〜29aのうち、冷却帯21a〜23a,28a,29aは、複数のサポートロール15および冷却スプレー(図示せず)等を用いて各々構成される。なお、これらの冷却帯21a〜23a,28a,29aの各々には、ピンチロール16〜19と同様に機能するピンチロールが1つ以上設けられてもよい。一方、残りの冷却帯24a〜27aは、複数のサポートロール15、ピンチロール16〜19、および冷却スプレー(図示せず)等を用いて各々構成される。これらの冷却帯21a〜29aは、鋳型12から引き抜かれて鋳造方向に順次搬送される鋳片10の上面に対して冷却水を噴射し、これにより、鋳片10を上面側から2次冷却して鋳片10の凝固を進行させる。
冷却帯21b〜29bは、鋳型12から引き抜かれた鋳片10を、その基準面側(具体的には下面側)から2次冷却するものである。これらの冷却帯21b〜29bのうち、冷却帯21b〜23b,28b,29bは、複数のサポートロール15および冷却スプレー(図示せず)等を用いて各々構成される。なお、これらの冷却帯21b〜23b,28b,29bの各々には、ピンチロール16〜19と同様に機能するピンチロールが1つ以上設けられてもよい。一方、残りの冷却帯24b〜27bは、複数のサポートロール15、ピンチロール16〜19、および冷却スプレー(図示せず)等を用いて各々構成される。これらの冷却帯21b〜29bは、鋳型12から引き抜かれて鋳造方向に順次搬送される鋳片10の下面に対して冷却水を噴射し、これにより、鋳片10を下面側から2次冷却して鋳片10の凝固を進行させる。
一方、連続鋳造機11において、鋳片10の上面側の冷却帯24a〜27aと下面側の冷却帯24b〜27bとは、図1,2に示すように、凝固未完了の鋳片10を軽圧下する軽圧下帯20としての機能を兼ね備える。具体的には、軽圧下帯20において、ピンチロール16〜19が、鋳造方向に順次搬送される凝固未完了の鋳片10を軽圧下する。
上述したような構成を有する連続鋳造機11は、溶鋼10aを注入した鋳型12から鋳片10を所定の鋳造速度で連続的に引き抜きながら、鋳造方向に鋳片10を順次搬送し、これに並行して、鋳片10をその全域に亘り順次2次冷却する。このようにして、連続鋳造機11は、鋳型12に注入した溶鋼10aから、鋳造方向に長手となる平坦状の鋳片10を連続鋳造する。その後、連続鋳造機11は、連続鋳造して完全に凝固した鋳片10を切断部(図示せず)によって所定の長さに順次切断し、これにより、目的のスラブを順次製造する。
(スラブ品質推定装置)
つぎに、上述した図1,2を参照しつつ、本発明の実施の形態にかかるスラブ品質推定装置について説明する。本発明の実施の形態にかかるスラブ品質推定装置1は、連続鋳造機11の操業中にオンラインで各スラブの品質を推定するものである。図1に示すように、スラブ品質推定装置1は、鋳片10の中心偏析に応じた品質を判定する品質判定装置2と、この鋳片10の品質をスラブ毎に管理し推定する操業用計算機5とを備える。また、スラブ品質推定装置1は、スラブ品質の推定に必要な情報を入力する入力部6と、各スラブの品質推定結果等の情報を出力する出力部7とを備える。
品質判定装置2は、連続鋳造機11によって連続鋳造された鋳片10の中心偏析程度に応じた品質を判定するものである。図1に示すように、品質判定装置2は、2次冷却計算部3と、品質指標処理部4とを備える。
2次冷却計算部3は、連続鋳造機11の鋳型12に注入された溶鋼10aを凝固させながら鋳型12から引き抜いて連続鋳造される鋳片10の凝固完了位置を算出する凝固完了位置算出部として機能する。具体的には、2次冷却計算部3は、操業中の連続鋳造機11における鋳片10の連続鋳造の2次冷却計算をオンラインで行い、この2次冷却計算の結果をもとに、現在連続鋳造中の鋳片10の凝固完了位置を算出する。本実施の形態において、鋳片10の凝固完了位置は、上述したピンチロール位置Pmと同様に、連続鋳造機11における基準位置P0からの鋳造方向に沿った距離(例えばメニスカス距離)によって表される。2次冷却計算部3は、このように算出した凝固完了位置を品質指標処理部4に送信する。
ここで、本実施の形態における連続鋳造の2次冷却計算は、伝熱モデルを用いた鋳片10の2次冷却に関する伝熱計算である。例えば、連続鋳造の2次冷却計算は、通常、鋳造方向に沿って単位長さに切断された鋳片10の断面を考え、現在連続鋳造中の鋳片10内の場所に応じて、水冷、空冷、ミスト冷却、ロール抜熱等からなる2次冷却条件による鋳片表面での境界条件を示す式に基づき熱流束を求め、この求めた熱流束を用いて2次元伝熱方程式を解くことにより、実行される。
品質指標処理部4は、非定常バルジングに起因する鋳片10の中心偏析に影響されて悪化する鋳片10の品質を判定するものである。具体的には、品質指標処理部4は、現在連続鋳造中の鋳片10の凝固完了位置を2次冷却計算部3から取得する。また、品質指標処理部4は、連続鋳造機11における1以上のピンチロール(本実施の形態ではピンチロール16〜19)から、鋳片10の引き抜き搬送に要するピンチロールトルクを示すトルク信号を必要分、収集する。品質指標処理部4は、鋳型12から鋳片10を引き抜く連続鋳造機11の1以上のピンチロール(例えばピンチロール16〜19)の中から、2次冷却計算部3によって算出された凝固完了位置よりも鋳片10の鋳造方向の上流側に位置するピンチロールを注目ピンチロールとして選択する。この際、品質指標処理部4は、連続鋳造機11の1以上のピンチロールの中から、2次冷却計算部3による凝固完了位置よりも鋳片10の鋳造方向の上流側に位置し且つ連続鋳造機11の軽圧下帯20を構成するピンチロールを、注目ピンチロールとして選択することが望ましい。
また、品質指標処理部4は、上述したように選択した注目ピンチロールから収集済みのトルク信号を周波数解析し、これにより、注目ピンチロールのトルク信号の各周波数成分を取得する。ついで、品質指標処理部4は、この周波数解析によって取得したトルク信号の各周波数成分の周波数および強度と、操業用計算機5から取得した連続鋳造機11の現在の操業条件(例えば現在連続鋳造中の鋳片10の鋳造速度等)とを用い、現在連続鋳造中の鋳片10の非定常バルジングをオンラインで検知する。続いて、品質指標処理部4は、上述したように取得したトルク信号の各周波数成分のうち、検知した鋳片10の非定常バルジングに起因する周波数成分をもとに、現在連続鋳造中の鋳片10の品質指標をオンラインで判定する。この際、品質指標処理部4は、鋳片10の中心偏析に対する非定常バルジングの影響の重み付けを設定し、鋳片10の凝固完了位置と選択した注目ピンチロールの設置位置(すなわちピンチロール位置Pm)との距離に応じ上述の重み付けを変化させて、現在連続鋳造中の鋳片10の品質指標を判定する。
本実施の形態において、上述の品質指標は、鋳片10に発生した中心偏析の影響による鋳片10の品質悪化を示す指標である。品質指標処理部4は、上述したような品質指標を鋳片10の長手方向の位置毎に順次判定する。このようにして、品質指標処理部4は、非定常バルジングに起因する中心偏析の影響によって悪化する鋳片10の品質を、鋳片10の長手方向位置毎に判定する。品質指標処理部4は、このような鋳片10の長手方向位置毎の品質指標を、鋳片10のスラブ毎の品質判定結果として操業用計算機5に送信する。
操業用計算機5は、品質判定装置2によって判定された鋳片10の品質指標をスラブ毎に管理し且つ鋳片10のスラブ毎の品質を推定する品質管理部としての機能を有する。具体的には、操業用計算機5は、連続鋳造機11の操業を管理するプロセスコンピュータ等を用いて構成される。操業用計算機5は、品質判定装置2から、品質指標処理部4によって判定された鋳片10の長手方向位置毎の品質指標を順次受信する。操業用計算機5は、受信した品質指標に対応する鋳片10の長手方向位置を、目的とするスラブ寸法等の操業条件に基づき、鋳片10をその長手方向に沿って所定長さ毎に切断して製造されるスラブに置き換える。ついで、操業用計算機5は、このような鋳片10のスラブと、このスラブに置き換えられる鋳片10の長手方向位置における品質指標とを対応付ける。操業用計算機5は、これらの対応付けたスラブと品質指標とを、鋳片10のスラブ毎の品質指標を示すスラブ品質データ5aの一部として保存し、管理する。操業用計算機5は、品質判定装置2から品質指標処理部4による鋳片10の長手方向位置毎の品質指標を受信する都度、上述したスラブ毎の品質指標の管理処理を実行する。
また、操業用計算機5は、上述したようにスラブ毎に管理する品質指標に基づいて、鋳片10のスラブ毎の品質を推定する。この際、操業用計算機5は、入力部6によって入力された情報をもとに、品質推定対象のスラブの中心偏析程度に関する閾値(以下、品質閾値という)を設定する。ついで、操業用計算機5は、品質推定対象のスラブの品質指標をスラブ品質データ5aから読み出し、品質相関データ5bを参照しつつ、この読み出した品質指標と品質閾値とに基づいて、品質推定対象のスラブの品質(例えば品質の良否)を推定する。
ここで、品質相関データ5bは、鋳片10を切断して製造される各スラブの品質に悪影響を及ぼす鋳片10の中心偏析の度合いを示す値(以下、中心偏析値という)と、鋳片10のスラブ毎に管理される品質指標との相関を示すデータである。なお、品質相関データ5bは、例えば、連続鋳造機11の過去の操業実績データや中心偏析の検査結果等を用いて作成可能である。品質相関データ5bは、操業用計算機5に予め保存される。操業用計算機5は、このような品質相関データ5bを用いて、品質推定対象のスラブの品質指標を中心偏析値に変換し、この中心偏析値と品質閾値とを比較する。この比較処理の結果、操業用計算機5は、この中心偏析値が品質閾値以上である場合、品質推定対象のスラブの品質が要求に比して悪いと推定し、この中心偏析値が品質閾値未満である場合、品質推定対象のスラブの品質が良(すなわち要求を満足する品質)であると推定する。
一方、操業用計算機5は、連続鋳造機11の現在の操業条件等の2次冷却計算や品質指標の判定処理に必要な情報を、品質判定装置2の2次冷却計算部3および品質指標処理部4に適宜提供する。例えば、操業用計算機5から品質判定装置2に提供される連続鋳造機11の現在の操業条件として、現在連続鋳造中の鋳片10の鋳造速度、この鋳片10を2次冷却するための冷却水量等の2次冷却条件、目的とするスラブの寸法情報等が挙げられる。
入力部6は、スラブの品質推定に関する各種情報を入力するものである。具体的には、入力部6は、入力キーまたはマウス等の入力デバイスを用いて構成され、作業者の入力操作に応じて、操業用計算機5に情報を入力する。なお、入力部6によって操業用計算機5に入力される情報として、例えば、スラブ毎の品質閾値を示す情報、スラブ毎の品質推定の処理開始を指示する情報、スラブ毎の品質推定結果の出力を指示する情報、品質判定装置2による品質指標の判定処理の開始または終了を指示する情報等が挙げられる。
出力部7は、操業用計算機5によるスラブ毎の品質推定結果を出力するものである。具体的には、出力部7は、スラブ毎の品質推定結果を示す情報を操業用計算機5から受信し、その都度、受信した情報に基づいて、スラブ毎の品質推定結果を出力する。このような出力部7は、出力対象のスラブ毎の品質推定結果を画面表示する表示装置であってもよいし、出力対象のスラブ毎の品質推定結果を紙等の印刷媒体に印刷するプリンタであってもよいし、これらを組み合わせたものであってもよい。
(スラブ品質推定方法)
つぎに、本発明の実施の形態にかかるスラブ品質推定方法について説明する。図3は、本発明の実施の形態にかかるスラブ品質推定方法の一例を示すフローチャートである。本実施の形態にかかるスラブ品質推定方法において、図1に示したスラブ品質推定装置1は、図3に示すステップS101〜S108の各処理ステップを適宜行って、連続鋳造機11による鋳片10のスラブ毎の品質を連続鋳造機11の操業中にオンラインで推定する。
詳細には、図3に示すように、スラブ品質推定装置1は、まず、連続鋳造機11の鋳型12に注入された溶鋼10aを凝固させながら鋳型12から引き抜いて連続鋳造される鋳片10の凝固完了位置を算出する(ステップS101)。
ステップS101において、2次冷却計算部3は、操業用計算機5から、連続鋳造機11によって現在連続鋳造中の鋳片10の鋳造速度や2次冷却の冷却水量等の必要な情報を取得する。ついで、2次冷却計算部3は、操業用計算機5から取得した情報を用い、操業中の連続鋳造機11における鋳片10の連続鋳造の2次冷却計算をオンラインで行う。2次冷却計算部3は、このような2次冷却計算の結果をもとに、現在連続鋳造中の鋳片10の凝固完了位置PCEを算出する。その後、2次冷却計算部3は、算出した凝固完了位置PCEを品質指標処理部4に送信する。
ステップS101を実行後、スラブ品質推定装置1は、鋳型12から鋳片10を引き抜く連続鋳造機11の1以上のピンチロールの中から、2次冷却計算部3によって算出された凝固完了位置PCEよりも鋳片10の鋳造方向の上流側に位置するピンチロールを選択する(ステップS102)。
ステップS102において、品質指標処理部4は、上述したステップS101によって算出された凝固完了位置PCEを2次冷却計算部3から取得する。ついで、品質指標処理部4は、連続鋳造機11の1以上のピンチロールの中から、凝固完了位置PCEよりも鋳片10の鋳造方向の上流側に位置するピンチロールを注目ピンチロールとして選択する。この際、品質指標処理部4は、連続鋳造機11の1以上のピンチロールの中から、凝固完了位置PCEよりも鋳片10の鋳造方向の上流側に位置し且つ連続鋳造機11の軽圧下帯20を構成するピンチロールを、注目ピンチロールとして選択する。
具体的には、凝固完了位置PCEがピンチロール位置P4よりも鋳造方向の下流側の位置である場合、品質指標処理部4は、軽圧下帯20内のピンチロール16〜19を注目ピンチロールとして選択する。凝固完了位置PCEがピンチロール位置P3,P4間の位置である場合、品質指標処理部4は、軽圧下帯20内のピンチロール16〜18を注目ピンチロールとして選択する。凝固完了位置PCEがピンチロール位置P2,P3間の位置である場合、品質指標処理部4は、軽圧下帯20内のピンチロール16,17を注目ピンチロールとして選択する。凝固完了位置PCEがピンチロール位置P1,P2間の位置である場合、品質指標処理部4は、軽圧下帯20内のピンチロール16を注目ピンチロールとして選択する。
すなわち、ステップS102において、品質指標処理部4は、連続鋳造機11の1以上のピンチロールから取得したトルク信号の中から、上述した注目ピンチロールから取得したトルク信号を選択する。なお、品質指標処理部4が上述したように凝固完了位置PCEよりも鋳造方向の上流側(鋳型12側)に位置する注目ピンチロールのトルク信号を選択する理由は、鋳片10の品質に悪影響を及ぼす中心偏析の発生原因となる非定常バルジングが凝固完了位置PCEよりも鋳造方向の上流側の鋳片位置、特に、凝固末期の鋳片位置において発生するからである。
ステップS102を実行後、スラブ品質推定装置1は、上述したステップS102によって選択したピンチロール(すなわち注目ピンチロール)のトルク信号を周波数解析して、注目ピンチロールのトルク信号の各周波数成分を取得する(ステップS103)。
ステップS103において、品質指標処理部4は、ピンチロール16〜19のうち凝固完了位置PCEよりも鋳造方向の上流側に位置するピンチロール、すなわち、注目ピンチロールからトルク信号を収集する。この際、品質指標処理部4は、現在連続鋳造中の鋳片10の長手方向にトラッキングしたトルク信号を収集する。すなわち、品質指標処理部4は、この鋳片10のうちの品質判定対象となる鋳片位置(鋳片10の長手方向位置)が注目ピンチロールの設置位置を通過した後、この注目ピンチロールのトルク信号を、周波数解析に必要な時間分、収集する。ついで、品質指標処理部4は、このように注目ピンチロールから収集したトルク信号を、高速フーリエ変換(FFT)等の手法を用いて周波数解析する。これにより、品質指標処理部4は、注目ピンチロールのトルク信号の各周波数成分を取得する。
ステップS103を実行後、スラブ品質推定装置1は、現在連続鋳造中の鋳片10における非定常バルジングの発生有無を判断する(ステップS104)。ステップS104において、品質指標処理部4は、上述したステップS103の周波数解析によって取得した各周波数成分の周波数および強度等をもとに、現在連続鋳造中の鋳片10に非定常バルジングが発生したか否かを判断する。
詳細には、ステップS104において、品質指標処理部4は、まず、操業用計算機5から取得した現在連続鋳造中の鋳片10の鋳造速度V[m/min]と、注目ピンチロールのロール間隔Dm[mm]とを用い、次式(1)に基づいて非定常バルジング周波数F[Hz]を算出する。

F[Hz]=V[m/min]/(Dm[mm]×60×0.001)・・・(1)
式(1)によって表される非定常バルジング周波数Fは、鋳片10の非定常バルジングに起因して注目ピンチロール(例えばピンチロール16〜19のうち少なくとも一つ)に生じるトルク変動の周波数である。また、ロール間隔Dmは、注目ピンチロールと、その直前に位置するサポートロールとの間隔である。例えば、注目ピンチロールがピンチロール16である場合、ロール間隔Dmは、図2に示すピンチロール16とその直前のサポートロール15との間隔(ロール間隔D1)になる。注目ピンチロールがピンチロール17である場合、ロール間隔Dmは、図2に示すピンチロール17とその直前のサポートロール15との間隔(ロール間隔D2)になる。注目ピンチロールがピンチロール18である場合、ロール間隔Dmは、図2に示すピンチロール18とその直前のサポートロール15との間隔(ロール間隔D3)になる。注目ピンチロールがピンチロール19である場合、ロール間隔Dmは、図2に示すピンチロール19とその直前のサポートロール15との間隔(ロール間隔D4)になる。
ついで、品質指標処理部4は、算出した非定常バルジング周波数Fと予め設定された判断用閾値X[Hz]とによって、非定常バルジング周波数範囲(F±X[Hz])を設定する。なお、判断用閾値Xは、例えば、0.01[Hz]以上、0.05[Hz]以下の範囲内に設定されることが望ましい。品質指標処理部4は、注目ピンチロール毎に、上述した周波数解析によって取得した各周波数成分のうち、非定常バルジング周波数範囲(F±X[Hz])内の周波数を有し且つ予め設定された強度閾値Y以上の強度を有するという条件(以下、非定常バルジング条件という)を満足する周波数成分が有るか否かを判断する。
注目ピンチロールの各周波数成分の中に非定常バルジング条件を満足する周波数成分が有る場合、品質指標処理部4は、この非定常バルジング条件を満足する周波数成分を、非定常バルジングに起因する周波数成分として選択する。この際、一つの注目ピンチロールの各周波数成分の中に非定常バルジング条件を満足する周波数成分のピークが複数有る場合、品質指標処理部4は、これら複数の周波数成分のピークの中から最も強度の大きいものを選択する。このようにして、品質指標処理部4は、注目ピンチロール毎に(例えばピンチロール16〜19の各々について)、非定常バルジングに起因する周波数成分を選択する。
品質指標処理部4は、上述したように非定常バルジングに起因する周波数成分を選択した場合、現在連続鋳造中の鋳片10に非定常バルジングが発生したと判断する。品質指標処理部4は、この判断処理の結果に基づき、この鋳片10の非定常バルジングを、連続鋳造機11の操業中にオンラインで検知する。
非定常バルジングが発生した場合(ステップS104,Yes)、スラブ品質推定装置1は、上述したステップS103によって取得した注目ピンチロールの各周波数成分のうち現在連続鋳造中の鋳片10の非定常バルジングに起因する周波数成分をもとに、この鋳片10の中心偏析の影響による鋳片10の品質悪化を示す品質指標を判定する(ステップS105)。
ステップS105において、品質指標処理部4は、上述したステップS104によって検知した非定常バルジングに起因する注目ピンチロール毎のトルク信号の周波数成分をもとに、現在連続鋳造中の鋳片10の品質指標をオンラインで判定する。この際、品質指標処理部4は、鋳片10の中心偏析に対する非定常バルジングの影響の重み付けを設定する。品質指標処理部4は、ステップS101によって算出した凝固完了位置PCEとステップS102によって選択した注目ピンチロールの設置位置(すなわちピンチロール位置Pm)との距離に応じ、この重み付けを変化させて、現在連続鋳造中の鋳片10の品質指標を判定する。
詳細には、品質指標処理部4は、上述した重み付けを示す重み係数αmと、ステップS104において注目ピンチロール毎に選択した非定常バルジング起因の周波数成分の強度Emと、注目ピンチロールに固有の品質調整係数Bmとを用い、線形和の次式(2)に基づいて、現在連続鋳造中の鋳片10の品質指標Qを算出する。

Q=Σ(αm×Em×Bm) ・・・(2)

例えば、注目ピンチロールが図1,2に示したピンチロール17(m=2)およびピンチロール18(m=3)である場合、品質指標Qは、ピンチロール17に対応する品質指標(α2×E2×B2)とピンチロール18に対応する品質指標(α3×E3×B3)との線形和によって算出される。
なお、式(2)において、重み係数αmは、ステップS101による凝固完了位置PCEと注目ピンチロールのピンチロール位置Pmとの距離に応じて変化する係数である。本実施の形態において、重み係数αmは、所定の位置調整係数A等を用い、次式(3)によって表される。

αm=1/(PCE−A−Pm) ・・・(3)
ここで、鋳片10の品質を悪化させる中心偏析は、凝固完了位置PCEよりも鋳片10の鋳造方向の上流側に若干ずれた位置(例えば鋳片10の凝固率が0.3以上、0.8以下となる鋳片位置)の非定常バルジングに最も影響されて発生する。このような中心偏析に対する非定常バルジングの影響度は、鋳片10における非定常バルジングの位置が鋳造方向の上流側へ変位するに伴い、低下する。
品質指標処理部4は、式(3)に表されるように凝固完了位置PCEとピンチロール位置Pmとの距離の減少に伴い増加する重み係数αmを用い、式(2)に表されるように品質指標Qを算出する。すなわち、品質指標処理部4は、凝固完了位置PCEに一層近い注目ピンチロールほど重みが重くなるように重み付けを設定し、凝固完了位置PCEとピンチロール位置Pmとの距離に応じ、この重み付けを変化させて品質指標Qを算出する。これにより、品質指標処理部4は、上述した中心偏析に対する非定常バルジングの影響度を加味して品質指標Qを精度良く算出することができる。
ステップS105において、品質指標処理部4は、上述した式(2)および式(3)に基づく演算処理を鋳片10の長手方向位置毎に実行する。これにより、品質指標処理部4は、現在連続鋳造中の鋳片10の長手方向位置毎に品質指標Qを算出する。品質指標処理部4は、この算出した品質指標Qを、非定常バルジング起因の中心偏析に影響されて悪化する鋳片10の長手方向位置毎の品質を示す指標として、連続鋳造機11の操業中にオンラインで判定する。その後、品質指標処理部4は、このように判定した鋳片10の長手方向位置毎の品質指標Qを操業用計算機5に送信する。
ステップS105を実行後、スラブ品質推定装置1は、鋳片10を切断して製造されるスラブとステップS105による品質指標Qとを対応付けて管理する(ステップS106)。ステップS106において、操業用計算機5は、上述したステップS105によって判定された品質指標Qを、品質判定装置2の品質指標処理部4から取得する。ついで、操業用計算機5は、取得した品質指標Qに対応する鋳片10の長手方向位置を、この鋳片10から製造されるスラブに置き換える。続いて、操業用計算機5は、このような鋳片10のスラブと、このスラブに置き換えられる鋳片10の長手方向位置の品質指標Qとを対応付ける。その後、操業用計算機5は、これらの対応付けたスラブと品質指標Qとを、スラブ品質データ5aの一部として保存し、管理する。
ステップS106を実行後、スラブ品質推定装置1は、上述したようにスラブ毎に管理している品質指標Qに基づいて、鋳片10のスラブ毎の品質を推定する(ステップS107)。ステップS107において、操業用計算機5は、入力部6によって入力された情報をもとに、品質推定対象のスラブの中心偏析程度に関する品質閾値を設定する。ついで、操業用計算機5は、品質推定対象のスラブの品質指標Qをスラブ品質データ5aから読み出し、読み出した品質指標Qを、品質相関データ5bに基づいて中心偏析値C/C0に変換する。続いて、操業用計算機5は、この変換して得た中心偏析値C/C0と上述したように設定した品質閾値とを比較する。操業用計算機5は、この比較処理の結果に基づいて、品質推定対象のスラブの品質を推定する。
具体的には、この中心偏析値C/C0が設定の品質閾値以上である場合、操業用計算機5は、品質推定対象のスラブの品質が要求に比して悪いと推定する。一方、この中心偏析値C/C0が設定の品質閾値未満である場合、操業用計算機5は、品質推定対象のスラブの品質が良(すなわち要求を満足する品質)であると推定する。
その後、操業用計算機5は、上述したスラブの品質推定結果を出力部7に送信する。出力部7は、操業用計算機5からスラブの品質推定結果を受信し、受信した品質推定結果を、鋳片10のスラブ毎の品質推定結果を示す情報として出力する。
ステップS107を実行後、スラブ品質推定装置1は、の現在連続鋳造中の鋳片10について品質の判定が完了したか否かを判断する(ステップS108)。ステップS108において、操業用計算機5は、入力部6からの入力情報または連続鋳造機11の現在の操業状況等をもとに、この鋳片10の全域に亘って品質の判定が完了したか否かを判断する。スラブ品質推定装置1は、品質の判定が完了した場合(ステップS108,Yes)、本処理を終了し、品質の判定が未だ完了していない場合(ステップS108,No)、上述したステップS101に戻り、このステップS101以降の各処理を適宜繰り返す。
一方、上述したステップS104において、非定常バルジングが発生していない場合(ステップS104,No)、スラブ品質推定装置1は、上述したステップS106に進み、このステップS106以降の各処理を実行する。この場合、品質指標処理部4は、上述した式(2)および式(3)に基づく品質指標Qの演算処理を実行せず、この演算処理の算出値に比して小さい値に予め設定された基準品質指標を、鋳片10の長手方向位置の品質指標Qとして判定してもよい。また、操業用計算機5は、このような基準品質指標を、鋳片10のスラブ毎の品質指標Qとして管理してもよい。
(実施例)
つぎに、本発明の実施例について説明する。本実施例は、本発明の実施の形態にかかるスラブ品質推定装置1が連続鋳造機11の実際の操業中に注目ピンチロールから収集したトルク信号を用いて鋳片10のスラブ毎の品質判定を行った場合の具体例を示すものである。本実施例において、スラブ品質推定装置1は、連続鋳造機11の軽圧下帯20における3つのピンチロール16〜18を用いて鋳片10のスラブ毎の品質判定を実行した。
本実施例における条件として、ピンチロール16の設置位置(ピンチロール位置P1)を定めるメニスカス距離L1は、24[m]とした。ピンチロール17の設置位置(ピンチロール位置P2)を定めるメニスカス距離L2は、26[m]とした。ピンチロール18の設置位置(ピンチロール位置P3)を定めるメニスカス距離L3は、28[m]とした。以下、本実施例において、これら3つのピンチロール16〜18のうち、最上流のピンチロール16と最下流のピンチロール18との間に位置するピンチロール17は、「中間のピンチロール」と適宜称される。一方、ピンチロール16〜18の各トルクは、鋳片10の連続鋳造時における鋳造速度Vの変更の影響がない定常状態のものとした。
本実施例において、スラブ品質推定装置1の2次冷却計算部3は、図3に示したステップS101の処理を実行した結果、鋳型12内の溶鋼10aのメニスカス10bから鋳造方向に沿った距離が29.0[m]となる凝固完了位置PCEを算出した。この凝固完了位置PCEは、図2に示したピンチロール位置P3とピンチロール位置P4との間の位置であった。このような結果を受け、スラブ品質推定装置1の品質指標処理部4は、図3に示したステップS102の処理を実行し、これにより、凝固完了位置PCEに比べて鋳造方向の上流側に位置するピンチロール16〜18を注目ピンチロールとして選択した。
つぎに、品質指標処理部4は、図3に示したステップS103において、注目ピンチロールであるピンチロール16〜18の各々から、周波数解析に必要な時間分のトルク信号を収集した。図4は、本実施例において注目する各ピンチロールのトルクのトレンドデータを示す図である。なお、図4に示されるトルクのトレンドデータは、平均が零値になるようにデータ処理されたものである。本実施例において、最上流のピンチロール16から収集したトルク信号に対応するトルクのトレンドデータは、図4の実線によって示されるものであった。中間のピンチロール17から収集したトルク信号に対応するトルクのトレンドデータは、図4の破線によって示されるものであった。最下流のピンチロール18から収集したトルク信号に対応するトルクのトレンドデータは、図4の点線によって示されるものであった。
図4に示すようなトルクの変化トレンド(経時変化)を表す各トルク信号を収集後、品質指標処理部4は、ピンチロール16〜18の各々について、収集したトルク信号の周波数解析を実行した。図5は、本実施例における注目ピンチロールのうち最上流のピンチロールから収集したトルク信号の周波数解析結果の一例を示す図である。図6は、本実施例における注目ピンチロールのうち中間のピンチロールから収集したトルク信号の周波数解析結果の一例を示す図である。図7は、本実施例における注目ピンチロールのうち最下流のピンチロールから収集したトルク信号の周波数解析結果の一例を示す図である。
ステップS103において、品質指標処理部4は、最上流のピンチロール16からのトルク信号を周波数解析した結果、図5に示すような周波数と強度との相関を示す各周波数成分を取得した。また、品質指標処理部4は、中間のピンチロール17からのトルク信号を周波数解析した結果、図6に示すような周波数と強度との相関を示す各周波数成分を取得し、最下流のピンチロール18からのトルク信号を周波数解析した結果、図7に示すような周波数と強度との相関を示す各周波数成分を取得した。
続くステップS104において、品質指標処理部4は、鋳造速度Vとピンチロール16〜18の各ロール間隔Dmとを用い、上述した式(1)に基づき、ピンチロール16〜18の各々について非定常バルジング周波数Fを算出した。この結果、ピンチロール16〜18の各々の非定常バルジング周波数Fは0.10[Hz]であった。品質指標処理部4は、この非定常バルジング周波数Fと予め設定された判断用閾値X(=0.02[Hz])とにより、非定常バルジング周波数範囲(0.1[Hz]±0.02[Hz])を設定した。本実施例において、品質指標処理部4は、この非定常バルジング周波数範囲(0.1[Hz]±0.02[Hz])内の周波数を有し且つ予め設定された強度閾値Y(=0.4)以上の強度を有するという非定常バルジング条件を設定した。
ついで、品質指標処理部4は、ピンチロール16の各周波数成分(図5参照)の中に、本実施例の非定常バルジング条件を満足する周波数成分が有るか否かを判断した。この結果、ピンチロール16の各周波数成分の中には、本実施例の非定常バルジング条件を満足する周波数成分はなかった。したがって、品質指標処理部4は、ピンチロール16の各周波数成分を処理対象外とした。
また、品質指標処理部4は、ピンチロール17の各周波数成分(図6参照)の中に、本実施例の非定常バルジング条件を満足する周波数成分が有るか否かを判断した。この結果、品質指標処理部4は、ピンチロール17の各周波数成分の中から、本実施例の非定常バルジング条件を満足する周波数ピークを示す周波数成分を非定常バルジング起因の周波数成分として選択した。具体的には、図6に示すように周波数が0.10[Hz]であり且つ強度が0.55である周波数成分が、非定常バルジング起因の周波数成分として選択された。さらに、品質指標処理部4は、ピンチロール18の各周波数成分(図7参照)の中に、本実施例の非定常バルジング条件を満足する周波数成分が有るか否かを判断した。この結果、品質指標処理部4は、ピンチロール18の各周波数成分の中から、本実施例の非定常バルジング条件を満足する周波数ピークを示す周波数成分を非定常バルジング起因の周波数成分として選択した。具体的には、図7に示すように周波数が0.10[Hz]であり且つ強度が0.79である周波数成分が、非定常バルジング起因の周波数成分として選択された。このような結果をもって、現在連続鋳造中の鋳片10の非定常バルジングがオンラインで検知された。
その後、ステップS105において、品質指標処理部4は、上述したピンチロール17,18に各々対応する非定常バルジング起因の各周波数成分をもとに、現在連続鋳造中の鋳片10の品質指標Qを計算した。本実施例において、位置調整係数Aは0.5[−]とし、ピンチロール17,18に固有の各品質調整係数B2,B3は、双方とも1[−]とした。また、上述したように、ピンチロール17に対応する非定常バルジング起因の周波数成分の強度E2は0.55であり、ピンチロール18に対応する非定常バルジング起因の周波数成分の強度E3は0.79である。品質指標処理部4は、これらのパラメータを用い、上述した式(2)および式(3)に基づいて演算処理を実行した結果、品質指標Qとして1.80[−]を算出した。この場合、品質指標処理部4は、現在連続鋳造中の鋳片10におけるスラブ毎の品質指標Qが1.80[−]であると判定する。
本実施例では、上述したような品質指標Qの演算処理を複数のケースについて実行し、得られた品質指標Qと、鋳片10の中心偏析の度合いを示す中心偏析値C/C0との相関を調査した。図8は、本実施例における鋳片の品質指標と中心偏析値との相関の一例を示す図である。図8に示すように、本実施例では、鋳片10のスラブ毎に判定された品質指標Qと鋳片10の中心偏析値C/C0との間に、線形に近い相関があることを確認することができた。このような品質指標Qと中心偏析値C/C0との相関は、外挿等の手法により、図8に示す品質指標Qの範囲外についても取得することができる。このことから、本発明による品質指標Qは、現在連続鋳造中の鋳片10のスラブ毎の品質を連続鋳造機11の操業中にオンラインで判定および推定するための指標として、実用的であるといえる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態では、連続鋳造機によって現在連続鋳造中の鋳片の凝固完了位置を算出し、この連続鋳造機における1以上のピンチロールの中から、凝固完了位置よりも鋳造方向の上流側に位置する注目ピンチロールを選択し、選択した注目ピンチロールのトルク信号を周波数解析して、注目ピンチロール毎にトルク信号の各周波数成分を取得し、取得した各周波数成分のうち非定常バルジング起因の周波数成分をもとに、中心偏析の影響による鋳片の品質悪化を示す品質指標を判定している。また、連続鋳造された鋳片を切断して製造されるスラブと上述の品質指標とを対応付けて管理し、管理している品質指標に基づいて、各スラブの品質を推定している。
このため、現在連続鋳造中の鋳片における長手方向位置毎に、非定常バルジング起因の中心偏析の影響による鋳片の品質悪化の指標すなわち品質指標を、高温高湿度の熱間環境下において実際に操業する連続鋳造機の操業中にオンラインで判定することができる。このようにオンラインで判定して得た品質指標を用いることにより、鋳片の品質に悪影響を及ぼす中心偏析の度合いをスラブ毎にオンラインで管理することができる。この結果、熱間環境に耐える環境対策を施した非定常バルジング検知センサ(例えば渦流式センサ等)を必要とせず、既存のピンチロールからのトルク信号に基づく品質指標と中心偏析の度合いとの相関に基づいて、鋳片の中心偏析に影響される各スラブの品質を、熱間環境下における連続鋳造機の操業中にオンラインで簡易且つ安価に推定することができる。
なお、上述した実施の形態では、鋳片10のスラブ毎の品質指標Qに応じた中心偏析値C/C0と入力部6によって入力された品質閾値との比較結果をもとに、鋳片10のスラブ毎の品質を推定していたが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明において、品質閾値は、連続鋳造工程に関するオーダー情報の一部として外部の管理コンピュータ等から操業用計算機5へ順次入力されてもよい。操業用計算機5は、品質判定装置2から品質指標Qを受信する都度、取得した品質指標Qとオーダー情報内の品質閾値とを用いて、鋳片10のスラブ毎の品質を自動的に順次推定してもよい。この場合、スラブ品質推定装置1は、入力部6を備えていなくてもよい。
また、上述した実施の形態では、スラブ品質推定装置1が適用される連続鋳造機11に対し、鋳造方向に沿って9つのゾーンに分割される冷却帯21a〜29a,21b〜29bが設けられていたが、本発明は、これに限定されるものではない。連続鋳造機11の冷却帯の数(ゾーン数)は、連続鋳造機11の設備寸法等の設備構成、連続鋳造する鋳片10の鋳造寸法や鋼種、鋳片10の2次冷却条件等に応じて、適宜設定されればよい。すなわち、本発明において、連続鋳造機11の冷却帯のゾーン数は、特に問われない。また、連続鋳造機11の冷却帯に設置されるピンチロールの数は、上述した4つに限定されず、1つ以上であってもよい。
さらに、上述した実施の形態では、式(1)に基づいて非定常バルジング周波数Fを算出するために用いるロール間隔Dmは、注目ピンチロールとその直前のサポートロールとの間隔にしていたが、本発明は、これに限定されるものではない。連続鋳造機11において、ピンチロールがサポートロールを挟まずに鋳造方向に複数並べて設置されている場合、ロール間隔Dmは、注目ピンチロールとその直前のピンチロールとの間隔であってもよい。
また、上述した実施の形態では、連続鋳造機11に設けられるピンチロール16〜19の全てからトルク信号を収集していたが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明において、トルク信号は、連続鋳造機11に設けられた全てのピンチロールのうち、凝固完了位置よりも鋳造方向の上流側に位置する1以上の注目ピンチロールのみから収集されてもよい。
また、上述した実施の形態または実施例による本発明の開示の一部をなす記述および図面により本発明が限定されることはなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上述した実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1 スラブ品質推定装置
2 品質判定装置
3 2次冷却計算部
4 品質指標処理部
5 操業用計算機
5a スラブ品質データ
5b 品質相関データ
6 入力部
7 出力部
10 鋳片
10a 溶鋼
10b メニスカス
11 連続鋳造機
12 鋳型
13 タンディッシュ
14 浸漬ノズル
15 サポートロール
16〜19 ピンチロール
20 軽圧下帯
21a〜29a,21b〜29b 冷却帯
0 基準位置
1〜P4 ピンチロール位置

Claims (6)

  1. 連続鋳造機の鋳型に注入された溶鋼を凝固させながら前記鋳型から引き抜いて連続鋳造される鋳片の凝固完了位置を算出する凝固完了位置算出部と、
    前記鋳型から前記鋳片を引き抜く前記連続鋳造機の1以上のピンチロールの中から、前記凝固完了位置よりも前記鋳片の鋳造方向の上流側に位置するピンチロールを選択し、選択した前記ピンチロールのトルク信号を周波数解析して前記トルク信号の各周波数成分を取得し、取得した前記各周波数成分のうち前記鋳片の非定常バルジングに起因する周波数成分をもとに、前記鋳片の中心偏析の影響による前記鋳片の品質悪化を示す品質指標を判定する品質指標処理部と、
    前記鋳片を切断して製造されるスラブと前記品質指標とを対応付けて管理し、前記品質指標に基づいて前記スラブ毎の品質を推定する品質管理部と、
    を備えたことを特徴とするスラブ品質推定装置。
  2. 前記品質指標処理部は、前記1以上のピンチロールの中から、前記凝固完了位置よりも前記鋳片の鋳造方向の上流側に位置し且つ前記連続鋳造機の軽圧下帯を構成する前記ピンチロールを選択することを特徴とする請求項1に記載のスラブ品質推定装置。
  3. 前記品質指標処理部は、前記鋳片の中心偏析に対する非定常バルジングの影響の重み付けを設定し、前記凝固完了位置と選択した前記ピンチロールの設置位置との距離に応じ前記重み付けを変化させて、前記品質指標を判定することを特徴とする請求項1または2に記載のスラブ品質推定装置。
  4. 連続鋳造機の鋳型に注入された溶鋼を凝固させながら前記鋳型から引き抜いて連続鋳造される鋳片の凝固完了位置を算出する凝固完了位置算出ステップと、
    前記鋳型から前記鋳片を引き抜く前記連続鋳造機の1以上のピンチロールの中から、前記凝固完了位置よりも前記鋳片の鋳造方向の上流側に位置するピンチロールを選択する選択ステップと、
    前記選択ステップによって選択した前記ピンチロールのトルク信号を周波数解析して、前記トルク信号の各周波数成分を取得する周波数解析ステップと、
    前記周波数解析ステップによって取得した前記各周波数成分のうち前記鋳片の非定常バルジングに起因する周波数成分をもとに、前記鋳片の中心偏析の影響による前記鋳片の品質悪化を示す品質指標を判定する品質指標判定ステップと、
    前記鋳片を切断して製造されるスラブと前記品質指標とを対応付けて管理する管理ステップと、
    前記品質指標に基づいて前記スラブ毎の品質を推定する品質推定ステップと、
    を含むことを特徴とするスラブ品質推定方法。
  5. 前記選択ステップは、前記1以上のピンチロールの中から、前記凝固完了位置よりも前記鋳片の鋳造方向の上流側に位置し且つ前記連続鋳造機の軽圧下帯を構成する前記ピンチロールを選択することを特徴とする請求項4に記載のスラブ品質推定方法。
  6. 前記品質指標判定ステップは、前記鋳片の中心偏析に対する非定常バルジングの影響の重み付けを設定し、前記凝固完了位置と選択した前記ピンチロールの設置位置との距離に応じ前記重み付けを変化させて、前記品質指標を判定することを特徴とする請求項4または5に記載のスラブ品質推定方法。
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