JP2012217754A - 止着用クリップ - Google Patents
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Abstract
【課題】表皮材の吊込み部を止着用クリップに対して横ズレしないように係止させられるようにする。
【解決手段】表皮材3の一部をクッションパッド2の吊込み溝2A内に吊り込んで止着させる止着用クリップ10であって、チャック部11とフック部12とを有する。チャック部11は、表皮材3に設けられた吊込み部3Cを間に差し込むことで、吊込み部3Cを両側から囲い込んで係止させた状態となる一対の挟持片11Aを備える。フック部12は、吊込み溝2A内に設けられたワイヤー2Cに掛けられて係止される。吊込み部3Cが各挟持片11Aの間に差し込まれることで、各挟持片11Aに形成された突出形状11Dが吊込み部3Cに斜めに押圧されて各挟持片11Aが押し広げられ、その後の各挟持片11Aの復元に伴う弾発力により、吊込み部3Cが各突出形状11Dによって押し返されて各挟持片11Aの閉じ部11Bに弾性的に押し付けた状態に保持される。
【選択図】図1
【解決手段】表皮材3の一部をクッションパッド2の吊込み溝2A内に吊り込んで止着させる止着用クリップ10であって、チャック部11とフック部12とを有する。チャック部11は、表皮材3に設けられた吊込み部3Cを間に差し込むことで、吊込み部3Cを両側から囲い込んで係止させた状態となる一対の挟持片11Aを備える。フック部12は、吊込み溝2A内に設けられたワイヤー2Cに掛けられて係止される。吊込み部3Cが各挟持片11Aの間に差し込まれることで、各挟持片11Aに形成された突出形状11Dが吊込み部3Cに斜めに押圧されて各挟持片11Aが押し広げられ、その後の各挟持片11Aの復元に伴う弾発力により、吊込み部3Cが各突出形状11Dによって押し返されて各挟持片11Aの閉じ部11Bに弾性的に押し付けた状態に保持される。
【選択図】図1
Description
本発明は、止着用クリップに関する。詳しくは、表皮材の一部をクッションパッドに形成された吊込み溝内に吊り込んで止着させられるようにする止着用クリップに関する。
従来、車両用シートにおいて、表皮材をクッションパッドの表面に密着させた状態に張設するために、表皮材の所々の面部を、樹脂製の止着用クリップを用いて、クッションパッドに形成された吊込み溝内に吊り込んで止着させるようにした構成が知られている(下記特許文献1参照)。上記止着用クリップは、表皮材の裏面に取り付けられた吊込み部を差し込んで係止させるためのチャック部と、クッションパッドの吊込み溝内に一部が露呈するように埋設された止着用のワイヤーに引掛けられて係止されるフック部と、を有する構成とされている。上記チャック部は、一対の挟持片により構成され、これら挟持片の間に上記吊込み部が差し込まれると、両挟持片が一旦押し広げられた後に、その入り口側の開口を塞ぐように弾性的に復元変形して、差し込まれた吊込み部を両挟持片によって囲み込んだ状態となって抜け止めした状態に保持する構成となっている。
しかし、上記特許文献1に開示された技術では、吊込み部は、チャック部の両挟持片により抜け止めはされるが、両挟持片の間を横に抜ける方向には係止されておらず、横ズレが生じうる構成となっている。本発明は、上記問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、表皮材の吊込み部を、止着用クリップに対して横ズレしないように係止させられるようにすることにある。
上記課題を解決するために、本発明の止着用クリップは次の手段をとる。
第1の発明は、表皮材の一部をクッションパッドに形成された吊込み溝内に吊り込んで止着させられるようにする止着用クリップであって、チャック部とフック部とを有する。チャック部は、表皮材に取り付けられた吊込み部を間に差し込むことにより、この吊込み部によって弾性的に両側へ押し退けられた後に復元し、吊込み部を両側から囲い込んだ状態となるように閉じて抜け止め可能に係止させた状態となる一対の挟持片を備える。フック部は、クッションパッドの吊込み溝内に設けられた係止部材に掛けられて係止される。一対の各挟持片には、互いに対向する側に向かって突出する突出形状が形成されている。各突出形状は、吊込み部が一対の各挟持片の間に差し込まれることで、この吊込み部に斜めに押し当てられて各挟持片を押し広げる方向に作用力を及ぼした後、各挟持片の復元に伴う弾発力により、吊込み部に差し込み方向とは反対方向への押圧力をかけた状態となって吊込み部を各挟持片の開口側の閉じ部に弾性的に押し付けた状態に保持する。
第1の発明は、表皮材の一部をクッションパッドに形成された吊込み溝内に吊り込んで止着させられるようにする止着用クリップであって、チャック部とフック部とを有する。チャック部は、表皮材に取り付けられた吊込み部を間に差し込むことにより、この吊込み部によって弾性的に両側へ押し退けられた後に復元し、吊込み部を両側から囲い込んだ状態となるように閉じて抜け止め可能に係止させた状態となる一対の挟持片を備える。フック部は、クッションパッドの吊込み溝内に設けられた係止部材に掛けられて係止される。一対の各挟持片には、互いに対向する側に向かって突出する突出形状が形成されている。各突出形状は、吊込み部が一対の各挟持片の間に差し込まれることで、この吊込み部に斜めに押し当てられて各挟持片を押し広げる方向に作用力を及ぼした後、各挟持片の復元に伴う弾発力により、吊込み部に差し込み方向とは反対方向への押圧力をかけた状態となって吊込み部を各挟持片の開口側の閉じ部に弾性的に押し付けた状態に保持する。
この第1の発明によれば、吊込み部がチャック部の両挟持片の間に差し込まれることにより、両挟持片に形成された突出形状が、それぞれ、吊込み部に斜めに押し当たって両挟持片を押し広げる。その後、両挟持片の復元に伴う弾発力により、各突出形状が吊込み部に差し込み方向とは反対方向への押圧力をかける。これにより、吊込み部が、各挟持片の開口側の閉じ部に弾性的に押し付けられた状態となって保持される。この押し付け力により、吊込み部を、止着用クリップに対して横ズレ(両挟持片の間を横に抜ける方向へのズレ)しないように係止させることができる。
第2の発明は、上述した第1の発明において、各突出形状が、吊込み部に対してその差し込み方向とは垂直な方向に斜めに当接する傾斜面として形成されているものである。
この第2の発明によれば、各突出形状が吊込み部に対して斜めに当接する傾斜面として形成されていることにより、吊込み部の形状に関係なく、各突出形状が吊込み部に斜めに押し当たるようになる。したがって、吊込み部の形状に関係なく、吊込み部を各挟持片の開口側の閉じ部に弾性的に押し付けることができ、吊込み部の止着用クリップに対する横ズレを防止することができる。
第3の発明は、上述した第2の発明において、各突出形状が、吊込み部の差し込み方向に円弧状に湾曲する張り出し面として形成されているものである。
この第3の発明によれば、各突出形状が円弧状に湾曲して形成されていることで、各突出形状を内側に向けてより大きく張り出させつつ、それらの間に吊込み部を差し込めるスペースを確保することができる。したがって、吊込み部を各挟持片の開口側の閉じ部に押し付ける弾発力をより大きく働かせられるように突出量を大きく設定することができ、吊込み部の止着用クリップに対する横ズレをより効果的に防止することができる。
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
始めに、実施例1の止着用クリップ10の構成について、図1〜図8を用いて説明する。本実施例の止着用クリップ10は、図1〜図2に示すように、車両用シートのシートクッション1において、布材から成る表皮材3をウレタン樹脂の発泡体より成るクッションパッド2の表面に密着させた状態に張設するために、表皮材3の所々の面部を、クッションパッド2に形成された吊込み溝2A内に吊り込んで止着させるために用いられるものである。具体的には、上記止着用クリップ10は、シートクッション1の着座部となる中央部とその側方に膨らんで形成されるサイドサポート部との間の境界箇所など、表皮材3の張設に「浮き」や「皺」などの不具合が発生しうる箇所において、このような不具合を生じさせないように表皮材3の一部を、同箇所に沿って形成されたクッションパッド2の吊込み溝2A内に吊り込んで止着させることにより、表皮材3をクッションパッド2の表面に良好に密着させた状態に張設できるようにするものである。
上記止着用クリップ10は、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂材料により一体成形されており、チャック部11と、フック部12と、を有する。チャック部11は、表皮材3の裏面部に取り付けられた吊込み部3Cを差し込みにより係着させられるようになっている。フック部12は、クッションパッド2の吊込み溝2A内に一部が露呈するように埋設された止着用のワイヤー2Cに引掛けて係着させられるようになっている。ここで、ワイヤー2Cが本発明の「係止部材」に相当する。上記チャック部11は、詳しくは、上記吊込み部3Cを図示上方側から間に差し込むことで、この吊込み部3Cを両側から囲い込んで抜け止め可能に係止させた状態となる一対の挟持片11Aを有する。
上記一対の挟持片11Aは、図3に示すように、チャック部11の底面部11E上の互いに離間する2箇所の位置から、それぞれ図示上方側に向かって斜め外方側に開くように延出し、その途中から、真っ直ぐ上方側に向かって延出する形に形成されている。これら挟持片11Aの上端部には、それぞれ、互いに対向する側(内側)に向かって垂直に延びる閉じ部11Bが形成されており、各閉じ部11Bの内側の端部には、図示下方側に向かって突出する突起11Cが形成されている。上記各閉じ部11Bは、互いの対向する内側面の間に隙間が設定されており、この隙間から上述した吊込み部3Cを上方側から間に差し込めるようになっている。
ここで、図1〜図2に示すように、上記吊込み部3Cは、上記表皮材3の吊込み溝2A内に吊り込まれる箇所の裏面部において、次のように取り付けられている。すなわち、吊込み部3Cは、上記表皮材3のクッションパッド2の中央部に被覆される面材の縁部とサイドサポート部に被覆される面材の縁部とが互いに表皮材3の裏面側に出っ張るように面合わせされて縫合された縫合部3Aに対し、この縫合部3Aと一緒に縫合された吊込み布3Bの図示下端側の縁部に一体的に結合されて設けられている。上記吊込み布3Bは、縫合部3Aが形成された長手方向の広い領域に亘って連続的に長く形成されて設けられており、吊込み部3Cは、この吊込み布3Bの所々の箇所に、その一つ一つは長尺状に形成されて断続的に複数設けられている。上記吊込み布3Bの吊込み部3Cが結合されていない箇所は、部分的に切り欠かれて布長が短くなっており、吊込み部3Cを設定した各布箇所が独立して曲げ撓ませやすくなっている。また、上記各吊込み部3Cをクッションパッド2の吊込み溝2A内に吊り込んで止着させるための止着用クリップ10、及び止着用クリップ10を係着させるためのワイヤー2Cの露呈部(止着溝2B)は、それぞれ、各吊込み部3Cの設定箇所に対応した長手方向の各箇所に断続的に複数並んで設けられている。
上記吊込み部3Cは、図2及び図4に示すように、その差し込みの先端側となる下端側に向けて形状が先細り状に延びる逆三角形の断面形状に形成され、その先細り形状の両側面を成す各面が、それぞれ、外側に膨らむように湾曲した傾斜面3C1として形成されている。また、吊込み部3Cの図示上方側の面部上には、その両端側の部位に、それぞれ上方側に向かって突出する突起3C2が形成されている。これら突起3C2は、吊込み部3Cの長手方向に連続的に延びる条状に形成されている。上記吊込み部3Cは、図4〜図8に示すように、上記止着用クリップ10のチャック部11に対し、次のように差し込まれて係着される。
すなわち、図4に示すように、上記吊込み部3Cを、上記チャック部11の両挟持片11Aの閉じ部11Bの間の隙間内に差し込むように下方側へ押し込むことにより、各閉じ部11Bが吊込み部3Cの各傾斜面3C1によって両外側に押し開けられるように力を受ける。これにより、図5に示すように、各挟持片11Aが、その底面部11Eと結合された下端部を支点に両外側に押し開かれるように撓み変形し、両挟持片11Aの間の隙間内に吊込み部3Cが差し込まれる。この吊込み部3Cの差し込みは、図6に示すように、吊込み部3Cが両閉じ部11Bとの当接から下方側へ抜けて、吊込み部3Cの先端部(下端部)がチャック部11の底面部11Eに当たって底付きする位置まで行えるようになっている。この吊込み部3Cの上記両閉じ部11Bとの当接を越えた後の底付き位置までの差し込みにより、両挟持片11Aは、それらに形成された突出形状11Dが、吊込み部3Cの両傾斜面3C1により両外側に押圧されて、両外側へ大きく押し広げられるように撓み変形するようになっている。
ここで、上記各突出形状11Dは、図3に示すように、前述した各挟持片11Aの底面部11Eとの結合部から上斜め外側に延出する各部位が、互いに内向する側に向かって湾曲して形成されていることにより、互いに内向する側に円弧状に湾曲して張り出した形に形成されている。これにより、各突出形状11Dは、図6に示すように、両挟持片11Aの間に吊込み部3Cが差し込まれてくることによって、この吊込み部3Cの各傾斜面3C1に対して差し込み方向とは垂直な方向(図示左方向又は右方向)に斜めに当接して、吊込み部3Cの差し込み移動と共に両挟持片11Aを両外側へ大きく撓み変形させるようになっている。
上記吊込み部3Cは、上記図6に示した底付き位置まで差し込まれた後、差し込みの操作から手が離されることにより、図7に示すように、両挟持片11Aの復元に伴う弾発力によって、両傾斜面3C1が当接している突出形状11Dにより、差し込み方向とは反対方向に押し返される。この押し返し移動は、図8に示すように、両挟持片11Aの復元変形に伴い開口を閉じる方向(内方向)に移動した両閉じ部11Bに、吊込み部3Cの上面部の両端部に形成された各突起3C2が当接することで係止される。この係止状態では、図4の状態(自由状態)と図8の状態とを比較して分かるように、両挟持片11Aの復元変形は完全には終わっておらず、復元に伴う弾発力が、各突出形状11Dから吊込み部3Cにかけられて、吊込み部3Cが各閉じ部11Bに押し付けられた状態として保持される。
この押し付け力により、吊込み部3Cは、チャック部11に対して、縦ズレ及び横ズレ(両挟持片11Aの間を横に抜ける方向(図2で前述した吊込み部3Cの長手方向)へのズレ)しないように保持された状態となる。これにより、吊込み部3Cは、その止着用クリップ10に係着された使用状態では、表皮材3の張力や着座使用に伴う荷重作用によって上記縦ズレ方向や横ズレ方向に引張られる力がかけられても、各方向にズレないように止着用クリップ10に安定して保持されるようになっている。詳しくは、上記吊込み部3Cは、図8に示すように、その上面部上の各突起3C2がチャック部11の各閉じ部11Bに押し付けられた状態では、各突起3C2の両内側に、各閉じ部11Bの内側の端部に形成された各突起11Cがそれぞれ位置付けられるようになっている。これにより、吊込み部3Cは、その使用時に、表皮材3にかかる張力作用によって、チャック部11に対して図示右方側や左方側、或いは長手方向側に斜めに引張られるような力がかけられても、上記突起3C2,11C同士の係合により、チャック部11から外れないように強い力で抜け止めされた状態に保持されるようになっている。
次に、フック部12の構成について説明する。図3に示すように、フック部12は、ガイド片12Aと、フック片12Bと、受止片12Cと、を有する。ガイド片12Aは、上記チャック部11の一方側の挟持片11Aの外側の面部上から延出して、そこから下方側へ垂下するように延出する形に形成されている。フック片12Bは、他方側の挟持片11Aの外側の面部上から延出して、そこから下方側へ向かって内側(ガイド片12Aと対向する側)に鉤状に曲げ返されるように延出する形に形成されている。受止片12Cは、チャック部11の底面部11Eの底面側に凹状の湾曲面12C1を形成するように形成されている。上記フック部12は、図1〜図2に示すように、これをクッションパッド2の吊込み溝2A内に露呈するワイヤー2Cに押し込むように操作することにより、ワイヤー2Cをガイド片12Aとフック片12Bの先端部分とによって形成される先細り状の隙間内へと導いて、ワイヤー2Cをガイド片12Aとフック片12Bと受止片12Cとによって囲まれた空間12D内に入り込ませて、ワイヤー2Cをフック片12Bによって抜け止め可能に引掛けて係着させた状態とする構成となっている。
詳しくは、図3に示すように、上記ガイド片12Aには、そのフック片12Bと対向する下部領域の内側の面部上に、図示上方側に向かって突出量が次第に大きくなっていく形に傾斜するガイド突起12A1が形成されている。また、フック片12Bは、その鉤状に曲げ返された先の中央部箇所に、部分的に形状が先細り状に突出する形の先端突起12B1が形成されており、図1に示すように、その先の尖った先端部分が上述したガイド片12Aのガイド突起12A1と近接した状態をとるように形成されている。また、受止片12Cは、上記ガイド片12Aとフック片12Bの先端部分との間の隙間内に差し込まれたワイヤー2Cを、その湾曲面12C1の形状によって、フック片12Bの曲返された部位の直上位置にくるように案内して位置決めする機能をするものとなっている。上記湾曲面12C1は、上記フック片12Bの曲返し部位の直上位置に、その凹みの最も深い部位がくるように形成されており、差し込まれてきたワイヤー2Cがその面上に当接することで、ワイヤー2Cをその最も深く凹む面位置に移動させるようになっている。
上記フック部12は、先に、前述した表皮材3の裏面部に取り付けられた吊込み部3Cを止着用クリップ10のチャック部11に差し込んで係着させた状態にしてから、クッションパッド2の吊込み溝2A内に露呈するワイヤー2Cに押し込まれて係着される。ここで、図2に示すように、上記ワイヤー2Cは、クッションパッド2の発泡成形時にインサートされることで、吊込み溝2Aよりも更に深い箇所に埋まり込んだ状態で設けられており、吊込み溝2Aの所々の箇所に吊込み溝2Aよりも更に深く凹むように形成された止着溝2Bにより、その一部が外部に露呈された状態とされて設けられている。
上記構成のフック部12は、これを上述した止着溝2B内に露呈するワイヤー2Cに押し込んで、ワイヤー2Cをガイド片12Aのガイド突起12A1とフック片12Bの先端部分との間の隙間内に差し込むことにより、ガイド片12Aとフック片12Bとがワイヤー2Cの押し込み力によって、それらの根元部となるチャック部11の各側面部との結合端部を支点にそれぞれ両外側に押し開かれるように撓み変形し、ワイヤー2Cを受止片12Cの湾曲面12C1上に当接する位置まで受け入れる。これにより、ガイド片12A及びフック片12Bが、ワイヤー2Cとの当接状態から外れて復元変形し、ガイド突起12A1とフック片12Bの先端部分との間の開口が閉じられる。その後、フック部12の止着溝2B内への差し込みの操作から手が離されることにより、止着用クリップ10が表皮材3にかかる張力によって差し込み方向とは反対方向に引張り込まれて、ワイヤー2Cがフック片12Bに掛かった状態となって係着される。これにより、表皮材3の一部が、クッションパッド2の吊込み溝2A内に吊り込まれて止着された状態とされて保持される。
ここで、上記フック片12Bの曲返された下端側部位の外側部には、フック片12Bが曲げ返される方向とは反対方向に曲げ返される形の治具掛部12B2が形成されている。この治具掛部12B2は、フック部12に係着されたワイヤー2Cを、フック部12との係着から外す際に、図示しないドライバー等の治具をその曲返された溝形状内に差し込んでフック片12Bを外側に強制的に曲げ変形させることで、ガイド片12Aとの間の隙間を広げてワイヤー2Cを外し出せるようにするためのものである。
このように、本実施例の止着用クリップ10によれば、吊込み部3Cがチャック部11の両挟持片11Aの間に差し込まれることにより、両挟持片11Aに形成された突出形状11Dが、それぞれ、吊込み部3Cに斜めに押し当たって両挟持片11Aを押し広げる。その後、両挟持片11Aの復元に伴う弾発力により、各突出形状11Dが吊込み部3Cに差し込み方向とは反対方向への押圧力(押し返し力)をかける。これにより、吊込み部3Cが、各挟持片11Aの閉じ部11Bに弾性的に押し付けられた状態となって保持される。この押し付け力により、吊込み部3Cを、止着用クリップ10に対して横ズレ(両挟持片11Aの間を横に抜ける方向へのズレ)しないように係止させることができる。
また、各突出形状11Dが吊込み部3Cに対して斜めに当接する傾斜面として形成されていることにより、吊込み部3Cの形状に関係なく、各突出形状11Dが吊込み部3Cに斜めに押し当たるようになる。したがって、吊込み部3Cの形状に関係なく、吊込み部3Cを各挟持片11Aの閉じ部11Bに弾性的に押し付けることができ、吊込み部3Cの止着用クリップ10に対する横ズレを防止することができる。また、各突出形状11Dが円弧状に湾曲して形成されていることで、各突出形状11Dを内側に向けてより大きく張り出させつつ、それらの間に吊込み部3Cを差し込めるスペースを確保することができる。したがって、吊込み部3Cを各挟持片11Aの閉じ部11Bに押し付ける弾発力をより大きく働かせられるように突出量を大きく設定することができ、吊込み部3Cの止着用クリップ10に対する横ズレをより効果的に防止することができる。
続いて、実施例2の止着用クリップ10の構成について、図9〜図11を用いて説明する。なお、本実施例では、実施例1で示した各構成と実質的に同様の構成となっている箇所には、同一の符号を付して説明を省略し、異なる箇所について詳しく説明することとする。本実施例の止着用クリップ10は、図9に示すように、チャック部11の両挟持片11Aに形成される突出形状11Dが、両挟持片11Aの斜め外方側に開くように延出する面部上から、互いに内向する側に向かって角ばった形に突出する形状として形成されている。このように、各突出形状11Dが角ばった形に突出して形成されていても、吊込み部3Cが、下端側に向かって先細り状に延びる逆三角形の断面形状に形成されているため、図10に示すように、吊込み部3Cの差し込みにより、各突出形状11Dが、吊込み部3Cの両傾斜面3C1によって両外側に押圧されて、両挟持片11Aが両外側へ大きく押し広げられるように撓み変形するようになっている。また、両挟持片11Aが押し広げられた後には、その復元に伴う弾発力により、図11に示すように、吊込み部3Cが各突出形状11Dからの押し返し力を受けて、閉じ部11Bに押し付けられた状態とされて保持されるようになっている。このように、吊込み部3Cに傾斜面3C1が形成されている場合には、止着用クリップ10に形成する突出形状11Dを角ばった形にしても、吊込み部3Cをチャック部11の閉じ部11Bに押し付けて保持する弾発力を発揮可能な構成を得ることができる。
以上、本発明の実施形態を2つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施できるものである。例えば、本発明の止着用クリップは、車両用シートのシートクッション以外にも、シートバック等の他のシート構造部において、表皮材の一部をクッションパッドに形成された吊込み溝内に吊り込んで止着させるためのものとして用いることができる。また、上記車両用シート以外の各種の同様の構成(表皮材の一部をクッションパッドに形成された吊込み溝内に吊り込んで止着させる構成)に対しても、本発明の止着用クリップを適用することができる。また、突出形状は、吊込み部と斜めに当接する形状となっていればよく、実施例2で示したように吊込み部3Cに傾斜面3C1が形成されている場合には、角ばって突出する形状となっていてもよいが、そうでない場合には、湾曲しているかストレートに傾斜しているかはどちらでも構わないが、吊込み部と斜めに当接するように傾斜した形状に形成されている必要がある。また、突出形状は、チャック部の少なくとも1箇所に形成されていれば機能することができる。
1 シートクッション
2 クッションパッド
2A 吊込み溝
2B 止着溝
2C ワイヤー(係止部材)
3 表皮材
3A 縫合部
3B 吊込み布
3C 吊込み部
3C1 傾斜面
3C2 突起
10 止着用クリップ
11 チャック部
11A 挟持片
11B 閉じ部
11C 突起
11D 突出形状
11E 底面部
12 フック部
12A ガイド片
12A1 ガイド突起
12B フック片
12B1 先端突起
12B2 治具掛部
12C 受止片
12C1 湾曲面
12D 空間
2 クッションパッド
2A 吊込み溝
2B 止着溝
2C ワイヤー(係止部材)
3 表皮材
3A 縫合部
3B 吊込み布
3C 吊込み部
3C1 傾斜面
3C2 突起
10 止着用クリップ
11 チャック部
11A 挟持片
11B 閉じ部
11C 突起
11D 突出形状
11E 底面部
12 フック部
12A ガイド片
12A1 ガイド突起
12B フック片
12B1 先端突起
12B2 治具掛部
12C 受止片
12C1 湾曲面
12D 空間
Claims (3)
- 表皮材の一部をクッションパッドに形成された吊込み溝内に吊り込んで止着させられるようにする止着用クリップであって、
前記表皮材に取り付けられた吊込み部を間に差し込むことにより、該吊込み部によって弾性的に両側へ押し退けられた後に復元し、該吊込み部を両側から囲い込んだ状態となるように閉じて抜け止め可能に係止させた状態となる一対の挟持片を備えるチャック部と、
前記クッションパッドの前記吊込み溝内に設けられた係止部材に掛けられて係止されるフック部と、を有し、
前記一対の各挟持片には、互いに対向する側に向かって突出する突出形状が形成され、当該各突出形状は、前記吊込み部が前記一対の各挟持片の間に差し込まれることで、該吊込み部に斜めに押し当てられて前記各挟持片を押し広げる方向に作用力を及ぼした後、前記各挟持片の復元に伴う弾発力により前記吊込み部に差し込み方向とは反対方向への押圧力をかけた状態となって前記吊込み部を前記各挟持片の開口側の閉じ部に弾性的に押し付けた状態に保持することを特徴とする止着用クリップ。 - 請求項1に記載の止着用クリップであって、
前記各突出形状が、前記吊込み部に対してその差し込み方向とは垂直な方向に斜めに当接する傾斜面として形成されていることを特徴とする止着用クリップ。 - 請求項2に記載の止着用クリップであって、
前記各突出形状が、前記吊込み部の差し込み方向に円弧状に湾曲する張り出し面として形成されていることを特徴とする止着用クリップ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2011089038A JP2012217754A (ja) | 2011-04-13 | 2011-04-13 | 止着用クリップ |
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