JP2011048065A - 延伸フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単に製造でき、光学軸の方向を視認でき、且つハンドリング性が良好な延伸フィルムを提供する。
【解決手段】幅方向Xに対して非平行且つ非直角の角度をなす光学軸Aを有する延伸フィルムにおいて、その幅方向端部1Eの少なくとも一方の端部にナーリング処理によってナーリング加工部3を設け、ナーリング加工部3には複数の凹凸部4と、隣接する凹凸部4間の間隙部分としての周辺部とを備えさせ、前記の凹凸部4又は周辺部が光学軸Aの方向を表す方向指示部として機能するようにする。
【選択図】図1
【解決手段】幅方向Xに対して非平行且つ非直角の角度をなす光学軸Aを有する延伸フィルムにおいて、その幅方向端部1Eの少なくとも一方の端部にナーリング処理によってナーリング加工部3を設け、ナーリング加工部3には複数の凹凸部4と、隣接する凹凸部4間の間隙部分としての周辺部とを備えさせ、前記の凹凸部4又は周辺部が光学軸Aの方向を表す方向指示部として機能するようにする。
【選択図】図1
Description
本発明は延伸フィルムに関する。
液晶表示装置には、様々な光学特性を持ったフィルムが多数枚使用されている。これらのフィルムは、相互に貼り合わせることにより、フィルムの機能を向上させたり、液晶表示装置の組み立て工程を簡略したりすることが行われている。例えば、1/2波長板と1/4波長板とを相互の光学軸(例えば遅相軸)が所定の角度をなすように貼りあわせて広帯域1/4波長板を得たり、光学フィルムと偏光フィルムとを所定の角度になるように接着一体化して偏光板を得たりしている。
フィルムを張り合わせる際、従来は、フィルムそれぞれをまず所定のサイズと角度で裁断し、それらの単板毎に接着する方法が採られていた。そのため裁断から接着までの工程数が多い上に、裁断時のサイズずれ、接着時の位置ずれや光学軸のずれが起こりやすかった。特にフィルムの中でも斜め方向(即ち、フィルムの幅方向に対して非平行且つ非直角の角度をなす方向)に光学軸を有する延伸フィルムは、光学軸の方向を視認できず光学軸のずれが生じやすかった。このような光学軸のずれは、液晶表示装置のコントラストの低下や着色発生の原因となり、表示品位を大きく低下させるおそれがある。
前記のような光学軸のずれが生じることを防止するため、特許文献1には、光学軸の方向を識別するためのマークをフィルムに施すことが提案されている。この特許文献1記載のようにマークを施すことで光学軸の方向を視認できるようになり、光学軸のずれを防止することが可能である。
一方で、フィルムのハンドリング性を向上させるための技術として、フィルムにナーリング処理を施して凹凸を形成する技術が知られている(特許文献2〜4)。
しかしながら、従来の技術では、光学軸の方向を視認できるようにし且つナーリング処理を施そうとすると、マークを形成する工程(特許文献1参照)とナーリング処理を施す工程(特許文献2〜4参照)とをそれぞれ行うことになり、工程数が多くなって製造方法が煩雑となり、製造設備が複雑化していた。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、簡単に製造でき、光学軸の方向を視認でき、且つハンドリング性が良好な延伸フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、簡単に製造でき、光学軸の方向を視認でき、且つハンドリング性が良好な延伸フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記目的を達成するべく鋭意検討した結果、ナーリング処理によりフィルムに形成される凹凸の平面形状、位置等によって光学軸の方向を表すようにすることにより、フィルムにナーリング処理を施すというシンプルな工程だけで、光学軸の方向を識別できハンドリング性の良好なフィルムを製造できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の〔1〕〜〔6〕を要旨とする。
即ち、本発明は以下の〔1〕〜〔6〕を要旨とする。
〔1〕 幅方向に対して非平行且つ非直角の角度をなす光学軸を有する延伸フィルムであって、
その幅方向の少なくとも一方の端部には、ナーリング処理によって形成されたナーリング加工部が設けられ、
前記ナーリング加工部は、複数の凹凸部と、隣接する凹凸部間の間隙部分としての周辺部と、を備え、
前記凹凸部または前記周辺部は、前記光学軸の方向を表す方向指示部として機能する、延伸フィルム。
〔2〕 〔1〕に記載の延伸フィルムにおいて、
前記ナーリング加工部は、その幅方向の両方の端部に設けられている延伸フィルム。
〔3〕 〔1〕または〔2〕に記載の延伸フィルムにおいて、
前記方向指示部は、前記光学軸に沿って延びる線状に形成された部分により構成されている延伸フィルム。
〔4〕 〔3〕に記載の延伸フィルムにおいて、
前記凹凸部は、前記光学軸に沿って延びる線状に形成された部分と、前記光学軸の角度を示す記号とを有し、
前記方向指示部は、前記線状に形成された部分により構成されている延伸フィルム。
〔5〕 〔4〕に記載の延伸フィルムにおいて、
前記方向指示部は、前記光学軸の角度を示す記号により構成されている延伸フィルム。
〔6〕 〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の延伸フィルムにおいて、
前記凹凸部が前記方向指示部として機能する延伸フィルム。
その幅方向の少なくとも一方の端部には、ナーリング処理によって形成されたナーリング加工部が設けられ、
前記ナーリング加工部は、複数の凹凸部と、隣接する凹凸部間の間隙部分としての周辺部と、を備え、
前記凹凸部または前記周辺部は、前記光学軸の方向を表す方向指示部として機能する、延伸フィルム。
〔2〕 〔1〕に記載の延伸フィルムにおいて、
前記ナーリング加工部は、その幅方向の両方の端部に設けられている延伸フィルム。
〔3〕 〔1〕または〔2〕に記載の延伸フィルムにおいて、
前記方向指示部は、前記光学軸に沿って延びる線状に形成された部分により構成されている延伸フィルム。
〔4〕 〔3〕に記載の延伸フィルムにおいて、
前記凹凸部は、前記光学軸に沿って延びる線状に形成された部分と、前記光学軸の角度を示す記号とを有し、
前記方向指示部は、前記線状に形成された部分により構成されている延伸フィルム。
〔5〕 〔4〕に記載の延伸フィルムにおいて、
前記方向指示部は、前記光学軸の角度を示す記号により構成されている延伸フィルム。
〔6〕 〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の延伸フィルムにおいて、
前記凹凸部が前記方向指示部として機能する延伸フィルム。
本発明の延伸フィルムは、簡単に製造でき、光学軸の方向を視認でき、さらにハンドリング性が良好である。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
〔1.第一実施形態〕
図1は本発明の第一実施形態に係る延伸フィルムを模式的に示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係る延伸フィルム1は長尺のフィルムである。図1では、巻芯2に巻き取った延伸フィルム1の巻回体1Rから一部を引き出した様子を示している。ここで長尺のフィルムとは、幅方向Xの寸法に対して長い(例えば10倍以上、といった長さの)長さ方向Yの寸法を有するフィルムである。このような長尺のフィルムは製造ラインにおいて長さ方向に連続的に移送しながら製造工程を行なうことにより得られ、製造工程の一部または全部をインラインで簡便且つ効率的に行なうことができる利点がある。
図1は本発明の第一実施形態に係る延伸フィルムを模式的に示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係る延伸フィルム1は長尺のフィルムである。図1では、巻芯2に巻き取った延伸フィルム1の巻回体1Rから一部を引き出した様子を示している。ここで長尺のフィルムとは、幅方向Xの寸法に対して長い(例えば10倍以上、といった長さの)長さ方向Yの寸法を有するフィルムである。このような長尺のフィルムは製造ラインにおいて長さ方向に連続的に移送しながら製造工程を行なうことにより得られ、製造工程の一部または全部をインラインで簡便且つ効率的に行なうことができる利点がある。
図2は本発明の第一実施形態に係る延伸フィルムを模式的に示す平面図であり、図1において巻回体1Rから引き出した部分の一部を延伸フィルム1表面の法線方向から見た図である。図2において破線Aで示すように、延伸フィルム1は、その幅方向Xに対して非平行であり、且つ、その幅方向Xに対して非直角の角度θをなす光学軸Aを有する。すなわち、光学軸Aの方向は、延伸フィルム1の幅方向Xと平行ではなく、延伸フィルム1の長さ方向Yと平行でもない、いわゆる斜め方向となる。延伸フィルム1の光学軸Aが延伸フィルム1の幅方向Xに対してなす具体的な角度θは、用途に応じて適切な範囲を設定すればよいが、通常5°以上、好ましくは10°以上であり、通常85°以下、好ましくは80°以下である。
延伸フィルム1としては、延伸処理を経て製造されたフィルムであって、その光学軸Aが前記のように幅方向Xに対して非平行且つ非直角の角度をなすものであれば、任意のフィルムを用いることができる。このような延伸フィルム1としては、例えば、位相差フィルム、輝度向上フィルム、偏光フィルムなどが挙げられる。延伸フィルム1が位相差フィルムである場合には光学軸Aとしては遅相軸及び進相軸が挙げられ、延伸フィルム1が輝度向上フィルムである場合には光学軸Aとしては透過軸及び反射軸が挙げられ、延伸フィルム1が偏光フィルムである場合には光学軸Aとしては偏光透過軸及び偏光吸収軸が挙げられる。
延伸フィルム1の材料としては、通常は樹脂を用い、好ましくは熱可塑性樹脂を用いる。樹脂に含まれる重合体の例を挙げると、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル重合体;ポリフェニレンサルファイド等のポリアリーレンサルファイド重合体;ポリビニルアルコール重合体、ポリカーボネート重合体、ポリアリレート重合体、セルロースエステル重合体、ポリエーテルスルホン重合体、ポリスルホン重合体、ポリアリルサルホン重合体、ポリ塩化ビニル重合体、ノルボルネン重合体、棒状液晶ポリマー、スチレン又はスチレン誘導体の単独重合体または他のモノマーとの共重合体を含むポリスチレン系重合体;ポリアクリロニトリル重合体、ポリメチルメタクリレート重合体、あるいはこれらの多元共重合ポリマーなどが挙げられる。また、樹脂には必要に応じて配合剤を含有させることもできる。なお、延伸フィルム1の材料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また、延伸フィルム1の層構造は、1層のみからなる単層構造でもよく、2層以上の層を有する積層構造であってもよい。
延伸フィルム1の幅は、通常1300mm〜2300mmである。延伸フィルム1の幅が過度に狭いと光学素子として有効に使用できる有効部分が狭くなりコスト高となる傾向がある。また、延伸フィルム1の幅が過度に広いとナーリング処理によってもハンドリング性が十分に向上しない可能性がある。
延伸フィルム1の厚さは、通常20〜150μmである。延伸フィルム1が過度に薄いとフィルム強度が不足してシワ等が発生する可能性がある。また、延伸フィルム1が過度に厚いと、延伸フィルム1を光学素子として使用した場合に製品の薄膜化に十分に寄与できなくなる可能性がある。
従来、斜め方向の光学軸を有する延伸フィルムは、他のフィルムと張り合わせようとした場合に光学軸にずれが生じやすいものであった。また、光学軸の方向が幅方向に対して平行又は直角の角度をなすフィルムであればフィルムの表裏を誤っても貼り合わせるフィルムに光学軸にずれは生じにくいが、斜め方向に光学軸を有する延伸フィルムでは表裏を誤ると張り合わせるフィルムの光学軸が意図した方向から大きくずれることになっていた。
そこで本実施形態の延伸フィルム1においては、光学軸Aのずれを防止するために、延伸フィルム1の幅方向の端部(以下、適宜「幅方向端部」という。)1Eにナーリング処理によってナーリング加工部3が形成されている。ここでナーリング処理とは、フィルムに凹凸(実質的にはフィルム表面に複数の凹み)を形成する処理のことをいい、通常は微小な凹凸を形成する処理のことをいい、また、通常は同様の形状の凹凸を繰り返し形成する処理のこと(ローレットと称する場合のある)を言う。ナーリング加工部3はナーリング処理によって凹凸が形成された部分であり、延伸フィルム1の長さ方向Yに沿って帯状に形成された部分である。本実施形態におけるナーリング加工部3では、複数の凹部又は凸部(以下、適宜「凹凸部」という。)4が幅方向Xに対して平行に並んだ列5が、長さ方向Yに沿って延伸フィルム1の少なくとも一部、好ましくは全長にわたって設けられている。
図3は、ナーリング加工部3における凹凸部4の列5の一つを拡大して模式的に示す拡大平面図である。凹凸部4が周囲よりも凹んだ凹部である場合、図3に示すように、ナーリング加工部3には、凹部4と、隣接する当該凹部4間の空隙部分としての周辺部(この部分は、凹部4から見れば凸部となる。)6とが存在することになるため、ナーリング加工部3はこれらの凹部4及び周辺部6を有する凹凸を備えることになる。一方、凹凸部4が周囲よりも凸に形成された凸部である場合、ナーリング加工部3は、凸部4と、隣接する当該凸部4の周辺部(この部分は、凸部4から見れば凹部となる。)6とが存在することになるため、ナーリング加工部3はこれらの凸部4及び周辺部6を有する凹凸を備えることになる。
図3に示すように、本実施形態では凹凸部4の平面形状は光学軸Aに沿って光学軸Aの方向と平行な方向に延びる線分となっており、この線分が延びる方向が幅方向Xに対してなす角度と、光学軸Aが幅方向Xに対してなす角度θとが一致するようになっている。また、凹凸部4の線分が延びる方向と光学軸Aの方向とが平行になっていることから、隣り合う凹凸部4間の間隙部分である周辺部6が延びる方向も、光学軸Aの方向と平行になっている。したがって、凹凸部4及び周辺部6がいずれも光学軸Aの方向を表す方向指示部として機能するため、本実施形態では凹凸部4又は周辺部6の平面形状を視認することで、延伸フィルム1を取り扱う者が光学軸Aの方向を視認できるようになっている。
また、ナーリング加工部3が形成されていることにより延伸フィルム1の剥離性、滑り性などが改善されるため、延伸フィルム1のハンドリング性が向上する。したがって、例えば、延伸フィルム1の巻き取り時における幅方向中央部の傷つきを防止して巻き取り性を向上させたり、延伸フィルム1の搬送性を向上させたりすることができる(特許文献2〜4参照)。また、例えば、延伸フィルム1はマスキングフィルム等の保護フィルムを貼り付けなくても単独で巻き取って巻回体1Rとすることができるため、運搬及び保存のコストを低減することが可能である。
凹凸部4は、延伸フィルム1のおもて面及び裏面のうち一方だけに形成してもよく、両方に形成してもよい。おもて面及び裏面の両方に凹凸部4を形成する場合、凹凸部4の形状、寸法、位置等は、おもて面と裏面とで同じでもよく異なっていてもよい。また、少なくともおもて面及び裏面の一方における凹凸部4が光学軸Aの方向を表していればよいが、おもて面及び裏面の両方における凹凸部4が光学軸Aの方向を表していることが好ましい。
ナーリング加工部3は、図1,2に記載のように、延伸フィルム1の幅方向端部1Eに形成される。延伸フィルム1においては、通常、その幅方向中央部分が光学素子としての機能を有効に発揮する有効部分となり、その幅方向端部1Eは延伸フィルム1の光学素子としての機能には影響しない。このため、延伸フィルム1の幅方向端部1Eにナーリング加工部3を形成しても、通常は延伸フィルム1においてナーリング加工部3による光学機能の低下は生じない。
ナーリング加工部3は、2つ存在する延伸フィルム1の幅方向端部1Eのうち、少なくとも一方の幅方向端部1Eに形成されていればよいが、両方の幅方向端部1Eに形成されていることが好ましい。また、両方の幅方向端部1Eにナーリング加工部3が形成されている場合、形成されたナーリング加工部3における凹凸部4の形状及び位置は、同じでもよく、異なっていてもよい。ただし、少なくとも一方のナーリング加工部3における凹凸部又は周辺部は延伸フィルム1の光学軸Aの方向を表すようにし、好ましくは両方のナーリング加工部3における凹凸部又は周辺部が延伸フィルム1の光学軸Aの方向を表すようにする。本実施形態では、両方の幅方向端部1Eにおけるナーリング加工部3がいずれも同様に形成され、両方のナーリング加工部3の凹凸部4及び周辺部6によって光学軸Aの方向が表されているものとする。
ナーリング加工部3は、延伸フィルム1の幅方向縁部1Eにおいて、延伸フィルム1の縁1eから所定の距離だけ離間した位置に形成してもよく、縁1eの直ぐ内側に形成するようにしてもよい。なお本実施形態では、図1に示すように、延伸フィルム1の縁1eから所定の距離だけ離間した位置にナーリング加工部3を形成してあるものして説明を行う。
ナーリング加工部3の幅(すなわち、幅方向Xにおける大きさ)Wは、通常5mm以上、好ましくは10mm以上であり、通常25mm以下、好ましくは20mm以下である(図2参照)。また、延伸フィルム1の幅に対する比率で表すと、ナーリング加工部3の幅Wは延伸フィルム1の全幅に対して、通常1%以上であり、通常5%以下、好ましくは2%以下である。ナーリング加工部3の幅Wが狭すぎると延伸フィルム1の巻き取りの際に生じる巻きズレ等の防止効果が低減してハンドリング性が低下する可能性があり、ナーリング加工部3の幅Wが広すぎると延伸フィルム1における光学素子としての機能を有効に発揮する有効部分が狭くなって製造コストが上昇する可能性がある。
凹凸部4の高さ及び深さは、延伸フィルム1のハンドリング性を著しく損なわず、凹凸部4を視認できる範囲であれば任意に設定できる。凹凸部4の高さ及び深さを、ナーリング加工部3における延伸フィルム1の平均厚みTnと、凹凸部4における延伸フィルム1の厚みTとの差|Tn−T|で表すと、通常3μm以上であり、通常30μm以下、好ましくは15μm以下、より好ましくは7μm以下である。凹凸部4の高さ及び深さが小さすぎると延伸フィルム1のハンドリング性が低下する可能性があり、大きすぎるとナーリング加工部3での破断が発生し易くなる可能性がある。
凹凸部4の幅及び長さ、並びに単位面積当たりに形成する凹凸部4の数(すなわち、凹凸部4の形成密度)は、延伸フィルム1のハンドリング性を著しく損なわず、凹凸部4を視認できる範囲であれば任意に設定できる。例えば本実施形態のように凹凸部4を線分状にする場合、通常、凹凸部4の幅は100μm〜2000μm、凹凸部4の長さは500μm〜10000μm、1cm2当たりの凹凸部4の数は2個〜200個とする。なお、凹凸部4の長さとは、破線A方向の寸法のことであり、凹凸部の幅とは、破線Aに直交する方向の寸法のことである。
上述したナーリング加工部3を有する延伸フィルム1は、ナーリング処理前の延伸フィルムに対してナーリング処理を行い、その幅方向端部1Eに凹凸部4を設けてナーリング加工部3を形成することにより製造できる。
ナーリング処理前の延伸フィルムを製造する方法は、その製造工程にフィルムを延伸する工程が少なくとも一工程含んでいれば任意の製造方法を採用できる。通常、幅方向Xに対して非平行且つ非直角の角度をなす光学軸Aを有する延伸フィルムを製造するには、幅方向Xに対して非平行且つ非直角の角度をなす延伸方向に延伸処理を施すようにする。延伸方法に特に制限は無いが、例えば、特開平2−113920号公報、特開2002−86554号公報、特開2003−232928号公報などに記載の方法を採用できる。
延伸処理は1回だけ行ってもよく、2回以上行ってもよい。延伸処理を2回以上行う場合、延伸方向は同じでもよく、異なっていてもよい。
延伸倍率は延伸フィルムに備えさせようとする光学的機能に応じて設定すればよいが、通常1.05倍以上、好ましくは1.3倍以上である。なお、上限に制限は無いが、現実的には10倍以下である。
延伸処理により、延伸フィルムに光学軸Aが生じる。通常は、延伸方向と平行又は直交する方向に、光学軸Aが生じる。
延伸倍率は延伸フィルムに備えさせようとする光学的機能に応じて設定すればよいが、通常1.05倍以上、好ましくは1.3倍以上である。なお、上限に制限は無いが、現実的には10倍以下である。
延伸処理により、延伸フィルムに光学軸Aが生じる。通常は、延伸方向と平行又は直交する方向に、光学軸Aが生じる。
延伸フィルムを用意した後で、その延伸フィルムにナーリング処理を施し、ナーリング加工部3を形成する。ナーリング処理としては、延伸フィルムに上述した凹凸部4を形成できる任意の処理を採用できる。ナーリング処理の例を挙げると、エンボス加工処理、レーザー加工処理などが挙げられる。
エンボス加工処理によりナーリング処理を行う場合、例えば、ナーリング加工部3の形状に対応した凹凸パターンを側面に有するロール又はリングを用意し、必要に応じて延伸フィルムを加熱したり、前記ロール又はリングを加熱したりしながら、延伸フィルムを前記のロール又はリングで押圧する。なお、加熱したロール又はリングを延伸フィルムに押しつける場合(例えば、自己発熱ロール(誘電体を用いたロール)等を用いる場合)には、延伸フィルムを加熱する場合に比べて、延伸フィルムの熱変形を抑えることができる利点がある。この際、単一のロール又はリングにより押圧を行うようにしてもよいが、対向する2個のロール又はリングの間に延伸フィルムを挟みこんで押圧を行うようにしてもよい。これにより、ロール又はリングの側面の凹凸パターンが延伸フィルムに転写され、ナーリング加工部3が形成される。エンボス加工処理によりナーリング処理を行うようにすれば、単にロール又はリングを押圧するだけでナーリング加工部3を形成できるため、製造方法が簡単でありコストを抑制することができる。また、通常はロール等を用いて長尺の延伸フィルムを長さ方向に移送しながら連続的に前記ロール又はリングによる押圧を行うが、この際に形成されるナーリング加工部3の形状はロール又はリングの一回転分の凹凸パターンに対応した繰り返し形状となる。このため、エンボス加工処理は、繰り返し形状を有するナーリング加工部3の形成に適している。さらに、エンボス加工処理によれば通常は延伸フィルム1の両方の面に凹部又は凸部が形成されるが、この際、一方の面における凹部が他方の面の凸部となり、結果としてナーリング加工部3の実質的な厚さが大きくなって延伸フィルム1のハンドリング性をより向上させることが可能となる。
一方、レーザー加工処理によりナーリング処理を行う場合、例えば、延伸フィルムの凹部を形成しようとする部分にレーザー光を照射し、照射部分における延伸フィルムの材料を溶融又はアブレーションにより除去する。これにより、除去された部分が凹部となってナーリング加工部3が形成される。レーザー加工処理によりナーリング処理を行うようにすれば、ナーリング処理時に押圧等による強い力を延伸フィルムに加える必要が無いため延伸フィルムの破断を安定して防止できる。したがって、レーザー加工処理はエンボス加工処理と比較して、より薄い延伸フィルムに対してナーリング処理を行う場合に適している。さらに、レーザー加工処理はレーザー光の照射位置を調整することにより凹凸部4の形状を任意に変更できるため、ナーリング加工部3における凹凸部4の形状が繰り返し形状とならない場合にも適している。
なお、レーザー加工処理によるナーリング処理については、特許文献2記載の技術を適用してもよい。
なお、レーザー加工処理によるナーリング処理については、特許文献2記載の技術を適用してもよい。
本発明の第一実施形態に係る延伸フィルム1は上述したように構成され、上述したようにして製造できる。
したがって、延伸フィルム1によれば、ナーリング加工部3における凹凸部4又は周辺部6を視認することにより、光学軸Aの方向を簡単に把握できる。このため、延伸フィルム1を他のフィルムと貼り合わせる場合に、フィルムの光学軸を誤り無く合わせることができるようになり、また延伸フィルム1の表裏の誤認も防止できる。
したがって、延伸フィルム1によれば、ナーリング加工部3における凹凸部4又は周辺部6を視認することにより、光学軸Aの方向を簡単に把握できる。このため、延伸フィルム1を他のフィルムと貼り合わせる場合に、フィルムの光学軸を誤り無く合わせることができるようになり、また延伸フィルム1の表裏の誤認も防止できる。
また、ナーリング加工部3が形成されることにより延伸フィルム1の幅方向端部1Eにおける剥離性、滑り性などが改善されている。このため、延伸フィルム1のハンドリング性を向上させることができる。これにより、例えば、延伸フィルム1の巻き取り性、搬送性などを改善することが可能である。
さらに、延伸フィルム1はナーリング処理前の延伸フィルムに対して単にナーリング処理を施すだけで製造できるため、従来のようにマークを形成する工程(特許文献1参照)とナーリング処理を施す工程(特許文献2〜4参照)とを別々に行う必要が無い。したがって、延伸フィルム1は、工程数を少なくして簡単な方法による製造が可能である。
以上、本発明の第一実施形態について詳細に説明したが、本発明は更に変更して実施することも可能である。
例えば、ナーリング加工部3は、延伸フィルム1の幅方向端部1E以外の位置にも形成してもよい。例えば、延伸フィルム1の長さ方向端部にナーリング加工部3を形成すると、巻回体1Rから延伸フィルム1を引き出す場合に表裏の誤認をより確実に防止できる。
例えば、ナーリング加工部3は、延伸フィルム1の幅方向端部1E以外の位置にも形成してもよい。例えば、延伸フィルム1の長さ方向端部にナーリング加工部3を形成すると、巻回体1Rから延伸フィルム1を引き出す場合に表裏の誤認をより確実に防止できる。
また、例えば、ナーリング加工部3における凹凸部4の位置、寸法、形状などは、延伸フィルム1の長さ方向に変化するように形成してもよい。さらに、第一実施形態ではナーリング加工部3を延伸フィルム1の長さ方向Yに連続的に形成したが、延伸フィルム1のハンドリング性を著しく損なわない範囲であれば、ナーリング加工部3を延伸フィルム1の長さ方向Yに断続的(間欠的)に形成してもよい。ただし、延伸フィルム1のハンドリング性を良好に保つ観点から、ナーリング加工部3の凹凸部4は長さ方向Yにある程度均一にすることが好ましい。
また、例えば、ナーリング加工部3の一部において、延伸フィルム1の品番、物性値、シリアル番号などを表す記号を形成してもよい。この場合、前記の記号は、例えば凹凸部4の表面形状を所望の記号の形状にするなど、ナーリング処理により形成される凹凸部の形状で表すようにすることが好ましい。なお、前記の品番等を表す記号としては、文字、数字、図形(標章、バーコード等)などが挙げられる。
また、本実施形態では凹凸部4及び周辺部6の両方がいずれも光学軸Aの方向を表す方向指示部として機能するようにしたが、例えば、凹凸部4及び周辺部6の一方だけが方向指示部として機能するようにしてもよい。
また、本実施形態では同じ列5に含まれる凹凸部4の間の間隙部分である周辺部6が光学軸Aの方向を表す方向指示部として機能するようにしたが、例えば、隣り合う列5と列5との間に存在する周辺部が方向指示部として機能するようにしてもよい。
また、本実施形態では同じ列5に含まれる凹凸部4の間の間隙部分である周辺部6が光学軸Aの方向を表す方向指示部として機能するようにしたが、例えば、隣り合う列5と列5との間に存在する周辺部が方向指示部として機能するようにしてもよい。
〔2.第二実施形態〕
本発明の延伸フィルムにおいて、幅方向端部に形成されたナーリング加工部が延伸フィルムの光学軸の方向を表す限り、凹凸部の位置、形状、寸法等は第一実施形態で説明したものに限定されない。例えば、凹凸部の形状及び位置は以下に説明する第二実施形態のようにすることもできる。
本発明の延伸フィルムにおいて、幅方向端部に形成されたナーリング加工部が延伸フィルムの光学軸の方向を表す限り、凹凸部の位置、形状、寸法等は第一実施形態で説明したものに限定されない。例えば、凹凸部の形状及び位置は以下に説明する第二実施形態のようにすることもできる。
図4は本発明の第二実施形態に係る延伸フィルムの幅方向端部近傍を拡大して模式的に示す拡大平面図である。なお、第二実施形態に係る延伸フィルム10において、第一実施形態に係る延伸フィルム1と同様の要素は第一実施形態に係る延伸フィルム1と同様の符号で示す。
図4に示すように、本実施形態に係る延伸フィルム10の幅方向端部10Eにはナーリング加工部13が形成されている。このナーリング加工部13において、凹凸部14の平面形状は矢印状になっている。また、凹凸部14は延伸フィルム10の長さ方向Yに沿って、一定間隔で互いに平行に並んで形成されている。すなわち、これらの凹凸部14が延伸フィルム10の長さ方向Yに沿って互いに平行に並んで形成された帯状の部分として、ナーリング加工部13は形成されている。
凹凸部14の矢印形状は、一定の方向に沿って延びる線状に形成された部分(以下、適宜「線状部分」という。)14Lと、線状部分14Lの両端に存在する三角形状の部分(以下、適宜「鏃部分」という。)14Hとからなっている。凹凸部14の線状部分14Lは延伸フィルム10の光学軸Aの方向と平行に延びる形状となっており、この線状部分14Lが延びる方向が幅方向Xに対してなす角度と、光学軸Aが幅方向Xに対してなす角度θとが一致するようになっている。したがって、凹凸部14の一部である線状部分14Lが光学軸Aの方向を表す方向指示部として機能するため、本実施形態では凹凸部14の平面形状を視認することで、延伸フィルム10を取り扱う者が光学軸Aの方向を視認できるようになっている。
これら以外の事項については、本実施形態に係る延伸フィルム10は、第一実施形態に係る延伸フィルム1と同様である。
これら以外の事項については、本実施形態に係る延伸フィルム10は、第一実施形態に係る延伸フィルム1と同様である。
本発明の第二実施形態に係る延伸フィルム10は以上のように構成されているため、第一実施形態に係る延伸フィルム1と同様に、凹凸部14から光学軸Aの方向を視認でき、さらにハンドリング性が良好である。また、ナーリング加工部13は第一実施形態と同様にナーリング処理前の延伸フィルムに対して単にナーリング処理を施すだけで製造できるため、本実施形態に係る延伸フィルム10も簡単に製造できる。
さらに、本実施形態に係る延伸フィルム10は、第一実施形態に係る延伸フィルム1と同様の利点を有し、第一実施形態に係る延伸フィルム1と同様に変更して実施することができる。
さらに、本実施形態に係る延伸フィルム10は、第一実施形態に係る延伸フィルム1と同様の利点を有し、第一実施形態に係る延伸フィルム1と同様に変更して実施することができる。
〔3.第三実施形態〕
本発明の延伸フィルムにおいて、幅方向端部に形成されるナーリング加工部は、第一及び第二実施形態のような図形により光学軸の方向を表すものばかりでなく、文字、数字等の記号によって延伸フィルムの光学軸の方向を表すようにすることもできる。例えば、凹凸部の形状及び位置は以下に説明する第三実施形態のようにすることもできる。
本発明の延伸フィルムにおいて、幅方向端部に形成されるナーリング加工部は、第一及び第二実施形態のような図形により光学軸の方向を表すものばかりでなく、文字、数字等の記号によって延伸フィルムの光学軸の方向を表すようにすることもできる。例えば、凹凸部の形状及び位置は以下に説明する第三実施形態のようにすることもできる。
図5は本発明の第三実施形態に係る延伸フィルムの幅方向端部近傍を拡大して模式的に示す拡大平面図である。なお、第三実施形態に係る延伸フィルム20において、第一及び第二実施形態に係る延伸フィルム1,10と同様の要素は第一及び第二実施形態に係る延伸フィルム1,10と同様の符号で示す。
図5に示すように、本実施形態に係る延伸フィルム20の幅方向端部20Eにはナーリング加工部23が形成されている。このナーリング加工部23においては、矢印状の平面形状を有する凹凸部14と、「30°」という記号の平面形状を有する凹凸部24とが形成されている。記号を示す凹凸部24は、一定の個数ずつ並んだ矢印状の凹凸部14の間に形成されている。すなわち、一定の個数の矢印状の凹凸部14と、記号を示す凹凸部24とが、延伸フィルム20の長さ方向Yに沿って交互に形成された帯状の部分として、ナーリング加工部23は形成されている。
凹凸部14の矢印形状は第二実施形態と同様になっており、凹凸部14の平面形状を視認することで、延伸フィルム20を取り扱う者が光学軸Aの方向を視認できるようになっている。
また、凹凸部24が表す「30°」との記号は、光学軸Aの角度を示す。具体的には、前記の「30°」との記号は、延伸フィルム20の幅方向Xと光学軸Aとがなす角度θを示す。したがって、凹凸部24が表す記号「30°」が光学軸Aの方向を表す方向指示部として機能するため、本実施形態では、凹凸部24の平面形状を視認することでも、延伸フィルム20を取り扱う者が光学軸Aの方向を視認できるようになっている。
これら以外の事項については、本実施形態に係る延伸フィルム20は、第一及び第二実施形態に係る延伸フィルム1,10と同様である。
また、凹凸部24が表す「30°」との記号は、光学軸Aの角度を示す。具体的には、前記の「30°」との記号は、延伸フィルム20の幅方向Xと光学軸Aとがなす角度θを示す。したがって、凹凸部24が表す記号「30°」が光学軸Aの方向を表す方向指示部として機能するため、本実施形態では、凹凸部24の平面形状を視認することでも、延伸フィルム20を取り扱う者が光学軸Aの方向を視認できるようになっている。
これら以外の事項については、本実施形態に係る延伸フィルム20は、第一及び第二実施形態に係る延伸フィルム1,10と同様である。
本発明の第三実施形態に係る延伸フィルム20は以上のように構成されているため、第一及び第二実施形態に係る延伸フィルム1,10と同様に、凹凸部14及び凹凸部24から光学軸Aの方向を視認でき、さらにハンドリング性が良好である。また本実施形態では特に、凹凸部24の平面形状である「30°」との記号は線対称な記号でないため、延伸フィルム20の表裏を誤った場合には、凹凸部24を見ると「30°」の記号の鏡像が視認される。したがって、本実施形態の延伸フィルム20は表裏の誤りが直感的に認識できるため、表裏の誤りをより確実に防止することができる。
また、ナーリング加工部23は第一及び第二実施形態と同様にナーリング処理前の延伸フィルムに対して単にナーリング処理を施すだけで製造できるため、本実施形態に係る延伸フィルム20も簡単に製造できる。
さらに、本実施形態に係る延伸フィルム20は、第一及び第二実施形態に係る延伸フィルム1,10と同様の利点を有し、第一及び第二実施形態に係る延伸フィルム1,10と同様に変更して実施することができる。
また、ナーリング加工部23は第一及び第二実施形態と同様にナーリング処理前の延伸フィルムに対して単にナーリング処理を施すだけで製造できるため、本実施形態に係る延伸フィルム20も簡単に製造できる。
さらに、本実施形態に係る延伸フィルム20は、第一及び第二実施形態に係る延伸フィルム1,10と同様の利点を有し、第一及び第二実施形態に係る延伸フィルム1,10と同様に変更して実施することができる。
〔4.第四実施形態〕
本発明の延伸フィルムにおいて、幅方向端部に形成されるナーリング加工部は、第一及び第二実施形態のような単一の凹凸部の形状により光学軸の方向を表すものばかりでなく、複数の凹凸部が一群で延伸フィルムの光学軸の方向を表すようにすることもできる。例えば、凹凸部の形状及び位置は以下に説明する第四実施形態のようにすることもできる。
本発明の延伸フィルムにおいて、幅方向端部に形成されるナーリング加工部は、第一及び第二実施形態のような単一の凹凸部の形状により光学軸の方向を表すものばかりでなく、複数の凹凸部が一群で延伸フィルムの光学軸の方向を表すようにすることもできる。例えば、凹凸部の形状及び位置は以下に説明する第四実施形態のようにすることもできる。
図6は本発明の第四実施形態に係る延伸フィルムの幅方向端部近傍を拡大して模式的に示す拡大平面図である。なお、第四実施形態に係る延伸フィルム30において、第一〜第三実施形態に係る延伸フィルム1,10,20と同様の要素は第一〜第三実施形態に係る延伸フィルム1,10,20と同様の符号で示す。
図6に示すように、本実施形態に係る延伸フィルム30の幅方向端部30Eにはナーリング加工部33が形成されている。このナーリング加工部33においては、点状の凹凸部34が一定の方向に沿って並んだ列35と、「30°」という記号の平面形状を有する凹凸部24とが形成されている。記号を表す凹凸部24は、一定の列数ずつ並んだ凹凸部34の列35の間に形成されている。すなわち、一定の列数の凹凸部34の列35と、記号を表す凹凸部24とが、延伸フィルム30の長さ方向Yに沿って交互に形成された帯状の部分として、ナーリング加工部33は形成されている。
「30°」との記号を表す凹凸部24は第三実施形態と同様になっており、凹凸部24の平面形状を視認することで、延伸フィルム30を取り扱う者が光学軸Aの方向を視認できるようになっている。
また、それぞれの列35において凹凸部34が並ぶ方向は、延伸フィルム30の光学軸Aの方向と平行となっており、この列35が並ぶ方向が幅方向Xに対してなす角度と、光学軸Aが幅方向Xに対してなす角度θとが一致するようになっている。したがって、凹凸部34が一群となって光学軸Aの方向を表す方向指示部として機能するため、本実施形態では凹凸部34が並んだ列35を視認することで、延伸フィルム30を取り扱う者が光学軸Aの方向を視認できるようになっている。
これら以外の事項については、本実施形態に係る延伸フィルム30は、第一〜第三実施形態に係る延伸フィルム1,10,20と同様である。
また、それぞれの列35において凹凸部34が並ぶ方向は、延伸フィルム30の光学軸Aの方向と平行となっており、この列35が並ぶ方向が幅方向Xに対してなす角度と、光学軸Aが幅方向Xに対してなす角度θとが一致するようになっている。したがって、凹凸部34が一群となって光学軸Aの方向を表す方向指示部として機能するため、本実施形態では凹凸部34が並んだ列35を視認することで、延伸フィルム30を取り扱う者が光学軸Aの方向を視認できるようになっている。
これら以外の事項については、本実施形態に係る延伸フィルム30は、第一〜第三実施形態に係る延伸フィルム1,10,20と同様である。
本発明の第四実施形態に係る延伸フィルム30は以上のように構成されているため、第一〜第三実施形態に係る延伸フィルム1,10,20と同様に、凹凸部24及び凹凸部34から光学軸Aの方向を視認でき、さらにハンドリング性が良好である。
また、ナーリング加工部33は第一〜第三実施形態と同様にナーリング処理前の延伸フィルムに対して単にナーリング処理を施すだけで製造できるため、本実施形態に係る延伸フィルム30も簡単に製造できる。
さらに、本実施形態に係る延伸フィルム30は、第一〜第三実施形態に係る延伸フィルム1,10,20と同様の利点を有し、第一〜第三実施形態に係る延伸フィルム1,10,20と同様に変更して実施することができる。
また、ナーリング加工部33は第一〜第三実施形態と同様にナーリング処理前の延伸フィルムに対して単にナーリング処理を施すだけで製造できるため、本実施形態に係る延伸フィルム30も簡単に製造できる。
さらに、本実施形態に係る延伸フィルム30は、第一〜第三実施形態に係る延伸フィルム1,10,20と同様の利点を有し、第一〜第三実施形態に係る延伸フィルム1,10,20と同様に変更して実施することができる。
〔5.第五実施形態〕
本発明の延伸フィルムにおいて、幅方向端部に形成されるナーリング加工部は、その凹凸部のいずれもが光学軸の方向を表す必要は無く、少なくとも一部の凹凸部によって延伸フィルムの光学軸の方向が表されていればよい。例えば、凹凸部の形状及び位置は以下に説明する第五実施形態のようにすることもできる。
本発明の延伸フィルムにおいて、幅方向端部に形成されるナーリング加工部は、その凹凸部のいずれもが光学軸の方向を表す必要は無く、少なくとも一部の凹凸部によって延伸フィルムの光学軸の方向が表されていればよい。例えば、凹凸部の形状及び位置は以下に説明する第五実施形態のようにすることもできる。
図7は本発明の第五実施形態に係る延伸フィルムの幅方向端部近傍を拡大して模式的に示す拡大平面図である。なお、第五実施形態に係る延伸フィルム40において、第一〜第四実施形態に係る延伸フィルム1,10,20,30と同様の要素は第一〜第四実施形態に係る延伸フィルム1,10,20,30と同様の符号で示す。
図7に示すように、本実施形態に係る延伸フィルム40の幅方向端部40Eにはナーリング加工部43が形成されている。このナーリング加工部43においては、点状の凹凸部34と、所定の方向に延びる長方形に近い六角形状の凹凸部44とが形成されている。六角形状の凹凸部44は、多数存在する凹凸部34の間に一定間隔で並んで形成されている。すなわち、多数の凹凸部34と一定間隔毎に形成された六角形状の凹凸部44とが混在して形成された帯状の部分として、ナーリング加工部43は形成されている。
点状の凹凸部34は延伸フィルム40のハンドリング性を改善する作用を発揮する。しかし、点状の凹凸部34はナーリング加工部43において一様に形成されているので、点状の凹凸部34を見ても延伸フィルム40の光学軸Aの方向を視認することはできない。
一方、六角形状の凹凸部44は、その長手方向が延伸フィルム40の光学軸Aの方向と平行に延びた形状となっており、この六角形状の長手方向が幅方向Xに対してなす角度と、光学軸Aが幅方向Xに対してなす角度θとが一致するようになっている。したがって、凹凸部44が光学軸Aの方向を表す方向指示部として機能するため、本実施形態では凹凸部44の平面形状を視認することで、延伸フィルム40を取り扱う者が光学軸Aの方向を視認できるようになっている。
これら以外の事項については、本実施形態に係る延伸フィルム40は、第一〜第四実施形態に係る延伸フィルム1,10,20,30と同様である。
一方、六角形状の凹凸部44は、その長手方向が延伸フィルム40の光学軸Aの方向と平行に延びた形状となっており、この六角形状の長手方向が幅方向Xに対してなす角度と、光学軸Aが幅方向Xに対してなす角度θとが一致するようになっている。したがって、凹凸部44が光学軸Aの方向を表す方向指示部として機能するため、本実施形態では凹凸部44の平面形状を視認することで、延伸フィルム40を取り扱う者が光学軸Aの方向を視認できるようになっている。
これら以外の事項については、本実施形態に係る延伸フィルム40は、第一〜第四実施形態に係る延伸フィルム1,10,20,30と同様である。
本発明の第五実施形態に係る延伸フィルム40は以上のように構成されているため、第一〜第四実施形態に係る延伸フィルム1,10,20,30と同様に、凹凸部44から光学軸Aの方向を視認でき、また凹凸部34,44によりハンドリング性が良好となる。また本実施形態では特に、延伸フィルム40のハンドリング性を高めやすいように形成した凹凸部34と、延伸フィルム40の光学軸Aの方向を視認しやすいように形成した凹凸部44とを組み合わせることで、用途に応じて好適な延伸フィルム40を構成することができる。
また、ナーリング加工部43は第一〜第四実施形態と同様にナーリング処理前の延伸フィルムに対して単にナーリング処理を施すだけで製造できるため、本実施形態に係る延伸フィルム40も簡単に製造できる。
さらに、本実施形態に係る延伸フィルム40は、第一〜第四実施形態に係る延伸フィルム1,10,20,30と同様の利点を有し、第一〜第四実施形態に係る延伸フィルム1,10,20,30と同様に変更して実施することができる。
また、ナーリング加工部43は第一〜第四実施形態と同様にナーリング処理前の延伸フィルムに対して単にナーリング処理を施すだけで製造できるため、本実施形態に係る延伸フィルム40も簡単に製造できる。
さらに、本実施形態に係る延伸フィルム40は、第一〜第四実施形態に係る延伸フィルム1,10,20,30と同様の利点を有し、第一〜第四実施形態に係る延伸フィルム1,10,20,30と同様に変更して実施することができる。
〔6.第六実施形態〕
本発明の延伸フィルムにおいて、幅方向端部に形成されるナーリング加工部は、凹凸部の形成されていない部分(すなわち、凹凸部が抜けている部分)によって延伸フィルムの光学軸の方向を表すようになっていてもよい。例えば、凹凸部の形状及び位置は以下に説明する第六実施形態のようにすることもできる。
本発明の延伸フィルムにおいて、幅方向端部に形成されるナーリング加工部は、凹凸部の形成されていない部分(すなわち、凹凸部が抜けている部分)によって延伸フィルムの光学軸の方向を表すようになっていてもよい。例えば、凹凸部の形状及び位置は以下に説明する第六実施形態のようにすることもできる。
図8は本発明の第六実施形態に係る延伸フィルムの幅方向端部近傍を拡大して模式的に示す拡大平面図である。なお、第六実施形態に係る延伸フィルム50において、第一〜第五実施形態に係る延伸フィルム1,10,20,30,40と同様の要素は第一〜第五実施形態に係る延伸フィルム1,10,20,30,40と同様の符号で示す。
図8に示すように、本実施形態に係る延伸フィルム50の幅方向端部50Eにはナーリング加工部53が形成されている。このナーリング加工部53においては、凹凸抜き部分(平坦部)54以外の位置に一様に点状の凹凸部34が形成されている。すなわち、凹凸抜き部分54以外の位置に多数の凹凸部34が形成された帯状の部分として、ナーリング加工部53は形成されている。
点状の凹凸部34は延伸フィルム50のハンドリング性を改善する作用を発揮する。
また、凹凸抜き部分54は、その長手方向が延伸フィルム50の光学軸Aの方向と平行に延びる部分となっており、この凹凸抜き部分54の長手方向が幅方向Xに対してなす角度と、光学軸Aが幅方向Xに対してなす角度θとが一致するようになっている。また、凹凸抜き部分54は隣接する凹凸部34間の空隙部分としての周辺部に当たり、凹凸部34を見た者は前記の凹凸抜き部分54の長手方向を認識できるようになっている。したがって、凹凸抜き部54が光学軸Aの方向を表す方向指示部として機能するため、本実施形態では、凹凸部34を視認することで、延伸フィルム50を取り扱う者が凹凸抜き部54の長手方向を認識して、光学軸Aの方向を視認できるようになっている。
これら以外の事項については、本実施形態に係る延伸フィルム50は、第一〜第五実施形態に係る延伸フィルム1,10,20,30,40と同様である。
また、凹凸抜き部分54は、その長手方向が延伸フィルム50の光学軸Aの方向と平行に延びる部分となっており、この凹凸抜き部分54の長手方向が幅方向Xに対してなす角度と、光学軸Aが幅方向Xに対してなす角度θとが一致するようになっている。また、凹凸抜き部分54は隣接する凹凸部34間の空隙部分としての周辺部に当たり、凹凸部34を見た者は前記の凹凸抜き部分54の長手方向を認識できるようになっている。したがって、凹凸抜き部54が光学軸Aの方向を表す方向指示部として機能するため、本実施形態では、凹凸部34を視認することで、延伸フィルム50を取り扱う者が凹凸抜き部54の長手方向を認識して、光学軸Aの方向を視認できるようになっている。
これら以外の事項については、本実施形態に係る延伸フィルム50は、第一〜第五実施形態に係る延伸フィルム1,10,20,30,40と同様である。
本発明の第六実施形態に係る延伸フィルム50は以上のように構成されているため、第一〜第五実施形態に係る延伸フィルム1,10,20,30,40と同様に、凹凸部34から光学軸Aの方向を視認でき、ハンドリング性が良好となる。
また、ナーリング加工部53は第一〜第五実施形態と同様にナーリング処理前の延伸フィルムに対して単にナーリング処理を施すだけで製造できるため、本実施形態に係る延伸フィルム50も簡単に製造できる。
さらに、本実施形態に係る延伸フィルム50は、第一〜第五実施形態に係る延伸フィルム1,10,20,30,40と同様の利点を有し、第一〜第五実施形態に係る延伸フィルム1,10,20,30,40と同様に変更して実施することができる。
また、ナーリング加工部53は第一〜第五実施形態と同様にナーリング処理前の延伸フィルムに対して単にナーリング処理を施すだけで製造できるため、本実施形態に係る延伸フィルム50も簡単に製造できる。
さらに、本実施形態に係る延伸フィルム50は、第一〜第五実施形態に係る延伸フィルム1,10,20,30,40と同様の利点を有し、第一〜第五実施形態に係る延伸フィルム1,10,20,30,40と同様に変更して実施することができる。
〔7.その他〕
前記各実施形態では、光学軸Aの方向を示す手段として、光学軸Aに沿って延びる線分状や矢印状のもの;前記矢印状のものと数字等の記号を併用したもの;点状の凹凸部が一定の方向に沿って列状に並んだものと、数字、略六角形状の凹凸部、および略六角形状の平坦部分のいずれかとの組み合わせ;を挙げたが、これに限らず、光学軸Aの方向を簡単に把握できるのであれば、光学軸Aの方向を示す手段はこのような態様には限定されない。例えば、予め光学軸Aの角度が判明している場合には、数字等の記号のみからなる凹凸部等を設けて、その記号を当該記号として認識できる方向を当該延伸フィルムの表面等と決めておくこと等により、光学軸Aの向きを誤りなく把握できる。また、前記第三実施形態または第四実施形態において、数値等の記号を光学軸Aに沿った方向に配置する態様としてもよく、この場合には矢印や列等を省略することができる。
また、上述した実施形態の構成は、いずれも、他の実施形態の構成と任意に組み合わせて実施することもできる。
前記各実施形態では、光学軸Aの方向を示す手段として、光学軸Aに沿って延びる線分状や矢印状のもの;前記矢印状のものと数字等の記号を併用したもの;点状の凹凸部が一定の方向に沿って列状に並んだものと、数字、略六角形状の凹凸部、および略六角形状の平坦部分のいずれかとの組み合わせ;を挙げたが、これに限らず、光学軸Aの方向を簡単に把握できるのであれば、光学軸Aの方向を示す手段はこのような態様には限定されない。例えば、予め光学軸Aの角度が判明している場合には、数字等の記号のみからなる凹凸部等を設けて、その記号を当該記号として認識できる方向を当該延伸フィルムの表面等と決めておくこと等により、光学軸Aの向きを誤りなく把握できる。また、前記第三実施形態または第四実施形態において、数値等の記号を光学軸Aに沿った方向に配置する態様としてもよく、この場合には矢印や列等を省略することができる。
また、上述した実施形態の構成は、いずれも、他の実施形態の構成と任意に組み合わせて実施することもできる。
本発明の延伸フィルムは光学軸を有するフィルムであり、通常は光学フィルムとして使用できる。特に、本発明の延伸フィルムは光学軸の方向を視認できることから、光学軸の方向を調整しながら他の光学要素と組み合わせて用いる用途に適している。
例えば、2枚以上の光学フィルムを張り合わせた積層フィルムを構成する光学フィルムとして、本発明の延伸フィルムは好適である。通常、これらの積層フィルムはロールtoロールで積層され、その後、枚葉にカットされる。この際、カットしたフィルムにナーリング加工部が残存している場合には、カット後のフィルムにおいても表裏間違いを防ぐ等の利点が得られる。
また、例えば液晶表示装置のように、複数の光学要素をその光学軸の角度を調整しながら組み合わせて構成される装置の光学要素としても、本発明の延伸フィルムは好適である。
例えば、2枚以上の光学フィルムを張り合わせた積層フィルムを構成する光学フィルムとして、本発明の延伸フィルムは好適である。通常、これらの積層フィルムはロールtoロールで積層され、その後、枚葉にカットされる。この際、カットしたフィルムにナーリング加工部が残存している場合には、カット後のフィルムにおいても表裏間違いを防ぐ等の利点が得られる。
また、例えば液晶表示装置のように、複数の光学要素をその光学軸の角度を調整しながら組み合わせて構成される装置の光学要素としても、本発明の延伸フィルムは好適である。
本発明に係る延伸フィルムは光学フィルムとして有用であり、特に、他のフィルムと組み合わせて用いる光学フィルムに用いて好適である。
1,10,20,30,40,50 延伸フィルム
1E,10E,20E,30E,40E,50E 延伸フィルムの幅方向端部
1e 延伸フィルムの縁
1R 延伸フィルムの巻回体
2 巻芯
3,13,23,33,43,53 ナーリング加工部
4,14,24,34,44 凹凸部
5,35 凹凸部の列
6 周辺部
14L 凹凸部14の線状部分
14H 凹凸部14の鏃部分
54 凹凸抜き部分
X 延伸フィルムの幅方向
Y 延伸フィルムの長さ方向
A 光学軸
1E,10E,20E,30E,40E,50E 延伸フィルムの幅方向端部
1e 延伸フィルムの縁
1R 延伸フィルムの巻回体
2 巻芯
3,13,23,33,43,53 ナーリング加工部
4,14,24,34,44 凹凸部
5,35 凹凸部の列
6 周辺部
14L 凹凸部14の線状部分
14H 凹凸部14の鏃部分
54 凹凸抜き部分
X 延伸フィルムの幅方向
Y 延伸フィルムの長さ方向
A 光学軸
Claims (6)
- 幅方向に対して非平行且つ非直角の角度をなす光学軸を有する延伸フィルムであって、
その幅方向の少なくとも一方の端部には、ナーリング処理によって形成されたナーリング加工部が設けられ、
前記ナーリング加工部は、複数の凹凸部と、隣接する凹凸部間の間隙部分としての周辺部と、を備え、
前記凹凸部または前記周辺部は、前記光学軸の方向を表す方向指示部として機能する、延伸フィルム。 - 請求項1に記載の延伸フィルムにおいて、
前記ナーリング加工部は、その幅方向の両方の端部に設けられている延伸フィルム。 - 請求項1または2に記載の延伸フィルムにおいて、
前記方向指示部は、前記光学軸に沿って延びる線状に形成された部分により構成されている延伸フィルム。 - 請求項3に記載の延伸フィルムにおいて、
前記凹凸部は、前記光学軸に沿って延びる線状に形成された部分と、前記光学軸の角度を示す記号とを有し、
前記方向指示部は、前記線状に形成された部分により構成されている延伸フィルム。 - 請求項4に記載の延伸フィルムにおいて、
前記方向指示部は、前記光学軸の角度を示す記号により構成されている延伸フィルム。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の延伸フィルムにおいて、
前記凹凸部が前記方向指示部として機能する延伸フィルム。
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