JP2010138318A - 難燃性艶消し樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、UL−94V−2基準を満足する優れた難燃性を有しながら、引張強度、加工性、耐熱性、耐ブリード性、ガス発生等の物性を何ら損なうことなく、さらに加えて、表面を好適に艶消し状態として美観を呈する熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造するための新規な樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物に対し、難燃剤として、特定の芳香族系縮合型リン酸エステルと金属水酸化物の両者を所定の比率をもって添加し、さらに艶消し剤として平均粒径1〜30μmの不透明無機化合物の粉体を添加することによって、硬度低下、マイグレーション等の不都合が発生せず、且つ、UL−94V−2基準を満足し、さらに加えて、美観の優れた艶消し仕様の難燃性樹脂成形体が製造される。
【選択図】なし
【解決手段】熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物に対し、難燃剤として、特定の芳香族系縮合型リン酸エステルと金属水酸化物の両者を所定の比率をもって添加し、さらに艶消し剤として平均粒径1〜30μmの不透明無機化合物の粉体を添加することによって、硬度低下、マイグレーション等の不都合が発生せず、且つ、UL−94V−2基準を満足し、さらに加えて、美観の優れた艶消し仕様の難燃性樹脂成形体が製造される。
【選択図】なし
Description
本発明は、難燃性の熱可塑性ポリウレタン樹脂成形体を製造するための樹脂組成物に関し、より詳細には、意匠性に優れた艶消し状の表面を備える難燃性艶消し熱可塑性ポリウレタン樹脂成形体を製造するための樹脂組成物に関する。
従来、熱可塑性ポリウレタン樹脂の難燃性向上を企図して、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属酸化物を難燃剤として樹脂組成物に添加する場合があった。しかしながら、これらの金属水酸化物からなる難燃剤の熱可塑性ポリウレタン樹脂に対する難燃化効果は、有機ハロゲン系難燃剤のそれに比較して小さく、高い難燃性を実現するためには金属水酸化物を大量に添加する必要があった。しかし、そのような金属酸化物の大量の添加は、熱可塑性ポリウレタン樹脂成形体の引張強度及び加工性の大幅な低下を引き起こすため現実的な方法ではない。
一方、特定の芳香族系縮合型リン酸エステルの熱可塑性ポリウレタン樹脂に対する難燃化効果は金属水酸化物のそれに比較して大きいことが知られており、この点につき、特開2002−146179号公報(特許文献1)は、熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物に対して、非ハロゲン系の芳香族系縮合型リン酸エステルと非ハロゲン系の窒素原子含有有機化合物の混合物を難燃剤として添加する方法を開示する。しかしながら、非ハロゲン系の芳香族系縮合型リン酸エステルは、可塑剤的に作用する性質があるため、その添加によって熱可塑性ポリウレタン樹脂の硬度低下が避けられないという問題があった。さらに、非ハロゲン系の芳香族系縮合型リン酸エステルを大量に添加することによってマイグレーションが発生し、熱可塑性ポリウレタン樹脂の成形体が白化するという問題があった。
一方、各種ケーブルの被覆材、ホース、チューブ、各種ベルトなどの難燃性を要求される樹脂部材について、その意匠性を高めるべく、表面を艶消し状態とすることが求められていたが、非ハロゲン系の芳香族系縮合型リン酸エステルを含有する熱可塑性ポリウレタン樹脂の押出し成形体の表面は艶消しの状態にはならず、そのような艶消しを要求される用途には対応できなかった。
特開2002−146179号公報
本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、UL−94V−2基準を満足する優れた難燃性を有しながら、引張強度、加工性、耐熱性、耐ブリード性、ガス発生等の物性を何ら損なうことなく、さらに加えて、表面を好適に艶消し状態として美観を呈する熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造するための新規な樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、難燃性と良好な物性を両立し、且つ、表面を好適に艶消し状態にすることのできる新規な樹脂組成物につき鋭意検討した結果、熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物に対し、難燃剤として、特定の芳香族系縮合型リン酸エステルと金属水酸化物の両者を所定の比率をもって添加し、さらに艶消し剤として平均粒径1〜30μmの不透明無機化合物の粉体を添加することによって、硬度低下、マイグレーション等の不都合が発生せず、且つ、UL−94V−2基準を満足し、さらに加えて、美観の優れた艶消し仕様の難燃性樹脂成形体が製造されることを見出し、本発明に至ったのである。
すなわち、本発明によれば、熱可塑性ポリウレタン組成物、難燃剤、および艶消し剤を含有する樹脂組成物であって、前記難燃剤として、下記一般式で表される非ハロゲン系の芳香族系縮合型リン酸エステル(A)と、金属水酸化物(B)とを含有する樹脂組成物。
(上記一般式中、R1は、m−フェニレン基または4、4′−(プロパン−2,2−ジイル)ジフェニレン基であり、R2、R3、R4、R5は、それぞれフェニル基又はアルキル置換フェニル基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
熱可塑性ポリウレタン組成物、難燃剤、および艶消し剤を含有する樹脂組成物であって、前記難燃剤として、下記一般式で表される非ハロゲン系の芳香族系縮合型リン酸エステル(A)と金属水酸化物(B)とを含有する樹脂組成物が提供される。
熱可塑性ポリウレタン組成物、難燃剤、および艶消し剤を含有する樹脂組成物であって、前記難燃剤として、下記一般式で表される非ハロゲン系の芳香族系縮合型リン酸エステル(A)と金属水酸化物(B)とを含有する樹脂組成物が提供される。
本発明においては、前記芳香族系縮合型リン酸エステル(A)と前記金属水酸化物(B)の質量比を、(A)/(B)=55/45〜85/15とすることが好ましい。また、本発明においては、前記金属水酸化物(B)を、水酸化マグネシウムまたは水酸化アルミニウムとすることができ、前記艶消し剤を、平均粒径1〜30μmの不透明無機化合物の粉体とすることができる。さらに、本発明によれば、上記樹脂組成物を硬化して得られる、難燃性艶消しポリウレタン樹脂成形体が提供される。
上述したように、本発明によれば、UL−94V−2基準を満足する優れた難燃性を有しながらも、引張強度、加工性、耐熱性、耐ブリード性、ガス発生等の各物性を何ら損なうことなく、さらに加えて、表面を好適に艶消し状態として美観を呈する難燃性樹脂成形体を製造するための新規な樹脂組成物が提供される。
以下、本発明を実施の形態をもって説明するが、本発明は、以下に説明する実施の形態に限定されるものではない。
本発明の難燃性艶消し樹脂組成物は、公知の熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物(以下、TPU組成物として参照する)を用いて製造することができる。本発明において使用するTPU組成物は、一般に、高分子ジオールおよびポリイソシアネートとから構成され、必要に応じてこれに鎖延長剤を添加することができる。
本発明において使用することのできる高分子ジオールとしては、通常、ポリイソシアネートの反応相手に用いられる末端に水酸基を2個有する分子量400〜10000の、ポリエーテル類、ポリエステル類、ポリエステルアミド類、ポリエーテルエステル類、ポリカーボネート類、ポリオレフィン類などを挙げることができる。
上記ポリエーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、エチレンオキシドなどの重合生成物、或いはこれらの共重合生成物、又はポリエーテル類のビニル単量体によるグラフト重合体を挙げることができる。
また、上記ポリエステル類及びポリエステルアミド類としては、例えば、多価アルコール類と多価カルボン酸類とから、場合によりジアミン類又はアミノアルコール類を併用して、縮合反応により得られるものが挙げられる。この多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチルオクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。多価カルボン酸類としては、例えば、琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、水素添加ダイマー酸、フタル酸、フタル酸アルキルエスエル類、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸が挙げられる。また、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトンなどの環状エステル類の開環重合によって得られるものも挙げることができる。
また、上記ポリエーテルエステル類としては、例えば、上記ポリエステル類を得る際の縮合反応に使用する多価アルコール類の一部或いは全部にポリエーテル類を用いるほかはポリエステル類と同じようにして得られるものが挙げられる。
また、上記ポリカーボネート類としては、例えば、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオール類と、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート或いはエチレンカーボネートのような環状カーボネートとのエステル交換反応によって得られるものが挙げられる。
また、上記ポリオレフィン類としては、例えば、水素添加ポリブタジエン、イソブチレン、エチレンとブチレンとの共重合体などの末端に水酸基を有するものが挙げられる。
さらに、本発明において使用することのできる鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ビス−β−ヒドロキシエトキシベンゼン、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコールなどの分子量400未満の活性水素基を2以上有する化合物、およびN−フェニルジイソプロパノールアミン、モノエタノールアミンなどの化合物が挙げられる。
一方、本発明において使用することのできるポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど及びこれらの異性体からなる芳香族ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、ノルボルナン−ジイソシアネートメチルなどの脂環式ジイソシアネートが挙げられる。
また、これらの化合物と活性水素基含有化合物との反応によるイソシアネート基末端化合物、あるいは、これらの化合物の反応、例えばカルボジイミド化反応などによるポリイソシアネート変成体も挙げることができる。
また、メタノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、アセト酢酸エチル、ε−カプロラクタム、メチルエチルケトンオキシム、フェノール、クレゾールなどの活性水素を分子内に1個有するブロック剤でイソシアネート基の一部を安定化したポリイソシアネートも挙げることができる。
本発明におけるTPU組成物には、必要に応じて触媒を添加することができる。このような触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルイミダゾール、N−エチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7(DBU)などのアミン類、酢酸カリウム、スタナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレートなどの有機金属類、トリブチルホスフィン、ホスフォレン、ホスフォレンオキサイドなどのリン系化合物が挙げられる。なお、これらの化合物はそれぞれ単独で用いることができ、また、2種以上を混合して使用することもできる。以上、本発明におけるTPU組成物について説明してきたが、次に、本発明の難燃性艶消し樹脂組成物に添加する難燃剤および艶消し剤について以下説明する。
本発明の難燃性艶消し樹脂組成物の製造においては、難燃剤として、非ハロゲン系の芳香族系縮合型リン酸エステルと金属水酸化物とを併用し、且つ、両者を所定の比率で用いる。本発明においては、第1の難燃剤(A)として、下記一般式(1)で表される非ハロゲン系の芳香族系縮合型リン酸エステルを使用する。
なお、上記一般式(1)中、R1は、下記式(2)で示されるm−フェニレン基、又は(3)で表される、ビスフェノールAを骨格として有する4,4′−(プロパン−2,2−ジイル)ジフェニレン基であり、R2、R3、R4、R5は、それぞれフェニル基又はアルキル基置換フェニル基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。
本発明において第1の難燃剤として使用する芳香族系縮合型リン酸エステルは、レゾルシノール縮合型あるいはビスフェノールA縮合型のいずれであってもよく、レゾルシノール縮合型の具体例としては、レゾルシノール−ビス(ジフェニルフォスフェート)、レゾルシノール−ビス(ジクレジルフォスフェート)、レゾルシノール−ビス(ジキシレニルフォスフェート)が挙げられ、また、ビスフェノールA縮合型の具体例としては、ビスフェノールA−ビス(ジフェニルフォスフェート)、ビスフェノールA−ビス(ジクレジルフォスフェート)、ビスフェノールA−ビス(ジキシレニルフォスフェート)が挙げられる。レゾルシノール−ビス(ジフェニルフォスフェート)及びビスフェノールA−ビス(ジフェニルフォスフェート)はそれぞれ、(株)ADEKAからアデカスタブPFR、アデカスタブFP-600/700として市販されている。
また、本発明において第2の難燃剤(B)として使用する金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。具体的には、水酸化マグネシウムとしては神島化学工業(株)製のマグシーズ、タテホ化学工業(株)マグスターが水酸化アルミニウムとしては昭和電工(株)製のハイジライト、日本軽金属(株)製水酸化アルミニウムなどが挙げられ、特に、神島化学工業(株)製マグシーズEP1−Aは、熱可塑性ポリウレタン樹脂本来の機械的特性を損なうことなく、ブリードなどの外観特性の点においても優れている。
さらに、本発明に用いられる艶消し剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、マイカ、タルク、クレー、ガラスビーズ、ガラスフレークなどの不透明無機化合物を用いることができ、これらの平均粒径1〜30μmの粉体を用いることが好ましい。以上、本発明の難燃性艶消し樹脂組成物の製造に使用するTPU組成物、ならびにこれに添加する難燃剤および艶消し剤について説明してきたが、次に、本発明の難燃性艶消し樹脂組成物の製造方法について以下説明する。
本発明の難燃性艶消し樹脂組成物は、以下の手順によって製造することができる。まず、本発明においては、上述した高分子ジオール、ポリイソシアネート、鎖延長剤等からなるTPU組成物(I)に対して、上述した第1の難燃剤(A)と第2の難燃剤(B)とを含む難燃剤(II)を任意の割合で配合する。本発明においては、この配合比について特に限定するものではないが、配合比:(I)/(II)=90/10〜40/60とすることができ、好ましくは、配合比:(I)/(II)=75/25〜65/35とすることができる。
なお、本発明においては、高分子ジオールの活性水素基モル数(鎖延長剤を使用する場合はその活性水素基モル数をも含む全活性水素基モル数)に対するポリイソシアネートのイソシアネート基モル数の比(R値)が好ましくは0.7〜1.3、より好ましくは0.9〜1.1になるように仕込み比を調整することが好ましい。鎖延長剤を使用する場合には、鎖延長剤の活性水素基モル数と高分子ジオールの活性水素基モル数の比(R′値)が0.1〜15になるように鎖延長剤を添加することが好ましい。
さらに、本発明においては、最終成形体を艶消し仕様とするために、上述した艶消し剤(III)をTPU組成物(I)と難燃剤(II)の混合物に対して配合する。本発明においては、この配合比について特に限定するものではないが、配合比:[(I)+(II)]
/(III)=99/1〜85/15とすることができ、好ましくは、配合比:[(I)+(II)] /(III)=98/2〜90/10とすることができる。
/(III)=99/1〜85/15とすることができ、好ましくは、配合比:[(I)+(II)] /(III)=98/2〜90/10とすることができる。
なお、本発明においては、TPU組成物(I)に対して難燃剤(II)および艶消し剤(III)を配合する方法だけでなく、高分子ジオールまたはポリイソシアネートの少なくとも一方に対して難燃剤(II)を添加した後、両者を混合し、これに艶消し剤(III)を添加する方法を採用することもできる。
ここで、上述した難燃剤(II)における第1の難燃剤(A)としての芳香族系縮合型リン酸エステルと第2の難燃剤(B)としての金属水酸化物との混合比であるが、(A)が多すぎると最終成形体の耐熱性や耐ブリード性が低下し、(B)が多すぎるとその難燃性や機械的強度が低下するため、本発明においては、(A)と(B)とを所定の比率をもって使用する方法を採用する。具体的には、質量比:(A)/(B)=55/45〜85/15で混合することが好ましく、より好ましくは、質量比:55/45〜75/25とすることができる。上述した比率で(A)と(B)を用いることによって、最終成形体について、一定基準以上の難燃性、耐熱性、耐ブリード性、および機械的強度、ならびに、良好な艶消し状態を同時に実現することができる。
さらに、本発明の難燃性艶消し樹脂組成物には、必要に応じて、他の難燃剤や酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐熱向上剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、導電付与剤、着色剤、無機又は有機充填剤、繊維系補強剤、加水分解防止剤などを配合することができる。
なお、本発明の難燃性艶消し樹脂組成物を使用した樹脂成形には、一般に用いられている熱可塑性ポリウレタン樹脂の成形方法が適用でき、例えば、押出成形、射出成形、吹込成形、カレンダー加工、ロール加工、プレス加工、遠心成形、回転成形などの方法を適用することができる。
以下、本発明の難燃性艶消し樹脂組成物について、実施例を用いてより具体的に説明を行なうが、本発明は、後述する実施例に限定されるものではない。
(試料の作製)
以下の手順に従って、試料を作製した。攪拌機の付いた反応容器に、高分子ジオールとしてポリエーテル系ジオール(保土谷化学工業(株)製PTMG1000N、水酸基価112:KOHmg/g)1042.3gに、鎖延長剤として1,4−ブタンジオールを178.2g、イルガノックス1010を7.3g、チヌビンPを3.7g、更にビスフェノールA−ビス(ジフェニルフォスフェート)((株)ADEKA アデカスタブFP−600)を720.0g、水酸化マグネシウム(神島化学工業(株)EP1−A)を180.0g、艶消し剤としてタルク(松村産業(株)クラウンタルクR)75.0gを加え、均一に混合した。この混合液を100℃に調整後、4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを793.5g加え、ウレタン化反応を行った。反応物が90℃になったところでバット上に流し込み固化させた。この反応生成物を80℃電気炉で16時間放置後、室温まで冷却し粉砕機を使用してフレーク状のTPUとした。このフレーク状TPUを80℃の電気炉で16時間乾燥した後、単軸押出機でストランドを押出し、カッターを用いて円柱状のペレットを作製しこれを実施例1の試料とした。また、同じく乾燥したフレーク状のTPU100部に対してカーボンブラックを0.8部添加し、単軸押出機にて幅約100mm厚み約0.5mmのベルトを押出してこれを実施例1の光沢度を測定する為の試料とした。
以下の手順に従って、試料を作製した。攪拌機の付いた反応容器に、高分子ジオールとしてポリエーテル系ジオール(保土谷化学工業(株)製PTMG1000N、水酸基価112:KOHmg/g)1042.3gに、鎖延長剤として1,4−ブタンジオールを178.2g、イルガノックス1010を7.3g、チヌビンPを3.7g、更にビスフェノールA−ビス(ジフェニルフォスフェート)((株)ADEKA アデカスタブFP−600)を720.0g、水酸化マグネシウム(神島化学工業(株)EP1−A)を180.0g、艶消し剤としてタルク(松村産業(株)クラウンタルクR)75.0gを加え、均一に混合した。この混合液を100℃に調整後、4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを793.5g加え、ウレタン化反応を行った。反応物が90℃になったところでバット上に流し込み固化させた。この反応生成物を80℃電気炉で16時間放置後、室温まで冷却し粉砕機を使用してフレーク状のTPUとした。このフレーク状TPUを80℃の電気炉で16時間乾燥した後、単軸押出機でストランドを押出し、カッターを用いて円柱状のペレットを作製しこれを実施例1の試料とした。また、同じく乾燥したフレーク状のTPU100部に対してカーボンブラックを0.8部添加し、単軸押出機にて幅約100mm厚み約0.5mmのベルトを押出してこれを実施例1の光沢度を測定する為の試料とした。
さらに、第1の難燃剤(A)としてのビスフェノールA−ビス(ジフェニルフォスフェート)(FP−600)と第2の難燃剤(B)としての水酸化マグネシウム(EP1−A)の混合比に関する条件のみ変化させ、それ以外については上述したのと同様の条件で試料を作製し、それぞれを、実施例2、実施例3、比較例1〜3とした。下記表1は、各実施例、比較例に共通するTPU組成物(I)の仕込み量(g)をまとめて示す。また、下記表2は、各実施例、比較例における、第1の難燃剤(A)「FP−600」、第2の難燃剤(B)「EP1−A」、および艶消し剤「タルク」の仕込み量(g)と、「FP−600」と「EP1−A」の質量比(FP−600/EP1−A)をまとめて示す。
(特性試験)
上述した手順で作製した試料について、下記(1)〜(6)に示す特性試験方法に従って、各種特性を測定した。
〔特性試験方法〕
(1)硬さ(JIS-A硬度)、引張強さ(TSb)及び伸び(%):得られたペレットを射出成形してシートを作成し、これを80℃で16時間アニール後、JIS−K7311に記載の試験方法で測定した。
(2)酸素指数:JIS−K7201に従い、東洋理化工業(株)社製燃焼性試験器ON−1型で測定した。
(3)難燃性:射出成形シートからUL−94Vの試験片を作成し、UL−94V燃焼性試験法の第5版、8章の評価基準に準拠して測定した。
(4)耐ブリード性:アニール処理していない射出成形シートをポリエチレン袋に入れて密封し、室温に3ケ月放置した。シート表面の粉吹き状態の有無を目視により評価した。
(5)耐熱性:射出成形シートからダンベル状試験片を打ち抜き、120℃のギヤーオーブンに入れて14日間暴露後、JIS−K7311に記載の試験方法で測定した。なお、TSbの保持率が70%以上を「○」、70〜50%を「△」、50%以下を「×」として評価した。
(6)光沢度:押出成形したベルトの表面状態の光沢度をビックケミー・ジャパン(株)社製ヘイズ−グロス・リフレクトメーターver3.22で入射角60度で測定した。
上述した手順で作製した試料について、下記(1)〜(6)に示す特性試験方法に従って、各種特性を測定した。
〔特性試験方法〕
(1)硬さ(JIS-A硬度)、引張強さ(TSb)及び伸び(%):得られたペレットを射出成形してシートを作成し、これを80℃で16時間アニール後、JIS−K7311に記載の試験方法で測定した。
(2)酸素指数:JIS−K7201に従い、東洋理化工業(株)社製燃焼性試験器ON−1型で測定した。
(3)難燃性:射出成形シートからUL−94Vの試験片を作成し、UL−94V燃焼性試験法の第5版、8章の評価基準に準拠して測定した。
(4)耐ブリード性:アニール処理していない射出成形シートをポリエチレン袋に入れて密封し、室温に3ケ月放置した。シート表面の粉吹き状態の有無を目視により評価した。
(5)耐熱性:射出成形シートからダンベル状試験片を打ち抜き、120℃のギヤーオーブンに入れて14日間暴露後、JIS−K7311に記載の試験方法で測定した。なお、TSbの保持率が70%以上を「○」、70〜50%を「△」、50%以下を「×」として評価した。
(6)光沢度:押出成形したベルトの表面状態の光沢度をビックケミー・ジャパン(株)社製ヘイズ−グロス・リフレクトメーターver3.22で入射角60度で測定した。
下記表3に特性試験の結果をまとめて示す。
上記表3に示されるように、第1の難燃剤(A)「FP−600」が多すぎる比較例1については、試料の耐熱性および耐ブリード性がともに低下しており、第2の難燃剤(B)「EP1−A」が多すぎる比較例2および3については、試料の難燃性がUL−94V−2基準を満足するものとなっておらず、機械的強度についても低下していることがわかった。
一方、第1の難燃剤(A)と第2の難燃剤(B)とを本発明の質量比をもって使用した実施例1〜3については、難燃性がUL−94V−2基準を満足するものとなっており、さらに一定基準以上の難燃性、耐熱性、耐ブリード性、および機械的強度が同時に実現されること、加えてその試料表面が良好な艶消し状態を呈することが示された。
以上、説明したように、本発明によれば、UL−94V−2基準を満足する優れた難燃性を有しながら、引張強度、加工性、耐熱性、耐ブリード性、ガス発生等の各種物性を何ら損なうことなく、さらに加えて、表面を好適に艶消し状態として美観を呈する樹脂成形体を製造することのできる新規な難燃性艶消し樹脂組成物が提供される。本発明の難燃性艶消し樹脂組成物は、各種ケーブルの被覆材、ホース、チューブ、各種ベルトなど、難燃性・機械的強度に加えて美観を要求される各種用途ついて適用されることが期待される。
Claims (5)
- 前記芳香族系縮合型リン酸エステル(A)と前記金属水酸化物(B)の質量比が、(A)/(B)=55/45〜85/15である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記金属水酸化物(B)は、水酸化マグネシウムまたは水酸化アルミニウムである、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 前記艶消し剤は、平均粒径1〜30μmの不透明無機化合物の粉体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を硬化して得られる、難燃性艶消しポリウレタン樹脂成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008317167A JP2010138318A (ja) | 2008-12-12 | 2008-12-12 | 難燃性艶消し樹脂組成物 |
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JP2015521666A (ja) * | 2012-06-22 | 2015-07-30 | ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se | ポリカーボネートジオールに基づく難燃性熱可塑性ポリウレタン |
CN106087389A (zh) * | 2016-07-30 | 2016-11-09 | 段宝荣 | 一种阻燃性聚氨酯合成革的制备方法 |
CN112322027A (zh) * | 2020-11-17 | 2021-02-05 | 美瑞新材料股份有限公司 | 高强度哑光热塑性聚氨酯弹性体组合物及其制备和应用 |
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2008
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