JP2019150975A - 延伸フィルム及びその製造方法、並びに積層体の製造方法 - Google Patents

延伸フィルム及びその製造方法、並びに積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】視認性に優れ、かつ、後処理を行う際の不具合の発生を防止し製造適性を向上した、マーキング部を有する延伸フィルム及びその製造方法、及びマーキング部を有する延伸フィルムを用いた積層体の製造方法を提供する。【解決手段】マーキング部を有する延伸フィルムであって、前記マーキング部は、当該マーキング部の延長方向と前記延伸フィルムを構成する分子の配向方向とのなす角が±15°の線形状であり、前記マーキング部の、前記延伸フィルムの前記マーキング部の設けられた面とは反対側の面Aからの最大突出高さH1は、前記延伸フィルムの厚みT1以下であり、複屈折Δnが0.0010以上である、延伸フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、延伸フィルム及びその製造方法、並びに積層体の製造方法に関する。
樹脂フィルム等の製造においては、良好な品質の製品を製造するため、製造ラインにおいて、所定の基準を満たさない部分(以下、「基準外の部分」という)の検出が行われることがある。このようにして検出された基準外の部分には、識別が容易となるようにマーキングが施されうる(特許文献1)。
特開2001−305070号公報
基準外の部分にマーキングを施す方法としては種々の方法が検討されているが、例えば凹凸構造を形成することが考えられる。
マーキングを施した後のフィルムには、例えば、塗工層を形成する等の後処理を行うことがある。しかしながら、マーキング部の突出高さが高い場合等、マーキング部の構造によっては、マーキング部分と後処理を行うための装置との接触や、後処理後の樹脂フィルムの変形等の不具合が発生することがあった。特にマーキングが施されるフィルムが延伸されたフィルムの場合、マーキング部の形状や構造によっては、マーキング部の突出高さが高くなることがあり、上記不具合の発生が懸念される。一方、マーキングの条件を変更することによりそのような突出高さを小さくした場合、マーキングの視認性が低下することがある。
従って、本発明の目的は、視認性に優れ、かつ、後処理を行う際の不具合の発生を防止し製造適性を向上した、マーキング部を有する延伸フィルム及びその製造方法、及びマーキング部を有する延伸フィルムを用いた積層体の製造方法を提供することにある。
本発明者は、前記の課題を解決するべく検討した結果、所定の構造のマーキング部を有し、かつ、Δnを所定範囲とすることにより、視認性に優れ、かつ、後処理を行う際の不具合の発生を防止し製造適性を向上した延伸フィルムを実現できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のとおりである。
〔1〕 マーキング部を有する延伸フィルムであって、
前記マーキング部は、当該マーキング部の延長方向と、前記延伸フィルムを構成する分子の配向方向とのなす角が±15°の線形状であり、
前記マーキング部の、前記延伸フィルムの前記マーキング部の設けられた面とは反対側の面Aからの最大突出高さH1は、前記延伸フィルムの厚みT1以下であり、
複屈折Δnが0.0010以上である、延伸フィルム。
〔2〕 前記延伸フィルムは、塗工液を塗工する工程または他の部材と貼合する工程に用いられる、〔1〕に記載の延伸フィルム。
〔3〕 前記延伸フィルムの厚みT1に対する、前記最大突出高さH1の比(H1/T1)が0.4以下である、〔1〕または〔2〕に記載の延伸フィルム。
〔4〕 前記延伸フィルムは樹脂からなり、前記樹脂は脂環式構造含有重合体を含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の延伸フィルム。
〔5〕 マーキング部を有する延伸フィルムの製造方法であって、
基材フィルムを延伸することにより、当該基材フィルムを構成する分子を配向させた延伸フィルムを得る工程1と、
前記延伸フィルムに、マーキング部を形成して、マーキング部を有する延伸フィルムを得る工程2と、を含み、
前記マーキング部は、当該マーキング部の延長方向と、前記分子の配向方向とのなす角が±15°の線形状であり、前記マーキング部の、前記延伸フィルムの前記マーキング部の設けられた面とは反対側の面Aからの最大突出高さH1は、前記延伸フィルムの厚みT1以下であり、
前記マーキング部を有する延伸フィルムの複屈折Δnが0.0010以上である、延伸フィルムの製造方法。
〔6〕 前記基材フィルムを延伸する方法は、縦延伸、横延伸、斜め延伸及びこれらの組み合わせから選ばれる、〔5〕に記載の延伸フィルムの製造方法。
〔7〕 延伸フィルムと、塗工層または他の部材と、を含む積層体を製造する方法であって、
〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の延伸フィルム、または、〔5〕又は〔6〕に記載の製造方法により得られた延伸フィルム上に、塗工液を塗工する工程3、もしくは、当該延伸フィルムと他の部材とを貼合する工程4を含む、積層体の製造方法。
本発明によれば、視認性に優れ、かつ、後処理を行う際の不具合の発生を防止し製造適性を向上した、マーキング部を有する延伸フィルム及びその製造方法、及びマーキング部を有する延伸フィルムを用いた積層体の製造方法を提供することができる。
図1は、実施形態1に係るマーキング部を有する延伸フィルムの一部平面図である。 図2は、図1の10P部分を示す斜視図である。 図3は、実施形態1に係るマーキング部を有する延伸フィルムの断面を模式的に示した一部断面図である。 図4は、実施形態2に係るマーキング部を有する延伸フィルムの一部平面図である。 図5は、実施形態2に係るマーキング部を有する延伸フィルムの断面を模式的に示した一部断面図である。 図6は、実施形態3に係るマーキング部を有する延伸フィルムの製造方法で用いる装置を模式的に示した側面図である。 図7は、実施形態3に係るマーキング部を有する延伸フィルムの製造方法で用いる装置を模式的に示した側面図である。 図8は、延伸工程で用いる装置を模式的に示した側面図である。 図9は、実施形態3の変形例1に係るマーキング部を有する延伸フィルムの製造方法で用いる装置を模式的に示した側面図である。 図10は、延伸工程で用いる装置を模式的に示した平面図である。 図11は、比較例2の、マーキング部を有する延伸フィルムの一部を模式的に示した部分平面図である。
以下、実施形態及び例示物を示して本発明について詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、「長尺」のフィルムとは、幅に対して、5倍以上の長さを有するフィルムをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムをいう。長尺のフィルムの長さの上限は、特に制限は無く、例えば、幅に対して10万倍以下としうる。
本願において、フィルムのMD方向とは、製造装置又は裁断装置において搬送される長尺のフィルム及びそれが切断されて得られる裁断後のフィルムが搬送される方向であり、TD方向とは、MD方向に対して垂直で、フィルムの面に平行な方向である。MD方向は、製造装置等において搬送される長尺状のフィルム及び裁断後のフィルムの長手方向と一致し、TD方向は、製造装置又は裁断装置において搬送される長尺状のフィルム及び裁断後のフィルムの幅方向と一致する。
縦延伸とは、別に断らない限り、基材フィルム(延伸前フィルム)を、フィルムの長手方向に延伸することを表し、横延伸とは、別に断らない限り、基材フィルムをフィルムの幅方向に延伸することを表す。斜め延伸とは、別に断らない限り、基材フィルムを斜め方向に延伸することを表す。フィルムの斜め方向とは、別に断らない限り、そのフィルムの面内方向であって、そのフィルムの幅手方向に平行でもなく垂直でもない方向を示す。
[1.マーキング部を有する延伸フィルム]
以下本発明のマーキング部を有する延伸フィルムを具体化した実施形態1および2のマーキング部を有する延伸フィルムについて図1〜図5を参照しつつ説明する。
図1は、実施形態1に係る本発明のマーキング部を有する延伸フィルムの一部平面図であり、図2は、図1の10P部分を示す斜視図であり、図3は、図1のマーキング部を有する延伸フィルムの断面を模式的に示した一部断面図である。図4は、実施形態2に係る本発明のマーキング部を有する延伸フィルムの一部平面図であり、図5は、図4のマーキング部を有する延伸フィルムの断面を模式的に示した一部断面図である。
まず、実施形態1のマーキング部を有する延伸フィルム10について説明する。
[実施形態1:マーキング部を有する延伸フィルム10]
本実施形態のマーキング部を有する延伸フィルム10は、フィルム長手方向に一軸延伸された延伸フィルムにマーキング部を設けた態様である。本実施形態のマーキング部を有する延伸フィルム10は、図1に示すように、上面視、直線形状のマーキング部11を有する。マーキング部11は延伸フィルムの上面10Uに設けられている。
図1および図2においてA1は延伸フィルムを構成する分子の配向方向であり、図2においてθ1はマーキング部11の延長方向と、延伸フィルムを構成する分子の配向方向A1とのなす角である。本実施形態においてA1は、フィルム長手方向である。延伸フィルムを構成する樹脂が正の固有複屈折の樹脂である場合、分子の配向方向は遅相軸方向(延伸方向)である。延伸フィルムを構成する樹脂が負の固有複屈折の樹脂である場合、分子の配向方向は進相軸方向である。
マーキング部11は、延伸フィルムのマーキング部の設けられた面10Uに対しては内側(厚み方向)に凹んだ形状(図示せず)であるが、延伸フィルムのマーキング部の設けられた面10Uとは反対側の面A(図3に示す10L)では、外側方向に突出しうる。図3において11Aおよび11Bは、延伸フィルムの下側面10L(面A)から突出する突部である。図3において、H1aは突部11Aの延伸フィルムの下側面10Lからの突出高さであり、H1bは突部11Bの延伸フィルムの下側面10Lからの突出高さである。H1aは、H1bよりも高いので、図3に示す延伸フィルム10においては、マーキング部の、延伸フィルムのマーキング部が設けられた面とは反対側の面Aからの最大突出高さH1は、H1aである。
本発明において、マーキング部11の延長方向と、延伸フィルムを構成する分子の配向方向A1とのなす角θ1は±15°であり、好ましくは±10°、より好ましくは±5°、理想的には0°である。線形状のマーキング部と、延伸フィルムを構成する分子の配向方向とのなす角が±15°であることにより、マーキング部の、延伸フィルムのマーキング部が設けられた面とは反対側の面Aからの最大突出高さH1を低くすることができる。マーキング部の延長方向とは、マーキング部の長手方向を、延伸フィルム表面に投影した方向である。マーキング部の形状は、実施形態1のマーキング部11のように、折れ及び曲がりの無い直線形状であることが好ましい。ただし、マーキング部に折れや曲がりがあり、1個のマーキング部が2以上の直線及び/又は1以上の曲線を含む場合であっても、マーキング部全体において、かかる直線及び/曲線の方向と、分子の配向方向とのなす角が±15°の範囲内である場合、本発明の好ましい効果を得うる。
マーキング部を有する延伸フィルム10の厚みT1は、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。厚みT1を上限値以下とすることにより、延伸フィルムを用いた装置を薄型化することができ、厚みT1を下限値以上とすることによりフィルムの搬送性を向上することができる。
マーキング部を有する延伸フィルム10の厚みT1に対する、最大突出高さH1の比(H1/T1)は、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.2以下、さらに好ましくは0.1以下であり、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.03以上、さらに好ましくは0.05以上である。H1/T1を上限値以下とすることにより、後処理を行う際の不具合の発生を防止することができ、H1/T1を下限値以上とすることによりマーキング部の視認性を高めることができる。H1/T1比は、マーキング部形成装置の出力等を調整することにより制御しうる。
本発明において、マーキング部を有する延伸フィルム10の複屈折Δnは0.0010以上である。Δnは好ましくは0.0020以上、より好ましくは0.0030以上であり、好ましくは0.10以下である。Δnを0.0010以上とすることにより、延伸フィルムを異方性フィルムとし、マーキング部を有する延伸フィルムの厚みT1に対する、最大突出高さH1の比(H1/T1)を好ましい範囲に効率的に制御することができる。
複屈折Δnは、Δn=nx−nyで表される値である。ここで、nxは、フィルムの厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、フィルムの前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表す。Δnの測定は、AXOMETRICS社製エリプソメーター「AxoScan」を用いて、波長590nmで行いうる。
[実施形態2:マーキング部を有する延伸フィルム20]
次に実施形態2のマーキング部を有する延伸フィルム20について説明する。本実施形態のマーキング部を有する延伸フィルム20は、フィルム幅方向に一軸延伸された延伸フィルムにマーキング部を設けた態様である。実施形態2のマーキング部を有する延伸フィルム20は、延伸フィルムを構成する分子の配向方向A2が、実施形態1とは相違する。以下において、実施形態1と同様の構成については、説明を省略する。
図4に示すように、本実施形態のマーキング部を有する延伸フィルム20は上面視、直線形状のマーキング部21を有する。マーキング部21は延伸フィルムの上面20Uに設けられている。
図4においてA2は延伸フィルムを構成する分子の配向方向である。本実施形態においてA2は、フィルムの幅方向である点で実施形態1と相違する。図4においてθ2はマーキング部21の延長方向と、延伸フィルムを構成する分子の配向方向A2とのなす角である。角θ2は±15°であり、θ2の好ましい範囲はθ1と同様である。
マーキング部21は、延伸フィルムのマーキング部の設けられた面20Uとは反対側の面A(図5に示す20L)では、外側方向に突出しうる。図5において21Aおよび21Bは、延伸フィルムの下側面20L(面A)から突出する突部である。図5において、H1cは突部21Aの延伸フィルムの下側面20Lからの突出高さであり、H1dは突部21Bの延伸フィルムの下側面20Lからの突出高さである。H1cは、H1dよりも高いので、図5に示す延伸フィルム20においては、マーキング部の、延伸フィルムのマーキング部が設けられた面とは反対側の面Aからの最大突出高さH1は、H1cである。
[2.マーキング部を有する延伸フィルムの材料]
本発明のマーキング部を有する延伸フィルムは、樹脂からなる。樹脂は重合体を含む。当該重合体としては、脂環式構造含有重合体、セルロースエステル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、エポキシ重合体、ポリスチレン、アクリル重合体、メタクリル重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの中でも、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性の観点から、脂環式構造含有重合体が好ましい。脂環式構造含有重合体は固有複屈折が正の重合体であり、脂環式構造含有重合体を含む樹脂は固有複屈折が正の樹脂である。
脂環式構造含有重合体は、繰り返し単位中に脂環式構造を有する非晶性の重合体であり、主鎖中に脂環式構造を含有する重合体及び側鎖に脂環式構造を含有する重合体のいずれも用いることができる。
脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。
1つの脂環式構造の繰り返し単位を構成する炭素数に特に制限はないが、通常4個〜30個、好ましくは5個〜20個、より好ましくは6個〜15個である。
脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は使用目的に応じて適宜選択されるが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位をこのように多くすることで、基材フィルムの耐熱性を高めることができる。
脂環式構造含有重合体は、具体的には、(1)ノルボルネン重合体、(2)単環の環状オレフィン重合体、(3)環状共役ジエン重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、透明性及び成形性の観点から、ノルボルネン重合体及びこれらの水素添加物がより好ましい。
ノルボルネン重合体としては、例えば、ノルボルネンモノマーの開環重合体、ノルボルネンモノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素添加物;ノルボルネンモノマーの付加重合体、ノルボルネンモノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネンモノマーの開環重合体水素添加物が特に好ましい。
上記の脂環式構造含有重合体は、例えば特開2002−321302号公報に開示されている重合体から選ばれる。
脂環式構造含有重合体は、そのガラス転移温度が、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃〜250℃である。ガラス転移温度がこのような範囲にある脂環式構造含有重合体は、高温下での使用における変形及び応力が生じ難く、耐久性に優れる。
脂環式構造含有重合体の分子量は、溶媒としてシクロヘキサン(樹脂が溶解しない場合にはトルエン)を用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略す。)で測定したポリイソプレン換算(溶媒がトルエンのときは、ポリスチレン換算)の重量平均分子量(Mw)で、通常10,000〜100,000、好ましくは25,000〜80,000、より好ましくは25,000〜50,000である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、基材フィルムの機械的強度及び成形加工性が高度にバランスされる。
脂環式構造含有重合体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、通常1〜10、好ましくは1〜4、より好ましくは1.2〜3.5である。
脂環式構造含有重合体を含む樹脂は、その分子量2,000以下の樹脂成分(すなわち、オリゴマー成分)の含有量が、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下である。オリゴマー成分の量が前記範囲内にあると、表面における微細な凸部の発生が減少し、厚みのバラツキが小さくなり面精度が向上する。オリゴマー成分の量の低減は、重合触媒及び水素化触媒の選択;重合、水素化等の反応条件;樹脂を成形用材料としてペレット化する工程における温度条件;などの条件を適切に設定することにより、行いうる。
オリゴマーの成分量は、前述のGPCによって測定することができる。
基材フィルムの材質として脂環式構造含有重合体を含む樹脂を用いた場合の、基材フィルムの厚みは特に制限されないが、生産性の向上、薄型化及び軽量化を容易にする観点から、その厚みは、通常1μm〜1000μm、好ましくは5μm〜300μm、より好ましくは30μm〜100μmである。
脂環式構造含有重合体を含む樹脂は、脂環式構造含有重合体のみからなってもよいが、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の配合剤を含んでもよい。脂環式構造含有重合体を含む樹脂中の、脂環式構造含有重合体の割合は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。
脂環式構造含有重合体を含む樹脂の好適な具体例としては、日本ゼオン社製「ゼオノア」を挙げうる。
延伸フィルムを構成する樹脂は、上述の重合体に加えて、任意の成分を含みうる。任意の成分としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系光安定剤等の光安定剤;石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリアルキレンワックス等のワックス;ソルビトール系化合物、有機リン酸の金属塩、有機カルボン酸の金属塩、カオリン及びタルク等の核剤;ジアミノスチルベン誘導体、クマリン誘導体、アゾール系誘導体(例えば、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、及びベンゾチアソール誘導体)、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、ナフタル酸誘導体、及びイミダゾロン誘導体等の蛍光増白剤;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;タルク、シリカ、炭酸カルシウム、ガラス繊維等の無機充填材;着色剤;難燃剤;難燃助剤;帯電防止剤;可塑剤;近赤外線吸収剤;滑剤;フィラー、及び、軟質重合体等の、結晶性を有する脂環式構造含有重合体以外の任意の重合体;などが挙げられる。また、任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
[3.マーキング部を有する延伸フィルムの用途]
本発明のマーキング部を有する延伸フィルムは、塗工液を塗工する工程、又は他の部材と貼合する工程に用いることができる。これらの工程については積層体の製造方法において説明する。
本発明のマーキング部を有する延伸フィルムは、巻き取ってフィルムロールとしうる。本発明のマーキング部を有する延伸フィルムはフィルムロールの状態で保存、運搬、取引等のハンドリングを行うことができる。本発明のマーキング部を有する延伸フィルムは、広範な長途に用いることができ、中でも、光学フィルムとして用いることが好ましい。光学フィルムの具体例としては、位相差フィルム、偏光板保護フィルム、光学補償フィルム、などが挙げられる。本発明のマーキング部を有する延伸フィルムを光学フィルム等として用いる際には、マーキング部を検出して除去して用いることにより基準外の部分の使用を回避することができる。
マーキング部の検出は、例えば、インラインモニタリングシステム(メック社製、LSC-6000)を用いることにより行い得る。
[4.マーキング部を有する延伸フィルムの製造方法]
本発明のマーキング部を有する延伸フィルムの製造方法は、基材フィルムを延伸することにより、当該基材フィルムを構成する分子を配向させた延伸フィルムを得る工程1と、延伸フィルムに、マーキング部を形成して、マーキング部を有する延伸フィルムを得る工程2と、を含む。
以下本発明のマーキング部を有する延伸フィルムの製造方法を具体化した実施形態3および変形例1のマーキング部を有する延伸フィルムの製造方法について、図6〜10を参照しつつ、説明する。
図6は、実施形態3に係るマーキング部を有する延伸フィルムの製造方法で用いる装置を模式的に示した側面図である。図7は、実施形態3に係るマーキング部を有する延伸フィルムの製造方法で用いる装置を模式的に示した側面図である。図8は、延伸工程で用いる装置を模式的に示した側面図である。図9は、実施形態3の変形例1で用いる装置を模式的に示した側面図である。図10は、延伸工程で用いる装置を模式的に示した平面図である。
[実施形態3:マーキング部を有する延伸フィルムの製造方法]
[基材フィルムの製造方法]
基材フィルムは、基材フィルムを構成する樹脂を、任意の成形方法により成形することにより行いうる。成形方法の例としては、射出成形法、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法、注型成形法、及び圧縮成形法が挙げられる。これらの中でも、厚みの制御が容易であることから、溶融押出成形法が好ましい。以下溶融押し出し成形法について説明する。
図6に示すように、溶融状態の樹脂をフィルム成形装置101からフィルム状に押し出し、第1の冷却ロール102a、第2の冷却ロール102b及び第3の冷却ロール102cで順次冷却することにより、基材フィルム1を得る。3つの冷却ロールにより冷却された基材フィルム1は搬送ロール103によりA11で示す方向に搬送される。搬送された基材フィルム1は、押圧ロール104,104で押圧されることにより、保護フィルム105と貼合された後、巻き取られフィルムロール106が得られる。
溶融押出成形法によって基材フィルムを製造する場合、押出成形の条件は、好ましくは下記の通りである。シリンダー温度(溶融樹脂温度)は、好ましくはTm以上又はTg以上、より好ましくはTm+50℃以上又はTg+50℃以上であり、好ましくはTm+200℃以下又はTg+200℃以下、より好ましくはTm+100℃以下又はTg+100℃以下である。また、キャストロール温度は、好ましくはTg−30℃以上であり、好ましくはTg以下、より好ましくはTg−15℃以下である。このような条件で基材フィルムを製造することにより、好ましい厚みの基材フィルムを容易に製造できる。ここで、「Tm」は基材フィルムの材料となる樹脂の融点を表し、「Tg」は基材フィルムの材料となる樹脂のガラス転移温度を表す。
基材フィルムの材料となる樹脂としては、上述のマーキング部を有する延伸フィルムの材料で説明した材料を用いることができる。
保護フィルム105としては、特に限定はないが、樹脂フィルムが挙げられる。ロールトゥロール法によって効率的に製造できるという観点から、長尺の樹脂フィルムが好ましい。保護フィルム105を構成する樹脂としては、例えば、脂環式構造含有重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン等の重合体を含む樹脂が挙げられる。また、このような樹脂フィルムとしては、例えば、表面に適切な離型剤による離型処理が施されたフィルムを用いてもよい。
[延伸フィルムの製造:工程1]
工程1は、上記基材フィルムの製造方法により得られた基材フィルムを延伸することにより、当該基材フィルムを構成する分子を配向させた延伸フィルムを得る工程である。
本実施形態では、図7に示すように、フィルムロール106から保護フィルム105を巻き取った後、基材フィルム1は搬送ロール107により延伸装置110に搬送される。
基材フィルムの延伸温度は、好ましくはTg−5℃以上、より好ましくはTg℃以上であり、好ましくはTg+20℃以下、より好ましくはTg+15℃以下である。延伸温度を下限値以上とすることにより、延伸時の破断を抑制することができ、上限値以下とすることにより延伸による複屈折の発現性を効率的に行うことができる。
延伸倍率は、好ましくは1.2倍以上、より好ましくは1.5倍以上であり、好ましくは5.5倍以下、より好ましくは5.0倍以下である。延伸倍率を下限値以上とすることにより、延伸による複屈折の発現性を効率的に行うことができ、上限値以下とすることにより、延伸時の破断の抑制、延伸時の搬送における蛇行等の不具合を抑制することができる。
基材フィルムの延伸方法としては、特に限定はないが、縦延伸、横延伸、斜め延伸、及びこれらの組み合わせから選ばれる方法を採りうる。延伸装置については延伸方法により適宜選択されうる。
図8に示す縦延伸を行う延伸装置について説明する。図8は縦延伸に用いる延伸装置(ロール延伸機)110の概要を模式的に示す図である。図8に示すように、ロール延伸機110は、第一ロールである調整ロール112と、第二ロールである調整ロール114と、一対のテンションロール111及び115と、ヒーター113とを備える。テンションロール111、調整ロール112、調整ロール114及びテンションロール115は上流側からこの順に設けられていて、ロール延伸機110に供給された基材フィルム1はこの順に搬送されるようになっている。
調整ロール112及び114は、それぞれ周方向に回転可能に設けられている。また、調整ロール112及び114は図示しない駆動手段によって回転駆動され、進行方向に基材フィルム1を搬送しうるようになっている。また、上流の調整ロール112の周速よりも、下流の調整ロール114の周速の方が速く設定されている。このため、調整ロール112と調整ロール114との間には周速差があり、この周速差によって基材フィルム1が進行方向に連続的に延伸されうるようになっている。また、前記の周速差を調整することにより、基材フィルム1の延伸倍率を調整しうるようになっている。
テンションロール111及び115は、基材フィルム1を厚み方向の一方(ここでは、図中上方)から押さえつけうるロールであり、周方向に回転可能に設けられている。ロール延伸機110では、これらのテンションロール111及び115が基材フィルム1を押さえつけることにより、基材フィルム1を調整ロール112及び114へと所定の圧力で圧接させうるようになっている。このため、調整ロール112及び114の回転力が基材フィルム1に効率よく伝わり、基材フィルム1を安定して延伸しうるようになっている。
ヒーター113は、調整ロール112及び調整ロール114の間の位置において延伸される基材フィルム1を加熱しうる装置である。ヒーター113によって基材フィルム1の延伸温度を調整しうる。
図10に示す横延伸を行う延伸装置について説明する。図10は縦延伸に用いる延伸装置(テンター延伸機)210の概要を模式的に示す平面図である。
テンター延伸機210は、基材フィルム1の幅方向の両端部1A及び1Bを把持しうる複数の把持子211及び212を備え、把持子211及び212により基材フィルム1を引っ張って、基材フィルム1を延伸しうる装置である。
テンター延伸機210は、把持子211及び212を案内しうるガイドレール213,214を、基材フィルム1の長手方向の左右両脇に対に備える。把持子211及び212は移動可能になっていて、適切な任意の機構によって駆動されることにより、ガイドレール213及び214に沿って移動し、矢印A22に示される方向に周回しうるようになっている。
テンター延伸機210には、基材フィルム1が上流(図10おける左側)から連続的に供給され、テンター延伸機210内を通過しうるようになっている。テンター延伸機210内を基材フィルム1が通過する際、把持子211及び212は、適切な任意の機構により、テンター延伸機210の入り口近傍の区間において基材フィルム1の幅方向の両端部1A及び1Bを把持し、その把持した状態を維持したままでガイドレール213及び214に沿って移動し、テンター延伸機210の出口近傍の区間において放せるようになっている。
ガイドレール213及び214は、入り口近傍の区間から出口近傍の区間へと進むに従って、左右両脇のガイドレール213及び214間の距離が次第に大きくなるようになっている。このため、把持子211及び把持子212との幅方向の間隔は、基材フィルム1の進行方向への移動に伴い、広くなるようになっている。したがって、テンター延伸機210では、前記のように把持子211及び212が基材フィルム1の幅方向の両端部1A,1Bを掴んだ状態でガイドレール213及び214に沿って移動することにより、把持子211及び212によって基材フィルム1を幅方向に引っ張って、基材フィルム1を延伸しうるようになっている。
また、テンター延伸機400は図示しないヒーターを備える。このヒーターにより、把持子410及び420によって把持された樹脂フィルム600を加熱しうるようになっている。これにより、テンター延伸機400では、樹脂フィルム600の延伸温度を調整しうるようになっている。
上記以外の延伸装置としては、特許第5327269号公報の図2に示す斜め延伸用のテンター延伸機、同公報の図1に示す同時二軸延伸用のテンター延伸機を用いうる。
[マーキング部を有する延伸フィルムの製造:工程2]
工程2は、延伸フィルムにマーキング部を形成してマーキング部を有する延伸フィルムを得る工程である。
実施形態3では、図7に示すように、延伸装置110により延伸されることで得られた延伸フィルム10は、搬送ロール122により、欠陥検出器120に搬送される。搬送された延伸フィルム10に基準外の部分がある場合、欠陥検出器120により当該基準外の部分が検出され、当該基準外の部分の位置情報がマーキング部形成装置121に伝達される。マーキング部形成装置121において、延伸フィルム10の基準外の部分にマーキング部が形成された後、マーキング部を有する延伸フィルムが得られる。マーキング部を有する延伸フィルムは搬送ロール123により搬送され、押圧ロール124により押圧されることにより保護フィルム125と貼合される。保護フィルム125と貼合されたマーキング部を有する延伸フィルムは、巻き取られてフィルムロール130とされる。フィルムロール130は塗工工程等の工程に供しうる。
欠陥検出器は、延伸フィルムにおける所定の基準の範囲外と判断される部分を検出することができる装置であれば、特に限定されない。膜厚の変動が所定値以上である部分を基準外の部分として検出する場合、膜厚測定機を欠陥検出器としうる。
マーキング部を形成する方法は、特に限定されず、いわゆるナール形成のための既知の方法を採用しうる。ナール形成のための方法としては、レーザーを用いて所定の構造を付与する方法、及びエンボスロールを用いて所定構造を付与する方法が挙げられる。
レーザーを用いたマーキング部形成方法では、延伸フィルムにおいて、検出された「基準外の部分」に、レーザーにより特定のパターンを描画する。レーザー照射により、フィルムの表面を部分的に加熱し、かかる加熱によりフィルムの表面を変形させることができ、その結果、特定のパターンを有するマーキング部を形成しうる。
エンボスロールを用いたマーキング部形成方法では、周面に特定のパターンの凸構造を有するエンボスロールを用意し、延伸フィルムにおいて、検出された「基準外の部分」に、当該エンボスロールの凸構造を転写し、それにより、特定のパターンを有するマーキング部を形成しうる。
マーキング部を形成する方法としては、塗工層の形成等の後処理を行った場合の視認性が良好で、H1/T1比を好適範囲に制御できるという観点から、レーザーを用いたマーキング部形成方法が好ましい。レーザーを用いたマーキング部形成方法では、レーザー出力を調整することにより、H1/T1比を制御しうる。
延伸フィルムにおけるマーキング部形成領域は、特に限定はないが、例えば、フィルム幅方向の端部より5%以下の領域に設けうることが好ましい。
本発明の製造方法により得られるマーキング部を有する延伸フィルムにおいて、マーキング部は、マーキング部の延長方向と分子の配向方向とのなす角が±15°の線形状であり、マーキング部の、延伸フィルムのマーキング部の設けられた面とは反対側の面Aからの最大突出高さH1は、延伸フィルムの厚みT1以下であり、マーキング部を有する延伸フィルムの複屈折Δnが0.0010以上である。その結果、本発明の製造方法によれば、視認性に優れ、かつ、塗工工程などの後処理を行う際に、延伸フィルムと後処理で使用する装置との接触の発生等の不具合を防止することができ、製造適性を向上した、マーキング部を有する延伸フィルムを提供し得る。
[変形例1]
以下、実施形態3の製造方法の変形例1について図9を参照しつつ、説明する。本変形例では、実施形態3の製造方法における、基材フィルム1を保護フィルムと貼合して巻き取る工程を省略している。
変形例1のマーキング部を有する延伸フィルムの製造方法について説明する。溶融状態の樹脂をフィルム成形装置201からフィルム状に押し出し、第1の冷却ロール202a、第2の冷却ロール202b及び第3の冷却ロール202cで順次冷却することにより、基材フィルム1を得る。基材フィルム1を搬送ロール203,204で搬送し延伸装置210で延伸して延伸フィルム20を得る。
延伸フィルム20を搬送ロール222により欠陥検出器220に搬送する。搬送された延伸フィルム20に基準外の部分がある場合、欠陥検出器220により当該基準外の部分が検出され、当該基準外の部分の位置情報がマーキング形成装置221に伝達される。マーキング形成装置221において、延伸フィルム20の基準外の部分にマーキング部が形成された後、マーキング部を有する延伸フィルムが得られる。マーキング部を有する延伸フィルムは搬送ロール223により搬送され、押圧ロール224により押圧されることにより保護フィルム225と貼合される。保護フィルム225と貼合されたマーキング部を有する延伸フィルムは、巻き取られてフィルムロール230とされる。フィルムロール230は塗工工程等の工程に供しうる。
[5.積層体の製造方法]
本発明の積層体の製造方法について説明する。
本発明の積層体の製造方法は、本発明の製造方法により得られたマーキング部を有する延伸フィルム上に、塗工液を塗工する工程3または、延伸フィルムと他の部材とを貼合する工程4とを含む。
[塗工液を塗工する工程:工程3]
工程3はマーキング部を有する延伸フィルム上に、塗工液を塗工する工程である。
工程3で用いる塗工液は、例えば、高い硬度を有するハードコート層を形成する塗工液、易接着層を形成する塗工液等を用いうる。
塗工方法は任意であり、例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ギャップコーティング法、及びディッピング法が挙げられる。
[延伸フィルムと他の部材とを貼合する工程:工程4]
工程4はマーキング部を有する延伸フィルムと他の部材とを貼合する工程である。他の部材としては、例えば、偏光子等が挙げられる。
工程3または工程4を行うことにより、延伸フィルムと、塗工層または他の部材とを含む積層体が得られる。積層体はそのままの状態か、または、次の工程に供してもよい。積層体に含まれる延伸フィルムのマーキング部の検出はマーキング部を有する延伸フィルムの用途で、説明したように、例えば、インラインモニタリングシステム(メック社製、LSC-6000)を用いることにより行い得る。
[他の実施形態]
実施形態3のマーキング部を有する延伸フィルムの製造方法を示す図7においては、延伸装置に「110」の符号を付しているが、実施形態3の製造方法においては、図8に示す延伸装置110だけでなく、図10に示す延伸装置210、及び他の延伸装置を用いうる。
変形例1のマーキング部を有する延伸フィルムの製造方法を示す図9においては、延伸装置に「210」の符号を付しているが、変形例1の製造方法においては、図10に示す延伸装置210だけでなく、図8に示す延伸装置110、及び他の延伸装置を用いうる。
以下、参考例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は、以下に示す参考例に限定されるものでは無い。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
[評価方法]
(マーキングカメラ視認性)
各例の偏光板製造工程において、インラインモニタリングシステム(メック社製、LSC−6000)を用いてマーキング部を検出し、下記の判断基準によりマーキングカメラ視認性の評価を行った。下記判断基準において、検出できたマーキング部の割合とは、形成したマーキング部の面積に対する検出したマーキング部の面積の割合(%)である。
5:検出できたマーキング部の割合は90%以上
4:検出できたマーキング部の割合は60%以上90%未満
3:検出できたマーキング部の割合は40%以上60%未満
2:検出できたマーキング部の割合は10%以上40%未満
1:検出できたマーキング部の割合は10%未満
(クラックの発生およびフィルム破断の有無)
各例の塗工工程における、クラックの発生の有無及びフィルム破断の有無を観察し、下記の判断基準により評価を行った。
OK:クラック及びフィルム破断の発生が認められない。
NG:クラック及びフィルム破断のいずれか一方又は両方が発生した。
(フィルム搬送性の良好性)
各例の塗工工程において、フィルムの搬送性が良好か否か下記の判断基準により評価を行った。
5:円滑に搬送が行えた。
4:フィルム蛇行が見られたが、条件変更せず、問題なくフィルムロールの搬送、巻取りが行えた。
3:フィルム蛇行が見られたが、搬送条件を変える(搬送速度を遅くする)などの方策により、問題なく搬送が行える。
2:フィルムと塗工装置の接触、搬送時の破断はなかったが、フィルム蛇行が見られ、搬送が困難となり、搬送を中断した。
1:フィルムと塗工装置との接触により搬送を中断した。
(Δnの測定)
Δnの測定は、AXOMETRICS社製エリプソメーター「AxoScan」を用いて、波長590nmで行った。
[製造例1.基材フィルム及び巻回体の製造]
ガラス転移温度が126℃のノルボルネン重合体を含む樹脂(日本ゼオン社製「ゼオノア」)を押し出し成型して、所定厚みの単層の基材フィルムを製造した。基材フィルムの厚みは各例ごとに設定した。この基材フィルムの一方の面にポリエチレン製の保護フィルム(トレデガー社製、「forcefield」)を貼合して巻き取り巻回体を得た。本製造例の基材フィルムを構成する樹脂の固有複屈折は、正である。
[実施例1:マーキング部を有する延伸フィルム及び積層体の製造]
(1−1.延伸フィルムの製造:工程1)
製造例1において、厚みが75μmの基材フィルムを製造し巻回体Aを得た。巻回体Aから保護フィルムを剥離し、基材フィルムを、テンター延伸機を用いて、延伸温度140℃にて幅方向に延伸倍率3.0で延伸し、延伸フィルムを得た(横一軸延伸)。延伸フィルムの厚みは25μm、Δnは0.0030であった。
(1−2.マーキング部を有する延伸フィルムの製造)
(1−2−1.マーキング部を有する延伸フィルムの製造:工程2)
(1―1)で得た延伸フィルムを、搬送しながら、膜厚測定機(大塚電子社製、MCPD)により、膜厚の測定及び解析を行い、膜厚の変動が0.7μmを超えた部分(膜厚変動が大きい部分)の位置情報を検出した。検出された膜厚変動が大きい部分(基準外の部分)の位置情報をレーザーマーキング装置(パナソニックデバイスサンクス社製「LP−430」)に伝達し、当該基準外の部分にマーキング部を形成し、マーキング部を有する延伸フィルムを得た。
マーキング部は、レーザー照射(パナソニックデバイスサンクス社製「LP−430」:レーザー波長10.6μm、レーザー出力:100W)により、延伸フィルムの幅方向の端部から10mmの位置に走査速度450mm/秒でレーザー照射することにより形成した。マーキング部の形状は、マーキング部の延長方向と、延伸フィルムを構成する分子の配向方向(本例の遅相軸方向)とのなす角が5°の直線形状となるようにした。マーキング部の、延伸フィルムのマーキング部の設けられた面とは反対側の面Aからの最大突出高さH1は、1.2μmであった。
(1−2−2.延伸フィルムロールの製造)
このようにして得られたマーキング部を有する延伸フィルムの、レーザー照射面にマスキングフィルム(トレデガー社製、forcefield)を貼合して、マスキング付き延伸フィルムとした後、巻き取って延伸フィルムロールAを得た。
(1−3.積層体の製造)
(1−3−1.塗工工程:工程3)
(a)塗工液の調製
メチルイソブチルケトン(MIBK)に、イルガキュア184(光重合開始剤、BASFジャパン社製)4重量部を添加して攪拌し溶解させて、最終固形分が40重量%の溶液を調製した。この溶液に、樹脂成分として、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を40重量部添加して攪拌した。この溶液に、レベリング剤(製品名:ディフェンザMCF350−5;DIC社製)を固形分比で0.1重量部添加して撹拌し、塗工液を調製した。
(b)塗工層の形成
(1−2)で製造した延伸フィルムロールAから、繰り出したマスキング付き延伸フィルムのマーキング部が設けられた側の面上に、ダイコーターにて、乾燥塗布量2g/mとなるように、(a)で調製した塗工液を塗工し塗工層を形成した。次に塗工層を100℃で1分間乾燥させた後、紫外線照射量150mJ/cmで紫外線を照射して塗膜を硬化させ、厚み1.8μmの塗工層を形成した。このようにして塗工層を有する延伸フィルムを得た。
塗工液を塗工する際に、延伸フィルムのマーキング部の突出部が塗工装置(コーター)に接触するなどの不具合の発生は認められず、塗工工程における搬送の不具合も認められなかった。
(1−3−2.偏光板製造工程)
偏光板製造装置を用いて、(1−3−1)で得られた塗工層を有する延伸フィルムの、塗工層側の面に、偏光子を貼り合わせて偏光板を製造した。これによりマーキング部を有する延伸フィルムを使用した偏光板が得られた。この工程において破断等の不具合の発生は認められなかった。
この偏光板製造工程にて、インラインモニタリングシステム(メック社製、LSC−6000)を用いてマーキング部を検出した。マーキング部の検出においては、マーキング部の一部が検出された。検出されたマーキング部は、工程2でマーキングした部分であることを断定できるものであった。製造した偏光板から該マーキング部を除去し、膜厚変動の大きい部位の偏光板製品への混入を防止することができた。また、偏光板製造工程における搬送不具合も見られなかった。
[実施例2:マーキング部を有する延伸フィルム及び積層体の製造]
下記点を変えたこと以外は実施例1と同一の操作を行い、マーキング部を有する延伸フィルム、塗工層を有する延伸フィルム及び偏光板を製造し、実施例1と同一の方法により評価を行い、結果を表に示した。
・実施例1の(1−2−1)において、マーキング部の形状を、マーキング部の延長方向と延伸フィルムを構成する分子の配向方向(本例の遅相軸方向)とのなす角が14°の、直線形状とした。
マーキング部を有する延伸フィルムにおいては、マーキング部の、延伸フィルムのマーキング部の設けられた面とは反対側の面Aからの最大突出高さH1が、8.9μmであった。
本例では、塗工工程におけるフィルム搬送性が、実施例1よりは劣っていたが、問題なく塗工層を形成することができた。
本例では、塗工工程において、クラックの発生およびフィルム破断の発生は認められず、マーキングカメラ視認性も良好であった。
[実施例3:マーキング部を有する延伸フィルム及び積層体の製造]
下記点を変えたこと以外は実施例1と同一の操作を行い、マーキング部を有する延伸フィルム、塗工層を有する延伸フィルム及び偏光板を製造し、実施例1と同一の方法により評価を行い、結果を表に示した。
・実施例1の(1−1)において、基材フィルムの厚みを40μmとした。
・実施例1の(1−1)において、基材フィルムの延伸を、縦延伸機を用いて、延伸温度140℃にてフィルムの長手方向に延伸倍率1.5で延伸して、延伸フィルムを得た(縦一軸延伸)。この延伸フィルムの厚みは30μm、Δnは0.0040であった。
マーキング部を有する延伸フィルムにおいては、マーキング部の、延伸フィルムのマーキング部の設けられた面とは反対側の面Aからの最大突出高さH1が、2.5μmであった。
本例では、塗工工程でのフィルム搬送性が良好で、塗工工程におけるクラックの発生およびフィルム破断の発生は認められず、マーキングカメラ視認性も良好であった。
[実施例4:マーキング部を有する延伸フィルム及び積層体の製造]
下記点を変えたこと以外は実施例1と同一の操作を行い、マーキング部を有する延伸フィルム、塗工層を有する延伸フィルム及び偏光板を製造し、実施例1と同一の方法により評価を行い、結果を表に示した。
・実施例1の(1−1)において、基材フィルムの厚みを90μmとした。
・実施例1の(1−1)において、基材フィルムの延伸を、縦延伸機を用いて、延伸温度140℃にてフィルムの長手方向に延伸倍率1.5で延伸した後、テンター延伸機を用いて、延伸温度140℃にてフィルム幅方向に延伸倍率1.5で延伸し、延伸フィルムを得た(遂次2軸延伸)。この延伸フィルムの厚みは50μm、Δnは0.0010であった。
マーキング部を有する延伸フィルムにおいては、マーキング部の、延伸フィルムのマーキング部の設けられた面とは反対側の面Aからの最大突出高さH1が、20μmであった。
本例では、塗工工程でのフィルム搬送性が良好で、塗工工程におけるクラックの発生およびフィルム破断の発生は認められず、マーキングカメラ視認性も良好であった。
[実施例5:マーキング部を有する延伸フィルム及び積層体の製造]
下記点を変えたこと以外は実施例1と同一の操作を行い、マーキング部を有する延伸フィルム、塗工層を有する延伸フィルム及び偏光板を製造し、実施例1と同一の方法により評価を行い、結果を表に示した。
・実施例1の(1−1)において、製造例1の基材フィルムに代えて、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルム(三菱エンジニアリングプラスチック社製、ノバデュラン5020、厚み188μm)を基材フィルムとして用いた。当該基材フィルムを構成する樹脂の固有複屈折は、正である。
・実施例1の(1−1)において、基材フィルムの延伸を、縦延伸機を用いて、延伸温度140℃にてフィルムの長手方向に延伸倍率3.5で延伸した後、テンター延伸機を用いて、延伸温度140℃にてフィルム幅方向に延伸倍率4.0で延伸し、延伸フィルムを得た(遂次2軸延伸)。この延伸フィルムの厚みは25μm、Δnは0.1であった。
マーキング部を有する延伸フィルムにおいては、マーキング部の、延伸フィルムのマーキング部の設けられた面とは反対側の面Aからの最大突出高さH1が、20μmであった。
本例では、塗工工程でのフィルム搬送性が良好で、塗工工程におけるクラックの発生およびフィルム破断の発生は認められず、マーキングカメラ視認性も良好であった。
[実施例6:マーキング部を有する延伸フィルム及び積層体の製造]
下記点を変えたこと以外は実施例1と同一の操作を行い、マーキング部を有する延伸フィルム、塗工層を有する延伸フィルム及び偏光板を製造し、実施例1と同一の方法により評価を行い、結果を表に示した。
・実施例1の(1−1)において、基材フィルムの厚みを40μmとした。
・実施例1の(1−1)において、基材フィルムの延伸を、斜め延伸用テンター延伸機を用いて、延伸温度140℃にてフィルムを斜め方向(フィルム幅方向に対して45°の方向)に延伸倍率1.5で延伸し、延伸フィルムを得た(斜め延伸)。この延伸フィルムの厚みは25μm、Δnは0.0026であった。
マーキング部を有する延伸フィルムにおいては、マーキング部の、延伸フィルムのマーキング部の設けられた面とは反対側の面Aからの最大突出高さH1が、1.0μmであった。
本例では、塗工工程でのフィルム搬送性が良好で、塗工工程におけるクラックの発生およびフィルム破断の発生は認められなかった。マーキングカメラ視認性の評価において、本例ではマーキング部の一部が検出された。検出されたマーキング部は、工程2でマーキングした部分であることを断定できるものであった。
[比較例1:マーキング部を有する延伸フィルム及び積層体の製造]
下記点を変えたこと以外は実施例1と同一の操作を行い、マーキング部を有する延伸フィルム、塗工層を有する延伸フィルム及び偏光板を製造し、実施例1と同一の方法により評価を行い、結果を表に示した。
・実施例1の(1−2−1)において、マーキング部の形状を、マーキング部の延長方向と延伸フィルムを構成する分子の配向方向(本例の遅相軸方向)とのなす角が20°の、直線形状とした。
マーキング部を有する延伸フィルムにおいては、マーキング部の、延伸フィルムのマーキング部の設けられた面とは反対側の面Aからの最大突出高さH1が、35μmであり、マーキング部を有する延伸フィルムの膜厚(25μm)より大きかった。
本例では、塗工工程におけるクラックの発生およびフィルム破断の発生は認められず、マーキングカメラ視認性も良好であったが、塗工工程において、フィルムが塗工装置に引っかかり、搬送性に支障があった。
[比較例2:マーキング部を有する延伸フィルム及び積層体の製造]
下記点を変えたこと以外は実施例1と同一の操作を行い、マーキング部を有する延伸フィルム、塗工層を有する延伸フィルム及び偏光板を製造し、実施例1と同一の方法により評価を行い、結果を表に示した。
・実施例1の(1−2−1)において、マーキング部の形状を、図11に示すように、4個のひし形が連結された形状単位を一つの単位とし、これが、フィルム長さ方向に繰り返された形状とした(表には図示形状と記載)。図11において、C2は比較例2のマーキング部を有する延伸フィルムであり、C21はマーキング部である。
マーキング部を有する延伸フィルムにおいては、マーキング部の、延伸フィルムのマーキング部の設けられた面とは反対側の面Aからの最大突出高さH1が、21μmであった。
本例では、塗工工程におけるクラックの発生およびフィルム破断の発生は認められず、マーキングカメラ視認性も良好であったが、塗工工程において、フィルムが塗工装置に引っかかり、搬送性に支障があった。
[比較例3:マーキング部を有する延伸フィルム及び積層体の製造]
下記点を変えたこと以外は実施例1と同一の操作を行い、マーキング部を有する延伸フィルム、塗工層を有する延伸フィルム及び偏光板を製造し、実施例1と同一の方法により評価を行い、結果を表に示した。
・実施例1の(1−1)において、基材フィルムの厚みを100μmとした。
・実施例1の(1−1)において、基材フィルムの延伸倍率を4.0とした。
・実施例1の(1−2−1)において、マーキング部の形状を、マーキング部の延長方向と延伸フィルムを構成する分子の配向方向(本例の遅相軸方向)とのなす角が1°の、直線形状とした。
・実施例(1−2−1)において、レーザー出力を250Wとした以外は、実施例(1−2−1)と同条件にて処理を行った。
マーキング部を有する延伸フィルムにおいては、マーキング部の、延伸フィルムのマーキング部の設けられた面とは反対側の面Aからの最大突出高さH1が、30μmであり、マーキング部を有する延伸フィルムの膜厚(25μm)より大きかった。
本例では、マーキングカメラ視認性は良好であったが、塗工工程において、フィルムが塗工装置に引っかかり、搬送性に支障が生じ、塗工工程におけるフィルム破断の発生が認められた。
[比較例4:マーキング部を有する延伸フィルム及び積層体の製造]
下記点を変えたこと以外は実施例1と同一の操作を行い、マーキング部を有する延伸フィルム、塗工層を有する延伸フィルム及び偏光板を製造し、実施例1と同一の方法により評価を行い、結果を表に示した。
・実施例1の(1−1)において、基材フィルムの厚みを35μmとした。
・実施例1の(1−2−1)において、マーキング部の形状を、延伸フィルムを構成する分子の配向方向(本例の遅相軸方向)とのなす角が1°の、直線形状とした。
・実施例1の(1−1)において、基材フィルムの延伸を、縦延伸機を用いて、延伸温度140℃にてフィルムの長手方向に延伸倍率1.2で延伸した後、テンター延伸機を用いて、延伸温度140℃にてフィルム幅方向に延伸倍率1.2で延伸し、延伸フィルムを得た(遂次2軸延伸)。この延伸フィルムの厚みは25μm、Δnは0.0009であった。
マーキング部を有する延伸フィルムにおいては、マーキング部の、延伸フィルムのマーキング部の設けられた面とは反対側の面Aからの最大突出高さH1が、0.5μmであった。
本例では、塗工工程でのフィルム搬送性が良好で、塗工工程におけるクラックの発生およびフィルム破断の発生は認められなかったが、マーキングカメラ視認性が不良であった。
Figure 2019150975
Figure 2019150975
表1及び表2に示すように、実施例では、塗工工程でのフィルム搬送性が良好で、塗工工程におけるクラックの発生及びフィルム破断の発生が認められず、マーキングカメラ視認性が良好であるという結果が得られた。この結果から、本発明によれば、視認性に優れ、かつ、塗工工程等の後処理を行う際の不具合の発生を防止し、製造適性を向上した、マーキング部を有する延伸フィルム及びその製造方法、及び積層体の製造方法を提供し得ることがわかった。
1…基材フィルム
1A,1B…基材フィルムの幅方向の端部
10,20…(マーキング部を有する)延伸フィルム
10P…延伸フィルムの一部
10U,20U…延伸フィルムの上面(マーキング部形成面)
10L,20L…延伸フィルムの下面(面A)
11,21…マーキング部
11A,11B,21A,21B…突出部
H1a,H1b,H1c,H1d…突出高さ
100,200…マーキング部を有する延伸フィルムの製造装置
101…フィルム成形装置
102a,202a…第1の冷却ロール
102b,202b…第2の冷却ロール
102c,202c…第3の冷却ロール
103,107,122,123,203,204,222,223…搬送ロール
104,124,224…押圧ロール
105、125,225…保護フィルム
110…延伸装置
111,115…テンションロール
112,114…調整ロール
113…ヒーター
120,220…欠陥検出器
121,221…マーキング部形成装置
130,230…フィルムロール
211,212…把持子
213,214…ガイドレール
A1,A2…分子の配向方向
A11,A21…フィルム搬送方向
A22…把持子移動方向
θ1,θ2…マーキング部の延長方向と分子の配向方向とのなす角

Claims (7)

  1. マーキング部を有する延伸フィルムであって、
    前記マーキング部は、当該マーキング部の延長方向と、前記延伸フィルムを構成する分子の配向方向とのなす角が±15°の線形状であり、
    前記マーキング部の、前記延伸フィルムの前記マーキング部の設けられた面とは反対側の面Aからの最大突出高さH1は、前記延伸フィルムの厚みT1以下であり、
    複屈折Δnが0.0010以上である、延伸フィルム。
  2. 前記延伸フィルムは、塗工液を塗工する工程または他の部材と貼合する工程に用いられる、請求項1に記載の延伸フィルム。
  3. 前記延伸フィルムの厚みT1に対する、前記最大突出高さH1の比(H1/T1)が0.4以下である、請求項1または2に記載の延伸フィルム。
  4. 前記延伸フィルムは樹脂からなり、前記樹脂は脂環式構造含有重合体を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の延伸フィルム。
  5. マーキング部を有する延伸フィルムの製造方法であって、
    基材フィルムを延伸することにより、当該基材フィルムを構成する分子を配向させた延伸フィルムを得る工程1と、
    前記延伸フィルムに、マーキング部を形成して、マーキング部を有する延伸フィルムを得る工程2と、を含み、
    前記マーキング部は、当該マーキング部の延長方向と、前記分子の配向方向とのなす角が±15°の線形状であり、
    前記マーキング部の、前記延伸フィルムの前記マーキング部の設けられた面とは反対側の面Aからの最大突出高さH1は、前記延伸フィルムの厚みT1以下であり、
    前記マーキング部を有する延伸フィルムの複屈折Δnが0.0010以上である、延伸フィルムの製造方法。
  6. 前記基材フィルムを延伸する方法は、縦延伸、横延伸、斜め延伸及びこれらの組み合わせから選ばれる、請求項5に記載の延伸フィルムの製造方法。
  7. 延伸フィルムと、塗工層または他の部材と、を含む積層体を製造する方法であって、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の延伸フィルム、または、請求項5又は6に記載の製造方法により得られた延伸フィルム上に、塗工液を塗工する工程3、もしくは、当該延伸フィルムと他の部材とを貼合する工程4を含む、積層体の製造方法。
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JP2011048065A (ja) * 2009-08-26 2011-03-10 Nippon Zeon Co Ltd 延伸フィルム

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