JP5343353B2 - ハロゲン化アントラセン誘導体の製造方法 - Google Patents
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以下、本発明について詳細に説明する。
一般式(3)で示される9,10−ジヒドロキシアントラセン誘導体の脱水に用いる酸化合物は特に限定はなく、ヒドロキシル基を選択的に脱水できるものであれば良い。酸化合物の具体例として、例えば塩酸、硫酸、発煙硫酸、リン酸、硝酸、トルエンスルホン酸、フッ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩化アンモニウム等のプロトン酸;塩化アルミニウム、3フッ化ホウ素エーテル錯体等のルイス酸等を挙げることができ、好ましくは塩酸である。また、該酸化合物は任意の濃度の水溶液、例えば塩酸水溶液として用いることもできる。
なお、本発明の製造方法においては、前述の還元と脱水からなる操作を2回以上繰り返しても差し支えない。また、一般式(3)で示される9,10−ジヒドロキシアントラセン誘導体を、次亜リン酸ナトリウム/ヨウ化ナトリウム/酢酸あるいは2塩化スズ/塩酸水溶液で還元処理し、一般式(1)で示されるハロゲン化アントラセン誘導体へ変換させることもできる。
一般式(6)で示される無水フタル酸誘導体における置換基X1〜X2は好ましくは水素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜20のアルキル基であり、置換基R1〜R2は、好ましくは水素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜20のアルキル基である。そして、具体的な一般式(6)で示される無水フタル酸誘導体としては、例えば無水フタル酸、4−ブロモ無水フタル酸、4−ヨード無水フタル酸、4,5−ジブロモ無水フタル酸、4,5−ジヨード無水フタル酸、4−ブロモ−5−ヨード無水フタル酸、4,5−ジメチル無水フタル酸、4,5−トリフルオロメチル無水フタル酸、3,6−ジフルオロ−4,5−ジブロモ無水フタル酸、3,6−ジフルオロ−4−ブロモ−5−ヨード無水フタル酸、3,6−ジメチル−4,5−ジブロモ無水フタル酸、3,6−ジメチル−4,5−ジブロモ無水フタル酸、3,6−ジフェニル−4−ブロモ−5−ヨード無水フタル酸、3,6−ジフェニル−4−ブロモ−5−ヨード無水フタル酸等が挙げられ、好ましくは無水フタル酸、4−ブロモ−5−ヨード無水フタル酸である。
3’,4’−ジブロモベンゾフェノンカルボン酸は「ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイティ」(米国)、2001年、123巻、2530−2536頁に従い以下の様に合成した。
2,3−ジブロモアントラキノンは「ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイティ」(米国)、2001年、123巻、2530−2536頁に従い以下の様に合成した。
融点:279−281℃。
1H NMR(CDCl3,22℃):δ=8.53(s,2H),8.32(dd,J=5.9Hz,3.3Hz,2H),7.84(dd,J=5.9Hz,3.3Hz,2H).
MS m/z: 366(M+,100%),286(M+−Br,4%),206(M+−2Br,58%),103(M+−2Br/2,13%).
1H NMRスペクトルを図1に示した。
4−ブロモ−5−ヨード無水フタル酸は「ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー」(米国)、1951年、16巻、1577−1581頁を参考に、以下の様に合成した。
1H NMR(CDCl3,22℃):δ=8.51(s,1H),8.23(s,1H)。
MS m/z: 353(M+,100%),309(M+−CO2,18%),282(M+−C2O3,10%),155(M+−C2O3I,16%),74(M+−C2O3IBr,32%)。
1H NMRスペクトルを図2に示した。
1,2―ジドデシルベンゼンは「日本化学会誌」1989年、6巻、983−987頁に従い以下の様に合成した。
1H NMR(CDCl3,22℃):δ=7.11(m,4H),2.59(t,J=7.8Hz,4H),1.55(m,4H),1.26(m,36H),0.88(t,J=6.8Hz,6H)。
MS m/z: 414(M+,100%),260(M+−C11H23,71%),106(M+−C22H46,98%)。
1H NMRスペクトルを図3に示した。
3’,4’−ジドデシル−4−ブロモ−5−ヨードベンゾフェノンカルボン酸は「ベリヒテ」(独国)、1933年、66B巻、1876−1891頁を参考に以下の様に合成した。
合成例5で得られた3’,4’−ジドデシル−4−ブロモ−5−ヨードベンゾフェノンカルボン酸及び3’,4’−ジドデシル−5−ブロモ−4−ヨードベンゾフェノンカルボン酸の混合物10.0g(13.0mmol)を濃硫酸77mlに溶かし、80℃で1時間反応した。反応混合物を氷に注ぎ入れ、析出した固体をろ過して水で洗浄した。乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル,10:1)及びヘプタンからの再結晶で精製し、6−ブロモ−7−ヨード−2,3−ジドデシルアントラキノンの黄色粉末を5.98g(7.97mmol)得た。(収率61.2%)。
1H NMR(CDCl3,22℃):δ=8.73(s,1H),8.45(s,1H),8.05(s,2H),2.75(m,4H),1.62(m,4H),1.26(m,36H),0.88(m,6H)。
MS m/z: 750(M+,100%),440(M+−C22H46,8%),313(M+−C22H46I,2%),233(M+−C22H46IBr,1%)。
1H NMRスペクトルを図4に示した。
1,2−ジヨードベンゼン(東京化成工業製)3.08g(9.32mmol)に窒素雰囲気中、塩化メチレン20ml、鉄粉67mg(1.20mmol)、ヨウ素10mg(0.04mmol)を加えた。混合液を0℃に冷却し、臭素0.48ml(9.37mmol)を加えて1.5時間反応させた。反応混合液に3mol/l水酸化ナトリウム水溶液と3mol/l硫酸水素ナトリウム水溶液を加えて塩基性にし、塩化メチレンで抽出して有機層を水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥し、塩化メチレンを減圧留去して黄色液体を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン)で無機物及び着色成分を除き、THFとメタノールの混合溶媒から再結晶して目的の1−ブロモ−3,4−ジヨードベンゼン2.67g(6.53mmol)を得た。(収率70.1%)。
合成例7で得られた1−ブロモ−3,4−ジヨードベンゼン2.15g(5.25mmol)にジヒドロキシフェニルボラン(和光純薬工業製)1.47g(12.1mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(東京化成工業製)458mg(0.40mmol)、炭酸ナトリウム3.34g(31.5mmol)、トルエン42ml、エタノール10.5ml、水13.3mlを加え、80℃で29時間反応させた。1M塩酸水溶液を加えて反応をクエンチし、トルエンで抽出した後、有機層を水洗浄して硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン)で精製して目的の1−ブロモ−3,4−ジフェニルベンゼン1.46g(4.72mmol)を得た。(収率89.9%)。
合成例8で得られた1−ブロモ−3,4−ジフェニルベンゼン1.46g(4.72mmol)を窒素ガスで置換した300mlのシュレンク管に入れた。次いでTHF28.3mlを加えて−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(関東化学製、1.59mol/l、ヘキサン溶液)3.0ml(4.77mmol)を加え、30分間反応させた。次いで合成例3で得られた4−ブロモ−5−ヨード無水フタル酸1.66g(4.72mmol)を加え、室温まで昇温した。水を加えてクエンチし、さらに水洗浄及び減圧乾燥を行い、3’,4’−ジフェニル−4−ブロモ−5−ヨードベンゾフェノンカルボン酸を2.6g得た(収率96%)。
合成例9で得られた3’,4’−ジフェニル−4−ブロモ−5−ヨードベンゾフェノンカルボン酸2.6g(4.5mmol)を濃硫酸26mlに溶かし、80℃で1時間反応した(環化反応)。反応混合物を氷に注ぎ入れ、析出した固体をろ過して水で洗浄した。乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/塩化メチレン,10:1)及びヘプタンからの再結晶で精製し、6−ブロモ−7−ヨード−2,3−ジフェニルアントラキノンの黄色粉末を298mg(0.53mmol)得た。(収率11.2%)。
合成例7で得られた1−ブロモ−3,4−ジヨードベンゼン1.84g(4.50mmol)を窒素置換した500mlシュレンクに入れ、ヨウ化銅90mg(0.47mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(東京化成工業製)272mg(0.24mmol)、乾燥THF59ml、トリエチルアミン2.29g(22.2mmol)、1−ドデシン1.57g(9.47mmol)を加えた。この反応混合物を室温で26時間反応させた。1M塩酸水溶液を加えて反応をクエンチし、トルエンで抽出した後、有機層を水洗浄して硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジエチルエーテルとヘキサンの混合液)で精製して目的の1−ブロモ−3,4−ジ(ドデシン−1−イル)ベンゼン1.52g(3.14mmol)を得た。(収率69.8%)。
合成例11で得られた1−ブロモ−3,4−ジ(ドデシン−1−イル)ベンゼン1.52g(3.14mmol)を窒素ガスで置換した300mlのシュレンク管に入れた。次いでTHF18.8mlを加えて−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(関東化学製、1.59mol/l、ヘキサン溶液)2.0ml(3.18mmol)を加え、30分間反応させた。次いで合成例3で得られた4−ブロモ−5−ヨード無水フタル酸1.10g(3.14mmol)を加え、室温まで昇温した。水を加えてクエンチし、さらに水洗浄及び減圧乾燥を行い、3’,4’−ジ(ドデシン−1−イル)−4−ブロモ−5−ヨードベンゾフェノンカルボン酸を2.3g(3.1mmol)得た(収率98%)。
合成例12で得られた3’,4’−ジ(ドデシン−1−イル)−4−ブロモ−5−ヨードベンゾフェノンカルボン酸2.3g(3.1mmol)を濃硫酸17mlに溶かし、80℃で1時間反応した(環化反応)。反応混合物を氷に注ぎ入れ、析出した固体をろ過して水で洗浄した。乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/塩化メチレン,10:1)及びヘプタンからの再結晶で精製し、6−ブロモ−7−ヨード−2,3−ジ(ドデシン−1−イル)アントラキノンの黄色粉末を245mg(0.33mmol)得た。(収率11.2%)。
1−クロロ−2−フルオロベンゼン(東京化成工業製)1.31g(10.0mmol)、ジクロロ〔1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン〕ニッケル(東京化成工業製)43mg(0.08mmol)、ジエチルエーテル7.6mlの混合液にドデシルマグネシウムブロミド(シグマ−アルドリッチ製、1.0mol/lジエチルエーテル溶液)14.9ml(14.9mmol)を窒素雰囲気中0℃で滴下した。35℃で20時間反応を行い、反応混合物を0℃に冷やして希塩酸を加え、ジエチルエーテルで抽出した。ジエチルエーテル溶液を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順に洗浄し、塩化カルシウムで乾燥させた。得られた液体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン)及び減圧蒸留で精製し、目的の1−ドデシル−2−フルオロベンゼンを1.23g(9.45mmol)を得た。(収率94.5%)。
合成例3で得られた4−ブロモ−5−ヨード無水フタル酸3.34g(9.45mmol)、合成例14で得られた1−ドデシル−2−フルオロベンゼン1.23g(9.45mmol)、テトラクロロエタン6.0mlの混合液に塩化アルミニウム2.84g(21.4mmol)を加え、室温で3時間反応を行った。水を加えてクエンチし、さらに水洗浄を行い、テトラクロロエタンを減圧留去することで、3’−ドデシル−4’−フルオロ−4−ブロモ−5−ヨードベンゾフェノンカルボン酸及び3’−ドデシル−4’−フルオロ−5−ブロモ−4−ヨードベンゾフェノンカルボン酸及び4’−ドデシル−3’−フルオロ−4−ブロモ−5−ヨードベンゾフェノンカルボン酸及び4’−ドデシル−3’−フルオロ−5−ブロモ−4−ヨードベンゾフェノンカルボン酸の混合物4.55g得た(収率99%)。
合成例15で得られた3’−ドデシル−4’−フルオロ−4−ブロモ−5−ヨードベンゾフェノンカルボン酸及び3’−ドデシル−4’−フルオロ−5−ブロモ−4−ヨードベンゾフェノンカルボン酸及び4’−ドデシル−3’−フルオロ−4−ブロモ−5−ヨードベンゾフェノンカルボン酸及び4’−ドデシル−3’−フルオロ−5−ブロモ−4−ヨードベンゾフェノンカルボン酸の混合物4.55g(7.4mmol)を濃硫酸38mlに溶かし、80℃で1時間反応した。反応混合物を氷に注ぎ入れ、析出した固体をろ過して水で洗浄した。乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル,10:1)及びヘプタンからの再結晶で精製し、2−ブロモ−3−ヨード−6−ドデシル−7−フルオロアントラキノンの黄色粉末を1.26g(2.10mmol)得た。(収率22.2%)。
合成例2で合成した2,3−ジブロモアントラキノン532mg(1.45mmol)を窒素ガスで置換した200mlのシュレンク管に入れた。次いでTHF22.2mlを加え、0℃に冷却し、水素化ジイソブチルアルミニウム(関東化学製、0.99mol/l、ヘキサン溶液)6.10ml(4.16mmol)を加え、40℃で1.5時間還元反応を行った。得られた2,3−ジブロモ−9,10−ジヒドロキシ−9,10−ジヒドロアントラセン(一般式(3)で示される9,10−ジヒドロキシアントラセン誘導体)を含む反応混合物を室温まで冷却し、6M塩酸水溶液15mlを水冷しながら加えた。反応混合物を65℃で3時間脱水反応を行った。析出した固体をろ過し、水、ジクロロメタン、メタノール、ジエチルエーテルで洗浄して減圧乾燥し、2,3−ジブロモアントロン(一般式(4)で示されるアントロン誘導体)を主生成物として含む固体521mgを得た。その主生成物の構造式を以下に示す。
融点:269−270℃。
1H NMR(CDCl3,22℃):δ=8.31(s,2H),8.29(s,2H),7.98(dd,J=6.6Hz,3.2Hz,2H),7.50(dd,J=6.6Hz,3.2Hz,2H)。
MS m/z: 336(M+,100%),256(M+−Br,4%),176(M+−2Br,58%)。
1H NMRスペクトルを図5に示した。生成物の構造式を以下に示す。
合成例6で合成した6−ブロモ−7−ヨード−2,3−ジドデシルアントラキノン8.92g(11.9mmol)を窒素ガスで置換した1lのシュレンク管に入れた。次いでTHF140mlを加え、水素化ジイソブチルアルミニウム(関東化学製、0.99mol/l、トルエン溶液)31ml(30.7mmol)を加え、室温で1.5時間還元反応を行った。得られた6−ブロモ−7−ヨード−2,3−ジドデシル−9,10−ジヒドロキシ−9,10−ジヒドロアントラセン(一般式(3)で示される9,10−ジヒドロキシアントラセン誘導体)を含む反応混合物に6M塩酸水溶液82mlを加え、65℃で3時間脱水反応を行った。反応混合物を室温まで冷やし、ジエチルエーテルで抽出した。エーテル溶液を飽和食塩水で洗浄して硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧乾燥し、6−ブロモ−7−ヨード−2,3−ジドデシルアントロン及び7−ブロモ−6−ヨード−2,3−ジドデシルアントロン(一般式(4)で示されるアントロン誘導体)を主生成物として含む固体8.84gを得た。その主生成物の構造式を以下に示す。
1H NMR(CDCl3,22℃):δ=8.55(s,1H),8.27(s,1H),8.16(s,1H),8.15(s,1H),7.72(s,2H),2.78(m,4H),1.71(m,4H),1.27(m,36H)0.88(m,6H)。
MS m/z: 720(M+,100%),410(M+−C22H46,16%),283(M+−C22H46I,4%),203(M+−C22H46IBr,5%)。
1H NMRスペクトルを図6に示した。生成物の構造式を以下に示す。
合成例10で合成した6−ブロモ−7−ヨード−2,3−ジフェニルアントラキノン(一般式(2)で示されるハロゲン化アントラキノン誘導体)243mg(0.43mmol)を窒素ガスで置換した50mlのシュレンク管に入れた。次いでTHF4.9mlを加え、水素化ジイソブチルアルミニウム(関東化学製、0.99mol/l、トルエン溶液)1.20ml(1.20mmol)を加え、室温で1.5時間還元反応を行った。得られた6−ブロモ−7−ヨード−2,3−ジフェニル−9,10−ジヒドロキシ−9,10−ジヒドロアントラセン(一般式(3)で示される9,10−ジヒドロキシアントラセン誘導体)を含む反応混合物に6M塩酸水溶液2.9mlを加え、65℃で3時間脱水反応を行った。反応混合物を室温まで冷やし、ジエチルエーテルで抽出した。エーテル溶液を飽和食塩水で洗浄して硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧乾燥し、6−ブロモ−7−ヨード−2,3−ジフェニルアントロン及び7−ブロモ−6−ヨード−2,3−ジフェニルアントロン(一般式(4)で示されるアントロン誘導体)を主生成物として含む固体248mgを得た。その主生成物の構造式を以下に示す。
合成例13で合成した6−ブロモ−7−ヨード−2,3−ジ(ドデシン−1−イル)アントラキノン245mg(0.33mmol)を窒素ガスで置換した50mlのシュレンク管に入れた。次いでTHF3.8mlを加え、水素化ジイソブチルアルミニウム(関東化学製、0.99mol/l、トルエン溶液)0.70ml(0.70mmol)を加え、室温で1.5時間還元反応を行った。得られた6−ブロモ−7−ヨード−2,3−ジ(ドデシン−1−イル)−9,10−ジヒドロキシ−9,10−ジヒドロアントラセン(一般式(3)で示される9,10−ジヒドロキシアントラセン誘導体)を含む反応混合物に6M塩酸水溶液2.0mlを加え、65℃で3時間脱水反応を行った。反応混合物を室温まで冷やし、ジエチルエーテルで抽出した。エーテル溶液を飽和食塩水で洗浄して硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧乾燥し、6−ブロモ−7−ヨード−2,3−ジ(ドデシン−1−イル)アントロン及び7−ブロモ−6−ヨード−2,3−ジ(ドデシン−1−イル)アントロン(一般式(4)で示されるアントロン誘導体)を主生成物として含む個体251mgを得た。その主生成物の構造式を以下に示す。
合成例16で合成した2−ブロモ−3−ヨード−6−ドデシル−7−フルオロアントラキノン1.26g(2.10mmol)を窒素ガスで置換した200mlのシュレンク管に入れた。次いでTHF24.0mlを加え、水素化ジイソブチルアルミニウム(関東化学製、0.99mol/l、トルエン溶液)5.20ml(5.11mmol)を加え、室温で1.5時間還元反応を行った。得られた2−ブロモ−3−ヨード−6−ドデシル−7−フルオロ−9,10−ジヒドロキシ−9,10−ジヒドロアントラセン(一般式(3)で示される9,10−ジヒドロキシアントラセン誘導体)を含む反応混合物に6M塩酸水溶液14.0mlを加え、65℃で3時間脱水反応を行った。反応混合物を室温まで冷やし、ジエチルエーテルで抽出した。エーテル溶液を飽和食塩水で洗浄して硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧乾燥し、3−ブロモ−2−ヨード−7−ドデシル−6−フルオロアントロン及び2−ブロモ−3−ヨード−6−ドデシル−7−フルオロアントロン(一般式(4)で示されるアントロン誘導体)を主成分とする固体1.28gを得た。この主生成物の構造式を以下に示す。
生成物の構造式を以下に示す。
合成例6で合成した6−ブロモ−7−ヨード−2,3−ジドデシルアントラキノン1.16g(1.55mmol)を窒素ガスで置換した100mlのシュレンク管に入れた。次いでTHF18.2mlを加え、水素化トリ−t−ブトキシアルミニウムリチウム(東京化成工業製、1.1mol/l、THF溶液)3.6ml(3.96mmol)を加え、室温で1.5時間還元反応を行った。得られた6−ブロモ−7−ヨード−2,3−ジドデシル−9,10−ジヒドロキシ−9,10−ジヒドロアントラセン(一般式(3)で示される9,10−ジヒドロキシアントラセン誘導体)を含む反応混合物に6M塩酸水溶液11mlを加え、65℃で3時間脱水反応を行った。反応混合物を室温まで冷やし、ジエチルエーテルで抽出した。エーテル溶液を飽和食塩水で洗浄して硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧乾燥し、6−ブロモ−7−ヨード−2,3−ジドデシルアントロン及び7−ブロモ−6−ヨード−2,3−ジドデシルアントロン(一般式(4)で示されるアントロン誘導体)を主生成物として含む固体1.17gを得た。
合成例6で合成した6−ブロモ−7−ヨード−2,3−ジドデシルアントラキノン105mg(0.14mmol)を窒素ガスで置換した50mlのシュレンク管に入れた。次いでTHF4.0mlを加え、水素化アルミニウムリチウム(和光純薬工業製)13mg(0.34mmol)を加え、66℃で30分間還元反応を行った。反応混合物に6M塩酸水溶液2mlを加え、65℃で3時間脱水反応を行った。反応混合物を室温まで冷やし、ジエチルエーテルで抽出した。エーテル溶液を飽和食塩水で洗浄して硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧乾燥し固体91mgを得た。この固体に4.0mlを加え、水素化アルミニウムリチウム(和光純薬工業製)13mg(0.34mmol)を加え、66℃で30分間還元反応を行った。反応混合物に6M塩酸水溶液2mlを加え、65℃で3時間脱水反応を行った。反応混合物を室温まで冷やし、ジエチルエーテルで抽出した。エーテル溶液を飽和食塩水で洗浄して硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧乾燥し固体89mgを得た。生成物を分析したところ、ハロゲンが脱離したアントラセン誘導体が多量に生成しており、目的の6−ブロモ−7−ヨード−2,3−ジドデシルアントラセンは得られなかった。
文献「ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー」、(米国)、1974年、39巻、770−774頁に従って水素化ホウ素ナトリウムによる6−ブロモ−7−ヨード−2,3−ジドデシルアントラキノンの還元を実施した。
Claims (6)
- 下記一般式(1)で示されるハロゲン化アントラセン誘導体の製造方法であり、下記一般式(2)で示されるハロゲン化アントラキノン誘導体を、還元剤として水素化置換アルミニウム化合物を用いた還元及び脱水により、ハロゲン化アントラセンを合成することを特徴とする一般式(1)で示されるハロゲン化アントラセン誘導体の製造方法。
- 還元剤が水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化トリ−t−ブチルアルミニウムリチウムであることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化アントラセン誘導体の製造方法。
- R 1 〜R 3 及びR 6 が水素原子であることを特徴とする請求項1又は2に記載のハロゲン化アントラセン誘導体の製造方法。
- R 1 〜R 3 及びR 6 が水素原子、R 4 及びR 5 が水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20のアルキル基からなる群より選ばれる基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のハロゲン化アントラセン誘導体の製造方法。
- R 1 〜R 6 が水素原子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のハロゲン化アントラセン誘導体の製造方法。
- X 1 及びX 2 が臭素原子またはヨウ素原子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のハロゲン化アントラセン誘導体の製造方法。
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