以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。従ってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
図1は、本発明の実施の形態における画像読取装置の内部構成の概略を示す断面図である。なお、図では、説明のために原稿が搬送されて通過する経路を矢印で示しているが、実際には矢印は存在しない。また、矢印の向きは、原稿が搬送される方向を示す。図1を参照して、画像読取装置1は、ADF10と、スキャナ50とを含む。ADF10は、原稿台11と、分離ローラ13と、給紙ローラ15と、搬送ローラ17と、中間ローラ21と、反転ローラ23と、排紙トレイ25と、ガイド板19と、ADF10の全体を制御するためのADF制御部41と、含む。
ADF制御部41は、中央演算装置(CPU)と、不揮発性のROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられる揮発性のRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUがROMに記憶された搬送制御プログラムを実行することにより、分離ローラ13と、給紙ローラ15と、搬送ローラ17と、中間ローラ21と、反転ローラ23と、を制御する。具体的には、分離ローラ13と、給紙ローラ15と、搬送ローラ17と、中間ローラ21と、反転ローラ23と、を回転させるための動力源となるモータを制御し、さらに、分離ローラ13、給紙ローラ15、搬送ローラ17、中間ローラ21および反転ローラ23それぞれに対応して設けられたクラッチを制御する。これにより、ADF制御部41は、モータの回転を分離ローラ13、給紙ローラ15、搬送ローラ17、中間ローラ21および反転ローラ23に独立して伝達することが可能である。また、分離ローラ13、給紙ローラ15、搬送ローラ17、中間ローラ21および反転ローラ23それぞれとモータとは、歯車および/またはベルトで回転が伝達され、分離ローラ13、給紙ローラ15、搬送ローラ17、中間ローラ21および反転ローラ23各々は固有の回転数に設定される。なお、ここでは、1つのモータで分離ローラ13、給紙ローラ15、搬送ローラ17、中間ローラ21および反転ローラ23を制御する例を説明するが、複数のモータを設けてもよい。
分離ローラ13は、原稿台11に積載された複数の原稿の最上段から1枚の原稿をさばき、給紙ローラ15に原稿を搬送する。給紙ローラ15は、原稿を搬送ローラ17に搬送する。給紙ローラ15と搬送ローラ17との間に原稿が流れる給紙経路35が形成されており、給紙ローラ15により搬送される原稿は、給紙経路35を流れて搬送ローラ17に搬送される。給紙経路35の長さは、原稿長さよりも短く設定されており、原稿は一時的に、給紙ローラ15と搬送ローラ17とにより搬送される。
搬送ローラ17と、反転ローラ23との間に、読取位置Lを経由する読取経路37が形成されている。搬送ローラ17により搬送される原稿は、読取経路37を流れ、読取位置Lを通過する。ガイド板19は、読取位置Lで、読取経路37に対してスキャナ50と反対側(図では上側)に設けられ、読取位置Lを通過する原稿を、スキャナ50側に押し付ける。
原稿が読取位置Lを通過することにより、原稿の片面に形成された画像が後述するスキャナ50により読み取られる。読取経路37の搬送ローラ17と中間ローラ21との間の部分の長さは、原稿長よりも短く設定されており、原稿は一時的に、搬送ローラ17と中間ローラ21とにより搬送される。中間ローラ21により搬送される原稿は、読取経路37を流れて反転ローラ23に搬送される。読取経路37の中間ローラ21と反転ローラ23との間の部分の長さは、原稿長よりも短く設定されており、原稿は一時的に、中間ローラ21と反転ローラ23とにより搬送される。
ADF10が片面読取モードに設定されている場合、反転ローラ23は、正回転して原稿を排紙トレイ25に排出する。一方、ADF10が両面読取モードに設定されている場合、反転ローラ23は、最初は正回転して原稿を排紙トレイ25側に搬送するが、原稿が排紙トレイ25に排出される前の段階で、原稿を保持したまま停止し、次に、逆回転して原稿の搬送方向を反転させる。
読取経路37の中間ローラ21と反転ローラとの間の点P2と、給紙経路35の途中の点P1とを結ぶ反転経路39が形成されている。読取経路37の点P2の位置に、返しが設けられている。中間ローラ21から反転ローラ23の方向に搬送される原稿は、読取経路37の点P2を通過する時点で、反転ローラ23に搬送される。また、読取経路37の点P2と反転ローラ23との間に点P3が定められている。反転ローラ23から中間ローラ21の方向に搬送される原稿は、原稿の後端が点P3になると、搬送方向が逆転し、反転ローラ23から中間ローラ21に向かう方向に搬送されるが、読取経路37の点P2において、反転経路39に導かれる。
反転経路39は、点P1において給紙経路35と繋がり、給紙経路35に合流し、反転経路39から給紙経路35に流れる原稿が搬送ローラ17の方向に流れるように形成される。反転経路39が給紙経路35と合流する点P1と、搬送ローラ17との間に、原稿を検出するための検出センサ33が配置される。検出センサ33は、搬送ローラ17に近い位置に配置されるのが好ましい。また、給紙経路35の反転経路39が合流する点P1と給紙ローラ15との間に、原稿を検出する給紙センサ31が配置される。給紙センサ31は、原稿台11に近い位置、換言すれば給紙ローラ15に近い位置であることが好ましい。
スキャナ50は、透明な部材から構成された読取ガラス51と、光を照射するための光源53と、3つのラインセンサが副走査方向に配列された読取部59と、原稿からの反射光を反射して読取部59に導くための反射ミラー55A,55B,55Cと、反射ミラー55Cで反射した光を読取部59上に結像させるためのレンズ57と、読取部59が出力する画像データを処理するための画像処理部61と、を含む。
読取部59は、読取位置Lにおける原稿の搬送方向に垂直な主走査方向に複数が配列されたCCD(Charge Coupled Device)等の光電変換素子を含む。なお、CCDに代えてCMOSセンサを用いるようにしてもよい。読取部59は、ADF10により搬送される原稿が読取位置Lを通過する際に、原稿に形成されている画像を光学的に読み取り、光電変換した画像データを画像処理部61に出力する。
画像処理部61は、読取部59が原稿を読み取って出力する画像データが入力され、画像データに所定の画像処理を施し、画像データを、例えば、フラッシュROMなどに記憶する、または、外部インターフェースを介して、それに接続されたコンピュータまたは画像形成装置等に出力する。
図2は、ADF制御部41が有する機能の概略を示す機能ブロック図である。図2を参照して、ADF制御部41は、原稿の読取モードを設定するモード設定部111と、給紙ローラ15を制御する給紙ローラ制御部101と、搬送ローラ17を制御する搬送ローラ制御部103と、反転ローラ23を制御する反転ローラ制御部105と、原稿長を算出する原稿長算出部107と、給紙タイミングを決定するタイミング決定部109と、を含む。
モード設定部111は、スキャナ50が備えるスキャナ制御部(図示しない)と通信し、ユーザがスキャナ50に設定する読取モードを受け付け、読取モードを設定する。読取モードは、原稿の片面を読み取る片面読取モードと、原稿の両面を読み取る両面読取モードとを含む。ADF制御部41は、モード設定部111により設定された読取モードにしたがって機能する。
図1および図2を参照して、両面読取モードに設定されたADF10の動作について説明する。給紙ローラ制御部101は、ユーザにより原稿の読取指示を受け付けると、分離ローラ13および給紙ローラ15を駆動する。分離ローラ13が回転することにより原稿台11に載置された複数の原稿100の最上部にある1枚の原稿100が、他の原稿100から分離され、給紙ローラ15に搬送される。原稿100は、給紙ローラ15にまで搬送されると、次に給紙ローラ15によっても搬送され、給紙経路35に沿って流れる。原稿100が、給紙ローラ15により搬送ローラ17まで搬送される時点において、搬送ローラ17は、回転していない。このため、原稿100が、給紙ローラ15と搬送ローラ17との間で湾曲し、原稿100の端が搬送ローラ17と平行になるので、搬送ローラ17において、原稿100の傾きが補正される。
原稿100が給紙経路35を通過する際に、給紙センサ31により原稿100が検出される。給紙ローラ制御部101は、給紙センサ31の出力が入力され、給紙センサ31が配置されている位置における原稿の有無を判断する。給紙ローラ制御部101は、給紙センサ31が、原稿を検出していない状態から原稿を検出する状態に遷移したことを検出することによって、原稿100の先端が給紙センサ31の設置されている位置を通過するときを検出する。換言すれば、給紙ローラ制御部101による、給紙センサ31が原稿を検出していない状態から原稿を検出する状態に遷移したときの検出は、原稿100の先端の検出に相当する。
給紙経路35において、給紙センサ31と搬送ローラ17との間の距離と、給紙ローラ15が原稿100を搬送する速度とは予め定められている。給紙ローラ制御部101は、給紙センサ31により原稿100が最初に検出されてから所定の時間経過後に、搬送ローラ制御部103に第1搬送指示を出力するとともに、分離ローラ13および給紙ローラ15の駆動を停止する。所定時間は、原稿100が搬送ローラ17に到達し、原稿100が湾曲した状態になるまでの時間である。
搬送ローラ制御部103は、給紙ローラ制御部101から第1搬送指示が入力されると、搬送ローラ17を回転させるとともに、第1搬送開始信号を原稿長算出部107および反転ローラ制御部105に出力する。なお、給紙ローラ15が原稿を搬送する搬送速度は、搬送ローラ17のそれよりも早くなるように設定されている。搬送ローラ17が原稿100の搬送を開始する時点においては、原稿100は、搬送ローラ17、分離ローラ13および給紙ローラ15に接する。このため、搬送ローラ17が原稿100の搬送を開始した後は、分離ローラ13および給紙ローラ15は、搬送ローラ17によって搬送される原稿100によって、従動する。
給紙ローラ制御部101は、待機制御部113を含む。待機制御部113は、搬送ローラ制御部103に第1搬送指示を出力した後に、給紙センサ31が、原稿を検出している状態から原稿を検出しない状態に遷移したこと検出すると、分離ローラ13および給紙ローラ15を駆動する。分離ローラ13が回転することにより原稿台11に載置された複数の原稿100の最上部にある1枚の原稿100が、他の原稿100から分離され、給紙ローラ15に搬送される。
給紙ローラ制御部101は、分離ローラ13および給紙ローラ15を駆動した後、給紙センサ31が原稿を検出していない状態から原稿を検出する状態に遷移したことを検出すると、分離ローラ13および給紙ローラ15の駆動を停止する。
給紙ローラ制御部101は、後述するタイミング決定部109から供給指示が入力されるまで待機し、供給指示が入力されると、次の原稿100を搬送するために、給紙ローラ15を駆動する。この場合、待機制御部113によって、原稿100は、その先端が給紙経路35の給紙センサ31が配置される位置にある。
なお、片面読取モードにおいては、給紙ローラ制御部101は、原稿100を検出している給紙センサ31が原稿100を検出しなくなると、換言すれば、給紙センサ31が配置される位置において原稿100の後端が検出されると、分離ローラ13および給紙ローラ15を駆動し、原稿100を搬送ローラ17まで搬送する。これにより、原稿台11に積載された原稿100のうちから次の1枚の原稿100の搬送が開始する。このため、片面読取モードにおいては、連続して搬送される先行の原稿と次の原稿との間の距離は、原稿台11に積載された原稿100の先端と、給紙センサ31との間の距離に等しくなる。このため、給紙センサ31を、給紙ローラ15に近い位置に設けることにより、原稿間の距離を短くすることができる。
原稿100が給紙経路35を流れる間、検出センサ33によっても原稿100が検出される。原稿長算出部107は、検出センサ33の出力が入力され、検出センサ33が配置されている位置における原稿の有無を判断する。原稿長算出部107は、検出センサ33が、原稿100を検出している状態から原稿100を検出しない状態に遷移したときを検出することによって、原稿100の後端が検出センサ33の設置されている位置を通過するときを検出する。換言すれば、原稿長算出部107による、検出センサ33が原稿100を検出している状態から原稿100を検出しない状態に遷移したときの検出は、原稿100の後端の検出に相当する。原稿長算出部107は、搬送ローラ制御部103から第1搬送開始信号が入力されると、第1搬送開始信号が入力されてから検出センサ33が原稿を検出しなくなるときまでの時間を計測する。換言すれば、搬送ローラ17が原稿100の搬送を開始してから原稿100の後端が検出センサ33が配置されている位置を通過するまでの時間を計測する。そして、検出センサ33と搬送ローラ17との間の距離と、搬送ローラ17が原稿100を搬送する速度と、計測した時間とから原稿長を算出する。原稿長算出部107は、算出された原稿長をタイミング決定部109に出力する。
搬送ローラ17により搬送される原稿100は、読取ガラス51上の読取位置Lを通過する間、ガイド板19によって読取ガラス51に押し付けられる。
反転ローラ制御部105は、検出センサ33の出力が入力され、中間ローラ21および反転ローラ23を制御する。反転ローラ制御部105は、搬送ローラ制御部103から第1搬送開始信号が入力されてから所定の時間経過後に、中間ローラ21および反転ローラ23を駆動させる。反転ローラ23の回転方向は、原稿100を中間ローラ21から反転ローラ23に向かう方向に搬送する方向である。所定の時間は、原稿100の先端が、中間ローラ21まで搬送される時間であり、予め定められている。
搬送ローラ制御部103は、検出センサ33により原稿100の後端が検出されてから所定時間経過後に搬送ローラ17の駆動を停止する。所定時間は、少なくとも原稿100の先端が中間ローラ21に到達するまでの時間である。原稿100の先端が中間ローラ21に到達した時点においては、原稿100は、搬送ローラ17および中間ローラ21に接する。このため、中間ローラ21が原稿100の搬送を開始した後は、搬送ローラ17は、中間ローラ21によって搬送される原稿100によって、従動する。
また、反転ローラ制御部105は、原稿100の後端が、読取経路37における点P2と反転ローラ23との間の予め定められた点P3の位置となった時に、反転ローラ23を停止させ、直ちに反転ローラ23を逆回転させる。給紙経路35における検出センサ33と搬送ローラ17との間の距離、および読取経路37における搬送ローラ17と点P3との間の距離とは予め定められており、搬送ローラ17、中間ローラ21および反転ローラ23の原稿100の搬送速度は予め定められている。従って、原稿100の後端が、検出センサ33から点P3まで移動する移動時間を予め算出しておけば、反転ローラ制御部105は、第1搬送開始指示が入力された後に、検出センサ33が原稿100を検出している状態から原稿100を検出しない状態への遷移を検出してから移動時間が経過したときに、中間ローラ21および反転ローラ23を停止させ、直ちに反転ローラ23を逆回転させる。これにより、原稿100は、読取経路37を中間ローラ21に向けて流れるが、点P2において反転経路39に導かれる。これにより原稿100がスイッチバックされ、原稿100の後端と先端とが入れ替わる。
そしてスイッチバックされた原稿100は反転経路39および給紙経路35の点P1を経て搬送ローラ17まで搬送される。
反転ローラ23により原稿100が搬送ローラ17まで搬送される段階において、搬送ローラ17は、原稿100に接していないため、回転していない。このため、原稿100が、反転ローラ23と搬送ローラ17との間で湾曲し、原稿100の端が搬送ローラ17と平行になるので、搬送ローラ17において、原稿の傾きが補正される。
読取経路37における点P3と点P2との間の距離、反転経路39の距離、および給紙経路35における点P1から搬送ローラ17までの距離と、反転ローラ23が原稿100を搬送する速度とは予め定められている。反転ローラ制御部105は、反転して原稿100の搬送を開始してから所定の時間経過後に、搬送ローラ制御部103に第2搬送指示を出力するとともに、反転ローラ23の駆動を停止する。所定時間は、原稿100が搬送ローラ17に到達し、原稿100が湾曲した状態になるまでの時間である。
搬送ローラ制御部103は、反転ローラ制御部105から第2搬送指示が入力されると、搬送ローラ17を回転させるとともに、第2搬送開始信号を反転ローラ制御部105およびタイミング決定部109に出力する。なお、反転ローラ23が逆回転で原稿を搬送する搬送速度は、搬送ローラ17のそれよりも早くなるように設定されている。搬送ローラ17が原稿100の搬送を開始する時点においては、原稿100は、搬送ローラ17、反転ローラ23に接する。このため、搬送ローラ17が原稿100の搬送を開始した後は、反転ローラ23は、搬送ローラ17によって搬送される原稿100によって、従動する。
反転ローラ制御部105は、搬送ローラ制御部103から第2搬送開始信号が入力されてから所定の時間経過後に、中間ローラ21および反転ローラ23を駆動させる。反転ローラ23の回転方向は、原稿100を中間ローラ21から反転ローラ23に向かう方向に搬送する方向である。所定の時間は、原稿100の先端が、中間ローラ21まで搬送される時間であり、予め定められている。
さらに、反転ローラ制御部105は、原稿100が排紙トレイ25に排出されると、中間ローラ21および反転ローラ23を停止させる。これにより、1枚の原稿100の両面を読み取るための搬送が終了する。
タイミング決定部109は、原稿長算出部107から原稿長が入力され、搬送ローラ制御部103から第2搬送開始信号が入力され、給紙ローラ15が次に原稿100の搬送を開始するタイミングを決定する。タイミング決定部109は、搬送ローラ17により搬送されている原稿100と給紙ローラ15が次に搬送する原稿100とが重ならないように、給紙ローラ15が次の原稿100の搬送を開始するタイミングを決定する。より具体的には、搬送ローラ17が、原稿100の搬送方向の長さ(原稿長)から搬送ローラ17と給紙センサ31との間の距離を減算した値以上、反転ローラ23から搬送される原稿100を搬送したときを、給紙ローラ15が次の原稿100の搬送を開始するタイミングに決定する。このため、タイミング決定部109は、原稿長から搬送ローラ17と給紙センサ31との間の距離を減算した距離を搬送ローラ17の搬送速度で減算することにより、しきい値Tを求める。なお、先行する原稿100と後続の原稿100との間に所定の距離の間隔を設ける場合、原稿長から搬送ローラ17と給紙センサ31との間の距離を減算した距離に間隔の距離を加算した値を搬送ローラ17の搬送速度で減算することにより、しきい値Tを求める。
そして、タイミング決定部109は、搬送ローラ制御部103から第2搬送開始信号が入力されてからの経過時間が、しきい値Tになると、給紙指示を給紙ローラ制御部101に出力する。
なお、給紙ローラ制御部101が待機制御部113を含まないようにしてもよい。この場合は、タイミング決定部109は、搬送ローラ17が、原稿100の搬送方向の長さ(原稿長)から給紙経路35の長さを減算した値以上、反転ローラ23から搬送される原稿100を搬送したときを、給紙ローラ15が次の原稿100の搬送を開始するタイミングに決定する。具体的には、タイミング決定部109は、原稿長から給紙経路35の長さを減算した値を搬送ローラ17の搬送速度で除算することよりしきい値Tを求め、搬送ローラ制御部103から第2搬送開始信号が入力されてからの経過時間が、しきい値Tになると、給紙指示を給紙ローラ制御部101に出力する。
図3は、給紙ローラ制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。給紙ローラ制御処理は、ADF制御部41が備えるCPUが、ROMに記憶された搬送制御プログラムを実行することにより、CPUにより実行される処理である。CPUは、搬送制御プログラムを実行することにより、CPUは、給紙ローラ制御処理を実行するタスクと、後述する搬送・反転ローラ制御処理を実行するタスクと、を形成する。
図3を参照して、ADF制御部41が備えるCPUは、読取指示を受け付けたか否かを判断する(ステップS01)。スキャナ50が備えるスタートボタンをユーザが押下すると、スキャナ50は読取指示をADF10に出力するので、CPUは、スキャナ50から出力される読取指示を受け付ける。読取指示を受け付けるまで待機状態となり(ステップS01でNO)、読取指示を受け付けたならば処理をステップS02に進める。
ステップS02においては、原稿台11に原稿100が存在するか否かを判断する。原稿台11に原稿100が存在するならば処理をステップS03に進めるが、そうでなければ処理をステップS19に進める。原稿台11に予め取り付けられたセンサによって、原稿100の有無を判断する。原稿台11に取り付けられたセンサは、例えば、近接センサ、原稿100によって形状が変化するスイッチ、または、原稿100によって光路の遮断を検出する受光素子等を用いることができる。
ステップS19においては、終了指示を搬送・反転ローラ制御処理を実行するタスクに出力し、処理を終了する。
ステップS03においては、分離ローラ13および給紙ローラ15を駆動させて、給紙ローラ15に原稿を搬送させる。分離ローラ13が駆動すると、原稿台11に載置された複数の原稿100の最上部にある1枚の原稿100が、他の原稿100から分離されて、給紙ローラ15に搬送される。その後、原稿100は、給紙ローラ15によっても搬送されて、給紙経路35に沿って流れる。
次のステップS04においては、原稿100を搬送ローラ17まで搬送したか否かを判断する。具体的には、給紙センサ31により原稿100が検出されてから所定の時間が経過したか否かを判断する。所定の時間は、給紙経路35における給紙センサ31と搬送ローラ17との間の距離を給紙ローラ15が原稿100を搬送する速度で除算した値に、原稿100を湾曲させるための時間を付加した値である。原稿100を湾曲させるための時間を付加するのは、原稿100を、給紙ローラ15と搬送ローラ17との間で湾曲させて、搬送ローラ17において原稿100の傾きを補正するためである。原稿100を搬送ローラ17まで搬送するまで待機状態となり(ステップS04でNO)、搬送ローラ17まで搬送したならば(ステップS04でYES)、処理をステップS05に進める。
ステップS05においては、搬送・反転ローラ制御処理を実行するタスクに、第1搬送指示を出力する。後述する搬送・反転ローラ制御処理を実行するタスクは、第1搬送指示を受け付けると、搬送ローラ17を駆動させて、原稿100を搬送させる。次のステップS06においては、分離ローラ13および給紙ローラ15の駆動を停止する。搬送ローラ17が原稿100の搬送を開始した後は、分離ローラ13および給紙ローラ15は、搬送ローラ17によって搬送される原稿100によって、従動する。
ステップS07においては、給紙センサ31が原稿100を検出中か否かを判断する。給紙センサ31が原稿100を検出している間は待機状態となり(ステップS07でYES)、給紙センサ31が原稿100を検出しなくなると(ステップS07でNO)、処理をステップS08に進める。
ステップS08においては、読取モードが両面読取モードに設定されているか否かを判断する。読取モードが両面読取モードに設定されているならば処理をステップS09に進めるが、そうでなければ処理をステップS02に戻す。片面読取モードの場合は、原稿100の後端が、給紙センサ31を通過した後に、次の原稿100の搬送が開始する。このため、先行する原稿100と次の原稿との間隔は、原稿台11に積載された原稿100の先端と、給紙センサ31との間の距離となる。
ステップS09においては、ステップS02と同様に、原稿台に原稿100が存在するか否かを判断する。原稿台11に原稿が存在するならば処理をステップS10に進めるが、そうでなければ処理をステップS19に進める。
ステップS10においては、ステップS03と同様に、分離ローラ13および給紙ローラ15を駆動させて、給紙ローラ15に原稿を搬送させる。そして、給紙センサ31が原稿の先端を検出したか否かを判断する(ステップS11)。具体的には、給紙センサ31の出力が原稿100を検出していない状態から原稿100を検出する状態に遷移したか否かを判断する。原稿100の先端を検出するまで待機状態となり(ステップS11でNO)、原稿100の先端を検出すると(ステップS11でYES)、処理をステップS12に進める。ステップS12においては、分離ローラ13および給紙ローラ15の駆動を停止する。これにより、原稿100は、その先端が、給紙経路35において給紙センサ31が配置されている位置で、停止した状態となる。
次のステップS13においては、後述する搬送・反転ローラ制御処理を実行するタスクから給紙指示を受け付けたか否かを判断する。給紙指示については後述する。給紙指示を受け付けるまで待機状態となり(ステップS13でNO)、給紙指示を受け付けると(ステップS14でYES)、処理をステップS14に進める。
ステップS14〜ステップS18の処理は、ステップS03〜ステップS07と同じである。従って、ここでは説明を繰り返さない。ステップS18において、給紙センサ31が原稿100を検出しなくなると(ステップS18でNO)、処理をステップS09に戻す。
図4および図5は、搬送・反転ローラ制御処理の流れの一例を示す図である。搬送・反転ローラ制御処理は、ADF制御部41が備えるCPUが、ROMに記憶された搬送制御プログラムを実行することにより、CPUにより実行される処理である。
図4を参照して、ADF制御部41が備えるCPUは、給紙ローラ制御処理を実行するタスクが出力する第1搬送指示を受け付けたか否かを判断する(ステップS31)。第1搬送指示を受け付けたならば処理をステップS33に進めるが、そうでなければ処理をステップS32に進める。ステップS32においては、給紙ローラ制御処理を実行するタスクが出力する終了指示を受け付けたか否かを判断する。終了指示を受け付けたならば処理を終了するが、そうでなければ処理をステップS31に戻す。
ステップS33においては、読取モードが両面読取モードに設定されているか否かを判断する。両面読取モードに設定されていれば処理をステップS34に進めるが、そうでなければ処理をステップS61に進める。ステップS34においては、搬送ローラ17を駆動して、搬送ローラ17による原稿100の搬送を開始する。搬送指示を受け付ける時点において、原稿100は給紙経路35を運ばれて搬送ローラ17に到達しているので、搬送ローラ17を駆動することにより、搬送ローラ17により原稿100が搬送される。
次のステップS35においては、タイマをスタートする。タイマは、搬送ローラ17を駆動してからの経過時間を計測する。このため、タイマ値と搬送ローラ17が原稿を搬送する速度とから原稿を搬送した距離を算出することができる。
次のステップS36においては、原稿100を中間ローラ21まで搬送したか否かを判断する。タイマ値を所定の値と比較することで判断する。原稿100を中間ローラ21まで搬送するまで待機状態となり(ステップS36でNO)、中間ローラ21まで搬送したならば処理をステップS37に進める。
ステップS37においては、中間ローラ21と反転ローラ23とを駆動して、中間ローラ21と反転ローラ23による原稿100の搬送を開始する。この時点において、原稿100は搬送ローラ17により読取経路37を運ばれて中間ローラ21に到達しているので、中間ローラ21を駆動することにより、原稿100が搬送される。次に、搬送ローラ17の駆動を停止する。
次に、検出センサ33が原稿100を検出中か否かを判断する(ステップS39)。検出センサ33が原稿100を検出している間は待機状態となり(ステップS39でYES)、検出センサ33が原稿100を検出しなくなると(ステップS39でNO)、処理をステップS40に進める。ステップS40においては、タイマ値を取得する。ステップS39から処理がステップS40に進むのは、原稿100の後端が、給紙経路35における検出センサ33が配置される位置を通過したときなので、タイマ値は、搬送ローラ17が原稿100の搬送を開始してからその原稿100の後端が検出センサ33を通過するまでの時間を示す。
次のステップS41においては、原稿長を算出する。具体的には、給紙経路35における検出センサ33と搬送ローラ17との間の距離と、搬送ローラ17が原稿100を搬送する速度と、ステップS40において取得されたタイマ値とから原稿長を算出する。より具体的には、搬送ローラ17の搬送速度に、ステップS40において取得されたタイマ値を乗算した値に、給紙経路35における検出センサ33と搬送ローラ17との間の距離を加算した値を、原稿長とする。
次のステップS42においては、算出された原稿長に基づいて、しきい値Tを決定する。原稿100の搬送方向の長さ(原稿長)から搬送ローラ17と給紙センサ31との間の距離を減算した値を搬送ローラ17の搬送速度で減算することにより、しきい値Tを求める。なお、先行する原稿100と後続の原稿100との間に間隔を設ける場合、原稿長から搬送ローラ17と給紙センサ31との間の距離を減算した距離に間隔の距離を加算した値を搬送ローラ17の搬送速度で減算することにより、しきい値Tを求める。搬送ローラ17が反転ローラ23から搬送される原稿100を搬送してからしきい値Tの時間が経過すると、原稿100の後端は、搬送ローラ17から搬送ローラ17と給紙センサ31との間の距離だけ上流にある。このため、搬送ローラ17が反転ローラ23から搬送される原稿100を搬送してからしきい値Tの時間が経過した後に、給紙ローラ15による次の原稿100の搬送を開始しても、搬送ローラ17により搬送されている原稿100と給紙ローラ15が次に搬送する原稿100とが重ならないようにすることができる。
次のステップS43においては、原稿100を反転位置まで搬送したか否かを判断する。反転位置は、原稿100の後端が、読取経路37における点P3と重なる位置である。反転位置は、読取経路37と反転経路39との交点P2と反転ローラ23との間の位置であり、予め定められた位置である。原稿100の後端が、検出センサ33から点P3まで移動する移動時間を予め算出しておき、ステップS39において検出センサ33により原稿100の後端が検出されてから移動時間が経過すると、原稿100が反転位置まで搬送したと判断する。原稿100を反転位置まで搬送するまで待機状態となり(ステップS43でNO)、原稿100を反転位置まで搬送したならば(ステップS43でYES)、処理をステップS44に進める。
ステップS44においては、中間ローラ21および反転ローラ23を停止させ、反転ローラ23を逆方向に回転させる。これにより、原稿100は、スイッチバックされて、読取経路37を中間ローラ21に向かって流れ、点P2において反転経路39に導かれる。そしてスイッチバックされた原稿100は反転経路39および給紙経路35の点P1を経て搬送ローラ17まで搬送される。
ステップS45においては、原稿100が搬送ローラ17まで搬送されたか否かを判断する。反転ローラ23が逆回転を開始してから原稿100を搬送する時間を計時し、反転ローラ23の搬送速度と、反転位置である点P3から反転経路39を経て搬送ローラ17までの距離とから定まる時間と比較することにより判断する。原稿100が搬送ローラ17まで搬送されるまで待機状態となり(ステップS45でNO)、原稿100が搬送ローラ17まで搬送されると(ステップS45でYES)、処理をステップS46に進める。
ステップS46においては、ステップS34と同様に、搬送ローラ17を駆動して、搬送ローラ17による原稿100の搬送を開始する。この段階において、原稿100は反転ローラ23により搬送されて搬送ローラ17に到達しているので、搬送ローラ17を駆動することにより、搬送ローラ17により原稿100が搬送される。
次のステップS47においては、タイマをスタートする。タイマは、搬送ローラ17を駆動してからの経過時間を計測する。このため、タイマ値と搬送ローラ17が原稿を搬送する速度とから原稿を搬送した距離がわかる。
次のステップS48においては、反転ローラ23の駆動を停止する。搬送ローラ17が原稿100の搬送を開始した後は、反転ローラ23は、搬送ローラ17によって搬送される原稿100によって、従動する。
次のステップS49においては、ステップS47で計時をスタートしたタイマのタイマ値をステップS42において決定されたしきい値Tと比較し、タイマ値がしきい値T以上ならば処理をステップS50に進め、そうでなければ処理をステップS54に進める。ステップS54においては、ステップS36と同様に、原稿100が中間ローラ21まで搬送されたか否かを判断する。中間ローラ21まで原稿100が搬送されたならば処理をステップS55に進めるが、そうでなければ処理をステップS49に戻す。原稿長が比較的長い場合、処理はステップS55に進む。
ステップS50においては、給紙ローラ制御処理を実行するタスクに、給紙指示を出力し、処理をステップS51に進める。そして、ステップS51においては、ステップS36と同様に、原稿100が中間ローラ21まで搬送されたか否かを判断する。中間ローラ21まで原稿100が搬送されるまで待機状態となり(ステップS51でNO)、原稿100が中間ローラ21まで搬送されたならば(ステップS51でYES)、処理をステップS52に進める。ステップS52においては、ステップS37と同様に、中間ローラ21と反転ローラ23とを駆動して、中間ローラ21と反転ローラ23による原稿100の搬送を開始する。この時点において、原稿100は搬送ローラ17により読取経路37を運ばれて中間ローラ21に到達しているので、中間ローラ21を駆動することにより、原稿100が搬送される。次に、ステップS38と同様に、搬送ローラ17の駆動を停止し(ステップS53)、処理をステップS59に進める。
一方、ステップS55においては、ステップS37と同様に、中間ローラ21と反転ローラ23とを駆動して、中間ローラ21と反転ローラ23による原稿100の搬送を開始する。次に、ステップS38と同様に、搬送ローラ17の駆動を停止し(ステップS56)、処理をステップS57に進める。
ステップS57においては、ステップS49と同様に、ステップS47で計時をスタートしたタイマのタイマ値をステップS42において決定されたしきい値Tと比較する。タイマ値がしきい値T以上になるまで待機状態となり(ステップS57でNO)、タイマ値がしきい値T以上になると(ステップS57でYES)、処理をステップS58に進める。ステップS58においては、給紙ローラ制御処理を実行するタスクに、給紙指示を出力し、処理をステップS59に進める。
ステップS59においては、原稿100を排紙トレイ25に排紙したか否かを判断する。検出センサ33において、原稿100の後端が検出されてからの経過時間が、読取経路37の長さの距離を原稿100を搬送する時間を越えたならば、原稿100を排紙トレイ25に排紙したと判断する。原稿100が排紙トレイ25に排紙されるまで待機状態となり(ステップS59でNO)、原稿100が排紙トレイ25に排紙されると(ステップS59でYES)、処理をステップS60に進める。ステップS60においては、中間ローラ21および反転ローラ23の駆動を停止し、処理をステップS31に戻す。
一方、読取モードが片面読取モードの場合、ステップS61においては、ステップS34と同様に、搬送ローラ17を駆動して、搬送ローラ17による原稿100の搬送を開始する。次のステップS62〜ステップS64の処理は、ステップS51〜ステップS53までの処理と同じなので、ここでは説明を繰り返さない。
搬送ローラ17を停止した後、ステップS65においては、ステップS39と同様に、検出センサ33が原稿100を検出中か否かを判断する。検出センサ33が原稿100を検出している間は待機状態となり(ステップS65でYES)、検出センサ33が原稿100を検出しなくなると(ステップS65でNO)、処理をステップS66に進める。ステップS66においては、ステップS50と同様に、給紙ローラ制御処理を実行するタスクに、給紙指示を出力し、処理をステップS67に進める。ステップS67およびステップS68の処理は、ステップS59およびステップS60と同じなのでここでは説明を繰り返さない。
以上説明したように、本実施の形態における画像読取装置1は、検出センサ33が、給紙経路35の反転経路39が繋がる位置よりも搬送ローラ17側に、搬送ローラ17と所定の距離を隔てて配置され、搬送ローラ17が給紙ローラ15から搬送される原稿の搬送を開始してから検出センサ33により原稿が検出されなくなるまでの間に搬送ローラ17が原稿を搬送した搬送距離に基づいて、原稿の搬送方向の長さを算出し、搬送ローラ17が反転ローラ23から搬送される原稿を搬送した距離と算出された原稿の搬送方向の長さとに基づいて、給紙ローラ15が原稿の搬送ローラ17への搬送を開始するタイミングが決定される。このため、原稿を検出するためのセンサを新たに追加することなく、給紙ローラ15が搬送ローラ17に搬送する原稿が、先行する原稿と重なることなく、適切な間隔となるよいに原稿の搬送を開始するタイミングを決定することができる。
また、搬送ローラ17が、原稿の搬送方向の長さから給紙経路35の長さを減算した値以上、反転ローラ23から搬送される原稿を搬送したときを、給紙ローラ15が原稿の搬送ローラ17への搬送を開始するタイミングに決定する。このため、先行する原稿と後続の原稿とが重ならないようにすることができる。
また、給紙ローラ15の検出センサ33が配置される位置よりも原稿台11側に搬送ローラ17と所定の距離を隔てて配置された給紙センサ31により、原稿台11から取出された原稿が検出されるまで搬送させて待機させる場合、搬送ローラ17が、原稿100の搬送方向の長さから搬送ローラ17と給紙センサ31との間の距離を減算した値以上、反転ローラ23から搬送される原稿を搬送したときに、給紙ローラ15が待機中の原稿100の搬送を開始するタイミングに決定する。このため、原稿100を給紙センサ31の位置に待機させる場合であっても、先行する原稿と後続の原稿とが重ならないようにすることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。