JP2011057636A - アントラキノン誘導体の製造方法 - Google Patents

アントラキノン誘導体の製造方法 Download PDF

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Takumi Fujita
匠 藤田
Masato Watanabe
真人 渡辺
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Abstract

【課題】有機半導体等の電子材料の合成原料として利用が可能なアントラキノン誘導体の製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体の製造方法であり、下記一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン酸誘導体と、ハロゲン化剤を用いた反応により得られる、フェニルケトンカルボン酸ハロゲン化物を、ルイス酸触媒を用いた分子内フリーデルクラフツアシル化反応させることを特徴とする一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体の製造方法。
Figure 2011057636

Figure 2011057636

【選択図】図5

Description

本発明はアントラキノン誘導体の新規な製造方法に関する。本発明の製造方法で得られるアントラキノン誘導体は有機トランジスタの半導体材料に用いられるペンタセン等のアセン類の合成中間体として有用なものである。
有機薄膜トランジスタに代表される有機半導体デバイスは、省エネルギー、低コスト、及びフレキシブルといった無機半導体デバイスにはない特徴を有することから近年注目されるようになった。有機薄膜トランジスタは有機半導体活性相、基板、絶縁相、電極等数種類の材料から構成され、中でも電荷のキャリアー移動を担う有機半導体活性相は該デバイスの中心的な役割を有している。この有機半導体活性相を構成する有機材料のキャリアー移動能により半導体デバイス性能が左右される。
ペンタセン等の棒状構造のアセン類はアモルファスシリコン並みの高いキャリアー移動度を有し、優れた半導体デバイス特性を発現することが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。これらアセン類の原料として、アントラキノン誘導体が用いられている(例えば、非特許文献2参照)。アントラキノン骨格の合成には、濃硫酸やトリフルオロ酢酸無水物、フッ酸中でフェニルケトンカルボン酸を加熱する、分子内脱水・環化反応による方法が報告されている(例えば、特許文献1及び非特許文献3参照)。
しかし、これらの方法では、親油性の高い置換基を有するフェニルケトンカルボン酸は、酸と混和せず、十分な反応選択率及び収率が得られない、あるいは、親油性の高い置換基を有していなくても反応の再現性に乏しいという問題があった。
特開2009−155309号公報
「ジャーナル オブ アプライド フィジックス」、(米国)、2002年、92巻、5259−5263頁 「ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサエティー」、(米国)、2006年、128巻、16002−16003頁 「ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサエティー」、(米国)、2001年、123巻、2530−2536頁
本発明は、上記の従来技術が有する問題点に鑑み、新規なアントラキノン誘導体の製造方法を提供することを目的とする。特に、本発明はアントラキノン誘導体の効率的な製造方法の提供を目的とし、さらに半導体活性相の形成が可能な有機半導体相構成材料の原料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討の結果、アントラキノン誘導体を製造する特定の方法を見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、下記一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体の製造方法であり、下記一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン酸誘導体と、ハロゲン化剤を用いた反応により得られる、下記一般式(3)で表されるフェニルケトンカルボン酸ハロゲン化物を、ルイス酸触媒を用いた分子内フリーデルクラフツアシル化反応させることを特徴とする新規な製造方法である。
Figure 2011057636
(式中、置換基R〜Rは同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のパーフルオロアルコキシ基、炭素数1〜20のハロゲン化アルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数4〜30のアリール基、炭素数2〜20のアルキニル基、又は炭素数2〜30のアルケニル基を表し、記号nは0又は1の整数である。なお、R〜Rの内、あるいはR〜Rの内、任意の二以上のものは互いに結合することができる。)
Figure 2011057636
(ここで、置換基R〜R及び記号nは一般式(1)で表される置換基及び記号と同意義を示す。)
Figure 2011057636
(ここで、置換基R〜R及び記号nは一般式(1)で表される置換基及び記号と同意義を示し、置換基Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表す。)
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の製造方法で得られる一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体における置換基R〜Rは、水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のパーフルオロアルコキシ基、炭素数1〜20のハロゲン化アルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数4〜30のアリール基、炭素数2〜20のアルキニル基、又は炭素数2〜30のアルケニル基である。
置換基R〜Rにおける炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
置換基R〜Rにおける炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロデシル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロオクタデシル基等が挙げられる。
置換基R〜Rにおける炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基としては、例えばトリフルオロエチル基、ペンタデカフルオロオクチル基、オクタデカフルオロデシル基、2−エチルパーフルオロヘキシル基等の一部の水素がフッ素に置換されたものが挙げられる。
置換基R〜Rにおける炭素数1〜20のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ネオペンチロキシ基、オクチロキシ基、ドデシロキシ基、オクタデシロキシ基、2−エチルヘキシロキシ基等が挙げられる。
置換基R〜Rにおける炭素数1〜20のパーフルオロアルコキシ基としては、例えばトリフルオロメトキシ基、パーフルオロヘキシロキシ基、パーフルオロドデシロキシ基、パーフルオロオクタデシロキシ基等が挙げられる。
置換基R〜Rにおける炭素数1〜20のハロゲン化アルコキシ基としては、例えばトリフルオロエトキシ基、ペンタデカフルオロオクチロキシ基、オクタデカフルオロデシロキシ基、2−エチルパーフルオロヘキシロキシ基等の一部の水素がフッ素に置換されたものが挙げられる。
置換基R〜Rにおける炭素数1〜20のアルキルチオ基としては、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ネオペンチルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、トリフルオロメチルチオ基、パーフルオロヘキシルチオ基、パーフルオロドデシルチオ基、パーフルオロオクタデシルチオ基、トリフルオロエチルチオ基、ペンタデカフルオロオクチルチオ基、オクタデカフルオロデシルチオ基、2−エチルパーフルオロヘキシルチオ基等が挙げられる。
置換基R〜Rにおける炭素数4〜30のアリール基としては、例えばフェニル基、p−トリル基、(p−オクチル)フェニル基、(p−ドデシル)フェニル基)、(p−オクタデシル)フェニル基、p−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、p−(トリフルオロメチル)フェニル基、p−(パーフルオロドデシル)フェニル基、ピリジニル基、テトラフルオロピリジニル基、2−チエニル基、5−(n−ヘキシル)−2−チエニル基、2,2’−ビチエニル−5−基、ビフェニル基、パーフルオロビフェニル基、ビピリジニル基等が挙げられる。
置換基R〜Rにおける炭素数2〜20のアルキニル基としては、例えばエチニル基、メチルエチニル基、イソプロピルエチニル基、t−ブチルエチニル基、(オクチル)エチニル基、(ドデシル)エチニル基、トリフルオロメチルエチニル基、フェニルエチニル基、{4−(オクチル)フェニル}エチニル基、{3−(オクチル)フェニル}エチニル基、ナフチルエチニル基、アントラセニルエチニル基、ビフェニルエチニル基、ターフェニルエチニル基、ベンジルエチニル基、ビフェニレノエチニル基、パーフルオロフェニルエチニル基、{p−(トリフルオロメチル)フェニル}エチニル基、(パーフルオロオクチル)エチニル基、(パーフルオロドデシル)エチニル基、{4−(パーフルオロオクチル)フェニル}エチニル基、{3−(パーフルオロオクチル)フェニル}エチニル基等が挙げられる。
置換基R〜Rにおける炭素数2〜30のアルケニル基としては、例えばエテニル基、メチルエテニル基、イソプロピルエテニル基、t−ブチルエテニル基、(オクチル)エテニル基、(ドデシル)エテニル基、トリフルオロメチルエテニル基、フェニルエテニル基、{4−(オクチル)フェニル}エテニル基、{3−(オクチル)フェニル}エテニル基、ナフチルエテニル基、アントラセニルエテニル基、ビフェニルエテニル基、ターフェニルエテニル基、ベンジルエテニル基、ビフェニレノエテニル基、パーフルオロフェニルエテニル基、{p−(トリフルオロメチル)フェニル}エテニル基、(パーフルオロオクチル)エテニル基、(パーフルオロドデシル)エテニル基、{4−(パーフルオロオクチル)フェニル}エテニル基、{3−(パーフルオロオクチル)フェニル}エテニル基、ビフェニレノエテニル基、フェニル(メチル)エテニル基、(トリメチルシリル)エテニル基、(トリエチルシリル)エテニル基、(トリイソプロピルシリル)エテニル基等が挙げられる。なお、該炭素数2〜30のアルケニル基はトランス体及びシス体が存在する場合は、トランス体及びシス体の何れであってもよく、またそれらの任意の割合の混合物であってもよい。
これらのうち、直線的な分子形状となることから、置換基R〜Rとしては、特に好ましくは、置換基R、R、R及びRは水素原子であり、置換基R、R、R及びRは水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子または炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数4〜30のアリール基である。
なお、置換基R〜Rの内、あるいはR〜Rの内、任意の二以上のものが互いに結合していても良い。その結合は特に限定はなく、例えばベンゼン環、ヘキシルベンゼン環、ジドデシルベンゼン環、パーフルオロベンゼン環、トリフルオロメチルベンゼン環、(パーフルオロジドデシル)ベンゼン環等の置換基を有してもよいベンゼン環;フラン環、チオフェン環、2−ジドデシルチオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾピロール環等の芳香族複素環を挙げることができ、好ましくは置換基を有していても良いベンゼン環である。結合する位置は直線的な分子形状となることから、好ましくはRとRあるいはRとRである。
また、一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体の記号nは0または1の整数であり、半導体材料として高いキャリアー移動度が期待できることから、好ましくは1である。
本発明の製造方法で製造される一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体は具体的な例として、
Figure 2011057636
Figure 2011057636
Figure 2011057636
Figure 2011057636
を挙げることができ、
Figure 2011057636
が、特に好ましい。
本発明の一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体は一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン酸誘導体と、ハロゲン化剤を用いた反応により得られる、一般式(3)で表されるフェニルケトンカルボン酸ハロゲン化物を、ルイス酸触媒を用いた分子内フリーデルクラフツアシル化反応させることで製造する。
一般式(2)における置換基R〜R及び記号nは一般式(1)で表される置換基及び記号と同意義を示す。
そして、一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン酸誘導体の具体的な例としては、
Figure 2011057636
Figure 2011057636
Figure 2011057636
Figure 2011057636
を挙げることができ、
Figure 2011057636
が、特に好ましい。
一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン酸誘導体のハロゲン化に用いるハロゲン化剤としては、カルボン酸をカルボン酸ハロゲン化物に変換できるものであれば特に限定されない。その具体例として、例えば、塩化チオニル、塩化オキサリル、塩化ホスホリル、塩化スルフリル、三塩化リン、五塩化リン、ホスゲン等の塩素化剤;三臭化リン等の臭素化剤;一塩化ヨウ素等のヨウ素化剤等を挙げることができ、好ましくは塩素化剤であり、反応後の減圧操作により副生成物の除去が容易であることから、さらに好ましくは、塩化チオニル、塩化オキサリル、塩化スルフリルであり、特に好ましくは、塩化チオニルである。これらのハロゲン化剤は単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン酸誘導体のハロゲン化は、特に限定はなく、好ましくは溶液状態で実施する。用いる溶剤は特に限定はなく、例えばジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トルエン等が挙げられる。また、塩素化剤に塩化チオニルや塩化オキサリル、塩化スルフリルなど液体を用いる場合は溶媒を兼ねて用いても良い。一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン酸誘導体の濃度は、特に制限はなく、0.001mmol/l〜100mol/lが好ましく、より好ましくは1mmol/l〜10mol/lである。
係るハロゲン化において、用いるハロゲン化剤の量は特に制限はなく、一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン酸誘導体1当量に対し、1.0〜100当量が好ましく、特に好ましくは10〜50当量である。ハロゲン化の温度は特に制限はなく、−20〜150℃が好ましく、特に好ましくは50〜100℃である。反応時間は温度や原料の基質濃度に左右され、0.1〜24時間が好ましく、特に好ましくは0.1〜5時間である。
なお、該ハロゲン化では、N,N−ジメチルホルムアミド(以後、DMFと略す)を存在させることが好ましい。DMFを存在させることで、反応性の向上が期待できる。用いるDMFの量は一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン酸誘導体1当量に対し、0.001〜100当量が好ましく、特に好ましくは0.01〜1当量である。
このように一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン酸誘導体と、ハロゲン化剤を用いた反応により一般式(3)で表されるフェニルケトンカルボン酸ハロゲン化物が得られる。
一般式(3)における置換基R〜R及び記号nは一般式(1)で表される置換基及び記号と同意義を示す。また、置換基Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表し、特に好ましくは塩素原子である。
そして、一般式(3)で表されるフェニルケトンカルボン酸ハロゲン化物の具体的な例としては、
Figure 2011057636
Figure 2011057636
Figure 2011057636
Figure 2011057636
を挙げることができ、
Figure 2011057636
が、特に好ましい。
かくして得られた、一般式(3)で表されるフェニルケトンカルボン酸ハロゲン化物を、ルイス酸触媒を用いた分子内フリーデルクラフツアシル化反応により分子内環化させることにより一般式(1)で表わされるアントラキノン誘導体が得られる。
ここで、分子内フリーデルクラフツアシル化反応とは、例えば、「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応II」(日本化学会編・丸善株式会社)第799頁〜第802頁に記載されている、ハロゲン化アシルとベンゼン誘導体を原料に用い、ルイス酸触媒によりカップリング生成物を与えるフリーデルクラフツアシル化反応を、分子内で行う反応である。
一般式(3)で表されるフェニルケトンカルボン酸ハロゲン化物の分子内フリーデルクラフツアシル化反応に用いられるルイス酸触媒は特に限定はなく、例えば塩化アルミニウム、塩化鉄(III)、臭化アルミニウム、三フッ化ほう素、三フッ化ほう素ジエチルエーテル錯体等が挙げられる。その中でも反応性が高いことから、塩化鉄(III)、三フッ化ほう素ジエチルエーテル錯体、塩化アルミニウムが好ましく用いられる。
一般式(3)で表されるフェニルケトンカルボン酸ハロゲン化物の分子内フリーデルクラフツアシル化反応は、特に限定はなく、好ましくは溶媒中で実施する。用いる溶媒は特に限定はなく、例えば1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、テトラフルオロベンゼン、トリフルオロベンゼン等を挙げることができる。これらのうち、一般式(3)で表されるフェニルケトンカルボン酸ハロゲン化物の溶解度が高いことから、好ましくは1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタンである。又、これら溶剤は1種若しくは2種以上の混合物を用いても良い。一般式(3)で表されるフェニルケトンカルボン酸ハロゲン化物の濃度は、特に制限はなく、0.001mmol/l〜10mol/lが好ましく、より好ましくは0.01mmol/l〜1mol/lである。
係る分子内フリーデルクラフツアシル化反応において、用いるルイス酸触媒の量は特に制限はなく、一般式(3)で表されるフェニルケトンカルボン酸ハロゲン化物1当量に対し、1.0〜5.0当量が好ましく、より好ましくは1.5〜3.0当量、さらに好ましくは1.8〜2.2当量である。反応の温度は特に制限はなく、−20〜100℃が好ましく、特に好ましくは30〜100℃である。反応時間は温度や原料の基質濃度に左右され、1〜24時間が好ましく、特に好ましくは1〜5時間である。
かくして得られた、本発明の一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体は、必要に応じて精製することができる。精製する方法は特に限定はなく、例えばカラムクロマトグラフィー、再結晶化、あるいは昇華による方法を挙げることができる。
本発明において一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン酸誘導体は、いかなる方法により製造されても差し支えないが、例えば「ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー」(米国)、1994年、59巻、5038−5047頁、あるいは「ベリヒテ」(独国)、1933年、66B巻、1876−1891頁に従って製造することができる。
具体的には、下記一般式(4)で表されるジカルボン酸無水物誘導体と下記一般式(5)で表されるベンゼン誘導体とをルイス酸触媒存在下に付加させることで製造することができる。
Figure 2011057636
(ここで、置換基R〜R及び記号nは一般式(1)で表される置換基及び記号と同意義を示す。)
Figure 2011057636
(ここで、置換基R〜Rは一般式(1)で表される置換基と同意義を示す。)
一般式(4)で表されるジカルボン酸無水物誘導体は特に限定はなく、例えばフタル酸無水物、4−ブロモフタル酸無水物、4−ヨードフタル酸無水物、4,5−ジクロロフタル酸無水物、4,5−ジブロモフタル酸無水物、4,5−ジヨードフタル酸無水物、4−ブロモ−5−ヨードフタル酸無水物、4,5−ビス(トリフルオロメチル)フタル酸無水物、3,4,5,6−テトラフルオロフタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、4−ヘキシルフタル酸無水物、4−ドデシルフタル酸無水物、4−ペンタデシルフタル酸無水物、4−メトキシフタル酸無水物、4−ヘキシロキシフタル酸無水物、4−ドデシロキシフタル酸無水物、4−ペンタデシロキシフタル酸無水物、4−メチルチオフタル酸無水物、4−ヘキシルチオフタル酸無水物、4−ドデシルチオフタル酸無水物、4−ペンタデシルチオフタル酸無水物、4,5−ジメチルフタル酸無水物、4,5−ジヘキシルフタル酸無水物、4,5−ジドデシルフタル酸無水物、4,5−ジペンタデシルフタル酸無水物、4,5−ジメトキシフタル酸無水物、4,5−ジ(ヘキシロキシ)フタル酸無水物、4,5−ジ(ドデシロキシ)フタル酸無水物、4,5−ジ(ペンタデシロキシ)フタル酸無水物、4,5−ジ(メチルチオ)フタル酸無水物、4,5−ジ(ヘキシルチオ)フタル酸無水物、4,5−ジ(ドデシルチオ)フタル酸無水物、4,5−ジ(ペンタデシルチオ)フタル酸無水物、4,5−ビス(2−フェニルエテニル)フタル酸無水物、4,5−ビス(フェニルエチニル)フタル酸無水物、マレイン酸無水物、ブロモマレイン酸無水物、ヨードマレイン酸無水物、ジフルオロマレイン酸無水物、ジクロロマレイン酸無水物、ジブロモマレイン酸無水物、ジヨードマレイン酸無水物、ブロモヨードマレイン酸無水物、ビス(トリフルオロメチル)マレイン酸無水物、メチルマレイン酸無水物、ヘキシルマレイン酸無水物、デシルマレイン酸無水物、ドデシルマレイン酸無水物、ペンタデシルマレイン酸無水物、ジメチルマレイン酸無水物、ジヘキシルマレイン酸無水物、ジデシルマレイン酸無水物、ジドデシルマレイン酸無水物、ジペンタデシルマレイン酸無水物、メトキシマレイン酸無水物、ヘキシロキシマレイン酸無水物、デシロキシマレイン酸無水物、ドデシロキシマレイン酸無水物、ペンタデシロキシマレイン酸無水物、ジメトキシマレイン酸無水物、ジ(ヘキシロキシ)マレイン酸無水物、ジ(デシロキシ)マレイン酸無水物、ジ(ドデシロキシ)マレイン酸無水物、ジ(ペンタデシロキシ)マレイン酸無水物、メチルチオマレイン酸無水物、ヘキシルチオマレイン酸無水物、デシルチオマレイン酸無水物、ドデシルチオマレイン酸無水物、ペンタデシルチオマレイン酸無水物、ジ(メチルチオ)マレイン酸無水物、ジ(ヘキシルチオ)マレイン酸無水物、ジ(デシルチオ)マレイン酸無水物、ジ(ドデシルチオ)マレイン酸無水物、ジ(ペンタデシルチオ)マレイン酸無水物、ジフェニルマレイン酸無水物、ビス(フェニルエテニル)マレイン酸無水物、ビス(フェニルエチニル)マレイン酸無水物等が挙げられ、好ましくはフタル酸無水物、4,5−ジクロロフタル酸無水物、4,5−ジブロモフタル酸無水物、4,5−ジヨードフタル酸無水物、4−ブロモ−5−ヨードフタル酸無水物、ジクロロマレイン酸無水物、ジブロモマレイン酸無水物、ジヨードマレイン酸無水物、ジフェニルマレイン酸無水物である。
一般式(5)で表されるベンゼン誘導体は特に限定はなく、例えば1,2−ジフルオロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2−ジブロモベンゼン、1,2−ジヨードベンゼン、1−ブロモ−2−フルオロベンゼン、1−ブロモ−2−ヨードベンゼン、1,2,3,4−テトラフルオロベンゼン、2,3−ジブロモ−1,4−ジフルオロベンゼン、トルエン、1−ヘキシルベンゼン、1−ドデシルベンゼン、1−ペンタデシルベンゼン、o−キシレン、1,2−ジヘキシルベンゼン、1,2−ジドデシルベンゼン、1,2−ジペンタデシルベンゼン、アニソール、1−ヘキシロキシベンゼン、1−ドデシロキシベンゼン、1−ペンタデシロキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、1,2−ジ(ヘキシロキシ)ベンゼン、1,2−ジ(ドデシロキシ)ベンゼン、1,2−ジ(ペンタデシロキシ)ベンゼン、チオアニソール、1−ヘキシルチオベンゼン、1−ドデシルチオベンゼン、1−ペンタデシルチオベンゼン、1,2−ジ(メチルチオ)ベンゼン、1,2−ジ(ヘキシルチオ)ベンゼン、1,2−ジ(ドデシルチオ)ベンゼン、1,2−ジ(ペンタデシルチオ)ベンゼン、1,2−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼン、1,2−ビス(フェニルエチニル)ベンゼン等が挙げられ、好ましくは1,2−ジブロモベンゼン、1,2−ジメチルベンゼン、1,2−ジヘキシルベンゼン、1,2−ジドデシルベンゼン、1,2−ジペンタデシルベンゼン、1,2−ジドデシロキシベンゼン等である。
一般式(4)で表されるジカルボン酸無水物誘導体と一般式(5)で表されるベンゼン誘導体とをルイス酸触媒存在下に一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン酸誘導体を製造する工程(以下、第1工程と略す)におけるルイス酸触媒は特に限定はなく、例えば塩化アルミニウム、塩化鉄(III)、臭化アルミニウム、三フッ化ほう素、三フッ化ほう素ジエチルエーテル錯体等が用いられる。このうち、反応性が高いことから、特に好ましくは、塩化アルミニウムが用いられる。
第1工程では、ルイス酸触媒に一般式(5)で表されるベンゼン誘導体を加え、一般式(4)で表されるジカルボン酸無水物誘導体を添加し、反応させることで一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン酸誘導体を製造する。
この第1工程は、溶媒中で実施することが好ましい。用いる溶媒に特に限定はなく、例えば二硫化炭素、塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、テトラフルオロベンゼン、トリフルオロベンゼン等を挙げることができ、好ましくは1,2−ジクロロエタンである。なお、一般式(5)で表されるベンゼン誘導体を溶媒を兼ねて実施することができる。一般式(4)で表されるジカルボン酸無水物誘導体の溶媒中の濃度は、特に制限はなく、0.001mmol/l〜10mol/lが好ましく、より好ましくは0.01mmol/l〜1mol/lである。
一般式(5)で表されるベンゼン誘導体の使用量は特に制限はなく、一般式(4)で表されるジカルボン酸無水物誘導体1当量に対して1〜20当量が好ましく、特に好ましくは1〜8当量である。ルイス酸触媒の使用量はジカルボン酸無水物誘導体1当量に対して1〜8当量が好ましく、特に好ましくは1.5〜3当量である。反応温度は特に制限はなく、0〜200℃が好ましく、特に好ましくは20〜180℃である。反応時間は温度や原料の基質濃度に左右され、20分〜16時間が好ましく、特に好ましくは30分〜4時間である。反応終了後、反応液を希塩酸または希硫酸に投入し、加温してルイス酸触媒との錯体を分解すると目的物である一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン酸誘導体が析出する。この一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン酸誘導体はこのままでも次反応の原料として十分使用可能であるが、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製しても良い。
本発明の製造方法で製造することのできる一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体は、電子ペーパー及び有機EL等のフレキシブルディスプレイ、あるいはICタグ用のトランジスタの有機半導体材料に用いられるアセン類の原料として、さらに有機半導体レーザー材料の原料として利用することができる。
本発明は一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体を良好な収率で再現性良く製造する新規な方法を提供する。
本発明の製造方法で得られるアントラキノン誘導体は、塗布法の適用が可能であり且つ剛直棒状分子を有するため優れた半導体デバイス特性を有する有機半導体材料として期待される溶解性の高いアセン誘導体の原料として利用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
生成物の同定にはH NMRスペクトルおよびマススペクトルを用いた。なお、H NMRスペクトルは日本電子製JEOL GSX−270WB(270MHz)を用いて、マススペクトル(MS)は日本電子製JEOL JMS−700を用いて、試料を直接導入し、電子衝突(EI)法(70エレクトロンボルト)を用いて測定した。
反応における溶媒は市販の脱水溶媒をそのまま用いた。
合成例1(4,5−ジヨードフタル酸無水物の合成)(一般式(4)で表されるジカルボン酸無水物誘導体の合成)
4,5−ジヨードフタル酸無水物は「ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー」(米国)、1951年、16巻、1577−1581頁を参考に、以下の様に合成した。
フタルイミド(東京化成工業製)25.0g(170mmol)を窒素ガスで置換した300mlの二口ナスフラスコに入れた。次いでヨウ素43.0g(170mmol)及び10%発煙硫酸(ヨツハタ化学工業製)100mlを加え、77℃で54時間反応を行った。反応混合物を室温に冷やして氷に注ぎ入れた後、ガラスフィルターでろ過し、黄色固体を得た。得られた固体を濃硫酸150mlに溶解させ、130℃で6時間反応を行った。反応混合物を氷冷後、氷水を加えて析出した固体をろ過し、固体を得た。次に水酸化ナトリウム水溶液を室温で固体が溶解するまで加えた。この塩基性水溶液に酢酸を加えpHを3〜4に調整し、析出するフタル酸誘導体のモノナトリウム塩の白色沈殿をろ過した。得られた白色固体を水に懸濁させ、濃塩酸でpHを1以下にし、再びフタル酸誘導体として白色固体55.3gを得た。この固体をトルエン150mlに溶かし、無水酢酸27mlを加え、105℃で4時間反応を行った。反応液を減圧濃縮して白色固体を得た。この固体を加熱トルエンで再結晶し、目的の4,5−ジヨードフタル酸無水物28.0g(70.6mmol)を得た。(収率41.5%)。
H NMR(トルエン−d,80℃):δ=7.65(s,2H)。
MS m/z: 400(M,100%),273(M−I,38%)。
H NMRスペクトルを図1に示した。
合成例2(1,2―ジドデシルベンゼンの合成)(一般式(5)で表されるベンゼン誘導体の合成)
1,2―ジドデシルベンゼンは「日本化学会誌」1989年、6巻、983−987頁に従い以下の様に合成した。
1,2−ジクロロベンゼン(シグマ−アルドリッチ製)2.22g(15.1mmol)、ジクロロ〔1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン〕ニッケル(東京化成工業製)131mg(0.24mmol)、ジエチルエーテル11.5mlの混合液にドデシルマグネシウムブロミド(シグマ−アルドリッチ製、1.0mol/lジエチルエーテル溶液)45ml(45.0mmol)を窒素雰囲気中0℃で滴下した。35℃で20時間反応を行い、反応混合物を0℃に冷やして希塩酸を加え、ジエチルエーテルで抽出した。ジエチルエーテル溶液を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順に洗浄し、塩化カルシウムで乾燥させた。得られた液体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン)及び減圧留去で精製し、目的の1,2―ジドデシルベンゼン5.56g(13.4mmol)を得た。(収率88.5%)。
H NMR(CDCl,22℃):δ=7.11(m,4H),2.59(t,J=7.8Hz,4H),1.55(m,4H),1.26(m,36H),0.88(t,J=6.8Hz,6H)。
MS m/z: 414(M,100%),260(M−C1123,71%),106(M−C2246,98%)。
H NMRスペクトルを図2に示した。
合成例3(3’,4’−ジドデシル−4,5−ジヨードベンゾフェノンカルボン酸の合成)(一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン酸誘導体の合成)
3’,4’−ジドデシル−4,5−ジヨードベンゾフェノンカルボン酸は「ベリヒテ」(独国)、1933年、66B巻、1876−1891頁を参考に以下の様に合成した。
合成例1で得られた4,5−ジヨードフタル酸無水物12.7g(31.4mmol)、合成例2で得られた1,2−ジドデシルベンゼン13.0g(31.4mmol)、ジクロロエタン20.0mlの混合液にルイス酸触媒として塩化アルミニウム8.37g(62.8mmol)を加え、室温で3.5時間反応を行った。水を加えてクエンチし、さらに水洗浄を行い、溶媒を減圧留去することで、黄色粘性固体を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し、3’,4’−ジドデシル−4,5−ジヨードベンゾフェノンカルボン酸19.9gを得た。(収率78%)。
合成例4(4,5−ジクロロ−3’,4’−ジドデシルベンゾフェノンカルボン酸の合成)(一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン酸誘導体の合成)
4,5−ジクロロ−3’,4’−ジドデシルベンゾフェノンカルボン酸は「ベリヒテ」(独国)、1933年、66B巻、1876−1891頁を参考に以下の様に合成した。
4,5−ジクロロフタル酸無水物(シグマ−アルドリッチ製)1.55g(7.15mmol)、合成例2で得られた1,2−ジドデシルベンゼン2.97g(7.15mmol)、ジクロロエタン4.5mlの混合液にルイス酸触媒として塩化アルミニウム1.91g(14.3mmol)を加え、室温で3時間反応を行った。水を加えてクエンチし、さらに水洗浄を行い、溶媒を減圧留去することで、黄色粘性固体4.92gを得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し、4,5−ジクロロ−3’,4’−ジドデシルベンゾフェノンカルボン酸3.47gを得た。(収率76.9%)。
合成例5(4−ブロモ−5−ヨードフタル酸無水物の合成)(一般式(9)で表されるジカルボン酸無水物誘導体の合成)
4−ブロモ−5−ヨードフタル酸無水物は「ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー」(米国)、1951年、16巻、1577−1581頁を参考に、以下の様に合成した。
4−ブロモフタルイミド(東京化成工業製)13.3g(58.9mmol)を窒素ガスで置換した100mlの二口ナスフラスコに入れた。次いでヨウ素7.78g(30.6mmol)及び10%発煙硫酸(ヨツハタ化学工業製)50mlを加え、90℃で23時間反応を行った。反応混合物を室温に冷やして氷に注ぎ入れた後、ガラスフィルターでろ過し、黄色固体17.1gを得た。得られた固体を濃硫酸47mlに溶解させ、130℃で5時間反応を行った。反応混合物を氷冷後、氷水を加えて析出した固体をろ過し、フタル酸誘導体の固体18.5gを得た。次に水酸化ナトリウム4.8gを水24mlに溶かした水溶液に得られた固体を室温で溶かした。この塩基性水溶液に酢酸を加えpHを3〜4に調整し、析出するフタル酸誘導体のモノナトリウム塩の白色沈殿をろ過した。得られた白色固体を水に懸濁させ、濃塩酸でpHを1以下にし、再びフタル酸誘導体として白色固体7.75gを得た。この固体をトルエン70mlに溶かし、無水酢酸13ml(138mmol)を加え、105℃で4時間反応を行った。反応液を減圧濃縮して白色固体7.0gを得た。この固体を加熱トルエンで再結晶し、目的の4−ブロモ−5−ヨードフタル酸無水物6.79g(19.2mmol)を得た。(収率32.7%)。
H NMR(CDCl,22℃):δ=8.51(s,1H),8.23(s,1H)。
MS m/z: 353(M,100%),309(M−CO,18%),282(M−C,10%),155(M−CI,16%),74(M−CIBr,32%)。
H NMRスペクトルを図3に示した。
合成例6(4−ブロモ−5−ヨード−3’,4’−ジドデシルベンゾフェノンカルボン酸の合成)(一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン酸誘導体の合成)
合成例5で得られた4−ブロモ−5−ヨードジカルボン酸無水物2.70g(7.65mmol)、合成例2で得られた1,2−ジドデシルベンゼン3.17g(7.65mmol)、ジクロロエタン4.8mlの混合液にルイス酸触媒として塩化アルミニウム2.04g(15.3mmol)を加え、室温で3時間反応を行った。水を加えてクエンチし、さらに水洗浄を行い、溶媒を減圧留去することで、黄色粘性固体8.65gを得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し、3’,4’−ジドデシル−4−ブロモ−5−ヨードフェニルケトンカルボン酸及び3’,4’−ジドデシル−5−ブロモ−4−ヨードフェニルケトンカルボン酸の混合物3.87gを得た。(収率66%)。
合成例7(1,2―ジペンタデシルベンゼンの合成)(一般式(5)で表されるベンゼン誘導体の合成)
1,2―ジペンタデシルベンゼンは「日本化学会誌」1989年、6巻、983−987頁に従い以下の様に合成した。
200mlのシュレンク中でマグネシウム(和光純薬製)1.85g(76.1mmol)、ヨウ素(関東化学製)10.2mg(0.04mmol)、ジエチルエーテル30mlの混合液に1−ブロモペンタデカン(関東化学製)21.8g(75.0mmol)を、窒素雰囲気中で氷浴に浸ける深度でジエチルエーテルが沸騰しない程度に発熱を制御しながら滴下した。滴下終了後、加熱還流を3時間行い、室温に戻したあと窒素雰囲気の滴下ロートに移した。200mlの3つ口フラスコで1,2−ジクロロベンゼン4.45g(30.3mmol)、ジクロロ〔1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン〕ニッケル(東京化成工業製)813mg(1.50mmol)、ジエチルエーテル10.0mlを混合し、窒素雰囲気中0℃で先に用意した滴下ロートから混合液を滴下した。滴下終了後、加熱還流を17時間行い、反応混合物を0℃に冷やして希塩酸を加え、ジエチルエーテルで抽出した。ジエチルエーテル溶液を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順に洗浄し、塩化カルシウムで乾燥させた。得られた液体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン)及び減圧留去で精製し、目的の1,2―ジペンタシルベンゼン11.6g(23.3mmol)を得た。(収率77%)。
H NMR(CDCl,22℃):δ=7.11(m,4H),2.59(t,J=7.8Hz,4H),1.55(m,4H),1.26(m,48H),0.88(t,J=6.8Hz,6H)。
MS m/z: 499(M,100%),301(M−C1429,68%),104(M−C2858,90%)。
H NMRスペクトルを図4に示した。
合成例8(4−ブロモ−5−ヨード−3’,4’−ジペンタデシルベンゾフェノンカルボン酸の合成)(一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン酸誘導体の合成)
合成例5で得られた4−ブロモ−5−ヨードフタル酸無水物2.85g(8.08mmol)、合成例7で得られた1,2−ジペンタデシルベンゼン4.62g(9.26mmol)、ジクロロエタン8.5mlの混合液にルイス酸触媒として塩化アルミニウム2.26g(17.0mmol)を加え、室温で1.5時間反応を行った。水を加えてクエンチし、さらに水洗浄を行い、溶媒を減圧留去することで、黄色粘性固体8.65gを得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し、4−ブロモ−5−ヨード−3’,4’−ジペンタデシルベンゾフェノンカルボン酸及び5−ブロモ−4−ヨード−3’,4’−ジペンタデシルベンゾフェノンカルボン酸の混合物6.00gを得た(収率87%)
合成例9(1,2−ジドデシロキシベンゼンの合成)(一般式(5)で表されるベンゼン誘導体の合成)
1,2−ジドデシロキシベンゼンは、「ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサエティー」(米国)、2006年、128巻、16613−16625頁を参考に以下の様に合成した。
カテコール(和光純薬製)1.10g(10.0mmol)、炭酸カリウム3.04g(22.0mmol)、DMF30mlを窒素で置換した3つ口フラスコに入れ、室温で1時間攪拌した。ここに1−ブロモドデカン5.73g(23.0mmol)を加え、80℃で6時間反応を行った。水を加えてクエンチし、ジエチルエーテルで抽出、さらに水洗浄を行い、溶媒を減圧留去することで、白色固体を得た。これをエタノールから再結晶することで、1,2−ジドデシロキシベンゼン3.57gを得た(収率80%)。
合成例10(3’,4’−ジドデシロキシ−4,5−ジヨードベンゾフェノンカルボン酸の合成)(一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン誘導体の合成)
合成例1で得られた4,5−ジヨードフタル酸無水物3.20g(8.00mmol)、合成例9で得られた1,2−ジドデシロキシベンゼン3.57g(8.00mmol)、ジクロロエタン8.50mlの混合液にルイス酸触媒として塩化アルミニウム2.26g(17.0mmol)を加え、室温で1時間反応を行った。水を加えてクエンチし、さらに水洗浄を行い、溶媒を減圧留去することで、黄色粘性固体を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し、3’,4’−ジドデシロキシ−4,5−ジヨードベンゾフェノンカルボン酸5.15gを得た。(収率76%)
合成例11(3’,4’−ジブロモ−ベンゾフェノンカルボン酸の合成)(一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン酸誘導体の合成)
3’,4’−ジブロモ−ベンゾフェノンカルボン酸は「ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイティ」(米国)、2001年、123巻、2530−2536頁に従い以下の様に合成した。
フタル酸無水物(和光純薬製)2.24g(15.1mmol)を窒素ガスで置換した100mlのシュレンク管に入れた。次いで1,2−ジブロモベンゼン(関東化学製)6ml及びルイス酸触媒として塩化アルミニウム4.4g(33.0mmol)を加え、150℃で1時間反応を行った。2M塩酸水溶液、トルエンを添加して分相し、有機相に2M水酸化ナトリウム水溶液を加えて分相した。水相に6M塩酸を加えて酸性にし、エーテルで抽出した。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し3’,4’−ジブロモベンゾフェノンカルボン酸5.20gを得た(収率90%)。
合成例12(2,3−ジクロロ−4−(3’,4’−ジドデシルフェニル)−4−オキソブテン酸の合成)(一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン酸誘導体の合成)
ジクロロマレイン酸無水物(和光純薬製)1.67g(10.0mmol)、合成例2で得られた1,2−ジドデシルベンゼン4.15g(10.0mmol)、ジクロロエタン10.0mlの混合液にルイス酸触媒として塩化アルミニウム2.80g(21.0mmol)を加え、50℃で3時間反応を行った。水を加えてクエンチし、さらに水洗浄を行い、溶媒を減圧留去することで、黄色粘性固体を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し、2,3−ジクロロ−4−(3’,4’−ジドデシルフェニル)−4−オキソブテン酸4.94gを得た(収率85%)。
合成例13(4−(3’,4’−ジドデシルフェニル)−2,3−ジフェニル−4−オキソブテン酸の合成)(一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン酸誘導体の合成)
ジフェニルマレイン酸無水物(ランカスター製)2.50g(10.0mmol)、1,2−ジブロモベンゼン(和光純薬製)2.36g(10.0mmol)、ジクロロエタン10.0mlの混合液にルイス酸触媒として塩化アルミニウム2.80g(21.0mmol)を加え、50℃で5時間反応を行った。水を加えてクエンチし、さらに水洗浄を行い、溶媒を減圧留去することで、黄色固体を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=1/2)で精製し、4−(3’,4’−ジドデシルフェニル)−2,3−ジフェニル−4−オキソブテン酸3.01gを得た(収率62%)。
実施例1(2,3−ジドデシル−6,7−ジヨード−9,10−アントラキノンの合成)(一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体の合成)
合成例3で合成した3’,4’−ジドデシル−4,5−ジヨードベンゾフェノンカルボン酸19.9g(24.4mmol)、ハロゲン化剤として塩化チオニル20ml(274mmol)の混合物にDMF0.2ml(2.58mmol)を加え、1時間還流して反応を行った。減圧化で塩化チオニルを除き、黄色固体として3’,4’−ジドデシル−4,5−ジヨードベンゾフェノンカルボン酸塩化物(一般式(3)で表されるフェニルケトンカルボン酸ハロゲン化物)を得た。ここにテトラクロロエタン90ml、ルイス酸触媒として塩化アルミニウム6.50g(48.8mmol)を加え、50℃で4.5時間反応を行った(分子内フリーデルクラフツアシル化反応)。水を加えてクエンチし、さらに水洗浄を行い、溶媒を減圧留去することで、褐色固体を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/クロロホルム=4/1)で精製し、2,3−ジドデシル−6,7−ジヨード−9,10−アントラキノン14.6gを得た(収率75%)。
H NMR(CDCl,22℃):δ=8.69(s,2H),8.04(s,2H),2.75(t,J=7.8Hz,4H),1.65(m,4H),1.26(m,36H),0.88(t,J=6.5Hz,6H)。
MS m/z: 796(M,100%),670([M−I],52%)。
H NMRスペクトルを図5に示した。生成物の構造式を以下に示す。
Figure 2011057636
カルボン酸ハロゲン化物を調製後、ルイス酸触媒を用いて合成したため、良好な収率でアントラキノン誘導体が得られた。
実施例2(2,3−ジクロロ−6,7−ジドデシル−9,10−アントラキノンの合成)(一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体の合成)
合成例4で合成した4,5−ジクロロ−3’,4’−ジドデシルベンゾフェノンカルボン酸3.47g(5.49mmol)を用い、4,5−ジクロロ−3’,4’−ジドデシルベンゾフェノンカルボン酸塩化物(一般式(3)で表されるフェニルケトンカルボン酸ハロゲン化物)を経て、実施例1と同様の操作により2,3−ジクロロ−6,7−ジドデシル−9,10−アントラキノン2.76gを得た(収率82%)。
H NMR(CDCl,22℃):δ=8.34(s,2H),8.06(s,2H),2.76(t,J=7.8Hz,4H),1.65(m,4H),1.26(m,36H),0.88(t,J=6.5Hz,6H)。
MS m/z: 614(M,100%),578([M−Cl],30%)。
H NMRスペクトルを図6に示した。生成物の構造式を以下に示す。
Figure 2011057636
カルボン酸ハロゲン化物を調製後、ルイス酸触媒を用いて合成したため、良好な収率でアントラキノン誘導体が得られた。
実施例3(2−ブロモ−6,7−ジドデシル−3−ヨード−9,10−アントラキノンの合成)(一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体の合成)
合成例6で合成した4−ブロモ−5−ヨード−3’,4’−ジドデシルベンゾフェノンカルボン酸3.90g(5.08mmol)を用い、4−ブロモ−5−ヨード−3’,4’−ジドデシルベンゾフェノンカルボン酸塩化物(一般式(3)で表されるフェニルケトンカルボン酸ハロゲン化物)を経て、実施例1と同様の操作により2−ブロモ−6,7−ジドデシル−3−ヨード−9,10−アントラキノン3.20gを得た(収率84%)。
H NMR(CDCl,22℃):δ=8.73(s,1H),8.45(s,1H),8.05(s,2H),2.75(m,4H),1.62(m,4H),1.26(m,36H),0.88(m,6H)。
MS m/z: 750(M,100%),440(M−C2246,8%)。
H NMRスペクトルを図7に示した。生成物の構造式を以下に示す。
Figure 2011057636
カルボン酸ハロゲン化物を調製後、ルイス酸触媒を用いて合成したため、良好な収率でアントラキノン誘導体が得られた。
実施例4(2−ブロモ−3−ヨード−6,7−ジペンタデシル−9,10−アントラキノンの合成)(一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体の合成)
合成例8で合成した4−ブロモ−5−ヨード−3’,4’−ジペンタデシルベンゾフェノンカルボン酸3.21g(3.77mmol)を用い、4−ブロモ−5−ヨード−3’,4’−ジペンタデシルベンゾフェノンカルボン酸塩化物(一般式(3)で表されるフェニルケトンカルボン酸ハロゲン化物)を経て、実施例1と同様の操作により2−ブロモ−3−ヨード−6,7−ジペンタデシル−9,10−アントラキノン1.91gを得た(収率61%)。
H NMR(CDCl,22℃):δ=8.73(s,1H),8.45(s,1H),8.05(s,2H),2.75(t,J=7.8Hz,4H),1.65(m,4H),1.26(m,48H),0.88(t,J=6.5Hz,6H)。
MS m/z: 832(M,80%),705([M−I],100%)。
H NMRスペクトルを図8に示した。生成物の構造式を以下に示す。
Figure 2011057636
カルボン酸ハロゲン化物を調製後、ルイス酸触媒を用いて合成したため、良好な収率でアントラキノン誘導体が得られた。
実施例5(2,3−ジヨード−6,7−ジドデシロキシ−9,10−アントラキノンの合成)(一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体の合成)
合成例10で合成した3’,4’−ジドデシロキシ−4,5−ジヨードベンゾフェノンカルボン酸5.15g(6.08mmol)を用い、ハロゲン化剤として塩化スルホリルを、ルイス酸触媒として三フッ化ほう素ジエチルエーテル錯体を用いた以外は実施例1と同様の操作により3’,4’−ジドデシロキシ−4,5−ジヨードベンゾフェノンカルボン酸塩化物(一般式(3)で表されるフェニルケトンカルボン酸ハロゲン化物)を経て、2,3−ジヨード−6,7−ジドデシロキシ−9,10−アントラキノン3.53gを得た(収率70%)。
生成物の構造式を以下に示す。
Figure 2011057636
カルボン酸ハロゲン化物を調製後、ルイス酸触媒を用いて合成したため、良好な収率でアントラキノン誘導体が得られた。
実施例6(2,3−ジブロモ−9,10−アントラキノンの合成)(一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体の合成)
合成例11で合成した3’,4’−ジブロモ−ベンゾフェノンカルボン酸5.20g(13.6mmol)を用い、ハロゲン化剤として塩化オキサリルを、ルイス酸触媒として塩化鉄(III)を用いた以外は実施例1と同様の操作により3’,4’−ジブロモ−ベンゾフェノンカルボン酸塩化物(一般式(3)で表されるフェニルケトンカルボン酸ハロゲン化物)を経て、2,3−ジブロモ−9,10−アントラキノン3.23gを得た(収率65%)。
生成物の構造式を以下に示す。
Figure 2011057636
カルボン酸ハロゲン化物を調製後、ルイス酸触媒を用いて合成したため、良好な収率でアントラキノン誘導体が得られた。
実施例7(2,3−ジクロロ−6,7−ジドデシル−1,4−ナフトキノンの合成)(一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体の合成)
合成例12で合成した2,3−ジクロロ−4−(3’,4’−ジドデシルフェニル)−4−オキソブテン酸4.94g(8.5mmol)を用い、2,3−ジクロロ−4−(3’,4’−ジドデシルフェニル)−4−オキソブテン酸塩化物(一般式(3)で表されるフェニルケトンカルボン酸ハロゲン化物)を経て、実施例1と同様の操作により2,3−ジクロロ−6,7−ジドデシル−1,4−ナフトキノン2.49gを得た(収率52%)。
生成物の構造式を以下に示す。
Figure 2011057636
カルボン酸ハロゲン化物を調製後、ルイス酸触媒を用いて合成したため、良好な収率でナフトキノン誘導体が得られた。
実施例8(6,7−ジブロモ−2,3−ジフェニル−1,4−ナフトキノンの合成)(一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体の合成)
合成例13で合成した4−(3’,4’−ジドデシルフェニル)−2,3−ジフェニル−4−オキソブテン酸3.01g(6.2mmol)を用い、4−(3’,4’−ジドデシルフェニル)−2,3−ジフェニル−4−オキソブテン酸塩化物(一般式(3)で表されるフェニルケトンカルボン酸ハロゲン化物)を経て、実施例1と同様の操作により6,7−ジブロモ−2,3−ジフェニル−1,4−ナフトキノン1.77gを得た(収率61%)。
生成物の構造式を以下に示す。
Figure 2011057636
カルボン酸ハロゲン化物を調製後、ルイス酸触媒を用いて合成したため、良好な収率でナフトキノン誘導体が得られた。
比較例1(特開2009−155309号公報に記載の濃硫酸を用いた2−ブロモ−6,7−ジドデシル−3−ヨード−9,10−アントラキノンの合成)(一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体の合成)
合成例6で合成した4−ブロモ−5−ヨード−3’,4’−ジドデシルベンゾフェノンカルボン酸10.0g(13.0mmol)、濃硫酸77mlを300mlシュレンク中で混合し、80℃で50分反応を行った。反応後、氷水を加え、析出した固体をろ過、水洗浄をすることで、白色固体を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=9/1)、および再結晶(ヘプタン)により精製し、2−ブロモ−6,7−ジドデシル−3−ヨード−9,10−アントラキノン5.98gを得た(収率61%)。
同様の操作で、さらに二度、2−ブロモ−6,7−ジドデシル−3−ヨード−9,10−アントラキノンの合成を行ったところ、収率はそれぞれ16%と42%であった。
濃硫酸を用いたため、低収率であった。
比較例2(特開2009−155309号公報に記載の如く濃硫酸を用いた2−ブロモ−3−ヨード−6,7−ジペンタデシル−9,10−アントラキノンの合成)(一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体の合成)
合成例8で合成した4−ブロモ−5−ヨード−3’,4’−ジペンタデシルベンゾフェノンカルボン酸642mg(0.754mmol)、濃硫酸5.3mlを50mlシュレンク中で混合し、60℃で4.5時間反応を行った。時間経過に伴い、褐色の粘性オイルとなった有機物が濃硫酸と分離して、油滴状となった。反応後、氷水を加えクロロホルムで抽出、さらに水洗浄を行い、溶媒を減圧留去することで、暗褐色固体を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/クロロホルム=4/1)、および再結晶(ヘプタン)により精製し、2−ブロモ−3−ヨード−6,7−ジペンタデシル−9,10−アントラキノン137mgを得た(収率22%)。
フェニルケトンカルボン酸誘導体と濃硫酸が十分混合せず、不均一系での反応となったために、アントラキノン誘導体の収率が低下した。
比較例3(p−トルエンスルホン酸を用いた2−ブロモ−3−ヨード−6,7−ジペンタデシル−9,10−アントラキノンの合成)(一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体の合成)
合成例8で合成した4−ブロモ−5−ヨード−3’,4’−ジペンタデシルベンゾフェノンカルボン酸213mg(0.250mmol)、トルエン10ml、p−トルエンスルホン酸水和物95.2mg(0.50mmol)を50mlシュレンク中で混合し、130℃で25時間反応を行った。反応後、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えクロロホルムで抽出、さらに水洗浄を行い、溶媒を減圧留去することで、淡褐色オイルを得た。H NMRにより、2−ブロモ−3−ヨード−6,7−ジペンタデシル−9,10−アントラキノンが生成せず、原料である4−ブロモ−5−ヨード−3’,4’−ジペンタデシルベンゾフェノンカルボン酸を回収したことを確認した。
p−トルエンスルホン酸による反応は進行せず、アントラキノン誘導体は得られなかった。
合成例1で合成した4,5−ジヨードフタル酸無水物のH NMRスペクトル 合成例2で合成した1,2―ジドデシルベンゼンのH NMRスペクトル 合成例5で合成した4−ブロモ−5−ヨードフタル酸無水物のH NMRスペクトル 合成例6で合成した1,2―ジペンタシルベンゼンのH NMRスペクトル 実施例1で合成した2,3−ジドデシル−6,7−ジヨード−9,10−アントラキノンのH NMRスペクトル 実施例2で合成した2,3−ジクロロ−6,7−ジドデシル−9,10−アントラキノンのH NMRスペクトル 実施例3で合成した2−ブロモ−6,7−ジドデシル−3−ヨード−9,10−アントラキノンのH NMRスペクトル 実施例4で合成した2−ブロモ−3−ヨード−6,7−ジペンタデシル−9,10−アントラキノンのH NMRスペクトル

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表されるアントラキノン誘導体の製造方法であり、下記一般式(2)で表されるフェニルケトンカルボン酸誘導体と、ハロゲン化剤を用いた反応により得られる、下記一般式(3)で表されるフェニルケトンカルボン酸ハロゲン化物を、ルイス酸触媒を用いた分子内フリーデルクラフツアシル化反応させることを特徴とするアントラキノン誘導体の製造方法。
    Figure 2011057636
    (式中、置換基R〜Rは同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のパーフルオロアルコキシ基、炭素数1〜20のハロゲン化アルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数4〜30のアリール基、炭素数2〜20のアルキニル基、又は炭素数2〜30のアルケニル基を表し、記号nは0又は1の整数である。なお、R〜Rの内、あるいはR〜Rの内、任意の二以上のものは互いに結合することができる。)
    Figure 2011057636
    (ここで、置換基R〜R及び記号nは一般式(1)で表される置換基及び記号と同意義を示す。)
    Figure 2011057636
    (ここで、置換基R〜R及び記号nは一般式(1)で表される置換基及び記号と同意義を示し、置換基Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表す。)
  2. ハロゲン化剤が塩素化剤であることを特徴とする請求項1に記載のアントラキノン誘導体の製造方法。
  3. 塩素化剤が塩化チオニルであることを特徴とする請求項1又は2に記載のアントラキノン誘導体の製造方法。
  4. ルイス酸触媒が塩化アルミニウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアントラキノン誘導体の製造方法。
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