JP2011056335A - 予備乾燥装置及び予備乾燥方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】塗布膜に形成されるムラの発生を抑えるとともに、乾燥工程に要するタクトタイムを短縮できる予備乾燥装置、予備乾燥方法を提供する。
【解決手段】基板上に塗布された塗布膜を乾燥させる本乾燥装置により塗布膜を乾燥させる前に、前記塗布膜を予備的に乾燥させる予備乾燥装置であって、予備乾燥装置は、浮上搬送方式により基板を搬送しつつ、当該基板を加熱した浮上用気体で高温雰囲気に曝して基板上の塗布膜を予備的に乾燥させることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】基板上に塗布された塗布膜を乾燥させる本乾燥装置により塗布膜を乾燥させる前に、前記塗布膜を予備的に乾燥させる予備乾燥装置であって、予備乾燥装置は、浮上搬送方式により基板を搬送しつつ、当該基板を加熱した浮上用気体で高温雰囲気に曝して基板上の塗布膜を予備的に乾燥させることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、塗布装置により基板上に形成された塗布膜を乾燥装置で乾燥させる前に、予備的に乾燥させる予備乾燥装置及び予備乾燥方法に関するものである。
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイには、基板上にレジスト液が塗布されたもの(塗布基板と称す)が使用されている。この塗布基板は、塗布装置により基板上にレジスト液が均一に塗布されることによって塗布膜が形成され、その後、乾燥装置(減圧乾燥装置)により塗布膜を乾燥させることにより生産される。
乾燥装置は、例えば、下記特許文献1に示されるように、チャンバ内に塗布装置により塗布膜が形成された基板を収容した状態で、チャンバ内の大気を排気ポートから排気させてチャンバ内を減圧させることにより、基板上の塗布膜を乾燥させるようになっている。
その際、塗布膜が形成された直後の基板をチャンバ内に収容し、チャンバ内の大気を一気に排気させると、チャンバ内の大気が排気ポートに向かう気流の影響により、基板上の塗布膜に所謂風ムラや突沸ムラ等が発生する。そのため、基板をチャンバ内に収容した直後は、チャンバ内を緩やかに排気させるスロー排気工程を行って、基板上の塗布膜をある程度乾かしておき、その後、チャンバ内を急速に排気させる本排気工程を行うことにより、基板上の塗布膜を乾燥させている。これにより、塗布膜にムラが形成されるのを抑えていた。
しかし、スロー排気工程を行うと、スロー排気工程を含む乾燥工程のタクトタイムが長くなってしまうという問題があった。すなわち、チャンバ内の排気を行うと、チャンバ内では僅かに気流が生じるため、塗布膜が気流の影響を受ける虞がある。そのため、スロー排気工程では、チャンバ内の大気をできるだけ緩やかに排気する必要があり、塗布膜の乾燥速度も緩やかになる。その結果、塗布膜が本排気工程を行っても塗布膜にムラが生じない程度の乾燥状態になるまでには比較的長い時間必要になり、その結果生じる乾燥時間全体の長時間化がタクトタイムの短縮を困難にすると共にタクトタイムに乾燥時間を合わせる為に乾燥装置のチャンバ多段化または乾燥装置の複数使用を余儀なくされ、乾燥装置全体の大型化と高価格化を招くという問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、塗布膜に形成されるムラの発生を抑えるとともに、乾燥工程に要するタクトタイムを短縮でき、かつ予備乾燥装置に必要なコストを最小限とする安価な予備乾燥装置、予備乾燥方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために本発明の予備乾燥装置は、基板上に塗布された塗布膜を乾燥させる本乾燥装置により塗布膜を乾燥させるために前記基板を本乾燥装置に搬入させる搬送部を、前記基板に気体を噴出して浮上させつつ搬送する浮上搬送方式とするともに、前記基板の塗布膜が形成されていない面に気体を噴出し基板を浮上させる浮上装置と、前記浮上した基板を本乾燥装置に搬送する搬送装置と、前記浮上装置に前記気体を供給する気体供給装置と、前記浮上装置に供給される気体を高温状態にする加熱装置とを備えており、前記搬送部が、前記加熱気体により浮上搬送させた前記基板を通過させることにより、当該基板を高温雰囲気に曝して基板上の塗布膜を予備的に乾燥させることを特徴としている。
また、上記課題を解決するために本発明の予備乾燥方法は、基板上に塗布された塗布膜を乾燥させる本乾燥装置により塗布膜を乾燥させるために前記基板を本乾燥装置に搬入させる搬送部を、前記基板に気体を噴出して浮上させつつ搬送する浮上搬送方式とするともに、前記基板の塗布膜が形成されていない面に気体を噴出し基板を浮上させる浮上手段と、前記浮上した基板を本乾燥装置に搬送する搬送手段と、前記浮上手段に前記気体を供給する供給手段と、前記浮上手段に供給される気体を高温状態にする加熱手段とを備えており、前記搬送部が、前記加熱気体により浮上搬送させた前記基板を通過させることにより、当該基板を高温雰囲気に曝して基板上の塗布膜を予備的に乾燥させることを特徴としている。
上記予備乾燥装置及び予備乾燥方法によれば、基板上の塗布膜を乾燥させる本乾燥装置(塗布膜を最終的に乾燥させるための乾燥装置)の前に、塗布膜を予備乾燥装置により予備的に乾燥させることにより、塗布膜に形成されるムラの発生を抑えることができる。すなわち、本乾燥装置へと搬送する基板を、前記加熱装置により加熱された気体を前記気体供給装置を経て前期浮上装置から噴出させ当該基板を浮上させつつ搬送部を通過させると、基板が加熱気体の高温に曝されて、基板上に形成された塗布膜の溶剤の一部が蒸発して塗布膜が予備的に乾燥し、塗布膜の粘度が高められる。したがって、本乾燥装置の前に予備的に乾燥させることにより、本乾燥装置において塗布膜付近に気流が発生した場合であっても、この気流により塗布膜にムラ形成されるのを抑えることができる。ここで、予備的な乾燥とは、塗布膜を完全に乾燥させることではなく、チャンバ内の大気を急速に排気させたときの気流により塗布膜にムラが形成されない程度に乾燥させることである。したがって、本乾燥装置に基板を搬送する前に、搬送部において基板を加熱気体に曝しつつ通過させて予備的乾燥を行うことにより、従来のスロー排気工程を省略することができるため、本乾燥装置の乾燥工程におけるタクトタイムを短縮させることができる。さらに、上記予備乾燥装置及び予備乾燥方法では基板搬送用装置を用いて予備乾燥も行うという構成になっているので、予備乾燥を行う為の専用装置は最小限になり、装置全体の価格を抑えることができる。
また、前記浮上装置は、基板の塗布面の裏面と対向する気体噴出面を有しており、この基板の塗布面の裏面と気体噴出面とで形成される隙間を覆うカバー部材が基板搬送方向に沿って形成されている構成としてもよい。
この構成によれば、基板を浮上させるために供給された加熱気体が前記浮上装置の気体噴出面の外側に流出することを回避することができる。すなわち、加熱気体は浮上装置の気体噴出面に形成された噴出孔より噴出し、基板を浮上させるために基板の塗布面の裏面に当接した後に浮上装置の気体噴出面の外側に流出する。また、浮上装置の端部に位置する噴出孔から噴出する気体の一部は基板を浮上させることなく直接浮上装置の気体噴出面の外側に流出する。そのため、基板搬送部の雰囲気温度が全体として十分上昇しない可能性があり、さらには中央部と端部で温度差が生じる可能性もある。このことは、予備乾燥が不十分になるか又は乾燥ムラを生じる可能性を生むことになる。そこで、基板の塗布面の裏面と気体噴出面とで形成される隙間を覆うカバー部材が基板搬送方向に沿って形成されていることにより加熱気体を基板の塗布面の裏面と気体噴出面とで形成される隙間全体に滞留させ、加熱気体雰囲気を十分高温に維持すると共に、温度勾配の発生を防ぎ雰囲気温度をほぼ一定にすることができる。これにより、塗布膜の予備乾燥状態をほぼ均一にすることができ、塗布膜にムラが発生するのを抑えることができる。
また、前記加熱気体は、供給の容易さと安全面の配慮から乾燥清浄空気(CDA)であることが好ましい。
加熱気体にCDAを使用することにより、基板に悪影響をもたらすパーティクルを防ぐと共に窒素ガスのような酸欠事故の可能性を防ぐことができる。
本発明の予備乾燥装置、予備乾燥方法によれば、塗布膜に形成されるムラの発生を抑えるとともに、乾燥工程に要するタクトタイムを短縮することができ、さらに予備乾燥と基板搬送を兼ねることにより予備乾燥に必要な装置コストを最小限に抑えることが出来る。
本発明に係る実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態における予備乾燥装置及びそれを備える基板処理システムを概略的に示す図であり、図2は、基板処理システムの塗布装置を上方から見た図であり、図3は、予備乾燥装置を基板搬送方向から見た図であり、図4は、基板処理システムの本乾燥装置を上方から見た図である。
図1〜図4に示すように、基板処理システム1は、塗布装置2と予備乾燥装置3と本乾燥装置4とを備えており、塗布装置2において基板5上に塗布膜51が形成されると、予備乾燥装置3により塗布膜51が予備的に乾燥され、本乾燥装置4により塗布膜51が完全に乾燥されるようになっている。ここで、予備的な乾燥とは、塗布膜51を完全に乾燥させるのではなく、本乾燥装置4に基板5を搬送する前に、本乾燥装置4のチャンバ内の大気を急速に排気させたときの気流により塗布膜51にムラが形成されない程度に乾燥させることである。
なお、本実施形態では、塗布装置2、予備乾燥装置3、本乾燥装置4の順に基板5が搬送されるが、この基板5が搬送される方向をX方向(基板搬送方向ともいう)、これと水平面上で直交する方向をY軸方向、X軸およびY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向とし、さらに図1において右方向を下流側、左方向を上流側として説明を進めることとする。
塗布装置2は、基板5上に薬液やレジスト液等の塗布液の塗布膜51を形成するものであり、基台21と、この基台21上に載置されるステージ22と、基板5に塗布液を塗布する塗布ユニット23とを備えている。
前記ステージ22は、基台21に支持される面の反対側にX方向に延びる平板状の平坦部221を有しており、この平坦部221には、基板5を浮上させた状態で保持し、基板搬送方向に搬送できる搬送部24が設けられている。前記ステージ22の平坦部221には、複数の図示しないエアパッドが設けられており、これらのエアパッドの表面から基板5に所定流量の気体322(以下同様)が噴出するようになっている。これらエアパッドは、ステージ22に基板5(以下同様)が搬入される時および基板への塗布終了後基板を予備乾燥装置3へ搬出する時に、所定流量の気体を噴出し基板を平坦部より所定量上昇させステージからの搬入出を可能にしている。
また、搬送部24は、ステージ22のY方向外側に塗布装置2から予備乾燥装置3に渡り基板搬送方向(X方向)に延びるレール241と、このレール241に沿って移動可能に取付けられた基板把持部材242とを有しており、この基板把持部材242で基板5を挟圧することにより基板5を保持した状態で搬送できるようになっている。具体的には、基板把持部材242は、基板5の塗布膜51外に所定の押圧力で基板を把持し搬送できるようにベース兼駆動ユニット242a、保持プレート242b、押し当てプレート242c、ヒンジ部材242dにより構成されており、1本のレール241に2個の把持部材242が取付けられている。したがって、各基板把持部材242を基板5がステージ22に保持される位置に移動させると、各基板把持部材242が基板塗布膜51外の基板端部を把持することにより、基板5を搬送可能状態にする。そして、エアパッドから気体を吹き出した状態で、各基板把持部材242をレール241に沿って移動させることにより、ステージ22の平坦部221から所定の隙間を形成した状態で(基板5を浮上させた状態で)基板5を保持し、基板5を予備乾燥装置3方向に搬送する。なお、本実施例では搬送部24は基板の片側にのみ設置されているが、基板の両側に設置し、基板両端面を把持する構造としても良い。この場合、装置コストは上昇するものの基板搬送をより安定して実施することができる。
また、塗布ユニット23は、基板5上に塗布液を吐出して塗布膜51を形成するものである。この塗布ユニット23は、図1、図2に示すように、ステージ22に連結される脚部231および塗布ユニット23を基板上を走査させ塗布動作を行う駆動レール232とY軸方向に延びる口金部25とを有しており、基板搬送領域をY軸方向に跨いだ状態で取り付けられている。
口金部25は、塗布液を吐出して基板5上に塗布膜51を形成するものである。この口金部25は、一方向に延びる形状を有する柱状部材であり、基板搬送方向とほぼ直交するように設けられている。この口金部25には、長手方向に延びるスリットノズル25aが形成されており、口金部25内に供給された塗布液がスリットノズル25aを通じて吐出されるようになっている。したがって、このスリットノズル25aから塗布液を吐出させた状態で基板5を搬送することにより、基板5上に一定厚さの塗布膜51が形成されるようになっている。
この塗布装置2の下流側には、予備乾燥部3、本乾燥装置4がこの順で配置されている。予備乾燥部3は、本乾燥装置4の前に、塗布膜51を予備的に乾燥させるものであり、本乾燥装置4のチャンバ内の大気を急速に排気させたときの気流により塗布膜51にムラが形成されない程度に乾燥させるものである。この予備乾燥部3は、基台フレーム31と、この上に設置される浮上装置32と、浮上装置32に気体を供給する気体供給装置34と、浮上装置32に供給される気体を加熱する加熱装置33とを備えており、予備乾燥部3で基板5上の塗布膜51が予備乾燥されるようになっている。具体的には、浮上装置32に供給される気体が加熱され、この気体が浮上装置32から噴出することにより基板5が加熱されて塗布膜51が昇温することにより、予備乾燥されるようになっている。
浮上装置32は、図1に示される様に、基台31上に設置されている。浮上装置32は、基板5を浮上させるものであり、気体噴出面38から気体322を噴出させることにより基板5を浮上させることができる。具体的には、浮上装置32には、気体322を噴出させるための供給孔321が気体噴出面38に図1及び図2に示す様に等間隔に複数形成されている。そして、この供給孔321は浮上装置32下面から供給される流体気体322を基板5の下面(塗布面の裏面)に向かって噴出させるために浮上装置32を貫通する構造となっており、気体供給装置34と連通して接続されている。ここで、図1及び図3においては浮上装置32は中実ブロック体で形成されているが、浮上装置32は中実ブロック構造にする必要は必ずしも無くなく、外面および供給孔321周辺を除いた中空構造にしても構わない。また、製造方法も鋳物から組み立て構造まで選択可能である。さらに材質についても金属製からセラミックや繊維強化樹脂まで多用な材料が利用できる。ただし、気体322は加熱されているのであるから、供給孔321周辺は使用する気体温度に合わせた耐熱性が要求される。この場合、気体322が通過する供給孔321周辺を耐熱性の高い材料で構成し、その他部分にガラス繊維等で耐熱性を強化した樹脂材料にしても構わない。
供給孔321は、気体322により基板を浮上させるのみならず基板を乾燥ムラが生じないように均一に予備乾燥する必要があるため、浮上装置32の基板5のY方向巾以内において図2に示す様な整列配置または千鳥配置(図示せず)により気体が基板5の下面を均一に供給される様に配置されている。供給孔321は、内部を気体322が通過するのであるから、気体322によりパーティクルが発生しない様に内部は滑らかに成型することが望ましい。さらに、気体322は加熱されているのであるから、供給孔321により熱が奪われない様に断熱性の高い材料、例えばセラミックなどを使用することが望ましい。この場合、供給孔321を含む断熱性パイプ部材を成形しそれを浮上装置32に埋め込む構成としても構わない。
浮上装置32の供給孔321より基板5下面に供給される気体322は、工場設備などの外部供給源から一度供給部34に送られた後、供給路36a、加熱装置33、供給路36bを経て浮上装置32に供給される。ここで、気体供給装置34は基板5を浮上させる気体322を送り出すものであり、基板5が予備乾燥装置3を通過する間継続的に基板5を浮上させる為の所定量の気体を供給し続ける。また、供給孔321の径は比較的小さいく気体の圧損が生じやすいので、気体供給装置34で気体322を加圧して供給する必要が有る。そのため、気体供給装置34に使用される供給機構としては連続して出力が可能なポンプかまたは加圧式送風機が好ましい。
加熱装置33は、気体322を加熱するものであり、気体の搬送による熱損失を防ぐ為に浮上装置32の近傍に設けられている。加熱方式は電気抵抗式ヒーターや電磁加熱ヒーターなど各種方式が可能であり、図示しない制御装置を用いて所定温度にまで気体322が加熱される。また、気体322が加熱装置33内を移動する比較的短時間内に気体を加熱する必要があるので、加熱装置33は入り口から出口の間が図1または図2に示す様に細長い形状となっている。加熱装置33および供給路36bは熱損失を防ぐ為に図示しない断熱材により外部の少なくとも一部が覆われている。
気体322は、基板5に対し供給孔321より噴出供給されるのであるから、パーティクルを含まない清浄気体であることが好ましい。何らかの理由により清浄気体が供給されない場合は、供給路にフィルターを設置して清浄化しても構わない。気体の成分として、半導体や液晶の製造工程で使用される気体は利用可能であるが、予備乾燥においては、基板5上の塗布液層51にむらを生じさせないために強制排気を行わない場合も想定されるので、CDA(乾燥清浄空気)を使用することが望ましい。
流体322は基板5に対しその下部にある浮上装置32から供給されるのであるから、基板端部側に供給される気体322は予備加熱装置3外の雰囲気と混ざり易くなる。その為、基板5端部に供給される気体322は基板5中央部に比べ温度が低下することとなる。このことは、基板5の中央部と端部で温度勾配が発生することになり、予備乾燥における乾燥ムラを発生させる原因となる。
そこで、浮上装置32には、前記温度勾配の発生を抑制するため、カバー部材35a、35bが設けられている。カバー部材35aは、図2、図3に示すように、断面L字形状の一方向に延びる板状部材であり、本実施形態では基台31に取付けられている。具体的には、基台31の取付位置から基板5の塗布面よりも高い位置まで延びる壁面が、基板5と気体噴出面とで形成される隙間を覆うように、基板搬送方向に沿って基台31の基板搬送方向全長に亘って設けられている。また、カバー部材35bは、カバー部材35aと同様に、断面L字形状の一方向に延びる板状部材であり、本実施形態では基板把持部材242の下面に取付けられている。具体的には、基板把持部材242の下面から気体噴出面38よりも下側位置まで延びる壁面が基板5と気体噴出面とで形成される隙間を覆うように基板把持部材242に把持される基板5の基板搬送方向寸法とほぼ同寸法に形成されている。そして、基板把持部材242に取付けられているため、基板把持部材242の移動とともに基板搬送方向に移動できるようになっており、基板5が基板搬送方向に移動する場合であっても、常に基板5に並んだ状態を維持できるようになっている。したがって、このカバー部材35a、36bにより、加熱気体322を基板5の塗布面の裏面と気体噴出面38とで形成される隙間全体に滞留させることができるため、加熱気体322が気体噴出面38の外側に流出して基板5の中央部と端部で温度勾配が発生するのを抑制し、予備乾燥における乾燥ムラの発生を抑えることができるようになっている。
ここで、カバー部材35はシート状の金属部材または樹脂部材で成形することが好ましく、保守点検を容易にするために基台31と基板把持部材242各々にネジなどの締結手段により着脱自在に取り付けられている。なお、基板5の前後にはカバー部材を設けることはできないが、この部分は常に気体322が供給されているので基板側面部の様に容易に雰囲気と混合することは無い。なお、搬送部24を基板両側に配置する構成とした場合は、カバー部材を全て35bの構成としても良い。
予備乾燥装置3の下流側に配置されている本乾燥装置4は、基板5上の塗布膜51を最終的に乾燥させるものである。この本乾燥装置4は、基台41と、基台41上に載置されるチャンバ部42と、基板5を搬送するVCD載置搬送部43とを有している。
チャンバ部42は、基板5を収容し減圧環境下で基板5上の塗布膜51を乾燥させるものであり、チャンバ本体421と、このチャンバ本体421に対して昇降動作可能なチャンバ蓋422とを備えている。チャンバ本体421には、底壁部421aとこの底壁部421aから上方に延びる側壁部421bとを有しており、側壁部421bには、基板5を載置するとともに基板5を搬送するVCD載置搬送部43が設けられている。
VCD載置搬送部43は、図4に示すように、基板5を載置し搬送する複数の搬送コロ43aが基板搬送方向に沿って並べて配置されている。具体的には、非塗布領域に相当する基板5の両端部分に配置されており、この搬送コロ43a上に基板5が載置され、搬送コロ43aを回転させることにより、基板5を基板搬送方向に搬送できるようになっている。そして、搬送コロ43aの高さ位置は予備乾燥装置3の搬送部33の高さ位置と同じになるように設定されている。これにより、予備乾燥装置3の搬送部33から搬入された基板5は、向きを変えることなく、そのままVCD載置搬送部43によって搬送できるようになっている。すなわち、塗布装置2及び予備乾燥装置3に設けられた搬送部の高さ位置が全て共通に設定されていることで、塗布装置2から本乾燥装置4に至るまでロボットハンドなどの中継器を設けることなく、直接、基板5を搬送できるようになっている。
また、底壁部421aには排気口(不図示)が設けられており、この排気口からチャンバ部42の大気を排気することにより、チャンバ部42が減圧されるようになっている。すなわち、側壁部421bには、全周に亘ってシール44が設けられており、チャンバ蓋422を降下させるとチャンバ蓋422がシール44を押圧することにより、チャンバ部42が密封状態になる。この状態で排気口に接続された真空ポンプを作動させることにより、排気口に吸引力が発生し、チャンバ部42の大気が吸引される。これにより、チャンバ部42が大気圧よりも小さい圧力に減圧されるようになっている。したがって、VCD載置搬送部43に基板5を載置した状態で、チャンバ部42を減圧環境下に維持することにより、塗布膜51の溶剤の蒸発が促進され、最終的に基板5上の塗布膜51が乾燥されるようになっている。
次に、基板処理システム1の動作について図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、塗布装置2において基板5の搬入が行われる(ステップS1)。具体的には、ステージ22のエアパッド(図示せず)から気体を吹き出した状態で、ロボットハンドに保持された基板5がにステージ22供給される。気体により基板5がロボットハンドから離れるとロボットハンドはステージ22から退避する。次にエアパッドからの気体供給を徐々に減らすと基板5はステージ22の平坦部221に着地する。図示しない位置あわせ機構により基板の向きと位置を調整した後ステージ22に設けられた吸着機構(図示せず)によりステージ22に固定される(ステップS2)。
次に塗布工程が行われる(ステップS3)。具体的には、塗布ユニット23を図示しない待機位置で予め初期化しておき、次に塗布ユニット23を塗布開始位置に移動させる。ここで、待機位置は基板搬入側に、塗布開始位置は予備乾燥装置3側に位置している。口金部25のスリットノズル25aを所定位置に降下させ、スリットノズル25aから塗布液を吐出し、スリットノズル25aと基板5とが塗布液で連結された状態を形成する。この状態から、塗布ユニット23を移動させて基板5上を走査することにより、基板5上に均一厚さの塗布膜51が形成される。そして、塗布液の吐出を停止させ塗布ユニット23を待機位置に移動することにより塗布動作が終了する。
次に、基板5を予備乾燥装置3に搬送する(ステップS4)。具体的には、まずエアパッドから気体を吹き出し基板5をステージ22の平坦部221から浮上させる。次に基板把持部材242を基板5の位置に移動させ、保持プレート242bに対し押し当てプレート242cをヒンジ部材242dを中心に回転させ基板塗布膜51外の基板端部を把持させる。そして、エアパッドから気体を吹き出した状態で、ベース兼駆動ユニット242aを駆動させ、各基板把持部材242をレール241に沿って移動させることにより、ステージ22の平坦部221から所定の隙間を形成した状態で(基板5を浮上させた状態で)基板5が予備乾燥装置3に搬送される。
次に予備乾燥工程が行われる(ステップS5)。具体的には、予備乾燥装置3に基板5を浮上させた状態で、加熱装置33により一定温度に制御された気体322を浮上装置32から基板5に噴出しつつ基板5を搬送することにより基板5が加熱される。すなわち、基板5を一定速度で浮上搬送しつつ、基板5を浮上装置32から噴出される気体322の高温雰囲気に基板5を曝す。そして、基板5を停止させることなく予備乾燥装置3から基板5を搬出する。これにより、基板5上の塗布膜51が加熱気体322の高温雰囲気に均一に曝され、塗布膜51全体に亘って溶剤成分が蒸発する。これにより、塗布膜51全体がほぼ均一に予備乾燥される。
次に、基板5を本乾燥装置4に搬送する(ステップS6)。具体的には、VCD載置搬送部43の搬送コロ43aを駆動させつつ、予備乾燥装置3から搬出された基板5を下流側に搬送する。そして、基板5の一部がVCD載置搬送部43の搬送コロ43aに載置されると基板把持部材242を本乾燥装置4側から逐次開放する。これにより、予備乾燥装置3から本乾燥装置4への基板5の受渡しが行われ、基板5が本乾燥装置4に搬送される。
次に、本乾燥工程が行われる(ステップS7)。具体的には、VCD載置搬送部43の搬送コロ43aを駆動させて、基板5をチャンバ部42の所定位置まで搬送する。そして、VCD載置搬送部43を停止させて、チャンバ蓋422を下降させることにより、チャンバ蓋422とチャンバ本体421とによって基板5を密閉する。この状態から真空ポンプを作動させて排気口からチャンバ部42内の大気を排出し、チャンバ部42内を減圧環境に維持させる。これにより、基板5上の塗布膜51を乾燥させる。
次に、所定時間減圧乾燥状態に維持して塗布膜51を乾燥させた後、基板5の取出しを行う(ステップS8)。具体的には、チャンバ部42内にガスを供給することによりチャンバ部42を大気圧に戻し、チャンバ蓋422を上昇させる。そして、VCD載置搬送部43を作動させて基板5を下流側へ搬送する。そして、本乾燥装置4よりも下流側の次工程装置やロボットハンドなどに基板5を受け渡すことにより、基板5を排出する。
以上説明した通りの予備乾燥装置3及びそれを備える基板処理システム1によれば、本乾燥装置4の前に、塗布膜51を予備乾燥装置3により予備的に乾燥させることにより、塗布膜51に形成されるムラの発生を抑えることができる。すなわち、基板把持部材242が基板5を搬送しながら予備乾燥装置3を通過させると、基板5が予備乾燥装置3の高温雰囲気に曝されて、基板5上に形成された塗布膜51の溶剤の一部が蒸発して塗布膜51が予備的に乾燥し、塗布膜51の粘度が高められる。したがって、本乾燥装置4の前に予備的に乾燥させることにより、本乾燥装置4における減圧乾燥に際して塗布膜51付近に気流が発生した場合であっても、この気流により塗布膜51にムラ形成されるのを抑えることができ、従来のスロー排気工程を伴う場合に比べてタクトタイムを短縮させることができる。
また、従来のスロー排気工程を含む乾燥工程に要する時間は、塗布装置2により塗布膜51を形成する塗布工程に要する時間に比べて非常に長い。したがって、1枚の基板5を本乾燥装置4で乾燥させていると、その乾燥工程の最中に新たな基板5が塗布装置2から搬送されることとなる。そのため、1台の塗布装置2に対してスロー排気工程を含む従来の本乾燥装置4は、複数のチャンバ部42を有する構成をとっており、塗布装置2で塗布膜51が形成された基板5を複数のチャンバ部42を用いて効率よく乾燥させていた。そのため、複数のチャンバ部42を有する構成により、乾燥装置4が占めるスペースが大きくなってしまうことに加え、チャンバ部42内を減圧させる真空ポンプの容量を大きくしたり、真空ポンプの台数を増やすという設備上のコストが高額になるという問題もあった。しかし、基板5を本乾燥装置4に搬送する前に予備乾燥装置3にて予備乾燥を行うことにより乾燥工程のタクトタイムを短縮できるため、従来に比べてチャンバ部42の数を減らすことができ、設備上のコストを削減することができる。
なお、上記実施形態では、ステージ22および浮上装置32はいずれも気体の供給孔を設けた構造となっているが、ステージ22および浮上装置32の双方またはどちらか一方をたとえばセラミックを利用した多孔質部材で構成しても良い。多孔質部材を利用すれば、基板5の全面に亘りより均一に気体を噴出させることが可能になる。
また、上記実施形態では、加熱装置33を浮上装置32外に設置する構成としたが、図6に示す様に浮上装置32内に組み込む構成であってもよい。この構成の場合、気体供給装置34から供給された気体はバルブ37により分岐され浮上装置32に供給され浮上装置32内で加熱装置33により過熱される。こうすることにより浮上装置32に到る気体供給路に耐熱性を持たせる必要を無くすことが出来る。
さらに、動作シーケンスにおいて、予備乾燥装置3における気体の供給を基板5の搬送にあわせ逐次実施する構成にしても良い。こうすることにより、浮上搬送および予備乾燥に必要な箇所にのみ気体の供給を行い、気体の不要な消費を抑えかつ加熱装置33を効率的に使用し消費エネルギーを抑えることができる。
また、上記実施形態では、塗布装置2、予備乾燥装置3及び、本乾燥装置4が直線状に配置され、基板5がそれぞれの搬送装置で搬送される場合について説明したが、塗布装置2と予備乾燥装置3の間、予備乾燥装置3と本乾燥装置4の間にロボットハンドなどの中継器を設置するものであってもよい。この場合には、それぞれの搬送経路の高さ位置を共通にする必要がないため、それぞれの装置において設計の自由度を得ることができる。
さらに、塗布装置2についても浮上搬送を行いながら塗布を実施する方式にしても構わない。この場合、搬送装置24により基板5は浮上状態で塗布装置2に搬送され、固定された塗布ユニット23を通過する時に基板5に対し塗布が行われる。この構成ではロボットと塗布ユニット23の駆動レール232を省略することが出来る。
1 基板処理システム
2 塗布装置
3 予備乾燥装置
4 本乾燥装置
5 基板
32 浮上装置
33 加熱装置
34 気体供給装置
35a カバー部材
35b カバー部材
321 気体供給孔
322 加熱気体
2 塗布装置
3 予備乾燥装置
4 本乾燥装置
5 基板
32 浮上装置
33 加熱装置
34 気体供給装置
35a カバー部材
35b カバー部材
321 気体供給孔
322 加熱気体
Claims (4)
- 基板上に塗布された塗布膜を乾燥させる本乾燥装置により塗布膜を乾燥させる前に、前記塗布膜を予備的に乾燥させる予備乾燥装置に於いて、
気体を噴出することにより基板を浮上させる浮上装置と、前記気体により浮上した前記基板を本乾燥装置に搬送する搬送装置と、前記気体を前記浮上装置に供給する気体供給装置と、前記浮上装置に供給される前記気体を加熱する加熱装置とを有することを特徴とする予備乾燥装置。 - 前記浮上装置は、基板の塗布面の裏面と対向する気体噴出面を有しており、この基板の塗布面の裏面と気体噴出面とで形成される隙間を覆うカバー部材が基板搬送方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の予備乾燥装置。
- 前記気体は乾燥清浄空気であることを特徴とする請求項1又は2に記載の予備乾燥装置。
- 基板上に塗布された塗布膜を乾燥させる本乾燥装置により塗布膜を乾燥させる前に、前記塗布膜を予備的に乾燥させる予備乾燥方法に於いて、
気体を噴出することにより基板を浮上させる浮上手段と、前期気体により浮上した前記基板を本乾燥装置に搬送する搬送手段と、前記気体を前記浮上手段に供給する気体供給手段と、前記浮上手段に供給する前記気体を加熱する加熱手段とを有することを特徴とする予備乾燥方法。
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