JP2011047629A - 氷の気泡含有率の高いオゾン氷、該オゾン氷の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原料からオゾンを発生させるオゾン発生段階と、オゾン含有気体のマイクロバブルを水槽内の水中に混入するバブル混入水生成段階と、バブル混入水を供給して製氷面にバブルを捕捉させるオゾン氷生成段階のオゾン氷の製造方法及び製造装置によって、氷の気体含有率(体積割合)が6体積%よりも高いことを特徴とするオゾン氷の製造が達成される。
【選択図】図1
Description
該オゾン原料部から供給される原料からオゾンを発生させるオゾン発生装置と、
該オゾン発生装置で発生されたオゾン含有気体と、水槽から供給されるオゾン水および/または外部から供給される水とから、マイクロバブル混入水を生成させるマイクロバブル混入装置と、
前記マイクロバブル混入水から浮揚するマイクロバブルを冷却部材の冷却面下に捕捉し得るように、(a)前記マイクロバブル混入装置で生成されたマイクロバブル混入水を供給する配管の先端部が槽内の下部に設置され、尚且つ(b)前記冷却部材が槽内の上部ないし中央部に配置された水槽と、
少なくとも前記冷却部材の冷却面を冷却するために、前記冷却部材内部の循環流路に冷媒を循環させる冷媒循環装置と、
を有する事を特徴とするオゾン氷の製造装置により達成されるものである。
前記オゾン発生段階で発生されたオゾン含有気体と、水槽から循環(供給)される水および/または外部から供給される水とをマイクロバブル混入装置に導入して、マイクロバブル混入水を生成させるバブル混入水生成段階と、
前記マイクロバブル混入水から浮揚するマイクロバブルを冷却部材の冷却面下に捕捉し得るように、(a)前記マイクロバブル混入装置で生成されたマイクロバブル混入水を供給する配管の先端部が槽内の下部に設置され、尚且つ(b)前記冷却部材が槽内の上部ないし中央部に配置された水槽に、前記バブル混入水生成段階で生成されたマイクロバブル混入水を供給するバブル混入水供給段階と、
前記水槽内のオゾン水をマイクロバブル混入装置に戻して(供給して)生成(再生)されたバブル混入水を再度水槽内に供給・循環することで、冷却部材の冷却面側にマイクロバブルが貯まった(捕捉された)状態を保持しながら、冷却部材内部の循環流路に冷媒循環装置より冷媒を循環させて、少なくとも該冷却部材の冷却面を冷却させ、該冷却面側に気泡を含有したオゾン氷を生成するためのオゾン氷生成段階と、
を有することを特徴とするオゾン氷の製造方法により達成されるものである。
[I]オゾン氷
(1)氷の気体含有率(体積割合)
本発明のオゾン氷は、氷の気体含有率(体積割合)が6体積%よりも高いことを特徴とするものである。氷の気体含有率(体積割合)は、好ましくは7〜42体積%、より好ましくは20〜33体積%、なかでも22〜28体積%である。氷の気体含有率(体積割合)が6体積%以下の場合には、オゾン氷内の気体含有率(オゾン濃度)が十分でなく、オゾン氷による所望の殺菌・脱臭作用の有効期間が短く、高価なオゾン氷のみを大量使用してもなお生鮮食品の輸送や貯蔵時に十分な保冷と共に十分な殺菌・脱臭作用を保持し得ないという問題があった。またオゾン氷内の気体含有率(オゾン濃度)が十分でない為、通常の安価な氷と混ぜて使用することは極めて困難であり、高価なオゾン氷のみを大量供給し、尚且つ頻繁に補充しなければならず、生鮮食品の保存・輸送時の保冷及び殺菌・脱臭作用に要するコストが非常に高くなる問題がある。その結果、全体として輸送及び貯蔵効率(コストを含む)が低下し、食品流通システムへの十分な貢献をもたらすことができないといえる。一方、氷の気体含有率(体積割合)の上限値は制限されるものではなく、42体積%を超える範囲であっても本発明の作用効果を損なわない限り、より一層利用価値の高いものとなる。即ち、気体含有率が高いほどオゾン濃度も高まる点では極めて有効である。その反面、気体含有率の高いオゾン氷では、単位体積中の氷の占める割合は相対的に減少し、保冷時間が低下する傾向にあり、双方のメリット・デメリットを比較考量して、最適な氷の気体含有率(体積割合)を適宜決定すればよい。なお、本発明の製造方法及び製造装置を用いることで、氷の気体含有率(体積割合)が42体積%を超える更に高い値のオゾン氷を十分に製氷可能である。例えば、図3の冷却面角度0°のときの気泡含有率28体積%及び10°のとき22体積%に対し、図12Aに示すように冷却部材への電圧印加により、無印加時に比してさらに約1.5倍以上(28×1.5=42体積%以上、22×1.5=33体積%以上)の気体の含有が可能といえ、更に製氷時間や製氷時の冷却温度などを調整することでより高い気泡含有率を得ることができる。更に水道水の塩素除去や排出されたオゾンガスの再利用を行うことで更に気体中のオゾン濃度も高めることが可能である。
(a)オゾン水の殺菌効果は、大腸菌に対しては、0.3〜0.5ppmで30〜60秒であり、乳酸菌に対しては、0.3〜1.0ppmで30〜60秒である。オゾン水の脱臭効果は、0.5〜5ppmである。
水中では、数分から十分程度、気体では数時間〜数十時間である。ただし、条件よって大きく異なる為、使用用途ごとに事前実験を行い、十分な保冷及び殺菌・脱臭効果がどの程度の時間継続しているか、確認するのが望ましい。
オゾン氷の溶存オゾン濃度と気泡含有オゾン濃度の合計が、現状、概ね25ppm程度である。オゾン氷の溶存オゾン濃度と気泡含有オゾン濃度の合計が1〜5ppm程度であれば、気泡含有オゾンと溶解した際のオゾン水により殺菌・脱臭作用を十分に発揮することができる。また、通常の氷との混合氷としても利用可能である。一方、オゾン氷の溶存オゾン濃度が飽和濃度以下であれば、過飽和状態となることなく、飽和濃度で溶存させることができ、溶解した際のオゾン水の高い殺菌・脱臭作用を長期間にわたり十分に発揮することができる。また、通常の氷との混合氷としても利用可能である。
(2)氷の気泡サイズ(気泡径)の平均値
本発明の氷の気泡サイズ(気泡径)の平均値は、70μm〜135μm、好ましくは70μm125μm、より好ましくは70〜80μmの範囲であることが望ましい。氷の気泡サイズ(気泡径)の平均値が、上記範囲内であれば、オゾン氷中に略均等に分布した状態で含有されており、解氷時に適度な間隔で各独立気泡がはじけて(崩壊して)、周囲の生鮮食品に適度な量のオゾン含有気体を徐放(供給)し続けることができ、生鮮食品の保存・輸送時の長期間の保冷及び殺菌・脱臭を有効に作用継続できる点で優れている。ただし、本発明の作用効果を損なわない限り、上記範囲に何ら制限されるものではない。
本発明のオゾン氷は、水道水または地下水から塩素を除去した水を用いて製氷されてなることが望ましい。蒸留水やイオン交換水等の純水は水道水や地下水に比して製造コストが高く、非常に高コストになる。一方、安価な水道水または地下水を用い、浄水器に用いられている中空糸(繊維束)フィルターや紫外線照射により塩素を吸着ないし分解、除去した水を用いるのが安価である。また塩素を除去した水道水または地下水を用いることで、オゾン水中のオゾンと塩素との反応によりオゾンが分解され、オゾン濃度の低下を招くのを効果的に防ぐことができ、水に溶存したオゾンおよびオゾン含有マイクロバブル量の増加効果が得られる点でも優れている(実施例5及び図4参照)。
本発明の高い氷の気体含有率を有するオゾン氷と通常の安価な氷とを適当な割合で混ぜて使用することで、所望の殺菌・脱臭作用を有効に発現させることも使用用途(生鮮食品の種類や保存・輸送方法など)によっては十分可能となる。その結果、全体として輸送及び貯蔵効率(コストを含む)が飛躍的に向上し、食品流通システムに大きな貢献をもたらすことができる。特に上記した(1a)殺菌・脱臭効果のあるオゾン水濃度、(a)オゾン水の殺菌効果、(b)オゾンガスの殺菌・脱臭効果、及び(c)オゾン半減期等を十分勘案して、使用用途に応じた保冷及び殺菌・脱臭効果を長期間保持し得て、尚且つより安価な混合氷を調整すればよい。これにより、保冷及び殺菌・脱臭効と低コスト化の双方を満足する混合氷を調整することができる点で優れている。
本発明の高い氷の気体含有率を有するオゾン氷や上記混合氷の使用用途は、主に生鮮食品の鮮度保持のための保冷効果及び殺菌・脱臭作用にある。本発明の高い氷の気体含有率を有するオゾン氷や上記混合氷を使用し得る生鮮食品としては、特に制限がなく、例えば、生鮮魚貝類、生鮮野菜・果物(この場合には野菜・果物(例えば、葉野菜など)が水に濡れて痛みやすくなるのを防ぐ目的で気体(特にオゾンガス)透過性フィルム等で包装して使用するのがよい。この場合、オゾン氷の気泡に含まれるオゾンガスのみが有効に作用することになる。)、生肉(この場合も生肉、例えば、牛肉等が水に濡れて痛みやすくなるのを防ぐ目的で気体(特にオゾンガス)透過性フィルム(ラップフィルム)等で包装して使用するのがよい。この場合にも、オゾン氷の気泡に含まれるオゾンガスのみが有効に作用することになる。)などが挙げられる。
[Ia]オゾン氷スラリー
(1)オゾン氷スラリーの気体含有率(体積割合)
本発明のオゾン氷スラリーは、氷スラリー中の気体含有率(体積割合)が6体積%よりも高いことを特徴とするものである。本実施形態では、オゾン氷スラリー中の気体含有率(体積割合)は、好ましくは7〜42体積%、より好ましくは20〜33体積%、なかでも22〜28体積%の範囲であるのが望ましい。オゾン氷スラリーの気体含有率(体積割合)が6体積%以下の場合には、オゾン氷スラリー内の気体含有率(オゾン濃度)が十分でなく、オゾン氷スラリーによる所望の殺菌・脱臭作用の有効期間が短く、高価なオゾン氷スラリーのみを大量使用してもなお生鮮食品の輸送や貯蔵時に十分な保冷と共に十分な殺菌・脱臭作用を保持し得ないという問題があった。またオゾン氷スラリー内の気体含有率(オゾン濃度)が十分でない為、通常の安価な氷スラリーと混ぜて使用することは極めて困難であり、高価なオゾン氷スラリーのみを大量供給し、尚且つ頻繁に補充しなければならず、生鮮食品の保存・輸送時の保冷及び殺菌・脱臭作用に要するコストが非常に高くなる問題がある。その結果、全体として輸送及び貯蔵効率(コストを含む)が低下し、食品流通システムへの十分な貢献ももたらすことができないといえる。一方、オゾン氷スラリー中の気体含有率(体積割合)の上限値は制限されるものではなく、45体積%を超える範囲であっても本発明の作用効果を損なわない限り、より一層利用価値の高いものとなる。即ち、気体含有率が高いほどオゾン濃度も高まる点では極めて有効である。その反面、気体含有率の高いオゾン氷スラリーでは、単位体積中のオゾン氷スラリーの占める割合は相対的に減少し、保冷時間が低下する傾向にあり、双方のメリット・デメリットを比較考量して、最適なオゾン氷スラリーの気体含有率(体積割合)を適宜決定すればよい。なお、本発明の製造方法及び製造装置を用いることで、オゾン氷スラリーの気体含有率(体積割合)が45体積%を超える更に高い値のオゾン氷スラリーを十分に製氷可能である、例えば、図3の冷却面角度0°のときの気泡含有率28体積%及び10°のとき22体積%に対し、図12Aに示すように冷却部材への電圧印加により、無印加時に比してさらに約1.5倍以上(28×1.5=42体積%以上、22×1.5=33体積%以上)の気体の含有が可能といえ、更に製氷時間や製氷時の冷却温度などを調整することでより高い気泡含有率を得ることができる。更に水道水の塩素除去や気化したガスの再利用を行うことで更に気体中のオゾン濃度も高めることが可能である。
本発明のオゾン氷スラリーは、プロピレングリコールまたはエタノールまたは所定濃度の塩水等のオゾン氷スラリー化し得る添加剤を、0体積%を超えて25体積%まで含有してなるものが利用可能である。特にオゾン氷スラリー化(水溶液化)のために食品添加物であるプロピレングリコール(PG)またはエタノール(EtOH)または所定濃度の塩水等を使用することで、その添加濃度の調整により、冷蔵温度を制御できる。特に氷の冷蔵温度(0℃)よりも低い冷蔵温度領域下で制御することができ、食品冷蔵が可能となる点で優れている。該添加物の添加濃度は、本発明の作用効果を損なわない範囲内であれば、特に制限されるものではない。好ましくは5体積%以上、より好ましくは10〜15体積%、更に好ましくは20〜25体積%の範囲である。該添加物の添加濃度が、25体積%であれば、通常の食品冷蔵に必要な−18℃程度まで幅広い温度域での食品の冷蔵が可能となる。なお、−18℃程度に冷蔵する場合、こうした食品は水分や油脂が凍結・凝固する程の低温にすることができ微生物の活動を抑え、長期間(社団法人日本冷凍食品協会によると−18℃以下であれば製造後1年程度)にわたって保存することもでき、長期の輸送・保存が実現できる点でも優れている。
本実施形態のオゾン氷スラリーは、上記した本発明の高い氷の気体含有率を有するオゾン氷から、(a)ハーベスト法にて剥離させた氷を氷削装置を用いて削り取り、オゾン氷スラリーを生成してなるもの、または掻き取り法にて氷掻取装置を用いて掻き取り、オゾン氷スラリーを生成してなるものであってもよい。詳しい製造方法については、後述するが、いずれの方法も、生成されたオゾン氷(溶解オゾン及びオゾン気泡を含む)から削り取るか、あるいか掻き取ることで、オゾン氷スラリーを生成することができる点で、簡単に生成でき、添加剤を含まず添加剤に要するコストが不要であり、また溶解後は水になるため、後処理(洗浄、回収等)も不要である点で優れている。
本発明の高い氷の気体含有率を有するオゾン氷スラリーや上記混合氷スラリーの使用用途は、主に生鮮食品の鮮度保持のための保冷効果及び殺菌・脱臭作用にある。本発明の高い氷の気体含有率を有するオゾン氷スラリーや上記混合氷スラリーは、流動性がよく、熱負荷追従性がよく、鮮魚などに隙間無くオゾン氷スラリーを行き渡らせることができる。該オゾン氷スラリーを使用し得る生鮮食品としては、特に制限がなく、例えば、生鮮魚貝類、生鮮野菜・果物(特に皮の厚いキュウリ、トマト、スイカ、メロン等には直接適用可能である(一方、皮の厚くない場合には野菜・果物(例えば、葉野菜や桃や葡萄など)が水に濡れて痛みやすくなるのを防ぐ目的で気体(特にオゾンガス)透過性フィルム等で包装して使用するのがよい。この場合、オゾン氷スラリーの気泡に含まれるオゾンガスのみが有効に作用することになる。)、生肉(この場合も生肉、例えば、牛肉等が水に濡れて痛みやすくなるのを防ぐ目的で気体(特にオゾンガス)透過性フィルム(ラップフィルム)等で包装して使用するのがよい。この場合にも、オゾン氷スラリーの気泡に含まれるオゾンガスのみが有効に作用することになる。)などが挙げられる。
また、本発明の高い気泡含有のオゾン氷またはオゾン氷スラリーは、以下に示す製造装置を用い、以下に示す製造方法を利用して、製氷または製氷スラリー化されてなる気泡含有のオゾン氷またはオゾン氷スラリーであって、該オゾン氷またはオゾン氷スラリーの気泡含有率(体積割合)が6体積%より高いことを特徴とするものである。以下にその製造装置および製造方法を説明する。
本発明のオゾン氷の製造装置は、オゾン原料部と、
該オゾン原料部から供給されるオゾン原料からオゾンを発生させるオゾン発生装置と、
該オゾン発生装置で発生されたオゾン含有気体(酸素+オゾン)と、水槽から循環されるオゾン水および/または外部から供給される水とから、マイクロバブル混入水を生成させるマイクロバブル混入装置と、
冷却部材の冷却面(製氷面)下にマイクロバブルを捕捉し得るように、前記マイクロバブル混入装置で生成されたマイクロバブル混入水を供給する配管先端部と、前記冷却部材と、が槽内部に配置された水槽と、
少なくとも前記冷却部材の冷却面を冷却し得るように、前記冷却部材内部の循環流路に冷媒を循環させる冷媒循環装置(冷却装置)と、
前記水槽内に供給されたマイクロバブル混入水中のマイクロバブルが液面上に浮揚してガス化した(オゾン+酸素)成分を水槽内から系外に排気するための排気管および/または前記マイクロバブル混入水中のマイクロバブルが液面上に浮揚してガス化した(オゾン+酸素)成分を水槽内から前記オゾン発生装置に供給するための供給管と、
を有する事を特徴とするものである。
図1に示すように、本実施形態のオゾン氷の製造装置10は、まずオゾン原料部11を有する。
次に、本実施形態のオゾン氷の製造装置10では、前記オゾン原料部11の1種である酸素貯蔵部(酸素ボンベ)から配管13を通じて供給されるオゾン原料(酸素)からオゾンを発生させるオゾン発生装置15を有する。
次に、本実施形態のオゾン氷の製造装置10では、前記オゾン発生装置15から配管17を通じて供給されるオゾン含有気体(=オゾン+酸素)と、水槽33から配管19を通じて供給(循環)されるオゾン水および/または外部から配管21を通じて供給される水とから、マイクロバブル混入水を生成させるマイクロバブル混入装置23を有する。
本実施形態のオゾン氷の製造装置10では、前記マイクロバブル混入装置23に水槽33から循環される水を供給する配管19の経路上および/または外部から水を供給する配管21の経路上に塩素除去装置47を設置してなるのが望ましい。図1では、配管21の経路上に塩素除去装置47を設けた例を示す。
次に本実施形態のオゾン氷の製造装置10では、冷却部材27の冷却面下27aに該マイクロバブル29を捕捉し得るように、前記マイクロバブル混入装置23で生成されたマイクロバブル混入水を供給する配管先端部25aと、前記冷却部材27とが槽内部に配置された水槽33を有する。
上記水槽33には、冷却部材下方の製氷面(冷却面=伝熱面)27a下に該マイクロバブル29を捕捉するように、平板状の冷却部材27が水平(水平な液面に対して平行)に備えられてなるものである。
冷却部材27の形状としては、四角形(矩形)の平板状(図2A1)のほか、三角形、菱形、五角形、六角形などの任意の角形の平板状(いずれも下向き冷却)、円形、楕円形などの平板状(いずれも下向き冷却)、波板状(下向き冷却)、半球状(図2B1)等の球の表面から直径の1/2までの任意の深さで水平に切断した上部球体状(図2C1)(いずれも下向き冷却)、半円筒状(図2G1)、円筒状(図2D1)、断面が三角、四角等の任意角の筒状(内側に氷を生成)などが挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。例えば、図2E1に示すような三角屋根の形状(平板を側面が三角形になるように二つ折りしてなる形状)、図2F1に示すような湾曲させた平板状の形状など、本願発明の作用効果を損なわない範囲内であれば、冷却部材の冷却面下にマイクロバブルが捕捉し得るような形状であれば、如何なる形状であってもよい。
また、本発明の冷却部材27の冷却面角度も、本発明の作用効果を損なわない範囲内であれば、特に制限されるものではなく、任意の角度に設置可能である。
冷却部材27の材質としては、特に制限されるものではなく、銅、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼板(SUS)などが利用可能である。なかでも熱伝導性、展延性(加工性)に優れる銅などが有効に利用可能である。これは、冷却速度が速い方が、気泡を氷内に補足(含有)し易い。そのために熱伝導率の高い銅が好ましい。但し、銅の場合、表面にオゾンによる腐食を防止するために、無電解ニッケルメッキ等の熱伝導性、オゾン耐性に優れる皮膜を施すのがより望ましい。また、アルミニウム、鉄もメッキを施す必要がある。逆に熱伝導率は銅に比べて1/25程度であるが耐食性に優れるSUS等も連続生産するような場合には、メンテナンスや交換時期が遅くても良いので利用しやすいといえる。なお、冷却部材27全体を熱伝導性に優れる部材とする必要は必ずしもなく、例えば、図1では、冷却部材27の下半分(冷却面=伝熱面側)のみを熱伝導性に優れる部材とし、冷却部材27の上半分は、断熱性に優れる材料や熱を反射する材料として冷媒による冷却効果を高める構造としても良い。また、製氷後にオゾン氷を冷却部材27から簡単に剥がしやすいように、剥離性のよいポリマーフィルム等を熱伝導性に影響与えない程度の薄膜フィルムとして冷却部材27の冷却面=伝熱面側に被覆してもよい。
本実施形態のオゾン氷の製造装置10では、前記冷却部材27に電圧を印加するための電源装置47を更に備えてなることが望ましい。これは、本発明で発生させるマイクロバブルは帯電しており、冷却部材27への電圧印加により、液面上に浮揚していたマイクロバブル29についても、冷却面27a下に電気的に引き付け補足した状態で保持しておくことができる(冷却面27a下でのバブル量が増加する)点で優れている。
次に本実施形態のオゾン氷の製造装置10では、少なくとも前記冷却部材27の冷却面27aを熱伝導効果を利用して冷却するために、前記冷却部材27内部の循環流路35に冷媒(図示せず)を循環させる冷媒循環装置(冷却装置)37を有する。但し、本発明では、上記実施形態に何ら制限されるものではない。
次に本実施形態のオゾン氷の製造装置10では、前記水槽33内に供給されたマイクロバブル混入水中のマイクロバブル29が水槽33の液面上に浮揚してガス化した成分(オゾン+酸素)を水槽33内から系外に排気するための排気管41および/または前記マイクロバブル混入水中のマイクロバブル29が液面上に浮揚してガス化した成分(オゾン+酸素)を水槽33内から前記オゾン発生装置15に供給するための供給管43を有する。
また、本実施形態のオゾン氷の製造装置10では、前記マイクロバブル混入水中のマイクロバブル29が液面上に浮揚してガス化した成分(オゾン+酸素)中に水蒸気(水分)が含まれている場合がある。そうした場合には、前記オゾン発生装置15(特に放電式オゾン発生装置の場合)に前記ガス化した成分を供給する配管43の経路内に水分除去手段45を更に備えてなるのが望ましい。ガス化した成分中の水分除去後の再利用により、オゾン発生装置15からマイクロバブル混入装置23を経て得られるマイクロバブル混合水中の溶存オゾン濃度およびマイクロバブル内のオゾン濃度、更に該マイクロバブル量自身も増加し得る点で優れている。また、ガス化した成分中に水分(湿度)を含むオゾンは腐食性が高い為、マイクロバブル混入装置23内に供給する前に、できれば水槽から取り出した直後に水分除去を行うのが望ましい(図1の設置位置参照のこと)。
[IIa]第1実施形態のオゾン氷スラリーの製造装置
本発明の第1実施形態のオゾン氷スラリーの製造装置は、[II]で上述したオゾン氷の製造装置10に、更に、オゾン氷スラリー化し得る添加剤の貯蔵部51と、該貯蔵部51からマイクロバブル混入装置23に、当該装置23に供給される水に対して所定の割合(体積比率)で前記添加剤を供給するために流量調整装置53を備えた供給経路(配管)55と、を備えてなることを特徴とするものである。かかる構成のオゾン氷スラリーの製造装置では、オゾン氷39を水溶液化することで、液温が下がりオゾン溶解度を増加させることができる。また、オゾン氷スラリー(39a)は流動性を有し、熱負荷追従性が良い。そのため、鮮魚などの形状に沿って隙間無くオゾン氷スラリー(39a)を充填(供給)することができ、保冷性および殺菌・消臭効果を格段に高めることができる。また熱負荷追従性がよく、生成食品の最適貯蔵ないし輸送温度に適合する温度域のオゾン氷スラリー(39a)を提供することができ、生成食品の鮮度保持効果を格段に高め、長期間安定して鮮度保持が可能となる。また、必要があれば、生鮮食品を急速冷凍(−18℃以下)に保存して鮮度保持する場合にも、当該熱負荷追従性がよく、例えば、前記添加剤として食品添加物の一種であるプロピレングリコール(PG)を用いる場合、該PGの初期濃度を25体積%以上にすることで−18℃以下の温度域での冷蔵が可能なオゾン氷スラリー(39a)を提供することができる。
本実施形態のオゾン氷スラリーの製造装置10Aでは、オゾン氷をスラリー化し得る添加剤の貯蔵部51を有する。
上記添加剤としては、オゾン氷スラリー化し得るものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、プロピレングリコール(PG)またはエタノールまたは所定濃度の塩水(好ましくは、オゾン氷スラリー中に塩分濃度を海水中の塩分の濃度になるように調整)等が挙げられる。ただし、これらに何ら制限されるものではない。
本発明の装置10では、前記貯蔵部51からマイクロバブル混入装置23に、当該装置23に供給される水に対して所定の割合で前記添加剤を供給するために流量調整装置53を備えた供給経路(配管)55を有する。
[IIb]第2実施形態のオゾン氷スラリーの製造装置
本発明の第2実施形態のオゾン氷スラリーの製造装置は、[II]で上述したオゾン氷の製造装置10に、更に冷却部材27の冷却面27a上に生成されたオゾン氷39を、(a)ハーベスト法にて剥離させた氷を削り取る氷削装置、または(b)掻き取り法にて掻き取る装置(図示せず)を備えてなることを特徴とするものである。
[III]オゾン氷の製造方法
本発明のオゾン氷の製造方法は、上記した[II]本発明のオゾン氷の製造装置を利用して、所望のオゾン氷を製造する方法である。そのため、本製造方法に用いる装置構成(更には製造条件の一部)については、既に、上記した[II]において詳しく説明しているため、ここでの説明は省略する。
前記オゾン発生段階で発生されたオゾン含有気体と、水槽から供給される水および/または外部から供給される水とをマイクロバブル混入装置に導入して、マイクロバブル混入水を生成させるバブル混入水生成段階と、
前記バブル混入水生成段階で生成されたマイクロバブル混入水を、冷却部材の冷却面下にマイクロバブルが捕捉し得るように、該バブル混入水の供給配管の先端部と、前記冷却部材と、が槽内部に配置された水槽に供給するバブル混入水供給段階と、
前記バブル混入水供給段階により、冷却部材の冷却面側にマイクロバブルが捕捉された状態で、冷却部材内部の循環流路に冷媒循環装置より冷媒を循環させて、少なくとも該冷却部材の冷却面を冷却させ、該冷却面側に気泡を含有したオゾン氷を生成するためのオゾン氷生成段階と、
前記オゾン氷生成段階中に、水槽内に供給されたバブル混入水中のマイクロバブルがガス化した成分を水槽から系外に排気するための排気工程、および/または、該バブル混入水中のバブルがガス化した成分を前記オゾン発生装置に供給管を通じて供給するガス化成分の再利用工程と、
を有することを特徴とするものである。
まず、本発明のオゾン氷の製造方法では、オゾン原料部11から配管13を通じて供給される原料をオゾン発生装置15にてオゾンを発生させるオゾン発生段階を有する。
次に、本発明のオゾン氷の製造方法では、前記オゾン発生段階のオゾン発生装置15で発生されたオゾン含有気体(=オゾン+酸素)と、水槽33から配管19を通じて供給(循環)される水および/または外部から配管21を通じて供給される水と、をマイクロバブル混入装置23に導入して、マイクロバブル混入水を生成させるバブル混入水生成段階を有する。
マイクロバブル径が100μmの範囲を超えて大きくなる場合、製氷時にオゾン氷に取り込まれる気泡サイズが大きくなりすぎ、保冷及び殺菌・脱臭を行う際に、大きな気泡が弾けることで、一度に大量のオゾンガスが大気開放されてしまう。そのため、微小気泡が徐々に弾ける場合の除放効果による長期の保冷及び殺菌・脱臭作用が得られにくくなる恐れがある。一方、マイクロバブル径を10μmより小さくすることは装置の性能上困難である。但し、本発明の作用効果を損なわない範囲内であれば、マイクロバブル混入水中のマイクロバブル径及びその平均値が上記範囲を外れる範囲であっても本発明の技術範囲に含まれ得るものである。
また、本発明の製造方法では、バブル混入水生成段階(2)において、前記オゾン発生装置15に水槽33から供給される水を供給する配管19の経路上および/または外部から供給される水を供給する配管21の経路上に設置された塩素除去装置49を用いて水中の塩素(塩素含有成分)除去を行う工程(塩素除去工程)を有するのが望ましい。
次に、本発明の製造方法では、前記バブル混入水生成段階(2)で生成されたマイクロバブル混入水を、連続的または間欠的に、冷却部材27の冷却面27a下にマイクロバブル29が捕捉し得るように、該バブル混入水の供給配管25の先端部25aと、前記冷却部材27と、が槽内部に配置された水槽33に供給するバブル混入水供給段階を有する。
マイクロバブル混入水を、連続的に水槽33内に注入(供給)する場合には、間欠的に供給する場合に比して、含有オゾンマイクロバブル量が増加し、得られるオゾン氷39中への取り込み量の増加につながり、結果的に高い気泡含有率を有するオゾン氷39を形成できる点で優れている。一方、マイクロバブル混入水を、間欠的に水槽33内に注入(供給)する場合には、連続的に供給する場合に比して、マイクロバブル混入水の停止時間や停止時期を調整することで、高い気泡含有率を有するオゾン氷39中の含有バブル(気泡)径の制御が可能となる。その結果、使用用途に応じたオゾンガスの除放効果が得られるオゾン氷39を提供することができる。
バブル混入水の供給配管25の先端部25aと、前記冷却部材27とを水槽33内部に配置して、図1、図2A2、図2A3、図2B2、図2C2、図2D2、図2E2、図2F2、図2G2に示すように、製氷時に、冷却部材27の冷却面27a下に大多数(水槽内中の略全量・略全数)のマイクロバブル29群を集中的に集めて(塊まった状態もしくは集合または集積または凝集した状態に)捕捉した状態を保持することにより、冷却面27a下でオゾン氷39が成長(生成)していく過程で、製氷面に常に大多数のマイクロバブル29郡が存在(集合)した状態を維持できる為、オゾン氷39内に大量のマイクロバブル29を効率よく取り込んで、幾つかのマイクロバブル29同士が結合した大きさの気泡を多数含有させることができる。
そのため、上記配管25の先端部25aは、図1、図2A2、図2A3、図2B2、図2C2、図2D2、図2E2、図2F2、図2G2に示すように、水槽33内の下部であって、平板状の冷却部材27では、その冷却面(製氷面)27a下部(下側)に、また筒状の冷却部材27では、その冷却面(製氷面)27aの内側(内部)にマイクロバブル29を有効に捕捉しやすい位置まで貫通(連通)されてなる(伸長されている)のが望ましい。かかる構成により、配管25の先端部から供給されるマイクロバブル混入水の流れに沿って浮上(浮遊)しながら、冷却部材27下部の製氷面(冷却面)27a下側(または内側)に該マイクロバブル29を有効(=大量)に捕捉することができるためである(図1、図2参照のこと)。したがって、配管25の先端部25aは、マイクロバブル混入水の流速(流量)や水槽33の大きさ、冷却部材27の構造、配置などに応じて最適な位置になるように、適宜、調整できるように、前後方向に伸縮自在で、上下・左右方向に曲げ伸ばし自在な構造とするのが望ましい。
冷却部材27の配置は、図1、図2A2、図2A3、図2B2、図2C2、図2D2、図2E2、図2F2、図2G2に示すように、冷却部材27の冷却面が水槽33内の液面下になるように配置すればよい。
上記図1〜図11(特に図3)より、本発明の平板状の冷却部材27の冷却面角度(伝熱面姿勢)は、好ましくは0°(水平)〜60°、好ましくは0°〜45°、より好ましくは10〜45°、特に好ましくは10〜15°の範囲である。図3Aより、冷却面角度が増加するに伴い、気泡含有率(体積%)が減少していくことがわかる。冷却面角度が0°のときが気泡含有率が約28体積%であるのに対して、冷却面角度が90°では気泡含有率が7体積%程度である。
マイクロバブル混入水の注入量は、水槽33の大きさ、冷却部材27の形状、該冷却面(製氷面)27aの大きさや形状、製氷温度、製氷速度などから、マイクロバブル混入水により水槽33に注入される必要なマイクロバブル29の供給量が決まる。即ち、水槽33に備えられた却部材27の冷却面(製氷面)27aの下側(または内側)に、製氷速度により、単位時間当たりにオゾン氷39内部に取り込まれるマイクロバブル29の量が決まる為、それを補うだけのマイクロバブル29の量を供給(補充)すればよく、マイクロバブル29の供給量が決まる。そこで、こうしたマイクロバブル29の供給量を補充するのに必要なマイクロバブル混入水の注入量を適宜決定すればよい。即ち、マイクロバブル混入水中のマイクロバブル29の量は任意に調節可能であるため、必要なマイクロバブル29の供給量が決まれば、適当なマイクロバブル混入水の注入量も自ずと決定し得るものである。大体の目安としては、水槽33へのマイクロバブル混入水の流量は、5L/minである。これは、オゾン水31を配管19を通じてマイクロバブル混入装置23へ供給する際の供給流量であり、更にマイクロバブル混入装置23から再び配管25を通じて水槽33への供給(循環)に至るマイクロバブル混入水の循環速度(供給流量)といえるものである。水槽33へのマイクロバブル混入水の流量が5L/min程度であれば、水槽33へのマイクロバブル混入水中のマイクロバブル29の却部材27の冷却面(製氷面)27aの下側(または内側)への供給が十分であり、高い気泡含有率を有するオゾン氷を製法することができる。水槽33へのマイクロバブル混入水の流量が5L/min程度であれば、水槽33へのマイクロバブル混入水中のマイクロバブル29が過剰となって、補足し切れずに液面上に浮揚しガス化してしまうマイクロバブル量を抑制でき、高い気泡含有率を有するオゾン氷を製法することができる。
ここで、マイクロバブル混入水中のマイクロバブル29の量は、特に制限されるものではないが、現行装置では8〜11体積%である。但し、現行装置での上記範囲内に何ら制限されるものではなく、上記範囲外であっても本発明の作用効果を奏する事ができる範囲内であれば、本発明の技術範囲に含まれるものであることは言うまでもない。マイクロバブル混入水中のマイクロバブル29の量が現行装置で8体積%未満の場合には、マイクロバブル混入水の注入速度(=配管19からマイクロバブル混入装置23を経て配管25から水槽33への供給に至る循環速度全体)を高めて、必要なマイクロバブル29の供給量を補う必要があり、強力な循環装置(ポンプ)が必要となる他、マイクロバブル混入装置23への負荷が増大し、装置のメンテナンスや交換時期が早まる等のコストアップにつながるおそれがある。マイクロバブル混入水中のマイクロバブル29の量が現行装置で11体積%を超える場合には、マイクロバブル混入水中のマイクロバブル29量が大きく高密度化し、尚且つマイクロバブル混入水の注入速度(=配管19からマイクロバブル混入装置23を経て配管25から水槽33への供給に至る循環速度全体)が遅くなるため、配管25を緩やかに搬送される途中にマイクロバルブ29同士が結合して気泡サイズが大きくなるものが増加する恐れがある。また、大量のマイクロバルブ29を含む気液混合水を移送する必要上、強力な循環装置(ポンプ)が必要となる。マイクロバブル混入水中のマイクロバブル29の量の測定方法が、気泡の含有による体積増加量の測定などにより計測することができる。
次に本発明の製造方法では、前記バブル混入水供給段階(3)により、冷却部材27の冷却面27の下側(または内側)にマイクロバブル29が捕捉された状態で、冷却部材27内部の循環流路35に冷媒循環装置37より冷媒を循環させて、少なくとも該冷却部材27の冷却面27aを冷却させ、該冷却面27の下側(または内側)に気泡29aを含有したオゾン氷39を生成するためのオゾン氷生成段階を有する。
ここで、上記冷媒(ブライン;不凍液を含む)としては、下記冷却部材27の冷却面27aを下記に示す冷却温度域まで冷却できるものであれば、特に制限されるものではなく、上記製造装置で説明したものと同様のものが利用できる。具体的には、エチレングルコール、エタノールなどのブライン、アンモニア、炭酸ガス、亜硫酸ガス、代替フロンなどの冷媒などが挙げられるが、これらに何ら制限されるものではない。該塩化物の溶液(ブライン)では、その濃度を調節することにより凍結温度を調整することができ、冷却部材27の冷却面27aを下記に示す冷却温度域まで冷却できる。
また、冷媒の温度は、−20〜−22℃の範囲である。該冷媒の温度が−20℃を超える高温の場合には、熱伝導性の良い銅製の冷却部材27を用いたとしても、所定の厚さに製氷するまでに長持間を要し、生産コストが高くなるほか、冷却面温度の上昇により冷却速度が低下し、その結果、気泡の取り込み量が低下するなど望ましくない。一方、該冷媒の温度の下限値は特に制限されないが、−22℃より低温の場合には、使用できる冷媒が制限され、高価な冷媒を必要とし、ランニングコストも高くなる。また、冷媒の粘性の低下による熱伝達率の低下などの問題がある。
冷媒を用いた冷却部材27の冷却面27aの温度は、−6.8〜−13℃、より好ましくは−10〜−13℃の範囲である。該冷却面27aの温度が−6.8℃を超える高温の場合に所定の厚さに製氷するまでに長持間を要し、生産コストが高くなるほか、製氷速度の減少に伴う気泡取り込み量の低下が生じるなど望ましくない。一方、該冷却面27aの温度の下限値は特に制限されない。冷却面27aの温度が低いほど、但し、−13℃より低温の場合には、使用できる冷媒の種類や冷却部材の種類が制限され、高価な冷媒を必要とし、また,ランニングコストも高くなる。
本発明の製造方法では、前記オゾン氷生成段階(4)中に、水槽33内に供給されたバブル混入水中のマイクロバブル29が液面上に浮揚してガス化した成分を水槽33内から系外に排気管41通じて排気するための排気工程および/または該マイクロバブル混入水中のマイクロバブル9が液面上に浮揚してガス化した成分を水槽33内から前記オゾン発生装置15に配管19を通じて供給するガス化した成分の再利用工程を実施する。
排気工程では、水槽33内に供給されたバブル混入水中のマイクロバブル29が液面上に浮揚してガス化した成分を水槽33内から系外に排気管41通じて排気することで、密閉式の水槽33の内圧が上昇し、水槽33や各種配管の接合部などから液漏れしたりするのを防止するものである。かかる排気工程を実施することで、高圧(加圧)条件下で製氷を行う必要がなく、耐圧性の水槽(容器)や配管を用いる必要がなく小型で安価な装置を利用できる点で優れている。よって、本発明の排気工程では、排気管41を設けることなく、密閉式の水槽33ではなく、上部蓋体33aのない水槽33上部を開放系(開口部)とすることで、自然排気させてもよい。
再利用工程では、水槽33内に供給されたマイクロバブル混入水中のマイクロバブル9が液面上に浮揚してガス化した成分を水槽33内から前記オゾン発生装置15に配管19を通じて供給することで、ガス化した成分の再利用(再生)を図ることができるものである。
本発明の製造方法では、前記オゾン氷生成段階(4)中に、上記(4a)の再利用工程を実施する場合には、前記オゾン発生装置15にマイクロバブル混入水中のマイクロバブル29が水槽33の液面上に浮揚してガス化した成分(オゾン+酸素)を供給する配管43経路内に設置した水分除去装置45を用いて、該ガス化した成分から水分除去を行う工程(水分除去工程)を併用するのが望ましい。
水分除去手段45としては、特に制限されるものではなく、本発明の製造装置[II]で説明したように、従来公知の水分除去手段を適宜用いることができる。これは湿度(水分)を含んだオゾンは非常に腐食性が高い為、オゾン発生装置15に戻す前に、好ましくは水槽から取り出し直後に水分除去を行い、腐食を防止するのが望ましい為である。好ましくは、水分除去手段45として、(a)前記ガス化した成分をオゾン発生装置15に供給する配管43経路の一部に、着脱自在な拡径した箇所43aを設け、当該拡径した箇所43に、該ガス化した成分を冷却、除湿(して水分除去)するためのペルチェ素子45aが配置されてなるのが望ましい。あるいは(b)供給管43内部に該ガス化した成分から水分を吸着除去するためのシリカゲル等の吸湿剤45bが充填されてなるのが望ましい。更に前記(a)、(b)を組み合せた構成として、(c)前記拡径した箇所43にペルチェ素子45aを配置し、更にその前方および/または後方の配管43内部にシリカゲル等の吸湿剤45bが充填されてなるものであってもよい。但し、本発明がこれらに何ら制限されるものではない。また、これら水分除去手段45は、1箇所に配置する場合に何ら制限されるものではなく、複数の箇所に多数設置しても良い。特に、定期的な交換が不要なペルチェ素子45aを適当に配置するのが望ましい。シリカゲル等の吸湿剤45bを充填する場合には、水分吸着により徐々に吸湿(水分除去)能が低下するため、オゾン発生装置15に供給するガス化した成分(ドライガス成分)中の水分含有率も経時的に変化するなど、定期的な交換が必要となり、ペルチェ素子に比して、オゾン発生装置15への負荷が発生するおそれがあり、また製造コストが僅かながら高くなる恐れがある。
マイクロバブル混入水中のマイクロバブル29が液面上に浮揚してガス化した成分(オゾン+酸素)中に水蒸気(水分)が含まれているウエットガスからの水分除去工程による水分除去率は、95〜99%、より好ましくは98〜99%である。言い換えれば、水分除去工程による水分除去後のドライガス中の水分含有率は、5%以下、より好ましくは1%以下である。水分含有量が高いほど、オゾン発生装置15の配管が腐食し易くなる。水分除去工程による水分除去後のドライガス中の水分含有率を5%以下にすることで、オゾン発生装置15に供給するガス化した成分(ドライガス成分)に対し、オゾン濃度を高めることができる。その結果、オゾン発生装置15からマイクロバブル混入装置23を経て得られるマイクロバブル混合水中の溶存オゾン濃度およびマイクロバブル内のオゾン濃度、更に該マイクロバブル量自身も増加し得る点で優れている。
本発明の製造方法では、前記オゾン氷生成段階(4)中に、前記冷却部材27に電源装置47を用いて電圧を印加する電圧印加工程を実施するのが望ましい。電圧印加の大きさ等の条件によっては、冷却部材27の冷却面27aでのマイクロバブル29の量は、50%以上増加させることができるためである(図12参照)。
冷却部材27に印加する電圧(好ましくは直流電圧)は、特に制限されるものではなく、上記製造装置で説明したものと同様の電圧値を利用できる。具体的には、0Vを超える電圧値であればよいが、好ましくは50V以上、好ましくは100V以上、より好ましくは100〜300V、特に好ましくは200〜300Vの範囲である。印加電圧の大きさ等の条件によっては、冷却部材27の冷却面27aでのマイクロバブル量は30体積%程度まで増加させることができる(図12A参照)。なお、図12Aの縦軸の壁面(冷却面27a)での気泡の割合(体積%)の平均値は、実際に冷却部材27の冷却面27a下のマイクロバブル(気泡)をシリンジでとって、その中を画像で見て気泡を球体と過程して、画像解析処理して算出した値(サンプル数10回の平均値)を用いたものである。
[IIIa]第1実施形態のオゾン氷スラリーの製造方法
本発明の第1実施形態のオゾン氷スラリーの製造方法は、[III]で上述した本発明のオゾン氷の製造方法に、更にオゾン氷スラリー化し得る添加剤の貯蔵部51からマイクロバブル混入装置23に流量調整装置(例えば、流量調整バルブ等)53を備えた供給経路(=配管55)を通じて、該混入装置23に供給される水の流量に対して所定の割合(体積比率)で前記添加剤を供給する段階を有することを特徴とするものである。
上記添加剤としては、オゾン氷スラリー化し得るものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、プロピレングリコール(PG)またはエタノールまたは所定濃度の塩水(好ましくは、オゾン氷スラリー39a中に塩分濃度を海水中の塩分の濃度になるように調整)等が挙げられる。ただし、これらに何ら制限されるものではない。上記に例示した添加剤であるPGまたはエタノールまたは所定濃度の塩水はいずれも食品添加物であり、オゾン氷スラリー39a中に取り込まれた場合であっても、生鮮食品などの貯蔵や輸送時の保冷に問題なく利用することができる。また、2種以上の上記添加剤を適当に組み合わせて用いてもよい。
オゾン氷スラリーの添加物濃度、即ち、混入装置23に供給される水の流量に対する添加剤濃度(割合;体積比率)としては、5〜25体積%で、好ましくは15〜25体積%、より好ましくは20〜25体積%の範囲である。該添加物濃度が、25体積%であれば、通常の食品冷蔵に必要な−15〜−18℃程度まで幅広い温度域での食品の冷蔵が可能となる為である。なお、−18℃程度に冷蔵する場合、こうした食品は水分や油脂が凍結・凝固する程の低温にすることができ微生物の活動を抑え、長期間(社団法人日本冷凍食品協会によると−18℃以下であれば製造後1年程度)にわたって保存することもでき、長期の輸送・保存が実現できる点でも優れている。
[IIIb]第2実施形態のオゾン氷スラリーの製造方法
本発明の第1実施形態のオゾン氷スラリーの製造方法は、[III]で上述した本発明のオゾン氷の製造方法に、更に冷却部材の冷却面上に生成されたオゾン氷を、(a)ハーベスト法にて剥離させた氷を氷削装置を用いて削り取り、スラリー化する段階、または掻き取り法にて氷掻取装置を用いて掻き取り、スラリー化する段階を有することを特徴とするものである。いずれの方法も、生成されたオゾン氷(溶解オゾン及びオゾン気泡を含む)から削り取るか、あるいは掻き取ることで、オゾン氷スラリーを生成することができる点で、簡単に生成でき、添加剤を含まず添加剤に要するコストが不要であり、また溶解後は水になるため、後処理(洗浄、回収等)も不要である点で優れている。
[V]高い氷の気体含有率(体積割合)を有する味と香りのある氷菓
本発明の味と香りのある氷菓は、上記した本発明の製造装置を用い、上記した本発明の製造方法を利用して、果汁または果汁濃縮還元液または無果汁飲料に、フレーバーのあるガスを注入して製氷または製氷スラリー化されてなる気泡含有の氷または氷スラリーからなる味と香りのある氷菓であって、該氷または氷スラリーの気泡含有率(体積割合)が6体積%より高いことを特徴とするものである。
[VI]高い氷の気体含有率(体積割合)を有する着色された氷菓
また、本発明の着色された氷菓は、上記した本発明の製造装置を用い、上記した本発明の製造方法を利用して、水または食品添加物による着色液に、色のついた(更にはフレーバーのある)ガスを注入して製氷または製氷スラリー化されてなる着色された気泡含有の氷または氷スラリーからなる着色された(更には香りのある)氷菓であって、該氷または氷スラリーの気泡含有率(体積割合)が6体積%より高いことを特徴とするものである。
本実験例1では、図1に示すオゾン氷の製造装置10を用いた製造方法において、平板状の冷却部材27の冷却面27aを水平下面とした場合(図2A2;実施例1)と、垂直側面とした場合(図2A4;比較例1)とで、氷内の気泡含有割合を測定した。ここで、本実験例の実施例1及び比較例1では、水槽33には、立方体形状で、開閉可能な蓋体33aを有する密閉式の水槽であって、該水槽33の内部容積が30L(リットル)であった。水槽33中に貯えたマイクロバブル混入水の量は、満水時20L(製氷により水量及び液面は低下する)に調整した。水槽33内へのマイクロバブル混入水の供給流量は5L/minとした。また冷却部材27には、熱伝導性に優れる銅製の平板状(縦8cm、横8cm、厚さ1cm)の冷却部材であって、該冷却部材27の冷却面27aの面積は64cm2のものを用いた。マイクロバブル混入装置23に水槽33から供給されるオゾン水の温度は、経時的に低下する傾向にあり、実験中(40分間)は2.5〜3.0℃に低下していた。
まず、本実験例の実施例1及び比較例1では、オゾン発生段階(1)では、上記冷却部材27を上記図2A2または図2A4のように設置した装置10を用いて、まず、オゾン原料部(酸素ボンベ)11から配管13を通じて酸素供給量0.45L/min程度で供給される酸素を放電式のオゾン発生装置15にてオゾンを発生させた。
次に、本実験例の実施例1及び比較例1では、バブル混入水生成段階(2)では、前記オゾン発生段階(1)で発生されたオゾン含有気体と、外部から配管21を通じて供給される水道水を、マイクロバブル混入装置23に導入して、マイクロバブル混入水を生成させた。なお、マイクロバブル混入装置23には加圧溶解式装置を用いて行った。
(a)実施例1:平板状の冷却部材27の冷却面27aを水平下面とした場合
実施例1のバブル混入水供給段階(3)では、前記バブル混入水生成段階(2)で生成されたマイクロバブル混入水を、平板状の冷却部材27の冷却面27aの水平下面下にマイクロバブル29が捕捉し得るように、該バブル混入水の供給配管25の先端部25aと、前記冷却部材27とが図2A2に示す位置関係となるように槽内部に配置された水槽33に供給した。水槽33へのマイクロバブル混入水の流量は、5L/minとなるとうに調整して行った。
比較例1のバブル混入水供給段階(3)では、特許文献1等の既存の製造装置と同様に、容器(水槽)の内部に注入した水にマイクロバブルを混入するのに変えて、前記バブル混入水生成段階(2)で生成されたマイクロバブル混入水を注入し、容器(水槽33)の周囲から冷却する構成を模して実験を行った。具体的には、図2A4に示す位置関係となるように、水槽33内部に平板状の冷却部材27の冷却面角度が90°(=容器周囲からの冷却;横向き冷却)となるように水槽33内の周辺(側面)近傍に配置した水槽33に前記バブル混入水生成段階(2)で生成されたマイクロバブル混入水を、供給配管25の先端部25aより供給した。水槽33へのマイクロバブル混入水の流量は、5L/minとなるとうに調整して行った。
(a)実施例1:平板状の冷却部材27の冷却面27aを水平下面とした場合
前記バブル混入水供給段階(3)により、冷却部材27の冷却面27a下にマイクロバブルが捕捉された状態で、冷却部材27内部の循環流路35に冷媒循環装置37より冷媒(ブライン)としてエチレングルコールを用い、該冷媒の温度を−20〜−22℃に調整して循環させて、該冷却部材27の冷却面27aを−13℃に冷却させて、製氷時間40分間として、該冷却面側に気泡を含有したオゾン氷を生成させた。
前記バブル混入水供給段階(3)により、水槽33内部全体にマイクロバブル29が略均等(均一)に分散された状態で、冷却部材27内部の循環流路35に冷媒循環装置37より冷媒としてエチレングリコールを用い、該冷媒の温度を−20〜−22℃に調整して循環させて、該冷却部材27の冷却面27aを−6.8℃に冷却させて、製氷時間40分間として、該冷却面側に気泡を含有したオゾン氷を生成させた。
本実験例の実施例1及び比較例1では、前記オゾン氷生成段階(4)中に、再利用工程として該マイクロバブル混入水中のマイクロバブル29が液面上に浮揚してガス化した成分を水槽33内から前記オゾン発生装置15に配管43を通じて供給することなく、排気工程として、水槽33内に供給されたバブル混入水中のマイクロバブル29が液面上に浮揚してガス化した成分を水槽33内から排気管41を通じて系外に排気させながら実験を行った。
本実験例2でも、図1に示すオゾン氷の製造装置10を用いた製造方法において、冷却部材29として、平板状の冷却部材29を水平(冷却面角度が0°=水平壁)とした冷却部材29から、冷却面角度が10°、15°、20°、25°、30°、45°更には垂直(冷却面角度が90°=垂直壁)とした冷却部材29まで冷却面角度(°)を変化させた際のオゾン氷39内の気泡含有率(体積%)の変化の様子を測定した。その結果を図3Bに示すと共に、得られたオゾン氷の平面からの写真と側面(断面)からの写真を表した図面を図4〜図11に示した。ここで、本実験例でも、水槽33には、立方体形状で、開閉可能な蓋体33aを有する密閉式の水槽であって、該水槽33の内部容積が20L(リットル)のものを用いた。水槽33中に貯えたマイクロバブル混入水の量は、満水時20L(製氷により水量及び液面低下する)に調整した。水槽33内へのマイクロバブル混入水の供給流量は5L/minとした。また冷却部材27には、熱伝導性に優れる銅製の平板状(縦8cm、横8cm、厚さ1cm)の冷却部材であって、該冷却部材27の冷却面27aの面積は64cm2のものを用いた。また、マイクロバブル混入装置23に外部から供給した水道水の温度は約20℃であった。一方、マイクロバブル混入装置23に水槽33から供給されるオゾン水の温度は、経時的に低下する傾向にあり、実験中(40分間)は2.5〜3.0℃に低下していた。
本実験例では、実験例1のオゾン発生段階を行うことなく、バブル混入水生成段階を行った。
バブル混入水供給段階(2)では、前記バブル混入水生成段階(1)で生成されたマイクロバブル混入水を、平板状の冷却部材27の冷却面角度が0°(=水平壁)、10°、15°、20°、25°、30°、45°までは冷却面下にマイクロバブル29が捕捉し得るように、該バブル混入水の供給配管25の先端部25aと、前記冷却部材27とが、例えば、図2A2や図2A3に示すように槽内部に配置された水槽33に供給した。水槽33へのマイクロバブル混入水の流量は、5L/minとなるとうに調整して行った。
本実施例2では、図2A2や図2A3に示すように、平板状の冷却部材27の冷却面角度を0°〜45°(詳しくは、0°(=水平壁)、10°、15°、20°、25°、30°、45°;いずれも下向き冷却)まで傾斜させて水槽上部に設置した。特に図2A2や図2A3に示すように、水槽33に必要量のマイクロバブル混入水が供給された時点で、冷却部材27の冷却面27aが常に水面下にあるように、平板状の冷却部材27が略液面下に浸る位置に配置した。バブル混入水の供給配管25の先端部25aは、水槽33下方に内部に位置し、冷却部材の冷却面角度を0°〜45°(下向き冷却)まで傾斜させた冷却面27下にマイクロバブル29が捕捉し得るように、前後方向に伸縮ないし、上下・左右方向に曲げ伸ばして、位置調整を行った。
平板状の冷却部材27の冷却面角度を90°(横向き冷却)まで傾斜させて場合においては、図2A4に示すように、水槽33内部に設置した。具体的には、実験例1の比較例1と同様の構成とした。即ち、バブル混入水供給段階(2)では、特許文献1等の既存の製造装置と同様に、容器(水槽)の内部に注入した水にマイクロバブルを混入するのに変えて、前記バブル混入水生成段階(2)で生成されたマイクロバブル混入水を注入し、容器(水槽33)の周囲から冷却する構成を模して実験を行った。具体的には、図2A4に示す位置関係となるように、水槽33内部に平板状の冷却部材27の冷却面角度が90°(=容器周囲からの冷却;横向き冷却)となるように水槽33内の周辺(側面)近傍に配置した水槽33に前記バブル混入水生成段階(1)で生成されたマイクロバブル混入水を、供給配管25の先端部25aより供給した。水槽33へのマイクロバブル混入水の流量は、5L/minとなるとうに調整して行った。
(a)平板状の冷却部材27の冷却面角度0°〜45°の場合
前記バブル混入水供給段階(2)により、冷却部材27の冷却面27a下にマイクロバブルが捕捉された状態で、冷却部材27内部の循環流路35に冷媒循環装置37より冷媒としてエチレングリコールを用い、該冷媒の温度を−20〜−22℃に調整して循環させて、該冷却部材27の冷却面27aを−7.5〜−13℃に冷却させて、製氷時間40分間として、該冷却面側に気泡を含有した酸素含有また空気含有氷を生成させた。
前記バブル混入水供給段階(2)により、水槽33内部全体にマイクロバブル29が略均等(均一)に分散された状態で、冷却部材27内部の循環流路35に冷媒循環装置37より冷媒としてエチレングリコールを用い、該冷媒の温度を−20〜−22℃に調整して循環させて、該冷却部材27の冷却面27aを−6.8℃に冷却させて、製氷時間40分間として、該冷却面側に気泡を含有した酸素含有氷を生成させた。
本実験例でも、前記オゾン氷生成段階(3)中に、再利用工程として該マイクロバブル混入水中のマイクロバブル29が液面上に浮揚してガス化した成分を水槽33内から前記オゾン発生装置15に配管43を通じて供給することなく、排気工程(4a)として、水槽33内に供給されたバブル混入水中のマイクロバブル29が液面上に浮揚してガス化した成分を水槽33内から排気管41を通じて系外に排気させながら実験を行った。
本実験例3では、図1に示すオゾン氷の製造装置10を用いた製造方法において、平板状の冷却部材27の冷却面27aを水平下面とした場合(図2A2)と、垂直側面とした場合(図2A4)において、該冷却部材27冷却面27aへの印加電圧(0〜400V)と、オゾン水中の冷却面でのオゾンマイクロバブル平均増加割合の関係及び(オゾン氷中の含有気泡率)/(オゾン水中の冷却面でのマイクロバビル含有率)の割合を測定した。ここで、本実験例でも、水槽33には、立方体形状で、開閉可能な蓋体33aを有する密閉式の水槽であって、該水槽33の内部容積が30L(リットル)であった。水槽33中に貯えたマイクロバブル混入水の量は、満水時20L(製氷により水量及び液面低下する)に調整した。水槽33内へのマイクロバブル混入水の供給流量は5L/minとした。また冷却部材27には、熱伝導性に優れる銅製の平板状(縦8cm、横8cm、厚さ1cm)の冷却部材であって、該冷却部材27の冷却面27aの面積は64cm2のものを用いた。また、マイクロバブル混入装置23に外部から供給した水道水の温度は約20℃であった。一方、マイクロバブル混入装置23に水槽33から供給されるオゾン水の温度は、経時的に低下する傾向にあり、実験中(40分間)は2.5〜3.0℃に低下していた。
まず、本実験例3では、実験例1の実施例1及び比較例1と同様にしてオゾン発生段階(1)を実施した。
次に、本実験例3では、実験例1の実施例1及び比較例1と同様にしてバブル混入水生成段階(2)を実施した。
次に、本実験例3では、実験例1の実施例1及び比較例1と同様にしてバブル混入水供給段階(3)を実施した。
次に、本実験例3では、実験例1の実施例1及び比較例1と同様にしてオゾン氷生成段階(4)を実施した。但し、本実験例2では、製氷時間(40分間)中に直流電源装置47を冷却部材27に接続し、冷却部材27の冷却面27aに、0V、100V、200V、300V及び400Vの電圧をそれぞれ印加して、該冷却面側に気泡を含有したオゾン氷を生成させた。
次に、本実験例3では、実験例1の実施例1及び比較例1と同様にして、前記オゾン氷生成段階(4)中に、再利用工程を実施することなく、排気工程(4a)を実施して実験を行った。
本実験例4では、図1に示すオゾン氷の製造装置10を用いた製造方法において、平板状の冷却部材27の冷却面27aを水平下面とした場合(図2A2)において、オゾンマイクロバブル混入水の注入法を連続的または間欠的に行って、得られるオゾン氷39中の気泡径の変化の様子を測定した。ここで、本実験例4でも、実験例1と同様に、水槽33には、立方体形状で、開閉可能な蓋体33aを有する密閉式の水槽であって、該水槽33の内部容積が30L(リットル)であった。水槽33中に貯えたマイクロバブル混入水の量は、満水時20L(製氷により水量及び液面低下する)に調整した。水槽33内へのマイクロバブル混入水の供給流量は5L/minとした。また冷却部材27には、熱伝導性に優れる銅製の平板状(縦8cm、横8cm、厚さ1cm)の冷却部材であって、該冷却部材27の冷却面27aの面積は64cm2のものを用いた。また、マイクロバブル混入装置23に外部から供給した水道水の温度は約20℃であった。一方、マイクロバブル混入装置23に水槽33から供給されるオゾン水の温度は、経時的に低下する傾向にあり、実験中(40分間)は2.5〜3.0℃に低下していた。
まず、本実験例4では、実験例1の実施例1と同様にしてオゾン発生段階(1)を実施した。
次に、本実験例4では、実験例1の実施例1と同様にしてバブル混入水生成段階(2)を実施した。
次に、本実験例4では、実験例1の実施例1と同様にしてバブル混入水供給段階(3)を実施した。但し、本実験例では、連続的に注入する実施例Aと、間欠的に注入する実施例として、15分注入1分停止を繰り返す実施例Bと、30分注入1分停止を繰り返す実施例Cとを行った。なお、注入、停止、注入(再開)、・・の操作は、図1中には図示していないが、配管13、17、19(または21)、25にはいずれも連動式の開閉バルブが設置されており、オゾンマイクロバブル混入水の注入を開始(始動)する場合には、これら全てのバルブが連動して開くようにコントロールした。次に、オゾンマイクロバブル混入水の注入を停止する場合には、これら全てのバルブが連動して閉じ、更にその後、オゾンマイクロバブル混入水の注入を再開(再始動)する場合には、これら全てのバルブが連動して開くようにコントロールして、間欠的にオゾンマイクロバブル混入水の注入を実施した。
次に、本実験例4では、実験例1の実施例1と同様にしてオゾン氷生成段階(4)を実施した。
次に、本実験例4では、実験例1の実施例1と同様にして、前記オゾン氷生成段階(4)中に、再利用工程を実施することなく、排気工程(4a)を実施して実験を行った。
本実験例5では、図1に示すオゾン氷の製造装置10を用いた製造方法において、オゾン氷生成段階(4)中に再利用工程(4a)として、該マイクロバブル混入水中のマイクロバブル29が液面上に浮揚してガス化した成分を水槽33内から配管43の経路上43aに設けた水分除去装置45で水分を除去した後に前記オゾン発生装置15に配管43を通じ供給(再利用)しながら実験を行って、得られるオゾン氷39中の溶存オゾン濃度及び含有気泡中のオゾンガスの濃度を測定した。ここで、本実験例5でも、実験例1と同様に、水槽33には、立方体形状で、開閉可能な蓋体33aを有する密閉式の水槽であって、該水槽33の内部容積が30L(リットル)であった。水槽33中に貯えたマイクロバブル混入水の量は、満水時20L(製氷により水量及び液面低下する)に調整した。水槽33内へのマイクロバブル混入水の供給流量は5L/minとした。また冷却部材27には、熱伝導性に優れる銅製の平板状(縦8cm、横8cm、厚さ1cm)の冷却部材であって、該冷却部材27の冷却面27aの面積は1cm2のものを用いた。また、マイクロバブル混入装置23に外部から供給した水道水の温度は約20℃であった。一方、マイクロバブル混入装置23に水槽33から供給されるオゾン水の温度は、経時的に低下する傾向にあり、実験中(40分間)は2.5〜3.0℃に低下していた。
まず、本実験例5では、実験例1の実施例1と同様にしてオゾン発生段階(1)を実施した。
次に、本実験例5では、実験例1の実施例1と同様にしてバブル混入水生成段階(2)を実施した。
次に、本実験例5では、実験例1の実施例1と同様にしてバブル混入水供給段階(3)を実施した。
次に、本実験例5では、実験例1の実施例1と同様にしてオゾン氷生成段階(4)を実施した。
次に、本実験例4では、前記オゾン氷生成段階(4)中に、排気工程を実施することなく、再利用工程を実施して実験を行った。
まず、本実験例6の予備実験6aとして、水道水と、2日間(48時間)放置して紫外線によって塩素を除去した水道水とを使用して、それぞれ、実験例1の実施例1と同様にしてオゾン発生段階(1)、バブル混入水生成段階(2)を実施した。得られたバブル混入水を採取し、オゾン注入後(=マイクロバブル混入装置23での混入時間は短い為、バブル混入水採取後)、時間の経過と共に、水道水を用いて生成されたバブル混入水中の溶存オゾン濃度およびマイクロバブル中のオゾンガス濃度(=「バブル混入水中の溶存オゾン濃度およびマイクロバブル中のオゾンガス濃度」を単に「全オゾン濃度」とする)、及び、2日間放置して紫外線によって塩素を除去した水道水を用いて生成されたバブル混入水中の全オゾンガス濃度を測定し、得られた結果を図4に示す。なお、図13の縦軸の無次元オゾン水濃度[−]=(2日間放置して紫外線によって塩素を除去した水道水を用いて生成されたバブル混入水中の全オゾンガス濃度)/(水道水を用いて生成されたバブル混入水中の全オゾンガス濃度)を表す。図4の結果からから、時間の経過と共に、水道水を用いて生成されたバブル混入水中の全オゾンガス濃度に対して2日間放置して紫外線によって塩素を除去した水道水を用いて生成されたバブル混入水中の全オゾンガス濃度は増加し、約4時間後には、2.5倍程度2日間放置して紫外線によって塩素を除去した水道水を用いて生成されたバブル混入水中の全オゾンガス濃度の方が高い。したかって、製氷には、塩素を除去後使用した水道水を使用した方が有効であることが確認された。以上の結果を踏まえて、以下の本実験例6では本発明のオゾン氷の製造装置10を用いた製造方法により製氷を行った。
まず、本実験例6では、実験例1の実施例1と同様にしてオゾン発生段階(1)を実施した。
次に、本実験例6では、実験例1の実施例1と同様にしてバブル混入水生成段階(2)を実施した。なお、本実験例6では、バブル混入水生成段階(2)において、更に塩素除去工程(2a)として、外部から供給される水道水を供給する配管21の経路上に設置された塩素除去装置49を用いて水中の塩素除去を行いながら実験を行った。
次に、本実験例6では、実験例1の実施例1と同様にしてバブル混入水供給段階(3)を実施した。
次に、本実験例6では、実験例1の実施例1と同様にしてオゾン氷生成段階(4)を実施した。
次に、本実験例3では、実験例1の実施例1及び比較例1と同様にして、前記オゾン氷生成段階(4)中に、再利用工程を実施することなく、排気工程(4a)を実施して実験を行った。
本実験例7では、図1に示すオゾン氷スラリーの製造装置10Aを用いた製造方法において、実験例1の実施例1と同様に平板状の冷却部材27の冷却面27aを水平下面(図2A2)として実験を行い、水から生成する氷スラリー中の含有気泡率を測定した。
まず、本実験例7では、実験例1の実施例1と同様にしてオゾン発生段階(1)を実施した。
次に、本実験例7では、実験例1の実施例1と同様にしてバブル混入水生成段階(2)を実施した。
次に、本実験例7では、実験例1の実施例1と同様にしてバブル混入水供給段階(3)を実施した。
次に、本実験例7では、実験例1の実施例1と同様にしてオゾン氷生成段階(4)を実施した。
本実験例7では、実験例1の実施例1と同様にして、前記オゾン氷生成段階(4)中に、再利用工程を実施することなく、排気工程(4a)を実施して実験を行った。
本実施例7では、オゾン氷生成段階(4)で得られた冷却部材27の冷却面27a上に生成されたオゾン氷39を、ハーベスト法(ここでは、冷却部材27内部の循環流路35に冷媒循環装置37より−20〜−22℃の熱媒(該熱媒には、エチレングリコールを用いた。)を循環させる方法)にて剥離させたオゾン氷39を、氷削装置(図示せず)を用いて削り取り、スラリー化する段階(氷スラリー段階)を実施して、オゾン氷スラリーを生成する実験を行った。
本実験例8では、図1に示すオゾン氷スラリーの製造装置10Aを用いた製造方法において、実験例1の実施例1と同様に平板状の冷却部材27の冷却面27aを水平下面(図2A2)として実験を行い、水溶液から生成するオゾン氷スラリー中の含有気泡率を測定した。
まず、本実験例8では、実験例1の実施例1と同様にしてオゾン発生段階(1)を実施した。
次に、本実験例8では、実験例1の実施例1のバブル混入水生成段階(2)と同様にしてバブル混入水溶液生成段階(2)を実施した。本実験例8では、バブル混入水溶液生成段階(2)中に、更に下記の添加剤供給工程(2a)を実施した。
本実験例8では、バブル混入水溶液生成段階(2)において、前記オゾン発生段階(1)で発生されたオゾン含有気体と、外部から配管21を通じて供給される水道水と、更に、添加剤供給工程(2a)として、貯蔵部51から流量調整バルブ53を備えた配管55を通じて供給されるプロピレングリコール(PG;オゾン氷スラリー化し得る添加剤)を、マイクロバブル混入装置23に導入して、マイクロバブル混入水溶液を生成させた。なお、マイクロバブル混入装置23には加圧溶解式装置を用いて行った。
次に、本実験例8では、実験例1の実施例1のバブル混入水供給段階(3)と同様にしてバブル混入水溶液供給段階(3)を実施した。
次に、本実験例8では、実験例1の実施例1のオゾン氷生成段階(4)と同様にしてオゾン氷スラリー生成段階(4)を実施した。
本実験例8では、実験例1の実施例1と同様にして、前記オゾン氷スラリー生成段階(4)中に、再利用工程を実施することなく、排気工程(4a)を実施して実験を行った。
本実験例9では、実験例1〜8において用いたマイクロバブル混入装置23を加圧溶解式に変えて気液混合せん断式を用いた以外は、各実験例1〜8と同様の条件(装置、製造条件)にて実験を行い、同様の測定を行った。
本実験例10では、図1に示すオゾン氷の製造装置10を用いた製造方法において、平板状の冷却部材27の冷却面27aを水平下面とし、果汁としては年間を通じて容易に入手なオレンジ濃縮還元液(果汁100%)(以下、単に果汁という)を用い、マイクロバブルの作製にはフレーバーのあるガス(ここでは柑橘系のフレーバーガス)を用い、該果汁にフレーバーのある気泡含有の氷菓を作製した。ここで、本実験例では、水槽33には、立方体形状で、開閉可能な蓋体33aを有する密閉式の水槽であって、該水槽33の内部容積が30L(リットル)であった。水槽33中に貯えたマイクロバブル混入果汁の量は、満水時20L(製氷により果汁量及び液面低下する)に調整した。水槽33内へのマイクロバブル混入果汁の供給流量は5L/minとした。また冷却部材27には、表面を腐食性無電解ニッケルメッキした熱伝導性に優れる銅製の平板状(縦8cm、横8cm、厚さ1cm)の冷却部材であって、該冷却部材27の冷却面27aの面積は64cm2のものを用いた。また、マイクロバブル混入装置23に外部から供給した果汁の温度は常温であった。一方、マイクロバブル混入装置23に水槽33から供給される柑橘系フレーバーのあるガス(以下、単にフレーバーガスという)溶存果汁の温度は、経時的に低下する傾向にあり、実験中(40分間)は0℃以下に低下していた。
バブル混入果汁生成段階(1)では、貯蔵部(ガスボンベ)から供給されるフレーバーガスと、外部(果汁貯蔵タンクなど)から配管21を通じて供給される果汁を、マイクロバブル混入装置23に導入して、マイクロバブル混入果汁を生成させた。なお、マイクロバブル混入装置23には加圧溶解式装置を用いて行った。
バブル混入果汁供給段階(2)では、前記バブル混入果汁生成段階(2)で生成されたマイクロバブル混入果汁を、平板状の冷却部材27の冷却面27aの水平下面下にマイクロバブル29が捕捉し得るように、該バブル混入果汁の供給配管25の先端部25aと、前記冷却部材27とが図2A2に示す位置関係となるように槽内部に配置された水槽33に供給した。水槽33へのマイクロバブル混入果汁の流量は、5L/minとなるとうに調整して行った。
前記バブル混入水供給段階(2)により、冷却部材27の冷却面27a下にマイクロバブルが捕捉された状態で、冷却部材27内部の循環流路35に冷媒循環装置37より冷媒としてエチレングリコールを用い、該冷媒の温度を−20〜−22℃に調整して循環させて、該冷却部材27の冷却面27aを−10℃程度に冷却させて、製氷時間40分間として、該冷却面側にフレーバーのある気泡含有氷を生成させた。
本実験例では、前記フレーバーのある気泡含有氷の生成段階(3)中に、排気工程として、水槽33内に供給されたバブル混入果汁中のマイクロバブル29が液面上に浮揚してガス化した成分を水槽33内から排気管41を通じて系外に排気させながら実験を行った。
本実施例では、フレーバーのある気泡含有氷の生成段階(3)で得られた冷却部材27の冷却面27a上に生成されたフレーバーのある気泡含有氷39を、ハーベスト法(ここでは、冷却部材27内部の循環流路35に冷媒循環装置37より−20〜−22℃の熱媒(該熱媒には、エチレングリコールを用いた。)を循環させる方法)にて剥離させたフレーバーのある気泡含有氷39を、氷削装置(図示せず)を用いて削り取り、スラリー化(シャーベット化)する段階(氷スラリー段階ないし氷シャーベット段階)を実施して、フレーバーのある気泡含有氷スラリー(シャーベット)からなる氷菓を生成した。
本実験例11では、図1に示すオゾン氷の製造装置10を用いた製造方法において、平板状の冷却部材27の冷却面27aを水平下面とし、無色透明な水道水に、色のついたフレーバーガス(ここでは柑橘系のフレーバーガスでオレンジ色のついたガス)を用い、色のついた気泡含有氷(=着色氷)を作製した。ここで、本実験例11でも、水槽33には、立方体形状で、開閉可能な蓋体33aを有する密閉式の水槽であって、該水槽33の内部容積が30L(リットル)であった。水槽33中に貯えたマイクロバブル混入水の量は、満水時20L(製氷により水量及び液面低下する)に調整した。水槽33内へのマイクロバブル混入水の供給流量は5L/minとした。また冷却部材27には、熱伝導性に優れる銅製の平板状(縦8cm、横8cm、厚さ1cm)の冷却部材であって、該冷却部材27の冷却面27aの面積は64cm2のものを用いた。また、マイクロバブル混入装置23に外部から供給した水道水の温度は約20℃であった。一方、マイクロバブル混入装置23に水槽33から供給される柑橘系のフレーバーガスでオレンジ色のついたガス(以下、単に着色ガスという)溶存水の温度は、経時的に低下する傾向にあり、実験中(40分間)は2.5〜3℃に低下していた。
バブル混入水生成段階(1)では、貯蔵部(ガスボンベ)から供給される着色ガスと、外部から配管21を通じて供給される水道水を、マイクロバブル混入装置23に導入して、マイクロバブル混入水を生成させた。なお、マイクロバブル混入装置23には加圧溶解式装置を用いて行った。
バブル混入水供給段階(2)では、前記バブル混入水生成段階(2)で生成されたマイクロバブル混入水を、平板状の冷却部材27の冷却面27aの水平下面下にマイクロバブル29が捕捉し得るように、該バブル混入水の供給配管25の先端部25aと、前記冷却部材27とが図2A2に示す位置関係となるように槽内部に配置された水槽33に供給した。水槽33へのマイクロバブル混入水の流量は、5L/minとなるとうに調整して行った。
前記バブル混入水供給段階(2)により、冷却部材27の冷却面27a下にマイクロバブルが捕捉された状態で、冷却部材27内部の循環流路35に冷媒循環装置37より冷媒としてエチレングリコールを用い、該冷媒の温度を−20〜−22℃に調整して循環させて、該冷却部材27の冷却面27aを−10℃程度に冷却させて、製氷時間40分間として、該冷却面側に色のついた気泡含有氷を生成させた。
本実験例11では、前記色のついた気泡含有氷の生成段階(3)中に、排気工程として、水槽33内に供給されたバブル混入水中のマイクロバブル29が液面上に浮揚してガス化した成分を水槽33内から排気管41を通じて系外に排気させながら実験を行った。
本実施例10では、色のついた気泡含有氷の生成段階(3)で得られた冷却部材27の冷却面27a上に生成された色のついた気泡含有氷39を、ハーベスト法(ここでは、冷却部材27内部の循環流路35に冷媒循環装置37より−20〜−22℃の熱媒(該熱媒には、エチレングリコールを用いた。)を循環させる方法)にて剥離させた色のついた気泡含有氷39を、氷削装置(図示せず)を用いて削り取り、スラリー化(シャーベット化)する段階(氷スラリー段階ないし氷シャーベット段階)を実施して、色のついた気泡含有氷スラリー(シャーベット)を生成した。
10A オゾン氷スラリーの製造装置、
11 オゾン原料部、
13、17、19、21、55 配管、
15 オゾン発生装置、
23 マイクロバブル混入装置、
25a 配管25の先端部、
27 冷却部材、
27a 冷却部材の冷却面(製氷面、伝熱面)、
29 オゾン含有マイクロバブル、
29a オゾン含有気泡、
31 オゾン水、
33 水槽、
33a 水槽の蓋部、
35 循環流路、
37 冷媒循環装置(冷却装置)、
39 オゾン氷、
39a オゾン氷スラリー、
39b 溶存オゾンのみを有する氷、
41 排気管、
43 供給管(配管)、
43a 供給管(配管)43の拡径した箇所、
45 水分除去手段、
45a ペルチェ素子、
45b シリカゲル等の吸湿剤、
47 電源装置、
49 塩素除去装置、
51 オゾン氷スラリー化し得る添加剤の貯蔵部、
53 流量調整装置。
Claims (35)
- 氷の気体含有率(体積割合)が6体積%よりも高いことを特徴とするオゾン氷。
- 前記氷の気体含有率(体積割合)が7〜42体積%の範囲であることを特徴とする請求項1記載のオゾン氷。
- 前記氷の気泡サイズ(気泡径)の平均値が、70〜135μmの範囲であることを特徴とする請求項1または2記載のオゾン氷。
- 前記氷が、水道水または地下水から塩素を除去した水を用いてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオゾン氷。
- 氷スラリー中の気体含有率(体積割合)が6体積%よりも高いことを特徴とするオゾン氷スラリー。
- 前記氷スラリー中の気体含有率(体積割合)が7〜42体積%の範囲であることを特徴とする請求項5に記載のオゾン氷スラリー。
- オゾン氷スラリー化し得る添加剤が、0体積%を超えて25体積%まで含有されていることを特徴とする請求項5または6に記載のオゾン氷スラリー。
- 請求項1〜4のオゾン氷からハーベスト法を用いて生成されてなることを特徴とする請求項5または6に記載のオゾン氷スラリー。
- オゾン原料部と、
該オゾン原料部から供給される原料からオゾンを発生させるオゾン発生装置と、
該オゾン発生装置で発生されたオゾン含有気体と、水槽から供給されるオゾン水および/または外部から供給される水とからマイクロバブル混入水を生成させるマイクロバブル混入装置と、
前記マイクロバブル混入水から浮揚するマイクロバブルを冷却部材の冷却面下に捕捉し得るように、(a)前記マイクロバブル混入装置で生成されたマイクロバブル混入水を供給する配管の先端部が槽内の下部に設置され、尚且つ(b)前記冷却部材が槽内の上部ないし中央部に配置された水槽と、
少なくとも前記冷却部材の冷却面を冷却するために、前記冷却部材内部の循環流路に冷媒を循環させる冷媒循環装置と、
を有する事を特徴とするオゾン氷の製造装置。 - 前記冷却部材の冷却面角度が、0°〜60°の範囲に設置された平板状の冷却部材であることを特徴とする請求項9に記載のオゾン氷の製造装置。
- 前記冷却部材の冷却面角度が、10°〜15°の範囲に設置された平板状の冷却部材であることを特徴とする請求項10に記載のオゾン氷の製造装置。
- 前記冷却部材に電圧を印加するための電源装置を更に備えてなることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載のオゾン氷の製造装置。
- 前記電源装置を用いて冷却部材の冷却面に印加する直流電圧が、100〜300Vであること特徴とする請求項12に記載のオゾン氷の製造装置。
- 前記マイクロバブル混入装置に外部から水道水を供給する経路上に、更に必要に応じて前記マイクロバブル混入装置に水槽からオゾン水が供給(循環)される経路上に、塩素除去手段が設置されてなることを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項に記載のオゾン氷の製造装置。
- 前記マイクロバブル混入装置で生成されたマイクロバブル混入水中のマイクロバブル径が10〜100μmであり、尚且つ該マイクロバブル径の平均値が20μmであることを特徴とする請求項9〜14のいずれか1項に記載のオゾン氷の製造装置によっても達成されるものである。
- 前記水槽内に供給されたマイクロバブル混入水中のマイクロバブルが液面上に浮揚してガス化した成分を水槽内から系外に排気するための排気管および/または前記マイクロバブル混入水中のマイクロバブルが液面上に浮揚してガス化した成分を水槽内から前記オゾン発生装置に供給するための供給管と、を更に有する事を特徴とする請求項9〜15のいずれか1項に記載のオゾン氷の製造装置。
- 前記オゾン発生装置にマイクロバブル混入水中のマイクロバブルが水槽の液面上に浮揚してガス化した成分を供給する経路内に、水分除去手段を更に備えてなることを特徴とする請求項9〜16のいずれか1項に記載のオゾン氷の製造装置。
- 前記水分除去手段として、前記ガス化した成分の供給経路内に拡径した箇所を設け、当該拡径した箇所に前記ガス化した成分を冷却、除湿するためのペルチェ素子が設置され、および/または、前記ガス化した成分の供給経路内に前記ガス化した成分から水分を吸着除去するための吸湿剤が設置されてなることを特徴とする請求項17に記載のオゾン氷の製造装置。
- 請求項9〜18に記載の製造装置に、更にオゾン氷スラリー化し得る添加剤の貯蔵部と、該貯蔵部からマイクロバブル混入装置に、当該混入装置に供給される水に対して所定の割合で(体積比率)で前記添加剤を供給するために流量調整装置を備えた供給経路と、を備えてなることを特徴とするオゾン氷スラリーの製造装置。
- 請求項9〜18に記載の製造装置に、更に冷却部材の冷却面上に生成されたオゾン氷に対して、(a)ハーベスト法にて剥離させた該オゾン氷を削り取る氷削装置、または(b)掻き取り法にて直接掻き取ることのできる氷掻取装置を備えてなることを特徴とするオゾン氷スラリーの製造装置。
- オゾン原料部から供給される原料をオゾン発生装置にてオゾンを発生させるオゾン発生段階と、
前記オゾン発生段階で発生されたオゾン含有気体と、水槽から循環される水および/または外部から供給される水とをマイクロバブル混入装置に導入して、マイクロバブル混入水を生成させるバブル混入水生成段階と、
前記マイクロバブル混入水から浮揚するマイクロバブルを冷却部材の冷却面下に捕捉し得るように、(a)前記マイクロバブル混入装置で生成されたマイクロバブル混入水を供給する配管の先端部が槽内の下部に設置され、尚且つ(b)前記冷却部材が槽内の上部ないし中央部に配置された水槽に、前記バブル混入水生成段階で生成されたマイクロバブル混入水を供給するバブル混入水供給段階と、
前記水槽内のオゾン水をマイクロバブル混入装置に供給して生成されたバブル混入水を再度水槽内に供給・循環することで、冷却部材の冷却面側にマイクロバブルが捕捉された状態を保持しながら、冷却部材内部の循環流路に冷媒循環装置より冷媒を循環させて、少なくとも該冷却部材の冷却面を冷却させ、該冷却面側に気泡を含有したオゾン氷を生成するためのオゾン氷生成段階と、
を有することを特徴とするオゾン氷の製造方法。 - 前記冷却部材が、平板状の冷却部材であって、該冷却部材の冷却面角度が、0°〜60°の範囲に設置されていることを特徴とする請求項21に記載のオゾン氷の製造方法。
- 前記冷却部材の冷却面角度が、10°〜15°の範囲に設置されていることを特徴とする請求項22に記載のオゾン氷の製造方法。
- 前記オゾン氷生成段階中に、前記冷却部材に電源装置を用いて電圧を印加する電圧印加工程を更に有すること特徴とする請求項21〜23のいずれか1項に記載のオゾン氷の製造方法。
- 前記電圧印加工程において、冷却部材の冷却面に電源装置を用いて印加する直流電圧が、100〜300Vであること特徴とする請求項24に記載のオゾン氷の製造方法。
- 前記バブル混入水生成段階において、前記マイクロバブル混入装置に外部から水道水を供給する経路上に、更に必要に応じて、前記マイクロバブル混入装置に前記水槽からオゾン水が供給(循環)される経路上に設置されてなる塩素除去装置を用いて塩素除去を行う工程を、更に有することを特徴とする請求項21〜25のいずれか1項に記載のオゾン氷の製造方法。
- バブル混入水生成段階にて、前記マイクロバブル混入装置により生成されるマイクロバブル混入水中のマイクロバブル径が10〜100μmであり、尚且つ該マイクロバブル径の平均値が20μmであることを特徴とする請求項21〜26のいずれか1項に記載のオゾン氷の製造方法。
- 前記オゾン氷生成段階中に、水槽内に供給されたバブル混入水中のマイクロバブルが液面上に浮揚してガス化した成分を水槽内から系外に排気するための排気工程および/または該マイクロバブル混入水中のマイクロバブルが液面上に浮揚してガス化した成分を水槽内から前記オゾン発生装置に供給するガス化した成分の再利用工程を、更に有することを特徴とする請求項21〜27のいずれか1項に記載のオゾン氷の製造方法。
- 前記オゾン氷生成段階中に、前記オゾン発生装置にマイクロバブル混入水中のマイクロバブルが水槽の液面上に浮揚してガス化した成分を供給する経路内に設置した水分除去装置を用いて、該ガス化した成分から水分除去を行う工程を更に有することを特徴とする請求項21〜28のいずれか1項に記載のオゾン氷の製造方法。
- 前記水分除去手段として、(a)前記マイクロバブルがガス化した成分の供給経路内に拡径した箇所を設け、当該拡径した箇所に前記ガス化した成分を冷却、除湿するためのペルチェ素子、および/または、(b)前記マイクロバブルがガス化した成分の供給経路内に前記ガス化した成分から水分を吸着除去するための吸湿剤が設置されてなることを特徴とする請求項29に記載のオゾン氷の製造方法。
- 請求項21〜30に記載の製造方法において、前記バブル混入水生成段階中に、更に、オゾン氷スラリー化し得る添加剤の貯蔵部からマイクロバブル混入装置に流量調整装置を備えた供給経路を通じて、該混入装置に供給される水の流量に対して所定の割合(体積比率)で前記添加剤を供給する工程を有することを特徴とするオゾン氷スラリーの製造方法。
- 請求項21〜30に記載の製造方法において、更に冷却部材の冷却面上に生成されたオゾン氷に対して、(a)ハーベスト法にて剥離させた該オゾン氷を氷削装置を用いて削り取り、スラリー化する段階、または(b)掻き取り法にて直接氷掻取装置を用いて掻き取り、スラリー化する段階を有することを特徴とするオゾン氷スラリーの製造方法。
- 請求項9〜20のいずれか1項に記載の製造装置を用い、請求項21〜32のいずれか1項に記載の製造方法を利用して、製氷または製氷スラリー化されてなる気泡含有の氷または氷スラリーであって、該氷または氷スラリーの気泡含有率(体積割合)が6体積%より高いことを特徴とする氷または氷スラリー。
- 請求項9〜20のいずれか1項に記載の製造装置を用い、請求項21〜32のいずれか1項に記載の製造方法を利用して、果汁または果汁濃縮還元液または無果汁飲料に、フレーバーのあるガスを注入して製氷または製氷スラリー化されてなる気泡含有の氷または氷スラリーからなる味と香りのある氷菓であって、該氷または氷スラリーの気泡含有率(体積割合)が6体積%より高いことを特徴とする味と香りのある氷菓。
- 請求項9〜20のいずれか1項に記載の製造装置を用い、請求項21〜32のいずれか1項に記載の製造方法を利用して、水または食品添加物による着色液に、色のついたガスを注入して製氷または製氷スラリー化されてなる着色された気泡含有の氷または氷スラリーからなる着色された氷菓であって、該氷または氷スラリーの気泡含有率(体積割合)が6体積%より高いことを特徴とする色のついた着色された氷菓。
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