JP2011047314A - 内燃機関制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】筒内噴射を実行している内燃機関において高圧燃料系での燃料圧力が内燃機関運転状態に対して過剰高圧状態である場合に空燃比のリッチ化を抑制する。
【解決手段】筒内噴射用燃料噴射弁が過剰噴射状態となるか否かを、予定筒内噴射要求量Fdioと最小燃料噴射量Fminとの比較にて判定する(S112)。Fdio<Fminと判定される場合(S112でNO)、筒内噴射用燃料噴射弁からの燃料噴射を禁止し(S118)、この禁止した分の燃料噴射を吸気ポート噴射用燃料噴射弁による吸気通路内燃料噴射に分担させている(S120)。このことにより正確な燃料噴射量が実現できる。したがって高温デッドソーク時などの燃料過剰高圧状態にも過剰燃料噴射がなされることがないので空燃比のリッチ化を抑制することができ、この結果、エミッションの悪化を防止できる。
【選択図】図4

Description

本発明は、内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射する内燃機関制御装置に関する。
燃焼室内に燃料を噴射するための筒内燃料噴射弁を備えた内燃機関が知られており、筒内燃料噴射弁に高圧燃料ポンプから供給される高圧燃料圧力を、高圧燃料ポンプ停止時に減圧機構により減圧することにより、筒内燃料噴射弁からの燃料漏れとベーパの発生を抑制する装置が提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
更に燃焼室内に燃料を噴射するための筒内燃料噴射弁と、吸気通路内に燃料を噴射するための吸気通路内燃料噴射弁とを備えた内燃機関が知られており、このような2系統の燃料噴射の分担率を内燃機関運転状態に応じて設定する装置が提案されている(例えば特許文献4,5参照)。特に特許文献4では筒内燃料噴射弁に対応する高圧燃料系の圧力が低い間は吸気通路内燃料噴射弁による噴射をメインとして、高圧燃料系の圧力が高くなると、筒内燃料噴射弁による燃料噴射の分担率を増加させ、このことにより内燃機関始動安定性とエミッションの悪化防止を図っている。特許文献5では吸気通路内燃料噴射弁からの燃料噴射が異常停止した場合にパージ率を上昇させることにより、トルク変動を防止している。
特開2009−121395号公報(第6〜8頁、図1,2) 特開2009−115009号公報(第5〜7頁、図1〜3) 特開2009−091963号公報(第5〜8頁、図1〜3) 特開2001−336439号公報(第6,7頁、図3〜5) 特開2006−132336号公報(第8〜10頁、図1,2)
燃焼室内への燃料噴射、いわゆる筒内噴射を実行している内燃機関においては、燃料圧力を高圧化すると共に、燃焼室内圧力及び燃料噴射量が内燃機関運転状態に応じて変化するため、燃料圧力を、内燃機関の高負荷あるいは高回転側にて高くし、低負荷かつ低回転側で低くしている。
したがって車両用内燃機関などにおいて、ドライバがアクセルペダルを急速に戻したりした場合に筒内燃料噴射弁に供給される燃料圧力も同様に低下させる必要がある。このため、前記特許文献1〜3においては低負荷やエンジン停止時には高圧燃料を減圧するように構成されている。
しかしこのような減圧機構は高圧燃料ポンプの性能に対応させて設けられているものであり、高圧燃料ポンプの駆動時には高圧燃料系にて適切な燃料圧力が実現するように減圧速度も設定されている。このため燃料カットなどにより急速に内燃機関が低負荷かつ低回転側に大きく変化することで高圧燃料ポンプが急減速あるいは停止して高圧燃料が供給されなくなったとしても、高圧燃料系での実際の燃料圧力は高応答に追随できず、しばらくは要求される燃料圧力よりも過剰に高圧な状態が継続することになる。
このため筒内燃料噴射弁での最小燃料噴射量が迅速に低下せず、負荷の低下に応じて減少した目標燃料噴射量が、この最小燃料噴射量により制限されて、内燃機関の燃焼復帰時には、燃焼室内に実際に噴射される燃料量が過剰となってしまう。このことにより空燃比のリッチ化を招き、エミッション悪化のおそれが生じる。
前記特許文献4は、内燃機関始動時に高圧燃料系の燃料圧力が低い状態から次第に上昇してゆく場合の噴射分担率の推移を制御するものであり、前記特許文献5は吸気通路内燃料噴射弁での燃料噴射が異常停止した場合の制御である。したがって、いずれも、内燃機関運転中の急速な負荷低下や回転数低下時での過剰燃料噴射とは無関係である。
本発明は、筒内噴射を実行している内燃機関において高圧燃料系での燃料圧力が内燃機関運転状態に対して過剰高圧状態である場合に空燃比のリッチ化を抑制することを目的とするものである。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用・効果について記載する。
請求項1に記載の内燃機関制御装置は、内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射するための筒内燃料噴射手段と、内燃機関の吸気通路内に燃料を噴射するための吸気通路内燃料噴射手段とを備えた内燃機関制御装置であって、前記筒内燃料噴射手段での実際の燃料噴射量が前記筒内燃料噴射手段に対する筒内燃料噴射要求量を越える過剰噴射状態となるか否かを判定する過剰噴射状態判定手段と、前記過剰噴射状態判定手段にて過剰噴射状態となると判定されている場合は、前記筒内燃料噴射手段による燃料噴射を禁止して、前記筒内燃料噴射要求量分の燃料噴射を、前記吸気通路内燃料噴射手段による吸気通路内燃料噴射にて分担して実行する代替噴射手段とを備えたことを特徴とする。
過剰噴射状態判定手段にて、筒内燃料噴射手段での実際の燃料噴射量が筒内燃料噴射要求量を越える過剰噴射状態となると判定されている場合は、代替噴射手段は、筒内燃料噴射手段による燃料噴射を禁止して、筒内燃料噴射要求量分の燃料噴射を、吸気通路内燃料噴射手段による吸気通路内燃料噴射にて分担させている。
このことにより高圧燃料系の燃料圧力が過剰高圧状態となるような内燃機関運転状況下においても、低圧燃料系の吸気通路内燃料噴射手段によって吸気通路内に、筒内燃料噴射要求量分の燃料噴射がなされることになる。吸気通路内燃料噴射手段は元来、燃料圧力は低圧状態とされていることから、ここでの最小燃料噴射量は十分に小さいので、筒内燃料噴射要求量分の燃料噴射を十分に分担でき、正確な燃料量を噴射可能である。特に吸気通路内燃料噴射手段自体も元来、分担している燃料量が存在するので、これと筒内燃料噴射要求量分とを加えることにより、吸気通路内燃料噴射手段での噴射要求量が増加することから、吸気通路内燃料噴射手段での最小燃料噴射量は問題なくなる。
このことにより筒内噴射を実行している内燃機関において高圧燃料系での燃料圧力が内燃機関運転状態に対して過剰高圧状態である場合に、空燃比のリッチ化を抑制することができる。
請求項2に記載の内燃機関制御装置では、請求項1に記載の内燃機関制御装置において、前記過剰噴射状態判定手段は、前記筒内燃料噴射手段における最小燃料噴射量が前記筒内燃料噴射手段に対する筒内燃料噴射要求量を越えている状態、又は越える直前の状態を、前記過剰噴射状態の一種としていることを特徴とする。
このように筒内燃料噴射手段における最小燃料噴射量が筒内燃料噴射要求量を越えている状態では、そのまま筒内燃料噴射手段により燃料噴射したのでは、前述したごとく空燃比がリッチ化してしまう。したがって過剰噴射状態判定手段が、最小燃料噴射量が筒内燃料噴射要求量を越えている状態、又は越える直前の状態を過剰噴射状態の一種とすることにより、代替噴射手段による処理によって空燃比のリッチ化を抑制することができる。
請求項3に記載の内燃機関制御装置では、請求項1に記載の内燃機関制御装置において、前記過剰噴射状態判定手段は、前記筒内燃料噴射手段において過剰噴射状態を引き起こす可能性のある基準圧力を設定し、前記筒内燃料噴射手段に供給される燃料圧力が前記基準圧力を越えている状態、又は越える直前の状態を、前記過剰噴射状態の一種としていることを特徴とする。
このように最小燃料噴射量と筒内燃料噴射要求量とを比較せずに、燃料圧力に前述したごとくの基準圧力を設定して、筒内燃料噴射手段に供給される燃料圧力がこの基準圧力を越えている状態、又は越える直前の状態を、過剰噴射状態の一種として判定しても良い。
このことによっても代替噴射手段による処理を適切に実行して空燃比のリッチ化を抑制することができる。
請求項4に記載の内燃機関制御装置では、請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関制御装置において、内燃機関運転状態に応じて前記筒内燃料噴射手段と前記吸気通路内燃料噴射手段とによる燃料噴射量分担を設定する燃料噴射量分担設定手段を備え、前記代替噴射手段は、前記過剰噴射状態判定手段にて過剰噴射状態となると判定されている場合は、前記燃料噴射量分担設定手段により設定される前記燃料噴射量分担を、前記筒内燃料噴射手段による燃料噴射量分担をなくし、すべて前記吸気通路内燃料噴射手段による燃料噴射量分担とすることを特徴とする。
このように筒内燃料噴射手段と吸気通路内燃料噴射手段とによる燃料噴射量分担が内燃機関運転状態に応じてなされている場合に、代替噴射手段は、過剰噴射状態では、筒内燃料噴射手段による燃料噴射量分担をなくし、すべて吸気通路内燃料噴射手段による燃料噴射量分担とすることで、空燃比のリッチ化を抑制することができる。
請求項5に記載の内燃機関制御装置では、請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関制御装置において、内燃機関運転状態に応じて前記筒内燃料噴射手段に供給される燃料圧力を調節する筒内噴射燃料圧力調節手段を備えていることを特徴とする。
内燃機関運転状態が急速に変化し、特に筒内噴射燃料圧力調節手段により調節される燃料圧力を急速に低下すべき変化が内燃機関運転状態に生じた場合に、前述したごとく過剰噴射状態判定手段が過剰噴射状態となるとの判定をすると、代替噴射手段が前述したごとく機能することにより、空燃比のリッチ化を抑制することができる。
請求項6に記載の内燃機関制御装置では、請求項5に記載の内燃機関制御装置において、前記筒内噴射燃料圧力調節手段は、前記吸気通路内燃料噴射手段で噴射に用いられる燃料圧力とされた燃料に対して高圧化処理して前記筒内燃料噴射手段へ供給する燃料高圧化機構の駆動を制御することにより、内燃機関運転状態に応じて前記筒内燃料噴射手段に供給される燃料圧力を調節することを特徴とする。
このように筒内燃料噴射手段へ供給される燃料圧力を設定しても良く、この燃料圧力が前述したごとく過剰噴射状態を引き起こす状態にあると過剰噴射状態判定手段にて判定された場合には代替噴射手段の機能により空燃比のリッチ化を抑制することができる。
請求項7に記載の内燃機関制御装置では、請求項6に記載の内燃機関制御装置において、前記燃料高圧化機構は、前記高圧化処理の停止時に前記筒内燃料噴射手段側の燃料圧力を低下させる減圧手段を備えていることを特徴とする。
このように燃料高圧化機構が減圧手段を備えている場合も、急速に内燃機関運転状態が変化することで減圧手段では迅速な減圧が不能な場合には過剰噴射状態を招くが、この場合にも代替噴射手段の機能により空燃比のリッチ化を抑制することができる。
請求項8に記載の内燃機関制御装置は、内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射するための筒内燃料噴射手段と、内燃機関の吸気通路内に空燃比に影響する成分を導入する吸気内導入手段とを備えた内燃機関制御装置であって、前記筒内燃料噴射手段での実際の燃料噴射量が前記筒内燃料噴射手段に対する筒内燃料噴射要求量を越える過剰噴射状態となるか否かを判定する過剰噴射状態判定手段と、前記過剰噴射状態判定手段にて過剰噴射状態となると判定されている場合は、前記吸気内導入手段による前記成分の導入量を空燃比が大きくなる側に調節するリッチ化抑制手段とを備えたことを特徴とする。
過剰噴射状態判定手段にて、筒内燃料噴射手段での実際の燃料噴射量が筒内燃料噴射要求量を越える過剰噴射状態となると判定されている場合は、リッチ化抑制手段は、吸気内導入手段による前記成分の導入量を空燃比が大きくなる側に調節している。
このことにより実際に筒内燃料噴射手段から噴射される燃料噴射量が過剰なものとなっても、吸気内導入手段により吸気通路内に導入されていた成分の導入量が空燃比が大きくなる側、すなわちリーン側へ調節される。このことにより筒内噴射を実行している内燃機関において高圧燃料系での燃料圧力が内燃機関運転状態に対して過剰高圧状態である場合にも空燃比のリッチ化を抑制することができる。
したがって要求される筒内噴射をキャンセルすることなく、筒内噴射を実行できる機会を増加させることができ、円滑な内燃機関制御が可能となる。
請求項9に記載の内燃機関制御装置では、請求項8に記載の内燃機関制御装置おいて、前記吸気内導入手段は、キャニスタからの燃料蒸気を吸気経路に導入するパージ手段であり、前記リッチ化抑制手段は、空燃比を大きくする側への調節を、前記パージ手段による燃料蒸気導入量を低下させることにより実行することを特徴とする。
吸気通路内に導入されていた成分が、パージ手段によるキャニスタからの燃料蒸気である場合には、リッチ化抑制手段はこの燃料蒸気導入量を低下させることにより、高圧燃料系での燃料圧力が内燃機関運転状態に対して過剰高圧状態である場合にも空燃比のリッチ化を抑制することができる。
請求項10に記載の内燃機関制御装置では、請求項8に記載の内燃機関制御装置おいて、前記吸気内導入手段は、ブローバイガスを吸気経路に導入するブローバイガス還元手段であり、前記リッチ化抑制手段は、空燃比を大きくする側への調節を、前記ブローバイガス還元手段によるブローバイガス導入量の調節により実行することを特徴とする。
吸気通路内に導入されていた成分が、ブローバイガス還元手段によるブローバイガスである場合には、リッチ化抑制手段はこのブローバイガス導入量を調節することにより、高圧燃料系での燃料圧力が内燃機関運転状態に対して過剰高圧状態である場合にも空燃比のリッチ化を抑制することができる。
請求項11に記載の内燃機関制御装置では、請求項8に記載の内燃機関制御装置おいて、前記吸気内導入手段は、排気を吸気経路に還流する排気再循環手段であり、前記リッチ化抑制手段は、空燃比を大きくする側への調節を、前記排気再循環手段による排気再循環量を低下させることにより実行することを特徴とする。
吸気通路内に導入されていた成分が、排気再循環手段による排気である場合には、リッチ化抑制手段はこの排気再循環量を低下させることにより、高圧燃料系での燃料圧力が内燃機関運転状態に対して過剰高圧状態である場合にも空燃比のリッチ化を抑制することができる。
請求項12に記載の内燃機関制御装置では、請求項8〜11のいずれか一項に記載の内燃機関制御装置において、内燃機関の吸気通路内に燃料を噴射するための吸気通路内燃料噴射手段を備えたことを特徴とする。
前述した請求項8〜11の内燃機関制御装置にて、筒内燃料噴射手段以外に吸気通路内燃料噴射手段を備えたものであっても良い。
請求項13に記載の内燃機関制御装置では、請求項12に記載の内燃機関制御装置おいて、内燃機関運転状態に応じて前記筒内燃料噴射手段と前記吸気通路内燃料噴射手段とによる燃料噴射量分担を設定する燃料噴射量分担設定手段を備えたことを特徴とする。
このように筒内燃料噴射手段以外に吸気通路内燃料噴射手段を備えた構成の場合に、内燃機関運転状態に応じてこれらの燃料噴射量分担を設定しても良い。
請求項14に記載の内燃機関制御装置では、請求項8〜13のいずれか一項に記載の内燃機関制御装置において、内燃機関運転状態に応じて前記筒内燃料噴射手段に供給される燃料圧力を調節する筒内噴射燃料圧力調節手段を備えていることを特徴とする。
内燃機関運転状態が急速に変化し、特に筒内噴射燃料圧力調節手段により調節される燃料圧力を急速に低下すべき変化が内燃機関運転状態に生じた場合に、前述したごとく過剰噴射状態判定手段が過剰噴射状態になると判定すると、リッチ化抑制手段が前述したごとく機能することにより、空燃比のリッチ化を抑制することができる。
請求項15に記載の内燃機関制御装置では、請求項14に記載の内燃機関制御装置において、前記筒内噴射燃料圧力調節手段は、前記吸気通路内燃料噴射手段で噴射に用いられる燃料圧力とされた燃料に対して高圧化処理して前記筒内燃料噴射手段へ供給する燃料高圧化機構の駆動を制御することにより、内燃機関運転状態に応じて前記筒内燃料噴射手段に供給される燃料圧力を調節することを特徴とする。
このように筒内燃料噴射手段へ供給される燃料圧力を設定しても良く、この燃料圧力が前述したごとく過剰噴射状態を引き起こす状態にあると過剰噴射状態判定手段にて判定された場合には、リッチ化抑制手段の機能により空燃比のリッチ化を抑制することができる。
請求項16に記載の内燃機関制御装置では、請求項15に記載の内燃機関制御装置において、前記燃料高圧化機構は、前記高圧化処理の停止時に前記筒内燃料噴射手段側の燃料圧力を低下させる減圧手段を備えていることを特徴とする。
このように燃料高圧化機構が減圧手段を備えている場合も、急速に内燃機関運転状態が変化することで減圧手段では迅速な減圧が不能な場合には過剰噴射状態を招くが、この場合にも、リッチ化抑制手段の機能により空燃比のリッチ化を抑制することができる。
実施の形態1の内燃機関及びその制御装置の概略構成を表すブロック図。 実施の形態1における内燃機関の燃料噴射系の構成説明図。 実施の形態1において負荷率KL及び機関回転数NEに基づいて高圧燃料圧力Pfを算出するマップMAPpfの構成説明図。 実施の形態1のECUが実行する燃料噴射分担制御処理のフローチャート。 実施の形態1の燃料噴射分担制御処理にて高圧燃料圧力Pfに基づいて最小燃料噴射量Fminを算出するためのマップMAPfminの構成説明図。 実施の形態1の燃料噴射分担制御処理にて負荷率KL及び機関回転数NEに基づいて筒内噴射分担率Rfを算出するマップMAPrfの構成説明図。 実施の形態1の燃料噴射系にて高負荷時に燃料カットが実行された場合の高圧燃料圧力Pfの低下推移を示すタイミングチャート。 実施の形態3の燃料噴射分担制御処理のフローチャート。 実施の形態5の内燃機関及びその制御装置の概略構成を表すブロック図。 実施の形態5の燃料噴射分担制御処理のフローチャート。 実施の形態6の燃料噴射分担制御処理のフローチャート。 実施の形態7の内燃機関及びその制御装置の概略構成を表すブロック図。 実施の形態7のECUが実行する燃料噴射制御処理のフローチャート。
[実施の形態1]
図1は、上述した発明が適用された内燃機関2及び内燃機関制御装置の概略構成を表すブロック図である。内燃機関2は車両用内燃機関であり、この内燃機関2には燃焼室4内に燃料を噴射する筒内噴射用燃料噴射弁6(筒内燃料噴射手段に相当)が設けられ、内燃機関2の吸気通路8には吸気ポート10にて吸気中に燃料を噴射する吸気ポート噴射用燃料噴射弁12(吸気通路内燃料噴射手段に相当)が設けられている。このように本実施の形態の内燃機関2ではデュアル・インジェクション・システムが採用されている。内燃機関2の燃焼室4の頂面には、燃料と空気との混合気に火花点火する点火プラグ14が設けられている。
燃焼室4には吸気ポート10を開閉する吸気バルブ16と排気ポート18を開閉する排気バルブ20が設けられている。吸気通路8において吸気ポート10の上流側にはサージタンク22が設けられ、更に上流側には内燃機関2の全気筒への吸入空気量を調節するスロットルバルブ24が設けられている。スロットルバルブ24の開度(スロットル開度TA)はスロットル開度センサ24aにて検出されて、その信号が電子制御ユニット(以下ECUと称する)26に入力されている。
ECU26は、マイクロコンピュータを中心とする電子制御回路であり、入出力回路を備えて内燃機関制御を実行している。ECU26には前述したスロットル開度信号以外に、内燃機関回転数センサ28から回転数NEを表す信号、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサ30からアクセル開度ACCPを表す信号、吸気通路8においてスロットルバルブ24よりも上流側に配置されたエアフロメータ32から吸入空気量GAを表す信号が入力されている。更に筒内噴射用燃料噴射弁6による燃料噴射制御のために高圧燃料系に設けられている燃料圧力センサ34から高圧燃料の燃料圧力Pfを表す信号、内燃機関2の冷却水温センサ36から冷却水温THWを表す信号、排気系に設けられた空燃比センサ38から空燃比A/Fを表す信号、その他の信号を入力している。
ECU26は、これらの入力された各種信号データに基づいて、内部メモリに予め格納されたプログラムやマップデータなどにより内燃機関2を制御している。すなわち吸気中に内燃機関運転状態に対応した適切な時期に適切な燃料量を供給するために2つの燃料噴射弁6,12の開弁タイミングや開弁時間の長さを調節したり、機関出力調節のためにスロットルバルブ24の軸を回転させるモータ24bを駆動してスロットル開度TAを調節したり、点火プラグ14による点火時期を調節したりしている。
図2に燃料噴射系の構成を示す。ここで内燃機関2はV型6気筒であり、筒内噴射用燃料噴射弁6と吸気ポート噴射用燃料噴射弁12とは、左右の各バンクにそれぞれ3つ、全体でそれぞれ6つ設けられている。
筒内噴射用燃料噴射弁6については高圧燃料分配管40から高圧燃料が供給され、吸気ポート噴射用燃料噴射弁12については低圧燃料分配管42から低圧燃料が供給されている。高圧燃料分配管40への燃料供給は高圧燃料ポンプ44によりなされ、低圧燃料分配管42への燃料供給は、低圧ポンプであるフィードポンプ46によりなされる。フィードポンプ46は燃料タンク48から燃料を吸引して一定の燃料圧力として低圧燃料分配管42側へ吐出すると共に、この吐出された燃料の一部が高圧燃料ポンプ44を含む燃料高圧化機構50側へ供給されている。
高圧燃料ポンプ44は、内燃機関2により駆動されるポンプであって、例えば吸気カムシャフトの回転によりシリンダ内にてプランジャを往復動するものである。これらシリンダとプランジャとにより区画形成された加圧室には燃料導入口が開口し、この燃料導入口に電磁開閉弁44aを備えている。この電磁開閉弁44aをECU26により開閉制御することで調量した低圧燃料を加圧室内で高圧化し、加圧室に開口する吐出口から高圧燃料として高圧燃料分配管40側へ吐出している。本実施の形態では、燃料圧力センサ34にて検出される高圧燃料分配管40における燃料圧力Pfが内燃機関運転状態に応じた圧力となるように吐出量を調節している。具体的には図3に示すごとくのマップMAPpfにより、負荷率KL及び機関回転数NEに基づいて燃料圧力Pfを算出して、吐出力を調節している。ここで負荷率KLは、内燃機関負荷を表す指標の1つであり、内燃機関2の1回転当たりの基準最大吸入空気量に対する実際の1回転当たりの吸入空気量GA/NEの割合(%)である。このような負荷としては、負荷率KL以外に、サージタンク22内の吸気圧を測定して、この吸気圧を用いても良い。
尚、燃料高圧化機構50は、高圧燃料ポンプ44の吸入側にパルセーションダンパ52を配置して低圧側に対する脈動の影響を防止している。高圧燃料ポンプ44の吐出側には逆流を阻止して高圧燃料分配管40側へ高圧燃料を流すための吐出弁54を設けている。そしてこの吐出弁54に並列に減圧機構56(減圧手段に相当)を設けている。
この減圧機構56はオリフィス56aと逆止弁56bとを直列に接続したものであり、高圧燃料ポンプ44の電磁駆動により燃料が吐出されて高圧燃料分配管40における高圧燃料圧力が調節されている際にはその燃料圧力調節は阻害しない。しかし、高圧燃料ポンプ44からの吐出停止時には、高圧燃料分配管40内の高圧燃料を要求される圧力まで減圧できるように、オリフィス56aによる流動抵抗や逆止弁56bの開弁圧が設定されている。このことにより内燃機関2の停止時において筒内噴射用燃料噴射弁6から燃料が漏れるのを防止して、次回の内燃機関2の始動時におけるエミッションを改善している。尚、特に逆止弁56bについては高温デッドソーク中に高圧燃料分配管40側に燃料のベーパが生じるのを抑制する目的もある。
ECU26により実行される制御の内で燃料噴射分担制御処理について図4のフローチャートに示す。本処理は一定クランク角回転毎の割り込みで実行される。尚、個々の処理内容に対応するフローチャート中のステップを「S〜」で表す。
本処理が開始されると、まず燃料圧力センサ34により検出されている高圧燃料圧力Pf、エアフロメータ32により検出されている吸入空気量GA、及び内燃機関回転数センサ28により検出されている機関回転数NEがECU26のメモリの作業領域に読み込まれる(S102)。
次に図5に示すマップMAPfminから高圧燃料圧力Pf(Pa)に基づいて最小燃料噴射量Fmin(g:一噴射当たり)を算出する(S104)。このマップMAPfminは、予めこの内燃機関2に用いられている種類の筒内噴射用燃料噴射弁6について供給する燃料圧力を変化させて最小燃料噴射量Fminを実測した値に基づいてマップ化したものである。この最小燃料噴射量Fminは、この値よりも少ない燃料量での噴射が不能であることを示しており、高圧燃料圧力Pfが高いほど最小燃料噴射量Fminは大きくなっていることが判る。高圧燃料圧力Pfが高いほど筒内噴射用燃料噴射弁6にて要求通りの燃料量が噴射できる下限値が高くなり、高圧燃料圧力Pfが高いほど少量噴射が不能となる領域が拡大していることを示している。
そして次に吸入空気量GA、機関回転数NE及び空燃比A/Fのデータを用いた空燃比フィードバック制御処理により、現在の内燃機関運転状態に必要な燃料噴射量である総噴射要求量Ft(g:一燃焼行程当たり)を算出する(S106)。この総噴射要求量Ftは他の処理にて算出されている総噴射要求量を読み込んで用いても良い。
次に図6に示すマップMAPrfから、負荷率KL及び機関回転数NEに基づいて筒内噴射分担率Rfを算出する(S108)。
このマップMAPrfは、内燃機関運転状態に応じて燃費特性や出力特性の改善などを目的として筒内噴射用燃料噴射弁6の筒内噴射と、吸気ポート噴射用燃料噴射弁12のポート噴射とで燃料噴射を分担して実行するための分担率を設定して予め筒内噴射分担率Rfをマップ化したものである。
図示するごとく、高負荷(負荷率KL:大)あるいは高回転数(機関回転数NE:大)では、筒内噴射分担率Rf=1、すなわち燃料噴射はすべて筒内噴射用燃料噴射弁6にて実行されることになる。このため吸気ポート噴射用燃料噴射弁12からの燃料噴射はなされない。
低負荷(負荷率KL:小)かつ低回転数(機関回転数NE:小)では、筒内噴射分担率Rf=0、すなわち燃料噴射はすべて吸気ポート噴射用燃料噴射弁12にて実行されることになる。したがって筒内噴射用燃料噴射弁6からの燃料噴射はなされない。
そしてこれらの中間領域では、筒内噴射用燃料噴射弁6と吸気ポート噴射用燃料噴射弁12との両者にて分担して燃料が噴射される。具体的には、低負荷かつ低回転数の領域に近づくほど、筒内噴射分担率Rfは0に近づくことにより、筒内噴射用燃料噴射弁6の噴射分担量が減少し、吸気ポート噴射用燃料噴射弁12の噴射分担量が増加する。逆に高負荷あるいは高回転数の領域に近づくほど、筒内噴射分担率Rfは1に近づくことにより、筒内噴射用燃料噴射弁6の噴射分担量が増加し、吸気ポート噴射用燃料噴射弁12の噴射分担量が減少する。
次に式1により予定筒内噴射要求量Fdio(g:一噴射当たり)が算出される(S110)。
[式1] Fdio ← Ft × Rf
すなわち、図6に示したごとくの分担が実行された場合に筒内噴射用燃料噴射弁6から噴射されることが要求される燃料量(予定筒内噴射要求量Fdio)が算出される。
次にこの予定筒内噴射要求量FdioがステップS104にて求められている最小燃料噴射量Fmin以上か否かが判定される(S112)。
ここで予定筒内噴射要求量Fdio≧最小燃料噴射量Fminであれば(S112でYES)、予定筒内噴射要求量Fdio分の燃料噴射が筒内噴射用燃料噴射弁6にて可能であるので、筒内噴射要求量Fdiに予定筒内噴射要求量Fdioがそのまま設定される(S114)。
そして式2に示すごとく、吸気ポート噴射要求量Fpfiが算出される(S116)。
[式2] Fpfi ← Ft × (1−Rf)
このようにして筒内噴射用燃料噴射弁6での燃料噴射と吸気ポート噴射用燃料噴射弁12での燃料噴射との噴射分担量(Fdi,Fpfi)が決定される。このことにより、ECU26により別途実行される燃料噴射処理により、ポート噴射タイミングにて吸気ポート噴射用燃料噴射弁12から吸気ポート噴射要求量Fpfi分の燃料が噴射され、筒内噴射タイミングにて筒内噴射用燃料噴射弁6から筒内噴射要求量Fdi分の燃料が噴射される。
ここで車両運転中のドライバがアクセルペダルを急速に戻すことにより、スロットル開度TAが急減して燃料カット処理が生じて、このことにより高温デッドソーク状態となったものとする。この時には燃料噴射が完全に停止するため高圧燃料ポンプ44からの高圧燃料の吐出は停止する。このため減圧機構56により高圧燃料分配管40内の高圧燃料圧力Pfは低下することになるが、前述したごとく通常時において高圧燃料ポンプ44による高圧燃料分配管40の燃料圧力に影響させないために、減圧機構56による減圧は迅速でない。
したがって図7のタイミングチャートに示すごとく、高圧燃料圧力Pfが燃料カットタイミング(t0)での高負荷あるいは高回転数に対応した高い燃料圧力Pfxから、低負荷・低回転数に対応させた低い燃料圧力Pfyに低下するまで(t1)には、時間(t0〜t1:例えば数秒間)を要する。
このため高圧燃料圧力Pfが十分に低下していない状態で、燃料カットから復帰する場合には、筒内噴射要求量Fdiが最小燃料噴射量Fminより小さくなる可能性がある。したがって、このような燃料カットからの復帰時において、予定筒内噴射要求量Fdio<最小燃料噴射量Fminとなった場合には(S112でNO)、筒内噴射要求量Fdiは0とされ(S118)、吸気ポート噴射要求量Fpfiに総噴射要求量Ftがそのまま設定される(S120)。つまり筒内噴射分担率Rf=0に強制的に設定されることになる。
上述した構成において、請求項との関係は、ECU26が過剰噴射状態判定手段、代替噴射手段、燃料噴射量分担設定手段及び筒内噴射燃料圧力調節手段に相当する。燃料噴射分担制御処理(図4)のステップS104,S110,S112が過剰噴射状態判定手段としての処理に、ステップS118,S120が代替噴射手段としての処理に、ステップS108が燃料噴射量分担設定手段としての処理に相当する。高圧燃料ポンプ44の電磁開閉弁44aの開閉制御により高圧燃料圧力Pfが内燃機関運転状態に応じた圧力となるように吐出量を調節している制御が筒内噴射燃料圧力調節手段としての処理に相当する。
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(1)筒内噴射用燃料噴射弁6から噴射される燃料が筒内燃料噴射要求量(ここでは予定筒内噴射要求量Fdio)を越える過剰噴射状態となるか否かを、予定筒内噴射要求量Fdioと最小燃料噴射量Fminとの比較にて判定している(S112)。そして、Fdio<Fminと判定される場合(S112でNO)、筒内噴射用燃料噴射弁6からの燃料噴射を禁止し(S118)、この筒内燃料噴射要求量(予定筒内噴射要求量Fdio)分の燃料噴射を、吸気ポート噴射用燃料噴射弁12による吸気通路内燃料噴射にて分担している(S120)。
このことにより高圧燃料系の燃料圧力Pfが過剰高圧状態となるような内燃機関運転状況下においては、低圧燃料系の吸気ポート噴射用燃料噴射弁12によって吸気ポート10にて予定筒内噴射要求量Fdio分の燃料噴射も加算されてなされることになる。吸気ポート噴射用燃料噴射弁12は、元来、燃料圧力は低圧状態とされていることから、ここでの最小燃料噴射量は十分に小さく、予定筒内噴射要求量Fdio分の燃料噴射を十分に分担できる。特にこの予定筒内噴射要求量Fdioに対して、元々、低圧にて噴射される分のFt×(1−Rf)分の燃料が加わるので、特に問題がなく、正確な燃料噴射量が実現できる。
減圧機構56を設けていても、前述したごとく、この減圧機構56による減圧が高速でないために、燃料カットからの復帰時などの高温デッドソーク時の燃料噴射においては、高圧燃料系での燃料圧力が内燃機関運転状態に対して過剰高圧状態となる場合が生じる。このような場合において前述したごとく過剰な燃料噴射がなされることがないので空燃比のリッチ化を抑制することができ、この結果、エミッションの悪化を防止できる。
[実施の形態2]
前記実施の形態1の燃料噴射分担制御処理(図4)のステップS112で「Fdio≧Fmin」か否かを判定しているが、この代わりに、本実施の形態では、「Fdio≧Fmin・Kf」か否か、あるいは「Fdio≧Fmin+dF」か否かを判定する。
ここで係数Kfは「1.1」などの1を越えた増加係数としての値であり、加算値dFは余裕代分の増加を最小燃料噴射量Fminに与えるための値を表している。このようにして判定することにより、最小燃料噴射量Fminが予定筒内噴射要求量Fdioを越える直前の状態を判定できる。
最小燃料噴射量Fminは同種の筒内噴射用燃料噴射弁6における代表値あるいは実測値の内で最大の値が用いられていることにより、この内燃機関2に実際に用いられている筒内噴射用燃料噴射弁6の最小燃料噴射量Fminとは誤差が存在している。この誤差により、予定筒内噴射要求量Fdioが実際の最小燃料噴射量より小さくなっていても、まだFdio≧Fminであると判定されて、予定筒内噴射要求量Fdioより大きい噴射が筒内噴射用燃料噴射弁6からなされるおそれがある。
この誤差を吸収するために、最小燃料噴射量Fminが予定筒内噴射要求量Fdioに近づいて越える直前の状態を、「Fdio≧Fmin・Kf」か否か、あるいは「Fdio≧Fmin+dF」か否かにて判定している。そして「Fdio<Fmin・Kf」、あるいは「Fdio<Fmin+dF」となれば、前記実施の形態1にてステップS112でNOとした場合と同じく、ステップS118,S120を実行している。
このことにより空燃比のリッチ化を確実に抑制することができ、エミッションの悪化を防止できる。
[実施の形態3]
本実施の形態では、図8に示す燃料噴射分担制御処理が、前記実施の形態1の燃料噴射分担制御処理(図4)の代わりに一定クランク角回転毎の割り込みで実行される。他の構成は前記実施の形態1と同じである。
燃料噴射分担制御処理(図8)が開始されると、まず、高圧燃料圧力Pf、吸入空気量GA及び機関回転数NEが読み込まれ(S202)、総噴射要求量Ftの算出(S204)、及び筒内噴射分担率Rfの算出(S206)が実行される。これらのステップS202〜S206は、それぞれ前記燃料噴射分担制御処理(図4)のステップS102,S106,S108と同じで処理である。
次に図5に示すマップMAPfminと逆の関係にあるMAPpfminにより筒内噴射用燃料噴射弁6における燃料噴射分担量である「Ft×Rt」(g)に基づいて、この燃料噴射分担量を噴射可能な最高の燃料圧力である噴射可能燃料圧力Pfmin(Pa)を算出する(S208)。すなわち、これよりも高い燃料圧力では燃料噴射分担量の噴射が不可能な燃料圧力を噴射可能燃料圧力Pfminとして求める。尚、マップMAPfmin(図5)そのものを用いて、「Ft×Rt」に対応する最小燃料噴射量Fminの値から高圧燃料圧力Pfの値を求めて、この値を噴射可能燃料圧力Pfminとして設定しても良い。
そして次に実際に燃料圧力センサ34にて検出されている高圧燃料圧力Pfが噴射可能燃料圧力Pfmin以下か否かが判定される(S210)。
ここで高圧燃料圧力Pf≦噴射可能燃料圧力Pfminであれば(S210でYES)、筒内噴射用燃料噴射弁6にてその燃料噴射分担量である「Ft×Rt」を実際に噴射することは可能であることから、「Ft×Rt」の値がそのまま筒内噴射要求量Fdiに設定される(S212)。
そして前記式2に示したごとく、吸気ポート噴射要求量Fpfiが算出される(S214)。
このようにして筒内噴射用燃料噴射弁6での噴射と吸気ポート噴射用燃料噴射弁12での噴射との噴射分担量(Fdi,Fpfi)が決定され、前記実施の形態1にて説明した各タイミングにて吸気ポート噴射用燃料噴射弁12から吸気ポート噴射要求量Fpfi分の燃料が、筒内噴射用燃料噴射弁6から筒内噴射要求量Fdi分の燃料が噴射される。
次に前記実施の形態1にて説明したごとく、実際の高圧燃料圧力Pfが十分に低下していない内に燃料カットから復帰した場合には、高圧燃料圧力Pfが噴射可能燃料圧力Pfminより高くなる可能性がある。
したがって高圧燃料圧力Pf>噴射可能燃料圧力Pfminとなった場合には(S210でNO)、筒内噴射要求量Fdiは0とされ(S216)、吸気ポート噴射要求量Fpfiに総噴射要求量Ftがそのまま設定される(S218)。つまり筒内噴射分担率Rf=0に強制的に設定される処理が行われる。
上述した構成において、請求項との関係は、燃料噴射分担制御処理(図8)のステップS208,S210が過剰噴射状態判定手段としての処理に、ステップS216,S218が代替噴射手段としての処理に、ステップS206が燃料噴射量分担設定手段としての処理に相当する。
以上説明した本実施の形態3によれば、以下の効果が得られる。
(1)このように実測している高圧燃料圧力Pfと噴射可能燃料圧力Pfminとを比較することによっても、筒内噴射用燃料噴射弁6にて過剰噴射状態となることが判定できる。したがって前記実施の形態1に述べたごとくの効果を生じる。
[実施の形態4]
前記実施の形態3の燃料噴射分担制御処理(図8)のステップS210で「Pf≦Pfmin」か否かを判定しているが、この代わりに、本実施の形態では、「Pf≦Pfmin・Kp」か否か、あるいは「Pf≦Pfmin−dP」か否かを判定する。
ここで係数Kpは「0.9」などの1未満の減少係数としての値であり、減算値dPは余裕代分の減少を噴射可能燃料圧力Pfminに与えるための値を表している。このようにして判定することにより、噴射可能燃料圧力Pfminが高圧燃料圧力Pf未満となる直前の状態を判定できる。
噴射可能燃料圧力Pfminは同種の筒内噴射用燃料噴射弁6における代表値あるいは実測値の内で最小の値が用いられていることにより、この内燃機関2に実際に用いられている筒内噴射用燃料噴射弁6の噴射可能燃料圧力Pfminとは誤差が存在している。この誤差により、実際の高圧燃料圧力Pfが噴射可能燃料圧力Pfminを越えていても、まだPf≦Pfminであると判定されて、「Ft×Rt」より大きい噴射が筒内噴射用燃料噴射弁6からなされるおそれがある。
この誤差を吸収するために、高圧燃料圧力Pfが噴射可能燃料圧力Pfminに近づいて越える直前の状態を、「Pf≦Pfmin・Kp」か否か、あるいは「Pf≦Pfmin−dP」か否かにて判定している。そして「Pf>Pfmin・Kp」あるいは「Pf>Pfmin−dP」となれば、前記実施の形態3にてステップS210でNOとした場合と同じく、ステップS216,S218を実行する。
このことにより空燃比のリッチ化を確実に抑制することができ、エミッションの悪化を防止できる。
[実施の形態5]
本実施の形態では、図9に示すごとくであり、内燃機関102がパージ機構158(吸気内導入手段及びパージ手段に相当)を備えて、パージ率がECU126にて制御されている点が前記実施の形態1とは異なる。他の構成は前記実施の形態1の図1,2にて示したごとくである。したがって図9では図1と同一の構成については同一の符号にて示している。
パージ機構158には、燃料タンクに発生する燃料蒸気を捕集する捕集容器であるキャニスタ160が備えられている。このキャニスタ160は、ベーパ通路160aを介して燃料タンクに接続されており、更にキャニスタ160は、捕集した燃料蒸気を内燃機関102の吸気通路8に供給するためのパージ通路160bに接続されている。そして、パージ通路160bはスロットルバルブ24の下流に開口されたパージポート160cに連通されている。キャニスタ160の内部には燃料蒸気を吸着する吸着材(例えば活性炭)が充填されており、パージ実行中にキャニスタ160内に逆止弁を介して大気を導入するための大気通路160dが設けられている。パージ通路160bには、パージ率を制御するパージ制御弁162が設けられており、このパージ制御弁162の開度がECU126により調節されることで、捕集した燃料蒸気のパージ率が調節できるように構成されている。
ECU126は、パージ制御弁162を介して吸気中に燃料蒸気をパージする前に、一時的にパージ制御弁162を開いて、空燃比センサ38により検出された空燃比A/Fの変化からパージガス濃度を検出する処理を実行している。このため、前述した総噴射要求量Ftは予めパージガス濃度分の燃料が減算されて設定されている。
したがってパージ制御が実行されている場合には、燃料噴射量が低下することになり、特に、筒内噴射用燃料噴射弁6での燃料噴射量が最小燃料噴射量より小さくなる可能性が高まって、空燃比がリッチ化しやすくなる。
このためECU126では、図10に示す燃料噴射分担制御処理が、前記実施の形態1の燃料噴射分担制御処理(図4)の代わりに一定クランク角回転毎の割り込みで実行される。他の構成は前記実施の形態1と同じである。燃料噴射分担制御処理(図10)においては、ステップS302〜S316,S320,S322は、前記図4のステップS102〜S120とそれぞれ同じ処理である。異なる処理は、予定筒内噴射要求量Fdio<最小燃料噴射量Fminであった場合(S312でNO)、ステップS318にてパージ制御中か否かが判定され、パージ制御中であれば(S318でYES)、ステップS324にてパージ禁止処理がなされて、ステップS314,316に移行する点である。
したがってFdio<Fminであっても(S312でNO)、パージ制御中であれば(S318でYES)、パージ制御弁162を完全に閉じることにより吸気中への燃料蒸気放出を禁止する(S324)。そして、Fdio≧Fminである場合と同様に、予定筒内噴射要求量Fdioによる筒内噴射用燃料噴射弁6からの燃料噴射を可能としている(S314)。
パージ制御中でなければ(S318でNO)、前記実施の形態1の場合と同様に、筒内噴射要求量Fdiは0とされ(S320)、吸気ポート噴射要求量Fpfiに総噴射要求量Ftがそのまま設定される(S322)。すなわち筒内噴射分担率Rf=0に強制的に設定されることになる。したがってパージ制御中でなければ前記実施の形態1と同じ処理が行われる。
上述した構成において、請求項との関係は、ECU126が過剰噴射状態判定手段、代替噴射手段、燃料噴射量分担設定手段、筒内噴射燃料圧力調節手段及びリッチ化抑制手段に相当する。燃料噴射分担制御処理(図10)のステップS304,S310,S312が過剰噴射状態判定手段としての処理に、ステップS320,S322が代替噴射手段としての処理に、ステップS308が燃料噴射量分担設定手段としての処理に、ステップS318,S324がリッチ化抑制手段としての処理に相当する。
以上説明した本実施の形態5によれば、以下の効果が得られる。
(1)前記実施の形態1の効果を生じると共に、過剰噴射状態となると判定されると(S312でNO)、パージ制御中であれば(S318でYES)、パージを禁止することで空燃比を大きくする側へ調節している(S324)。したがって、このことにより、筒内噴射用燃料噴射弁6が過剰噴射しても空燃比リッチ化が抑制できる。
したがって要求される筒内噴射をキャンセルすることなく、実行できる機会を増加させることができ、円滑な内燃機関制御が可能となる。
[実施の形態6]
本実施の形態では、図11に示す燃料噴射分担制御処理が、前記実施の形態5の燃料噴射分担制御処理(図10)の代わりに一定クランク角回転毎の割り込みで実行される。他の構成は前記実施の形態5と同じである。
燃料噴射分担制御処理(図11)においては、ステップS402〜S416は前記図10のステップS302〜S316とそれぞれ同じ処理である。異なる処理は、予定筒内噴射要求量Fdio<最小燃料噴射量Fminであった場合(S412でNO)、ステップS418にてパージ禁止処理がなされて、ステップS414,416に移行する点である。
したがってFdio<Fminであれば(S412でNO)、パージ制御弁162(図9)の開閉状態にかかわらず、とにかくパージ制御弁162を全閉状態にすることにより吸気中への燃料蒸気放出を禁止している(S418)。そして、Fdio≧Fminである場合と同様に、予定筒内噴射要求量Fdioにて筒内噴射用燃料噴射弁6からの燃料噴射を可能としている(S414)。
上述した構成において、請求項との関係は、ECU126が過剰噴射状態判定手段、燃料噴射量分担設定手段、筒内噴射燃料圧力調節手段及びリッチ化抑制手段に相当する。燃料噴射分担制御処理(図11)のステップS404,S410,S412が過剰噴射状態判定手段としての処理に、ステップS408が燃料噴射量分担設定手段としての処理に、ステップS418がリッチ化抑制手段としての処理に相当する。
以上説明した本実施の形態6によれば、以下の効果が得られる。
(1)過剰噴射状態となると判定されると(S412でNO)、パージを禁止することで空燃比を大きくする側へ調節し(S418)、このことにより筒内噴射用燃料噴射弁6が過剰噴射したとしても、その空燃比リッチ化を抑制でき、エミッションの悪化を抑制できる。
[実施の形態7]
本実施の形態では、図12のブロック図に示すごとくの内燃機関202及びECU226を用い、図10の燃料噴射分担制御処理の代わりに図13に示す燃料噴射制御処理を一定クランク角回転毎の割り込みで実行する。図12に示した構成が前記図9と異なるのは、吸気ポート噴射用燃料噴射弁12(図9)が設けられていない点である。すなわち燃料は筒内噴射用燃料噴射弁6による筒内噴射のみである。他の構成は前記実施の形態5と同じである。
燃料噴射制御処理(図13)が開始されると、まず前記図4のステップS102と同様に高圧燃料圧力Pf、吸入空気量GA及び機関回転数NEが読み込まれ(S502)、前記ステップS104と同様に最小燃料噴射量Fminが算出される(S504)。
次に筒内噴射用燃料噴射弁6に対する筒内噴射要求量Ftdが前記ステップS106にて説明した総噴射要求量Ftと同様に算出される(S506)。
そしてこの筒内噴射要求量FtdがステップS504にて求められている最小燃料噴射量Fmin以上か否かが判定される(S508)。
ここで筒内噴射要求量Ftd≧最小燃料噴射量Fminであれば(S508でYES)、このまま本処理を出ることにより、筒内噴射用燃料噴射弁6からは筒内噴射要求量Ftd分の燃料噴射が実行される。
筒内噴射要求量Ftd<最小燃料噴射量Fminであれば(S508でNO)、パージ禁止処理が実行される(S510)。このパージ禁止処理は、パージ制御弁162の開閉状態にかかわらず、ECU226が、とにかくパージ制御弁162を全閉状態にする処理であり、このことによりキャニスタ160からの燃料蒸気は吸気通路8内に全く放出されなくなる。
そして本処理を出ることにより筒内噴射用燃料噴射弁6からは筒内噴射要求量Ftd分の燃料噴射が実行される。
上述した構成において、請求項との関係は、ECU226が過剰噴射状態判定手段、筒内噴射燃料圧力調節手段及びリッチ化抑制手段に相当する。燃料噴射制御処理(図13)のステップS504,S506,S508が過剰噴射状態判定手段としての処理に、ステップS510がリッチ化抑制手段としての処理に相当する。
以上説明した本実施の形態7によれば、前記実施の形態6の効果を生じる。
[その他の実施の形態]
・前記実施の形態5〜7においては、パージ機構158を、吸気通路内に空燃比に影響する成分を導入する吸気内導入手段として用いたが、これ以外の吸気内導入手段としては、吸気通路にブローバイガスを放出する構成を採用している内燃機関ではブローバイガス還元装置(PCV:ブローバイガス還元手段に相当)を用いることができる。このブローバイガス還元装置に設けられたPCVバルブを、筒内噴射用燃料噴射弁による過剰噴射状態時に、空燃比がリーン化する方向にECUが開閉制御することによりリッチ化抑制が可能となる。
このPCV以外に排気再循環装置(EGR:排気再循環手段に相当)を吸気内導入手段として用いても良い。すなわち筒内噴射用燃料噴射弁による過剰噴射状態時に、ECUがEGRバルブを閉じることにより、排気再循環を抑制、あるいは停止して燃焼室内に取り込まれる酸素濃度を上昇させることにより、空燃比がリーン化してリッチ化抑制が可能となる。
・前記実施の形態3では基準圧力として噴射可能燃料圧力Pfminを設定して、高圧燃料圧力Pf>噴射可能燃料圧力Pfminの場合に筒内噴射用燃料噴射弁による噴射を禁止していた。前記実施の形態5,6,7についても、筒内噴射要求量と最小燃料噴射量との比較でなく高圧燃料圧力Pfと噴射可能燃料圧力Pfminとの比較により過剰噴射状態を判定し、過剰噴射状態(Pf>Pfmin)であれば、パージ制御中の判定(S318)、あるいはパージ禁止処理(S418,S510)に移行するようにしても良い。この場合も過剰噴射状態(Pf>Pfmin)となる直前の状態で、パージ制御中の判定(S318)、あるいはパージ禁止処理(S418,S510)に移行するようにしても良い。
・前記実施の形態5,6,7について、過剰噴射状態(Fdio,Ftd<Fmin)となる直前の状態で、パージ制御中の判定(S318)、あるいはパージ禁止処理(S418,S510)に移行するようにしても良い。
・前記実施の形態5,6,7については、パージ禁止処理(S324,S418,S510)の代わりに、パージ率を低減する処理としても良い。PCVやEGRを制御する場合も同じである。
2…内燃機関、4…燃焼室、6…筒内噴射用燃料噴射弁、8…吸気通路、10…吸気ポート、12…吸気ポート噴射用燃料噴射弁、14…点火プラグ、16…吸気バルブ、18…排気ポート、20…排気バルブ、22…サージタンク、24…スロットルバルブ、24a…スロットル開度センサ、24b…モータ、26…ECU、28…内燃機関回転数センサ、30…アクセル開度センサ、32…エアフロメータ、34…燃料圧力センサ、36…冷却水温センサ、38…空燃比センサ、40…高圧燃料分配管、42…低圧燃料分配管、44…高圧燃料ポンプ、44a…電磁開閉弁、46…フィードポンプ、48…燃料タンク、50…燃料高圧化機構、52…パルセーションダンパ、54…吐出弁、56…減圧機構、56a…オリフィス、56b…逆止弁、102…内燃機関、126…ECU、158…パージ機構、160…キャニスタ、160a…ベーパ通路、160b…パージ通路、160c…パージポート、160d…大気通路、162…パージ制御弁、202…内燃機関、226…ECU。

Claims (16)

  1. 内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射するための筒内燃料噴射手段と、内燃機関の吸気通路内に燃料を噴射するための吸気通路内燃料噴射手段とを備えた内燃機関制御装置であって、
    前記筒内燃料噴射手段での実際の燃料噴射量が前記筒内燃料噴射手段に対する筒内燃料噴射要求量を越える過剰噴射状態となるか否かを判定する過剰噴射状態判定手段と、
    前記過剰噴射状態判定手段にて過剰噴射状態となると判定されている場合は、前記筒内燃料噴射手段による燃料噴射を禁止して、前記筒内燃料噴射要求量分の燃料噴射を、前記吸気通路内燃料噴射手段による吸気通路内燃料噴射にて分担して実行する代替噴射手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関制御装置において、前記過剰噴射状態判定手段は、前記筒内燃料噴射手段における最小燃料噴射量が前記筒内燃料噴射手段に対する筒内燃料噴射要求量を越えている状態、又は越える直前の状態を、前記過剰噴射状態の一種としていることを特徴とする内燃機関制御装置。
  3. 請求項1に記載の内燃機関制御装置において、前記過剰噴射状態判定手段は、前記筒内燃料噴射手段において過剰噴射状態を引き起こす可能性のある基準圧力を設定し、前記筒内燃料噴射手段に供給される燃料圧力が前記基準圧力を越えている状態、又は越える直前の状態を、前記過剰噴射状態の一種としていることを特徴とする内燃機関制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関制御装置において、内燃機関運転状態に応じて前記筒内燃料噴射手段と前記吸気通路内燃料噴射手段とによる燃料噴射量分担を設定する燃料噴射量分担設定手段を備え、
    前記代替噴射手段は、前記過剰噴射状態判定手段にて過剰噴射状態となると判定されている場合は、前記燃料噴射量分担設定手段により設定される前記燃料噴射量分担を、前記筒内燃料噴射手段による燃料噴射量分担をなくし、すべて前記吸気通路内燃料噴射手段による燃料噴射量分担とすることを特徴とする内燃機関制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関制御装置において、内燃機関運転状態に応じて前記筒内燃料噴射手段に供給される燃料圧力を調節する筒内噴射燃料圧力調節手段を備えていることを特徴とする内燃機関制御装置。
  6. 請求項5に記載の内燃機関制御装置において、前記筒内噴射燃料圧力調節手段は、前記吸気通路内燃料噴射手段で噴射に用いられる燃料圧力とされた燃料に対して高圧化処理して前記筒内燃料噴射手段へ供給する燃料高圧化機構の駆動を制御することにより、内燃機関運転状態に応じて前記筒内燃料噴射手段に供給される燃料圧力を調節することを特徴とする内燃機関制御装置。
  7. 請求項6に記載の内燃機関制御装置において、前記燃料高圧化機構は、前記高圧化処理の停止時に前記筒内燃料噴射手段側の燃料圧力を低下させる減圧手段を備えていることを特徴とする内燃機関制御装置。
  8. 内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射するための筒内燃料噴射手段と、内燃機関の吸気通路内に空燃比に影響する成分を導入する吸気内導入手段とを備えた内燃機関制御装置であって、
    前記筒内燃料噴射手段での実際の燃料噴射量が前記筒内燃料噴射手段に対する筒内燃料噴射要求量を越える過剰噴射状態となるか否かを判定する過剰噴射状態判定手段と、
    前記過剰噴射状態判定手段にて過剰噴射状態となると判定されている場合は、前記吸気内導入手段による前記成分の導入量を空燃比が大きくなる側に調節するリッチ化抑制手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関制御装置。
  9. 請求項8に記載の内燃機関制御装置おいて、前記吸気内導入手段は、キャニスタからの燃料蒸気を吸気経路に導入するパージ手段であり、前記リッチ化抑制手段は、空燃比を大きくする側への調節を、前記パージ手段による燃料蒸気導入量を低下させることにより実行することを特徴とする内燃機関制御装置。
  10. 請求項8に記載の内燃機関制御装置おいて、前記吸気内導入手段は、ブローバイガスを吸気経路に導入するブローバイガス還元手段であり、前記リッチ化抑制手段は、空燃比を大きくする側への調節を、前記ブローバイガス還元手段によるブローバイガス導入量の調節により実行することを特徴とする内燃機関制御装置。
  11. 請求項8に記載の内燃機関制御装置おいて、前記吸気内導入手段は、排気を吸気経路に還流する排気再循環手段であり、前記リッチ化抑制手段は、空燃比を大きくする側への調節を、前記排気再循環手段による排気再循環量を低下させることにより実行することを特徴とする内燃機関制御装置。
  12. 請求項8〜11のいずれか一項に記載の内燃機関制御装置において、内燃機関の吸気通路内に燃料を噴射するための吸気通路内燃料噴射手段を備えたことを特徴とする内燃機関制御装置。
  13. 請求項12に記載の内燃機関制御装置おいて、内燃機関運転状態に応じて前記筒内燃料噴射手段と前記吸気通路内燃料噴射手段とによる燃料噴射量分担を設定する燃料噴射量分担設定手段を備えたことを特徴とする内燃機関制御装置。
  14. 請求項8〜13のいずれか一項に記載の内燃機関制御装置において、内燃機関運転状態に応じて前記筒内燃料噴射手段に供給される燃料圧力を調節する筒内噴射燃料圧力調節手段を備えていることを特徴とする内燃機関制御装置。
  15. 請求項14に記載の内燃機関制御装置において、前記筒内噴射燃料圧力調節手段は、前記吸気通路内燃料噴射手段で噴射に用いられる燃料圧力とされた燃料に対して高圧化処理して前記筒内燃料噴射手段へ供給する燃料高圧化機構の駆動を制御することにより、内燃機関運転状態に応じて前記筒内燃料噴射手段に供給される燃料圧力を調節することを特徴とする内燃機関制御装置。
  16. 請求項15に記載の内燃機関制御装置において、前記燃料高圧化機構は、前記高圧化処理の停止時に前記筒内燃料噴射手段側の燃料圧力を低下させる減圧手段を備えていることを特徴とする内燃機関制御装置。
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