以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明の技術的範囲は以下に記述する実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
図1は本発明の実施の形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。画像処理装置1は、大きくは、操作パネル2と、画像読取装置3と、画像形成装置4とを備えた構成となっている。また、画像読取装置3は、原稿搬送部5と、画像読取部6とを備え、画像形成装置4は、用紙搬送部7と、画像形成部8とを備えた構成となっている。さらに、原稿搬送部5は、原稿サイズ検知部9と、原稿搬送用モータ10と、原稿搬送制御部11とを備え、画像読取部6は、読取光学系12と、走査体13と、走査体移動用モータ14と、読取センサ15と、画像データ処理部16と、画像読取制御部17とを備えた構成となっている。
操作パネル2は、画像処理装置1を操作するための操作手段として設けられたもので、画像処理装置1を使用する使用者が各種の情報を入力したり、使用者に対して各種の情報を表示したりするためのインターフェースとなる。操作パネル2は、例えば、各種のボタン、スイッチ、キー等を有する入力部と、タッチパネル付きの液晶ディスプレイからなる表示部とによって構成されるものである。画像処理装置1の使用者は、例えば、原稿画像の読み取り処理や、その読み取り結果に基づく複写処理などの画像処理に係る各種の設定・操作を、操作パネル2を用いて行なう。
画像読取装置3は、原稿の画像を光学的に読み取るものである。原稿搬送部5は、原稿搬送路に沿って原稿を搬送するものである。原稿搬送路は、原稿画像の読み取りが行なわれる画像読取位置を経由するように形成される。画像読取部6は、透明なガラス基板等からなる原稿台に置かれた静止状態の原稿の画像や、原稿搬送部5によって搬送された移動中(搬送中)の原稿の画像を読み取るものである。
用紙搬送部7は、画像形成の対象となる用紙を用紙搬送路に沿って搬送するものである。用紙搬送路は、用紙に対して画像の形成が行なわれる画像形成位置を経由するように形成される。画像形成部8は、用紙搬送部7によって搬送される用紙に画像を形成(印刷出力)するものである。画像の形成には、その方式によって、画像の形成に用いられる画像形成材料が異なる。例えば、画像を形成する方式が電子写真式の場合は、画像形成材料としてトナーが用いられ、インクジェット式の場合は、画像形成材料としてインクが用いられる。画像形成位置は、例えば画像を形成する方式が電子写真式の場合は、用紙に対して画像(トナー画像)の転写が行なされる位置に相当するものとなり、インクジェット式の場合は、用紙に対してインクの吹き付けが行なわれる位置に相当するものとなる。
原稿サイズ検知部9は、原稿台に置かれた原稿のサイズや、原稿搬送部5で搬送対象となる原稿のサイズを検知するものである。原稿搬送用モータ10は、原稿を搬送するための駆動源となるものである。原稿搬送用モータ10としては、例えばステッピングモータなどが用いられる。原稿搬送制御部11は、原稿搬送部5における原稿の搬送動作を統括的に制御するものである。原稿搬送制御部11による制御項目には、例えば、原稿の搬送を開始する時刻(タイミング)、原稿の搬送速度、原稿の搬送方式(片面読み取り方式、両面読み取り方式)などが含まれる。原稿の搬送速度は、単位時間あたりの原稿の移動距離を示すものである。
読取光学系12は、原稿の画像を読み取るための光学部品を用いて構成されるものである。読取光学系12には、走査体13に搭載される光学部品と、走査体13に搭載されずに固定される光学部品とがある。走査体13は、これに搭載される読取光学系12とともに、副走査方向に移動可能に設けられるものである。走査体移動用モータ14は、走査体13を移動させるための駆動源となるものである。走査体移動用モータ14としては、例えばステッピングモータなどが用いられる。読取センサ15は、原稿台に置かれた原稿の画像や原稿搬送部5によって搬送された原稿の画像を、読取光学系12を介して読み取るものである。画像データ処理部16は、読取センサ15の読み取り結果として得られる画像データに種々の画像処理を施すものである。画像読取制御部17は、画像読取部6における原稿画像の読み取り動作を統括的に制御するものである。
画像読取部6は、原稿台に置かれた原稿の画像を読み取る場合に、走査体13とこれに搭載された読取光学系12を副走査方向に移動させながら、原稿の画像を読取センサ15で読み取る。また、画像読取部6は、原稿搬送部5によって搬送された原稿の画像を読み取る場合に、走査体13を画像読取位置の下方まで移動してそこに停止させることにより、走査体13に搭載された読取光学系12を画像読取位置の下方に停止させ、その状態で原稿搬送部5によって搬送された原稿が画像読取位置を通過するときに、そこを通過中(移動中)の原稿の画像を読取センサ15で読み取る。画像読取装置3がどちらの方式で原稿の画像を読み取るかは、使用者が原稿台と原稿置き部のどちらに原稿を置いて操作パネル2を操作するかによって決まる。すなわち、使用者が原稿台に原稿を置いて操作パネル上の処理開始ボタンを押した場合は、前者の方式で原稿の画像が読み取られる。また、使用者が原稿置き部に原稿を置いて操作パネル上の処理開始ボタンを押した場合は、後者の方式で原稿の画像が読み取られる。原稿台は、少なくとも画像処理装置1で取り扱うことのできる原稿の最大サイズよりも大きな平面サイズをもつ、長方形でかつ透明なガラス基板などを用いて形成されるものである。原稿置き部は、原稿搬送部5で使用者によって原稿が置かれる部分である。原稿置き部は、例えば所定の角度で斜めに傾斜したトレイ形状に形成されるものである。
図2は本発明の実施の形態に係る画像読取装置3の機械的な構成例を示す概略図である。原稿搬送部5の原稿置き部21には、一例として、サイズが共通する複数枚の原稿22が一つの束になって置かれている。ただし、使用者によって原稿置き部21に置かれる原稿22の枚数は、複数枚の場合と1枚の場合がある。原稿置き部21には、図示はしないが、原稿の側端を位置決めする原稿案内部材と、原稿置き部21に原稿22があるかどうかを検知するセンサ(以下、「原稿有無検知センサ」)や、原稿置き部21に置かれた原稿22のサイズを検知するための第1原稿サイズ検知センサが設けられている。原稿案内部材は、例えば、原稿22の主走査方向の中心位置(原稿幅の中心)を原稿搬送の基準位置として原稿22を位置決めするために、主走査方向に相対的に接近移動する一対の案内部材によって構成される。
原稿有無検知センサ及び第1原稿サイズ検知センサとしては、例えば発光素子と受光素子を共通のセンサ面に並べて設けた反射型の光学センサが用いられる。この光学センサは、センサ面と近接して対向する位置(以下、「センサ検知位置」)に原稿が存在するときはオン状態となり、原稿が存在しないときはオフ状態となる。これ以外にも、例えば透過型の光学センサや、接触式のセンサを用いてもよい。原稿有無検知センサは、原稿搬送部5で取り扱うことのできる原稿サイズ種の範囲内で、原稿置き部21にどのようなサイズの原稿22が置かれた場合にも、原稿置き部21に原稿22が置かれている場合と、原稿置き部21に原稿22が置かれていない場合で、センサの出力信号(オン/オフ状態)が変わるように、上記原稿搬送の基準位置に合わせて主走査方向の中心位置、又はそこから所定の寸法範囲(最小原稿サイズの短手長さの1/2相当)内の位置に配置されている。第1原稿サイズ検知センサは、主走査方向と副走査方向に、それぞれ複数個ずつ並べて設けられている。そして、主走査方向に並んでいる複数個の第1原稿サイズ検知センサの出力信号は、原稿置き部21に置かれた原稿の主走査方向のサイズによって変わり、副走査方向に並んでいる複数個の第1原稿サイズ検知センサの出力信号は、原稿置き部21に置かれた原稿22の副走査方向のサイズによって変わるようになっている。
例えば、第1原稿サイズ検知センサを主走査方向と副走査方向にそれぞれ3個ずつ並べて設けたものと仮定すると、あるサイズの原稿22を原稿置き部21に置いた状態では、主走査方向に並ぶ3個の第1原稿サイズ検知センサのうちの1個と、副走査方向に並ぶ3個の第1原稿サイズ検知センサのうちの2個がそれぞれオン状態となり、他のセンサはオフ状態となるのに対して、それと別のサイズの原稿22を原稿置き部21に置いた状態では、主走査方向に並ぶ3個の第1原稿サイズ検知センサのうちの2個と、副走査方向に並ぶ3個の第1原稿サイズ検知センサのうちの1個がそれぞれオン状態となり、他のセンサはオフ状態となる。これら複数の第1原稿サイズ検知センサの出力信号は、前述した原稿サイズ検知部9に個別に取り込まれる構成となっている。そして、原稿サイズ検知部9では、複数個の原稿サイズ検知センサのうち、いずれのセンサ出力信号がオン状態で、いずれのセンサ出力信号がオフ状態になっているかにより、原稿置き部21に置かれた原稿のサイズを一義的に検知したり、原稿置き部21に置かれた原稿のサイズを複数の候補に絞ったりする仕組みになっている。
原稿搬送部5には、原稿送り出し部材23と、複数の原稿搬送部材24,25,26と、原稿排出部材27と、第2原稿サイズ検知センサ28と、原稿通過検知センサ29と、搬送案内部材30とが設けられている。
原稿送り出し部材23は、一対のロールを用いて構成されている。原稿送り出し部材23は、原稿置き部21に置かれた原稿22を原稿搬送路に向けて1枚ずつ順に送り出すもので、原稿搬送路の入口部分に設けられている。
原稿搬送部材24,25,26は、それぞれ一対のロールを用いて構成されている。原稿搬送部材24は、原稿送り出し部材23よりも原稿搬送方向の下流側で、かつ原稿搬送部材25よりも原稿搬送方向の上流側に配置されている。原稿搬送部材24は、原稿送り出し部材23によって送り出された原稿22を原稿搬送部材25に向けて搬送するものである。原稿搬送部材25は、原稿搬送部材24よりも原稿搬送方向の下流側でかつ原稿搬送部材26よりも原稿搬送方向の上流側に配置されている。原稿搬送部材25は、原稿搬送部材24によって搬送された原稿22を原稿搬送部材26に向けて搬送するものである。原稿搬送部材26は、原稿搬送部材25よりも原稿搬送方向の下流側でかつ原稿排出部材27よりも原稿搬送方向の上流側に配置されている。原稿搬送部材26は、原稿搬送部材25によって搬送された原稿22を原稿排出部材27に向けて搬送するものである。
原稿搬送部材25から原稿搬送部材26に至る原稿搬送路の途中には光透過部材31が設けられている。光透過部材31は、例えば透明なガラス基板を用いて構成されるもので、主走査方向(図の奥行き方向)に長い長尺状の平板構造を有している。原稿搬送部5によって搬送される原稿の画像は、当該原稿が光透過部材31の上を通過するときに読み取られる。このため、原稿搬送部5を用いて原稿22を搬送する場合の画像読取位置は、光透過部材31の短手寸法範囲内に設定されている。また、副走査方向においては、光透過部材31に隣接して、原稿搬送案内機能を兼ねた遮光性の仕切り部材32が設けられている。仕切り部材32は白基準板33を覆う状態で設けられている。白基準板33は、シェーディング補正のための白基準データの採取に用いられるものである。仕切り部材32を介して光透過部材31と反対側には、原稿台34が設けられている。原稿台34は、画像処理装置1で取り扱うことのできる最大の原稿サイズよりも一回り(例えば、10mm〜数十mm)大きい矩形の透明なガラス基板などを用いて構成されるものである。
原稿排出部材27は、双方向の回転(正転及び逆転)機能を有する一対のロールを用いて構成されている。原稿排出部材27は、原稿搬送路の出口部分に設けられている。原稿排出部材27は、原稿搬送部材26によって搬送された原稿22を、図示しない原稿排出台の上に排出するものである。また、原稿排出部材27は、原稿22の両面(一面及び他面)の画像を読み取る場合に、一面の画像の読み取りを終えた原稿22を一旦、原稿排出台に向けて所定量だけ送り込んだ後、原稿22を挟み込んだままの状態で回転停止してから逆回転する、いわゆるスイッチバック搬送方式により、当該原稿22を搬送案内部材30を通して原稿搬送部材24に向けて送り出すものである。その場合、原稿搬送部材24は、原稿排出部材27によって送り出された原稿(スイッチバックによって表裏反転された原稿)22を原稿搬送部材25に向けて搬送することになる。
第2原稿サイズ検知センサ28は、例えば前述した原稿有無検知センサ及び第1原稿サイズ検知センサと同様の光学センサを用いて構成されるものである。第2原稿サイズ検知センサ28は、原稿送り出し部材23よりも原稿搬送方向の下流側でかつ原稿搬送部材24よりも原稿搬送方向の上流側に配置されている。第2原稿サイズ検知センサ28は、原稿置き部21に置かれかつ原稿送り出し部材23によって送り出された原稿のサイズを、上記第1原稿サイズ検知センサの検知結果との組み合わせで、一義的に検知するために設けられたものである。第2原稿サイズ検知センサ28は、例えば主走査方向の1箇所又は複数箇所に設けられるものである。第2原稿サイズ検知センサ28の出力信号は、原稿送り出し部材23によって原稿搬送路上に送り出された原稿22の主走査方向のサイズ(原稿幅)によって変わる。
例えば、第2原稿サイズ検知センサ28を主走査方向の1箇所に設けたものと仮定すると、原稿幅=W1の原稿22を送り出した場合は、原稿搬送方向で原稿22の先端が第2原稿サイズ検知センサ28のセンサ検知位置を通過しても、第2原稿サイズ検知センサ28の出力信号はオフ状態のままとなるが、原稿幅=W2(ただし、W2>W1)の原稿22を送り出した場合は、原稿搬送方向で原稿22の先端が第2原稿サイズ検知センサ28のセンサ検知位置を通過したときに、第2原稿サイズ検知センサ28の出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わる。また、第2原稿サイズ検知センサ28を主走査方向の複数箇所に設けたものと仮定すると、原稿搬送方向で原稿22の先端が第2原稿サイズ検知センサ28のセンサ検知位置を通過したときに、そのときの原稿の主走査方向のサイズにより、センサ出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わる第2原稿サイズ検知センサ28の個数が変わる。
原稿通過検知センサ29は、例えば前述した原稿有無検知センサ及び第1原稿サイズ検知センサと同様の光学センサを用いて構成されるものである。原稿通過検知センサ29は、原稿搬送部材24よりも原稿搬送方向の上流側でかつ原稿搬送部材25よりも原稿搬送方向の上流側に配置されている。原稿通過検知センサ29は、例えば、当該原稿通過検知センサ29のセンサ検知位置を原稿の先端が通過してからの経過時間に基づいて、光透過部材31上の画像読取位置に原稿の先端が到達する時刻を予測して、画像の読取開始時刻を制御するために用いられるものである。
また、原稿通過検知センサ29は、原稿置き部21に置かれた複数枚の原稿22の画像を順に読み取る場合に、原稿送り出し部材23の駆動により先行して搬送された原稿22に続いて、後続の原稿22を原稿送り出し部材23の駆動により搬送する場合に、後続の原稿22の送り出し時刻を制御するために用いられるものである。制御形態の一例として、先行して搬送された原稿22の後端が原稿通過検知センサ29のセンサ検知位置を通過した時点で、原稿置き部21から後続の原稿22を原稿送り出し部材23で送り出すように制御する。
搬送案内部材30は、原稿搬送部材26から原稿排出部材27に至る原稿搬送路の途中に設けられている。搬送案内部材30は、原稿搬送部材26によって搬送された原稿22の進行方向を原稿排出部材27に向けて案内する一方、原稿排出部材27の逆回転によって搬送された原稿22の進行方向を原稿搬送部材24に向けて案内するものである。
一方、画像読取部6には、ランプ121と、リフレクター122と、第1ミラー123と、第2ミラー124と、第3ミラー125と、結像レンズ126と、読取センサ15と、第1走査体131と、第2走査体132とが設けられている。このうち、ランプ121と、リフレクター122と、第1ミラー123と、第2ミラー124と、第3ミラー125と、結像レンズ126は、前述した読取光学系12を構成するものである。また、第1走査体131と、第2走査体132は、前述した走査体13を構成するものである。
ランプ121は、原稿22の画像を読み取るための光を発生する光源として設けられたものである。リフレクター122は、ランプ121で発生した光を原稿面に向けて反射・集光するものである。第1ミラー123は、原稿面からの反射光を第2ミラー124に向けて全反射するものである。これらのランプ121、リフレクター122、第1ミラー123は、いずれも第1走査体131に搭載されている。
第2ミラー124は、第1ミラー123からの反射光を第3ミラー125に向けて全反射するものである。第3ミラー125は、第2ミラー124からの反射光を結像レンズ126に向けて全反射するものである。これらの第2ミラー124、第3ミラー125は、いずれも第2走査体132に搭載されている。結像レンズ126は、第3ミラー125によって反射された光を読取センサ15の受光面に結像させるものである。結像レンズ126は、第3ミラー125から読取センサ15に至る光路の途中に固定状態で設けられている。
第1走査体131及び第2走査体132は、互いに共通の走査体移動用モータ14を駆動源として副走査方向(図の左右方向)に移動するものである。その際、第2走査体132は、第1走査体131の1/2の移動量(移動速度)をもって移動し、これによって副走査方向のいずれの位置に走査体131,132が位置した状態でも、原稿面から読取センサ15までの光路長が一定に保持される仕組みとなっている。
読取センサ15は、原稿の画像を読み取るためのイメージセンサであって、例えば3ラインカラーCCDセンサによって構成されている。読取センサ15は、原稿面から読取光学系12を経由して導かれた光を画素単位で光電変換し、R(赤),G(緑),B(青)のアナログ画像信号(アナログのRGB信号)を出力するものである。
図3は本発明の実施の形態に係る画像処理装置1を用いて、所定の処理方式で複写を行なう場合の処理手順を示すフローチャートである。ここでは、原稿の一つの面に記録されている画像(1ページ分の画像)を、用紙の一つの面(1ページ分の紙面)に1:1の関係で複写する場合を例に挙げて説明する。
また、所定の処理方式の一例として、自動倍率設定方式に適用した場合の処理手順を説明する。自動倍率設定方式とは、前述したように、原稿サイズと用紙サイズとに基づいて複写倍率を自動的に設定する処理方式である。原稿サイズとは、原稿サイズ検知部9で検知した原稿サイズをいう。また、用紙サイズとは、画像の形成対象となる用紙のサイズであって、使用者が操作パネル2を用いて指定(選択)した用紙サイズをいう。自動倍率設定方式は、例えば、使用者が操作パネル2を用いて自動倍率設定方式の適用を指定(選択)して処理開始ボタンを押した場合や、使用者が操作パネル2を用いて用紙サイズを指定しかつ原稿サイズを指定しないで処理開始ボタンを押した場合などに適用される。ここでは、説明を簡単にするために、自動倍率設定方式で動作する場合に、用紙の向きと原稿の向きが同じであることを前提とする。
まず、使用者が画像読取部6の原稿置き部21に原稿22を置くと、原稿有無検知センサの出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わる。そうすると、原稿サイズ検知部9は、原稿有無検知センサの出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わったことを契機として、原稿置き部21に置かれた原稿22のサイズを検知する(ステップS1)。なお、原稿のサイズを検知する時期に関しては、例えば、使用者が操作パネル2で処理開始ボタンを押したことを契機として、原稿サイズ検知部9が原稿のサイズを検知するものとしてもよい。
次に、原稿搬送制御部11は、原稿サイズ検知部9で原稿22のサイズを一義的に検知できたかどうかを判断する(ステップS2)。そして、原稿サイズ検知部9で原稿22のサイズを一義的に検知できた場合、原稿搬送制御部11は、原稿サイズ検知部9が一義的に検知した原稿のサイズと、処理開始ボタンを押す前に使用者が操作パネル2を用いて指定した用紙のサイズとに基づいて、原稿搬送部5による原稿の搬送速度を決定する(ステップS3)。
ここで、原稿搬送速度の決定方法について説明する。まず、原稿サイズと用紙サイズの関係から複写倍率を求める。例えば、前述したように原稿サイズ=A3、用紙サイズ=A4の場合は複写倍率=71%となり、原稿サイズ=A4、用紙サイズ=B5の場合は、複写倍率=87%となる。また、原稿サイズと用紙サイズが同一サイズの場合は、複写倍率=100%(等倍)となり、原稿サイズ=B5、用紙サイズ=A4の場合は、複写倍率=115%となり、原稿サイズ=A4、用紙サイズ=A3の場合は、複写倍率=141%となる。
次に、上述のように求めた複写倍率に応じて原稿搬送速度を決定する。図4は変倍率と原稿搬送速度の相関関係を示す図である。図から分かるように、変倍率と原稿搬送速度とは反比例する関係にある。すなわち、変倍率が相対的に高くなると、それに適した原稿搬送速度は相対的に遅くなり、変倍率が相対的に低くなると、それに適した原稿搬送速度は相対的に速くなる。このため、複写倍率(特に、副走査方向の変倍率)が決まれば、それに適した原稿搬送速度も決まる。すなわち、複写倍率が等倍(100%)のときに適用される原稿搬送速度を基準搬送速度Vrefとすると、複写倍率が200%のときに適した原稿搬送速度V200は、“V200=Vref÷2.00”の演算式にしたがって決定され、複写倍率が50%のときに適した原稿搬送速度V50は、“V50=Vref÷0.50”の演算式にしたがって決定される。つまり、画像の読み取りに適した原稿の搬送速度(厳密には、画像読取位置を通過する原稿の移動速度)は、基準搬送速度を変倍率の値で除算することにより決定される。
ただし、実際に原稿の画像を読み取るときに適用される副走査方向の読み取り倍率は、基本的に複写倍率に応じて設定されるものの、原稿サイズと用紙サイズから求められる複写倍率の値によっては、複写倍率と同じ倍率で読み取り倍率が設定される場合と、複写倍率よりも高い(大きい)倍率で読み取り倍率が設定される場合がある。その理由は、次のような事情による。
すなわち、上記図4に示す変倍率と原稿搬送速度の相関関係において、横軸の変倍率と縦軸の原稿搬送速度とを1:1で対応付ける制御データは、画像処理装置1で設定可能なすべての変倍率に関して、予め制御テーブルに登録してもかまわないが、本発明の実施の形態においては、メモリ容量の制約などの理由で、代表的な変倍率に関してのみ、上記制御データを離散的に制御テーブルに登録し、この制御テーブルを参照して原稿搬送速度を決定する仕組みを採用している。ここでは、一例として、制御テーブルに登録される代表的な読み取り倍率が、50%、71%、100%、141%、200%の5つであって、変倍率=50%に適した原稿搬送速度がV50、変倍率=71%に適した原稿搬送速度がV71、変倍率=100%に適した原稿搬送速度がVref、変倍率=141%に適した原稿搬送速度がV141、変倍率=200%に適した原稿搬送速度がV200として、制御テーブルに登録されているものと仮定する。
そうした場合、複写倍率が100%(等倍)のときは、その複写倍率と同じ変倍率の制御データが制御テーブルに登録されているため、当該制御データで対応付けられた速度Vrefに合わせて原稿搬送速度を決定する。また、複写倍率が71%のときは、その複写倍率と同じ変倍率の制御データが制御テーブルに登録されているため、当該制御データに対応付けられた速度V71に合わせて原稿搬送速度を決定する。また、複写倍率が141%のときは、その複写倍率と同じ変倍率の制御データが制御テーブルに登録されているため、当該制御データに対応付けられた速度V141に合わせて原稿搬送速度を決定する。
これに対して、例えば、複写倍率が82%のときは、その複写倍率と同じ変倍率の制御データが制御テーブルに登録されていないため、次のようにして原稿搬送速度を決定する。すなわち、制御テーブルに登録されている代表的な変倍率の中で、複写倍率=82%は、変倍率71%よりも高くかつ変倍率100%よりも低いことから、画像データ処理部16での画像データの縮小処理で所望の複写倍率(本例では82%)に合わせ込めるように、複写倍率よりも高い方の変倍率=100%に対応付けて制御テーブルに登録されている速度Vrefに合わせて原稿搬送速度を決定する。同様に、複写倍率が122%のときは、制御テーブルに登録されている代表的な読み取り倍率の中で、複写倍率=122%が、変倍率100%よりも高くかつ変倍率141%よりも低いことから、画像データ処理部16での画像データの縮小処理で所望の複写倍率(本例では122%)に合わせ込めるように、複写倍率よりも高い方の読み取り倍率=144%に対応付けて制御テーブルに登録されている速度V141に合わせて原稿搬送速度を決定する。
次に、原稿搬送制御部11は、上記ステップS3で決定した原稿搬送速度に合わせて原稿搬送用モータ10を駆動することにより、原稿置き部21から原稿22の搬送を開始する(ステップS4)。この場合、原稿搬送部5によって搬送される原稿は、上記ステップS3で決定した原稿搬送速度で画像読取位置を通過することになる。その後、ステップS10に移行する。
これに対して、原稿サイズ検知部9で原稿22のサイズを一義的に検知できなかった場合、原稿搬送制御部11は、原稿搬送開始前の検知動作により原稿サイズ検知部9によって絞り込まれた複数の原稿サイズ候補と上記用紙サイズとに基づいて、当該複数の原稿サイズ候補の中で複写倍率が最も高くなる原稿サイズに応じて原稿搬送速度を決定する(ステップS5)。複数の原稿サイズ候補の中で読み取り倍率が最も高くなる原稿サイズとは、複数の原稿サイズ候補の中で最小の原稿サイズとなる。このため、原稿搬送制御部11では、上記最小の原稿サイズと用紙サイズとに基づいて、上記ステップS3と同様の方法で原稿搬送速度を決定する。
第1例として、原稿サイズ候補がA4サイズとB5サイズの2つであって、用紙サイズがA4サイズであれば、原稿サイズ候補の中で最小の原稿サイズとなるB5サイズのときの複写倍率が115%となるため、上記制御テーブルを参照することにより、原稿搬送速度=V141に決定する。第2例として、原稿サイズ候補がA4サイズとB5サイズの2つであって、用紙サイズがB5サイズであれば、原稿サイズ候補の中で最小の原稿サイズとなるB5サイズのときの複写倍率が100%となるため、上記制御テーブルを参照することにより、原稿搬送速度=Vrefに決定する。
また、第3例として、原稿サイズ候補がA4サイズとB5サイズの2つであって、用紙サイズがB4サイズであれば、原稿サイズ候補の中で最小の原稿サイズとなるB5サイズのときの複写倍率が141%となるため、上記制御テーブルを参照することにより、原稿搬送速度=V141に決定する。第4例として、原稿サイズ候補がA4サイズとB4サイズの2つであって、用紙サイズがB5サイズであれば、原稿サイズ候補の中で最小の原稿サイズとなるA4サイズのときの複写倍率が87%となるため、上記制御テーブルを参照することにより、原稿搬送速度=Vrefに決定する。第5例として、原稿サイズ候補がA3サイズとB4サイズの2つであって、用紙サイズがB5サイズであれば、原稿サイズ候補の中で最小の原稿サイズとなるB4サイズのときの複写倍率が71%となるため、上記制御テーブルを参照することにより、原稿搬送速度=V71に決定する。
なお、原稿サイズ候補の中で最小の原稿サイズが用紙サイズよりも大きい場合(すなわち、複数の原稿サイズ候補のいずれが真の原稿サイズであっても、複写倍率が絶対的に100%未満となる場合)は、一律に原稿搬送速度=Vrefに決定してもよい。
次に、原稿搬送制御部11は、上記ステップS5で決定した原稿搬送速度に合わせて原稿搬送用モータ10を駆動することにより、原稿置き部21から原稿22の搬送を開始する(ステップS6)。この場合、原稿搬送部5によって搬送される原稿は、上記ステップS5で決定した原稿搬送速度で画像読取位置を通過することになる。
次に、原稿搬送制御部11は、上記ステップS6で搬送を開始した原稿22の先端が第2原稿サイズ検知センサ28のセンサ検知位置を通過したかどうかを、例えば、原稿の搬送を開始してからの経過時間に基づいて判断する(ステップS7)。原稿置き部21に置かれた原稿22の搬送を開始してから、当該原稿22の先端が第2原稿サイズ検知センサ28のセンサ検知位置を通過するまでの所要時間は、そのときに適用した原稿搬送速度と、原稿送り出し部材23から第2原稿サイズ検知センサ28までの原稿搬送路長とに基づいて予め把握することが可能である。このため、原稿搬送制御部11では、例えば、原稿の搬送を開始してからの経過時間をタイマー等によって計測し、その計測値が、上記所要時間に所定の余裕分を見込んだ時間に到達したかどうかにより、原稿22の先端が第2原稿サイズ検知センサ28のセンサ検知位置を通過したかどうかを判断する。
次に、上記ステップS6で搬送を開始した原稿22の先端が第2原稿サイズ検知センサ28のセンサ検知位置を通過したと原稿搬送制御部11が判断すると、原稿サイズ検知部9は、そのときに得られた第2原稿サイズ検知センサ28の出力信号に基づいて、原稿のサイズを一義的に検知(確定)する(ステップS8)。具体的には、上記ステップS1での原稿サイズ検知で絞り込まれた複数の原稿サイズ候補のうちの一つを、真の原稿サイズとして一意に特定する。
次に、画像読取制御部17は、上記ステップS8で一義的に検知した原稿のサイズと、処理開始ボタンを押す前に使用者が操作パネル2を用いて指定した用紙のサイズとに基づいて複写倍率を確定するとともに、当該確定した複写倍率と現在適用されている原稿搬送速度に対応する変倍率(副走査方向の読み取り倍率)とに基づいて、副走査方向の画像縮小率を決定する(ステップS9)。複写倍率の求め方については、前述したとおりである。
画像縮小率は、次のような手法で決定する。まず、現在適用されている原稿搬送速度がいずれの変倍率に対応する速度であるかを、上記制御テーブルに登録されている制御データに基づいて特定する。例えば、現在適用されている原稿搬送速度がV71であれば、それに対応する変倍率を71%と特定し、現在適用されている原稿搬送速度がV141であれば、それに対応する変倍率を141%と特定する。次に、特定した変倍率と、上述のように確定した複写倍率との比に基づいて、画像縮小率を決定する。
例えば、特定した変倍率が141%(倍率値=1.41)であって、確定した複写倍率が115%(倍率値=1.15)である場合は、“1.15÷1.41”の演算式にしたがって画像縮小率を82%(倍率値=0.82)に決定する。また、特定した変倍率が100%(倍率値=1.00)であって、確定した複写倍率が87%(倍率値=0.87)である場合は、“0.87÷1.00”の演算式にしたがって画像縮小率を87%(倍率値=0.87)に決定し、特定した変倍率と確定した複写倍率とが同じ倍率である場合は、画像縮小率を100%(倍率値=1.00)に決定する。
その後、原稿搬送路を搬送中の原稿22の先端が、光透過部材31上の画像読取位置に到達してから、当該原稿22の後端が画像読取位置を通過するまでの間、原稿22の画像を画像読取部6の読取光学系12及び読取センサ15によって読み取る(ステップS10)。このとき、読取センサ15を用いて読み取った原稿の画像データを画像データ処理部16で副走査方向に電子的に縮小する必要がある場合は、原稿画像の読み取りと並行して画像データの縮小処理を行なう。画像データ処理部16による画像データの縮小処理は、例えば、読取センサ15を用いて読み取られる原稿画像の読み取り線数を、所定の割合で間引くことにより行なう。読み取り線数をどの程度の割合で間引くかは、そのときの画像縮小率によって決まる。
すなわち、上記ステップS5で原稿搬送速度を決定し、当該決定した原稿搬送速度で原稿を搬送した場合は、上記ステップS9で決定した画像縮小率に応じて画像データを副走査方向に縮小処理する。このとき、例えば、画像縮小率が50%であれば、原稿画像の読み取り線数を2本に1本の割合で間引くことになり、画像縮小率が70%であれば、原稿画像の読み取り線数を10本に3本の割合で間引くことになる。また、画像縮小率が100%である場合は、読み取り線数の間引きを行なわないことになる。
一方、上記ステップS3で原稿搬送速度を決定し、当該決定した原稿搬送速度で原稿を搬送した場合は、副走査方向で画像データの縮小処理が必要な場合と不要な場合とがある。その理由は、前述したように、上記図4に示す変倍率と原稿搬送速度の相関関係において、変倍率と原稿搬送速度とを1:1で対応付ける制御データが、代表的な読み取り倍率(50%、71%、100%、141%、200%)に関してのみ、制御テーブルに登録され、この制御テーブルを参照して原稿搬送制御部11が原稿搬送速度を決定するためである。
具体的には、上記ステップS3で決定した原稿搬送速度が、上記制御テーブルに登録されている原稿搬送速度のいずれかに該当する場合は、原稿画像の読み取りが複写倍率と同じ倍率で行なわれるため、原稿画像の読み取りと並行して画像データを副走査方向に縮小処理する必要がない。これに対して、上記ステップS3で決定した原稿搬送速度が、上記制御テーブルに登録されている原稿搬送速度のいずれにも該当しない場合は、原稿画像の読み取りが複写倍率よりも高い倍率で行なわれるため、その倍率差を補正するために、原稿画像の読み取りと並行して画像データを副走査方向に縮小処理する必要がある。
以上の処理により、原稿搬送開始前に原稿のサイズが一義的に検出された場合は勿論のこと、原稿搬送開始前に原稿のサイズが一義的に検出されず、原稿搬送開始後に原稿のサイズが一義的に検出された場合でも、原稿サイズと用紙サイズの関係で特定される複写倍率に適合した画像データが得られる。「原稿サイズと用紙サイズの関係で特定される複写倍率に適合した画像データ」とは、例えば、原稿サイズ=A3、用紙サイズ=A4の場合は、それらの関係で特定される複写倍率=71%に適合した画像データをいい、原稿サイズ=用紙サイズの場合は、それらの関係で特定される複写倍率=100%に適合した画像データをいい、原稿サイズ=B5、用紙サイズ=A4の場合は、それらの関係で特定される複写倍率=115%に適合した画像データをいう。また、使用者が操作パネル2上の処理開始ボタンを押してから、原稿の第1面の画像を読み取り終えるまでに、原稿の搬送を停止しないため、原稿搬送開始後に原稿の搬送を一旦停止する場合に比較して、1枚目排出所要時間が短くなる。
上記図3に示す処理手順は、原稿搬送部5の原稿置き部21に置かれた1枚目の原稿の一面に記録された画像を読み取る場合に適用されるものである。原稿の両面(一面/他面)に記録された画像を読み取る場合や、原稿置き部21に置かれた2枚目以降の原稿22の画像を読み取る場合は、上記図3に示す処理手順にしたがって「原稿の第1面」の画像を読み取った後、図5に示す処理手順にしたがって「原稿の第2面」以降の画像を読み取る。
「原稿の第1面」とは、使用者が操作パネル2の処理開始ボタンを押したときに、最初に読み取られる原稿の面をいい、「原稿の第2面」とは、「原稿の第1面」の次に読み取られる原稿の面をいう。同様に、「原稿の第3面」とは、「原稿の第2面」の次に読み取られる原稿の面をいい、「原稿の第4面」とは、「原稿の第3面」の次に読み取られる原稿の面をいう。このため、「原稿のm面」は、使用者が操作パネル2の処理開始ボタンを押してからm番目(mは自然数)に読み取られる原稿面に相当するものとなる。
したがって、原稿置き部21に置かれた原稿の一面(片面)に記録された画像を順に読み取る「片面読取方式」の場合は、原稿置き部21から送り出される1枚目の原稿の一面が「原稿の第1面」に相当し、1枚目の原稿に続いて原稿置き部21から送り出される2枚目の原稿の一面が「原稿の第2面」に相当し、2枚目の原稿に続いて原稿置き部21から送り出される3枚目の原稿の一面が「原稿の第3面」に相当し、3枚目の原稿に続いて原稿置き部21から送り出される4枚目の原稿の一面が「原稿の第4面」に相当するものとなる。この点は5枚目以降の原稿についても同様である。
一方、原稿置き部21に置かれた原稿の両面(一面/他面)に記録された画像を順に読み取る「両面読取方式」の場合は、原稿置き部21から送り出される1枚目の原稿の一面が「原稿の第1面」に相当し、当該1枚目の原稿の他面が「原稿の第2面」に相当し、1枚目の原稿に続いて原稿置き部21から送り出される2枚目の原稿の一面が「原稿の第3面」に相当し、当該2枚目の原稿の他面が「原稿の第4面」に相当するものとなる。この点は3枚目以降の原稿についても同様である。
図5のフローチャートにおいて、原稿の第1面を対象とした画像の読み取りが終了し、当該原稿の第1面の画像に続いて第2面以降の画像を読み取る場合は、まず、原稿の第1面の画像を読み取るときに原稿サイズ検知部9で一義的に検知した原稿のサイズと、処理開始ボタンを押す前に使用者が操作パネル2を用いて指定した用紙のサイズとに基づいて原稿搬送速度を再決定する(ステップS11)。原稿搬送速度の決定は、上記ステップS3と同様の方法で行なう。
次に、原稿搬送制御部11は、上記ステップS11で再決定した原稿搬送速度が、原稿の第1面の画像を読み取るときに適用した原稿搬送速度よりも速いかどうかを判断する(ステップS12)。そして、再決定した原稿搬送速度が、原稿の第1面の画像を読み取るときに適用した原稿搬送速度よりも速いと判断した場合は、原稿の第2面以降の画像を読み取るときに、上記ステップS11で再決定した原稿搬送速度を適用すべく、原稿搬送制御部11は、ステップS13とステップS15の処理を行ない、画像読取制御部17は、ステップS14の処理を行なう。
ステップS13においては、原稿搬送用モータ10の駆動を停止することにより、原稿の搬送を停止させる。片面読取方式では、1枚目の原稿の読み取りを終えると、これに続いて原稿置き部21から2枚目の原稿が送り出されるため、少なくとも2枚目の原稿の先端が、画像読取位置から上流側に所定の距離を隔てた位置に到達する前に、原稿の搬送を停止させる。この場合、2枚目の原稿は、原稿置き部21に置かれたままの状態であってもよいし、原稿置き部21から送り出された状態であってもよい。また、両面読取方式では、原稿置き部21から送り出された1枚目の原稿の一面に記録された画像を読み取り終えると、当該1枚目の原稿を原稿排出部材27の正転及び逆転によるスイッチバック搬送で表裏反転した状態で、再び原稿搬送部材24に送り込むため、少なくとも表裏反転させた原稿の先端が、画像読取位置から上流側に所定の距離を隔てた位置に到達する前に、原稿の搬送を停止させる。この場合、表裏反転させた原稿は、原稿搬送部材24に未到達の状態であってもよいし、原稿搬送部材24に到達済みの状態であってもよい。ここで記述する「所定の距離」とは、原稿の第2面以降の画像を読み取るときに適用される原稿搬送速度まで原稿を加速するために必要となる距離をいう。
次に、ステップS14においては、上記ステップS11で再決定した原稿搬送速度に基づいて、副走査方向の画像縮小率を変更する。例えば、再決定した原稿搬送速度がV71であって、原稿の第1面の画像を読み取るときに適用した原稿搬送速度Vrefである場合は、原稿の第1面の画像を読み取るときに比較して、副走査方向の読み取り倍率が低くなるため、それに応じて画像縮小倍率を変更する。次に、ステップS15においては、上記ステップS11で再決定した原稿搬送速度に合わせて原稿搬送用モータ10を駆動することにより、上述のように搬送停止させた原稿の搬送を開始する。
次に、原稿搬送路を搬送中の原稿22の先端が、光透過部材31上の画像読取位置に到達してから、当該原稿22の後端が画像読取位置を通過するまでの間、原稿22の第2面の画像を画像読取部6の読取光学系12及び読取センサ15によって読み取る(ステップS16)。この場合も、原稿の第1面の画像を読み取る場合と同様に、原稿画像の読み取りと並行して画像データの縮小処理を画像データ処理部16で行なう。また、上記ステップS14で画像縮小率を変更した場合は、当該変更後の画像縮小率を適用して画像データの縮小処理を行なう。
これに対して、上記ステップS12でNoと判断した場合は、ステップS16に移行し、原稿の第1面の画像を読み取るときに適用した原稿搬送速度のままで、原稿の第2面の画像を読み取る。
その後、原稿搬送制御部11は、次に搬送すべき原稿があるかどうかを判断し(ステップS17)、次に搬送すべき原稿があれば、上記ステップS16に戻って原稿画像の読み取りを行なう。次に搬送すべき原稿があるかどうかは、原稿有無検知センサの出力信号に基づいて判断すればよい。
以上の処理により、原稿の第1面の画像を読み取る場合と原稿の第2面以降の画像を読み取る場合で原稿の搬送速度が変更された場合は、原稿の第1面の画像を読み取るときよりも速い原稿搬送速度を適用して、原稿の第2面以降の画像が読み取られるようになる。
なお、上記実施の形態においては、自動倍率設定方式を「所定の処理方式」の一例として挙げたが、本発明はこれに限らず、複数ページ分の原稿の画像を1枚の用紙に並べて出力する処理方式に適用してもよい。その場合、例えば、2ページ分の原稿の画像を1枚の用紙に並べて出力する処理方式では、原稿サイズと用紙サイズが同じサイズであっても、複写倍率は71%となるため、それに応じて原稿搬送速度を決定する必要がある。また、4ページ分の原稿の画像を1枚の用紙に並べて出力する処理方式では、原稿サイズと用紙サイズが同じサイズであっても、複写倍率は50%となるため、それに応じて原稿搬送速度を決定する必要がある。
1…画像処理装置、2…操作パネル、3…画像読取装置、4…画像形成装置、5…原稿搬送部、6…画像読取部、7…用紙搬送部、8…画像形成部、9…原稿サイズ検知部、10…原稿搬送用モータ、11…原稿搬送制御部、12…読取光学系、13…走査体、14…走査体移動用モータ、15…読取センサ、16…画像データ処理部、17…画像読取制御部、21…原稿置き部、22…原稿