以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
最初に、本発明の読取装置を備える画像形成装置について、図1を用いてその構造を説明する。図1は画像形成装置の構成を示すブロック図である。この画像形成装置はコピー、画像読取(スキャン)、プリンタ、ファクシミリ等の各機能を備えた所謂複合機100である。
複合機100は主制御部5を備える。主制御部5は複合機100に含まれる各部を制御する。主制御部5はCPU51や、印刷や送信に用いる画像データに対して画像処理を行う画像処理部52や、その他の電子回路や素子を含む。CPU51は記憶部53に記憶される制御用のプログラムやデータに基づき複合機100の各部の制御や演算を行う。記憶部53はROM、フラッシュROM、HDDのような不揮発性の記憶装置と、RAMのような揮発性の記憶装置との組み合わせから成る。
複合機100の上部には搬送ユニット2、読取ユニット3及び操作パネル4を有する読取装置1が設けられる。主制御部5は読取装置1に動作指示を与え、原稿に印刷された画像を読み取らせる。原稿に印刷された画像を読み取ることで得られた画像データは印刷(コピー機能)や、送信(スキャン送信機能)に用いられたり、記憶部に蓄積されたりする(ボックス機能)。読取装置1の詳細は後述する。
操作パネル4はパネル制御部41、表示パネル部42及びタッチパネル部43を含む。表示パネル部42は設定画面やソフトキーのような設定用画像を表示する。タッチパネル部43は表示パネル部42に対して設けられ、表示パネル部42のタッチ位置を示す信号を出力する。パネル制御部41は表示パネル部42の表示を制御し、タッチパネル部43の出力信号に基づいて使用者の操作した設定用画像を認識する。そして、パネル制御部41は使用者の操作を受け付け、その操作に応じた画面を表示パネル部42に表示させる。
また、操作パネル4は原稿の両面の画像の読み取りと、原稿の片面の画像の読み取りとの設定を受け付ける。このように、操作パネル4は読取装置1の動作に関する設定にも用いられる。
複合機100は内部に印刷部6を備える。印刷部6は給紙部6a、搬送部6b、画像形成部6c及び定着部6dを含む。給紙部6aは複数枚の用紙を収容し、印刷時に用紙を送り出す。搬送部6bは給紙部6aから送り出された用紙を搬送し、定着後の用紙を機外に排出する。画像形成部6cは印刷に用いる画像データに基づいてトナー像を形成し、そのトナー像を用紙に転写する。定着部6dはトナー像が転写された用紙を加熱、加圧し、トナー像を用紙に定着させる。主制御部5は印刷部6の動作を制御する。
主制御部5には通信部54が接続される。主制御部5は通信部54の動作、通信処理を制御する。通信部54はPCやサーバーのようなコンピュータ200やファクシミリ装置300と通信を行うためのインターフェイスである。主制御部5はコンピュータ200やファクシミリ装置300から受信した印刷用データに基づき印刷部6に印刷を行わせる(プリント機能)。
続いて、読取装置1の詳細な構成について、図2及び図3を用いて説明する。図2は読取装置1の構成を示すブロック図であり、図3は読取装置1の垂直断面図である。
読取装置1は、図2及び図3に示すように搬送ユニット2及び読取ユニット3を備える。搬送ユニット2は読取ユニット3の上方に設けられる。搬送ユニット2は読取位置(読取ユニット3の送り読取用コンタクトガラス31a)に向けて原稿を搬送する。搬送ユニット2は図3の紙面に対して垂直方向奥側を支点とし、手前側を自由端として読取ユニット3に対して上下方向に開閉可能に取り付けられる。搬送ユニット2は読取ユニット3の各コンタクトガラスを上方から押さえるカバーとしても機能する。
搬送ユニット2は用紙の搬送を制御する搬送制御部20を備える。搬送制御部20はCPU20a及びメモリ20bを含む。CPU20aはメモリ20bに記憶されたプログラムやデータを用いて原稿搬送を制御する。メモリ20bは原稿搬送制御に関するプログラムやデータを記憶する。
搬送ユニット2は画像の読み取り前の原稿が載置される給紙トレイ21を備える(図3参照)。搬送ユニット2は原稿搬送方向の上流側から順に、給紙ローラ22、分離搬送部23、レジストローラ対24、第1搬送ローラ対25b、第2搬送ローラ対25c、第3搬送ローラ対25d、排出ローラ対26、反転ローラ対27、可動ガイド板29といった原稿を供給、搬送、排出するための部材を含む。給紙ローラ22は給紙トレイ21の原稿搬送方向下流端の上方に配置される。画像の読み取り後の原稿は排出口28を介して排出トレイ21aに排出される。
なお、分離搬送部23は駆動ローラ23b、従動ローラ23c、給紙ベルト23d及び分離ローラ23eを含む。給紙ベルト23dは駆動ローラ23b及び従動ローラ23cに張架される。原稿搬送時、駆動ローラ23b、従動ローラ23c及び給紙ベルト23dは原稿搬送方向に回転する。分離ローラ23eは原稿搬送方向と逆方向に回転する。重送が生じているとき、分離ローラ23eは重なった原稿のうち下方の原稿を分離し、給紙トレイ21方向に送り返す。
搬送ユニット2は給紙モータ22a、分離モータ23a、レジストクラッチ24a、搬送モータ25a、反転モータ27a及びガイドモータ29aを含む(図2参照)。給紙モータ22aは給紙ローラ22と駆動ローラ23bとを回転させる。分離モータ23aは分離ローラ23eを回転させる。搬送モータ25aは第1搬送ローラ対25b、第2搬送ローラ対25c、第3搬送ローラ対25d及び排出ローラ対26を回転させる。反転モータ27aは反転ローラ対27を回転させる。なお、反転モータ27aは正方向及び逆方向に回転可能である。ガイドモータ29aは可動ガイド板29を揺動させる。搬送制御部20は各モータの動作を制御する。
搬送ユニット2は原稿を搬送するための搬送路として第1搬送路71、第2搬送路72、第3搬送路73及び排出搬送路74を含む。第1搬送路71は給紙トレイ21から読取位置(送り読取用コンタクトガラス31a)まで延びる搬送路である。第1搬送路71にはレジストローラ対24、第1搬送ローラ対25b及び第2搬送ローラ対25cが設けられる。第2搬送路72は読取位置から反転ローラ対27の箇所まで延びる搬送路である。第2搬送路72には第3搬送ローラ対25d及び反転ローラ対27が設けられる。第3搬送路73は一端が第1搬送路71に接続され、他端が第2搬送路72に接続される。また、第3搬送路73は反転ローラ対27で搬送方向が切り替えられた原稿を読取位置の搬送方向上流側の第1搬送路71に送るための搬送路である。排出搬送路74は第2搬送路72の途中の箇所から分岐し、排出口28を介して排出トレイ21aまで延びる搬送路である。排出搬送路74には排出ローラ対26が設けられる。
ここで、反転ローラ対27は、原稿を図3における右方に送る正転と、原稿を図3における左方に送る逆転と、を行い、原稿の搬送方向を切り替えることができる。そして、搬送ユニット2は第一面(表面)の画像を読み取るために読取位置を通過した後の原稿を第2搬送路72を介して反転ローラ対27へと送り、原稿が反転ローラ対27のニップ部から外れる前に反転ローラ対27の正転を停止させ、さらに逆転させて第二面(裏面)の画像を読み取るためにその原稿を第3搬送路73を介して再度読取位置の原稿搬送方向上流側に送るという原稿のスイッチバックを行う。
第2搬送路72の途中であって、第3搬送ローラ対25dと反転ローラ対27との間の箇所である排出搬送路74の第2搬送路72からの分岐部には可動ガイド板29が設けられる。可動ガイド板29は第2搬送路72の原稿搬送方向の下流側に対する上流側が上下方向に揺動することで姿勢変更が可能であり、読取位置を通過した原稿を排出搬送路74側または第2搬送路72の反転ローラ対27側のいずれかに導く。さらに、可動ガイド板29は反転ローラ対27の箇所に到達した原稿に対して、第2搬送路72と第3搬送路73との分岐位置75における第2搬送路72側を閉鎖して第3搬送路73側に原稿を導く姿勢に変更することもできる。ガイドモータ29aは可動ガイド板29の姿勢を変更するために設けられる。原稿の第二面の画像を読み取る場合、可動ガイド板29は原稿を反転ローラ対27に導く。一方、原稿の画像の読み取りが終了して原稿を排出トレイ21aに排出する場合、可動ガイド板29は原稿を排出搬送路74に導く。
搬送ユニット2は原稿セットセンサS1、タイミングセンサS2(検知部に相当)、レジストセンサS3及び排出センサS4を含む。原稿セットセンサS1は給紙トレイ21に設けられる。原稿セットセンサS1は例えば透過型光センサや反射型光センサといった給紙トレイ21の原稿の有無に応じて出力が変化するセンサである。搬送制御部20は原稿セットセンサS1の出力に基づき給紙トレイ21にセットされている原稿があるか否かを認識する。なお、原稿セットセンサS1に関連して、給紙トレイ21は原稿のサイズを検知するための不図示の原稿サイズ検知センサも備える。
タイミングセンサS2及びレジストセンサS3は設置位置(検知位置)に原稿が存在しているか否かを検知するためのセンサである。タイミングセンサS2及びレジストセンサS3は原稿が接触すると変位するアクチュエータを備え、アクチュエータの位置によって光の透過状態、すなわち出力が変わる透過型の光センサである。
レジストセンサS3は第1搬送路71におけるレジストローラ対24の原稿搬送方向上流側近傍に設けられる。搬送制御部20はレジストセンサS3の出力に基づき、原稿がレジストセンサS3の設置位置であるレジストローラ対24に到達したか否か、また原稿が検知位置を通過したか否かを認識する。
タイミングセンサS2は第1搬送路71における読取位置(読み取りライン)よりも原稿搬送方向上流側に設けられる。具体的に言えば、タイミングセンサS2はレジストセンサS3よりも原稿搬送方向下流側であって、第2搬送ローラ対25cの原稿搬送方向上流側近傍に設けられる。搬送制御部20はタイミングセンサS2の出力に基づき、原稿がタイミングセンサS2の設置位置(読取位置の手前)に到達したか否か、また原稿が検知位置を通過したか否かを認識する。
排出センサS4は排出口28近傍に設けられる。具体的に言えば、排出センサS4は排出ローラ対26よりも原稿搬送方向下流側に設けられる。搬送制御部20は排出センサS4の出力に基づき、原稿が排出トレイ21aに排出されたか否かを認識する。
読取ユニット3は原稿の画像の読み取りを制御する読取制御部30を備える。読取制御部30はCPU30a及びメモリ30bを含む。CPU30aはメモリ30bに記憶されたプログラムやデータを用いて原稿の画像の読み取りを制御する。メモリ30bは原稿の画像の読み取りに関するプログラムやデータを記憶する。
読取ユニット3は上面に送り読取用コンタクトガラス31aと載置読取用コンタクトガラス31bを含む(図3参照)。また、読取ユニット3は第1移動枠32、第2移動枠33、ワイヤー34、巻き取りドラム35、レンズ36及びイメージセンサ37を含む。第1移動枠32にはランプ38及び第1ミラー39aが設けられる。第2移動枠33には第2ミラー39b及び第3ミラー39cが設けられる。
ランプ38は原稿に光を照射する。原稿の反射光が各ミラーによってレンズ36に導かれる。レンズ36は入射光を集光し、その光をイメージセンサ37に導く。イメージセンサ37は入射光を光電変換する。ワイヤー34は第1移動枠32及び第2移動枠33に接続され、他端が巻き取りドラム35に接続される。巻き取りドラム35を回転させることにより、読み取りライン(ランプ38の照射位置)を移動させることができる。
載置読取用コンタクトガラス31bにセットされた原稿の画像を読み取るとき、読取制御部30は巻き取りドラム35を回転させる巻き取りモータ35aを回転させ、読み取りラインの位置を載置読取用コンタクトガラス31bの図3における左端から右端に向けて移動させる。一方、送り読取用コンタクトガラス31a(読取位置)の上側を通過する原稿の画像を読み取るとき(送り読み取りのとき)、読取制御部30は巻き取りモータ35aを回転させ、読み取りラインの位置を送り読取用コンタクトガラス31aの範囲内の何れかの位置に合わせて停止させる。なお、搬送ユニット2には送り読取用コンタクトガラス31aの上面に対応する位置に白ガイド板が設けられる。
原稿の画像を読み取るとき、イメージセンサ37は1ライン分の複数画素(受光素子)のアナログ信号を出力する。読取ユニット3に設けられた読み取りデータ処理部30cはアナログ信号の調整、AD変換、得られた画像データの補正を行う。このようにして、原稿の画像が読み取られ、画像データを得ることができる。
続いて、読取装置1において、原稿の搬送方向を切り替えるスイッチバックを行うことで自動的に、原稿の両面に印刷された画像を読み取る両面読取動作について、図3に加えて、図4及び図5を用いて説明する。図4はパンチ穴が形成された原稿の一例を示す説明図である。図5は読取装置1の両面読取処理の例を示すフローチャートである。
ここで、図4に示すようなパンチ穴81が形成された原稿8が読取装置1にセットされることがある。そして、本説明における原稿8は、例えばパンチ穴81のひとつ、すなわち原稿搬送方向と直角を成す原稿幅方向において中央のパンチ穴81がタイミングセンサS2の検知位置と重なる。なお、図4に記載した原稿8の下側には、タイミングセンサS2の箇所を原稿8が通過した場合の、タイミングセンサS2の信号の出力レベルを記載している。
搬送制御部20は原稿の有り、無しによって変化するタイミングセンサS2の出力レベルを認識する。例えば、図4に示すように原稿8に関して、搬送制御部20は最初に原稿8の搬送方向下流端8aがタイミングセンサS2の箇所に到達した時点(T0)で出力レベルがLowからHighに変化すること、すなわち原稿8が存在することを認識する。また例えば、原稿8に関して、搬送制御部20は原稿8の搬送方向上流端8bがタイミングセンサS2の箇所に到達した時点(T4)で出力レベルがHighからLowに変化すること、すなわち原稿8が存在しなくなったことを認識する。
パンチ穴81は、一般的に5.5mm〜6.5mmの直径で形成されることが多い。タイミングセンサS2は、例えば直径2mmの穴を検出できるように構成されている。したがって、搬送制御部20は、図4に示すように原稿8のパンチ穴81がタイミングセンサS2の箇所に到達した時点(T2)で出力レベルがHighからLowに変化すること、すなわち原稿8が存在しなくなったことを認識する。つまり、パンチ穴81が形成された原稿8の場合、原稿8の本来の搬送方向上流端8bよりも早い時点でパンチ穴81の箇所が原稿8の搬送方向上流端であると誤認識されることになる。
これにより、原稿の搬送方向上流端8bが第3搬送路73の第2搬送路72からの分岐位置75(図3参照)を通過していない状態で反転ローラ対27の逆転が開始され、原稿がスイッチバックする場合がある。そのため、原稿の搬送方向上流端8bが第2搬送路72や第3搬送路73、それらの分岐位置75などに引っ掛かって原稿8の破損や紙詰まりが生じる虞がある。
そこで、本実施形態の読取装置1はパンチ穴が形成された原稿8の場合であっても適正なタイミングで原稿8のスイッチバックを行う。具体的に言えば、搬送制御部20は、反転ローラ対27を用いて原稿8の搬送方向を切り替えるとき、タイミングセンサS2が原稿8の搬送方向上流端を検知した後、予め設定した第1所定距離(例えば30mm)に対応する所定期間P1の間に再度原稿8の搬送方向上流端を検知した場合に、2回目に検知した時点(T4)を原稿8の搬送方向上流端8bであると設定する。第1所定距離に対応する所定期間P1を示すデータはメモリ20b(図2参照)に予め記憶される。
なお、パンチ穴は原稿8の搬送方向下流端8aに近い領域に形成されている場合もある。そこで、搬送制御部20は、タイミングセンサS2が原稿8の搬送方向下流端8aを検知した後、予め設定した第2所定距離に対応する所定期間P2の間、タイミングセンサS2による原稿8の検知を無効にするようにしている。第2所定距離は給紙トレイ21の原稿サイズ検知センサが検知した原稿8のサイズに基づいて、例えば原稿8の搬送方向長さの半分の距離などが設定される。第2所定距離に対応する所定期間P2を示すデータはメモリ20b(図2参照)に予め記憶される。
続いて、読取装置1による両面読取処理の一例について、図3及び図4を参照しつつ、図5に示すフローに沿ってその流れを説明する。
読取装置1は操作パネル4から画像読取ジョブを受け付けると、画像読取処理を開始する(図5のスタート)。このとき、搬送制御部20は給紙トレイ21に原稿8が載置されていることと、その原稿8のサイズとを認識している。そして、画像読取ジョブは原稿8の両面の画像を読み取るジョブである。
ステップ#101では搬送制御部20が原稿8の給紙を開始させる。このとき、搬送制御部20は給紙モータ22aに回転を開始させ、給紙トレイ21に載置された原稿8の給紙を給紙ローラ22と分離搬送部23とに実行させる。
この後、図5には記載していないが、原稿8はその搬送方向下流端8aがレジストローラ対24のニップ部に突き当たった状態でその搬送が一旦停止される。そして、原稿8の斜行を矯正するための撓みを原稿8に形成するために、原稿8の搬送方向下流端8aがレジストローラ対24のニップ部に突き当たった状態で原稿8に送りが与えられ続ける。予め定められた撓み生成期間が経過すると、レジストローラ対24による原稿8の搬送が開始される。
ステップ#102では搬送制御部20がタイミングセンサS2の出力に基づいてタイミングセンサS2の設置位置(検知位置)に原稿8の搬送方向下流端8aが到達したことを認識する(図4のT0時点)。
図5には記載していないが、搬送制御部20は、タイミングセンサS2が原稿8の搬送方向下流端8aを検知した後、予め設定した第2所定距離に対応する期間P2の間、タイミングセンサS2による原稿8の検知を無効にする。これにより、パンチ穴が原稿8の搬送方向下流端8aに近い領域に形成されている場合に、原稿8の搬送方向端部の誤認識を回避することができる。
また、タイミングセンサS2が原稿8の搬送方向下流端8aを検知した時点T0から予め定められた読取開始期間が経過すると、読取制御部30が原稿8の画像の読み取りを開始させる。
ステップ#103では搬送制御部20が原稿8のスイッチバックを実行するか否かを判定する。原稿8の両面の画像の読み取りが完了し、原稿8のスイッチバックを実行しない場合はステップ#104に移行する。原稿8のスイッチバックを実行する場合はステップ#105に移行する。
ここで、同一ジョブで複数枚の原稿8の両面の画像の読み取る場合、原稿8の第二面(裏面)の画像の読み取り後、そのまま原稿8を排出トレイ21aに排出すると、排出トレイ21aに積み重ねられる原稿8は当初給紙トレイ21に積載された状態に対して表裏が逆になる。そこで、原稿8の第二面(裏面)の画像の読み取り後、もう一度原稿8のスイッチバックを実行し、計2回のスイッチバックを実行する。これにより、画像の読み取り前に給紙トレイ21に積載された状態と画像の読み取り後に排出トレイ21aに積み重ねられる状態とにおいて原稿8の表裏を一致させる。
ステップ#104では搬送制御部20が原稿8の排出を実行させる。このとき、搬送制御部20はガイドモータ29aを回転させて可動ガイド板29を排出搬送路74に原稿8を導く姿勢に変更するとともに、原稿8の排出トレイ21aへの排出を排出ローラ対26に実行させる。
そして、搬送制御部20は排出センサS4の出力に基づいて原稿8の排出を認識し、全モータの回転を停止させる(図5のエンド)。なお、原稿セットセンサS1の出力に基づいて原稿トレイ21に原稿があると認識している場合、搬送制御部20は搬送モータ25aなどの一部のモータを回転させ続けても良い。
ステップ#105では原稿8のスイッチバックを実行するために、搬送制御部20が反転ローラ対27を正転させる。このとき、搬送制御部20は反転モータ27aに正方向への回転を開始させて反転ローラ対27を正転させ、原稿8を図3における右方に送る。また、搬送制御部20はガイドモータ29aを回転させて可動ガイド板29を反転ローラ対27の箇所に原稿8を導く姿勢に変更する。
ステップ#106では搬送制御部20がタイミングセンサS2の出力に基づいてタイミングセンサS2の設置位置(検知位置)に原稿8の搬送方向上流端が到達したことを認識する。このとき、原稿8にパンチ穴81が形成されている場合、パンチ穴81の箇所が原稿8の搬送方向上流端であると認識される(図4のT2時点)。
ステップ#107では搬送制御部20が、タイミングセンサS2が原稿8の搬送方向上流端を検知した時点T2を原稿8の搬送方向上流端であると設定する。
ステップ#108では搬送制御部20が予め設定した第1所定距離(例えば30mm)に対応する所定期間P1に関して、計時を開始する。
ステップ#109では続いて搬送制御部20が、タイミングセンサS2が原稿8の搬送方向下流端及び上流端を検知したか否かを判定する。原稿8にパンチ穴が形成されており、タイミングセンサS2が原稿8の搬送方向下流端(図4のT3時点)及び上流端8b(図4のT4時点)を検知した場合、ステップ#110に移行する。タイミングセンサS2が原稿8の搬送方向下流端及び上流端を検知していない場合、すなわち原稿8にパンチ穴が形成されていない場合、ステップ#111に移行する。
ステップ#110では搬送制御部20が、再度タイミングセンサS2が検知した原稿8の搬送方向上流端の時点T4を原稿8の搬送方向上流端8bであると設定する。
ステップ#111では搬送制御部20が第1所定距離(例えば30mm)に対応する所定期間P1が経過したか否か、すなわち原稿8が第1所定距離を搬送されたか否かを判定する。所定期間P1が経過した場合、ステップ#112に移行する。所定期間P1が経過していない場合、ステップ#109に戻って原稿8の搬送方向下流端及び上流端の検知が判定される。
なお、原稿8の搬送方向上流端8bが設定された時点T4、すなわちタイミングセンサS2の箇所を原稿8の搬送方向上流端8bが通過した時点から予め定められた読取終了期間が経過すると、読取制御部30が原稿8の画像の読み取りを終了させる。
ステップ#112では搬送制御部20が原稿8を、タイミングセンサS2の箇所を原稿8の搬送方向上流端8bが通過した時点から予め定められた基準距離だけ搬送させ、反転ローラ対27の正転を停止させる。
基準距離はスイッチバックされた原稿8が適正に第3搬送路73に送り込まれるように、すなわち原稿8の搬送方向上流端8bが第2搬送路72と第3搬送路73との分岐位置75を確実に通過するように定められる。具体的に言えば、基準距離はタイミングセンサS2の設置位置から分岐位置75までの距離よりも長く、タイミングセンサS2の設置位置から反転ローラ対27のニップ部までの距離よりも短い。例えば、基準距離はタイミングセンサS2の設置位置から分岐位置75と反転ローラ対27のニップ部との中間地点までの長さとしても良い。このようにして、原稿8の両面の画像を読み取る場合、基準距離は反転ローラ対27を停止させた時点で確実に原稿8の搬送方向上流端8bが分岐位置75を通過し、且つ確実に反転ローラ対27が原稿8を挟んでいる状態となる長さとされる。基準距離を示すデータはメモリ20b(図2参照)に予め記憶される。
反転モータ27aには例えばステッピングモータを用いることができる。ステッピングモータの1パルス分の原稿8の搬送距離は決まっている。そこで、搬送制御部20はタイミングセンサS2の箇所を原稿8の搬送方向上流端8bが通過した時点から基準距離に相当するパルスをステッピングモータに入力した時点で反転モータ27aを停止させる。定速回転状態から停止までのスローダウンに必要なステップ数も分かっている。そこで、搬送制御部20は基準距離に相当するパルスよりもスローダウンに必要なステップ数遡った時点から反転モータ27aのスローダウンを開始する。
ステップ#113では搬送制御部20が反転ローラ対27を逆転させる。このとき、搬送制御部20は反転モータ27aに逆方向への回転を開始させて反転ローラ対27を逆転させ、原稿8を図3における左方に送る。また、搬送制御部20はガイドモータ29aを回転させて可動ガイド板29を分岐位置75における第2搬送路72側を閉鎖して第3搬送路73側に原稿8を導く姿勢に変更する。これにより、原稿8が反転ローラ対27の箇所から第3搬送路73に導かれる。
ステップ#114では搬送制御部20が原稿8を第1搬送路71のレジストローラ対24の原稿搬送方向上流側に再送する。
この後、図5には記載していないが、搬送制御部20は原稿8の搬送方向上流端8bがレジストセンサS3の箇所を通過した時点で、または原稿8の搬送方向下流端8aがタイミングセンサS2の箇所を通過した時点で、反転モータ27aの回転を停止させる。これらいずれの時点で反転モータ27aの回転を停止させるかは原稿8のサイズに依存する。以下、給紙トレイ21の原稿8がなくなり、すべての原稿8が排出トレイ21aに排出されるまで上記フローが継続される。
上記の実施形態のように、読取装置1は読取ユニット3及び搬送ユニット2を備える。読取ユニット3は所定の読取位置を通過する原稿8の画像を読み取る。搬送ユニット2は画像の読み取り前の原稿8が載置される給紙トレイ21と、給紙トレイ21から読取位置まで延びる第1搬送路71と、第1搬送路71に設けられて第1搬送路71上に原稿8が存在するか否かを検知するタイミングセンサS2と、正転または逆転して原稿8の搬送方向を切り替える反転ローラ対27と、読取位置から反転ローラ対27の箇所まで延びる第2搬送路72と、一端が第1搬送路71に接続されて他端が第2搬送路72に接続されて反転ローラ対27で搬送方向が切り替えられた原稿8を第1搬送路71の読取位置の搬送方向上流側に送るための第3搬送路73と、原稿8の搬送を制御する搬送制御部20と、を含む。搬送制御部20は、反転ローラ対27を用いて原稿8の搬送方向を切り替えるとき、タイミングセンサS2が原稿8の搬送方向上流端を検知した後、予め設定した第1所定距離の間に再度原稿8の搬送方向上流端を検知した場合に、2回目に検知した時点を原稿8の搬送方向上流端8bであると設定するとともに、その設定時点から原稿8を予め定められた基準距離を搬送した時点で反転ローラ対27の正転を停止させ、さらに反転ローラ対27を逆転させて第3搬送路73に送る。
この構成によると、タイミングセンサS2がパンチ穴81を原稿8の搬送方向上流端として検知した場合であっても、その後に本来の原稿8の搬送方向上流端8bを検知し、その時点を原稿8の搬送方向上流端であると設定することができる。したがって、パンチ穴81が形成された原稿8の場合であっても適正なタイミングで原稿8のスイッチバックを行うことが可能になる。これにより、原稿8の破損や紙詰まりを防止することができる。さらに、原稿が不定形サイズである場合であっても、タイミングセンサS2が本来の原稿8の搬送方向上流端を検知し、その時点を原稿8の搬送方向上流端であると設定することができる。
また、搬送制御部20は、タイミングセンサS2が原稿8の搬送方向下流端8aを検知した後、予め設定した第2所定距離の間、タイミングセンサS2による原稿8の検知を無効にする。
この構成によると、パンチ穴が原稿8の搬送方向下流端8aに近い領域に形成されている場合に、原稿8の搬送方向端部の誤認識を回避することができる。
また、読取装置1は、画像の読み取り後の原稿8が排出される排紙トレイ21aと、第2搬送路72の途中の箇所から分岐して排紙トレイ21aまで延びる排出搬送路74と、第2搬送路72の排出搬送路74との分岐部に設けられて読取位置を通過した原稿8を排出搬送路74側または第2搬送路72の反転ローラ対27側のいずれかに導くために姿勢変更が可能な可動ガイド板29と、を備える。搬送制御部20は、反転ローラ対27が原稿8の搬送方向を2回切り替えるまで反転ローラ対27の箇所に原稿8を導くように可動ガイド板29の姿勢を変更し、反転ローラ対27が原稿8の搬送方向を2回切り替えた後、排出搬送路74に原稿8を導くように可動ガイド板29の姿勢を変更する。
この構成によると、画像の読み取り前に給紙トレイ21に積載された状態と画像の読み取り後に排出トレイ21aに積み重ねられる状態とにおいて原稿8の表裏を一致させることができる。
さらに実施形態では、上記構成の読取装置1を複合機100に設けた。
この構成によれば、複合機100において、パンチ穴81が形成された原稿8の場合であっても適正なタイミングで原稿8のスイッチバックを行うことができ、原稿8の破損や紙詰まりを防止することが可能になる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
例えば、上記実施形態では、タイミングセンサS2の箇所を原稿8の搬送方向上流端8bが通過した時点から基準距離まで原稿8を搬送させて反転ローラ対27の正転を停止させることに関して、搬送距離の導出において反転モータ27aにステッピングモータを用いることができるとしたが、原稿8の第1所定距離及び第2所定距離の搬送においてステッピングモータを利用しても良い。