JP2011042720A - 難燃ポリウレタン樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

難燃ポリウレタン樹脂組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安全、環境及び価格の面で問題がなく、それでいて優れた難燃性と機械特性(引張強度、伸び)を有する難燃ポリウレタン樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)ポリカーボネート系ポリウレタンを主原料とし、(B)難燃剤としてリン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤、(C)難燃助剤として多価アルコール若しくはその誘導体、及び(D)反応性官能基を1分子内に2つ以上有するシリコーンを含有することを特徴とする難燃性ポリウレタン樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、安全、環境及び価格の面で問題がなく、それでいて優れた難燃性と機械特性(引張強度、伸び)を有する難燃ポリウレタン樹脂組成物及びその製造方法に関する。
近年、安全性や環境に対する関心の高まりから、従来の難燃剤を使用した製品の代替が進められている。
即ち、臭素、塩素等のハロゲン系難燃剤は、難燃性が高く、少量配合で済むため、組成物の機械強度等にも優れる特徴を有するものの、安全性と火災の際に多量にハロゲンガスを発生するため、建物内にいる人が呼吸困難となり、最悪の場合、死に至る問題を有している。リン酸エステル系難燃剤は、樹脂表面より溶出しやすく、自然界に流出した際の毒性や変異原性が懸念されている。また、赤リン系難燃剤は、リン濃度が高いため難燃性も高いが、不完全燃焼の際は毒性の強いホスフィンガスを発生し、また摩擦や衝撃で赤リン自身が発火する危険性を有している。つまり、このような従来のハロゲン系、リン酸エステル系、及び赤リン系難燃剤は、安全や環境面に与える影響から、一般に、使用しづらいという認識がある。
このような背景のもと、ポリウレタンに対する難燃化にも期待が高まっている。
ポリウレタンは、ジイソシアネートとポリオールの重付加反応により合成される、耐磨耗性、弾性、耐候性、耐溶剤性といった数多くの長所を有する材料であり、例えば、熱可塑性のウレタンエラストマーとして、ホース、チューブ、ケーブル、シート、フィルム、時計バンド、スポーツシューズ等に使用され、更に、近年では、ウレタンフォームとして、シーリング材、充填材、断熱材、また、自動車用途のサスペンションアームブッシュ、バンプストッパー、エンジンマウント、バンパー、アームレスト、ヘッドレスト、シートクッション等にも使用され始めた広範な用途を有する材料である。
これまでポリウレタンの難燃化には、いくつもの方法が提案されている。
例えば、特開平5−70542号公報(特許文献1)及び特開2003−003116号公報(特許文献2)には、含リンポリオールを用いて樹脂骨格中にリンを導入する方法が提案されている。しかしながら、この方法は、原料含リンポリオールの価格が高すぎるため、ほとんどの用途に適さず、使用されていないという実情がある。
また、特開2001−294645号公報(特許文献3)には、ハロゲン含有ポリオールを用いて、樹脂骨格中にハロゲンを導入する方法が提案されている。しかしながら、この方法も原料価格が高すぎ、また、ハロゲンを使用するため、安全性に欠けているという問題を有している。
更に、充填剤として、ハロゲン化合物、ハロゲン−リン化合物、ハロゲン化ポリエーテル、ハロゲン化リン酸エステル、ハロゲンと三酸化アンチモンの併用系を添加する方法も知られている。しかしながら、この方法もハロゲンを用いるため安全性が劣るという問題を有している。
このように、ポリウレタンの難燃化は難しく、安全、環境及び価格の面で問題がなく、それでいてUL−94、V−0をクリアーする優れた難燃性と機械特性(引張強度、伸び)とを有する難燃ポリウレタン樹脂組成物が存在していないのが実情である。
特開平5−70542号公報 特開2003−003116号公報 特開2001−294645号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、安全、環境及び価格の面で問題がなく、それでいて優れた難燃性と機械特性(引張強度、伸び)を有する難燃ポリウレタン樹脂組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため、鋭意検討を行なった結果、(A)ポリカーボネート系ポリウレタンを主原料とし、(B)難燃剤としてリン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤、(C)難燃助剤として多価アルコール又はその誘導体、及び(D)反応性官能基を1分子内に2つ以上有するシリコーンを含有することを特徴とする難燃性ポリウレタン樹脂組成物が、安全、環境及び価格の面で問題がなく、それでいて優れた難燃性と機械特性(引張強度、伸び)を有することを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、下記難燃ポリウレタン樹脂組成物及びその製造方法を提供する。
請求項1:
下記成分
(A)ポリウレタン樹脂: 100質量部、
(B)リン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤: 5〜25質量部、
(C)多価アルコール又はその誘導体: 1〜15質量部、
(D)下記平均組成式(1)で表され、重量平均分子量が150〜10,000、アルコキシ基又はヒドロキシ基の総量が1分子中の10〜85質量%であるオルガノアルコキシシロキサン及びオルガノヒドロキシシロキサンから選ばれるケイ素化合物:
1〜15質量部
1 αSi(OX)β(4-α-β)/2 (1)
(式中、R1は置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基又はアリール基であって、各R1は同一であっても異なっていてもよい。Xは炭素原子数1〜10のアルキル基又は水素原子である。αは0.0〜3.0の実数、βは0.1〜3.0であると共にα+β<4.0を満たす実数である。)
を含有することを特徴とする難燃ポリウレタン樹脂組成物。
請求項2:
成分(A)ポリウレタン樹脂が、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1記載の難燃ポリウレタン樹脂組成物。
請求項3:
成分(B)のリン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤が、リン酸グアニジン、リン酸アンモニウム、リン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、メラミン表面被覆ポリリン酸アンモニウム及びケイ素化合物表面被覆ポリリン酸アンモニウムから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の難燃ポリウレタン樹脂組成物。
請求項4:
成分(C)の多価アルコール又はその誘導体が、ペンタエリスリトール又はペンタエリスリトール誘導体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の難燃ポリウレタン樹脂組成物。
請求項5:
成分(C)の多価アルコール又はその誘導体が、成分(B)のリン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤に対し等量以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の難燃ポリウレタン樹脂組成物。
請求項6:
請求項1〜5のいずれか1項に記載の難燃性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法であって、加熱溶融した成分(A)中に、少なくとも成分(B)、(C)及び(D)を混合するに際し、少なくとも成分(B)及び(D)が1時間以上前に予め混合されていてはならないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の難燃ポリウレタン樹脂組成物の製造方法。
本発明によれば、安全、環境及び価格の面で問題がなく、それでいて優れた難燃性と機械特性(引張強度、伸び)を有する難燃ポリウレタン樹脂組成物及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明についてより詳細に説明する。
本発明の難燃ポリウレタン樹脂組成物は、(A)ポリウレタン樹脂、(B)リン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤、(C)多価アルコール又はその誘導体、及び(D)特定のケイ素化合物を必須成分として含有している。
(A)ポリウレタン樹脂
成分(A)のポリウレタン樹脂としては、ポリオールの活性水素化合物と鎖伸長剤とポリイソシアネートとを反応させて得られるものである。
使用されるポリオールは、ポリウレタンの製造において、従来から使用されている公知のものがいずれも使用できるが、末端基定量法による数平均分子量が1,000〜10,000のものが好ましい。
具体的なポリオールとしては、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリラクトン系ポリオール、ポリシロキサンポリオール等が挙げられるが、特に、耐熱性、機械強度の観点からポリカーボネート系ポリオールを含有していることが好ましい。
また、ポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、ポリ1,6ヘキサンカーボネートジオール、ポリ1,4ブチレンカーボネートジオール等が挙げられる。
使用される伸長剤は、ポリウレタンの製造において、従来から使用されている公知のものがいずれもが使用できるが、末端基定量法による数平均分子量が250以下のものが好ましい。
具体的な伸張剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール;ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、シクロヘキサン−1,4−ジオール等の脂環族グリコール;キシリレングリコール等の芳香族グリコール等が挙げられる。
伸長剤の使用量は特に限定されないが、熱可塑性ポリウレタン中、5〜30質量%の範囲であることが好ましい。
使用されるポリイソシアネートは、ポリウレタンの製造において、従来から使用されている公知のものがいずれも使用でき、特に限定されない。
具体的なポリイソシアネートとしては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,5−オクチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添トリレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート等の脂環族イソシアネート;2,4−若しくは2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(4−フェニルイソシアネート)チオホスフェート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネ−ト、ジフェニルスルホンジイソシアネ−ト等の芳香族イソシアネート等が挙げられる。
尚、上記の各成分を反応させることによって本発明のポリウレタン樹脂が得られるが、製造方法としては、従来公知のポリウレタンの製造法が使用でき、特に限定されない。
ポリオール等の全活性水素含有成分及び鎖伸長剤の合計とポリイソシアネートとの比は、NCO/活性水素含有基(OH等)の当量比で0.95〜1.10であることが好ましい。
(B)リン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤
成分(B)のリン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤としては、リン酸グアニジン、リン酸アンモニウム、リン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、メラミン表面被覆ポリリン酸アンモニウム、ケイ素化合物表面被覆ポリリン酸アンモニウム等の難燃剤が挙げられ、これらの1種又は2種以上が使用される。特に、難燃性の観点から、好ましくはポリリン酸アンモニウム、メラミン表面被覆ポリリン酸アンモニウム、ケイ素化合物表面被覆ポリリン酸アンモニウムが用いられ、より好ましくはケイ素化合物表面被覆ポリリン酸アンモニウムが用いられる。
上記ポリリン酸アンモニウム等のリン及び窒素を含有する化合物は、市販品を使用してもよい。また、このような化合物の表面をケイ素化合物で処理することにより、撥水性、樹脂中への分散性、リン酸の溶出低下といった特性を向上させることができる。
表面処理に使用するケイ素化合物としては、各種シランやシリコーンオイル、シリコーンレジン等をあげることができるが、被覆性が良好なことから、特に、特開2006−111844号公報に記載される共加水分解縮合物が好ましい。
このようなリン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤の配合量は、ウレタン樹脂100質量部に対して5〜25質量部が好ましく、より好ましくは5〜20質量部、最も好ましくは5〜15質量部である。1質量部未満の場合、十分な難燃効果が得られず、また、25質量部を超える場合、引張強度や伸びが低下してしまうことがある。
また、リン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤は、平均粒径1〜25μm、特に5〜18μmのものを用いることが好ましい。
尚、平均粒径は、例えばレーザー光回折法による粒度分布測定装置を用いて、重量平均値(又はメジアン径)として求めることができる。
(C)多価アルコール又はその誘導体
成分(C)多価アルコール又はその誘導体としては、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールやその誘導体を挙げることができる。上記多価アルコール又はその誘導体は、単独でも2種以上を併用しても構わない。
多価アルコール誘導体としては、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ジトリメチルシリル化ペンタエリスリトール等を例として挙げることができる。なお、本発明においては、ペンタエリスリトール又はペンタエリスリトール誘導体を用いることが好ましい。
このような多価アルコール又はその誘導体の配合量は、いずれもポリウレタン樹脂100質量部に対して1〜15質量部であることが好ましい。1質量部未満の場合、難燃性の向上は見られず、また、15質量部を超える場合、難燃性、引張強度が大幅に低下してしまうことがある。
更に、このような多価アルコール又はその誘導体の配合量は、リン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤に対し等量以下であることを要する。等量を超える場合、難燃性が低下してしまうことがあるからである。
(D)ケイ素化合物
成分(D)のケイ素化合物は、下記平均組成式(1)で表され、重量平均分子量が150〜10,000、アルコキシ基又はヒドロキシ基の総量が1分子中の10〜85質量%であるオルガノアルコキシシロキサン及びオルガノヒドロキシシロキサンから選ばれるケイ素化合物である。
1 αSi(OX)β(4-α-β)/2 (1)
(式中、R1は置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基又はアリール基であって、各R1は同一であっても異なっていてもよい。Xは炭素原子数1〜10のアルキル基又は水素原子である。αは0.0〜3.0の実数、βは0.1〜3.0であると共にα+β<4.0を満たす実数である。)
上記平均組成式(1)で表されるケイ素化合物は、重量平均分子量が150〜10,000のものが好ましく、より好ましくは200〜6,000である。重量平均分子量が150未満の場合、十分な難燃性が発揮されず、また、10,000を超える場合、引張強度が低下することがある。
上記平均組成式(1)中、OXで示されるアルコキシ基又はヒドロキシ基の総量は、10〜85質量%が好ましく、より好ましくは20〜60質量%である。アルコキシ基又はヒドロキシ基の総量が10質量%未満の場合、難燃性が低下し、85質量%を超える場合、組成物の外観が悪くなることがある。
このようなケイ素化合物の配合量は、ポリウレタン樹脂100質量部に対して1〜15質量部であることが好ましい。ケイ素化合物の配合量が1質量部未満の場合、又は15質量部を超える場合、いずれも難燃性が不十分になることがある。
尚、このようなケイ素化合物は、次の代表的な2つの合成方法によって得られる。
即ち、1つは、クロルシランを水とアルコールの混合液中に滴下し加水分解反応を行い反応後水槽を捨て脱塩酸したものを中和しろ過後減圧濃縮する方法であり、もう1つは、各種アルコキシシランやアルコキシシロキサンオリゴマーと場合によって4量体や5量体といった環状シロキサンを混合したものにアルカリ触媒や酸触媒を添加し平衡化反応を行った後、水を滴下することにより加水分解反応とそれに続く縮合反応を行い、出来上がった反応物を中和濃縮する方法である。
(E)その他の成分
本発明の難燃ポリウレタン樹脂組成物には、上記成分(A)〜(D)の他、その特性を阻害しない範囲で、その目的に応じて各種の添加剤を適宜配合することができる。
添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、光安定剤、相溶化剤、他種のノンハロゲン難燃剤、滑剤、充填剤、接着助剤、防錆剤等を挙げることができる。
使用可能な酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4−チオビス−(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2−メチレンビス−(6−t−ブチル−メチルフェノール)、4,4−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスホナイト、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、2,5,7,8−テトラメチル−2(4,8,12−トリメチルデシル)クロマン−2−オール、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジペンチルフェニルアクリレート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、テトラキス(メチレン)−3−(ドデシルチオプロピオネート)メタン等が挙げられる。
使用可能な安定剤としては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、リシノール酸バリウム、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等の各種金属せっけん系安定剤;ラウレート系、マレート系やメルカプト系各種有機錫系安定剤;ステアリン酸鉛、三塩基性硫酸鉛等の各種鉛系安定剤;エポキシ化植物油等のエポキシ化合物、アルキルアリルホスファイト、トリアルキルホスファイト等のホスファイト化合物;ジベンゾイルメタン、デヒドロ酢酸等のβ−ジケトン化合物;ハイドロタルサイト類やゼオライト類等が挙げられる。
使用可能な光安定剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
使用可能な相溶化剤としては、アクリルオルガノポリシロキサン共重合体、シリカとオルガノポリシロキサンの部分架橋物、シリコーンパウダー、無水マレイン化グラフト変性ポリオレフィン、カルボン酸化グラフト変性ポリオレフィン、ポリオレフィングラフト変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
使用可能な接着助剤としては、各種アルコキシシラン等が挙げられる。
使用可能な他種のノンハロゲン難燃剤としては、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、光酸化チタン等を挙げることができる。
また、使用可能な充填剤としては、ケイ酸、炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンブラック、カオリンクレー、焼成クレー、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、バライト等が挙げられる。
難燃ポリウレタン樹脂組成物の製造方法等
難燃ポリウレタン樹脂組成物は、常法に準じて加熱溶融した成分(A)中に、成分(B)、(C)、(D)(及び必要に応じてその他の成分(E))を混合することにより製造することができるが、少なくとも成分(B)と(D)を1時間以上前に予め混合しておくことは好ましくない。これは、成分(B)の表面に微量なリン酸が残存する場合、成分(B)と(D)又は成分(D)同士が反応し樹脂やゲルを形成する場合があるためである。このように、成分(D)が樹脂やゲルを形成すると、難燃性が低下しUL−94でV−0だったものがUL−94で不合格になることがある。
尚、得られた難燃ポリウレタン樹脂組成物の成形方法は、公知の方法を採用することができる。
以下、本発明を調製例及び実施例と比較例によって具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。尚、下記の例において、平均粒径はレーザー回折型粒度分布測定装置(メタノール溶媒)により測定した値を示す。
[実施例1〜12、比較例1〜8及び参考例]
下記表1〜4に記載された各種成分を配合し、ラボプラストミルR−60ミキサー(東洋精機社製)にて180℃,30rpm,3分の条件で均一に混練した後、200℃でプレス成型にすることにより厚さ2mmの各種試験片を作製した。このようにして得られた試験片を用いて、難燃性UL−94、酸素消費指数、引張強度及び伸びを評価した。得られた結果を表1〜4に併記する。
使用した材料及び評価方法を以下に示す。
[使用した材料]
(1)レザミンP−880CL:ポリウレタン樹脂(ポリカーボネート系)大日精化工業株式会社製
(2)レザミンP−2288:ポリウレタン樹脂(ポリエーテル系)大日精化工業株式会社製
(3)レザミンP−1078:ポリウレタン樹脂(ポリエステル系)大日精化工業株式会社製
(4)レザミンP−4070EX:ポリウレタン樹脂(ポリカプロラクトン系)大日精化工業株式会社製
(5)シリコーン表面処理ポリリン酸アンモニウム1:次のような操作に従い調製した。
シリコーン系撥水処理剤1の調製
冷却管、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの四つ口フラスコにメチルトリメトキシシランのオリゴマー85g(ダイマー換算で0.37モル)、メタノール154g及び酢酸5.1gを入れ、撹拌しているところに、水6.8g(0.37モル)を投入し、25℃で2時間撹拌した。そこに、3−アミノプロピルトリエトキシシラン17.7g(0.08モル)を滴下した。その後、メタノールの還流温度まで加熱して1時間反応後、エステルアダプターにて、内温が110℃になるまでメタノールを留去し、JIS K2283に基づき測定した粘度71mm2/s(25℃)の薄黄色透明溶液81gを得た(重量平均分子量1,100)。このものの系内のメタノール残存量は5質量%であった(シリコーン系撥水処理剤1)。
表面処理ポリリン酸アンモニウム1の調製
ポリリン酸アンモニウム(クラリアント社製:ペコフレームTC204P、平均粒径8μm)100質量部に、上記のシリコーン系撥水処理剤1を10質量部、エタノールを100質量部加え、これらを30分撹拌した後、減圧下でエタノールを留去し、粉砕器で粉砕して、平均粒径10μmのシリコーン表面処理ポリリン酸アンモニウム1を得た。
(6)ペコフレームTC204P:表面未処理ポリリン酸アンモニウム2、クラリアントジャパン株式会社製、平均粒径8μm
(7)ペンタエリスリトール:和光純薬工業株式会社製
(8)ジペンタエリスリトール:和光純薬工業株式会社製
(9)ペンタエリスリトールジステアレート:和光純薬工業株式会社製
(10)アルコキシシロキサンオリゴマー:次のような操作に従い下記化合物A〜Dを調製した。
(化合物A)
メチルトリクロルシランをメタノール中65℃以下で攪拌し部分エステル化を行なった後、メタノールと水を3:1の比率で混合した溶液中に滴下して加水分解後、塩酸を含有する下層を廃棄し、残る有機層(上層)を炭酸ナトリウムで中和する。中和後ろ過により塩を除去し100℃以上で減圧濃縮することにより合成した。得られた化合物はSi29−NMRにより下記の平均組成式であることが分かった。また、アルコキシ基量は20mlバイアル瓶に試料1.0gを採取し、1N−KOHとIPA混合液を加えゴム栓をしてN2を流し込みながら170℃までオイルバスで加熱する。バイアル瓶につないだテフロン(登録商標)チューブより流出したアルコール分についてGC分析することによりメタノール量から求めた。また重量平均分子量はトルエンGPCより算出した。
平均組成式 (CH3)(OCH31.5SiO0.75
アルコキシ基量46質量% 重量平均分子量406
(化合物B)
化合物A−100質量部に水とスルホン酸型イオン交換樹脂1質量部(樹脂はジビニベンゼン架橋ポリスチレン)と一緒に70℃、5h撹拌後、110℃で減圧濃縮することにより合成した。上記化合物Aと同様の分析により下記、平均組成式、アルコキシ基量、重量平均分子量を求めた。
平均組成式 (CH31.0(OCH31.2SiO0.9
アルコキシ基量28質量% 重量平均分子量950
(化合物C)
化合物A−100質量部、ジメチルジメトキシシランを110質量部に水、メタノールとスルホン酸型イオン交換樹脂1質量部と一緒に70℃、5h撹拌後、110℃で減圧濃縮することにより合成した。上記化合物Aと同様の分析により下記、平均組成式、アルコキシ基量、重量平均分子量を求めた。
平均組成式 (CH31.69(OCH30.31SiO1
アルコキシ基量12質量% 重量平均分子量5,500
(化合物D)
オクタメチルテトラシロキサン76質量部、ジメチルジメトキシシラン 28.6質量部、ジメチルトリメトキシシラン95質量部を混合し、水、メタノールとスルホン酸型イオン交換樹脂1質量部と一緒に70℃、5h撹拌後、110℃で減圧濃縮することにより合成した。上記化合物Aと同様の分析により下記、平均組成式、アルコキシ基量、重量平均分子量を求めた。
平均組成式 (CH32.16(OCH30.17SiO0.835
アルコキシ基量7質量% 重量平均分子量1,950
KF−96L−5CS:信越化学工業株式会社製
平均組成式 (CH32.18SiO0.91
アルコキシ基量0質量% 重量平均分子量830
[評価方法]
(1)難燃性UL−94:UL−94垂直燃焼試験に基づき試験を行った。
(2)酸素消費指数:JIS−K7201に準じて測定を行った。
(3)引張強度、伸び:2mm厚のプレス成型シートをダンベルで2号試験片に型抜きし、JIS−K7113に準じて測定を行った。
(4)重量平均分子量:GPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により求めた。尚、分析条件は以下の通りである。
(a)溶媒:トルエン
(b)カラム:TSKgel superH5000+superH4000+superH3000+superH2000
(c)検出器:RI
(d)流量:0.6ml/分
(e)カラム温度:40℃
Figure 2011042720
Figure 2011042720
Figure 2011042720
Figure 2011042720
Figure 2011042720

Claims (6)

  1. 下記成分
    (A)ポリウレタン樹脂: 100質量部、
    (B)リン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤: 5〜25質量部、
    (C)多価アルコール又はその誘導体: 1〜15質量部、
    (D)下記平均組成式(1)で表され、重量平均分子量が150〜10,000、アルコキシ基又はヒドロキシ基の総量が1分子中の10〜85質量%であるオルガノアルコキシシロキサン及びオルガノヒドロキシシロキサンから選ばれるケイ素化合物:
    1〜15質量部
    1 αSi(OX)β(4-α-β)/2 (1)
    (式中、R1は置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基又はアリール基であって、各R1は同一であっても異なっていてもよい。Xは炭素原子数1〜10のアルキル基又は水素原子である。αは0.0〜3.0の実数、βは0.1〜3.0であると共にα+β<4.0を満たす実数である。)
    を含有することを特徴とする難燃ポリウレタン樹脂組成物。
  2. 成分(A)ポリウレタン樹脂が、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1記載の難燃ポリウレタン樹脂組成物。
  3. 成分(B)のリン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤が、リン酸グアニジン、リン酸アンモニウム、リン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、メラミン表面被覆ポリリン酸アンモニウム及びケイ素化合物表面被覆ポリリン酸アンモニウムから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の難燃ポリウレタン樹脂組成物。
  4. 成分(C)の多価アルコール又はその誘導体が、ペンタエリスリトール又はペンタエリスリトール誘導体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の難燃ポリウレタン樹脂組成物。
  5. 成分(C)の多価アルコール又はその誘導体が、成分(B)のリン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤に対し等量以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の難燃ポリウレタン樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の難燃ポリウレタン樹脂組成物の製造方法であって、加熱溶融した成分(A)中に、少なくとも成分(B)、(C)及び(D)を混合するに際し、少なくとも成分(B)及び(D)が1時間以上前に予め混合されていてはならないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の難燃ポリウレタン樹脂組成物の製造方法。
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