JP2011044297A - 燃料電池 - Google Patents

燃料電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2011044297A
JP2011044297A JP2009190893A JP2009190893A JP2011044297A JP 2011044297 A JP2011044297 A JP 2011044297A JP 2009190893 A JP2009190893 A JP 2009190893A JP 2009190893 A JP2009190893 A JP 2009190893A JP 2011044297 A JP2011044297 A JP 2011044297A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
flow path
fuel cell
electrode
porous body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2009190893A
Other languages
English (en)
Inventor
Masashi Maeda
正史 前田
Ikuyasu Kato
育康 加藤
Kazuya Takeuchi
和哉 竹内
Hitoshi Hamada
仁 濱田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Soken Inc
Original Assignee
Nippon Soken Inc
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Soken Inc, Toyota Motor Corp filed Critical Nippon Soken Inc
Priority to JP2009190893A priority Critical patent/JP2011044297A/ja
Publication of JP2011044297A publication Critical patent/JP2011044297A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Abstract

【課題】簡素な構成により、燃料電池に供給される湿度の低いガスに起因する電解質膜の乾燥を抑制する。
【解決手段】燃料電池は、高分子電解質から成る電解質膜と、電解質膜上に形成されている一対の電極と、各電極上に配置され、電極との間にガス流路を形成するガスセパレータと、少なくとも一方のガス流路に対応して設けられた、ガス流路にガスを流入させる供給部およびガス流路から前記ガスを排出させる排出部と、を備える。少なくとも一方のガス流路は、供給部と接続される供給部近傍領域の形態が、他の領域の形態とは異なって形成されることにより、供給部近傍領域において電極上を流れるガスの流速が、供給部近傍領域以外の領域において電極上を流れるガスの流速よりも遅くなるように形成されている燃料電池。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池に関するものである。
固体高分子型燃料電池が備える高分子電解質膜は、一般に、湿潤状態であるときに良好なプロトン伝導性を示すため、電池性能を維持するために、高分子電解質膜の湿潤状態を確保することが重要である。このような固体高分子型燃料電池では、アノードに水素を含有する燃料ガスが供給されると共に、カソードに酸素を含有する酸化ガスが供給されて電気化学反応が進行し、電気化学反応の進行に伴ってカソードにおいて水(生成水)が生じる。そのため、燃料電池の内部では、ガス流れの下流側ほど、生成水によってガスが加湿されて湿度が上昇する。したがって、電解質膜の乾燥に係る問題は、より湿度が低いガスが流入するガスの供給口近傍において、乾燥したガスによって電解質膜の水分が奪われることにより引き起こされ易い問題であった。
従来、燃料電池においては、上記した電解質膜の乾燥の問題を含め、生成水の滞留に起因する問題や、電極面上でのガス供給の不均一に起因する問題など、ガス供給に伴う問題を解決すべく、ガス供給に係る種々の構成が提案されてきた。例えば、電極面上において、ガス流路をガス流れ方向と平行に上下2段に分離して設け、分離されたそれぞれのガス流路を流れるガスが流路の途中で上段と下段と出入れ替わる構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような構成とすることにより、電極全体に対して、新鮮なガスを供給可能にしている。
特開2008−97944号公報 特開2007−194074号公報 特開2008−84703号公報
しかしながら、ガス流路を上下2段に分割して、それぞれに対してガスを分割供給する構成では、燃料電池に供給されるガスの湿度が低い場合、あるいは燃料電池の運転温度が高い場合には、新鮮なガスが供給される領域において、膜乾燥が生じる問題を充分に解決することができない場合があった。また、ガス流路を2段に分割してガス流れを途中で上下で入れ替える場合には、ガス流路の構成が複雑化するため、燃料電池の部品点数が増加し、製造工程が複雑化するという問題を生じる。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、簡素な構成により、燃料電池に供給されるガスに起因する電解質膜の乾燥を抑制することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実施することが可能である。
[適用例1]
燃料電池であって、
高分子電解質から成る電解質膜と、
前記電解質膜上に形成されている一対の電極と、
各前記電極上に配置され、前記電極との間にガス流路を形成するガスセパレータと、
少なくとも一方の前記ガス流路に対応して設けられた、該ガス流路にガスを流入させる供給部および該ガス流路から前記ガスを排出させる排出部と、
を備え、
前記少なくとも一方のガス流路は、前記供給部と接続される供給部近傍領域の形態が、他の領域の形態とは異なって形成されることにより、前記供給部近傍領域において前記電極上を流れる前記ガスの流速が、前記供給部近傍領域以外の領域において前記電極上を流れる前記ガスの流速よりも遅くなるように形成されている
燃料電池。
適用例1に記載の燃料電池によれば、少なくとも一方のガス流路において供給部近傍領域の電極上を流れるガスの流速が、供給部近傍領域以外の領域の電極上を流れるガスの流速よりも遅いため、ガス流れに起因する供給部近傍領域における電解質膜の乾燥を抑制することができる。これにより、電解質膜の乾燥に起因する電池性能の低下を抑えることができる。
[適用例2]
適用例1記載の燃料電池であって、
前記少なくとも一方のガス流路は、前記電極側に配置された電極近接層と、前記ガスセパレータ側に配置された電極離間層と、によって構成されており、前記電極面に平行に前記ガスが流れる際の圧損が、前記供給部近傍領域においては前記電極近接層よりも前記電極離間層の方が小さく形成されている燃料電池。適用例2に記載の燃料電池によれば、供給部からガス流路へと流入したガスは、供給部近傍領域において、圧損が小さい電極離間層を多く流れる。そのため、供給部近傍領域における電極近接層を流れるガス流速が低下する。その結果、供給部近傍領域において電極上を流れるガス流速が、供給部近傍領域以外の領域において電極上を流れるガスの流速よりも遅くなる効果を高めることができ、供給部近傍領域における電解質膜の乾燥を抑制することができる。
[適用例3]
適用例2記載の燃料電池であって、前記少なくとも一方のガス流路における前記供給部近傍領域の前記電極離間層は、同じ流路長を流れる際の流路抵抗が、前記少なくとも一方のガス流路を構成する他の部分よりも小さくなる形状に形成されている燃料電池。適用例3に記載の燃料電池によれば、供給部からガス流路へと流入したガスは、供給部近傍領域において、流路抵抗が小さい電極離間層を多く流れる。そのため、供給部近傍領域における電極近接層を流れるガス流速が低下する。その結果、供給部近傍領域において電極上を流れるガス流速が、供給部近傍領域以外の領域において電極上を流れるガスの流速よりも遅くなる効果を高めることができ、供給部近傍領域における電解質膜の乾燥を抑制することができる。
[適用例4]
適用例3記載の燃料電池であって、前記少なくとも一方のガス流路は、前記電極と前記ガスセパレータとの間に配置された多孔質体である流路形成多孔質体内に形成される細孔によって形成され、前記流路形成多孔質体は、前記供給部近傍領域における前記電極離間層を構成する多孔質体として、前記流路形成多孔質体における他の部位よりも空隙率の高い多孔質体を備える燃料電池。適用例4に記載の燃料電池によれば、供給部からガス流路へと流入したガスは、供給部近傍領域において、空隙率の高い多孔質体を備える電極離間層を多く流れる。そのため、供給部近傍領域における電極近接層を流れるガス流速が低下する。その結果、供給部近傍領域において電極上を流れるガス流速が、供給部近傍領域以外の領域において電極上を流れるガスの流速よりも遅くなる効果を高めることができ、供給部近傍領域における電解質膜の乾燥を抑制することができる。
[適用例5]
適用例2記載の燃料電池であって、前記少なくとも一方のガス流路における前記供給部近傍領域の前記電極近接層は、同じ流路長を流れる際の流路抵抗が、前記少なくとも一方のガス流路を構成する他の部分よりも大きくなる形状に形成されている燃料電池。適用例5に記載の燃料電池によれば、供給部近傍領域では、供給部からガス流路へと流入したガスのうち、流路抵抗が大きい電極近接層内を流れるガス量が抑えられる。そのため、供給部近傍領域における電極近接層を流れるガス流速が低下する。その結果、供給部近傍領域において電極上を流れるガス流速が、供給部近傍領域以外の領域において電極上を流れるガスの流速よりも遅くなる効果を高めることができ、供給部近傍領域における電解質膜の乾燥を抑制することができる。
[適用例6]
適用例5記載の燃料電池であって、前記少なくとも一方のガス流路は、前記電極と前記ガスセパレータとの間に配置された多孔質体である流路形成多孔質体内に形成される細孔によって形成され、前記流路形成多孔質体は、前記供給部近傍領域における前記電極近接層を構成する多孔質体として、前記流路形成多孔質体における他の部位よりも空隙率の低い多孔質体を備える燃料電池。適用例6に記載の燃料電池によれば、供給部近傍領域では、供給部からガス流路へと流入したガスのうち、空隙率の低い多孔質体を備える電極近接層内を流れるガス量が抑えられる。そのため、供給部近傍領域における電極近接層を流れるガス流速が低下する。その結果、供給部近傍領域において電極上を流れるガス流速が、供給部近傍領域以外の領域において電極上を流れるガスの流速よりも遅くなる効果を高めることができ、供給部近傍領域における電解質膜の乾燥を抑制することができる。
[適用例7]
適用例1記載の燃料電池であって、前記少なくとも一方のガス流路は、前記供給部近傍領域における流路断面積が、他の領域における流路断面積に比べて大きく形成されている燃料電池。適用例7に記載の燃料電池によれば、供給部近傍領域の流路断面積が他の領域の流路断面積に比べて大きいため、少なくとも一方のガス流路全体として、供給部近傍領域をガスが流れる際の流速が、他の領域をガスが流れる際の流速に比べて遅くなる。そのため、供給部近傍領域において電極上を流れるガスの流速が相対的に遅くなり、供給部近傍領域において電極上を流れるガス流速が、供給部近傍領域以外の領域において電極上を流れるガスの流速よりも遅くなる効果を高めることができ、供給部近傍領域における電解質膜の乾燥を抑制することができる。
[適用例8]
適用例7記載の燃料電池であって、
前記少なくとも一方のガス流路における前記供給部近傍領域は、前記電極側に配置された電極近接層と、前記ガスセパレータ側に配置された電極離間層とを備え、前記電極離間層は、前記電極近接層よりも電極面に平行にガスが流れる際の圧損が小さく形成されている燃料電池。適用例8に記載の燃料電池によれば、流路断面積が大きい供給部近傍領域において、電極離間層の方が電極近接層よりも電極面に平行にガスが流れる際の圧損が小さく形成されているため、供給部近傍領域では、電極離間層において、ガスが流れやすくなる。そのため、電極近接層におけるガスの流速、すなわち、供給部近傍領域において電極上を流れるガスの流速がさらに遅くなり、供給部近傍領域における電解質膜の乾燥を抑制する効果を高めることができる。
[適用例9]
適用例8記載の燃料電池であって、前記少なくとも一方のガス流路は、前記電極と前記ガスセパレータとの間に配置された多孔質体である流路形成多孔質体内に形成される細孔によって形成され、前記流路形成多孔質体は、前記電極離間層を構成する多孔質体として、前記流路形成多孔質体における他の部位よりも空隙率の大きい多孔質体を備える燃料電池。適用例9に記載の燃料電池によれば、供給部近傍領域では、より空隙率の大きい多孔質体によって構成される電極離間層においてガスが流れやすくなる。そのため、電極近接層におけるガスの流速、すなわち、供給部近傍領域において電極上を流れるガスの流速がさらに遅くなり、供給部近傍領域における電解質膜の乾燥を抑制する効果を高めることができる。
[適用例10]
適用例8記載の燃料電池であって、
前記少なくとも一方のガス流路は、前記電極離間層以外が、前記電極上に配置された多孔質体内に形成される細孔によって形成され、前記電極離間層は、前記供給部近傍領域にわたって前記ガスの流れ方向に平行に形成された空間によって形成される燃料電池。適用例10に記載の燃料電池によれば、供給部近傍領域では、多孔質体によって形成される電極近接層よりも、電極離間層において、ガスが流れやすくなる。そのため、電極近接層におけるガスの流速、すなわち、供給部近傍領域において電極上を流れるガスの流速がさらに遅くなり、供給部近傍領域における電解質膜の乾燥を抑制する効果を高めることができる。
[適用例11]
適用例1ないし10いずれか記載の燃料電池であって、前記一対のガス流路のうち、アノードに対して水素を含有する燃料ガスを供給する燃料ガス流路において、一方の端部から前記燃料ガスの供給を受けつつ、他方の端部を閉塞した状態で発電を行ない、前記一対のガス流路のうち、前記供給部近傍領域において前記電極上を流れる前記ガスの流速が、前記供給部近傍領域以外の領域において前記電極上を流れる前記ガスの流速よりも遅くなっている前記ガス流路は、カソードに対して酸素を含有する酸化ガスを供給する酸化ガス流路である燃料電池。適用例11に記載の燃料電池によれば、燃料ガスの流路においてはガスの流れが小さいために、燃料ガス中の水分を利用して酸化ガスの加湿を行なうことが困難となる場合であっても、酸化ガス流れに起因する電解質膜の乾燥を抑制することができる。
[適用例12]
燃料電池であって、
高分子電解質膜から成る電解質膜と、
前記電解質膜上に形成された一対の電極と、
前記電極上に配置されたガスセパレータと、
前記電極と前記ガスセパレータとの間に形成される一対のガス流路と
を備え、
少なくとも一方の前記ガス流路を形成する前記ガスセパレータは、
前記ガス流路を形成する一方の表面において、前記ガス流路に対してガスを供給するためのガス供給部として、前記電極と重なる領域である集電領域全体にわたって2次元的に分散して設けられた複数のガス供給部を備えると共に、前記ガス流路からガスを排出するためのガス排出口として、前記集電領域全体にわたって2次元的に分散して設けられた複数のガス排出口を備え、
前記ガスセパレータの内部において、前記複数のガス供給部に対してガスを供給するガス供給流路および前記複数のガス排出口からガスを排出するガス排出流路が形成されている
燃料電池。
適用例12に記載の燃料電池によれば、複数のガス供給部および複数のガス排出口が、集電領域全体にわたって2次元的に分散して設けられているため、ガス流路全体にわたって、ガスの流速を抑えつつガスの流速を均一化することができる。そのため、ガス流れに起因する電解質膜の乾燥を抑制し、電解質膜の乾燥に起因する電池性能の低下を抑えることができる。
[適用例13]
適用例12記載の燃料電池であって、前記一対のガス流路のうち、アノードに対して水素を含有する燃料ガスを供給する燃料ガス流路において、一方の端部から前記燃料ガスの供給を受けつつ、他方の端部を閉塞した状態で発電を行ない、前記2次元的に分散して設けられた複数のガス供給部および複数のガス排出口は、前記一対のガス流路のうち、カソードに対して酸素を含有する酸化ガスを供給する酸化ガス流路について設けられている燃料電池。適用例13に記載の燃料電池によれば、燃料ガスの流路においてはガスの流れが小さいために、燃料ガス中の水分を利用して酸化ガスの加湿を行なうことが困難となる場合であっても、酸化ガス流れに起因する電解質膜の乾燥を抑制することができる。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、燃料電池の製造方法などの形態で実現することが可能である。
燃料電池システム10の概略構成を表わすブロック図である。 燃料電池15の概略構成を表わす断面模式図である。 燃料電池15を構成する薄板状部材の概略構成を表わす説明図である。 第2実施例の燃料電池の構成の概略を表わす断面模式図である。 多孔質体138を配置したカソード対向プレート43の平面図である。 第3実施例の燃料電池の構成の概略を表わす断面模式図である。 流路閉塞プレート238を配置したカソード対向プレート43の平面図である。 第4実施例の燃料電池の構成の概略を表わす断面模式図である。 第5実施例の燃料電池の構成の概略を表わす断面模式図である。 流路閉塞プレート438を配置したカソード対向プレート43の平面図である。 第6実施例の燃料電池の構成の概略を表わす断面模式図である。 第7実施例の燃料電池の構成の概略を表わす断面模式図である。 中間プレート642の構成を表わす平面図である。 カソード対向プレート643の構成を表わす平面図である。 アノード対向プレート641の構成を表わす平面図である。 セパレータ上に多孔質体を配置した様子を表わす平面図である。 変形例4の燃料電池を構成する単セルの概略構成を表わす分解斜視図である。 多孔質体837が配置される領域の近傍の様子を表わす断面模式図である。
A.システムの全体構成:
図1は、第1実施例の燃料電池システム10の概略構成を表わすブロック図である。燃料電池システム10は、発電の本体である燃料電池15と、水素供給部20と、ブロワ21と、冷媒給排部80と、を備えている。
燃料電池15は、その内部に、アノードに供給するための燃料ガスの流路であるセル内燃料ガス流路27と燃料ガス供給マニホールドが形成されている。また、燃料電池15は、その内部に、カソードに供給するための酸化ガスの流路であるセル内酸化ガス流路28と、酸化ガス供給マニホールドおよび酸化ガス排出マニホールドが形成されている。本実施例の燃料電池15は、セル内酸化ガス流路28の構成に特徴があるが、燃料電池15の詳しい構成については、後述する。
水素供給部20は、燃料ガスとして燃料電池15に供給する水素を貯蔵している。水素供給部20としては、例えば、水素ガスを圧縮して貯蔵する水素ボンベや、水素吸蔵合金を備える水素タンクを用いることができる。ブロワ21は、酸化ガスとして燃料電池15に空気を供給するための装置である。
水素供給部20と燃料電池15とは、燃料ガス供給路22によって接続されている。燃料ガス供給路22には、圧力調整弁23が設けられている。圧力調整弁23は、圧力調整弁23よりも下流側における燃料ガス供給路22内の圧力が所定の圧力となるように、圧力調整を行なう。また、燃料ガス供給路22において、圧力調整弁23と燃料電池15との間には、圧力センサ24が設けられている。燃料ガス供給路22は、燃料電池15内に形成される既述した燃料ガス供給マニホールドの端部に接続されている。
ブロワ21と燃料電池15とは、酸化ガス供給路25によって接続されている。酸化ガス供給路25は、燃料電池15内に形成される既述した酸化ガス供給マニホールドの端部に接続されている。また、燃料電池15内に形成された既述した酸化ガス排出マニホールドの端部は、酸化ガス排出路26に接続されている。燃料電池15の発電時には、ブロワ21によって空気の供給が継続して行なわれ、電気化学反応に供された残りのカソード排ガスは、酸化ガス排出路26から排出される。
冷媒給排部80は、冷却水などの冷媒が流れる冷媒循環路83と、ラジエータ81と、冷媒循環路83内で冷媒を循環させるポンプ82と、を備えている。燃料電池15の内部には、冷媒が流れる冷媒流路が形成されており、この冷媒流路とラジエータ81とが、冷媒循環路83によって接続されている。燃料電池15では、発電に伴って熱が生じるが、燃料電池15の内部とラジエータ81との間で冷媒を循環させることにより、燃料電池15の内部温度を所定範囲に維持している。
燃料電池15は、燃料ガスが供給されるアノード側流路の下流側端部を閉塞した状態で発電を行なう燃料電池(以下、アノードデッドエンド型燃料電池と呼ぶ)である。燃料電池15の発電時には、圧力調整弁23によって、圧力調整弁23よりも下流側の燃料ガスの水素圧が所定値に保たれるように、水素供給状態が調節される。すなわち、燃料電池15の発電中には、発電により消費された水素に見合う量の水素が圧力調整弁23を介して燃料電池15側へと供給され続け、各セル内燃料ガス流路27内の水素圧は、所定の圧力に維持される。
B.燃料電池の構成:
図2は、燃料電池15の概略構成を表わす断面模式図である。燃料電池15は、固体高分子型燃料電池である。また、本実施例の燃料電池は、電気化学反応が進行する基本構造であるセルアセンブリ30を複数備えると共に、各々のセルアセンブリ30間にセパレータ40を介在させつつセルアセンブリ30を積層させたスタック構造を有している。
セルアセンブリ30は、図2に示すように、膜−電極接合体(MEA、Membrane Electrode Assembly)31と、ガス拡散層32,33と、ガス流路形成部34,35と、ガスケット16と、を備えている。MEA31は、電解質膜と、電解質膜の表面に形成された一対の電極(カソードおよびアノード)とを備えている。
電解質膜は、固体高分子材料、例えばパーフルオロカーボンスルホン酸を備えるフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を示す。カソードおよびアノードは、電気化学反応を促進する触媒、例えば、白金、あるいは白金と他の金属から成る合金を備えている。MEA31を作製するには、例えば、白金等の触媒金属を担持させたカーボン粉を作製し、この触媒担持カーボンと、電解質膜を構成する電解質と同様の電解質とを用いてインクを作製し、作製した触媒インクを電解質膜上に塗布すればよい。ガス拡散層32,33は、カーボン製の多孔質部材であり、例えばカーボンクロスやカーボンペーパによって形成される。MEA31をガス拡散層32,33によって挟持して、プレス接合することにより、MEA31とガス拡散層32,33とを一体化することができる。ガス拡散層は、ガス流路形成部34,35よりも平均細孔径が小さな多孔質体によって構成されている。そのため、ガス拡散層を設けることによって、触媒電極に対するガス供給効率を向上させると共に、ガス流路形成部34,35と触媒電極との間の集電性を高めることができ、さらに電解質膜を保護することもできる。ただし、ガス流路形成部34,35の構成材料や気孔率によっては、ガス拡散層を設けないこととしても良い。
ガス流路形成部34,35は、例えば、発泡金属焼結体や、球状または繊維状の微小な金属を焼結させた焼結体や、金属メッシュなどの金属製多孔質体、あるいは、カーボン製の多孔質体といった導電性の薄板状部材を備えている。本実施例では、各ガス流路形成部34,35は、チタン製の発泡金属によって構成している。ガス流路形成部34,35は、MEA31上のガス拡散層およびセパレータ40と接触するように配置されており、内部に形成される多数の細孔から成る空間は、電気化学反応に供されるガスが通過するセル内ガス流路として機能する。すなわち、カソードとセパレータ40との間に配置されるガス流路形成部34の細孔が形成する空間は、酸素を含有する酸化ガスが通過するセル内酸化ガス流路28として機能する。また、アノードとセパレータ40との間に配置されるガス流路形成部35の細孔が形成する空間は、水素を含有する燃料ガスが通過するセル内燃料ガス流路27として機能する。
ここで、本実施例において、セル内酸化ガス流路28を形成するためのガス流路形成部34は、MEA31側に形成される電極近接層18と、セパレータ40側に配置される電極離間層19と、の2つの層によって構成されている。具体的には、ガス流路形成部34は、3つの多孔質体である多孔質体36〜38を備えており、多孔質体36は、カソード上に配置されたガス拡散層32上に、ガス拡散層32の表面を覆うように配置されて、電極近接層18を構成する。また、多孔質体37,38は、多孔質体36とセパレータ40との間に配置されて、電極離間層19を構成する。このようにセパレータ40に接して配置された多孔質体37,38のうち、多孔質体37は、多孔質体38に比べて、酸化ガス流れの上流側の領域に配置されている。これらの多孔質体36〜38は、本実施例では、多数の細孔が3次元的に均一に形成された発泡金属によって構成されており、これらの多孔質体36〜38の中で多孔質体37だけが、他の多孔質体36,38に比べて空隙率が高く形成されている。空隙率が等しい多孔質体36,38は、図2では別体として表わしているが、多孔質体36,38は一体で形成しても良い。ガス流路形成部34における酸化ガス流れの様子については、後に詳しく説明する。
ここで、隣り合うセパレータ40間であってMEA31、ガス拡散層32,33、およびガス流路形成部34,35の外周部には、ガスケット16が設けられている。ガスケット16は、弾性材料、すなわち、ゴム(例えば、シリコンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム)や、熱可塑性エラストマによって形成されている。図2に示すように、本実施例では、ガスケット16は、MEA31およびガス拡散層32,33の外周部を内包して、これらと一体で形成されている。ガスケット16の両面には、ガス止め凸部17(シールリップ部)が形成されている。このガス止め凸部17がセパレータ40から押圧力を受けることによって、ガスケット16におけるシール性が実現される。なお、ガスケット16は、さらに、ガス流路形成部34,35とも一体で形成することとしても良い。
セパレータ40は、図2に示すように、ガス流路形成部34と接するカソード対向プレート43と、ガス流路形成部35と接するアノード対向プレート41と、カソード対向プレート43およびアノード対向プレート41に挟持される中間プレート42と、を備えている。これら3枚のプレートは、導電性材料、例えばステンレス鋼あるいはチタンやチタン合金といった金属によって形成される薄板状部材であり、カソード対向プレート43、中間プレート42、アノード対向プレート41の順に重ね合わされて、例えば拡散接合により接合されている。これら3種のプレートは、いずれも凹凸のない平坦な表面を有すると共に、各々、所定の位置に所定形状の孔部を有している。セパレータ40は、上記3枚のプレートを組み合わせることにより、その内部に、マニホールドとセル内ガス流路とを連通させる流路等が形成されている。以下に、セパレータ40の構成についてさらに詳しく説明する。
図3は、燃料電池15を構成する薄板状部材の概略構成を表わす説明図である。図3(A)は、アノード対向プレート41の形状を示す平面図であり、図3(B)は、カソード対向プレート43の形状を示す平面図であり、図3(C)は、中間プレート42の形状を示す平面図である。また、図3(D)は、MEA31およびガス拡散層32,33と一体化されたガスケット16の形状を示す平面図である。なお、図3においては、各薄板状部材を組み込んだ燃料電池15を発電のために設置したときに鉛直方向となる方向を、矢印Aによって表わしており、水平方向となる方向を、矢印Bによって表わしている。
アノード対向プレート41、中間プレート42、カソード対向プレート43、およびガスケット16は、その外周部において、マニホールドを形成するための複数の孔部である孔部44〜48を備えている。上記各薄板状部材が備える孔部44は、燃料電池に対して供給された燃料ガスを各セル内燃料ガス流路に分配する燃料ガス供給マニホールドを形成する(図中、H2 inと表わす)。また、孔部45は、燃料電池に対して供給された酸化ガスを各セル内酸化ガス流路に分配する酸化ガス供給マニホールドを形成し(図中、Air inと表わす)、孔部46は、各セル内酸化ガス流路から排出されて集合した酸化ガスを外部へと導く酸化ガス排出マニホールドを形成する(図中、Air outと表わす)。さらに、孔部47は、燃料電池に対して供給された冷却水などの冷媒を各セパレータ40内に分配する冷媒供給マニホールドを形成し、孔部48は、各セパレータ40から排出されて集合した冷媒を外部へと導く冷媒排出マニホールドを形成する。これら孔部44〜48は、中間プレート42に形成された孔部を除いて、いずれも略矩形に形成されている。
図3(D)では、MEA31およびガス拡散層32,33と一体化されたガスケット16を示しているが、ここでは、カソード側のガス拡散層32が露出している部分にハッチを付して示している。この、ガス拡散層32が露出している領域は、酸化ガスおよび燃料ガスの供給を受けて、MEA31が備える触媒電極で電気化学反応が進行する領域であるということができる。そこで、燃料電池内部において、上記ガス拡散層が露出している部分に重なる領域を、以下、発電領域DAと呼ぶ。ガス流路形成部34,35は、発電領域DAと略同一形状に形成されており、この領域と重なるようにMEA31上に配置される。図3(A)〜(C)では、上記した発電領域DAを、一点破線で囲んで示している。また、図3(D)では、ガス止め凸部17が形成された位置を、シールラインSLとして示している。なお、ガスケット16は、シール性を実現するためのガス止め凸部17を設けることなく表面を平坦面として形成し、例えば接着剤を用いてセパレータ40と接着させることにより、所望のシール性を得ることとしても良い。
図3(A)に示すアノード対向プレート41は、発電領域DA内において、アノード対向プレート41を貫通する複数の孔部として、燃料ガス供給口50を備えている。燃料ガス供給口50は、直径が互いに等しい断面円形の孔である。これら複数の燃料ガス供給口50は、発電領域DA全体にわたって2次元的に分散された状態で、互いにほぼ等間隔に配置されている。
図3(B)に示すカソード対向プレート43は、発電領域DA内において、カソード対向プレート43を貫通して形成された複数の酸化ガス供給口51および複数の酸化ガス排出口52を備えている。ここで、複数の酸化ガス供給口51は、発電領域DAの外周を成す辺のうちの孔部45に近接する辺に沿って設けられており、複数の酸化ガス排出口52は、発電領域DAの外周を成す辺のうちの孔部46に近接する辺に沿って設けられている。これら複数の酸化ガス供給口51および酸化ガス排出口52は、直径が互いに等しい断面円形の孔であり、それぞれ、上記各辺に沿って、ほぼ等間隔に配置されている。
図3(C)に示す中間プレート42は、孔部44〜48の形状が他のプレートとは異なっている。中間プレート42の孔部44は、この孔部44のプレート中央部側(鉛直方向下方側)の辺が、発電領域DA内を鉛直方向下方へと突出する複数の突出部を備える形状となっている。孔部44が有する上記複数の突出部を、燃料ガス連通部53と呼ぶ。この燃料ガス連通部53は、中間プレート42とアノード対向プレート41とが積層されたときに燃料ガス供給口50と重なり合うように形成されており、燃料ガス供給マニホールドと燃料ガス供給口50とを連通させる。また、中間プレート42の孔部45は、この孔部45のプレート中央部側の辺が、発電領域DAの外周部に向かって水平方向に突出する複数の突出部を備える形状となっており、同様に孔部46は、この孔部46のプレート中央部側の辺が、発電領域DAの外周部に向かって水平方向に突出する複数の突出部を備える形状となっている。孔部45が有する上記複数の突出部を、酸化ガス連通部54と呼び、孔部46が有する上記複数の突出部を、酸化ガス連通部55と呼ぶ。これらの酸化ガス連通部54は、中間プレート42とカソード対向プレート43とが積層されたときに、複数の酸化ガス供給口51と重なり合うように形成されており、酸化ガス供給マニホールドと酸化ガス供給口51とを連通させる。また、酸化ガス連通部55は、中間プレート42とカソード対向プレート43とが積層されたときに、複数の酸化ガス排出口52と重なり合うように形成されており、酸化ガス供給マニホールドと酸化ガス排出口52とを連通させる。さらに、中間プレート42には、孔部47および孔部48の双方に連通して、発電領域DA全体にわたって燃料ガス連通部53の間を蛇行するように、中間プレート42を貫通する冷媒流路形成部56が形成されている。この冷媒流路形成部56は、セパレータ40の内部において、冷媒供給マニホールドから冷媒排出マニホールドへと冷媒を導くセル間冷媒流路を形成する。
燃料電池の内部において、孔部45が形成する酸化ガス供給マニホールドを流れる酸化ガスは、中間プレート42の酸化ガス連通部54が形成する空間と、カソード対向プレート43の酸化ガス供給口51とを介して、ガス流路形成部34内に形成されるセル内酸化ガス流路28へと流入する。流入した酸化ガスは、電気化学反応に供されつつ、セル内酸化ガス流路28を通過し、ガス流路形成部34から、カソード対向プレート43の酸化ガス排出口52および中間プレート42の酸化ガス連通部55が形成する空間を介して、孔部46が形成する酸化ガス排出マニホールドへと排出される。
また、燃料電池の内部において、孔部44が形成する燃料ガス供給マニホールドを流れる燃料ガスは、中間プレート42の燃料ガス連通部53が形成する空間と、アノード対向プレート41の燃料ガス供給口50とを介して、ガス流路形成部35内に形成されるセル内燃料ガス流路へと流入する。本実施例の燃料電池15は、既述したようにアノードデッドエンド型燃料電池であり、セル内燃料ガス流路の端部が閉塞された状態で発電が行なわれる。
図3(A)では、図2に示した断面図に相当する位置を、2−2断面として示しており、図2は、2−2断面における孔部45に近接する領域の拡大図である。図2では、孔部45が形成する酸化ガス供給マニホールドから、中間プレート42の酸化ガス連通部54およびカソード対向プレート43の酸化ガス供給口51を介して、ガス流路形成部34内へと酸化ガスが供給される様子が矢印で表わされている。また、図2では、中間プレート42の燃料ガス連通部53と、アノード対向プレート41の燃料ガス供給口50とを介して、ガス流路形成部35へと燃料ガスが供給される様子が矢印で表わされている。
ここで、本実施例では、既述したように、酸化ガスが流れるガス流路形成部34は、電極近接層18と電極離間層19の2つの層によって構成されており、電極離間層19における酸化ガス流れの上流側の領域に配置された多孔質体37のみが、他の多孔質体よりも空隙率が高く形成されている。すなわち、セル内酸化ガス流路28における酸化ガス流れの上流側領域では、電極離間層19の方が電極近接層18よりも酸化ガスが流れる際の圧損が小さく形成されている。そのため、カソード対向プレート43の酸化ガス供給口51を介してガス流路形成部34へと流入した酸化ガスは、その多くが、電極離間層19を構成する多孔質体37の内部を面方向に下流側へと流れる。
電極離間層19において多孔質体37の下流側に配置された多孔質体38は、電極近接層18を構成する多孔質体36と同等の空隙率であって、多孔質体37よりも下流側を酸化ガスが流れる際の圧損が、多孔質体36と同程度である。すなわち、セル内酸化ガス流路28における多孔質体37よりも下流側の領域では、電極近接層18と電極離間層19との間で、同じ流路長をガスが流れる際の流路抵抗がほぼ同じになっている。そのため、多孔質体37の内部を流れて多孔質体38との境界に到った酸化ガスは、多孔質体36における上流領域の内部を通過した酸化ガスと共に、多孔質体37よりも下流側に配置された多孔質体38および多孔質体36の内部に広がって流れる。これにより、多孔質体37よりも下流側では、電極近接層18および電極離間層19の全体にわたって、酸化ガス流れは、より均一になる。このような、セル内酸化ガス流路28において酸化ガスが流れる様子を、図2において矢印で示している。図2に示す矢印の太さは、各多孔質体を流れる酸化ガスの流量の相対的な多さを表わしている。
上記のように、セル内酸化ガス流路28における上流領域、すなわち、セル内酸化ガス流路28における酸化ガス供給口51との接続部を含む領域(以下、供給部近傍領域と呼ぶ)の電極離間層19を構成する多孔質体37の空隙率が、他の部位を構成する多孔質体の空隙率よりも高いため、上記供給部近傍領域では、より多くの酸化ガスが電極離間層19側を流れる構成となっている。そのため、MEA31に到達する酸化ガスの流量は、多孔質体37の配置箇所に対応する供給部近傍領域では、他の領域に比べて少なくなる。そして、MEA31上(カソード上)を流れる酸化ガスの流速は、上記供給部近傍領域では他の領域に比べて遅くなる。このように、セル内酸化ガス流路28の供給部近傍領域においてMEA31上を流れる酸化ガスの流量および流速を抑えることにより、上記供給部近傍領域において、MEA31を構成する電解質膜における酸化ガス流れに起因する乾燥(酸化ガスによる電解質膜中の水分の持ち去り)を抑制することができる。なお、セル内酸化ガス流路28においては、発電に伴ってカソードで生成水が生じるため、下流側を流れる酸化ガスほど、上記生成水によって加湿されることによって湿度が高まる。そのため、MEA31上を流れる酸化ガス流量が比較的多く、流速が比較的速い場合であっても、酸化ガス流れの下流に位置する領域ほど、電解質膜の乾燥は生じにくくなる。
なお、発電領域DA全体における上記供給部近傍領域の位置、すなわち、多孔質体37の配置箇所を、図3(B)において一点鎖線で示している。セル内酸化ガス流路28において多孔質体37が配置された領域は、MEA31(カソード、さらには電解質膜)に到達する酸化ガスの流速および流量が抑制された領域であるため、以下、MEA31に平行な面において多孔質体37が配置された位置に対応する領域を、膜上流速抑制領域とも呼ぶ。
ここで、膜上流速抑制領域は、セル内酸化ガス流路28への酸化ガスの流入位置(本実施例では、酸化ガス供給口51の位置)を含み、外部から供給される乾燥した酸化ガスに起因する電解質膜の乾燥が懸念される領域とすればよい。このような膜上流速抑制領域の広さは、発電領域DAの中で、上記酸化ガスの流入位置から1/10〜1/2の広さとすればよい。すなわち、発電領域DAの中で、酸化ガス供給口51が設けられた辺から、酸化ガス排出口52が設けられた辺に向かって、1/10〜1/2の距離にわたって、多孔質体37を配置すればよい。膜上流速抑制領域が上記範囲よりも狭い場合には、電極離間層19側の酸化ガス流量を増加させることによる膜乾燥抑制の効果が不十分となる可能性がある。また、膜上流速抑制領域が上記範囲よりも広い場合には、膜上流速抑制領域における電極近接層18の酸化ガス流量が抑えられることに起因する膜上流速抑制領域における発電性能の抑制により、電池性能が望ましくない程度に低下する可能性がある。膜上流速抑制領域の広さは、燃料電池に供給する酸化ガスの温度や流量、燃料電池の温度、セル内燃料ガス流路27の形状、供給される酸化ガスの湿度、各多孔質体の空隙率(圧損)、燃料電池における発電量(生成水量)など、燃料電池の運転条件を考慮して、適宜設定すればよい。
以上のように構成された本実施例の燃料電池15によれば、セル内酸化ガス流路28における供給部近傍領域において、電極離間層19の方が電極近接層18よりも圧損を小さくすることによって、供給部近傍領域の電極近接層18における酸化ガスの流速および流量を抑制することができる。これにより、燃料電池15に供給する酸化ガス量を確保しつつ、供給部近傍領域における電解質膜の乾燥を抑えることができる。そのため、セル内酸化ガス流路28を、空隙率の異なる複数の多孔質体を組み合わせて積層することにより形成するという簡素な構成により、電解質膜の乾燥に起因する電池性能の低下を抑制することができる。
このように、本実施例の燃料電池15によれば、酸化ガス流れの供給部近傍領域においてMEA31上の酸化ガス流量を抑制して、供給部近傍領域における電解質膜の乾燥を抑制するため、燃料電池15をより高温で運転しても電池性能を確保することが可能になり、発電温度をより高く設定することによる発電効率の向上および冷却能力の向上を図ることができる。また、燃料電池15に供給するガスの湿度をより低くしても、電池性能を確保することが可能になるため、燃料電池15に供給するガスを加湿する装置を小型化し、あるいは不要として、システム構成の簡素化を図ることができる。
上記のように、セル内酸化ガス流路28を構成する多孔質体の構成により、供給部近傍領域におけるMEA31上の酸化ガス流量を抑えて電解質膜の乾燥を抑制するため、本実施例の燃料電池15は、燃料ガス側から供給する水分に依存することなく、電解質膜の水分量を確保することが可能になる。ここで、セル内酸化ガス流路を流れる酸化ガスの流れと、セル内燃料ガス流路を流れる燃料ガスの流れとを、例えば対向流とする場合には、燃料ガス中の水分を利用して、供給部近傍領域における酸化ガスを加湿することができる。すなわち、セル内燃料ガス流路中を燃料ガスが流れる場合には、下流側を流れる燃料ガスほど湿度が高くなるため、このようなセル内燃料ガス流路の下流領域と電解質膜を挟んで隣り合うセル内酸化ガス流路内の領域が、湿度が低い酸化ガスが流入する上流領域である場合には、水蒸気分圧差を利用して、燃料ガスによる酸化ガスの加湿を行なうことができる。これに対して、本実施例の燃料電池15は、燃料ガスを2次元的に分散供給するアノードデッドエンド型燃料電池であるため、セル内燃料ガス流路における燃料ガスの流れが少なく、電解質膜におけるアノード側からカソード側への水分移動を充分に行なわせることが困難となる場合がある。燃料ガスを2次元的に分散供給する構成は、アノード面全体に対する燃料ガスの供給を均一化できる優れた方法であるが、アノードデッドエンド型燃料電池であるために、上記した対向流の場合とは異なり、燃料ガス中の水分を利用したカソード側の加湿を充分には行ない難くなる場合がある。また、電解質膜のアノード側では発電に伴う随伴水の移動によって水分不足となり易く、さらに、燃料ガスを2次元的に分散供給することによって燃料ガス流量が抑えられると、電解質膜全体としてカソード側からアノード側への水供給が抑えられることになり、アノード側ではさらに水不足となる場合がある。しかしながら、本実施例によれば、アノード側の燃料ガスの供給を均一供給性に優れた2次元的な分散供給とするアノードデッドエンド型燃料電池において、水分が不足しがちなアノード側からの水分供給に依存することなく、セル内酸化ガス流路28の供給部近傍領域における電解質膜の乾燥を抑制することが可能になる。
C.第2実施例:
第1実施例では、ガス流路形成部34の供給部近傍領域における電極離間層19に、他の部位よりも空隙率が高く形成された多孔質体37を配置することとしたが、異なる構成としても良い。図4は、第2実施例の燃料電池の構成の概略を表わす断面模式図である。第2実施例の燃料電池は、図1に示す燃料電池システム10において燃料電池15に代えて用いられるものであり、第1実施例と共通する部分については第1実施例と同じ参照番号を付して詳しい説明を省略する。
第2実施例の燃料電池は、ガス流路形成部34を構成する多孔質体として、多孔質体38に代えて多孔質体138を備え、多孔質体37を有していない点が、第1実施例とは異なっている。図5は、第2実施例の燃料電池において、セパレータ40を構成するカソード対向プレート43上に、多孔質体138を配置した様子を表わす平面図である。図5に示すように、多孔質体138には、酸化ガス供給口51が設けられた位置に対応する辺から水平方向に形成された切れ込み部としての、複数のスリット160が設けられている。各スリット160は、カソード対向プレート43において酸化ガス供給口51が形成された位置と重なる位置に形成されている。そして、各スリット160は、第1実施例において多孔質体37が配置されていた範囲にわたって形成されている。すなわち、多孔質体138は、供給部近傍領域に対応する領域において、酸化ガス供給口51が形成される位置を避けて水平方向に延出するように設けられた複数の突出部161を有している。このような多孔質体138は、電極近接層18を構成する多孔質体36と同等の空隙率を示す多孔質体から成る。
以上のように構成された第2実施例の燃料電池によれば、酸化ガス供給口51からセル内酸化ガス流路へと流入した酸化ガスは、その多くが、圧損の小さいスリット160が形成する空間を流れる。そして、多孔質体36および138は、空隙率が等しい多孔質体によって構成されているため、酸化ガスは、スリット160が形成する空間の端部に達すると、多孔質体36および多孔質体138内の細孔が形成する空間へと広がって流れる。そのため、スリット160が形成された領域(供給部近傍領域)では、MEA31上を流れる酸化ガスの流量が、他の領域に比べて少なくなる。このように、スリット160が形成された供給部近傍領域は膜上流速抑制領域となる。これにより、第2実施例の燃料電池は、電解質膜の乾燥を抑制する第1実施例と同様の効果を奏することができる。
上記のように、第2実施例の燃料電池は、第1実施例の燃料電池と同様に、供給部近傍領域の電極離間層が、他の領域よりも流路抵抗が小さくなる形状に形成されることにより、供給部近傍領域を膜上流速抑制領域とする効果を実現している。ここで、電極離間層あるいは他の領域における流路抵抗とは、同じ流路長をガスが流れる際の流路抵抗をいう。
なお、図4および図5に示した第2実施例では、電極離間層19を構成する多孔質体138に複数のスリット160を設けることによって、電極離間層19の供給部近傍領域における圧損を小さくしたが、異なる構成としても良い。例えば、電極離間層19に設ける多孔質体は、第1実施例と同様に膜上流速抑制領域以外の領域のみに配置し、カソード対向プレート43に、図5に示した多孔質体138が備える複数の突出部161と同様の形状の複数の凸部を設けても良い。
D.第3実施例:
第1または第2実施例では、セル内酸化ガス流路を電極近接層18および電極離間層19によって構成し、供給部近傍領域において電極電極近接層18よりも電極離間層19の方が圧損を小さくすることによって、供給部近傍領域のMEA31上を流れる酸化ガスの流量を他の領域に比べて少なくしたが、異なる構成としても良い。図6は、第3実施例の燃料電池の構成の概略を表わす断面模式図である。第3実施例の燃料電池は、図1に示す燃料電池システム10において燃料電池15に代えて用いられるものであり、第1実施例と共通する部分については第1実施例と同じ参照番号を付して詳しい説明を省略する。
第3実施例の燃料電池は、ガス流路形成部34を構成する多孔質体として、多孔質体37に代えて多孔質体237を備え、多孔質体38を有することなく流路閉塞プレート238を備えている点が、第1実施例とは異なっている。多孔質体237は、第1実施例の多孔質体37と同様の位置(供給部近傍領域であって電極から離間する位置)に設けられているが、多孔質体37とは異なり多孔質体36と同等の空隙率を示す。図7は、第3実施例の燃料電池において、セパレータ40を構成するカソード対向プレート43上に、流路閉塞プレート238を配置した様子を表わす平面図である。図7に示すように、流路閉塞プレート238は、発電領域DAにおいて、多孔質体237が配置される領域および酸化ガス排出口52が形成される領域以外の領域を覆う位置に設けられている。また、流路閉塞プレート238は、多孔質体237と同じ厚みに形成されている。このような流路閉塞プレート238は、ガス不透過な導電性部材によって構成されている。
以上のように構成された第3実施例の燃料電池によれば、酸化ガス供給口51からセル内酸化ガス流路へと流入した酸化ガスは、供給部近傍領域において、空隙率が同等である多孔質体36および多孔質体237に均等に広がって下流側へと流れる。そして、多孔質体237内を流れた酸化ガスは、流路閉塞プレート238の端部に当接すると、多孔質体36内に流入する。すなわち、多孔質体237が配置された領域よりも下流の領域では、流路断面積が小さくなっており、酸化ガスの全量が多孔質体36内を流れるようになる。このように、セル内酸化ガス流路の供給部近傍領域においてのみ、多孔質体36に加えて多孔質体237内にも酸化ガスが流れることができ、セル内酸化ガス流路の供給部近傍領域の流路断面積は、他の領域の流路断面積に比べて大きくなっている。そのため、多孔質体237が配置された領域では、MEA31上を流れる酸化ガスの流量が、他の領域に比べて少なくなる。したがって、多孔質体237が配置された供給部近傍領域は膜上流速抑制領域となり、電解質膜の乾燥を抑制する第1実施例と同様の効果を奏する。
E.第4実施例:
第3実施例では、セル内酸化ガス流路の供給部近傍領域であって電極から離間する位置に配置される多孔質体237は、多孔質体36と同等の空隙率を示すこととしたが、異なる構成としても良い。図8は、第4実施例の燃料電池の構成の概略を表わす断面模式図である。第4実施例の燃料電池は、多孔質体237に代えて多孔質体337を有する点以外は、第3実施例と同様の構成を有しているため、第3実施例と共通する部分については第3実施例と同じ参照番号を付して詳しい説明を省略する。
第4実施例の燃料電池が備える多孔質体337は、多孔質体36よりも空隙率が高く形成されている。そのため、第4実施例の燃料電池では、酸化ガス供給口51からセル内酸化ガス流路へと流入した酸化ガスの多くは、MEA31に近い多孔質体36内ではなく、多孔質体337内を流れるようになる。そして、多孔質体337内を流れた酸化ガスは、流路閉塞プレート238の端部に当接すると、多孔質体36内に流入し、酸化ガスの全量が多孔質体36内を流れるようになる。このように、第4実施例の燃料電池によれば、セル内酸化ガス流路の供給部近傍領域であって電極から離間する位置に、多孔質体36よりも空隙率の高い多孔質体337を配置することにより、上記供給部近傍領域のMEA31上を流れる酸化ガスの流量を、他の領域のMEA31上を流れる酸化ガスの流量に比べて少なくする第3実施例と同様の効果を、さらに高めることができる。これにより、セル内酸化ガス流路の供給部近傍領域(膜上流速抑制領域)における電解質膜の乾燥を抑制する効果を高めることができる。
F.第5実施例:
第4実施例では、セル内酸化ガス流路の供給部近傍領域であって電極から離間する側の層に配置される多孔質体337の空隙率をより高めることで、セル内酸化ガス流路の供給部近傍領域のMEA31上における酸化ガス流量を抑制する効果を高めたが、異なる構成としても良い。図9は、第5実施例の燃料電池の構成の概略を表わす断面模式図である。第5実施例の燃料電池は、流路閉塞プレート238に代えて流路閉塞プレート438を備え、多孔質体237を有していない点以外は、第3実施例と同様の構成を有しているため、第3実施例と共通する部分については第3実施例と同じ参照番号を付して詳しい説明を省略する。
図10は、第5実施例の燃料電池において、セパレータ40を構成するカソード対向プレート43上に、流路閉塞プレート438を配置した様子を表わす平面図である。図10に示すように、流路閉塞プレート438は、発電領域DAにおいて、第3実施例の流路閉塞プレート238が配置される領域と同じ領域に設けられると共に、さらに、酸化ガス供給口51が設けられた位置に対応する辺へと水平方向に延出する複数の突出部461を有している。これら複数の突出部461の間には、水平方向の切れ込み部としての複数のスリット460が形成されている。各スリット460は、カソード対向プレート43において酸化ガス供給口51が形成された位置と重なる位置に設けられている。
以上のように構成された第5実施例の燃料電池によれば、酸化ガス供給口51からセル内酸化ガス流路へと流入した酸化ガスは、その多くが、圧損の小さいスリット460が形成する空間を流れる。そして、スリット460が形成する空間の端部に達すると、多孔質体36内に流入し、酸化ガスの全量が多孔質体36内を流れるようになる。このように、第5実施例の燃料電池によれば、スリット460を設けた流路閉塞プレート438を配置することによって、セル内酸化ガス流路の供給部近傍領域であって電極から離間する側の位置において、多孔質体36よりも圧損が小さい空間を形成しているため、上記供給部近傍領域のMEA31上を流れる酸化ガスの流量を、他の領域のMEA31上を流れる酸化ガスの流量に比べて少なくする第3実施例と同様の効果を、さらに高めることができる。これにより、セル内酸化ガス流路の供給部近傍領域(膜上流速抑制領域)における電解質膜の乾燥を抑制する効果を高めることができる。
G.第6実施例:
第1または第2実施例では、電極近接層18および電極離間層19から成るセル内ガス流路において、供給部近傍領域の電極離間層19を、他の領域よりも、同じ流路長をガスが流れる際の流路抵抗が小さくなる形状に形成することによって、供給部近傍領域を膜上流速抑制領域としたが、異なる構成としても良い。図11は、第6実施例の燃料電池の構成の概略を表わす断面模式図である。第6実施例の燃料電池は、図1に示す燃料電池システム10において燃料電池15に代えて用いられるものであり、第1実施例と共通する部分については第1実施例と同じ参照番号を付して詳しい説明を省略する。
第6実施例の燃料電池は、ガス流路形成部34を構成する多孔質体として、第1実施例の多孔質体36,37,38に代えて、多孔質体536,537,538を備えている。第6実施例では、ガス流路形成部34における電極離間層19は、単一の多孔質体538によって構成されている。そして、電極近接層18は、多孔質体537および536によって構成されている。ここで、多孔質体537は、第1実施例の電極離間層19において多孔質体37が配置されていた供給部近傍領域に対応する領域に配置されており、多孔質体536は、残余の下流領域に配置されている。第6実施例では、多孔質体536および538は、同様の空隙率を示す多孔質体であり、多孔質体537だけが、他の多孔質体に比べて空隙率が低く形成されている。なお、空隙率が等しい多孔質体536,538は、図11では別体として表わしているが、多孔質体536,538は一体で形成しても良い。
以上のように構成された第6実施例の燃料電池によれば、酸化ガス供給口51からセル内酸化ガス流路へと酸化ガスが流入すると、供給部近傍領域においては、酸化ガスの多くは、多孔質体537よりも圧損の小さい多孔質体538内を流れる。そして、多孔質体537が配置された供給部近傍領域よりも下流側では、多孔質体536と538の圧損が等しいため、酸化ガスは、セル内酸化ガス流路全体にほぼ均一に流れる。その結果、多孔質体537が配置された領域(電極離間層19の供給部近傍領域)では、MEA31上を流れる酸化ガスの流量が、他の領域に比べて少なくなる。このように、多孔質体537が配置された供給部近傍領域は膜上流速抑制領域となり、電解質膜の乾燥を抑制する第1実施例と同様の効果を奏する。上記のように、第6実施例の燃料電池は、供給部近傍領域の電極近接層が、他の領域よりも、同じ流路長をガスが流れる際の流路抵抗が大きくなる形状に形成されることにより、供給部近傍領域を膜上流速抑制領域とする効果を実現している。
H.第7実施例:
第1ないし第6実施例では、矩形に形成されたガス流路形成部34の一辺近傍に設けた酸化ガス供給口51から、上記一辺に対向する辺の近傍に設けた酸化ガス排出口52へと酸化ガスが流れる燃料電池において、供給部近傍領域の電極近接層18における酸化ガスの流量および流速を抑制することによって、上記供給部近傍領域における電解質膜の乾燥を抑えているが、異なる構成としても良い。図12は、第7実施例の燃料電池の構成の概略を表わす断面模式図である。第7実施例の燃料電池は、図1に示す燃料電池システム10において燃料電池15に代えて用いられるものであり、第1実施例と共通する部分については第1実施例と同じ参照番号を付して詳しい説明を省略する。
第7実施例の燃料電池は、ガス流路形成部34を構成する多孔質体として単一の多孔質体637を備えると共に、セパレータ40に代えてセパレータ640を備えている。セパレータ640は、セパレータ40と同様に、3枚のプレートを重ね合わせて成る3層構造を有しているが、各々のプレートに設けられた孔部等の形状および配置が第1実施例とは異なっている。図13は、セパレータ640が備える中間プレート642の構成を表わす平面図であり、図14は、セパレータ640が備えるカソード対向プレート643の構成を表わす平面図であり、図15は、セパレータ640が備えるアノード対向プレート641の構成を表わす平面図である。
図13ないし図15に示すように、セパレータ640には、その外周近傍に、燃料ガスや酸化ガスや冷媒が流れるマニホールドを形成するための孔部44〜48、および孔部649が形成されている。ここで、中間プレート642には、図13に示すように、酸化ガス供給マニホールドを形成するための孔部45に連通する複数の酸化ガス連通部54が形成されているが、この酸化ガス連通部54は、第1実施例の酸化ガス連通部54とは異なり、発電領域DA内を水平方向(矢印Bに平行な方向)に延出する形状となっている。同様に、中間プレート642には、酸化ガス排出マニホールドを形成するための孔部46に連通する複数の酸化ガス連通部55が形成されているが、この酸化ガス連通部55は、発電領域DA内を、水平方向であって酸化ガス連通部54が延出する向きと対向する向きに延出する形状となっている。このように水平方向に延出して形成された酸化ガス連通部54と酸化ガス連通部55とは、鉛直方向に交互に設けられている。
また、中間プレート642には、燃料ガス供給マニホールドを形成するための孔部44と燃料ガス排出マニホールドを形成するための孔部649とを連通させる燃料ガス連通部53が設けられている。さらに、中間プレート642には、冷媒供給マニホールドを形成するための孔部47と冷媒排出マニホールドを形成するための孔部48とを連通させる冷媒流路形成部56が設けられている。これらの燃料ガス連通部53および冷媒流路形成部56は、発電領域DA全体にわたって蛇行するように形成されている。そして、中間プレート642では、酸化ガス連通部54,55と、燃料ガス連通部53と、冷媒流路形成部56とが、互いに干渉しないように配置されている。
なお、第7実施例では、セパレータ640に孔部649が形成されており、燃料電池内に燃料ガス排出マニホールドが形成されているが、第1ないし第6実施例と同様に、孔部649を設けることなく各燃料ガス連通部53の端部を閉塞させることとしても良い。第7実施例に示したようにアノードデッドエンド型燃料電池において燃料ガス排出マニホールドを設ける場合には、燃料ガス排出マニホールドの端部に開閉弁を設け、燃料電池の発電中や燃料電池の起動時に、上記開閉弁を短時間開弁するパージ処理を行なうことが可能になる。
図14に示すように、カソード対向プレート643には、複数の酸化ガス供給口51および酸化ガス排出口52が形成されている。これら複数の酸化ガス供給口51は、カソード対向プレート643を中間プレート642と重ね合わせたときに中間プレート642の酸化ガス連通部54と重なる位置に、水平方向に並んで形成されている。また、複数の酸化ガス排出口52は、カソード対向プレート643を中間プレート642と重ね合わせたときに中間プレート642の酸化ガス連通部55と重なる位置に、水平方向に並んで形成されている。このように、複数の酸化ガス供給口51および酸化ガス排出口52は、発電領域DA全体にわたって、2次元的に分散して形成されている。
第7実施例の燃料電池に対して酸化ガスが供給される際には、孔部45が形成する酸化ガス供給マニホールドから、酸化ガス連通部54が形成する空間および酸化ガス供給口51を介して、セル内酸化ガス流路28(ガス流路形成部34)に対して、酸化ガスが2次元的に供給される。これにより、酸化ガスは、各々の酸化ガス供給口51に分散された状態で、カソード面全体に供給される。このように、カソード面全体に分散供給された酸化ガスは、電気化学反応に供された後、酸化ガス排出口52および酸化ガス連通部55を介して、孔部46が形成する酸化ガス排出マニホールドへと排出される。ここで、酸化ガス供給口51と酸化ガス排出口52とは、いずれも2次元的に分散配置されており、互いに近接して設けられているため、酸化ガス供給口51からセル内酸化ガス流路28に流入した酸化ガスは、流入した酸化ガス供給口51の周囲に広がって、近傍に配置されたいずれかの酸化ガス排出口52から排出される。
以上のように構成された第7実施例の燃料電池によれば、複数の酸化ガス供給口51および複数の酸化ガス排出口52のそれぞれを、カソード面全体に対して2次元的に分散配置しているため、カソード面全体において、ガスの流速および流量を、均一化しつつ抑制することができる。すなわち、酸化ガス供給口51が2次元的に配置されることにより、酸化ガスが流入する流入口がカソード面上で広く確保されて、カソード面全体が広くガス供給部近傍領域となる。これにより、酸化ガスの流入口の流路断面積が、セル内酸化ガス流路28全体で実質的により広く形成されて、供給部近傍領域におけるガスの流速および流量が抑えられる。また、複数の酸化ガス供給口51と共に複数の酸化ガス排出口52が2次元的に分散して設けられることにより、カソード面全体において、ガスが流れる際の流路長が短くなり、酸化ガスは、カソード面上の限られた範囲のみを流れてセル内酸化ガス流路から排出されることになる。したがって、カソード面全体において広く形成されるガス供給部近傍領域における流速および流量がさらに抑えられて、カソード面全体において広く形成されるガス供給部近傍領域が、膜上流速抑制領域となり、電解質膜の乾燥を抑制する第1実施例と同様の効果を奏することができる。
また、本実施例の燃料電池によれば、上記のように酸化ガス排出口52が酸化ガス供給口51に近接して2次元的に分散配置されて、ガス流路長が短く形成されているため、セル内酸化ガス流路28内における酸化ガスの流れをカソード面全体で均一化することができる。これにより、発電に伴ってカソードで生じた生成水の排水が、より容易になるという効果を奏する。
なお、第7実施例の燃料電池では、アノード対向プレート641において、アノード対向プレート641を中間プレート642と重ね合わせたときに中間プレート642の燃料ガス連通部53と重なる位置に、複数の燃料ガス供給口50が2次元的に分散配置されている。そのため、第1ないし第6実施例と同様に、アノード面全体に対して、燃料ガスを均一に供給することが可能になり、アノードデッドエンド型燃料電池であっても、セル内燃料ガス流路27における水や不純物(カソード側から拡散する窒素や水蒸気)の局所的な滞留を抑制することができる。
さらに、第7実施例の燃料電池によれば、水平方向に延出する酸化ガス連通部54,55と、蛇行する形状の燃料ガス連通部53および冷媒流路形成部56とが、発電領域DA全体にわたって、互いに干渉しないように配置された中間プレート642を用いている。そのため、所定形状の貫通孔を有する3枚のプレートを重ね合わせてセパレータを形成するという簡素な構成により、上記した酸化ガスおよび燃料ガスを2次元的に分散供給する構成を容易に実現することが可能になる。
I.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
I1.変形例1:
第1ないし第7実施例では、セル内燃料ガス流路27に対する燃料ガスの供給は、2次元的な分散供給としたが、異なる構成としても良い。燃料ガスをアノード面全体に対して分散供給する構成は、既述したようにアノード面全体で燃料ガスの流れを均一化できて望ましいが、第1ないし第6実施例においてセル内酸化ガス流路28内に酸化ガスを供給する場合のように、燃料ガス供給口50を、より局所的に設けることとしても良い。
I2.変形例2:
第1ないし第7実施例では、燃料電池は、アノードデッドエンド型燃料電池としたが、異なる構成としても良い。燃料電池から排出された燃料ガス(水素ガス)を再び燃料電池に供給して、燃料ガスを循環させる場合や、アノードに供給された燃料ガスをそのまま燃料電池の外部に排出してしまう場合であっても、本願を適用することにより、酸化ガス流れに起因する電解質膜の乾燥を抑制する同様の効果を得ることができる。このとき、燃料ガスの流れ方向に係る構成は、電極面上で酸化ガスと直交する直交流、酸化ガスと同じ方向に流れる順向流、酸化ガスと対向する向きに流れる対向流など、種々の構成を選択可能である。既述したように、対向流の場合には、湿度が高まった下流側の燃料ガス中の水分を利用して上流側の酸化ガスを加湿することが可能であるが、本願構成を適用することにより、燃料ガスの流れ方向にかかわらず、酸化ガス上流部における電解質膜の乾燥を抑制する効果を得ることができる。
I3.変形例3:
第1ないし第7実施例では、セパレータを、3枚のプレートを積層して成る3層構造セパレータとしており、セル内ガス流路とガスマニホールドとを連通させる流路がセパレータ内に潜り込むように形成しているが、異なる構成としても良い。以下に説明する変形例3の燃料電池は、図1に示す燃料電池システム10において燃料電池15に代えて用いられるものであり、第1実施例と共通する部分については第1実施例と同じ参照番号を付して詳しい説明を省略する。
変形例3の燃料電池は、ガス流路形成部34に隣接するセパレータ743と、ガス流路形成部35に隣接するセパレータ742を備える。図16(A)は、セパレータ743上にガス流路形成部34を構成する多孔質体を配置した様子を表わす平面図であり、図16(B)は、セパレータ742上にガス流路形成部35を構成する多孔質体を配置した様子を表わす平面図である。セパレータ743の表面には、ガス流路形成部34を構成する多孔質体が丁度嵌り込むと共に、ガス流路形成部34と孔部45,46とを連通させる凹部762が設けられている。図16(A)に示すように、凹部762には、上記多孔質体に覆われていない領域であって、上記多孔質体の孔部45よりの辺に沿って、互いに離間して設けられた複数の突起部764が設けられた分配領域765が形成されている。同様に、凹部762には、上記多孔質体によって覆われていない領域であって、上記多孔質体の孔部46よりの辺に沿って、同様の分配領域765が形成されている。孔部45が形成する酸化ガス供給マニホールドから、ガス流路形成部34が形成するセル内酸化ガス流路28へと酸化ガスが供給される際には、酸化ガスは、ガス流路形成部34へと流入するのに先立って、上記分配領域765が形成する空間内に広がる。ガスセパレータ742においても同様に、ガス流路形成部35を構成する多孔質体が丁度嵌り込むと共に、ガス流路形成部35と孔部44,749とを連通させる凹部763が設けられている。
このような燃料電池において、セパレータ743上に配置するガス流路形成部34を構成する多孔質体を2層に分割して形成すると共に、図16(A)に供給部近傍領域(膜上流速抑制領域)として一点鎖線で囲んだ領域に、他の部位とは空隙率の異なる多孔質体を配置することにより、実施例と同様の効果を得ることができる。具体的には、供給部近傍領域におけるセパレータ743と接する側の層(電極離間層)に、他の部位よりも空隙率の低い多孔質体を配置することで、図2に示した第1実施例と同様の構成を実現することができる。あるいは、供給部近傍領域におけるガス拡散層32と接する側の層(電極近接層)に、他の領域よりも空隙率の低い多孔質体を配置することにより、図11に示した第6実施例と同様の構成を実現することができる。
なお、セパレータ742,743の裏面には、孔部47,48が形成する冷媒マニホールドと連通して冷媒流路を形成するための所定形状の凹部が形成されている。このような変形例3の燃料電池を組み立てる際には、セパレータ743上に配置された多孔質体とガス拡散層32が接し、セパレータ742上に配置された多孔質体とガス拡散層33とが接するように、セパレータ742,743と共にMEA31およびガス拡散層32,33を所定の順序で重ね合わせて積層すればよい。
I4.変形例4:
また、セル内酸化ガス流路28およびセル内燃料ガス流路27の全体を多孔質体によって構成するのではなく、異なる構成とすることも可能である。以下に説明する変形例4の燃料電池は、図1に示す燃料電池システム10において燃料電池15に代えて用いられるものであり、第1実施例と共通する部分については第1実施例と同じ参照番号を付して詳しい説明を省略する。
図17は、変形例4の燃料電池を構成する単セルの概略構成を表わす分解斜視図である。変形例4の燃料電池は、ガス拡散層32(図17では図示せず)に隣接するセパレータ843と、ガス拡散層33と隣接するセパレータ842を備える。セパレータ843の一方の表面には、ガス拡散層32との間にセル内酸化ガス流路28を形成するために、孔部45と孔部46とを連通させる複数の溝を備える凹凸構造が形成されている。同様に、セパレータ842の一方の表面には、ガス拡散層33との間にセル内燃料ガス流路27を形成するために、孔部44と孔部849とを連通させる複数の溝を備える凹凸構造が形成されている。ここで、セパレータ843に形成された上記複数の溝は、孔部45から一定の距離だけ浅く形成されており、これら複数の溝を形成する線状の凸部には、全体として段差が形成されている。このような段差が形成された部分には、多孔質体837が嵌め込まれている。このような多孔質体837は、上記複数の線状の凸部に設けられた段差と等しい厚みを有している。
図18は、変形例4の燃料電池を構成する単セルにおける多孔質体837が配置される領域の近傍の様子を表わす断面模式図である。図18に示す断面の位置を、図17において、18−18断面として示している。図18に示すように、セル内酸化ガス流路28に流入した酸化ガスは、その多くが、圧損のより小さい溝流路内を流れるため、供給部近傍領域においては、多孔質体837を介してMEA31へと供給される酸化ガスの流量および流速が抑制される。そして、多孔質体837よりも下流では、酸化ガスは、各々の溝流路全体に広がって流れる。このように、変形例4の燃料電池では、多孔質体837が嵌め込まれた領域が、膜上流速抑制領域となり、実施例と同様の効果を奏する。上記のように、変形例4の燃料電池は、供給部近傍領域の電極近接層が、他の領域よりも、同じ流路長をガスが流れる際の流路抵抗が大きくなる形状に形成されることにより、供給部近傍領域を膜上流速抑制領域とする効果を実現している。
なお、セパレータ842,843の裏面には、孔部47,48が形成する冷媒マニホールドと連通して冷媒流路を形成するための凹部856が形成されている。このような変形例4の燃料電池を組み立てる際には、セパレータ843上の所定の位置に多孔質体837を配置し、このようなセパレータ843と共に、セパレータ842、MEA31およびガス拡散層32,33を所定の順序で重ね合わせて積層すればよい。
I5.変形例5:
セル内酸化ガス流路を多孔質体によって形成している第1ないし第6実施例では、セル内酸化ガス流路28における供給部近傍領域でMEA31上を流れる酸化ガスの流速および流量を抑制するために供給部近傍領域に配置された多孔質体以外の多孔質体は、同じ空隙率の多孔質体を用いているが、異なる構成としても良い。ここで、第1実施例では、供給部近傍領域の電極離間層19に、他の部分よりも空隙率の高い多孔質体37を配置し、他の部分に配置される多孔質体36,38としては、同じ空隙率の多孔質体を用いている。これに対して、例えば電極近接層18全体を均質な多孔質体36によって構成するのではなく、電極近接層18における供給部近傍領域と、より下流側の領域とでは、配置する多孔質体の空隙率を異ならせても良い。少なくとも供給部近傍領域においては、電極近接層18に配置される多孔質体よりも電極離間層19に配置される多孔質体の空隙率を高めることで、流入した酸化ガスのより多くを、電極離間層に導くことができる。また、供給部近傍領域よりも下流の領域では、電極近接層18と電極離間層19に配置された多孔質体の空隙率が等しければ、上記下流の領域全体で、ガス流れを均一化させることができる。その結果、MEA31上を流れる酸化ガスの流速および流量を、供給部近傍領域において他の領域よりも抑えることによる効果を得ることができる。このように、セル内酸化ガス流路は、圧損(流路抵抗)を異ならせたり流路断面積を異ならせる等により、供給部近傍領域の形態が他の領域の形態とは異なって形成されており、且つ、供給部近傍領域よりも下流側における流路抵抗との関係により、セル内酸化ガス流路全体として、供給部近傍領域においてMEA31上を流れる酸化ガスの流速が、供給部近傍領域以外の領域においてMEA31上を流れる酸化ガスの流速よりも遅くなるように構成されていればよい。
I6.変形例6:
第1ないし第7実施例では、セル内酸化ガス流路28において、膜上流速抑制領域を設け、酸化ガスの流れに起因する電解質膜の乾燥を抑制したが、同様の構成を、セル内酸化ガス流路28側に代えて、あるいはセル内酸化ガス流路28側に加えて、セル内燃料ガス流路27側において適用しても良い。
例えば、アノードデッドエンド型燃料電池とは異なり、燃料電池に供給した燃料ガスを燃料電池の外部に排出する燃料電池において、比較的湿度が低い(例えば、飽和蒸気圧に達していない)燃料ガスが供給される場合には、セル内燃料ガス流路の供給部近傍領域においても、燃料ガス流れに起因する同様の膜乾燥の問題が生じ得る。このような場合に、第1ないし第7実施例と同様の構成を適用して、セル内燃料ガス流路の供給部近傍領域を膜上流速抑制領域と成すならば、上記した電解質膜の乾燥の問題を抑制することができる。
10…燃料電池システム
15…燃料電池
16…ガスケット
17…ガス止め凸部
18…電極近接層
19…電極離間層
20…水素供給部
21…ブロワ
22…燃料ガス供給路
23…圧力調整弁
24…圧力センサ
25…酸化ガス供給路
26…酸化ガス排出路
27…セル内燃料ガス流路
28…セル内酸化ガス流路
30…セルアセンブリ
31…MEA
32,33…ガス拡散層
34,35…ガス流路形成部
36,37,38,138,237,337…多孔質体
40,640…セパレータ
41,641…アノード対向プレート
42,642…中間プレート
43,643…カソード対向プレート
44〜48,649,749,849…孔部
50…燃料ガス供給口
51…酸化ガス供給口
52…酸化ガス排出口
53…燃料ガス連通部
54,55…酸化ガス連通部
56…冷媒流路形成部
80…冷媒給排部
81…ラジエータ
82…ポンプ
83…冷媒循環路
160…スリット
161…突出部
238,438…流路閉塞プレート
460…スリット
461…突出部
536,537,538,637…多孔質体
742,743…セパレータ
762,763…凹部
764…突起部
765…分配領域
837…多孔質体
842,843…セパレータ
856…凹部

Claims (13)

  1. 燃料電池であって、
    高分子電解質から成る電解質膜と、
    前記電解質膜上に形成されている一対の電極と、
    各前記電極上に配置され、前記電極との間にガス流路を形成するガスセパレータと、
    少なくとも一方の前記ガス流路に対応して設けられた、該ガス流路にガスを流入させる供給部および該ガス流路から前記ガスを排出させる排出部と、
    を備え、
    前記少なくとも一方のガス流路は、前記供給部と接続される供給部近傍領域の形態が、他の領域の形態とは異なって形成されることにより、前記供給部近傍領域において前記電極上を流れる前記ガスの流速が、前記供給部近傍領域以外の領域において前記電極上を流れる前記ガスの流速よりも遅くなるように形成されている
    燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池であって、
    前記少なくとも一方のガス流路は、前記電極側に配置された電極近接層と、前記ガスセパレータ側に配置された電極離間層と、によって構成されており、
    前記電極面に平行に前記ガスが流れる際の圧損が、前記供給部近傍領域においては前記電極近接層よりも前記電極離間層の方が小さく形成されている
    燃料電池。
  3. 請求項2記載の燃料電池であって、
    前記少なくとも一方のガス流路における前記供給部近傍領域の前記電極離間層は、同じ流路長を流れる際の流路抵抗が、前記少なくとも一方のガス流路を構成する他の部分よりも小さくなる形状に形成されている
    燃料電池。
  4. 請求項3記載の燃料電池であって、
    前記少なくとも一方のガス流路は、前記電極と前記ガスセパレータとの間に配置された多孔質体である流路形成多孔質体内に形成される細孔によって形成され、
    前記流路形成多孔質体は、前記供給部近傍領域における前記電極離間層を構成する多孔質体として、前記流路形成多孔質体における他の部位よりも空隙率の高い多孔質体を備える
    燃料電池。
  5. 請求項2記載の燃料電池であって、
    前記少なくとも一方のガス流路における前記供給部近傍領域の前記電極近接層は、同じ流路長を流れる際の流路抵抗が、前記少なくとも一方のガス流路を構成する他の部分よりも大きくなる形状に形成されている
    燃料電池。
  6. 請求項5記載の燃料電池であって、
    前記少なくとも一方のガス流路は、前記電極と前記ガスセパレータとの間に配置された多孔質体である流路形成多孔質体内に形成される細孔によって形成され、
    前記流路形成多孔質体は、前記供給部近傍領域における前記電極近接層を構成する多孔質体として、前記流路形成多孔質体における他の部位よりも空隙率の低い多孔質体を備える
    燃料電池。
  7. 請求項1記載の燃料電池であって、
    前記少なくとも一方のガス流路は、前記供給部近傍領域における流路断面積が、他の領域における流路断面積に比べて大きく形成されている
    燃料電池。
  8. 請求項7記載の燃料電池であって、
    前記少なくとも一方のガス流路における前記供給部近傍領域は、前記電極側に配置された電極近接層と、前記ガスセパレータ側に配置された電極離間層とを備え、
    前記電極離間層は、前記電極近接層よりも電極面に平行にガスが流れる際の圧損が小さく形成されている
    燃料電池。
  9. 請求項8記載の燃料電池であって、
    前記少なくとも一方のガス流路は、前記電極と前記ガスセパレータとの間に配置された多孔質体である流路形成多孔質体内に形成される細孔によって形成され、
    前記流路形成多孔質体は、前記電極離間層を構成する多孔質体として、前記流路形成多孔質体における他の部位よりも空隙率の大きい多孔質体を備える
    燃料電池。
  10. 請求項8記載の燃料電池であって、
    前記少なくとも一方のガス流路は、前記電極離間層以外が、前記電極上に配置された多孔質体内に形成される細孔によって形成され、
    前記電極離間層は、前記供給部近傍領域にわたって前記ガスの流れ方向に平行に形成された空間によって形成される
    燃料電池。
  11. 請求項1ないし10いずれか記載の燃料電池であって、
    前記一対のガス流路のうち、アノードに対して水素を含有する燃料ガスを供給する燃料ガス流路において、一方の端部から前記燃料ガスの供給を受けつつ、他方の端部を閉塞した状態で発電を行ない、
    前記一対のガス流路のうち、前記供給部近傍領域において前記電極上を流れる前記ガスの流速が、前記供給部近傍領域以外の領域において前記電極上を流れる前記ガスの流速よりも遅くなっている前記ガス流路は、カソードに対して酸素を含有する酸化ガスを供給する酸化ガス流路である
    燃料電池。
  12. 燃料電池であって、
    高分子電解質から成る電解質膜と、
    前記電解質膜上に形成された一対の電極と、
    前記電極上に配置されたガスセパレータと、
    前記電極と前記ガスセパレータとの間に形成される一対のガス流路と
    を備え、
    少なくとも一方の前記ガス流路を形成する前記ガスセパレータは、
    前記ガス流路を形成する一方の表面において、前記ガス流路に対してガスを供給するためのガス供給口として、前記電極と重なる領域である集電領域全体にわたって2次元的に分散して設けられた複数のガス供給口を備えると共に、前記ガス流路からガスを排出するためのガス排出口として、前記集電領域全体にわたって2次元的に分散して設けられた複数のガス排出口を備え、
    前記ガスセパレータの内部において、前記複数のガス供給口に対してガスを供給するガス供給流路および前記複数のガス排出口からガスを排出するガス排出流路が形成されている
    燃料電池。
  13. 請求項12記載の燃料電池であって、
    前記一対のガス流路のうち、アノードに対して水素を含有する燃料ガスを供給する燃料ガス流路において、一方の端部から前記燃料ガスの供給を受けつつ、他方の端部を閉塞した状態で発電を行ない、
    前記2次元的に分散して設けられた複数のガス供給口および複数のガス排出口は、前記一対のガス流路のうち、カソードに対して酸素を含有する酸化ガスを供給する酸化ガス流路について設けられている
    燃料電池。
JP2009190893A 2009-08-20 2009-08-20 燃料電池 Withdrawn JP2011044297A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009190893A JP2011044297A (ja) 2009-08-20 2009-08-20 燃料電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009190893A JP2011044297A (ja) 2009-08-20 2009-08-20 燃料電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011044297A true JP2011044297A (ja) 2011-03-03

Family

ID=43831580

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009190893A Withdrawn JP2011044297A (ja) 2009-08-20 2009-08-20 燃料電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2011044297A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013182791A (ja) * 2012-03-01 2013-09-12 Ngk Spark Plug Co Ltd 燃料電池セル及び燃料電池スタック
EP3306722A1 (en) * 2016-10-05 2018-04-11 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Gas diffusion device and electrochemical hydrogen pump
JP2018104810A (ja) * 2016-12-26 2018-07-05 パナソニックIpマネジメント株式会社 膜電極接合体および電気化学式水素ポンプ
KR101905971B1 (ko) * 2016-09-09 2018-10-08 현대자동차주식회사 연료전지 및 그 제조 방법

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013182791A (ja) * 2012-03-01 2013-09-12 Ngk Spark Plug Co Ltd 燃料電池セル及び燃料電池スタック
KR101905971B1 (ko) * 2016-09-09 2018-10-08 현대자동차주식회사 연료전지 및 그 제조 방법
EP3306722A1 (en) * 2016-10-05 2018-04-11 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Gas diffusion device and electrochemical hydrogen pump
JP2018059181A (ja) * 2016-10-05 2018-04-12 パナソニックIpマネジメント株式会社 ガス拡散デバイスおよび電気化学式水素ポンプ
US10544514B2 (en) 2016-10-05 2020-01-28 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Gas diffusion device and electrochemical hydrogen pump
JP2018104810A (ja) * 2016-12-26 2018-07-05 パナソニックIpマネジメント株式会社 膜電極接合体および電気化学式水素ポンプ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6756149B2 (en) Electrochemical fuel cell with non-uniform fluid flow design
JP5125275B2 (ja) 燃料電池および燃料電池搭載車両
JP5962847B2 (ja) 燃料電池、燃料電池の配流装置、および燃料電池を備えた車両
JP2004119121A (ja) 燃料電池
JP2008171615A (ja) シール一体型膜電極接合体
JP7059706B2 (ja) 燃料電池スタック
JP2005322595A (ja) 燃料電池
JP2011044297A (ja) 燃料電池
JP2007141599A (ja) 燃料電池および燃料電池システム
JP2008311047A (ja) 燃料電池
JP5480082B2 (ja) 燃料電池
JP2007250432A (ja) 燃料電池
JP2005197150A (ja) 燃料電池
JP2010049920A (ja) 燃料電池
JP2010010069A (ja) 燃料電池
JP2004158369A (ja) 燃料電池
JP2011034768A (ja) 燃料電池
JP3910518B2 (ja) 燃料電池用膜加湿器
WO2008142557A2 (en) Separator and fuel cell
JP4635462B2 (ja) 多孔質のセパレータを備える燃料電池
JP2008034159A (ja) 燃料電池および燃料電池の製造方法
JP2005129431A (ja) 燃料電池および燃料電池用ガスセパレータ
JP2008204704A (ja) 燃料電池、その製造方法、および燃料電池用積層部材
JP2009218190A (ja) 燃料電池
JP2009009839A (ja) 固体高分子型燃料電池用電解質膜・電極構造体

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20121106