JP2016030798A - 非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物及び該非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物及び該非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】難燃性に優れ、しかもポリウレタン樹脂のもつ機械物性等の特性を低下させることなく、各成分が相溶性よく、成形品の表面にブリードすることなく、更には、二酸化炭素を構成原料とし得る材料を利用した、地球環境保全の観点からも有用な非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物の提供。【解決手段】下記の(a)〜(d)の4成分を下記の配合で含有する非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物及びその製造方法。(a)ポリウレタン樹脂が100質量部、(b)リン及び窒素を含有する非ハロゲン系難燃剤が5〜70質量部、(c)ポリヒドロキシポリウレタン樹脂が1〜25質量部、(d)下記平均組成式(1)で表される特定のオルガノアルコキシシロキサン及びオルガノヒドロキシシロキサンから選ばれるケイ素化合物を1〜20質量部。R1αSi(OX)βO(4-α-β)/2(1)【選択図】なし

Description

本発明は、優れた難燃性と機械特性とを有し、更に、安全性と環境適性に優れた非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物、及び非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法に関するものである。「環境適性」とは、環境問題への配慮がなされていることを意味している。
樹脂組成物等の製品に適用される難燃剤としては、従来より、ハロゲン系、リン酸エステル系、赤リン系等が知られており、このような難燃剤が使用されている。これに対し、下記に挙げるような理由から、近年、安全性と環境性に対する要求の高まりから、従来の難燃剤を使用した製品の代替えが検討され始めている。例えば、臭素、塩素、フッ素等に代表されるハロゲン系難燃剤は、難燃性が高く、添加量も少量で済み、組成物の機械的特性を損なうことが小さいといった優れた特徴を有しているが、火災の際に多量のハロゲンガスを発生するため、内装材等に用いられていた場合、建物内にいる人が呼吸困難となり、最悪の場合、死に至るおそれがあるという重大な課題がある。また、リン酸エステル系難燃剤は、経時で樹脂表面に溶出しやすく、毒性や変異原性が懸念されている。更に、赤リン系難燃剤は、リン濃度が高いため難燃性も高いものの、不完全燃焼時のホスフィンガスは毒性が強く、また、赤リン自身が自然発火する危険性を有している。上記したように、従来の難燃剤は、一般的に、安全性や環境面から使用しづらいという課題があった。
一方、ポリウレタン樹脂は、その優れた機械的強度、耐摩耗性、弾性、耐薬品性により電線被覆、機械部品、チューブ・ホース、フィルム・シート、ソリッドタイヤ、スポーツ用品等々、様々な分野で広範に使用されている。しかし、ポリウレタン樹脂は可燃性であり、防災の観点から、他の樹脂同様に厳しい難燃化が要求されるようになってきている。
ポリウレタン樹脂の難燃化に対しては、下記に挙げるように、いくつもの方法が提案されている。例えば、含リンポリオールやハロゲン含有ポリオールを用い、難燃性を示す成分をポリウレタン樹脂骨格中に導入する方法が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、上記したポリオールは高価であり、経済性の点で課題があるのに加え、所定の難燃性を得るためには、リンやハロゲンの含有量が増えてしまい、このことが原因してポリウレタン樹脂の機械特性を低下させることが生じるため、実用性に劣るという課題がある。また、特定のリン含有成分及び特定の窒素含有成分を組合せて難燃剤とすることについての提案(特許文献3参照)や、熱可塑性ポリウレタン樹脂に難燃剤を使用した場合の相溶性の悪さを、特定のハロゲン化合物に、アンチモン化合物を組合せることで改善したとする提案(特許文献4参照)がある。
しかしながら、ポリウレタン樹脂は他の物質との相溶性が非常に悪く、本発明者らの検討によれば、前記した技術でも、難燃剤をポリウレタン樹脂に使用した場合、長期間放置すると成形品表面にブリートアウトしたり、機械的物性の低下を起こすという欠点があった。
また、近年、非ハロゲン系難燃剤として、燃焼時に発泡炭化層を形成し、これにより炎を遮断する難燃化方法を実現するイントメッセント難燃剤が注目されている(特許文献5参照)。この難燃剤は、ポリリン酸アンモニウムのようなリン酸塩を主体として、多価水酸基含有化合物を組合せることで、燃焼時、リン酸塩より生成するリン酸が脱水剤として働くと同時に窒素ガスの発生により高い難燃性を与えるものであり、ポリウレタン樹脂やポリオレフィン樹脂等の難燃化に用いられている。そして、多価水酸基含有化合物としては、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールが好ましいとされている。しかし、本発明者らの検討によれば、このような難燃剤においても、使用する多価水酸基化合物がポリウレタン樹脂との相溶性に劣るため、経時でブリードアウトするという問題があった。
熱可塑性樹脂に、リン及び窒素を含有するノンハロゲン系難燃剤、多価アルコール又はその誘導体、及び特定のケイ素化合物を含有する難燃熱可塑性樹脂組成物が知られているが(特許文献6参照)、この技術は、ポリプロピレンやポリエチレンやポリスチレンやポリ乳酸樹脂等の汎用樹脂を対象としたものであり、ポリウレタン樹脂に適用するためのものではない。また、ポリウレタン樹脂の難燃化についての提案もされているが(特許文献7参照)、本発明者らの検討によれば、高い難燃性を実現するとともに、成形体とした場合における、硬度や機械的強度が従来のものと遜色なく、特に、相溶性の悪い難燃剤成分における良好な相溶性の達成、難燃剤成分のブリードの問題の全ての特性を安定して満足したものとするといった、実用上の観点からの検討は十分になされていなかった。
更に、最近では、環境問題に対する意識の高まりから、環境対策に積極的に取り組むメーカーが多くなり、環境保全性に優れた材料を用いた構成の製品を提供する動きが盛んである。このような状況下、先述した、ポリウレタン樹脂に難燃材を含んでなる難燃性ポリウレタン樹脂組成物においても、環境対策は必須である。しかしながら、現在まで、環境保全という面では、まだまだ不十分と言わざるを得ない。
一方、増加の一途をたどる二酸化炭素の排出に起因すると考えられる地球の温暖化現象は、近年、世界的な問題となっており、二酸化炭素の排出低減は、全世界的に重要な課題であり、二酸化炭素を製造原料とできる循環型技術の開発が待望されている。更に、枯渇性石化資源(石油)問題の観点からも、バイオマス、メタンなどの再生可能資源への転換が世界的潮流となっている。
これに対し、二酸化炭素を構成原料にできるポリヒドロキシポリウレタン樹脂については、以前から知られているが(非特許文献1、2参照)、その応用展開は進んでいないのが実情である。その理由は、従来の同種系の高分子化合物(石油プラスチック)であるポリウレタン樹脂に比べ、特性面で明らかに劣るからである(特許文献8、9参照)。
特開2003−003116号公報 特開2001−294645号公報 米国特許第6,509,401号公報 特開平05−086285号公報 特開平08−067769号公報 特許第5136801号公報 特許第5246101号公報 米国特許第3,072,613号公報 特開2000−319504号公報
N.Kihara,T.Endo,J.Org.Chem.,1993,58,6198 N.Kihara,T.Endo,J.Polymer Sci.,PartA Polymer Chem.,1993,31(11),2765
上記したような状況下、ポリウレタン樹脂に非ハロゲン難燃剤を適用して十分な難燃性を付与すると共に、難燃剤を添加しているにもかかわらず、従来のポリウレタン樹脂のもつ硬度や機械物性(破断強度、破断伸度)を低下させることなく、また、特に、難燃剤成分が相溶性よく、表面にブリードアウトすることもなく、更には、地球規模での環境保全性に寄与できる環境対応製品を提供し得る非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物の開発が要望されている。
したがって、本発明の目的は、非ハロゲン系難燃剤を使用した難燃性ポリウレタン樹脂組成物において、難燃性に優れ、しかもポリウレタン樹脂のもつ硬度や機械物性(破断強度、破断伸度)等の特性を低下させることなく、また、難燃剤成分が相溶性よく、成形品の表面にブリードすることもなく、更には、二酸化炭素を構成原料とし得る材料を利用した、地球環境保全の観点からも有用な、環境適性に優れる非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物を提供することにある。
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、非ハロゲン難燃剤を含有した難燃性ポリウレタン樹脂組成物であって、少なくとも、
(a)成分であるポリウレタン樹脂100質量部に対して、
(b)成分として、リン及び窒素を含有する非ハロゲン系難燃剤を5〜70質量部、
(c)成分として、ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を1〜25質量部、更に、
(d)成分として、下記平均組成式(1)で表され、重量平均分子量が150〜10000、アルコキシ基又はヒドロキシ基の総量が1分子中の10〜85質量%であるオルガノアルコキシシロキサン及びオルガノヒドロキシシロキサンから選ばれるケイ素化合物を1〜20質量部、を含有してなることを特徴とする非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物を提供する。
1 αSi(OX)β(4-α-β)/2 (1)
(式中、R1は置換基を有していてもよいアルキル基又はアルケニル基であって、各R1は同一であっても異なってもよい。Xは炭素原子1〜12のアルキル基又は水素原子であるが、必ずアルキル基を含む。αは0.0〜3.0の実数、βは0.1〜3.0であると共にα+β<4.0を満たす実数である。)
本発明の好ましい形態としては、下記のことが挙げられる。前記(b)成分であるリン及び窒素を含有する非ハロゲン系難燃剤が、リン酸グアニジン、リン酸アンモニウム、リン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、メラミン表面被覆ポリリン酸アンモニウム及びケイ素化合物表面被覆ポリリン酸アンモニウムからなる群から選択される1種又は2種以上であること;前記(c)成分であるポリヒドロキシポリウレタン樹脂が、5員環環状カーボネート化合物とアミン化合物との反応により形成された樹脂であること;前記5員環環状カーボネート化合物が、エポキシ化合物と二酸化炭素を反応させて得られること;前記ポリヒドロキシポリウレタン樹脂が、その樹脂構造中に原料由来の二酸化炭素を1〜25質量%の範囲で取り入れてなること;前記(d)成分の数平均分子量が、100〜10000であることが挙げられる。
本発明は、別の実施形態として、上記のいずれかの非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法であって、(a)成分であるポリウレタン樹脂100質量部に対して、(b)成分のリン及び窒素を含有する非ハロゲン系難燃剤を5〜70質量部と、(c)成分のポリヒドロキシポリウレタン樹脂を1〜25質量部と、(d)成分のケイ素化合物を1〜20質量部とを混練混合する工程を有することを特徴とする非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法を提供する。
上記本発明によれば、ポリウレタン樹脂の難燃成分として、リン及び窒素を含有する非ハロゲン系難燃剤と共に、ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を併用することにより、十分な難燃性と機械物性を有すると共に、成形品を長期間放置しても、難燃性成分が表面にブリードアウトすることがない非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物が提供される。更に、本発明の技術は、原料の構造中に二酸化炭素を取り入れた樹脂材料を使用できるので、地球環境保全の観点から世界規模で問題となっている温暖化ガス削減に寄与し得る環境対応製品としての非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物の提供が可能になる。
エポキシ化合物(エピコート828)の赤外吸収スペクトル 5員環環状カーボネート化合物の赤外吸収スペクトル 5員環環状カーボネート化合物のGPC溶出曲線(移動相:THF、カラム:TSK−Gel GMHXL+G2000HXL+G3000HXL、検出器:IR)
次に、好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明の非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物は、少なくとも、下記の(a)〜(d)の4成分を、下記の配合で含有してなることを特徴とする。以下に、これらの成分についてそれぞれ説明する。
(a)ポリウレタン樹脂 100質量部
(b)リン及び窒素を含有する非ハロゲン系難燃剤 5〜70質量部
(c)ポリヒドロキシポリウレタン樹脂 1〜25質量部
(d)下記のケイ素化合物 1〜20質量部
上記(d)成分は、下記平均組成式(1)で表され、重量平均分子量が150〜10000、アルコキシ基又はヒドロキシ基の総量が1分子中の10〜85質量%であるオルガノアルコキシシロキサン及びオルガノヒドロキシシロキサンから選ばれるケイ素化合物を1〜20質量部、を含有してなることを特徴とする非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物。
1 αSi(OX)β(4-α-β)/2 (1)
(式中、R1は置換基を有していてもよいアルキル基又はアルケニル基であって、各R1は同一であっても異なってもよい。Xは炭素原子1〜12のアルキル基又は水素原子であるが、必ずアルキル基を含む。αは0.0〜3.0の実数、βは0.1〜3.0であると共にα+β<4.0を満たす実数である。)
(1)a成分:ポリウレタン樹脂
本発明の非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物を構成する(a)成分であるポリウレタン樹脂としては、下記に挙げるような、有機ポリイソシアネートとポリオール、必要に応じて鎖伸長剤を反応させて得られる、従来の一般的な樹脂を用いる。合成の際に使用する有機ポリイソシアネートとしては、例えば、次の如き化合物が挙げられる。トルエンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンシセイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,6−ヘサキメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
また、ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ホリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリシロキサンポリオール等が挙げられる。
鎖伸長剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、キシリレングリコール等が挙げられる。
上記に列記した有機ポリイソシアネート、ポリオール、鎖伸長剤は、本発明を構成する(a)成分であるポリウレタン樹脂の合成において使用される好ましい例示であって、本発明はこれらの例示の化合物に限定されるものではない。従って、上述の例示のもののみならず、その他、従来の一般的なポリウレタン樹脂の合成の際に使用されている、現在市販されており、市場から容易に入手し得るものは、いずれも本発明において使用することができる。
上記(a)成分であるポリウレタン樹脂は、上記したような有機ポリイソシアネート、ポリオール、鎖伸長剤を用い、従来公知の方法によって合成することで製造できるが、勿論、市場から入手できるポリウレタン樹脂を用いることもできる。その用途に応じて、例えば、エーテル系、エステル系、カプロラクトン系、ポリカーボネート系等の熱可塑性ポリウレタンエラストマーを適宜に選択して用いることができる。特に、成形物の硬度等を考慮すると、ポリカーボネート系のポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
(2)b成分:リン及び窒素を含有する非ハロゲン系難燃剤
本発明の非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物を構成する(b)成分であるリン及び窒素を含有する非ハロゲン系難燃剤としては、例えば、リン酸グアニジン、リン酸アンモニウム、リン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、メラミン表面被覆ポリリン酸アンモニウム、ケイ素化合物表面被覆ポリリン酸アンモニウム等の難燃剤が挙げられる。中でも特に、難燃性の観点から、好ましくはポリリン酸アンモニウム、メラミン表面被覆ポリリン酸アンモニウム、ケイ素化合物表面被覆ポリリン酸アンモニウムが好ましい。
上記リン及び窒素を含有する非ハロゲン系難燃剤の配合量は、上記した(a)成分であるポリウレタン樹脂100質量部に対して、5〜70質量部の範囲である。好ましくは、10〜60質量部である。5質量部未満の場合、十分な難燃性能が得られないおそれがあり、また、70質量部を超えるとポリウレタン樹脂組成物の機械的性能が低下してしまうおそれがあるので好ましくない。
上記リン及び窒素を含有する非ハロゲン系難燃剤は、平均粒径が40μm以下のものを用いることが好ましい。平均粒径が40μmを超えると、ポリウレタン樹脂中への分散度が低くなり、十分な難燃性を得ることが困難になると共に、樹脂組成物の機械的性能の低下をもたらすおそれがあるので好ましくない。
(3)c成分:ポリヒドロキシポリウレタン樹脂
本発明の非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物を構成する(c)成分であるポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、例えば、5員環環状カーボネート化合物とアミン化合物との反応から誘導される。
<5員環環状カーボネート化合物>
(c)成分であるポリヒドロキシポリウレタン樹脂の合成に使用する5員環環状カーボネート化合物は、下記[式−A]で示されるように、エポキシ化合物と二酸化炭素とを反応させて製造することができる。更に詳しくは、エポキシ化合物を、有機溶媒の存在下又は不存在下、及び触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で常圧又は僅かに高められた圧力下、10〜20時間二酸化炭素と反応させることによって得られる。
Figure 2016030798
上記で使用し得るエポキシ化合物としては、例えば、次の如き化合物が挙げられる。
Figure 2016030798
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以上列記したエポキシ化合物は、本発明において使用する好ましい化合物であって、本発明はこれらの例示の化合物に限定されるものではない。従って、上述の例示の化合物のみならず、その他現在市販されており、市場から容易に入手し得る化合物は、いずれも本発明において使用することができる。
上記したエポキシ化合物と二酸化炭素の反応において使用することができる触媒としては、下記に挙げるような塩基触媒及びルイス酸触媒が使用できる。塩基触媒としては、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどの三級アミン類、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロオクタン、ピリジンなどの環状アミン類、リチウムクロライド、リチウムブロマイド、フッ化リチウム、塩化ナトリウムなどのアルカリ金属塩類、塩化カルシウムなどのアルカリ土類金属塩類、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、などの四級アンモニウム塩類、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩類、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸銅、酢酸鉄などの金属酢酸塩類、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの金属酸化物、テトラブチルホスホニウムクロリドなどのホスホニウム塩類が挙げられる。
ルイス酸触媒としては、テトラブチル錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫オクトエートなどの錫化合物が挙げられる。
これらの触媒を使用する場合、触媒の量は、エポキシ化合物50質量部当たり、0.1〜100質量部、好ましくは0.3〜20質量部とすればよい。上記使用量が0.1質量部未満では、触媒としての効果が小さく、100質量部を超えると最終樹脂の諸性能を低下させる。しかし、残留触媒が重大な性能低下を引き起こすような場合は、純水で洗浄して除去してもよい。
エポキシ化合物と二酸化炭素の反応においては、使用できる有機溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホオキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。また、これら有機溶剤は、他の貧溶剤、例えば、メチルエチルケトン、キシレン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、シクロヘキサノン等との混合系で使用してもよい。
<合成方法>
本発明の非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物を構成する(c)成分であるポリヒドロキシウレタン樹脂は、下記[式−B]で示されるように、上記のようにして得た5員環環状カーボネート化合物と、アミン化合物とを、有機溶媒の存在下、20℃〜150℃の温度下で反応させた後、脱溶剤化して本発明のポリヒドロキシポリウレタン樹脂を得ることができる。
Figure 2016030798
上記反応に使用するアミン化合物としては、従来ポリウレタン樹脂の製造に使用されているものがいずれも使用できるが、例えば、下記に挙げるようなジアミンを用いることが好ましい。例えば、メチレンジアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン;フェニレンジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(フェニルアミン)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン;1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−ジアミノシクロヘキシルメタン、1,4’−ジアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミンなどの脂環族ジアミン;モノエタノールジアミン、エチルアミノエタノールアミン、ヒドロキシエチルアミノプロピルアミンなどのアルカノールジアミンが挙げられる。
以上列記したアミン化合物は、本発明において使用する好ましい化合物であって、本発明はこれらの例示の化合物に限定されるものではない。従って、上述の例示の化合物のみならず、その他、現在市販されており、市場から容易に入手し得る化合物は、いずれも本発明において使用することができる。
<物性等>
本発明の非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物を構成する(c)成分であるポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、その数平均分子量(GPCで測定した標準ポリスチレン換算値)が2000〜100000であるものが好ましく、より好ましくは、5000〜70000のものを用いる。
本発明を構成するポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、5員環環状カーボネート化合物とアミン化合物との反応により、従来のポリウレタン系樹脂では不可能であった水酸基をその構造中に生成するため、前記したイントメッセント難燃剤におけるジペンタエリスリトール等の多価アルコールと同様の効果を示すことが可能となる。更に、本発明を構成するポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、(a)成分であるポリウレタン樹脂との相溶性にも優れるため、従来よりイントメッセント難燃剤において使用されている多価アルコールに比較して、ブリードアウトや、機械的性能を低下させることがない。
本発明を構成するポリヒドロキシポリウレタン樹脂の水酸基含有量は、約3〜30質量%(水酸基価25〜300mgKOH/g)であることが好ましい。水酸基含有量が上記範囲未満であると、二酸化炭素削減効果が十分であると言い難く、一方、上記範囲を超えると、高分子化合物としての諸物性が十分でなくなるおそれがあるので好ましくない。
本発明の非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物中における、上記した(c)成分のポリヒドロキシポリウレタン樹脂の配合量は、(a)成分であるポリウレタン樹脂100質量部に対して1〜25質量部であることを要するが、3〜20質量部とすることが好ましい。本発明者らの検討によれば、配合量が1質量部未満である場合や、25質量部を超えた場合は、十分な難燃性能が得られなくなる。
更に、本発明を構成する(c)成分のポリヒドロキシポリウレタン樹脂には、必要に応じて、多価アルコールや多価アルコール誘導体等を併用してもよい。使用可能な多価アルコール及び多価アルコール誘導体としては、従来のイントメッセント難燃剤において使用されている、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール、セルロース、デンプン、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ジトリメチルシリル化ペンタエリスリトール等が挙げられる。
(4)d成分:ケイ素化合物
本発明の非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物を構成する(d)成分であるケイ素化合物としては、下記平均組成式(1)で表され、重量平均分子量が150〜10000、アルコキシ基又はヒドロキシ基の総量が1分子中の10〜85質量%であるオルガノアルコキシシロキサン及びオルガノヒドロキシシロキサンから選ばれる化合物を用いる。
1 αSi(OX)β(4-α-β)/2 (1)
(式中、R1は置換基を有していてもよいアルキル基又はアルケニル基であって、各R1は同一であっても異なってもよい。Xは炭素原子1〜12のアルキル基又は水素原子であるが、必ずアルキル基を含む。αは0.0〜3.0の実数、βは0.1〜3.0であると共にα+β<4.0を満たす実数である。)
本発明を構成する(d)成分であるケイ素化合物の具体的なものとしては、下記のものが挙げられる。例えば、平均組成式が(CH3)(OCH3)1.5SiO0.75の、重量平均分子量が406でアルコキシ基量が46質量%の化合物、平均組成式が(CH31.0(OCH3)1.2SiO0.9重量平均分子量が950でアルコキシ基量が28質量%の化合物、平均組成式が(CH31.69(OCH3)0.31SiO1重量平均分子量が5500でアルコキシ基量が12質量%の化合物、平均組成式が(CH32.16(OCH3)0.17SiO0.835重量平均分子量が1950でアルコキシ基量が7質量%の化合物などが挙げられる。これらは、先に挙げた特許文献6である特許第5136801号公報に記載の方法で得ることができるが、市場から入手することも可能である。
本発明の非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物中における、上記した(d)成分のケイ素化合物の配合量は、(a)成分であるポリウレタン樹脂100質量部に対して1〜20質量部であることを要するが、より好ましくは1〜15質量部である。本発明者らの検討によれば、配合量が1質量部未満である場合や、20質量部を超えた場合は、十分な難燃性能が得られなくなる。
(5)その他の成分
本発明の非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物には、上記した必須とする(a)〜(d)の成分の他に、特性を阻害しない範囲で、その目的に応じて各種添加剤を適宜配合することができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、光安定剤、顔料、加水分解防止剤、滑剤、充填剤、加工助剤等が挙げられる。
(6)製造方法
本発明の非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物は、公知の手法により、少なくとも、上記した(a)〜(d)の各成分を本発明で規定する配合量で配合し、加熱溶融状態で混練混合することにより製造することができる。混練混合時には、各成分同士が反応し更にゲル化を起こさないよう、各成分の添加順序や、混練時間に注意することが好ましい。これは、各成分同士が反応し、更にゲル化を起こしたような場合には、難燃性が低下するおそれがある。例えば、(b)と(d)を予め混合しておくのは、あまり好ましくない。これは(b)中に残存する微量のリン酸の触媒作用により、(b)と(d)又は(d)と(d)同士が反応するなどして樹脂やゲルを形成するおそれがあるからである。上記した点に注意をすれば、他の成分は任意の順序で添加すればよい。
本発明の非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物は、公知の方法で、所望の形状に成形することによって、十分な難燃性と、機械物性を有する非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物からなる成形体を得ることができる。成形方法は特に限定されるものではなく、押出し加工成形、カレンダー加工成形、射出成形、ロール成形、圧縮成形、及びブロー成形等を挙げることができる。また、これらの成形方法を適宜に利用することで、樹脂板状、シート状、フィルム状、異形品等、種々の形状の成形品に製造することができる。
本発明の非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物、及び該組成物によって得られる成形体は、電気・電子・通信、建築、食品、繊維、衣料、ゴム、医療、自動車、精密機器、家具、建材、印刷等、幅広い分野に使用することができる。
本発明の非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物は、従来よりイントメッセント難燃剤に使用されている多価アルコールや多価アルコール誘導体の替わりに、或いは、これと併用して、ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を用いる構成としたことで、経時でブリードアウトすることなく、難燃性及び機械特性に優れた性能の成形体等を得ることができる。更に、本発明によれば、地球規模で問題とされている温暖化ガスである二酸化炭素の削減の観点からも、二酸化炭素を樹脂の構造中に取り入れることのできるポリヒドロキシポリウレタン樹脂を利用することにより、従来品にはなかった環境保全への対応を考慮した非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物の提供が可能になる。
次に、製造例、具体的な重合例及び実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の各例における「部」及び「%」は特に断りのない限り質量基準である。
[製造例1](5員環環状カーボネート化合物の製造)
撹拌機、温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた反応容器中に、下記式Aで表される2価エポキシ化合物[ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート828;エポキシ当量187g/mol]を100部、N−メチルピロリドンを100部、ヨウ化ナトリウムを1.5部加え、均一に溶解させた。図1に、本製造例で使用した2価エポキシ化合物について測定した赤外吸収スペクトル(商品名:FT−IR720、堀場製作所製)を示した。以下、赤外吸収スペクトルは同様の装置で測定した。その後、炭酸ガスを0.5L/分の速度でバブリングしながら、80℃で30時間加熱撹拌させた。反応終了後、得られた溶液を300部のn−ヘキサン中に300rpmで高速撹拌しながら徐々に添加し、生成した粉末状生成物をフィルターで、ろ過、更にメタノールで洗浄し、N−メチルピロリドン及びヨウ化ナトリウムを除去した。得られた粉末を乾燥機中で乾燥し、白色粉末の5員環環状カーボネート化合物(1−A)118部(収率95%)を得た。
Figure 2016030798
図2に上記で得られた生成物の赤外吸収スペクトルを示した。図2に示したように、図1に示した原料のエポキシ化合物の赤外吸収スペクトルにおいて910cm-1付近に確認されたエポキシ基由来のピークが、図2の生成物のスペクトルではほぼ消滅し、その一方で、1800cm-1付近に原料には存在しない環状カーボネート基のカルボニル基の吸収が確認された。また、図3に、GPC溶出曲線を示したが、生成物の数平均分子量は414(ポリスチレン換算、東ソー;GPC−8220)であった。これらの結果から、生成物は、5員環環状カーボネート化合物であることが確認された。また、上記から、得られた5員環環状カーボネート化合物(1−A)の構造中には、19%の二酸化炭素が固定化されていることになる。
[製造例2](5員環環状カーボネート化合物の製造)
製造例1で用いた前記した式Aの2価エポキシ化合物の替わりに、下記式Bで表される2価エポキシ化合物(東都化成(株)製、YDF−170;エポキシ当量172g/mol)を使い、製造例1と同様に反応させて、白色粉末の5員環環状カーボネート化合物(1−B)121部(収率96%)を得た。得られた生成物が、5員環環状カーボネート化合物であることは、赤外吸収スペクトル、GPC、NMRで確認した。得られた5員環環状カーボネート化合物(1−B)の構造中には、20.3%の二酸化炭素が固定化されていることになる。
Figure 2016030798
[製造例3](5員環環状カーボネート基化合物の製造)
製造例1で用いた前記した式Aの2価エポキシ化合物の替わりに、下記式Cで表される2価エポキシ化合物(ナガセケムテックス(株)製、EX−212;エポキシ当量151g/mol)を使い、製造例1と同様に反応させて、無色透明の液状の5員環環状カーボネート化合物(1−C)111部(収率86%)を得た。得られた生成物が、5員環環状カーボネート化合物であることは、赤外吸収スペクトル、GPC、NMRで確認した。得られた5員環環状カーボネート基化合物(1−C)の構造中には、22.5%の二酸化炭素が固定化されていることになる。
Figure 2016030798
[重合例1〜3](ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の製造)
撹拌機、温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた反応容器内を窒素置換し、これに製造例1〜3で得られた5員環環状カーボネート化合物をそれぞれに用い、更に固形分が50%になるようにN−メチルピロリドンを加え均一に溶解した。次に、表1に記載したそれぞれのアミン化合物を所定当量加え、90℃の温度で10時間撹拌し、アミン化合物が確認できなくなるまで反応させた。得られた3種類の樹脂溶液の脱溶剤処理を行うことにより、固形状のポリヒドロキシポリウレタン樹脂を得た。得られた樹脂の性状は表1に記載の通りであった。なお、得られた樹脂の破断強度及び破断伸度の試験方法は、後述する実施例及び比較例の試験と同様に行った。
Figure 2016030798
[実施例1〜9、比較例1〜6]
下記表2、3に記載された各成分を、表2、3に示した量でそれぞれ配合し、ラボプラストミル(東洋精機社製)にて、190℃、75rpm、3分の条件で均一に混練した後、200℃でプレス成型し、厚さ2mm及び1.6mmの各種試験片を作製した。
ここで、非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物を得る際に使用した各材料は、下記の通りである。
(a)成分のポリウレタン樹脂:
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(商品名:レザミンP−890、大日精化工業(株)製)
(b)成分のリン及び窒素を含有する非ハロゲン系難燃剤:
ポリリン酸アンモニウム(商品名:ペコフレームTC204P、クラリアント社製、平均粒径8μm)
(c)成分のポリヒドロキシポリウレタン樹脂:
重合例1、重合例2、重合例3で得られたものをそれぞれに使用
(d)成分のケイ素化合物:
アルコキシシロキサンオリゴマー:(CH3)(OCH3)1.5SiO0.75(信越化学工業(株)製)
・多価水酸基化合物(イントメッセント難燃剤)
ペンタエリスリトール(和光純薬工業(株)製)
[評価方法]
実施例及び比較例の非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物を用いて、それぞれの試験に合わせて作製した実施例及び比較例の各試験片を用い、下記の方法で、硬度、破断強度、破断伸度、難燃性試験、酸素消費指数、機械物性(相溶性、ブリード性、環境対応性)についてそれぞれ評価試験をし、以下の基準で評価した。表2及び3に、得られた結果をまとめて示した。
<硬度、破断強度、破断伸度>
JIS−K7311に準じた方法で、実施例及び比較例の各試験片を用い、硬度、破断強度、破断伸度を測定した。
<難燃性UL−94>
難燃性試験規格であるUL−94垂直燃焼試験に基づき難燃性の評価試験を行った。本試験では、長さ127mm、幅12.7mm、厚さ1.6mmにした試験片を用い、下記の手順で試験を行った。各試験片を垂直に保ち、下端にバーナーの火を10秒間接炎させた後、炎を試料から離し、試験片に着火した火が消える迄の時間を測定した。そして、火が消えると同時に2回目の接炎を10秒間行って、1回目と同様に、火が消える迄の時間を測定した。更に、落下する火種により、試験片の下に置いた外科用脱脂綿への着火の有無を同時に評価した。上記で測定した1回目と2回目の燃焼時間、及び外科用脱脂綿への着火の有無から、UL−94規格に従って、V−0、V−1、V−2とし、いずれのランクにも該当しないものはNGとして評価した。評価結果は、難燃性の最高ランクはV−0であり、V−0から、V−1、V−2となるにしたがい、難燃性が低下したことを意味する。
<酸素消費指数>
酸素消費指数(%)は、上記で調製した実施例及び比較例の各試験片を用い、JIS−K7201に準じて測定し、評価した。測定した値が、22以下が可燃性、23から27であると、燃えるが自己消化性であり、27以上が難燃性であるとされている。
<相溶性試験>
相溶性は、上記で調製した実施例及び比較例の各試験片を用い、目視で試験片の表面及び断面を観察し、以下の基準で判定して評価した。
○:相溶性・分散性に優れる
△:相溶性・分散性にやや劣る
×:相溶性・分散性に劣る
<ブリード試験(ブリード性)>
ブリード試験は、上記で調製した実施例及び比較例の各試験片を、80℃×95%RH雰囲気下、一週間放置後、各試験片の表面状態を観察した。評価の基準は、表面状態に変化なしを○、析出物(ブリード)ありを×として評価した。
<環境対応性>
実施例及び比較例の非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物を構成する(d)成分の各樹脂中における二酸化炭素の固定化の有無で、○×判断した。
Figure 2016030798
Figure 2016030798
本発明の非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物は、その構成成分にポリヒドロキシポリウレタン樹脂を用いることにより、より高い難燃性と、特に、難燃剤成分を含有したものでありながら、他の成分との相溶性、難燃剤成分の耐ブリード性に優れ、また、硬度や機械強度等に優れた組成物となるので、十分な難燃性を実現した有用な成形体の提供を可能にでき、広範な分野での利用が期待される。また、本発明で非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物の構成成分であるポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、製造原料に二酸化炭素を利用でき、樹脂の構造中に二酸化炭素を固定化することができるため、本発明によれば、地球温暖化ガス削減の観点から有用な、環境適性に優れる非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物の提供が可能となる。

Claims (7)

  1. 非ハロゲン難燃剤を含有した難燃性ポリウレタン樹脂組成物であって、少なくとも、
    (a)成分であるポリウレタン樹脂100質量部に対して、
    (b)成分として、リン及び窒素を含有する非ハロゲン系難燃剤を5〜70質量部、
    (c)成分として、ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を1〜25質量部、更に、
    (d)成分として、下記平均組成式(1)で表され、重量平均分子量が150〜10000、アルコキシ基又はヒドロキシ基の総量が1分子中の10〜85質量%であるオルガノアルコキシシロキサン及びオルガノヒドロキシシロキサンから選ばれるケイ素化合物を1〜20質量部、
    を含有してなることを特徴とする非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物。
    1 αSi(OX)β(4-α-β)/2 (1)
    (式中、R1は置換基を有していてもよいアルキル基又はアルケニル基であって、各R1は同一であっても異なってもよい。Xは炭素原子1〜12のアルキル基又は水素原子であるが、必ずアルキル基を含む。αは0.0〜3.0の実数、βは0.1〜3.0であると共にα+β<4.0を満たす実数である。)
  2. 前記(b)成分であるリン及び窒素を含有する非ハロゲン系難燃剤が、リン酸グアニジン、リン酸アンモニウム、リン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、メラミン表面被覆ポリリン酸アンモニウム及びケイ素化合物表面被覆ポリリン酸アンモニウムからなる群から選択される1種又は2種以上である請求項1に記載の非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物。
  3. 前記(c)成分であるポリヒドロキシポリウレタン樹脂が、5員環環状カーボネート化合物とアミン化合物との反応により形成された樹脂である請求項1又は2に記載の非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物。
  4. 前記5員環環状カーボネート化合物が、エポキシ化合物と二酸化炭素を反応させて得られる請求項3に記載の非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物。
  5. 前記ポリヒドロキシポリウレタン樹脂が、その樹脂構造中に原料由来の二酸化炭素を1〜25質量%の範囲で取り入れてなる請求項4に記載の非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物。
  6. 前記(d)成分の数平均分子量が、100〜10000である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法であって、(a)成分であるポリウレタン樹脂100質量部に対して、前記(b)成分のリン及び窒素を含有する非ハロゲン系難燃剤を5〜70質量部と、前記(c)成分のポリヒドロキシポリウレタン樹脂を1〜25質量部と、前記(d)成分のケイ素化合物を1〜20質量部とを混練混合する工程を有することを特徴とする非ハロゲン難燃性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法。
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