JP2007141599A - 燃料電池および燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】いわゆるアノードデッドエンド型の燃料電池システムにおいて、アノード側の導電性多孔質体における液水の滞留を抑制する。
【解決手段】燃料ガスを内部に留めた状態で発電を行なう燃料電池であって、電解質層と、導電性材料から成る多孔質層であるアノード側多孔質層42およびカソード側多孔質層41と、 導電性材料から成るアノード側ガスセパレータ48およびカソード側ガスセパレータ46と、電解質層とアノード側ガスセパレータ48との間に形成される燃料ガス流路と、電解質層とカソード側ガスセパレータ46との間に形成される酸化ガス流路とを備える。このような燃料電池には、カソード側多孔質層41とカソード側ガスセパレータ46とを含む部材を介した酸化ガス流路からの放熱に比べて、アノード側多孔質層42とアノード側ガスセパレータ48とを含む部材を介した燃料ガス流路からの放熱を抑える放熱抑制部が形成されている。
【選択図】図2

Description

この発明は、燃料電池および燃料電池システムに関する。
従来、電解質層表面に形成した電極上に導電性多孔質体を配設した燃料電池が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような導電性多孔質体は、毛管作用によって優れた吸水性および保水性を示す。ここで、燃料電池では、一般に、電気化学反応に伴って水が生成されるが、上記のように電極上に導電性多孔質体を配設すると、毛管作用を示す導電性多孔質体によって、電極近傍から効率良く液水を取り除かれる。このように電極近傍から効率良く液水が除去されることにより、燃料電池の発電性能を良好に維持することが可能になる。導電性多孔質体が吸収した液水は、導電性多孔質体内を流れるガスの流れに導かれて、あるいは、導電性多孔質体内を流れるガスによって気化が促進されて、導電性多孔質体から排出される。
特開2004−63095号公報 特開2004−63096号公報 特開2002−367655号公報
しかしながら、燃料電池システムの中でも、特に、いわゆるアノードデッドエンド型の燃料電池システムでは、アノード側の導電性多孔質体からの液水の除去が行なわれ難くなり、発電性能の維持が困難になる可能性があった。アノードデッドエンド型燃料電池システムとは、燃料電池に供給される燃料ガスとして、純度の高い水素ガスを用いる燃料電池システムにおいて、燃料ガスの流路の一端が閉塞された燃料電池を備え、燃料電池の内部に燃料ガスを留めた状態で発電を行なうシステムをいう。このような燃料電池システムでは、発電による消費量に相当する量の水素が燃料電池に対して供給されるものの、燃料電池内の燃料ガス流路内を燃料ガスが流れることがない。したがって、ガス流れによってアノード側の導電性多孔質体から液水が排出されることがなく、保水性の高い導電性多孔質体内に液水が滞留することにより、導電性多孔質体内におけるガスの流れが妨げられて、電池性能の低下が引き起こされる可能性があった。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、いわゆるアノードデッドエンド型の燃料電池システムにおいて、アノード側の導電性多孔質体における液水の滞留を抑制することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の燃料電池は、アノードに供給するための水素を含有する燃料ガスを内部に留めた状態で発電を行なう燃料電池であって、
電解質層と、
導電性材料から成る多孔質層であって、前記電解質層の一方の表面の外側に配置されるアノード側多孔質層および前記電解質層の他方の表面の外側に配置されるカソード側多孔質層と、
導電性材料から成るガスセパレータであって、前記アノード側多孔質層の外側に配置されるアノード側ガスセパレータおよび前記カソード側多孔質層の外側に配置されるカソード側ガスセパレータと、
前記電解質層と前記アノード側ガスセパレータとの間に形成されて、前記アノード側多孔質層が配置されると共に電気化学反応に供するための水素を含有する燃料ガスが流れる燃料ガス流路と、
前記電解質層と前記カソード側ガスセパレータとの間に形成されて、前記カソード側多孔質層が配置されると共に電気化学反応に供するための酸素を含有する酸化ガスが流れる酸化ガス流路と
を備え、
前記カソード側多孔質層と前記カソード側ガスセパレータとを含む部材を介した前記酸化ガス流路からの放熱に比べて、前記アノード側多孔質層と前記アノード側ガスセパレータとを含む部材を介した前記燃料ガス流路からの放熱を抑える放熱抑制部が形成されていることを要旨とする。
以上のように構成された本発明の燃料電池によれば、酸化ガス流路からの放熱に比べて燃料ガス流路からの放熱が抑えられるため、燃料ガス流路内の温度をより高め、燃料ガス流路における水の気化を促進することができる。したがって、燃料ガス流路における水の滞留を抑制し、燃料ガス流路における水の滞留に起因する電池性能の低下を防止することができる。
本発明の燃料電池において、さらに、
前記アノード側ガスセパレータおよび前記カソード側ガスセパレータの外側に、冷媒が流れる冷媒流路が形成され、
前記放熱抑制部は、前記酸化ガス流路から前記冷媒流路への放熱に比べて、前記燃料ガス流路から前記冷媒流路への放熱を抑えることとしても良い。
このような構成とすれば、冷媒を用いて燃料電池の内部温度を調節する際に、燃料電池全体を冷媒によって冷却しつつ、酸化ガス流路に比べて燃料ガス流路内の温度を高めることができる。
本発明の燃料電池において、
前記放熱抑制部は、前記カソード側多孔質層と、前記カソード側多孔質層よりも気孔率が高い前記アノード側多孔質層と、によって形成されることとしても良い。
このような構成とすれば、電解質層からのアノード側多孔質層を介した熱伝導が、電解質層からのカソード側多孔質層を介した熱伝導よりも抑えられるため、酸化ガス流路からの放熱に比べて燃料ガス流路からの放熱を抑えることができる。
また、本発明の燃料電池において、
前記放熱抑制部は、前記カソード側多孔質層と、前記カソード側多孔質層よりも厚く形成された前記アノード側多孔質層と、によって形成されることとしても良い。
このような構成とすれば、電解質層からのアノード側多孔質層を介した熱伝導が、電解質層からのカソード側多孔質層を介した熱伝導よりも抑えられるため、酸化ガス流路からの放熱に比べて燃料ガス流路からの放熱を抑えることができる。
また、本発明の燃料電池において、
前記放熱抑制部は、前記カソード側ガスセパレータと、前記カソード側ガスセパレータよりも厚く形成された前記アノード側ガスセパレータと、によって形成されることとしても良い。
このような構成とすれば、電解質層からのアノード側ガスセパレータを介した熱伝導が、電解質層からのカソード側ガスセパレータを介した熱伝導よりも抑えられるため、酸化ガス流路からの放熱に比べて燃料ガス流路からの放熱を抑えることができる。
また、本発明の燃料電池において、
前記放熱抑制部は、前記カソード側多孔質層と、前記カソード側多孔質層を構成する材料よりも熱伝導率の低い材料によって構成された前記アノード側多孔質層と、によって形成されることとしても良い。
このような構成とすれば、電解質層からのアノード側多孔質層を介した熱伝導が、電解質層からのカソード側多孔質層を介した熱伝導よりも抑えられるため、酸化ガス流路からの放熱に比べて燃料ガス流路からの放熱を抑えることができる。
あるいは、本発明の燃料電池において、
前記放熱抑制部は、前記カソード側ガスセパレータと、前記カソード側ガスセパレータを構成する材料よりも熱伝導率の低い材料によって構成された前記アノード側ガスセパレータと、によって形成されることとしても良い。
このような構成とすれば、電解質層からのアノード側ガスセパレータを介した熱伝導が、電解質層からのカソード側ガスセパレータを介した熱伝導よりも抑えられるため、酸化ガス流路からの放熱に比べて燃料ガス流路からの放熱を抑えることができる。
本発明の燃料電池システムは、本発明の燃料電池と、
前記燃料ガス流路に接続されると共に、前記燃料ガス流路内における前記燃料ガスの量が不足するときに、前記燃料ガス流路に対して前記燃料ガスを供給する燃料ガス供給部と、
前記燃料電池全体の温度を所定の温度範囲に調節する温度調節部と
を備えることを要旨とする。
以上のように構成された本発明の燃料電池システムによれば、燃料電池において、酸化ガス流路からの放熱に比べて燃料ガス流路からの放熱が抑えられるため、燃料電池全体の温度を所定の温度範囲に調節する際に、燃料ガス流路内の温度を酸化ガス流路内の温度よりも高め、燃料ガス流路における水の気化を促進することができる。したがって、燃料ガス流路における水の滞留を抑制し、燃料ガス流路における水の滞留に起因する電池性能の低下を防止することができる。
本発明の燃料電池システムにおいて、さらに、
前記燃料ガス流路内の前記燃料ガスの一部を前記燃料ガス流路から排出する燃料ガス排出部を備えることとしても良い。
このような構成とすれば、燃料ガス流路内の気化した状態の水を、燃料ガスの一部と共に排出することができ、燃料ガス流路から効率良く排水することができる。
このような本発明の燃料電池システムにおいて、さらに、
前記燃料ガス流路内における窒素濃度が所定値を超えたと判断されるときに、前記燃料ガス排出部を駆動して、前記燃料ガス流路から前記燃料ガスの一部を排出させる排出制御部を備えることとしても良い。
このような構成とすれば、燃料ガス流路における水の気化が促進されるため、燃料ガス流路内の窒素濃度を抑えるために燃料ガスの一部を排出させる動作に伴って、燃料ガス流路から効率良く排水することができる。したがって、排水を確保するために、燃料ガス流路から排出する燃料ガスを増大させる必要がなく、水素の利用効率が低下することがない。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、本発明の燃料電池を用いたアノード側導電性多孔質体からの水排出方法などの形態で実現することが可能である。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.システムの全体構成:
B.燃料電池の構成:
C.第2実施例:
D.第3実施例:
E.第4実施例:
F.変形例:
A.システムの全体構成:
図1は、本実施例の燃料電池システム10の概略構成を表わすブロック図である。燃料電池システム10は、発電の本体である燃料電池20と、水素供給部22と、ブロワ24と、冷媒給排部80と、制御部26と、を備えている。
燃料電池20は、単セルを複数積層したスタック構造を有している。各単セル内には、アノード電極に供給される燃料ガスの流路である単セル内燃料ガス流路31と、カソード電極に供給される酸化ガスの流路である単セル内酸化ガス流路33とが形成されている。本実施例の燃料電池20は、単セル内燃料ガス流路31および単セル内酸化ガス流路33を形成する多孔質層の構成に特徴があるが、燃料電池20の詳しい構成については、後述する。
水素供給部22は、燃料ガスとして燃料電池20に供給する水素を貯蔵している。水素供給部22としては、例えば、水素ガスを圧縮して貯蔵する水素ボンベや、水素吸蔵合金を備える水素タンクを用いることができる。ブロワ24は、酸化ガスとして燃料電池20に空気を供給するための装置である。
水素供給部22と燃料電池20とは、燃料ガス供給路30によって接続されている。燃料ガス供給路30には、圧力調整弁35が設けられている。圧力調整弁35は、圧力調整弁35よりも下流側における燃料ガス供給路30内の圧力が所定の圧力となるように、圧力調整を行なう。また、燃料ガス供給路30において、圧力調整弁35と燃料電池20との間には、圧力センサ36が設けられている。ここで、燃料ガス供給路30は、燃料電池20内に形成されると共に、単セル内燃料ガス流路31と単セル内燃料ガス流路31に対して燃料ガスを給排するための流路とから成る燃料ガスの流路の、一方の端部に接続されている。なお、燃料電池20内に形成された上記燃料ガスの流路の他方の端部には、パージ弁37が設けられている。パージ弁37は、燃料電池20の発電時には、後述するパージ処理時を除いて閉状態となっている。
ブロワ24と燃料電池20とは、酸化ガス供給路32によって接続されている。酸化ガス供給路32は、燃料電池20内に形成されると共に、単セル内酸化ガス流路33と単セル内酸化ガス流路33に対して酸化ガスを給排するための流路とから成る酸化ガスの流路の、一方の端部に接続されている。また、燃料電池20内に形成された上記酸化ガスの流路の他方の端部は、酸化ガス排出路34に接続されている。燃料電池20の発電時には、ブロワ24によって空気の供給が継続して行なわれ、電気化学反応に供された残りのカソード排ガスは、酸化ガス排出路34から排出される。
冷媒給排部80は、冷媒が流れる冷媒循環路83と、ラジエータ81と、冷媒循環路83内で冷媒を循環させるポンプ82と、燃料電池20の内部温度を反映する冷媒温度を検出するための温度センサ84と、を備えている。燃料電池20の内部には、冷媒が流れる冷媒流路が形成されており、この冷媒流路とラジエータ81とが、冷媒循環路83によって接続されている。温度センサ84は、冷媒循環路83において、燃料電池20内の冷媒流路との接続部の近傍であって、冷媒が流出する位置に設けられている。燃料電池20では、発電に伴って熱が生じるが、燃料電池20の内部とラジエータ81との間で冷媒を循環させることにより、燃料電池20の内部温度を所定範囲に維持している。燃料電池20内に形成した冷媒流路の構成については後述する。なお、冷媒としては、水や不凍液などの液体を用いればよい。あるいは、冷媒として空気などの気体を用い、冷媒を循環させない構成とすることも可能である。
制御部26は、マイクロコンピュータを中心とした論理回路として構成され、詳しくは、予め設定された制御プログラムに従って所定の演算などを実行するCPUと、CPUで各種演算処理を実行するのに必要な制御プログラムや制御データ等が予め格納されたROMと、同じくCPUで各種演算処理をするのに必要な各種データが一時的に読み書きされるRAMと、各種の信号を入出力する入出力ポート等を備える。この制御部26は、燃料電池システム10の各部を制御しており、例えば、既述した圧力調整弁35、ブロワ24、パージ弁37、あるいはポンプ82に対して駆動信号を出力する。また、制御部26は、燃料電池システム10の制御に関わる種々の信号を取得しており、例えば、既述した圧力センサ36や温度センサ84、あるいは燃料電池20に対する負荷要求に係る信号を取得する。
燃料電池システム10は、燃料電池20内に形成される単セル内燃料ガス流路31を含む燃料ガスの流路において、パージ弁37が設けられた端部を閉塞した状態で発電を行なう、いわゆるアノードデッドエンド型の燃料電池システムである。すなわち、燃料電池20では、燃料電池20内の燃料ガスの流路内に水素ガスを滞留させた状態で、発電が行なわれる。燃料電池20の発電時には、制御部26は、圧力センサ36の検出信号を取得して、圧力調整弁35よりも下流側の燃料ガス供給路30内の圧力を所定値に調節する。これにより、発電により水素が消費されて燃料ガス流路内の圧力が低下する時には、直ちに水素供給部22から水素が補充され、燃料電池20内の燃料ガスの流路内では、必要量の水素が保持された状態が保たれる。
上記のように燃料電池20で発電が行なわれる際には、酸化ガス(空気)中の窒素が、カソード側からアノード側へと燃料電池20の電解質層を透過するため、燃料電池20内に保持される燃料ガス(水素ガス)中の窒素濃度が次第に上昇する。このような燃料ガス中の窒素濃度の上昇は、電気化学反応の効率低下につながるため、本実施例の燃料電池システム10では、所定のタイミングで短時間パージ弁37を開状態とするパージ処理を行なう。燃料電池20内の燃料ガスの圧力は、圧力調整弁35によって所定圧に調整されているため、パージ弁を開状態とすることで、窒素濃度が上昇した燃料電池20内の燃料ガスの一部が排出される。これにより、燃料電池20内の燃料ガスを、窒素濃度が低い状態に維持することができる。パージ処理を行なうタイミングは、燃料ガス中の窒素濃度を、許容できる範囲に抑えることができるタイミングであればよい。燃料ガス中の窒素濃度を直接検出しても良いが、本実施例では、電解質層における窒素の透過速度を考慮して予め設定した時間間隔で、パージ処理を行なっている。パージ処理を行なう時間は、排出する水素量を抑えるために、充分に窒素濃度を低減できる範囲で、できるだけ短く設定することが望ましい。
B.燃料電池の構成:
図2は、本実施例の燃料電池20の概略構成を表わす断面模式図である。本実施例の燃料電池20は、MEA(膜−電極接合体、Membrane Electrode Assembly)40と、多孔質層であるガス流路形成部41,42と、ガスセパレータ45と、を順次積層することによって形成される。
MEA40は、電解質層と、電解質層の両面に形成された触媒電極(アノードおよびカソード)とを備えている。本実施例の燃料電池20は、固体高分子型燃料電池であり、電解質層は、固体高分子材料、例えばパーフルオロカーボンスルホン酸を備えるフッ素系樹脂から成るプロトン伝導性のイオン交換膜によって形成することができる。触媒電極は、電気化学反応を促進する触媒、例えば、白金、あるいは白金と他の金属から成る合金を備えている。なお、本実施例の燃料電池20では、MEA40の表面に、さらに、カーボン多孔質体から成る層を形成している。
ガス流路形成部41,42は、多孔質層であり、導電性及びガス透過性を有する板状部材によって構成されている。このガス流路形成部41,42の内部に形成される空間は、電気化学反応に供されるガスの流路を形成する。すなわち、ガス流路形成部41は、酸化ガスが流れる単セル内酸化ガス流路33を形成し、ガス流路形成部42は、燃料ガスが流れる単セル内燃料ガス流路31を形成する。
このようなガス流路形成部41,42は、例えばチタンなどの金属から成る多孔質体によって形成することができる。金属多孔質体としては、例えば、発泡金属焼結体や、球状あるいは繊維状の微小な金属を焼結させた焼結体を用いることができる。本実施例の燃料電池20では、ガス流路形成部41と42とでは、厚みは略同一であるが気孔率が異なっており、単セル内燃料ガス流路31を形成するガス流路形成部42の方が、単セル内酸化ガス流路33を形成するガス流路形成部41よりも、高い気孔率を示す。このように多孔質体の気孔率を異ならせるには、例えばガス流路形成部41,42を発泡金属焼結体によって形成する場合には、用いる発泡剤の割合を異ならせれば良く、発泡剤の割合を高めることによって、得られる多孔質体の気孔率を高めることができる。
また、MEA40およびガス流路形成部41,42の外周部には、シール部43が設けられている。シール部43は、例えば、シリコンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴムなどの絶縁性樹脂材料によって形成されると共に、MEA40と一体で形成されている。このようなシール部43は、例えば、シール部43に対応する形状の金型のキャビティ内にMEA40の外周部が収まるようにMEA40を配設し、上記樹脂材料を射出成形することによって形成できる。これにより、MEA40とシール部43とが隙間なく接合される。
図3は、MEA40と一体形成されたシール部43の概略構成を表わす平面図である。図3に示すように、シール部43は、略四角形状の薄板状部材であり、外周部に設けられた6つの穴部(穴部60〜65)と、中央部に設けられてMEA40が組み込まれている略四角形の穴部とを有している。なお、図3の平面図には表わしていないが、シール部43は実際には図1の断面図に示すように所定の凹凸形状を有しており、燃料電池内では、上記6つの穴部および略四角形の穴部を取り囲む位置に設けられた凸部で、隣接するガスセパレータ45と接触する。シール部43とガスセパレータ45との接触位置(図2において一点鎖線でシール位置と示す)を、図3の平面図においてシール線SLとして示している。シール部43は、弾性を有する樹脂材料から成るため、燃料電池内で積層方向に平行な方向に押圧力が加えられることにより、上記シール線SLの位置においてガスセパレータ45との間でガスシール性を実現可能となる。
また、図3では、シール部43と一体化されたMEA40における外部に露出している部分を、ハッチを付して示している。さらに図3では、シール部43内部に埋め込まれているMEA40の外周線を、点線で示している。ガス流路形成部41,42は、上記MEA40の外部に露出している領域と略同一形状に形成されており、この領域と重なるように、シール部43に嵌め込まれている。なお、ガス流路形成部41,42は、上記のようにシール部43に嵌め込む構成に代えて、予めMEA40と接合しておき、MEA40と共にシール部43と一体形成することとしても良い。
ガスセパレータ45は、外周の大きさがシール部43とほぼ等しい板状部材である。このガスセパレータ45は、図2に示すように、ガス流路形成部41に接するカソード側プレート46と、ガス流路形成部42に接するアノード側プレート48と、カソード側プレート46およびアノード側プレート48に挟持される中間プレート47と、を備えている。図4は、カソード側プレート46の形状を示す平面図であり、図5は、アノード側プレート48の形状を示す平面図であり、図6は、中間プレート47の形状を示す平面図である。
カソード側プレート46、アノード側プレート48は、いずれも、その外周部においてシール部43と同様の位置に、6つの穴部を備えている。これらの6つの穴部は、燃料電池20の内部で互いに重なり合って、燃料電池内部において積層方向に平行に流体を導くマニホールドを形成する。上記各薄板状部材では、略四角形状である外周の一辺の近傍に穴部60が形成されている。また、近傍に穴部60が形成された辺と対向する辺の近傍には、穴部61が形成されている。さらに、他の2辺のうちの一方の辺の近傍には穴部62,64が形成されており、他方の辺の近傍には穴部63,65が形成されている。なお、中間プレート47は、上記6つの穴部のうち、穴部64,65は有していないが、後述する複数の冷媒孔78が、穴部64,65に対応する位置に重なるように設けられている。
ガスセパレータ45およびシール部43が備える穴部60は、燃料電池に対して供給された酸化ガスを各単セルに分配する酸化ガス供給マニホールドを形成し(図3〜6中、O2 inと表わす)、穴部61は、各単セルから排出されて集合した酸化ガスを外部へと導く酸化ガス排出マニホールドを形成する(図3〜6中、O2 outと表わす)。また、穴部62は、燃料電池に対して供給された燃料ガスを各単セルに分配する燃料ガス供給マニホールドを形成し(図3〜6中、H2 inと表わす)、穴部63は、各単セルから排出されて集合した燃料ガスを外部へと導く燃料ガス排出マニホールドを形成する(図3〜6中、H2 outと表わす)。さらに、穴部64は、燃料電池に対して供給された冷却水などの冷媒を各ガスセパレータ45内に分配する冷媒供給マニホールドを形成し(図3〜5中、水 inと表わす)、穴部65は、各ガスセパレータ45から排出されて集合した冷媒を外部へと導く冷媒排出マニホールドを形成する(図3〜5中、水 outと表わす)。
また、カソード側プレート46は、穴部60の近傍に、穴部60よりも小さく、穴部60に平行に配列する複数の穴部である連通孔70を備えており、穴部61の近傍には、同様に、穴部61に平行に配列する複数の連通孔71を備えている(図4参照)。アノード側プレート48は、穴部62の近傍に、穴部62よりも小さく、穴部62に平行に配列する複数の穴部である連通孔72を備えており、穴部63の近傍には、同様に、穴部63に平行に配列する複数の連通孔73を備えている(図5参照)。中間プレート47においては、穴部60の形状が他のプレートとは異なっており、中間プレート47の穴部60は、この穴部60のプレート中央部側の辺が、プレート中央部方向へと突出する複数の突出部を備える形状となっている。穴部60が有する上記複数の突出部を、連通部74と呼ぶ。この連通部74は、中間プレート47とカソード側プレート46とが積層されたときに連通孔70と重なり合って、酸化ガス供給マニホールドと連通孔70とを連通させるように、各連通孔70に対応して設けられている。中間プレート47では、他の穴部61,62,63においても同様に、連通孔71,72,73に対応して、複数の連通部75,76,77がそれぞれ設けられている(図6参照)。
なお、中間プレート47は、さらに、ガス流路形成部41,42と重なる領域に、互いに平行に形成された細長い複数の冷媒孔78を備えている。冷媒孔78の端部は、中間プレート47を他の薄板状部材と重ね合わせたときに、穴部64,65と重なり合い、冷媒孔78は、冷媒が流れるためのセル間冷媒流路をガスセパレータ45内で形成する。
ガスセパレータ45を構成する上記3種のプレートは、導電性材料、例えばステンレス鋼あるいはチタンやチタン合金といった金属によって形成される薄板状部材である。そして、穴部60〜65、連通孔70〜73および冷媒孔78は、打ち抜き加工によって形成されている。ガスセパレータ45を形成する際には、カソード側プレート46、中間プレート47、アノード側プレート48の順に、各穴部を位置合わせしつつ重ね合わせて、例えば拡散接合により接合させている。
上記のように作製したガスセパレータ45と、ガス流路形成部41,42が嵌め込まれ、シール部43と一体で形成されたMEA40とを交互に積層することにより、燃料電池20を組み立てることができる。燃料電池20において、以下の説明では、MEA40と、これを挟持するガス流路形成部41,42と、ガス流路形成部41の外側に配置するカソード側プレート46と、ガス流路形成部42の外側に配置するアノード側プレート48とから成る構造を、単セル50と呼ぶ(図2参照)。
燃料電池20が発電する際には、燃料電池20の内部において、穴部60が形成する酸化ガス供給マニホールドを流れる酸化ガスは、中間プレート47の連通部74が形成する空間と、カソード側プレート46の連通孔70とを介して、ガス流路形成部41内に形成される単セル内酸化ガス流路33へと流入する。単セル内酸化ガス流路33において酸化ガスは、ガス流路形成部41に平行な方向(面方向)に流れると共に、面方向に垂直な方向(積層方向)へとさらに拡散する。積層方向に拡散した酸化ガスは、触媒電極(カソード)に至り、電気化学反応に供される。このように電気化学反応に寄与しつつ単セル内酸化ガス流路33を通過した酸化ガスは、電気化学反応により生じた生成水と共に、ガス流路形成部42から、カソード側プレート46の連通孔71および中間プレート47の連通部75が形成する空間を介して、穴部61が形成する酸化ガス排出マニホールドへと排出される。図3ないし図6に示したA−A断面の位置は、図2に示した断面図に相当する位置を表わしている。図2では、酸化ガス供給マニホールドおよび酸化ガス排出マニホールド近傍における酸化ガスの流出入の様子を、矢印で示している。
同様に、燃料ガスの流路においても、穴部62が形成する燃料ガス供給マニホールドは、中間プレート47の連通部76が形成する空間と、アノード側プレート48の連通孔72とを介して、ガス流路形成部42内に形成される単セル内燃料ガス流路31に連通している。また、単セル内燃料ガス流路31は、アノード側プレート48の連通孔73および中間プレート47の連通部77が形成する空間とを介して、穴部63が形成する燃料ガス排出マニホールドに連通している。ただし、燃料ガスの流路では、燃料ガス排出マニホールドの端部、すなわち、スタック構造の一端に配置されたガスセパレータに形成される穴部63の近傍に、パージ弁37が設けられているため、パージ弁37が閉塞されている間は、燃料ガスが流路内を流れることはほとんどない。
また、燃料電池20の内部において、穴部64が形成する冷媒供給マニホールドを流れる冷媒は、冷媒孔78によって形成されるセル間冷媒流路に分配され、セル間冷媒流路を流れた冷媒は、穴部65が形成する冷媒排出マニホールドに排出される。ここで、燃料電池20の冷媒供給マニホールドの端部と、冷媒排出マニホールドの端部とは、既述した冷媒給排部80の冷媒循環路83に接続されている。
燃料電池20が発電する際には、制御部26は、燃料電池20の内部温度として温度センサ84の検出信号を取得しつつ、燃料電池20の内部温度が所定の温度範囲となるように、ポンプ82を駆動して冷媒循環路83内で冷媒を循環させる。このような温度調節の際には、燃料電池20内では、触媒電極で進行する電気化学反応に伴って生じた熱が、ガス流路形成部41,42およびガスセパレータ45を介して、冷媒流路内の冷媒へと伝えられる。このとき、本実施例では、既述したように、ガス流路形成部42の方がガス流路形成部41よりも気孔率が高く形成されている。すなわち、ガス流路形成部42は、ガス流路形成部41に比べて、金属よりも熱伝導率が低い気体が占める割合が高くなっている。したがって、ガス流路形成部42の方がガス流路形成部41よりも熱伝導が抑えられ、これによって、ガス流路形成部42が形成する単セル内燃料ガス流路から冷媒への放熱の方が、ガス流路形成部41が形成する単セル内酸化ガス流路から冷媒への放熱に比べて抑えられる。このように放熱が抑えられることにより、単セル内燃料ガス流路内の温度がより高くなり、単セル内燃料ガス流路内における水の気化が促進される。
以上のように構成された本実施例の燃料電池システム10によれば、ガス流路形成部42の気孔率をガス流路形成部41の気孔率よりも高くすることにより、燃料電池20の内部温度を全体として所定温度に維持しつつ、単セル内燃料ガス流路内の温度をより高め、単セル内燃料ガス流路における水の気化を促進することができる。したがって、アノードデッドエンド型の燃料電池システムにおいて、燃料ガスのガス流れを利用した単セル内燃料ガス流路からの排水が困難な場合であっても、単セル内燃料ガス流路における水の滞留を抑制することができる。これにより、単セル内燃料ガス流路における水の滞留に起因する電池性能の低下を防止することが可能になる。
さらに、本実施例の燃料電池システム10によれば、単セル内燃料ガス流路の温度を上昇させて流路内の水をより多く気化させることができるため、パージ処理の際には、単セル内燃料ガス流路内の水を、水蒸気として容易に排出することができる。パージ処理の際には、単セル内燃料ガス流路においてもガス流れが生じるが、多孔質体から成るガス流路形成部42は毛管作用により保水力が強いため、ガス流路形成部42内に液水として存在する水を、短時間のパージ処理によって排出することは困難である。これに対して、本実施例のように、ガス流路形成部42内で水をより多く気化させることができれば、短時間のパージ処理であっても、気体の状態で速やかに排水を行なうことができる。また、このように排水が容易であれば、排水を充分に行なう目的でパージ処理時間を長く設定する必要がなく、水蒸気および窒素の濃度低下の程度に基づいてパージ時間を設定すればよいため、燃料電池20内の燃料ガス(水素)の排出量を抑えることができる。
C.第2実施例:
第1実施例では、単セル内酸化ガス流路からの放熱に比べて単セル内燃料ガス流路からの放熱を抑える放熱抑制部を、カソード側のガス流路形成部41と、ガス流路形成部41よりも高い気孔率を示すアノード側のガス流路形成部42とによって形成したが、異なる構成としても良い。以下に、第2実施例として、上記放熱抑制部を、厚みを異ならせたカソード側のガス流路形成部およびアノード側のガス流路形成部によって形成する構成を説明する。
図7は、第2実施例の燃料電池の概略構成を表わす断面模式図である。第2実施例の燃料電池は、図1の燃料電池システム10と同様のアノードデッドエンド型燃料電池システムにおいて燃料電池20に代えて用いられ、第1実施例の燃料電池20とほぼ同様の構成を有しているため、共通する部分には同じ参照番号を付して説明する。
図7は、第2実施例の燃料電池の構成として、1つの単セル150の構成のみを示している。第2実施例の単セル150は、単セル50と同様に、MEA40と一体で形成されたシール部43に、ガス流路形成部141,142をはめ込んで作製される。ガス流路形成部141,142のさらに外側に配設されて単セル150を構成するカソード側プレート46およびアノード側プレート48は、第1実施例と同様に、図示しない中間プレートと一体で、三層構造を有するガスセパレータ45を構成する。ここで、第2実施例では、ガス流路形成部141,142は、同等の気孔率を有する導電性多孔質体、例えば発泡金属焼結体によって形成されているが、カソード側のガス流路形成部141に比べて、アノード側のガス流路形成部142の方が、厚く形成されている。
以上のように構成された第2実施例の燃料電池によれば、MEA40から冷媒へと熱が伝わる際には、ガス流路形成部141を介するよりも、厚く形成されたガス流路形成部142を介する方が、熱が伝わりにくくなる。すなわち、ガス流路形成部142が形成する単セル内燃料ガス流路から冷媒への放熱の方が、ガス流路形成部141が形成する単セル内酸化ガス流路から冷媒への放熱に比べて抑えられる。したがって、単セル内燃料ガス流路内の温度がより高くなり、単セル内燃料ガス流路内における水の気化が促進されるため、第1実施例と同様の効果が得られる。
D.第3実施例:
以下に、第3実施例として、単セル内酸化ガス流路からの放熱に比べて単セル内燃料ガス流路からの放熱を抑える放熱抑制部を、厚みを異ならせたカソード側プレートおよびアノード側プレートによって形成する構成を説明する。図8は、第3実施例の燃料電池の概略構成を表わす断面模式図である。第3実施例の燃料電池は、図1の燃料電池システム10と同様のアノードデッドエンド型燃料電池システムにおいて燃料電池20に代えて用いられ、第1実施例の燃料電池20とほぼ同様の構成を有しているため、共通する部分には同じ参照番号を付して説明する。
図8は、1つの単セル250と、単セル250の両側に設けられたガスセパレータ245とを表わしている。第3実施例の単セル250では、ガス流路形成部241とガス流路形成部242とは、略同一の厚みに形成されると共に、第1実施例とは異なり、気孔率も同等である。また、ガスセパレータ245は、カソード側プレート246と、アノード側プレート248と、中間プレート47とから成る三層構造を有しており、各プレートは、第1実施例と同様の穴部を有することによって、ガスおよび冷媒の流路を形成している。ここで、単セル250において、アノード側プレート248とカソード側プレート246とは同じ材料によって形成されているが、アノード側プレート248は、カソード側プレート246に比べて厚く形成されている。
以上のように構成された第3実施例の燃料電池によれば、MEA40から冷媒へと熱が伝わる際には、カソード側プレート246を介するよりも、厚く形成されたアノード側プレート248を介する方が、熱が伝わりにくくなる。すなわち、アノード側プレート248が介在する単セル内燃料ガス流路から冷媒への放熱の方が、カソード側プレート246が介在する単セル内酸化ガス流路から冷媒への放熱に比べて抑えられる。したがって、単セル内燃料ガス流路内の温度がより高くなり、単セル内燃料ガス流路内における水の気化が促進されるため、第1実施例と同様の効果が得られる。
E.第4実施例:
以下に、第4実施例として、単セル内酸化ガス流路からの放熱に比べて単セル内燃料ガス流路からの放熱を抑える放熱抑制部を、異なる材料から成るカソード側のガス流路形成部およびアノード側のガス流路形成部によって形成する構成を説明する。このような燃料電池は、例えば、図2に示す燃料電池において、気孔率の異なるガス流路形成部41,42に代えて、互いに構成材料の異なるガス流路形成部を用いることで得られる。第4実施例では、アノード側のガス流路形成部を構成する導電性多孔質体として、カソード側のガス流路形成部を構成する導電性多孔質体よりも、熱伝導率の低い材料から成る多孔質体を用いる。例えば、カソード側のガス流路形成部として、ステンレス鋼あるいはカーボンから成る多孔質体を用いる場合には、アノード側のガス流路形成部としては、アルミニウム、銅、銀、金、チタンから選択される金属から成る多孔質体を用いればよい。
以上のように構成された第4実施例の燃料電池によれば、MEA40から冷媒へと熱が伝わる際には、カソード側のガス流路形成部を介するよりも、熱伝導率の低い材料で形成されたアノード側のガス流路形成部を介する方が、熱が伝わりにくくなる。すなわち、単セル内燃料ガス流路から冷媒への放熱の方が、単セル内酸化ガス流路から冷媒への放熱に比べて抑えられる。したがって、単セル内燃料ガス流路内の温度がより高くなり、単セル内燃料ガス流路内における水の気化が促進されるため、第1実施例と同様の効果が得られる。
上記第4実施例では、ガス流路形成部の構成材料を、アノード側とカソード側とで異ならせたが、ガスセパレータにおけるアノード側プレートとカソード側プレートの構成材料を異ならせても良い。すなわち、図2に示す燃料電池において、アノード側プレート48の構成材料として、カソード側プレート46の構成材料よりも、熱伝導率の低い材料を選択すればよい。選択可能な構成材料の例は、上記第4実施例と同様である。このような第4実施例の変形例による場合であっても、単セル内燃料ガス流路から冷媒への放熱の方が、単セル内酸化ガス流路から冷媒への放熱に比べて抑えられるため、第1実施例と同様の効果が得られる。
F.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
F1.変形例1:
第1実施例ないし第4実施例の燃料電池において形成される各放熱抑制部の特徴を組み合わせた放熱抑制部を有することとしても良い。すなわち、カソード側のガス流路形成部41よりもアノード側のガス流路形成部42の気孔率を高くすること、ガス流路形成部41よりもガス流路形成部42を厚く形成すること、カソード側プレート46よりもアノード側プレート48を厚く形成すること、ガス流路形成部41(あるいはカソード側プレート46)の構成材料よりも熱伝導率の低い材料でガス流路形成部42(あるいはアノード側プレート48)を形成すること、を適宜組み合わせて、燃料電池を作製しても良い。
F2.変形例2:
第1ないし第4実施例の燃料電池は、三層構造を有するガスセパレータを備えることとし、一体で形成した三層構造ガスセパレータ内に冷媒流路を設けたが、異なる構成としても良い。例えば、アノード側ガス流路形成部に隣接するアノード側ガスセパレータと、カソード側流路形成部に隣接するカソード側ガスセパレータとを別体で用意すると共に、アノード側ガスセパレータとカソード側ガスセパレータとの互いに対向する面に、冷媒流路を形成するための溝状構造を設け、両者を重ね合わせることとしても良い。この場合にも、アノード側ガスセパレータをカソード側ガスセパレータよりも厚く形成すれば、第3実施例と同様の効果が得られ、また、アノード側ガスセパレータをカソード側ガスセパレータよりも熱伝導率の低い材料で形成するならば、第4実施例の変形例と同様の効果が得られる。
F3.変形例3:
第1ないし第4実施例では、ガス流路形成部として板状の導電性多孔質体を用い、単セル内ガス流路全体を、多孔質なガス流路形成部内の空隙によって形成したが、異なる構成としても良い。例えば、ガスセパレータにおいて、MEAに対向する面上に、単セル内ガス流路を形成するための複数の溝状の凹凸を形成し、この溝によってMEAとの間に形成される空間によって、単セル内ガス流路を形成しても良い。この場合にも、ガスセパレータとMEAとの間に、単セル内ガス流路内でガスを拡散させるための多孔質層が設けられているならば、本発明を適用することで、アノードデッドエンド型燃料電池システムにおいて、アノード側の多孔質層における凝縮水の滞留を防止する効果が得られる。
F4.変形例4:
また、第1ないし第4実施例では、燃料電池は固体高分子型燃料電池としたが、異なる種類の燃料電池であっても良い。アノードデッドエンド型燃料電池システムに用いる燃料電池であって、触媒電極上に多孔質層を備え、発電に伴って水が生じると共に100℃未満で運転する燃料電池であれば、本発明を適用することで、アノード側の多孔質層における凝縮水の滞留を防止する同様の効果が得られる。
燃料電池システムの概略構成を表わすブロック図である。 実施例の燃料電池の概略構成を表わす断面模式図である。 MEAと一体形成されたシール部の概略構成を表わす平面図である。 カソード側プレートの形状を示す平面図である。 アノード側プレートの形状を示す平面図である。 中間プレートの形状を示す平面図である。 第2実施例の燃料電池の概略構成を表わす断面模式図である。 第3実施例の燃料電池の概略構成を表わす断面模式図である。
符号の説明
10…燃料電池システム
20…燃料電池
22…水素供給部
24…ブロワ
26…制御部
30…燃料ガス供給路
31…単セル内燃料ガス流路
32…酸化ガス供給路
33…単セル内酸化ガス流路
34…酸化ガス排出路
35…圧力調整弁
36…圧力センサ
37…パージ弁
40…MEA
41,42…ガス流路形成部
43…シール部
45,245…ガスセパレータ
46,246…カソード側プレート
47…中間プレート
48,248…アノード側プレート
50,150,250…単セル
60〜65…穴部
70〜73…連通孔
74,75,76,77…連通部
78…冷媒孔
80…冷媒給排部
81…ラジエータ
82…ポンプ
83…冷媒循環路
84…温度センサ
141,142…ガス流路形成部
241,242…ガス流路形成部

Claims (10)

  1. アノードに供給するための水素を含有する燃料ガスを内部に留めた状態で発電を行なう燃料電池であって、
    電解質層と、
    導電性材料から成る多孔質層であって、前記電解質層の一方の表面の外側に配置されるアノード側多孔質層および前記電解質層の他方の表面の外側に配置されるカソード側多孔質層と、
    導電性材料から成るガスセパレータであって、前記アノード側多孔質層の外側に配置されるアノード側ガスセパレータおよび前記カソード側多孔質層の外側に配置されるカソード側ガスセパレータと、
    前記電解質層と前記アノード側ガスセパレータとの間に形成されて、前記アノード側多孔質層が配置されると共に電気化学反応に供するための水素を含有する燃料ガスが流れる燃料ガス流路と、
    前記電解質層と前記カソード側ガスセパレータとの間に形成されて、前記カソード側多孔質層が配置されると共に電気化学反応に供するための酸素を含有する酸化ガスが流れる酸化ガス流路と
    を備え、
    前記カソード側多孔質層と前記カソード側ガスセパレータとを含む部材を介した前記酸化ガス流路からの放熱に比べて、前記アノード側多孔質層と前記アノード側ガスセパレータとを含む部材を介した前記燃料ガス流路からの放熱を抑える放熱抑制部が形成されている
    燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池であって、さらに、
    前記アノード側ガスセパレータおよび前記カソード側ガスセパレータの外側に、冷媒が流れる冷媒流路が形成され、
    前記放熱抑制部は、前記酸化ガス流路から前記冷媒流路への放熱に比べて、前記燃料ガス流路から前記冷媒流路への放熱を抑える
    燃料電池。
  3. 請求項1または2記載の燃料電池であって、
    前記放熱抑制部は、前記カソード側多孔質層と、前記カソード側多孔質層よりも気孔率が高い前記アノード側多孔質層と、によって形成される
    燃料電池。
  4. 請求項1または2記載の燃料電池であって、
    前記放熱抑制部は、前記カソード側多孔質層と、前記カソード側多孔質層よりも厚く形成された前記アノード側多孔質層と、によって形成される
    燃料電池。
  5. 請求項1または2記載の燃料電池であって、
    前記放熱抑制部は、前記カソード側ガスセパレータと、前記カソード側ガスセパレータよりも厚く形成された前記アノード側ガスセパレータと、によって形成される
    燃料電池。
  6. 請求項1または2記載の燃料電池であって、
    前記放熱抑制部は、前記カソード側多孔質層と、前記カソード側多孔質層を構成する材料よりも熱伝導率の低い材料によって構成された前記アノード側多孔質層と、によって形成される
    燃料電池。
  7. 請求項1または2記載の燃料電池であって、
    前記放熱抑制部は、前記カソード側ガスセパレータと、前記カソード側ガスセパレータを構成する材料よりも熱伝導率の低い材料によって構成された前記アノード側ガスセパレータと、によって形成される
    燃料電池。
  8. 燃料電池システムであって、
    請求項1ないし7いずれか記載の燃料電池と、
    前記燃料ガス流路に接続されると共に、前記燃料ガス流路内における前記燃料ガスの量が不足するときに、前記燃料ガス流路に対して前記燃料ガスを供給する燃料ガス供給部と、
    前記燃料電池全体の温度を所定の温度範囲に調節する温度調節部と
    を備える燃料電池システム。
  9. 請求項8記載の燃料電池システムであって、さらに、
    前記燃料ガス流路内の前記燃料ガスの一部を前記燃料ガス流路から排出する燃料ガス排出部を備える
    燃料電池システム。
  10. 請求項9記載の燃料電池システムであって、さらに、
    前記燃料ガス流路内における窒素濃度が所定値を超えたと判断されるときに、前記燃料ガス排出部を駆動して、前記燃料ガス流路から前記燃料ガスの一部を排出させる排出制御部を備える
    燃料電池システム。
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