JP2011055996A - シートカバー用クリップ - Google Patents

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晃 米岡
Fumiyoshi Takagi
史嘉 高木
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Abstract

【課題】シートクッションからシートカバーを取外すとき、シートクッションから外れたり破損する虞れがなく再利用可能なシートカバー用クリップを提供する。
【解決手段】このシートカバー用クリップ10は、シートクッションに固定配置される固定部材20と、この固定部材20に着脱可能に装着されると共に、吊込み材7に着脱可能に係合するクリップ本体30とを備え、前記固定部材20は、シートクッションに固定される基部21と、この基部21に連設されて、クリップ本体30をスライド可能に保持する保持部25とを有し、前記クリップ本体30は、固定部材20の保持部25にスライド可能に装着されると共に、吊込み材7に着脱可能かつスライド可能に係合する係合部を有し、前記クリップ本体30は、固定部材20に対してスライドさせることにより、固定部材20から抜き出すことが可能に構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、シートカバーに装着された吊込み材を、シートクッションに着脱可能に固定するためのシートカバー用クリップに関する。
一般的な自動車のシートは、弾力性のあるシートクッションと、それを覆うシートカバーとからなっている。シートカバーには吊込み材と呼ばれる部材が装着されており、この吊込み材がシートクッションに固定されたクリップに係合することにより、シートクッションに密着するようにシートカバーが吊り込まれて、シートクッションがシートカバーで覆われるようになっている。
上記のようなシートカバー用クリップとして、下記特許文献1には、一対の羽根状片が形成された基板を有し、この基板の中央から左右一対の係合片が複数組立設し、更に各係合片の先端内側に爪部が突設したクリップが開示されている。前記クリップは、基板がシートクッションに埋設固定され、係合片がシートクッションの隙間から突出するようになっている。また、シートカバーの裏側からは板状に延出すると共に、その先端に先細テーパ状をなす係合レールが形成されている。そして、吊込み材を、複数組の係合片の間に挿入し、各係合片の爪部を吊込み材先端の係合レールに係合させることにより、吊込み材がクリップに固定され、シートクッションにシートカバーが装着されるようになっている。
独国実用新案第20 2005 013 339号明細書
ところで、シートカバーをメンテナンス等のためにシートクッションから取外したい場合がある。この場合、シートカバーを引っ張って、吊込み材の係合レールで一対の係合片を押し広げつつ、係合片の間から引き抜くことにより、吊込み材がクリップから外れて、シートカバーをシートクッションから取外すことができる。
しかし、上記特許文献1のクリップは、その基板が柔軟なシートクッションに埋設固定されているだけで、シートクッションに対してクリップが強固に固定されていない。そのため、シートカバーが引っ張られたときに、クリップから吊込み材が外れずに係合したままで、クリップに強い引き抜き力が作用して、シートクッションが破断してクリップが外れてしまうことがあった。また、シートカバーを引っ張って、吊込み材の係合レールで一対の係合片を押し広げて抜き出すときに、一対の係合片が変形して破損してしまうことがあった。このように、クリップがシートクッションから外れて、シートクッションが破断したり、クリップが破損したりした場合は、クリップやシートクッションの再利用を図ることができない。
したがって、本発明の目的は、シートクッションからシートカバーを取外すときに、シートクッションから外れたり破損したりする虞れがなく再利用を図ることができる、シートカバー用クリップを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、シートカバーに装着された吊込み材を、シートクッションに着脱可能に固定するためのシートカバー用クリップにおいて、前記シートクッションに固定配置される固定部材と、この固定部材に着脱可能に装着されると共に、前記吊込み材に着脱可能に係合するクリップ本体とを備え、前記固定部材は、前記シートクッションに固定される基部と、この基部に連設されて、前記クリップ本体をスライド可能に保持する保持部とを有し、前記クリップ本体は、前記固定部材の保持部にスライド可能に装着されると共に、前記吊込み材に着脱可能かつスライド可能に係合する係合部を有し、前記クリップ本体は、前記固定部材に対してスライドさせることにより、前記固定部材から抜き出すことが可能に構成されていることを特徴とする。
本発明においては、前記クリップ本体は、前記吊込み材に係合する第1係合爪を内側に有する一対の係合片を備えており、前記固定部材の保持部は、前記クリップ本体の前記係合片の外側に配置され、前記係合片に係合する第2係合爪を内側に有する一対の保持片を備え、前記第2係合爪の間隔は、前記吊込み材が通過可能な間隔とされており、前記クリップ本体は、前記固定部材の前記保持片に保持された状態で、前記保持片の幅方向にスライド可能とされ、前記保持片の幅を超えてスライドすることにより、前記保持片から抜き出し可能とされていることが好ましい。
本発明においては、前記クリップ本体の前記係合片には、前記固定部材の前記保持片の第2係合爪が嵌合するガイド溝が形成されており、前記クリップ本体を前記固定部材に対してスライドさせるとき、前記第2係合爪が前記ガイド溝に沿って移動するように構成されていることが好ましい。
本発明においては、前記クリップ本体の前記ガイド溝の内側面のうち、前記クリップ本体の外側に位置する内側面は、前記ガイド溝の開口部に向けて外側に傾斜しており、前記固定部材の前記保持片に、前記クリップ本体が保持された状態で、前記第2係合爪が該傾斜した内側面に当接可能に構成されていることが好ましい。
本発明においては、前記クリップ本体の前記係合片の前記ガイド溝が設けられた部分は、前記スライド方向に沿って突出していることが好ましい。
本発明においては、前記クリップ本体の、前記固定部材の前記保持部に対するスライド方向の一端には、前記保持部の一端に係合して前記クリップ本体の抜けを防止する弾性変形可能な抜け止め爪が設けられており、前記クリップ本体の、前記固定部材の前記保持部に対するスライド方向の他端には、前記保持部の他端に係合する操作部が設けられていることが好ましい。
本発明においては、前記クリップ本体の、前記固定部材の前記保持部に対するスライド方向の他端には、前記保持部の他端に係合して前記クリップ本体の過度な押込を防止する押込規制突起と、この押込規制爪の更に外側に位置する操作突起とが設けられており、これらが前記操作部をなしていることが好ましい。
本発明においては、前記クリップ本体と前記固定部材とが、前記スライド方向に移動して分離した状態で、破断可能な薄肉連結片を介して連結されていることが好ましい。
本発明によれば、クリップ本体を固定部材の保持部に装着しておき、その状態でシートカバーに装着された吊込み材をクリップ本体に係合させることにより、吊込み材をシートクッションに固定することができる。また、クリップ本体を吊込み材に装着した状態で、クリップ本体を固定部材の保持部に保持させることによっても、吊込み材をシートクッションに固定することができる。
そして、シートカバー等のメンテナンスのために、シートカバーを取り外したいときには、シートカバーの裏側に手を差し入れて、クリップ本体を固定部材及び吊込み材に対してスライドさせることにより、クリップ本体が固定部材から抜き出されるので、吊込み材の固定を解除することができる。
その後、吊込み材に装着されたクリップ本体を再び固定部材の保持部に装着するか、或いは、クリップ本体を一旦吊込み材から取外して、固定部材の保持部に装着しておき、その状態でシートカバーに装着された吊込み材をクリップ本体に係合させることにより、吊込み材を再び固定することができる。
したがって、シートカバーに装着された吊込み材のシートクッションへの装着、取外しを、クリップやシートクッションの破損を招くことなく、簡単な操作で行うことが可能となり、クリップやシートクッションの再利用が可能となる。
本発明におけるシートカバー用クリップの一実施形態を示す分解斜視図である。 同クリップを構成するクリップ本体の拡大斜視図である。 同クリップのクリップ本体と固定部材とが薄肉連結片で連結された状態の平面図である。 同クリップのクリップ本体と固定部材とが薄肉連結片で連結された状態の底面図である。 (A)は同クリップのクリップ本体と固定部材とを組付けた状態の拡大正面図、(B)同クリップを構成する固定部材の要部拡大断面図である。 (A)はクリップ本体を固定部材に組付ける前の状態を示す側面図、(B)は固定部材にクリップ本体を組付けた状態を示す側面図である。 同クリップの使用方法を示し、クリップに吊込み材を装着する前の状態を示す斜視図である。 同クリップの使用方法を示し、クリップに吊込み材が装着された状態を示す斜視図である。 同クリップの使用方法を示し、固定部材からクリップ本体を抜き出す状態を示す斜視図である。 同クリップの使用方法を示し、固定部材から抜き出したクリップ本体を、引き上げた状態を示す斜視図である。 本発明におけるシートカバー用クリップの他の実施形態を示し、(A)は要部拡大正面図、(B)は拡大側面図である。
以下、図1〜10を参照して、本発明におけるシートカバー用クリップの一実施形態について説明する。
図1に示すように、このシートカバー用クリップ10(以下、「クリップ10」という)は、図示しないシートカバーに連結された吊込み材7を、シートクッション1(図7参照)に着脱可能に固定するためのもので、前記シートクッション1に固定配置される固定部材20と、この固定部材20に着脱可能に装着されると共に、前記吊込み材7に着脱可能に係合するクリップ本体30とを備えている。なお、この実施形態における前記吊込み材7は、図示しないシートカバーの裏側に縫着されており、その先端にレール状に所定長さで伸びると共に、先細テーパ状をなす係合レール7aが装着されている(図1参照)。そして、係合レール7aの両側縁部7bが、クリップ10に係合するようになっている。
まず、固定部材20について説明する。この固定部材20は、前記シートクッション1に固定される基部21と、この基部21に連設されて、前記クリップ本体30をスライド可能に保持する保持部25とを有している。
図1及び図3〜5に示すように、前記基部21は、矩形状をなした中央部21aと、複数の孔を有し、前記中央部21aの両側に連結された一対の羽根状片21b,21bと、前記中央部21aの表側両側から立ち上がった一対の立設片21c,21cとを有している。
一方、前記保持部25は、前記基部21の立設片21c,21cに連結すると共に、円弧状に屈曲した底部26と、この底部26の両側から一定間隔をあけて立設し、撓み可能とされた一対の保持片27,27とを有し、両端及び上方が開口した略U字状をなしている。前記一対の保持片27,27は、保持部25にクリップ本体30がスライド可能に保持されたときに、クリップ本体30の一対の係合片32,32(後述)の外側に配置されるようになっている(図5(A)参照)。
また、一対の保持片27,27の先端部には、前記クリップ本体30の各係合片32に係合する一対の第2係合爪28,28が設けられている。図5(A),(B)を併せて参照すると、各第2係合爪28は、前記保持片27の先端部から内側に突出する基端部28aと、この基端部28aから前記底部26に向けて斜め下方に伸び、後述するクリップ本体30のガイド溝36にスライド可能に嵌合する先端部28bとから構成されている。
また、各第2係合爪28の先端部28b,28bどうしの間隔D(図5(A)参照)は、前記吊込み材7の係合レール7aが通過可能な間隔となっている。その結果、クリップ本体30がない状態では、係合レール7aを保持部25内から上方開口部27a(図5(B)参照)を通して抜き出すことができるようになっている。
次に、クリップ本体30について説明する。図2に示すように、このクリップ本体30は、円弧状に屈曲すると共に、所定幅で伸びる底部31と、この底部31の両端から、前記底部31と同一幅で立設し、撓み可能とされた一対の係合片32,32とを有し、両端及び上方が開口した略U字状をなし、前記固定部材20の保持部25の内周に適合する形状とされている。
そして、クリップ本体30は、図1に示すように、固定部材20の一端開口部27bから保持部25内に挿入することにより、前記保持部25の底部26及び保持片27,27の内周に沿って、クリップ本体30の底部31及び係合片32,32が配置され、保持部25内にクリップ本体30が収容保持されるようになっている(図5(A)参照)。また、図2及び図5(A)に示すように、各係合片32の内側面には、クリップ本体30の上方開口部32aに向けて、次第に内方に突出するテーパ面32cが形成されている。
更に、各係合片32の先端部の内側からは、前記吊込み材7先端の係合レール7aの両側縁部7b,7b(図1参照)に、スライド可能に係合する一対の第1係合爪35,35が、係合片32の幅方向に沿って突設されている。また、図2及び図5(A)に示すように、各第1係合爪35の内側上面は、クリップ本体上方に向けて斜め外方に傾斜するガイド面35aをなしている。クリップ本体30の上方開口部32aに向けて斜め外方に傾斜するガイド面35aをなしている。このガイド面35aは、前記固定部材20の第2係合爪28の、先端部28bの内側上面に連続する同一の傾斜角度となっている(図5(A)参照)。
したがって、保持部25に保持されたクリップ本体30内に、吊込み材7の係合レール7aを挿入するとき、一対の第1係合爪35,35のガイド面35aが、第2係合爪28の先端部28bの内側上面と相まって挿入ガイドとなる。そして、第1係合爪35,35が、吊込み材7の係合レール7aの両側縁部7b,7bにスライド可能に係合して、同係合レール7aを抜け止め保持するようになっている。
また、図2及び図5(A)に示すように、クリップ本体30の各係合片32の上端面には、前記固定部材20の第2係合爪28がスライド可能に嵌合するガイド溝36が、係合片32の幅方向に沿って所定深さで形成されている。
以上説明した係合片32及び第1係合爪35が、本発明における、吊込み材7に対する「係合部」をなしている。こうして、クリップ本体30は、固定部材20の保持部25にスライド可能に装着されると共に、第1係合爪35により、吊込み材7に着脱可能かつスライド可能に係合するようになっている。
そして、クリップ本体30は、図6,9に示すように、固定部材20の一対の保持片27,27の間に保持された状態で、保持片27の幅を超えてスライドすることにより、一対の保持片27,27の間から抜き出し可能とされている。
また、図5(A)に示すように、前記ガイド溝36の内側面36a,36bのうち、クリップ本体30の外側に位置する内側面36bは、同ガイド溝36の開口部に向けて斜め外側に傾斜した形状となっている。そして、固定部材20の一対の保持片27,27の間にクリップ本体30が保持された状態で、第2係合爪28の先端部28bが、上記傾斜面に当接するようになっている。このため、同クリップ本体30が、固定部材20の上方開口部27aから引き抜かれるように引っ張られたときに、前記第2係合爪28の先端部28bが、クリップ本体30の傾斜した内側面36bに圧接されるように構成されている。
図6(B)に示すように、クリップ本体30の、前記固定部材20の保持部25に対するスライド可能な方向の一端には、保持部25の一端に係合してクリップ本体30の抜けを防止する弾性変形可能な抜け止め爪37が設けられている。この実施形態では、クリップ本体30の底部31の一端に、一対のスリット31a,31aを介して撓み可能な撓み片38が形成され(図4参照)、この撓み片38の先端部に、下部先端にテーパ面を有する抜け止め爪37が突設されている(図2,6参照)。この抜け止め爪37が、保持部25の底部26の一端に係合するようになっている。
また、クリップ本体30の、前記固定部材20の保持部25に対するスライド可能な方向の他端には、保持部25の他端に係合する操作部39が設けられている。図2に示すように、この実施形態では、クリップ本体30の各係合片32の幅方向他端から突片39a,39aが所定長さで伸び、各突片39aの基端外面から押込規制突起39bが突設し、同突片39aの先端外面から操作突起39cが突設されている。各突起39b,39cは、係合片32外面から所定高さ高く突出している。また、前記押込規制突起39bは、保持部25の各保持片27の幅方向他端に係合して、保持部25に対するクリップ本体30の過度の押込を防止する部分となっている。これらの押込規制突起39b及び操作突起39cが、本発明における「操作部39」をなしている。
更に、クリップ本体30の各係合片32のガイド溝36が設けられた部分は、クリップ本体30の固定部材20に対するスライド方向に沿って(前記保持部25への挿入方向に向けて)突出している。この実施形態では、各係合片32の幅方向一端(操作部39とは反対側の端部)の、係合片32上端部及び第1係合爪35に整合する位置から、それらと同一形状の延長片40が延出している。この延長片40の上端面に、前記ガイド溝36に連続する延長ガイド溝40aが形成されており、ガイド溝36と同様に、前記固定部材20の第2係合爪28がスライド可能に嵌合する部分となっている。
そして、この実施形態においては、上記構造のクリップ本体30は、固定部材20に対して一体成形されるようになっている。すなわち、図3及び図4に示すように、クリップ本体30と固定部材20とが、スライド方向に移動して分離して、第2係合爪28とガイド溝36との位置が整合した状態で、両者が破断可能な薄肉連結片41を介して連結された形状をなし(図3の部分拡大図参照)、クリップ本体30と固定部材20とが一体成形されている。
次に本発明のクリップ10の使用方法及び作用効果について説明する。
前述したように、この実施形態においては、クリップ本体30と固定部材20とが、スライド方向に移動して分離した状態で、破断可能な薄肉連結片41を介して一体成形されている(図3参照)ので、両部材を組付けるときには、薄肉連結片41を破断して、固定部材20の保持部25内にクリップ本体30を挿入する必要がある。このとき、クリップ本体30と固定部材20とは、スライド方向に移動して分離した状態で連結されているので、クリップ本体30を固定部材20に向けて押し込むことにより、薄肉連結片41が自然に破断し、保持部25にクリップ本体30をスムーズに組付けることができる。
こうして、図1に示すように、固定部材20を構成する保持部25の底部26及び一対の保持片27,27に、クリップ本体30の底部31及び一対の係合片32,32を整合させて、固定部材20の一方の側方開口部27bから、クリップ本体30を挿入する。
このとき、この実施形態においては、クリップ本体30の、係合片32のガイド溝36が設けられた部分から、保持部25への挿入方向に向けて、ガイド溝36に連続する延長ガイド溝40aを有する延長片40が突出している。このため、クリップ本体30を保持部25に挿入する際に、保持部25の第2係合爪28を、延長ガイド溝40aを通して、ガイド溝36へスムーズに挿入することができ、クリップ本体30の保持部25への挿入操作が容易となる。
こうしてクリップ本体30を保持部25に挿入していくと、第2係合爪28の先端部28bがガイド溝36内に進入して、クリップ本体30がスライド移動し、抜け止め爪37が保持部25の底部26内周に押圧されて内方に弾性変形しつつ、クリップ本体30が保持部25内に押し込まれていく。更に、クリップ本体30が押し込まれて、抜け止め爪37が保持部25内から抜け出ると、弾性復帰して、保持部25の底部26の幅方向一端に係合する。このとき、一対の押込規制突起39b,39bが、保持部25の保持片27の幅方向他端周縁に係合し、クリップ本体30の過度の押込みが規制される。
その結果、図5(A)、図6(B)及び図7に示すように、保持部25の底部26及び保持片27,27の内周に沿って、クリップ本体30の底部31及び係合片32,32が密接配置されると共に、第2係合爪28の先端部28bがガイド溝36内にスライド可能に嵌合し、更に、抜け止め爪37が保持部25の底部26の幅方向一端に係合して、保持部25内にクリップ本体30を抜け止め保持されると共にスライド可能に装着される(図5(A)及び図7参照)。
そして、クリップ本体30が装着された固定部材20は、図7に示すように、その基部21の羽根状片21b,21bがシートクッション1に埋設されると共に、保持部25がシートクッション1の差込溝3から突出するように、シートクッション1に固定配置される。なお、固定部材20は、クリップ本体30を装着する前に、シートクッション1に固定配置されていてもよい。
この状態で、図7に示すように、吊込み材7の係合レール7aを、シートクッション1の差込溝3を通して、クリップ10の上方開口に差し込んでいく。すると、先細テーパ状の係合レール7aが、第2係合爪28の先端部28bの内側上面、及び、第1係合爪35のガイド面35a(図5(A)参照)によりガイドされると共に、一対の係合片32,32及びその外側の一対の保持片27,27を押し広げつつ、上方開口部32aからクリップ本体30内に挿入される。
そして、係合レール7aの両側縁部7b,7bが第1係合爪35を乗り越えるまで、クリップ本体30を押し込むことにより、係合片32及び保持片27が弾性復帰して、一対の第1係合爪35,35が係合レール7aの両側縁部7b,7bにそれぞれ係合する。その結果、更にクリップ本体30が、吊込み材7に着脱可能かつスライド可能に係合すると共に、吊込み材7を抜け止め保持する(図8参照)。こうして、クリップ10によりシートカバー裏側の吊込み材7が吊込み支持され、シートクッション1の表面側に、図示しないシートカバーを被覆させることができる。
なお、この実施形態では、固定部材20の保持部25にクリップ本体30を装着させた後、吊込み材7をクリップ本体30に係合させるようにしているが、吊込み材7の係合レール7aにクリップ本体30を予め装着しておき、これを固定部材20の保持部25内に挿入することにより、固定部材20にクリップ本体30を装着させてもよく、各部材の取付順序は特に限定されるものではない。
上記のように、この実施形態においては、クリップ本体30を保持部25内に挿入し、一対の保持片27,27の間に保持させることにより、各保持片27の第2係合爪28,28がクリップ本体30の係合片32,32にそれぞれ係合して、クリップ本体30を固定部材20に装着することができる。このとき、吊込み材7の係合レール7aが、クリップ本体30の係合片32と、その外側に配置された保持部25保持片27との二重構造によって覆われることとなるので、吊込み材7をより強固に保持することができる。
そして、シートカバー等のメンテナンスのために、シートカバーを取り外したいときには、シートカバーの裏側に手を差し入れて、操作部39の操作突起39c(図2及び図6参照)を指で摘んで、クリップ本体30を保持部25から強く引っ張る。すると、抜け止め爪37が保持部25の底部26内周に押圧されて内方に弾性変形し、底部26の幅方向一端から外れて係合が解除され、その状態でクリップ本体30を保持部25の保持片27の幅を超えてスライドさせることにより、図9に示すように、固定部材20の一方の側方開口部27bからクリップ本体30を抜き出すことができる。
次いで、吊込み材7の係合レール7aにクリップ本体30が装着されたままの状態で、図10の矢印に示すように、吊込み材7を上方に引っ張ることにより、第2係合爪28,28の間から、吊込み材7の係合レール7aを引き抜くことができ、シートクッション1からシートカバーを取外すことができる。
このように、この実施形態においては、クリップ本体30を固定部材20から取外したいときには、クリップ本体30を保持部25の保持片27の幅方向に、該幅を超えてスライドさせることにより、保持部25からクリップ本体30を抜き出すことができる。そして、各保持片27の第2係合爪28の先端部28b,28bどうしの間隔D(図5(A)参照)は、吊込み材7の係合レール7aが通過可能な間隔とされているので、固定部材20からクリップ本体30が取外されると、図10に示すように、吊込み材7の係合レール7aを固定部材20の保持片27,27から抜き出して、吊込み材7を開放することができる。
また、固定部材20からクリップ本体30を抜き出すとき、この実施形態においては、クリップ本体30に抜け止め爪37及び操作部39を設けたことにより、操作部39を摘んで強く引っ張るだけの簡単な操作で、抜け止め爪37が弾性変形して係合が解除され、クリップ本体30を保持部25からスムーズに抜き出すことができる。また、クリップ本体30の操作部39を指で摘んで、固定部材20の保持部25に挿脱することができる。更に、保持部25にクリップ本体30を挿入すると、抜け止め爪37が保持部25の底部26の幅方向一端に係合して抜け止めがなされて、保持部25にクリップ本体30をしっかりと装着することができる。
更に、この実施形態においては、クリップ本体30に、操作部39として押込規制突起39b及び操作突起39cを設けたことにより、保持部25の保持片27の幅方向他端に押込規制突起39bが係合して過度な押込が防止され、それによって操作突起39cを突き出した位置に保持することができる。したがって、クリップ本体30を保持部25に安定して保持させることができると共に、クリップ本体30を保持部25から抜き出したいときに、操作突起39cを容易に摘むことができる。
そして、図10に示すように、固定部材20からクリップ本体30を抜き出した後、吊込み材7の係合レール7aに装着されたクリップ本体30を、再び固定部材20の保持部25に装着するか、或いは、クリップ本体30を一旦吊込み材7の係合レール7aから取外して、固定部材20の保持部25に装着しておき(図7参照)、その状態でシートカバーに装着された吊込み材7の係合レール7aを、クリップ本体30に係合させることにより、吊込み材7を再び固定することができる。
このように、このクリップ10においては、シートカバーに装着された吊込み材7のシートクッションからの取外しを、吊込み材7を強い力で無理に引っ張ること等によって行わずに、クリップ本体30の固定部材20に対するスライド操作によって行うようにしたので、クリップ10やシートクッション1の破損を招くことなく、簡単な操作で取外すことが可能となり、クリップ10やシートクッション1の再利用が可能となる。
また、この実施形態においては、クリップ本体30を固定部材20の一対の保持片27,27の間に挿入したとき、保持片27の第2係合爪28が、クリップ本体30のガイド溝36に係合するので、クリップ本体30をしっかりと保持することができる。また、クリップ本体30を固定部材20から取外したいときには、クリップ本体30のガイド溝36に沿って第2係合爪28を移動させることにより、クリップ本体30を安定してスライドさせることができる。
ところで、シートクッション1を覆うシートカバーが何らかの理由により、引っ張られることがある。このとき、この実施形態においては、ガイド溝36のクリップ本体30の外側に位置する内側面36bが、同ガイド溝36の開口部に向けて斜め外側に傾斜した形状となっている。その結果、シートカバーを介して吊込み材7が引っ張られて、第1係合爪35を介して係合片32が引っ張られたときに、前記内側面36bに、固定部材20の第2係合爪28の先端部28bが圧接されて、固定部材20の保持片27,27を閉じる方向に付勢するので(図5(A)の矢印参照)、クリップ本体30を固定部材20の保持片27,27の間により強固に保持させることができる。
図11には、本発明におけるシートカバー用クリップの他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
この実施形態におけるシートカバー用クリップ10a(以下、「クリップ10a」という)は、固定部材20aが、板状の基部21と、その中央から柱状に立設して、クリップ本体30aをスライド保持する保持部25aとを有している。保持部25aの先端には、拡径した頭部25bが突設されている。
一方、クリップ本体30aは、その底部から一対の挟持片34,34が立設しており、各挟持片34の先端内側から第3係合爪34a,34aが対向して突設されている。
そして、保持部25aの両側を、クリップ本体30aの一対の挟持片34,34により挟み込み、その第3係合爪34a,34aを保持部25aの頭部25bの下端部に係合させることにより、保持部25aに対してクリップ本体30aがスライド可能に保持されるようになっている。
また、クリップ本体30aの上部には、一対の係合片32が立設され、その上端内側に第1係合爪35が形成されている。そして、吊込み材7を係合片32の間に上方から押し込むことにより、第1係合爪35が、吊込み材7の係合レール7aの両側縁部7bに係合し、吊込み材7がクリップ10aに保持されるようになっている。
このようなクリップ10aにおいても、前記クリップ10と同様に、クリップ本体30aを固定部材20aに対してスライドさせることにより、固定部材20aから抜き出すことができるので、クリップ10aの破損を生じることなく、吊込み材7をシートクッションから取り外して、クリップ10aを再利用することができる。
1 シートクッション
7 吊込み材
7b,7b 両側縁部
10,10a シートカバー用クリップ(クリップ)
20,20a 固定部材
21 基部
25,25a 保持部
27 保持片
28 第2係合爪
30,30a クリップ本体
32 係合片
35 第1係合爪
36 ガイド溝
36a 内側面
37 抜け止め爪
39 操作部
39b 押込規制突起
39c 操作突起
41 薄肉連結片

Claims (8)

  1. シートカバーに装着された吊込み材を、シートクッションに着脱可能に固定するためのシートカバー用クリップにおいて、
    前記シートクッションに固定配置される固定部材と、
    この固定部材に着脱可能に装着されると共に、前記吊込み材に着脱可能に係合するクリップ本体とを備え、
    前記固定部材は、前記シートクッションに固定される基部と、この基部に連設されて、前記クリップ本体をスライド可能に保持する保持部とを有し、
    前記クリップ本体は、前記固定部材の保持部にスライド可能に装着されると共に、前記吊込み材に着脱可能かつスライド可能に係合する係合部を有し、
    前記クリップ本体は、前記固定部材に対してスライドさせることにより、前記固定部材から抜き出すことが可能に構成されていることを特徴とするシートカバー用クリップ。
  2. 前記クリップ本体は、前記吊込み材に係合する第1係合爪を内側に有する一対の係合片を備えており、
    前記固定部材の保持部は、前記クリップ本体の前記係合片の外側に配置され、前記係合片に係合する第2係合爪を内側に有する一対の保持片を備え、前記第2係合爪の間隔は、前記吊込み材が通過可能な間隔とされており、
    前記クリップ本体は、前記固定部材の前記保持片に保持された状態で、前記保持片の幅方向にスライド可能とされ、前記保持片の幅を超えてスライドすることにより、前記保持片から抜き出し可能とされている請求項1記載のシートカバー用クリップ。
  3. 前記クリップ本体の前記係合片には、前記固定部材の前記保持片の第2係合爪が嵌合するガイド溝が形成されており、前記クリップ本体を前記固定部材に対してスライドさせるとき、前記第2係合爪が前記ガイド溝に沿って移動するように構成されている請求項2記載のシートカバー用クリップ。
  4. 前記クリップ本体の前記ガイド溝の内側面のうち、前記クリップ本体の外側に位置する内側面は、前記ガイド溝の開口部に向けて外側に傾斜しており、前記固定部材の前記保持片に、前記クリップ本体が保持された状態で、前記第2係合爪が該傾斜した内側面に当接可能に構成されている請求項3記載のシートカバー用クリップ。
  5. 前記クリップ本体の前記係合片の前記ガイド溝が設けられた部分は、前記スライド方向に沿って突出している請求項3又は4記載のシートカバー用クリップ。
  6. 前記クリップ本体の、前記固定部材の前記保持部に対するスライド方向の一端には、前記保持部の一端に係合して前記クリップ本体の抜けを防止する弾性変形可能な抜け止め爪が設けられており、前記クリップ本体の、前記固定部材の前記保持部に対するスライド方向の他端には、前記保持部の他端に係合する操作部が設けられている請求項2〜5のいずれか1項に記載のシートカバー用クリップ。
  7. 前記クリップ本体の、前記固定部材の前記保持部に対するスライド方向の他端には、前記保持部の他端に係合して前記クリップ本体の過度な押込を防止する押込規制突起と、この押込規制爪の更に外側に位置する操作突起とが設けられており、これらが前記操作部をなしている請求項6記載のシートカバー用クリップ。
  8. 前記クリップ本体と前記固定部材とが、前記スライド方向に移動して分離した状態で、破断可能な薄肉連結片を介して連結されている請求項1〜7のいずれか1項に記載のシートカバー用クリップ。
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