JP6939646B2 - 延伸フィルムの製造方法、並びに積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
マーキングを施した後のフィルムには、例えば、塗工層を形成する等の後処理を行うことがある。しかしながら、マーキング部の突出高さが高い場合等、マーキング部の構造によっては、マーキング部分と後処理を行うための装置との接触や、後処理後の樹脂フィルムの変形等の不具合が発生することがあった。特にマーキングが施されるフィルムが延伸されたフィルムの場合、マーキング部の形状や構造によっては、マーキング部の突出高さが高くなることがあり、上記不具合の発生が懸念される。一方、マーキングの条件を変更することによりそのような突出高さを小さくした場合、マーキングの視認性が低下することがある。
従って、本発明の目的は、視認性に優れ、かつ、後処理を行う際の不具合の発生を防止し製造適性を向上した、マーキング部を有する延伸フィルム及びその製造方法、及びマーキング部を有する延伸フィルムを用いた積層体の製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、下記のとおりである。
前記マーキング部は、当該マーキング部の延長方向と、前記延伸フィルムを構成する分子の配向方向とのなす角が±15°の線形状であり、
前記マーキング部の、前記延伸フィルムの前記マーキング部の設けられた面とは反対側の面Aからの最大突出高さH1は、前記延伸フィルムの厚みT1以下であり、
複屈折Δnが0.0010以上である、延伸フィルム。
〔2〕 前記延伸フィルムは、塗工液を塗工する工程または他の部材と貼合する工程に用いられる、〔1〕に記載の延伸フィルム。
〔3〕 前記延伸フィルムの厚みT1に対する、前記最大突出高さH1の比(H1/T1)が0.4以下である、〔1〕または〔2〕に記載の延伸フィルム。
〔4〕 前記延伸フィルムは樹脂からなり、前記樹脂は脂環式構造含有重合体を含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の延伸フィルム。
〔5〕 マーキング部を有する延伸フィルムの製造方法であって、
基材フィルムを延伸することにより、当該基材フィルムを構成する分子を配向させた延伸フィルムを得る工程1と、
前記延伸フィルムに、マーキング部を形成して、マーキング部を有する延伸フィルムを得る工程2と、を含み、
前記マーキング部は、当該マーキング部の延長方向と、前記分子の配向方向とのなす角が±15°の線形状であり、前記マーキング部の、前記延伸フィルムの前記マーキング部の設けられた面とは反対側の面Aからの最大突出高さH1は、前記延伸フィルムの厚みT1以下であり、
前記マーキング部を有する延伸フィルムの複屈折Δnが0.0010以上である、延伸フィルムの製造方法。
〔6〕 前記基材フィルムを延伸する方法は、縦延伸、横延伸、斜め延伸及びこれらの組み合わせから選ばれる、〔5〕に記載の延伸フィルムの製造方法。
〔7〕 延伸フィルムと、塗工層または他の部材と、を含む積層体を製造する方法であって、
〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の延伸フィルム、または、〔5〕又は〔6〕に記載の製造方法により得られた延伸フィルム上に、塗工液を塗工する工程3、もしくは、当該延伸フィルムと他の部材とを貼合する工程4を含む、積層体の製造方法。
以下本発明のマーキング部を有する延伸フィルムを具体化した実施形態1および2のマーキング部を有する延伸フィルムについて図1〜図5を参照しつつ説明する。
図1は、実施形態1に係る本発明のマーキング部を有する延伸フィルムの一部平面図であり、図2は、図1の10P部分を示す斜視図であり、図3は、図1のマーキング部を有する延伸フィルムの断面を模式的に示した一部断面図である。図4は、実施形態2に係る本発明のマーキング部を有する延伸フィルムの一部平面図であり、図5は、図4のマーキング部を有する延伸フィルムの断面を模式的に示した一部断面図である。
まず、実施形態1のマーキング部を有する延伸フィルム10について説明する。
本実施形態のマーキング部を有する延伸フィルム10は、フィルム長手方向に一軸延伸された延伸フィルムにマーキング部を設けた態様である。本実施形態のマーキング部を有する延伸フィルム10は、図1に示すように、上面視、直線形状のマーキング部11を有する。マーキング部11は延伸フィルムの上面10Uに設けられている。
次に実施形態2のマーキング部を有する延伸フィルム20について説明する。本実施形態のマーキング部を有する延伸フィルム20は、フィルム幅方向に一軸延伸された延伸フィルムにマーキング部を設けた態様である。実施形態2のマーキング部を有する延伸フィルム20は、延伸フィルムを構成する分子の配向方向A2が、実施形態1とは相違する。以下において、実施形態1と同様の構成については、説明を省略する。
図4においてA2は延伸フィルムを構成する分子の配向方向である。本実施形態においてA2は、フィルムの幅方向である点で実施形態1と相違する。図4においてθ2はマーキング部21の延長方向と、延伸フィルムを構成する分子の配向方向A2とのなす角である。角θ2は±15°であり、θ2の好ましい範囲はθ1と同様である。
本発明のマーキング部を有する延伸フィルムは、樹脂からなる。樹脂は重合体を含む。当該重合体としては、脂環式構造含有重合体、セルロースエステル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、エポキシ重合体、ポリスチレン、アクリル重合体、メタクリル重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの中でも、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性の観点から、脂環式構造含有重合体が好ましい。脂環式構造含有重合体は固有複屈折が正の重合体であり、脂環式構造含有重合体を含む樹脂は固有複屈折が正の樹脂である。
脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。
1つの脂環式構造の繰り返し単位を構成する炭素数に特に制限はないが、通常4個〜30個、好ましくは5個〜20個、より好ましくは6個〜15個である。
上記の脂環式構造含有重合体は、例えば特開2002−321302号公報に開示されている重合体から選ばれる。
オリゴマーの成分量は、前述のGPCによって測定することができる。
脂環式構造含有重合体を含む樹脂の好適な具体例としては、日本ゼオン社製「ゼオノア」を挙げうる。
本発明のマーキング部を有する延伸フィルムは、塗工液を塗工する工程、又は他の部材と貼合する工程に用いることができる。これらの工程については積層体の製造方法において説明する。
本発明のマーキング部を有する延伸フィルムの製造方法は、基材フィルムを延伸することにより、当該基材フィルムを構成する分子を配向させた延伸フィルムを得る工程1と、延伸フィルムに、マーキング部を形成して、マーキング部を有する延伸フィルムを得る工程2と、を含む。
図6は、実施形態3に係るマーキング部を有する延伸フィルムの製造方法で用いる装置を模式的に示した側面図である。図7は、実施形態3に係るマーキング部を有する延伸フィルムの製造方法で用いる装置を模式的に示した側面図である。図8は、延伸工程で用いる装置を模式的に示した側面図である。図9は、実施形態3の変形例1で用いる装置を模式的に示した側面図である。図10は、延伸工程で用いる装置を模式的に示した平面図である。
[基材フィルムの製造方法]
基材フィルムは、基材フィルムを構成する樹脂を、任意の成形方法により成形することにより行いうる。成形方法の例としては、射出成形法、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法、注型成形法、及び圧縮成形法が挙げられる。これらの中でも、厚みの制御が容易であることから、溶融押出成形法が好ましい。以下溶融押し出し成形法について説明する。
工程1は、上記基材フィルムの製造方法により得られた基材フィルムを延伸することにより、当該基材フィルムを構成する分子を配向させた延伸フィルムを得る工程である。
工程2は、延伸フィルムにマーキング部を形成してマーキング部を有する延伸フィルムを得る工程である。
以下、実施形態3の製造方法の変形例1について図9を参照しつつ、説明する。本変形例では、実施形態3の製造方法における、基材フィルム1を保護フィルムと貼合して巻き取る工程を省略している。
延伸フィルム20を搬送ロール222により欠陥検出器220に搬送する。搬送された延伸フィルム20に基準外の部分がある場合、欠陥検出器220により当該基準外の部分が検出され、当該基準外の部分の位置情報がマーキング形成装置221に伝達される。マーキング形成装置221において、延伸フィルム20の基準外の部分にマーキング部が形成された後、マーキング部を有する延伸フィルムが得られる。マーキング部を有する延伸フィルムは搬送ロール223により搬送され、押圧ロール224により押圧されることにより保護フィルム225と貼合される。保護フィルム225と貼合されたマーキング部を有する延伸フィルムは、巻き取られてフィルムロール230とされる。フィルムロール230は塗工工程等の工程に供しうる。
本発明の積層体の製造方法について説明する。
本発明の積層体の製造方法は、本発明の製造方法により得られたマーキング部を有する延伸フィルム上に、塗工液を塗工する工程3または、延伸フィルムと他の部材とを貼合する工程4とを含む。
工程3はマーキング部を有する延伸フィルム上に、塗工液を塗工する工程である。
工程4はマーキング部を有する延伸フィルムと他の部材とを貼合する工程である。他の部材としては、例えば、偏光子等が挙げられる。
実施形態3のマーキング部を有する延伸フィルムの製造方法を示す図7においては、延伸装置に「110」の符号を付しているが、実施形態3の製造方法においては、図8に示す延伸装置110だけでなく、図10に示す延伸装置210、及び他の延伸装置を用いうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
(マーキングカメラ視認性)
各例の偏光板製造工程において、インラインモニタリングシステム(メック社製、LSC−6000)を用いてマーキング部を検出し、下記の判断基準によりマーキングカメラ視認性の評価を行った。下記判断基準において、検出できたマーキング部の割合とは、形成したマーキング部の面積に対する検出したマーキング部の面積の割合(%)である。
5:検出できたマーキング部の割合は90%以上
4:検出できたマーキング部の割合は60%以上90%未満
3:検出できたマーキング部の割合は40%以上60%未満
2:検出できたマーキング部の割合は10%以上40%未満
1:検出できたマーキング部の割合は10%未満
各例の塗工工程における、クラックの発生の有無及びフィルム破断の有無を観察し、下記の判断基準により評価を行った。
OK:クラック及びフィルム破断の発生が認められない。
NG:クラック及びフィルム破断のいずれか一方又は両方が発生した。
各例の塗工工程において、フィルムの搬送性が良好か否か下記の判断基準により評価を行った。
5:円滑に搬送が行えた。
4:フィルム蛇行が見られたが、条件変更せず、問題なくフィルムロールの搬送、巻取りが行えた。
3:フィルム蛇行が見られたが、搬送条件を変える(搬送速度を遅くする)などの方策により、問題なく搬送が行える。
2:フィルムと塗工装置の接触、搬送時の破断はなかったが、フィルム蛇行が見られ、搬送が困難となり、搬送を中断した。
1:フィルムと塗工装置との接触により搬送を中断した。
Δnの測定は、AXOMETRICS社製エリプソメーター「AxoScan」を用いて、波長590nmで行った。
ガラス転移温度が126℃のノルボルネン重合体を含む樹脂(日本ゼオン社製「ゼオノア」)を押し出し成型して、所定厚みの単層の基材フィルムを製造した。基材フィルムの厚みは各例ごとに設定した。この基材フィルムの一方の面にポリエチレン製の保護フィルム(トレデガー社製、「forcefield」)を貼合して巻き取り巻回体を得た。本製造例の基材フィルムを構成する樹脂の固有複屈折は、正である。
(1−1.延伸フィルムの製造:工程1)
製造例1において、厚みが75μmの基材フィルムを製造し巻回体Aを得た。巻回体Aから保護フィルムを剥離し、基材フィルムを、テンター延伸機を用いて、延伸温度140℃にて幅方向に延伸倍率3.0で延伸し、延伸フィルムを得た(横一軸延伸)。延伸フィルムの厚みは25μm、Δnは0.0030であった。
(1−2−1.マーキング部を有する延伸フィルムの製造:工程2)
(1―1)で得た延伸フィルムを、搬送しながら、膜厚測定機(大塚電子社製、MCPD)により、膜厚の測定及び解析を行い、膜厚の変動が0.7μmを超えた部分(膜厚変動が大きい部分)の位置情報を検出した。検出された膜厚変動が大きい部分(基準外の部分)の位置情報をレーザーマーキング装置(パナソニックデバイスサンクス社製「LP−430」)に伝達し、当該基準外の部分にマーキング部を形成し、マーキング部を有する延伸フィルムを得た。
このようにして得られたマーキング部を有する延伸フィルムの、レーザー照射面にマスキングフィルム(トレデガー社製、forcefield)を貼合して、マスキング付き延伸フィルムとした後、巻き取って延伸フィルムロールAを得た。
(1−3−1.塗工工程:工程3)
(a)塗工液の調製
メチルイソブチルケトン(MIBK)に、イルガキュア184(光重合開始剤、BASFジャパン社製)4重量部を添加して攪拌し溶解させて、最終固形分が40重量%の溶液を調製した。この溶液に、樹脂成分として、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を40重量部添加して攪拌した。この溶液に、レベリング剤(製品名:ディフェンザMCF350−5;DIC社製)を固形分比で0.1重量部添加して撹拌し、塗工液を調製した。
(b)塗工層の形成
(1−2)で製造した延伸フィルムロールAから、繰り出したマスキング付き延伸フィルムのマーキング部が設けられた側の面上に、ダイコーターにて、乾燥塗布量2g/m2となるように、(a)で調製した塗工液を塗工し塗工層を形成した。次に塗工層を100℃で1分間乾燥させた後、紫外線照射量150mJ/cm2で紫外線を照射して塗膜を硬化させ、厚み1.8μmの塗工層を形成した。このようにして塗工層を有する延伸フィルムを得た。
塗工液を塗工する際に、延伸フィルムのマーキング部の突出部が塗工装置(コーター)に接触するなどの不具合の発生は認められず、塗工工程における搬送の不具合も認められなかった。
偏光板製造装置を用いて、(1−3−1)で得られた塗工層を有する延伸フィルムの、塗工層側の面に、偏光子を貼り合わせて偏光板を製造した。これによりマーキング部を有する延伸フィルムを使用した偏光板が得られた。この工程において破断等の不具合の発生は認められなかった。
この偏光板製造工程にて、インラインモニタリングシステム(メック社製、LSC−6000)を用いてマーキング部を検出した。マーキング部の検出においては、マーキング部の一部が検出された。検出されたマーキング部は、工程2でマーキングした部分であることを断定できるものであった。製造した偏光板から該マーキング部を除去し、膜厚変動の大きい部位の偏光板製品への混入を防止することができた。また、偏光板製造工程における搬送不具合も見られなかった。
下記点を変えたこと以外は実施例1と同一の操作を行い、マーキング部を有する延伸フィルム、塗工層を有する延伸フィルム及び偏光板を製造し、実施例1と同一の方法により評価を行い、結果を表に示した。
・実施例1の(1−2−1)において、マーキング部の形状を、マーキング部の延長方向と延伸フィルムを構成する分子の配向方向(本例の遅相軸方向)とのなす角が14°の、直線形状とした。
本例では、塗工工程におけるフィルム搬送性が、実施例1よりは劣っていたが、問題なく塗工層を形成することができた。
本例では、塗工工程において、クラックの発生およびフィルム破断の発生は認められず、マーキングカメラ視認性も良好であった。
下記点を変えたこと以外は実施例1と同一の操作を行い、マーキング部を有する延伸フィルム、塗工層を有する延伸フィルム及び偏光板を製造し、実施例1と同一の方法により評価を行い、結果を表に示した。
・実施例1の(1−1)において、基材フィルムの厚みを40μmとした。
・実施例1の(1−1)において、基材フィルムの延伸を、縦延伸機を用いて、延伸温度140℃にてフィルムの長手方向に延伸倍率1.5で延伸して、延伸フィルムを得た(縦一軸延伸)。この延伸フィルムの厚みは30μm、Δnは0.0040であった。
本例では、塗工工程でのフィルム搬送性が良好で、塗工工程におけるクラックの発生およびフィルム破断の発生は認められず、マーキングカメラ視認性も良好であった。
下記点を変えたこと以外は実施例1と同一の操作を行い、マーキング部を有する延伸フィルム、塗工層を有する延伸フィルム及び偏光板を製造し、実施例1と同一の方法により評価を行い、結果を表に示した。
・実施例1の(1−1)において、基材フィルムの厚みを90μmとした。
・実施例1の(1−1)において、基材フィルムの延伸を、縦延伸機を用いて、延伸温度140℃にてフィルムの長手方向に延伸倍率1.5で延伸した後、テンター延伸機を用いて、延伸温度140℃にてフィルム幅方向に延伸倍率1.5で延伸し、延伸フィルムを得た(遂次2軸延伸)。この延伸フィルムの厚みは50μm、Δnは0.0010であった。
本例では、塗工工程でのフィルム搬送性が良好で、塗工工程におけるクラックの発生およびフィルム破断の発生は認められず、マーキングカメラ視認性も良好であった。
下記点を変えたこと以外は実施例1と同一の操作を行い、マーキング部を有する延伸フィルム、塗工層を有する延伸フィルム及び偏光板を製造し、実施例1と同一の方法により評価を行い、結果を表に示した。
・実施例1の(1−1)において、製造例1の基材フィルムに代えて、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルム(三菱エンジニアリングプラスチック社製、ノバデュラン5020、厚み188μm)を基材フィルムとして用いた。当該基材フィルムを構成する樹脂の固有複屈折は、正である。
・実施例1の(1−1)において、基材フィルムの延伸を、縦延伸機を用いて、延伸温度140℃にてフィルムの長手方向に延伸倍率3.5で延伸した後、テンター延伸機を用いて、延伸温度140℃にてフィルム幅方向に延伸倍率4.0で延伸し、延伸フィルムを得た(遂次2軸延伸)。この延伸フィルムの厚みは25μm、Δnは0.1であった。
本例では、塗工工程でのフィルム搬送性が良好で、塗工工程におけるクラックの発生およびフィルム破断の発生は認められず、マーキングカメラ視認性も良好であった。
下記点を変えたこと以外は実施例1と同一の操作を行い、マーキング部を有する延伸フィルム、塗工層を有する延伸フィルム及び偏光板を製造し、実施例1と同一の方法により評価を行い、結果を表に示した。
・実施例1の(1−1)において、基材フィルムの厚みを40μmとした。
・実施例1の(1−1)において、基材フィルムの延伸を、斜め延伸用テンター延伸機を用いて、延伸温度140℃にてフィルムを斜め方向(フィルム幅方向に対して45°の方向)に延伸倍率1.5で延伸し、延伸フィルムを得た(斜め延伸)。この延伸フィルムの厚みは25μm、Δnは0.0026であった。
本例では、塗工工程でのフィルム搬送性が良好で、塗工工程におけるクラックの発生およびフィルム破断の発生は認められなかった。マーキングカメラ視認性の評価において、本例ではマーキング部の一部が検出された。検出されたマーキング部は、工程2でマーキングした部分であることを断定できるものであった。
下記点を変えたこと以外は実施例1と同一の操作を行い、マーキング部を有する延伸フィルム、塗工層を有する延伸フィルム及び偏光板を製造し、実施例1と同一の方法により評価を行い、結果を表に示した。
・実施例1の(1−2−1)において、マーキング部の形状を、マーキング部の延長方向と延伸フィルムを構成する分子の配向方向(本例の遅相軸方向)とのなす角が20°の、直線形状とした。
本例では、塗工工程におけるクラックの発生およびフィルム破断の発生は認められず、マーキングカメラ視認性も良好であったが、塗工工程において、フィルムが塗工装置に引っかかり、搬送性に支障があった。
下記点を変えたこと以外は実施例1と同一の操作を行い、マーキング部を有する延伸フィルム、塗工層を有する延伸フィルム及び偏光板を製造し、実施例1と同一の方法により評価を行い、結果を表に示した。
・実施例1の(1−2−1)において、マーキング部の形状を、図11に示すように、4個のひし形が連結された形状単位を一つの単位とし、これが、フィルム長さ方向に繰り返された形状とした(表には図示形状と記載)。図11において、C2は比較例2のマーキング部を有する延伸フィルムであり、C21はマーキング部である。
本例では、塗工工程におけるクラックの発生およびフィルム破断の発生は認められず、マーキングカメラ視認性も良好であったが、塗工工程において、フィルムが塗工装置に引っかかり、搬送性に支障があった。
下記点を変えたこと以外は実施例1と同一の操作を行い、マーキング部を有する延伸フィルム、塗工層を有する延伸フィルム及び偏光板を製造し、実施例1と同一の方法により評価を行い、結果を表に示した。
・実施例1の(1−1)において、基材フィルムの厚みを100μmとした。
・実施例1の(1−1)において、基材フィルムの延伸倍率を4.0とした。
・実施例1の(1−2−1)において、マーキング部の形状を、マーキング部の延長方向と延伸フィルムを構成する分子の配向方向(本例の遅相軸方向)とのなす角が1°の、直線形状とした。
・実施例(1−2−1)において、レーザー出力を250Wとした以外は、実施例(1−2−1)と同条件にて処理を行った。
本例では、マーキングカメラ視認性は良好であったが、塗工工程において、フィルムが塗工装置に引っかかり、搬送性に支障が生じ、塗工工程におけるフィルム破断の発生が認められた。
下記点を変えたこと以外は実施例1と同一の操作を行い、マーキング部を有する延伸フィルム、塗工層を有する延伸フィルム及び偏光板を製造し、実施例1と同一の方法により評価を行い、結果を表に示した。
・実施例1の(1−1)において、基材フィルムの厚みを35μmとした。
・実施例1の(1−2−1)において、マーキング部の形状を、延伸フィルムを構成する分子の配向方向(本例の遅相軸方向)とのなす角が1°の、直線形状とした。
・実施例1の(1−1)において、基材フィルムの延伸を、縦延伸機を用いて、延伸温度140℃にてフィルムの長手方向に延伸倍率1.2で延伸した後、テンター延伸機を用いて、延伸温度140℃にてフィルム幅方向に延伸倍率1.2で延伸し、延伸フィルムを得た(遂次2軸延伸)。この延伸フィルムの厚みは25μm、Δnは0.0009であった。
本例では、塗工工程でのフィルム搬送性が良好で、塗工工程におけるクラックの発生およびフィルム破断の発生は認められなかったが、マーキングカメラ視認性が不良であった。
1A,1B…基材フィルムの幅方向の端部
10,20…(マーキング部を有する)延伸フィルム
10P…延伸フィルムの一部
10U,20U…延伸フィルムの上面(マーキング部形成面)
10L,20L…延伸フィルムの下面(面A)
11,21…マーキング部
11A,11B,21A,21B…突出部
H1a,H1b,H1c,H1d…突出高さ
100,200…マーキング部を有する延伸フィルムの製造装置
101…フィルム成形装置
102a,202a…第1の冷却ロール
102b,202b…第2の冷却ロール
102c,202c…第3の冷却ロール
103,107,122,123,203,204,222,223…搬送ロール
104,124,224…押圧ロール
105、125,225…保護フィルム
110…延伸装置
111,115…テンションロール
112,114…調整ロール
113…ヒーター
120,220…欠陥検出器
121,221…マーキング部形成装置
130,230…フィルムロール
211,212…把持子
213,214…ガイドレール
A1,A2…分子の配向方向
A11,A21…フィルム搬送方向
A22…把持子移動方向
θ1,θ2…マーキング部の延長方向と分子の配向方向とのなす角
Claims (4)
- マーキング部を有する延伸フィルムの製造方法であって、
基材フィルムを延伸することにより、当該基材フィルムを構成する分子を配向させた延伸フィルムを得る工程1と、
前記延伸フィルムの品質を検査し、所定の基準を満たさない基準外の部分を検出する工程1−2と、
前記延伸フィルムの、前記基準外の部分に対応する箇所に、マーキング部を形成して、マーキング部を有する延伸フィルムを得る工程2と、を含み、
前記マーキング部は、当該マーキング部の延長方向と、前記分子の配向方向とのなす角が±15°の線形状であり、
前記マーキング部の、前記延伸フィルムの前記マーキング部の設けられた面とは反対側の面Aからの最大突出高さH1は、前記延伸フィルムの厚みT1以下であり、
前記マーキング部を有する延伸フィルムの複屈折Δnが0.0010以上である、延伸フィルムの製造方法。 - 前記基材フィルムを延伸する方法は、縦延伸、横延伸、斜め延伸及びこれらの組み合わせから選ばれる、請求項1に記載の延伸フィルムの製造方法。
- 延伸フィルムと、塗工層または他の部材と、を含む積層体を製造する方法であって、
請求項1又は2に記載の製造方法により得られた延伸フィルム上に、塗工液を塗工する工程3、もしくは、当該延伸フィルムと他の部材とを貼合する工程4を含む、積層体の製造方法。 - 前記マーキング部の位置に基づき、前記基準外の部分を除去する工程5をさらに含む、請求項3に記載の積層体の製造方法。
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