JP2011052684A - 送風ファン - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成で、優れた防水・防塵機構を備えた送風ファンを実現する。
【解決手段】回転軸Jを中心に回転するロータホルダ10と、ロータホルダの外周面に固定され、外周面に複数の羽根13を有するインペラカップ12と、ロータホルダを軸受部15を介して回転可能に支持するベース部18とを備えた送風ファンであって、ベース部は、外周縁部において、軸方向上方に伸びる外周壁18aを有している。ベース部外周壁の上端部と、インペラカップ外周部12aの下端部との間に、ラビリンス構造を構成する間隙が形成されている。インペラカップは、インペラカップ外周部の径方向内側に、軸方向に伸びる円筒部を備え、円筒部の下端部は、ベース部外周壁の上端部よりも軸方向下方に位置している。
【選択図】図1

Description

本発明は、防水・防塵機構を備えた送風ファンに関する。
軸流ファンまたは遠心ファンなどの送風ファンは、複数の羽根を備えたインペラと、インペラを回転させるモータと、モータの回転制御を行う回路基板とが、ハウジング内に収容された構成になっている。
送風ファンの使用環境によっては、外部からハウジング内に水分や塵等が侵入するおそれがあり、モータや回路基板に水分や塵が入り込むと、モータが故障して、送風ファンが動作しなくなる問題が生じる。
このような問題に対して、特開平10−191611号公報には、モータのステータ部や回路基板を樹脂でモールドする技術が記載されている。
しかしながら、この技術は、樹脂モールドの成形に時間やコストがかかるため、送風ファンにおける、コストの上昇を招く。
そこで、特開2000−110773号公報には、インペラカップの開口側端部と、モータサポータの外側壁部の開口側端部との隙間に、ラビリンス構造を設ける技術が記載されている。
特開平10−191611号公報 特開2000−110773号公報
しかしながら、特開2000−110773号公報では、ラビリンス構造を構成する間隙に加えて、モータサポータに筒状の内側壁部を設けるとともに、内側壁部の開口側端部に環状のフランジを設ける必要があり、送風ファンの構造が複雑になるという問題がある。
本発明は、簡単な構成で、優れた防水・防塵機構を備えた送風ファンの提供を目的とする。
本発明の一側面における送風ファンは、回転軸を中心に回転する略円筒状のロータホルダと、ロータホルダの内周面に固定された界磁用磁石と、ロータホルダの外周面に固定され、外周面に複数の羽根を有する略円筒状のインペラカップと、ロータホルダを軸受部及び軸受保持部を介して回転可能に支持するベース部と、軸受保持部に支持されたステータ部とを備え、ベース部は、外周縁部において軸方向上方に伸びる外周壁を有し、ベース部外周壁の上端部と、インペラカップの外周部の下端部との間に、ラビリンス構造を構成する間隙が形成されており、インペラカップは、インペラカップ外周部の径方向内側に、軸方向に伸びる円筒部を備え、円筒部の下端部は、ベース部外周壁の上端部よりも軸方向下方に位置している。
本発明の他の側面において、円筒部の下端部をベース部外周壁の上端部よりも軸方向下方に位置させる代わりに、ロータホルダの外周部の下端部をベース部外周壁の上端部よりも軸方向下方に位置させてもよい。
また、本発明の他の側面において、円筒部の下端部をベース部外周壁の上端部よりも軸方向下方に位置させる代わりに、インペラカップ外周部の径方向内側に、軸方向に伸びるロータホルダ圧入用の複数のリブを設け、複数のリブの下端部をベース部外周壁の上端部よりも軸方向下方に位置させてもよい。
このような構成により、ベース部外周壁の上端部とインペラカップ外周部の下端部との隙間にラビリンス構造を設けることに加え、ベース部外周壁とロータホルダ外周部との隙間に第2ラビリンス構造を設けることができる。これにより、簡単な構成で、二重のラビンリンス構造を有する防水・防塵機構を備えた送風ファンを実現できる。
本発明によれば、簡単な構成で、優れた防水・防塵機構を備えた送風ファンを実現できる。
本発明の第1実施形態における送風ファンの構成を、模式的に示した断面図である。 図1に示したベース部外周壁の近傍を拡大した部分断面図である。 (a)〜(h)は、ベース部上端部とインペラカップ下端部との対向面の形態を示した部分断面図である。 (g)、(h)に示した対向面の傾斜角度を示した部分断面図である。 本発明の第2実施形態における送風ファンのモータ部の構成を示した半断面図である。 第2実施形態におけるインペラカップを下方から見た平面図である。 第2実施形態の変形例における送風ファンのモータ部の構成を示した半断面図である。 第2実施形態のその他の変形例における送風ファンのモータ部の構成を示した半断面図である。 第2実施形態のその他の変形例におけるインペラカップを下方から見た平面図である。 本発明の他の実施形態における送風ファンのモータ部の構成を示した断面図である。 他の実施形態におけるベース部の構成を示した斜視図である。 他の実施形態におけるインシュレータの構成を示した斜視図である。 他の実施形態における回路基板の構成を示した平面図である。 (a)は、他の実施形態の変形例におけるベース部の構成を示した斜視図で、(b)はその部分拡大図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態における説明では、便宜上、各図面における軸方向に沿った上下方向を「上下方向」とするが、実際の取付状態における方向を意味するものではない。また、本実施形態における説明では、回転軸に平行な方向を「軸方向」とし、回転軸を中心とする半径方向を「径方向」としている。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。さらに、他の実施形態との組み合わせも可能である。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における送風ファン100の構成を、模式的に示した断面図である。なお、本実施形態では、軸流ファンを例に説明するが、本発明は遠心ファンにももちろん適用できる。
図1に示すように、回転軸Jを中心に回転する略円筒状のロータホルダ10の外周面に、略円筒状のインペラカップ12が固定されている。また、インペラカップ12は、その外周面に複数の羽根13を有している。ロータホルダ10は、シャフト14、ボールベアリングからなる軸受部15、及び軸受保持部16を介して、ベース部18に回転可能に支持されている。また、ロータホルダ10の内周面には界磁用磁石11が固定され、軸受保持部16にはステータ17が固定されている。また、ベース部18は、外周縁部において、軸方向上方に伸びる外周壁18aを有している。ベース部18とステータ17との間には、モータの回転駆動を制御する回路基板19が配設されている。
図2は、図1に示したベース部外周壁18aの近傍を拡大した部分断面図である。図2に示すように、ベース部外周壁18aの上端部18bと、インペラカップ外周部12aの下端部12bとの間に、第1ラビリンス構造を構成する間隙30が形成されている。また、ロータホルダ外周部10aの下端部10bは、ベース部外周壁18aの上端部18bよりも軸方向下方に位置している。これにより、ベース部外周壁18aと、ロータホルダ外周部10aとの間隙31で、第2ラビリンス構造が構成される。
このように、間隙30で構成された第1ラビリンス構造は、ベース部外周壁18aとインペラカップ外周部12aの各径方向及び軸方向の相対的な位置を、所定の位置に設定するだけで容易に形成できる。さらに、間隙31で構成された第2ラビリンス構造についても、ベース部外周壁18aとロータホルダ外周部10aの各径方向及び軸方向の相対的な位置を、所定の位置に設定するだけで容易に形成できる。これにより、簡単な構成で、二重のラビンリンス構造を有する防水・防塵機構を備えた送風ファンを実現できる。
ここで、本発明における「ラビリンス構造」とは、「間隙」を介して内外に通じる流路が屈曲した構造をなすものを云う。このような屈曲した流路を流れる流体は、圧力損失が大きくなって流路抵抗が増加するため、シール効果が得られる。このシール効果により、外部からハウジング内に侵入した水分や塵等が、モータや回路基板19に入り込むのを防止できる。なお、「間隙」の大きさや、流路の屈曲形状は、送風ファンの使用状況等を考慮して適宜定めればよい。
また、送風ファンが回転すると、間隙30の径方向外方(羽根13側)は、径方向内方(回路基板19側)より負圧となるため、径方向内方に一度入り込んだ水分や塵を、径方向外方に吸い出す効果も得られる。
また、軸流ファンにおいては、羽根13の回転により、軸方向上方から軸方向下方に向けて気流が発生する。そのため、図2に示すように、ベース部外周壁18aの上端部18b及びインペラカップ外周部12aの下端部12bの間隙30を介して対向する対向面18c、12cは、略同一の傾斜角をもって、径方向内方に向かうに従い軸方向上方に傾斜していることが好ましい。これにより、気流の方向と逆方向の流路が形成されるため、シール効果をより発揮できる。
なお、各対向面18c、12cにおける傾斜面は、少なくとも、ベース部外周壁18aの上端部18b及びインペラカップ外周部12aの下端部12bの一部の面に形成されていればよく、その形態は特に制限されない。図3(a)〜(h)は、対向面18c、12cの種々の形態を例示的に示した部分断面図である。なお、図中の矢印は、気流の方向を示す。各対向面18c、12cにおける傾斜面は、図3(a)に示すように、対向面18c、12c全体に亘って形成されていても、あるいは、図3(b)〜(f)に示すように、各対向面18c、12cの一部に形成されていてもよい。ここで、図3(b)〜(d)は、傾斜面が1箇所に形成された場合、図3(e)、(f)は、傾斜面が2箇所に形成された場合をそれぞれ示す。また、図3(g)、(h)に示すように、傾斜面はR形状をなしていてもよい。さらに、各対向面18c、12cの傾斜角度は、軸方向に対して、20°〜50°の範囲にあることが好ましい。ここで、傾斜面が図3(g)、(h)に示すようなR形状の場合には、各対向面18c、12cの傾斜角度は、図4(a)、(b)に示すように、線分ABが軸方向に対してなす角度θをいう。また、本実施形態において、図3(a)〜(h)に示すように、インペラカップ外周部12aの下端部12bが、ベース部外周壁18aの上端部18bよりも軸方向下方に位置する場合、よりシール効果を高めることができる。さらに、インペラカップ外周部12aの下端部12bが、全周にわたって、ベース部外周壁18aの上端部18bよりも軸方向下方に位置する場合、さらなるシール効果が期待できる。
また、ロータホルダ外周部10aの下端部10bは、回路基板19の近傍まで延出していることが好ましい。これにより、ベース部外周壁18aとロータホルダ外周部10aとの間隙31を長くできるため、シール効果をより発揮できる。
さらに、図1に示すように、羽根13の下端部の一部は、ベース部外周壁18aの径方向外方において、軸方向下方に伸びる延伸部13aを備えていてもよい。これにより、風量または静圧の増加、若しくは低騒音化等、特性要求に応じた自由度の高い羽根形状の設計ができる。加えて、図2に示すように、羽根13の下端部の一部が、ベース部外周壁18aの径方向外方において、ベース部外周壁18aの上端部18bよりも軸方向下方に伸びる延伸部13a備えることにより、回転する羽根13の延伸部13aとベース部外周壁18aとの間隙32より、第3ラビリンス構造が構成される。これにより、シール効果をより発揮できる。
また、図1に示すように、ベース部外周壁18aの外側部におけるベース最大径方向寸法L1が、インペラカップ外周部12aの外側部におけるインペラカップ最大径方向寸法L2と略等しい、もしくはベース最大径方向寸法L1が、インペラカップ最大径方向寸法L2よりも小さければ、風量特性を悪化させず、騒音の発生を抑えつつ、高いシール効果を発揮できる。また、本実施形態におけるベース部18は、ベース部外周壁18aの外側部が中心軸に略平行に伸びている形状となっているが、ベース部外周壁18aの外側部の径方向寸法が、軸方向上方から軸方向下方に向かうに従い小さくなるカップ形状であってもよく、この場合であっても、上述のようなL1、L2の関係であれば、風量特性を悪化させず、騒音の発生を抑えつつ、高いシール効果を発揮できる。
(第2実施形態)
インペラカップ12は、ロータホルダ10の外周面に固定される。インペラカップ外周部12aの径方向内側に、軸方向に伸びる複数のリブを設けて、インペラカップ12にロータホルダ10を圧入して固定する。
第1実施形態においては、ロータホルダ外周部10aの下端部10bを、ベース部外周壁18aの上端部18bよりも軸方向下方に位置させることによって、第2ラビリンス構造を構成する間隙31を形成した。本実施形態では、ロータホルダ外周部10aの代わりに、複数のリブの下端部を、ベース部外周壁18aの上端部18bよりも軸方向下方に位置させることによって、第2ラビリンス構造を構成する間隙31を形成する。
図5は、本実施形態における送風ファンのモータ部の構成を示した半断面図である。また、図6は、インペラカップ12を下方から見た平面図である。
図5及び図6に示すように、インペラカップ12は、外周部12aの径方向内側に、軸方向に伸びる複数のリブ20を備え、ロータホルダ10が圧入されて固定されている。そして、複数のリブ20の下端部20aは、ベース部外周壁18aの上端部18bよりも軸方向下方に位置している。これにより、ベース部外周壁18aと、各リブ20の外周面との間隙31は、第2ラビリンス構造を構成している。なお、ベース部外周壁18aの上端部18bとインペラカップ外周部12aの下端部12bとの間隙30により構成された第1ラビリンス構造は、第1実施形態と同じである。
本実施形態においても、このように、間隙30で構成された第1ラビリンス構造は、ベース部外周壁18aとインペラカップ外周部12aの各径方向及び軸方向の相対的な位置を、所定の位置に設定するだけで容易に形成できる。さらに、間隙31で構成された第2ラビリンス構造についても、ベース部外周壁18aとリブ20の各径方向及び軸方向の相対的な位置を、所定の位置に設定するだけで容易に形成できる。
なお、図6に示すように、隣接するリブ20間では、ベース部外周壁18aとの間に間隙31が形成されない。したがって、間隙31で構成される第2ラビリンス構造によるシール効果を高めるためには、リブ20の周方向の幅を広くすることが好ましい。また、ロータホルダ外周部10aの下端部10bを、リブ20の下端部20aと同じ位置まで軸方向下方に伸ばしておいてもよい。これにより、隣接するリブ20間でも、ロータホルダ外周部10aとベース部外周壁18aとの間に、間隙31よりもリブ20の肉厚分だけ広くなった間隙を設けることができる。その結果、第2ラビリンス構造によるシール効果をより高めることができる。リブ20の周方向幅、径方向幅、軸方向高さは、求める効果や製品のサイズ等に応じて好適な寸法を選べばよい。
なお、図5及び図6に示したように、複数のリブ20は、インペラカップ外周部12aの径方向内側に形成したが、図7に示すように、インペラカップ12の外周部12aが、軸方向下方に向かうに従い、中心軸から離れるように傾斜してもよい。このようにすれば、図5に示したように、間隙31を形成するリブ20の部位の肉厚を薄くする必要がなく、ロータホルダ10を圧入する際の強度を高めることができる。なお、このとき、リブ20の径方向の幅は、インペラカップ外周部12aの傾斜に応じて、軸方向上方から軸方向下方に向かうに従い大きくなるなど、適宜変更が可能である。
また、本実施形態において、図3(a)〜(h)に示すように、インペラカップ外周部12aの下端部12bが、ベース部外周壁18aの上端部18bよりも軸方向下方に位置する場合、よりシール効果を高めることができる。さらに、インペラカップ外周部12aの下端部12bが、全周にわたって、ベース部外周壁18aの上端部18bよりも軸方向下方に位置する場合、さらなるシール効果が期待できる。
また、第2実施形態のその他の変形例として、図7、図8、図9に示すように、ベース部外周壁18aの内周部と全周にわたって径方向において対向するような円筒部23を、インペラカップ12におけるインペラカップ外周部12aの径方向内側に設けてもよい。より詳しくは、円筒部23の下端部23aは、ベース部外周壁18aの上端部18bよりも軸方向下方に位置している。これにより、ベース部外周壁18aと、円筒部23の外周面との間隙31は、第2ラビリンス構造を構成している。本変形例は、全周にわたって第2ラビリンス構造が形成されているため、よりシール効果を高めることができる。このとき、複数のリブ20を円筒部23の径方向内側に設けてもよく、この複数のリブ20の下端部20aは、ベース部外周壁18aの上端部18bよりも軸方向下方に位置してもよく、円筒部23の下端部23aよりも軸方向下方に位置してもよい。また、リブ20の周方向幅、径方向幅、軸方向高さは、求める効果や製品のサイズ等に応じて好適な寸法を選べばよい。さらに本変形例において、ロータホルダ外周部10aの下端部10bが、回路基板19の近傍まで延出していてもよく、円筒部23の下端部23aよりも軸方向下方に位置してもよい。また、本変形例において、羽根13の下端部の一部は、ベース部外周壁18aの径方向外方において、図2のように軸方向下方に伸びる延伸部13aを備えていてもよい。以上のいずれの場合であっても、よりシール効果を高めることができる。また、本変形例においても、インペラカップ12の外周部12aが、図7におけるインペラカップ12の外周部12aのように、軸方向下方に向かうに従い、中心軸から離れるように傾斜してもよい。このとき、インペラカップ外周部12aの外側部において軸方向上方から軸方向下方に向かって流れる風に遠心力が加わり風速が増え、インペラカップ12の外部が内部と比べて負圧となる。そのため、インペラカップ12の内部から風が、間隙30を通って外部へと排気される。その結果、さらなるシール効果が期待できる。さらに、補強用リブ24を、インペラカップ外周部12aと円筒部23との間に、周方向において放射状に略等間隔で設けることが望ましい。この補強用リブ24により、インペラカップ12の射出成形時の成形精度を高め、インペラカップ外周部12aの下端部12bとベース部外周壁18aの上端部18bとの間の間隙30の寸法精度を高めることができる。これによって、間隙30の寸法をより小さく維持することができ、シール効果をより高めることができる。さらには、補強用リブ24により、回転時におけるインペラカップ12の遠心力による径方向外側への広がりを防ぐことができる。また、本変形例においても、図3(a)〜(h)に示すように、インペラカップ外周部12aの下端部12bが、ベース部外周壁18aの上端部18bよりも軸方向下方に位置する場合、よりシール効果を高めることができる。さらに、インペラカップ外周部12aの下端部12bが、全周にわたって、ベース部外周壁18aの上端部18bよりも軸方向下方に位置する場合、さらなるシール効果が期待できる。
また、図7に示すように、ベース最大径方向寸法L1が、インペラカップ最大径方向寸法L2と略等しい、もしくはベース最大径方向寸法L1が、インペラカップ最大径方向寸法L2よりも小さければ、風量特性を悪化させず、騒音の発生を抑えつつ、高いシール効果を発揮できる。また、本実施形態におけるベース部18は、ベース部外周壁18aの外側部が中心軸に略平行に伸びている形状となっているが、ベース部外周壁18aの外側部の径方向寸法が、軸方向上方から軸方向下方に向かうに従い小さくなるカップ形状であってもよく、この場合であっても、上述のようなL1、L2の関係であれば、風量特性を悪化させず、騒音の発生を抑えつつ、高いシール効果を発揮できる。
(他の実施形態)
本発明の例示的開示では、ベース部18の外周縁部に、軸方向上方に伸びる外周壁18aを形成し、その外周壁18aの上端部18b及び側壁部近傍に、二重のラビリンス構造を設けることによって、防水・防塵機能を発揮させるようにしたものである。
ところで、回路基板19を樹脂で被覆することによって、防水・防塵機能を発揮させる技術がある。この技術は、回路基板19の外周縁部と、ベース部外周壁18aとの隙間から、樹脂をポッティング注入することにより行われる。しかしながら、その隙間が狭いと、樹脂の流れが悪く、回路基板19の裏面まで樹脂で被覆するのに長時間を要したり、あるいは、回路基板19の裏面まで樹脂が行き渡らない場合がある。また、ポッティング注入される隙間が樹脂で塞がれると、空気の抜け路がなくなるため、内部に気泡が溜まる場合がある。
図10は、樹脂をスムーズにポッティング注入できるようにした送風ファンのモータ部の構成を示した断面図である。
図10に示すように、ベース部18の内周端に、軸方向上方に伸びる内周壁18dが設けられ、軸受保持部16は、この内周壁18dの内周面に固定されている。この内周壁18dの一部には、図11に示すように、肉厚を薄くした切り欠き部18eが形成されている。
また、図10に示すように、回路基板19は、ステータ17のステータコアとコイルとを絶縁するインシュレータ21の側壁部21aに固定されている。このインシュレータ側壁部21aの一部には、図12に示すように、軸方向に短くなったスリット21bが形成されている。
このように、回路基板19の内周縁部近傍に、切り欠き部18e及びスリット21bを形成することによって、図10中の矢印で示すように、回路基板19の裏面側から表面側に抜ける空気通路を設けることができる。これにより、回路基板19の外周縁部とベース部外周壁18aとの隙間がポッティング注入時に樹脂で塞がれても、空気の抜け路が確保されているため、樹脂をスムーズにする注入できるとともに、気泡の発生を防止できる。その結果、回路基板19を短時間に、かつ確実に樹脂で被覆できる。
なお、ベース部内周壁18dに形成される切り欠き部18eは、少なくとも1箇所以上あればよい。また、インシュレータ側壁部21aに形成されるスリット21bは、少なくとも1箇所以上あればよい。また、ベース部18に設けられた切り欠き部18eと、インシュレータ21に設けられたスリット21bとを、周方向において同じ位置に形成すれば、より大きな空気通路を確保できる。
回路基板19は、図12に示したインシュレータ21に設けられた嵌合爪21cを、図13に示した回路基板19の内周縁部に設けられた嵌合穴19aに嵌合することによって、インシュレータ21に固定される。このとき、嵌合爪21cの幅を、例えば、嵌合穴19aの半分にすることによって、嵌合穴19aの半分の領域を、ポッティング注入時の空気の抜け路とすることができる。
さらに、図13に示すように、回路基板19の外周縁部に、切り欠き19bを設けることによって、ポッティング注入の隙間を大きくできる。これにより、樹脂の注入流路を確保できるため、樹脂をよりスムーズに注入できる。なお、切り欠き部19bは、少なくとも1箇所以上あればよい。
さらに、回路基板19の平面形状を非円形とすることによっても、回路基板19の外周縁部とベース部外周壁18aとの隙間を大きくできる。これにより、樹脂の注入流路を確保できるため、樹脂をよりスムーズに注入できる。なお、回路基板19は、例えば、正方形、長方形、ひし形などの多角形基板を用いることができる。
ところで、回路基板19を樹脂で被覆するためには、外周壁18aを備えたカップ状ベース部18内に、所定量の樹脂を注入する必要がある。そのため、図14(a)に示すように、ベース部外周壁18aの内周面に、注入量を目視で監視できる監視マーク22を設けておく。この監視マーク22は、例えば、図14(b)に示すように、上部を三角形状にしておく。監視マーク22の高さを、回路基板19の配置高さに応じて予め設定しておけば、ポッティング注入された樹脂が、上部における三角形の領域内に入ったことを監視することによって、所定量の樹脂を過不足なく注入できる。また、監視マーク22を3箇所以上設けておけば、カップ状ベース部18の水平度も目視にて監視できるため、回路基板19を均一な樹脂で被覆できる。
なお、監視マーク22の数は特に制限されないが、好ましくは3箇所以上を周方向に略等間隔に配置すれば、より精度よく樹脂の注入量を制御できる。また、監視マーク22の形状は三角形状に限られず、四角形状や円形状など様々な形状が採用可能である。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん種々の改変が可能である。例えば、上記実施形態においては、モータの軸受部15にボールベアリングを用いたが、スリーブからなる含油軸受を用いてもよい。
10 ロータホルダ
10a ロータホルダ外周部
10b ロータホルダ下端部
11 界磁用磁石
12 インペラカップ
12a インペラカップ外周部
12b インペラカップ下端部
13 羽根
13a 羽根の延伸部
14 シリンダ
15 軸受部
16 軸受保持部
17 ステータ
18 ベース部
18a ベース部外周壁
18b ベース部上端部
18c ベース部内周壁
18d ベース部内周壁の切り欠き部
19 回路基板
19a 回路基板の嵌合穴
19b 回路基板の切り欠き部
20 リブ
20a リブ下端部
21 インシュレータ
21a インシュレータ側壁部
21b インシュレータ側壁部のスリット
21c インシュレータの嵌合爪
22 監視マーク
23 円筒部
23a 円筒部下端部
24 補強用リブ
100 送風ファン

Claims (17)

  1. 回転軸を中心に回転する略円筒状のロータホルダと、
    前記ロータホルダの内周面に固定された界磁用磁石と、
    前記ロータホルダの外周面に固定され、外周面に複数の羽根を有する略円筒状のインペラカップと、
    前記ロータホルダを軸受部及び軸受保持部を介して回転可能に支持するベース部と、
    前記軸受保持部に支持されたステータ部とを備え、
    前記ベース部は、外周縁部において、軸方向上方に伸びる外周壁を有し、
    前記ベース部外周壁の上端部と、前記インペラカップの外周部の下端部との間に、ラビリンス構造を構成する間隙が形成されており、
    前記インペラカップは、前記インペラカップ外周部の径方向内側に、軸方向に伸びる円筒部を備え、
    前記円筒部の下端部は、前記ベース部外周壁の上端部よりも軸方向下方に位置している、送風ファン。
  2. 回転軸を中心に回転する略円筒状のロータホルダと、
    前記ロータホルダの内周面に固定された界磁用磁石と、
    前記ロータホルダの外周面に固定され、外周面に複数の羽根を有する略円筒状のインペラカップと、
    前記ロータホルダを軸受部及び軸受保持部を介して回転可能に支持するベース部と、
    前記軸受保持部に支持されたステータ部とを備え、
    前記ベース部は、外周縁部において、軸方向上方に伸びる外周壁を有し、
    前記ベース部外周壁の上端部と、前記インペラカップの外周部の下端部との間に、ラビリンス構造を構成する間隙が形成されており、
    前記ロータホルダの外周部の下端部は、前記ベース部外周壁の上端部よりも軸方向下方に位置している、送風ファン。
  3. 回転軸を中心に回転する略円筒状のロータホルダと、
    前記ロータホルダの内周面に固定された界磁用磁石と、
    前記ロータホルダの外周面に固定され、外周面に複数の羽根を有する略円筒状のインペラカップと、
    前記ロータホルダを軸受部及び軸受保持部を介して回転可能に支持するベース部と、
    前記軸受保持部に支持されたステータ部とを備え、
    前記ベース部は、外周縁部において、軸方向上方に伸びる外周壁を有し、
    前記ベース部外周壁の上端部と、前記インペラカップの外周部の下端部との間に、ラビリンス構造を構成する間隙が形成されており、
    前記インペラカップは、前記インペラカップ外周部の径方向内側に、軸方向に伸びる複数のリブを備え、
    前記複数のリブの下端部は、前記ベース部外周壁の上端部よりも軸方向下方に位置している、送風ファン。
  4. 請求項1に記載の送風ファンにおいて、
    前記インペラカップ外周部が、軸方向下方に向かうに従い、中心軸から離れるように傾斜している、送風ファン。
  5. 請求項2または3に記載の送風ファンにおいて、
    前記インペラカップ外周部が、軸方向下方に向かうに従い、中心軸から離れるように傾斜している、送風ファン。
  6. 請求項4に記載の送風ファンにおいて、
    前記円筒部と前記インペラカップ外周部とを接続する複数の補強用リブが、周方向に配置されている、送風ファン。
  7. 請求項6に記載の送風ファンにおいて、
    前記補強用リブは、周方向においてほぼ等間隔で配置されている、送風ファン。
  8. 請求項2に記載の送風ファンにおいて、
    前記インペラカップは、前記インペラカップ外周部の径方向内側に、軸方向に伸びる複数のリブを備えている、送風ファン
  9. 請求項2に記載の送風ファンにおいて、
    前記インペラカップは、前記インペラカップ外周部の径方向内側に、軸方向に伸びる円筒部を備えている、送風ファン。
  10. 請求項1、4、6、7、9のいずれか1項に記載の送風ファンにおいて、
    前記インペラカップは、前記円筒部の径方向内側に、軸方向に伸びる複数のリブを備えている、送風ファン。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載の送風ファンにおいて、
    前記ベース部外周壁の上端部及び前記インペラカップ外周部の下端部の前記間隙を介して対向する各対向面は、略同一の傾斜角をもって、径方向内方に向かうに従い軸方向上方に傾斜している、送風ファン。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載の送風ファンにおいて、
    前記羽根の下端部の一部は、前記ベース部外周壁の径方向外方において、軸方向下方に伸びる延伸部を備えている、送風ファン。
  13. 請求項1から12のいずれか1項に記載の送風ファンにおいて、
    前記ベース部外周壁の外側部における最大径方向寸法が、前記インペラカップ外周部の外側部における最大径方向寸法と略等しい、送風ファン。
  14. 請求項1から12のいずれか1項に記載の送風ファンにおいて、
    前記ベース部外周壁の外側部における最大径方向寸法が、前記インペラカップ外周部の外側部における最大径方向寸法よりも小さい、送風ファン。
  15. 請求項1から14のいずれか1項に記載の送風ファンにおいて、
    前記インペラカップ外周部の下端部が、前記ベース部外周壁の上端部よりも軸方向下方に位置している、送風ファン。
  16. 請求項1から15のいずれか1項に記載の送風ファンにおいて、
    前記インペラカップ外周部の下端部が、全周にわたって、前記ベース部外周壁の上端部よりも軸方向下方に位置している、送風ファン。
  17. 請求項1から16のいずれか1項に記載の送風ファンにおいて、
    前記送風ファンは、軸方向の一方から吸気し、軸方向の他方に排気する軸流ファンを構成している、送風ファン。
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