JP2011055748A - バッチ式レトルト殺菌方法及びその装置 - Google Patents

バッチ式レトルト殺菌方法及びその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】レトルト釜内に収容される容器詰め製品群における製品間での加熱殺菌前の初期品温差に起因する加熱殺菌時の熱履歴差を小さくして、品質安定性の高いレトルト食品を製造するための新規な殺菌技術を提供する。
【解決手段】容器詰め製品を加熱殺菌する前に、該容器詰め製品を冷却する。
【選択図】図1

Description

本発明は、バッチ式レトルト殺菌方法、及びバッチ式レトルト殺菌装置、特に加熱殺菌前の初期品温の違いによる内容物への影響を排除できるバッチ式レトルト殺菌方法、及びバッチ式レトルト殺菌装置に関する。
バッチ式レトルト殺菌方法は、食品等の内容物を缶、瓶、プラスチックカップ、パウチ(袋)等の容器に充填後密封して得られる複数(通常、数百〜数千個程度)の容器詰め製品を1まとまりの製品群(1バッチ)とし、この製品群をレトルト釜内に収容して加熱殺菌する方法である。
レトルト殺菌方法における加熱殺菌の方式としては、容器詰め製品を収容したレトルト釜内に水蒸気を供給する蒸気式、容器詰め製品に熱水のシャワーをかけるシャワー式、及び容器詰め製品を収容したレトルト釜内を熱水で満たす熱水式が知られている。このうち、蒸気式の加熱殺菌によるレトルト殺菌方法は、他の殺菌方法に比べて設備コスト、ランニングコストが低いことから食品加工分野において多用されている。
食品の殺菌においては、殺菌のための十分な加熱が必要である一方で、加熱による原材料の自然な風味や色の損失を小さくする工夫が必要である。そのために、一般的には、容器詰め製品の熱履歴を小さくすることが行われている。
例えば、特許文献1〜3には、レトルト釜内の雰囲気温度を段階的に上昇させることを特徴とする殺菌技術が開示されている。
また、従来、缶詰を蒸気式の加熱殺菌によりレトルト殺菌する場合には、レトルト釜内の空気を十分に排出し蒸気で満たすために、殺菌温度での加熱に先立ち、殺菌温度より低い温度で予熱を行うことが知られている。
特開平7−313125号公報 特開2005−224134号公報 特開2000−83633号公報
製造ラインを用いてレトルト食品を大量生産する場合、1つのレトルト釜内に収容する容器詰め製品群が揃い、殺菌のための準備が終了するまでには、数十分〜数時間の時間がかかる。
そして、レトルト食品の生産においては、安全性を保証するため、レトルト釜内に収容する容器詰め製品群のうち加熱殺菌前の温度が最も低い製品に合わせて加熱温度及び時間の条件を決定する必要がある。そのため、ホワイトシチュー、カレー等の室温より高温状態にある内容物を容器に充填して容器詰め製品を製造する場合、レトルト釜内に収容する製品群において、初期に充填した製品と、後期に充填した製品では、加熱殺菌前の初期品温差によって加熱殺菌により受ける熱履歴に差が生じ、同製品間で殺菌値(F0値)、調理値(Cooking Value、CV)にばらつきが生じることとなり、その殺菌値や調理値のばらつきは、製品の内容物の風味、色、又は食感などに影響を与える。特に、内容物にホワイトシチューなどの乳原料を用いた製品においては、前記熱履歴差は、内容物の色に大きな影響を与えるため、消費者の商品に対するイメージを低下させかねない。
そこで、本発明は、レトルト釜内に収容される容器詰め製品群における製品間での加熱殺菌前の初期品温差に起因する加熱殺菌時の熱履歴差を小さくして、品質安定性の高いレトルト食品を製造するための新規な殺菌技術を提供することを課題とする。
ところで、前記製品間の加熱殺菌時の熱履歴差を小さくするために、レトルト釜内が所定の殺菌温度に到達するまでの時間を長くすることも考えられるが、加熱殺菌が蒸気式である場合には、レトルト釜内の温度上昇が速やかであり、レトルト釜内が所定の殺菌温度に到達するまでの時間を長くすることが困難である。
上述した蒸気式でのレトルト殺菌における予熱は、製品間の蒸気殺菌における熱履歴差を小さくすることに寄与するとされる。しかしながら、プラスチック製の袋、いわゆるパウチを用いた容器詰め製品を100℃以上で加熱殺菌する場合には、パウチの膨張・破袋防止のために空気加圧を行うことが必要であるため、通常、加熱からそれに次ぐ冷却を一定の加圧下で行わなければならない。この場合、通常の加圧条件は、殺菌温度到達時に最適化されていることから、予熱温度では空気の比率が過剰状態となる。そして、空気と蒸気は自然状態では分離する傾向にあり、しかも空気は蒸気に比べ熱伝達効率が低いため、レトルト釜内の雰囲気温度にばらつきが生じやすい状態となる。従って、パウチ詰め製品の蒸気式でのレトルト殺菌においては、予熱は、製品間の加熱殺菌時の熱履歴差を小さくするという観点からは有効な手段とはならない場合がある。このような理由から、特に加熱殺菌が蒸気式であり、殺菌対象がパウチ詰め食品である場合のレトルト殺菌において、前記製品間の加熱殺菌時の熱履歴差を小さくし、レトルトパウチ食品の品質安定性を向上させる殺菌技術が求められている。
そこで本発明は、特に加熱殺菌が蒸気式であるレトルト殺菌において、レトルト釜内に収容される容器詰め製品群における製品間での加熱殺菌前の初期品温差に起因する加熱殺菌時の熱履歴差を小さくして、従来の方法に比べて製造工程数を大きく増加させることなく、品質安定性の高いレトルトパウチ食品を製造するための新規な殺菌技術を提供することを課題とする。
本発明者らは、バッチ式レトルト殺菌方法において、容器詰め製品を加熱殺菌する前に冷却することで、容器詰め製品の内容物の殺菌値、調理値の差及び色差が小さくなることを知見し、本発明を完成させた。
第1の本発明は、容器に内容物を充填後密封した容器詰め製品を加熱殺菌するバッチ式レトルト殺菌方法であって、容器詰め製品を加熱殺菌する前に、該容器詰め製品を冷却することを特徴とする、バッチ式レトルト殺菌方法である(以下、「本発明の殺菌方法」ともいう。)。
本発明の殺菌方法を用いることにより、容器詰め製品群における製品間での加熱殺菌前の初期品温差に起因する加熱殺菌時の熱履歴差を小さくすることができ、レトルト食品の内容物の殺菌値、調理値の差を小さくし、風味、色、食感などの品質にムラの少ないレトルト食品を製造することができる。
本発明の殺菌方法において、前記冷却は、好ましくはレトルト釜内に前記容器詰め製品を収容した後に行う。これにより、冷却が終了した後速やかに加熱殺菌に移行することができ、殺菌効率や作業効率を上げることができる。
本発明の殺菌方法において、前記冷却は、レトルト釜内に収容される容器詰め製品群における製品間の最大の温度差が、好ましくは30℃以下となるように行う。これにより、上記効果を顕著に得ることができる。
本発明の殺菌方法は、加熱殺菌が蒸気式である場合に好適である。また、中でも、容器としてパウチを用いたパウチ詰め製品のレトルト殺菌に好適である。上述したとおり、蒸気式の加熱殺菌によるレトルト殺菌、中でもパウチ詰め製品の蒸気式の加熱殺菌によるレトルト殺菌においては、従来、品質安定性を向上させる有効な殺菌技術に乏しかったため、本発明の有用性が特に高い。
本発明の殺菌方法は、内容物が乳原料を含む場合に好適である。上述したとおり、内容物に乳原料を含む場合には、製品間での加熱殺菌時の熱履歴差が内容物の色の差に与える影響が大きい一方で、内容物の白色度を保つことがフレッシュな良い商品イメージにつながるため、本発明の有用性が特に高い。
第2の本発明は、容器に内容物を充填後密封した容器詰め製品を加熱殺菌するためのバッチ式レトルト殺菌装置であって、容器詰め製品を加熱殺菌する加熱手段と、該容器詰め製品を前記加熱殺菌前に冷却する冷却手段と、容器詰め製品間の温度差に基づいて前記冷却手段及び加熱手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記温度差が所定値となった場合に、冷却手段の動作を停止させて、加熱手段の動作を開始させることを特徴とする、バッチ式レトルト殺菌装置である(以下、「本発明の殺菌装置」ともいう。)。
本発明の殺菌装置を用いることにより、簡便に、効率よくレトルト殺菌を行い、上述した品質安定性に優れたレトルト食品を得ることができる。
本発明の殺菌方法を用いることにより、レトルト釜内に収容される容器詰め製品群における製品間での加熱殺菌前の初期品温差に起因する加熱殺菌時の熱履歴差を小さくして、製造ロット内のレトルト食品の内容物の品質の差を小さくすることができ、品質安定性に優れたレトルト食品を効率よく生産することができる。
また、本発明の殺菌装置を用いることにより、簡便に、効率よくレトルト殺菌を行い、品質安定性に優れたレトルト食品を得ることができる。
これら本発明によれば、製造ラインにおける生産スピードを任意に変更したり、特に、内容量が多い業務用の大型レトルト食品を大量生産することも容易になる。
本発明の殺菌方法の一形態の工程と、同形態の殺菌方法を用いた場合の容器詰め製品の雰囲気温度の変化を示す図である。 本発明の殺菌装置の構成を示す概略図である。 実施例1の殺菌方法のレトルト釜内の雰囲気温度、及びパウチ詰め製品の温度の履歴を示す図である。 比較例1の殺菌方法のレトルト釜内の雰囲気温度、及びパウチ詰め製品の温度の履歴を示す図である。 比較例2の殺菌方法のレトルト釜内の雰囲気温度、及びパウチ詰め製品の温度の履歴を示す図である。 実施例2の殺菌方法のレトルト釜内の雰囲気温度、及びパウチ詰め製品の温度の履歴を示す図である。 比較例3の殺菌方法のレトルト釜内の雰囲気温度、及びパウチ詰め製品の温度の履歴を示す図である。 実施例3の殺菌方法のレトルト釜内の雰囲気温度、及びパウチ詰め製品の温度の履歴を示す図に、比較例4のパウチ詰め製品の温度の履歴を併記した図である。
<本発明の殺菌方法>
本発明の殺菌方法は、容器詰め製品を加熱殺菌する前に、該容器詰め製品を冷却することを特徴とする。本発明における「冷却」とは、少なくとも前記容器詰め製品が置かれる雰囲気温度を人為的に操作することを含む。
容器詰め製品の冷却は、任意の方法により行うことができる。その方法として、例えば、容器詰め製品に冷気を当てる、容器詰め製品に水を接触させることが挙げられる。一般的なレトルト殺菌装置は、加熱殺菌した容器詰め製品を冷却するための冷却手段を有しているため、後述するように、前記冷却を、レトルト釜内に前記容器詰め製品を収容した後に行う場合には、このようなレトルト殺菌装置が有する冷却手段を用いて冷却を行うことができる。
また、前記冷却は、レトルト釜内に収容される容器詰め製品群における製品間の最大の温度差が、好ましくは30℃以下、更に好ましくは25℃以下、より好ましくは20℃以下となるように行う。
これは、前記製品間の加熱殺菌前の初期品温のばらつきを絶対的に小さくし、これら製品間の加熱殺菌時の熱履歴のばらつきをより一層小さくするためである。
前記製品間の最大の温度差は、通常、レトルト釜内に収容される容器詰め製品群のうち初期に内容物を充填した製品と後期に内容物を充填した製品の温度差である。
前記冷却は、容器詰め製品の内容量が大きいほど、容器詰め製品群における製品間の前記温度差が小さくなるように行うことが好ましい。
上述した製品間の温度差は、容器詰め製品の内容物の温度の測定値から算出することができる。内容物の温度は、DATA COLLECTOR(キユーピー製)、FVAC(日阪製作所製)、サーモ・プロセッサー、E−VAL(エラブ製(デンマーク))などとして市販されている装置を用いて測定することができる。温度を測定する箇所は、通常、容器詰め製品の内容物の中心部であって、比較される製品間でほぼ同じ箇所であればよい。測定方法は、通常用いられている方法を用いることができる。
冷却において、容器詰め製品が置かれる雰囲気温度は、容器詰め製品群における製品間の温度差を、冷却前に比して小さくすることができる限りにおいて特に制限されないが、冷却を効率的に行うためには好ましくは5〜30℃、更に好ましくは5〜25℃、より好ましくは10〜20℃である。また、冷却時間は、好ましくは3〜20分、更に好ましくは3〜10分である。
冷却は、レトルト釜内に前記容器詰め製品を収容する前後の何れに行っても良い。例えば、容器詰め製品をレトルト釜内に収容する前に、一旦雰囲気温度を所定の冷却温度に設定した場所に置くこともできるし、前記製品をレトルト釜内に収容した後に、レトルト釜内の雰囲気温度を所定の冷却温度に設定し、或いは所定の冷却温度に設定したレトルト釜内に前記製品を収容して一定時間維持することもできる。
冷却は、好ましくは、レトルト釜内に前記容器詰め製品を収容した後に行う。これは、冷却が終了した後、速やかに加熱殺菌に移行することができ、殺菌効率や作業効率を上げることができるためである。また、この方法であれば、冷却を行うスペースを新たに確保する必要がなく、一般的なレトルト殺菌装置を有効利用できるという利点もある。
本発明の殺菌方法において、加熱殺菌の温度や時間などは通常の範囲でよいが、特に、120℃を超える比較的高温で加熱殺菌を行う場合に、上記本発明の効果を顕著に奏する。これは、比較的高温で加熱殺菌を行う場合には、製品間の加熱殺菌前の初期品温差に起因する加熱殺菌時の熱履歴差が顕著になるからである。
本発明の殺菌方法は、一般的に知られているレトルト殺菌全てに適用することができる。中でも、加熱殺菌方式がバッチ式の蒸気式殺菌である場合に好適である。このような蒸気式でのレトルト殺菌においては、上述したように、従来品質安定性を向上させる有効な殺菌技術に乏しかったため、本発明の有用性が特に高い。
また、本発明の殺菌方法は、容器詰め製品を収納した棚又はバスケットを動かしながら加熱を行う動式の殺菌に用いることもできる。その方式としては、揺動式、摺動式、回転式などがある。
本発明の殺菌方法において、容器詰め製品を構成する容器は、通常、レトルト食品に用いられる容器であれば良い。本発明の殺菌方法は、容器としてパウチを用いるパウチ詰め製品の殺菌に好適である。パウチ詰め製品の蒸気式でのレトルト殺菌においては、上述したように、従来品質安定性を向上させる有効な殺菌技術に乏しかったため、本発明の有用性が特に高い。
また本発明の殺菌方法は、製品の内容量が1〜5kg程度の大型容器を用いた容器詰め製品の殺菌に好適である。このような大型容器の殺菌は、内容物を均一に殺菌するために、容器詰め製品を収納する棚やバスケットを摺動、揺動、又は回転させながら、120〜130℃程度の高温で殺菌を行うことがあるが、このような条件での殺菌では、従来、特に加熱殺菌前の製品間の温度差による品質安定性のばらつきの問題が大きかったため、本発明の有用性が高い。
本発明の殺菌方法において、容器詰め製品を構成する内容物としては、例えば、スープ等の液体食品及びシチューなどの粘稠食品等の流動性食品、ハム、ハンバーグ等の固形食品、または、液体食品、流動性食品と固形食品とを混合した混合食品などが挙げられる。本発明の殺菌方法は、特に内容物が50℃以上の比較的高温で充填される容器詰め製品の殺菌に特に好適である。これは、このような容器詰め製品については、上記製品間での初期品温のばらつきの問題が顕著であるためである。例えば、粘稠食品は、容器への充填時の流動性を確保する観点から70〜100℃程度の高温で充填することが一般的であるため、本発明の殺菌方法が特に好適である。また、本発明の殺菌方法は、特に淡色の内容物を含む容器詰め製品の殺菌に好適である。例えば、白色系の内容物を含む容器詰め製品の殺菌に好適であり、白色系の内容物としては、乳原料を含む内容物、具体的には、牛乳やクリームなどを多く含むクリームスープ、ホワイトシチュー、及び乳製品などが挙げられる。
本発明の殺菌方法は、レトルト釜内に収容される容器詰め製品群における初期の内容物の充填から後期の内容物の充填までの時間が30分以上である場合に、好適である。このような場合に、製品間での充填完了の時間に大きなずれが生じ、加熱殺菌工程前の初期品温差が大きくなるため、本発明の殺菌方法の効果が顕著に得られる。
次に、図1を参照しながら、本発明の殺菌方法の一形態について説明する。図1は、本発明の殺菌方法の工程とレトルト釜内の雰囲気温度を示す。この形態では、図示しないが、内容物をパウチに60〜90℃で充填後密封してパウチ詰め製品を製造した後、複数のパウチ詰め製品の棚上又はバスケット内への収納が連続的に行われ、レトルト釜内に収容する製品群が揃った後、前記棚又はバスケットがレトルト釜内に収容される。
次いで、加熱殺菌する前の製品群の製品間での初期品温差に起因する加熱殺菌時の熱履歴のばらつきを小さくする冷却を行うが、まず、時間t0ではレトルト釜外から釜内へ向けて冷却水の供給を開始する。時間t1経過後、冷却水の循環を開始し、レトルト釜内の雰囲気温度を3〜20分間程度、5〜30℃程度に保持する。レトルト釜内の製品間の温度差が所定値となった時間t2において、レトルト釜内の冷却水を釜外に排出する。次いで、時間t3では蒸気をレトルト釜内に供給する。レトルト釜内に十分な蒸気が供給されたら、所定の殺菌温度、例えば100〜130℃程度まで加熱し、同時に所定の圧力0.05〜0.3MPaになるまで空気加圧する。所定の温度及び圧力になった時間t4から、温度及び圧力を保持する。加熱終了時間t5は、製品の内容物に応じた必要殺菌値から、適切な時間を算出して設定する。
そして、前記加熱殺菌終了後、レトルト釜内に再度冷却水を供給し、冷却水を循環させることにより、レトルト釜内の雰囲気温度を例えば30℃程度まで下げて保持して製品群の冷却を行ない、レトルト釜内の冷却水を釜外に排出して、レトルトパウチ食品の殺菌が完了する。
<本発明の殺菌装置>
本発明の殺菌装置は、容器詰め製品を加熱殺菌する加熱手段と、該容器詰め製品を前記加熱殺菌の前に冷却する冷却手段と、容器詰め製品間の温度差に基づいて前記冷却手段及び加熱手段を制御する制御手段とを備える。
前記制御手段は、前記容器詰め製品間の温度差が所定値となった場合に、冷却手段の動作を停止させて、加熱手段の動作を開始させることを特徴とする。これにより、冷却により容器詰め製品間の温度差が所定値になった時点で速やかに加熱を開始することができるため、殺菌効率が向上する。
加熱手段としては、熱水供給手段、蒸気供給手段などが挙げられる。冷却手段としては、冷気供給手段、冷水供給手段などが挙げられる。この冷却手段は、加熱殺菌した容器詰め製品の温度を下げるために従来のレトルト殺菌装置に設けられているものと同じ構成のものでよい。また、本発明の殺菌装置のその他の構成は、一般的なレトルト殺菌装置と同様である。
図2に、本発明の殺菌装置の一形態を示す。
図示例のバッチ式レトルト殺菌装置1は、冷却手段2と、加熱手段3と、容器詰め製品間の温度差に基づいて、冷却手段2及び加熱手段3を制御する制御手段(制御盤)4とを備える。
冷却手段2は、レトルト釜5内に管路5aを通して水を供給する給水ポンプ21と、管路5aに設けられた給水弁22と、上記給水ポンプ21によって供給されたレトルト釜5内の水を循環させる循環ポンプ23と、循環ポンプ23とレトルト釜5とを接続する管路5bに設けられた循環弁24と備えている。
加熱手段3は、蒸気を生成するボイラー等の蒸気生成装置31と、該蒸気生成装置31とレトルト釜5を接続する管路5cに設けられた加熱弁32とを備えている。
また、このレトルト殺菌装置1は、レトルト釜5からの排気を調節するオーバーブロー弁6と、レトルト釜5からの排水を調節する排水弁7と、空気加圧のために空気を供給する給気装置81及び給気によりレトルト釜5内の圧力を調節する加圧弁82を含む加圧手段8とを備えている。
冷却手段2の給水ポンプ21、給水弁22、循環ポンプ23及び循環弁24、加熱手段3の加熱弁32、オーバーブロー弁6、排水弁7、及び加圧弁82は、電動モータや電磁ソレノイド等の駆動系を備え、電気的に制御可能に構成されている。
そして、制御手段4は、これら給水ポンプ21、給水弁22、循環ポンプ23、循環弁24、加熱弁32、オーバーブロー弁6、排水弁7及び加圧弁82の駆動系と電気的に接続され、それら各ポンプの運転制御、各弁の開閉及び開度調整制御を行う制御信号を出力する機能を備えている。この制御信号は、予めプログラムされた制御プログラムに基づいて出力される。
制御手段4には、ここでは、CPU、RAM、各種データや上記制御プログラム等が格納される記憶装置、各種データの入力装置等を備えるコンピュータが用いられている。
この制御手段4は、図2において仮想線で示すように、容器詰め製品P1、P2の温度を検出する温度センサーT1、T2から受信した容器詰め製品P1、P2の温度データd1、d2と、予め入力されている製品間の温度差の所定値に基づいて、冷却手段2の給水ポンプ21、給水弁22、循環ポンプ23及び循環弁24、並びに加熱手段3の加熱弁32の制御信号を出力する。
このレトルト殺菌装置を用いたレトルト殺菌について、図1及び図2を参照して説明する。初期パウチ詰め製品P1、後期パウチ詰め製品P2が棚上又はバスケット内に収納された状態で、レトルト釜内に収容された後、制御手段4に殺菌開始の外部信号(図示しない)が入力された時間t0において、制御手段4は、制御プログラムに基づいて、給水ポンプ21の運転を開始する制御信号S1及び給水弁22を開く制御信号S2を出力する。これにより、給水ポンプ21が運転を開始し、給水弁22が開いて、貯水タンク(図示しない)から釜内への冷却水の供給が開始される。
時間t1経過後、制御手段4は、制御プログラムに基づいて、循環弁24を開く制御信号S3及び循環ポンプ23の運転を開始する制御信号S4を出力する。これにより、循環弁24が開き、循環ポンプ23が運転を開始し、レトルト釜内の冷却水の循環が開始される。
所定時間経過後、制御手段4は、制御プログラムに基づいて、給水ポンプ21の運転を停止する制御信号S5、給水弁22を閉じる制御信号S6を出力する。これにより、給水ポンプ21の運転が停止し、給水弁22が閉じて、冷却水の供給が停止される。
制御手段4は、レトルト釜5内の容器詰め製品の温度を検出する温度センサーT1、T2から受信した温度データd1、d2を基に、初期パウチ詰め製品P1、後期パウチ詰め製品P2間の温度差をリアルタイムで算出し、その算出値を、予め入力されている初期パウチ詰め製品及び後期パウチ詰め製品の温度差の所定値と比較する。なお、温度センサーTを3製品以上に配置して、製品間の最大の温度差を求めるように設計してもよい。
制御手段4は、これらの値が一致した時間t2経過後、循環弁24を閉じる制御信号S7、及び排水弁7を開ける制御信号S8を出力する。これにより、循環弁24が閉じて、排水弁7が開き、レトルト釜5内の冷却水の排水が開始される。
時間t3経過後、制御手段4は、制御プログラムに基づいて、循環ポンプ23の運転を停止する制御信号S9を出力し、続いて、加熱弁32を開く制御信号S10、オーバーブロー弁6を開く制御信号S11を出力する。これにより、加熱弁32が開いて、蒸気生成装置31からレトルト釜5内への蒸気の供給が開始され、同時に、オーバーブロー弁6が開いてレトルト釜5内の空気の排出が開始される。
レトルト釜内に十分な蒸気が供給されたら、制御手段4は、オーバーブロー弁6を閉じる制御信号S12を出力した後、加圧弁82を開く制御信号S13を出力する。これにより、レトルト釜5内の雰囲気温度及び圧力が上昇する。
レトルト釜5内の雰囲気温度及び圧力が所定値になった時間t4において、制御手段4は、制御プログラムに基づいて、加熱弁32を閉じる制御信号S14、及び加圧弁82を閉じる制御信号S15を出力する。これにより、レトルト釜内への蒸気の供給及び空気加圧が停止する。時間t5経過後、加熱殺菌が終了する。
加熱殺菌の終了後、制御手段4は、制御プログラムに基づいて、給水ポンプ21の運転を開始する制御信号S16、及び給水弁22を開く制御信号S17を出力する。これにより、レトルト釜5内に再度冷却水が供給される。
なお、制御手段4の他の形態としては、レトルト釜内に収容される製品間の温度差の所定値を達成する条件として予め決定されたレトルト釜内の雰囲気温度及びその維持時間の所定値に基づいて、前記冷却手段の動作の停止及び加熱手段の動作の開始を制御する形態も挙げられる。
加熱殺菌前の冷却が殺菌値(F0値)及び調理値(Cooking Value、CV)に与える影響を調べるため、平パウチを使用したパウチ詰め製品を用いて、実施例1、比較例1、比較例2の試験を行った。同様に、大型パウチを使用したパウチ詰め製品を用いて、実施例2、比較例3の試験を行った。また、大型パウチを使用して、乳原料を含む固形物入りホワイトシチューを充填した大型パウチ詰め製品を用いて、F0値、CV及び色差に与える影響を調べた。
〔温度測定〕
殺菌中、パウチ詰め製品に温度センサーを有するプローブをパウチ内へ挿入して中央部へ固定し、パウチ詰め製品の温度を測定した。また、レトルト釜内の雰囲気温度はパウチ詰め製品の脇の位置に固定して測定をした。
〔評価〕
殺菌値(F0値)及び調理値(Cooking Value、CV)算出
上記温度測定法にて製品温度(品温)を測定し、測定品温から下記数式1、数式2により、F0値、CVを算出した。式中、tは処理時間(分)を、Tは品温(℃)を示す。ここでいうCVとは、食品成分などの熱による劣化等の変化程度を表す指標である。
(出典:光琳テクノブックス16「レトルト食品」P.235−236)
Figure 2011055748
Figure 2011055748
大型パウチ詰め具入りホワイトシチューについては、レトルト殺菌前の内容物の色を基準値(0)として、レトルト殺菌前とレトルト殺菌後の内容物の色差(ΔE*ab)の算出も行った。
[実施例1]
130×170mmの平パウチに、コーンスターチ糊(日本コーンスターチ社製「パーマフロー」、粘度:2000mPa・s、80℃)を200g充填、密封し、約80℃のパウチ詰め製品A(高温製品)と約25℃(室温)のパウチ詰め製品B(低温製品)を、蒸気式レトルト殺菌装置(内外施設工業製H130−C110−SF・W・SHW・P−SD・R−AP−T型)のレトルト釜内に収容後、直ちに約25℃の水をシャワーし、5分間レトルト釜内の雰囲気温度を約25℃に保持する冷却を行った。
その後、パウチ詰め製品を載せた殺菌棚を静置したまま加熱殺菌を開始し、レトルト釜内の雰囲気温度が120℃になるまで昇温を行い、F0=10程度になるよう(実測値では120℃、22.5分間)加熱殺菌を行った。その後、レトルト釜内に、約25℃の水をシャワーし、品温を約30℃程度まで下げ、レトルト殺菌を終了した。
前記レトルト殺菌後のF0値及びCVを前記数式1及び数式2により算出した。その結果を表1に示す。
そして、図3に示すように、本実施例の殺菌方法においては、前記パウチ詰め製品Aの温度は、冷却開始から徐々に低下し、冷却開始から5分後には約45℃であった。一方、前記パウチ詰め製品Bは、冷却の間、約25℃を維持していた。冷却後の蒸気による加熱殺菌においては、各製品A、Bの温度が徐々に上昇し、同時に温度差が徐々に小さくなり、加熱殺菌開始後15分後に前記製品A、Bの温度差はほぼゼロであった。
[比較例1]
実施例1において、加熱殺菌前に冷却を行わず、実施例1同様F0=10程度になるよう(実測値では120℃、21分間)加熱殺菌を行い、レトルト殺菌後のF0値及びCVを前記数式1及び数式2により算出した。その結果を表1に示す。
そして、図4に示すように、本比較例の殺菌方法においては、前記パウチ詰め製品A、Bの温度は加熱殺菌開始後に徐々に上昇し、前記パウチ詰め製品Aは約5分後には100℃に、一方、前記パウチ詰め製品Bは約8分後には100℃に達し、加熱殺菌開始後20分後に前記製品A、Bの温度差がほぼゼロとなった。
[比較例2]
実施例1において、冷却を行わず、加熱を開始し、レトルト釜内の雰囲気温度が105℃になるまで昇温し、105℃で4分間保持する予熱を行った後、実施例1同様F0=10程度になるよう(実測値では120℃、20分間)加熱殺菌を行った以外は同様に加熱殺菌を行い、レトルト殺菌後のF0値及びCVを前記数式1及び数式2により算出した。その結果を表1に示す。
そして、図5に示すように、本比較例の殺菌方法においては、前記パウチ詰め製品Aの温度は予熱開始後に徐々に上昇して90℃となり、加熱殺菌開始後3分で100℃に、一方、前記パウチ詰め製品Bの温度は予熱開始後徐々に上昇して75℃となり、加熱殺菌開始後5分で100℃に達し、加熱殺菌開始後15分後に前記製品A、Bの温度差がほぼゼロとなった。
表1に示したように実施例1、比較例1、比較例2のF0値及びCVを比較すると、比較例1及び比較例2では、パウチ詰め製品Aとパウチ詰め製品Bとの間で、F0値、CV共に20%程度の差があることがわかる。一方実施例1では、F0値、CV共に比較例に比べてパウチ詰め製品Aとパウチ詰め製品Bとの間での差は小さく、これらの製品間でのCVの差は5%程度のものであった。
これら結果から、加熱殺菌前に冷却を行うことで、製品間の加熱殺菌時の熱履歴差を小さくすることができ、殺菌時の過加熱が防止されることがわかる。
[実施例2]
240×370×65mmのスタンディングパウチに、コーンスターチ糊(日本コーンスターチ社製「パーマフロー」、粘度:2000mPa・s、80℃)を2kg充填、密封し、約90℃のパウチ詰め製品A(高温製品)と約25℃(室温)のパウチ詰め製品B(低温製品)を、実施例1と同様の蒸気式レトルト殺菌装置のレトルト釜内に収容後、直ちに約20℃の水をシャワーし、パウチ詰め製品を載せた殺菌棚を0.18Gで摺動させ、7分間レトルト釜内の雰囲気温度を約20℃に保持する冷却を行った。
その後、摺動させたまま加熱を開始し、レトルト釜内の雰囲気温度が126℃になるまで昇温を行い、126℃、18分間の加熱殺菌を行った。その後、レトルト釜内に、約20℃の水をシャワーし、品温を約30℃程度まで下げ、レトルト殺菌を終了した。
前記レトルト殺菌後のF0値及びCVを前記数式1及び数式2により算出した。その結果を表1に示す。
そして、図6に示すように、本実施例の殺菌方法においては、前記パウチ詰め製品Aの温度は冷却開始から徐々に低下し、冷却開始から約7分後には約60℃であった。一方、前記パウチ詰め製品Bは、冷却の間概ね30℃を維持していた。冷却後の蒸気による加熱殺菌においては、各製品A、Bの温度が徐々に上昇し、同時に温度差が徐々に小さくなり、加熱殺菌開始後約15分後には前記品A、Bの温度差はほぼゼロであった。
[比較例3]
実施例2において、冷却を行わなかった以外は同様にレトルト殺菌を行い、レトルト殺菌後のF0値及びCVを前記数式1及び数式2により算出した。その結果を表1に示す。
そして、図7に示すように、本比較例の殺菌方法では、前記パウチ詰め製品Aの温度は、加熱殺菌開始後徐々に上昇し、約3分後には100℃に達した。一方、前記パウチ詰め製品Bの温度は、加熱殺菌開始後徐々に上昇し、約8分後には100℃に達した。時間が経過するにつれ、両製品間の温度差は徐々に小さくなっていったが、加熱殺菌の終了前にその差が解消されることはなかった。
表1に示したように実施例2、比較例3のF0値及びCVを比較すると、比較例3では、パウチ詰め製品Aとパウチ詰め製品Bとの間で、F0値及びCVともに60%程度の差があった。一方、実施例2では、F0値及びCV共に、比較例に比べてパウチ詰め製品Aとパウチ詰め製品Bとの間の差が小さかった。
これら結果から、加熱殺菌前に冷却を行うことで製品間の加熱殺菌時の熱履歴差を小さくすることができ、実施例1、比較例1、比較例2の結果と併せて考えると、特に大型パウチを用いたパウチ詰め製品に対しては、上記製品間のF0値及びCVのばらつきを抑える効果が高く、且つ過加熱が防止され、上記冷却が重要であることがわかる。
[実施例3]
240×370×65mmのスタンディングパウチに、剥皮・カット・下ゆでをしたジャガイモ・にんじん・たまねぎと生の鶏ささみを具とし、市販の牛乳(明治牛乳「おいしい牛乳」)・シチューのルウの素(ハウス食品「北海道シチュー クリーム」)でホワイトシチュー(ルウ粘度:800mPa・s、80℃)を作製し、2kg充填、密封し、約60℃のパウチ詰め製品A(高温製品)と約25℃(室温)のパウチ詰め製品B(低温製品)を、実施例1と同様の蒸気式レトルト殺菌装置のレトルト釜内に収容後、直ちに15℃の水をシャワーし、パウチ詰め製品を載せた殺菌棚を0.18Gで摺動させ、7分間レトルト釜内の雰囲気温度を約15℃に保持する冷却を行った。
その後、摺動させたまま加熱を開始し、レトルト釜内の雰囲気温度が128℃になるまで昇温を行い、128℃、16分間の加熱殺菌を行った。その後、レトルト釜内に約20℃の水をシャワーし、品温を約30℃程度まで下げ、レトルト殺菌を終了した。
前記レトルト殺菌後のF0値及びCVを前記数式1及び数式2により算出した。その結果を表1に示す。
そして、図8に示すように、本実施例の殺菌方法においては、前記パウチ詰め製品Aの温度は、冷却開始から徐々に低下し、冷却開始から7分後には約40℃であった。一方、前記パウチ詰め製品Bの温度は約10℃程度まで低下し、冷却の間、概ね10℃を維持していた。冷却後の蒸気による加熱殺菌においては、各製品A、Bの温度が徐々に上昇し、加熱殺菌開始後約7分後には100℃に達した。
また、前記パウチ詰め製品Aは、後述する比較例4のパウチ詰め製品Aよりも本実施例のパウチ詰め製品Bに近い温度履歴を示した。
[比較例4]
実施例3において、冷却を行わなかった以外は同様にレトルト殺菌を行い、レトルト殺菌後のF0値及びCVを前記数式1及び数式2により算出した。その結果を表1に示す。
また、比較例4における製品の温度履歴は、約60℃のパウチ詰め製品Aのみについて、経過時間7分を加熱開始時として、図8に併せて示す。なお、比較例4における約25℃(室温)のパウチ詰め製品Bの温度履歴は図示しないが、実施例3におけるパウチ詰め製品Bの7分以降の温度履歴とほぼ同じであった。図8から判るように、本比較例においては、前記パウチ詰め製品Aの温度は、加熱殺菌の開始後徐々に上昇し、約5分後には100℃に達した。
表1に示したように実施例3のパウチ詰め製品Aと比較例4のパウチ詰め製品AのF0値、CV及び色差を、実施例、比較例、おのおののパウチ詰め製品Bを基準に比較した。前記色差は、レトルト殺菌前の内容物の色を基準(0)とて算出しており、レトルト殺菌前とレトルト殺菌後の内容物の色差(ΔE*ab)として表記した。表1から、実施例3のパウチ詰め製品AはF0値が約1.3倍、CVが約1.2倍、色差が約0.5差であるのに対し、比較例4のパウチ詰め製品AはF0値が約1.7倍、CVが約1.3倍、色差が約1.5差であった。前記色差は、色差のNBS単位により、1.0以上であれば肉眼で認識できるレベルの差であるため、実施例3のパウチ詰め製品AとBにおいては色の違いを認識できないが、比較例3のパウチ詰め製品AとBにおいては色の違いを認識できるレベルに達していた。
これら結果から、加熱殺菌の前に冷却を行うことで、製品間の加熱殺菌時の熱履歴差を小さくすることができ、色の変化を小さくすることが出来ることもわかる。特に、乳原料を含む内容物においては、白色度を保つことがフレッシュな良い商品イメージにつながるため、色の変化の抑制は、レトルト食品の製造においてきわめて重要である。
Figure 2011055748
t 経過時間
1 レトルト殺菌装置
2 冷却手段
21 給水ポンプ
22 給水弁
23 循環ポンプ
24 循環弁
3 加熱手段
31 蒸気生成装置
32 加熱弁
4 制御手段
5 レトルト釜
6 オーバーブロー弁
7 排水弁
8 加圧手段
81 給気装置
82 加圧弁
P 容器詰め製品
T 温度センサー
S 制御信号
d データ

Claims (7)

  1. 容器に内容物を充填後密封した容器詰め製品を加熱殺菌するバッチ式レトルト殺菌方法であって、
    前記容器詰め製品を加熱殺菌する前に、該容器詰め製品を冷却することを特徴とする、バッチ式レトルト殺菌方法。
  2. 前記冷却は、レトルト釜内に容器詰め製品を収容した後に行うことを特徴とする、請求項1に記載のバッチ式レトルト殺菌方法。
  3. 前記冷却は、レトルト釜内に収容される容器詰め製品群における製品間の最大の温度差が、30℃以下となるように行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載のバッチ式レトルト殺菌方法。
  4. 前記加熱殺菌が蒸気式である、請求項1〜3の何れか一項に記載のバッチ式レトルト殺菌方法。
  5. 前記容器がパウチである、請求項1〜4の何れか一項に記載のバッチ式レトルト殺菌方法。
  6. 前記内容物が乳原料を含む、請求項1〜5の何れか一項に記載のバッチ式レトルト殺菌方法。
  7. 容器に内容物を充填後密封した容器詰め製品を加熱殺菌するためのバッチ式レトルト殺菌装置であって、
    前記容器詰め製品を加熱殺菌する加熱手段と、該容器詰め製品を前記加熱殺菌前に冷却する冷却手段と、容器詰め製品間の温度差に基づいて前記冷却手段及び加熱手段を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記温度差が所定値となった場合に、冷却手段の動作を停止させて、加熱手段の動作を開始させることを特徴とする、バッチ式レトルト殺菌装置。
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