JP2011042637A - 新規なビスシクロヘキセニルアルカン類 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、これらの用途の利用においては、通常、ビシクロヘキセン化合物を各種の溶剤へ溶解する必要があるが、このようなビシクロヘキセン化合物は溶剤への溶解性が低く、改善が望まれている。
即ち、本発明によれば、一般式(1)
で表されるビスシクロヘキセニルアルカン類が提供される。
また、一般式(2)
で表されるビスシクロヘキセニルアルカン類は本発明の好ましい態様である。
また、本発明のビスシクロヘキセニルアルカン類は、中心骨格にアルキレン基を介して両端に剛直な(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセニル骨格が結合した4つの環構造を有する構造で、ビスフェノール類としてはガラス転移温度が高いものがあり、このようなビスフェノール類から得られたポリカーボネート樹脂は、耐熱性が優れていることが期待できる。その他、ポリエステル、ポリウレタン等の合成樹脂原料、表示素子、半導体等のフォトレジストの原料として、また、ヒドロキシル基を別の官能基に変換してオキセタン、ウレタン、エポキシ、トリメリット酸エステル、ヒドロキシアルコキシ化合物などのモノマー原料として、耐熱性、耐候性、耐水性、可撓性、透明性または機械的強度などの改良に用いることができる。また、これらをモノマー原料として樹脂を製造する際にも、溶媒への溶解性が優れているため、工業的製造及び加工が容易である。
で表され、一般式(1)において、R1、R2は各々独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、フェニル基またはハロゲン原子を表す。炭素原子数1〜8のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、また、炭素原子数3以上のアルキル基は直鎖状、分岐鎖状また環状であってもよく、例えばn−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。好ましくは炭素原子数1〜4の直鎖状、分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数5〜8の環状のアルキル基である。これらのアルキル基には芳香族炭化水素基が置換していてもよく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基などが挙げられる。
また、a、bは各々独立して0又は1〜3の整数を示し、R1が同一又は異なるフェニレン基上で2つ以上ある場合、R1はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、R2が同一又は異なるシクロヘキセン基上で2つ以上ある場合、R2はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、同一のシクロヘキセン基上にR2が2つ以上ある場合は、R2はそれぞれシクロヘキセン環上の異なる炭素原子に置換しているのが好ましい。
また、bは同一であることが好ましく、より好ましくは、共に0又は1である。
bが共に1である場合、R2の置換位置はX基との結合位置に対して3位であることが好ましい。また、R2は共にアルキル基であることが好ましく、なかでもメチル基が好ましい。
また、aは同一であることが好ましく、より好ましくは共に0、1又は2である。aが1又は2である場合、R1の置換位置は水酸基に対してオルソ位であることが好ましい。
また、好ましい構造のアルキレン基としては具体的には、下記一般式(3)で表される。
一般式(3)で表されるアルキレン基において、R3、R4は、各々独立して水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、R3、R4は互いに結合して環を形成してもよいが、環を形成しない場合には、R3、R4の少なくとも一方または両方が水素原子、1級アルキル基または2級アルキル基であることが好ましい。炭素原子数1〜8のアルキル基としては直鎖状または分岐鎖状が好ましく、1級アルキル基または2級アルキル基であることが好ましい。より好ましくは炭素原子数1〜4の直鎖状、分岐鎖状の、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の1級アルキル基または2級アルキル基である。従って、一般式(3)で表されるアルキレン基としては具体的には、メチレン基、1−メチルメチリデン基、1−エチルメチリデン基、1−イソプロピルメチリデン基、2,2−プロピリデン基などを挙げることができる。R3、R4は互いに結合して環を形成する場合には、R3+R4の合計炭素原子数は16以下であり、4〜10が好ましい。従って、R3、R4は互いに結合して環を形成する場合の一般式(3)で表されるアルキレン基としては具体的には、1,1−シクロペンチリデン基、1,1−シクロヘキシリデン基、4−メチル−1,1−シクロヘキシリデン基、3,3,5−トリメチル−1,1−シクロヘキシリデン基などを挙げることができ、1,1−シクロヘキシリデン基が好ましい。
2,2−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]プロパン、
2,2−ビス[4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]プロパン、
2,2−ビス[4−(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]プロパン、
2,2−ビス[4−(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]プロパン、
2,2−ビス[4−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]プロパン、
2,2−ビス[4−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]プロパン、
2,2−ビス[4−(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]プロパン、
2,2−ビス[4−(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]プロパン、
2,2−ビス[4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]プロパン、
2,2−ビス[4−(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]プロパン、
2,2−ビス[4−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]プロパン、
2,2−ビス[4−(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]プロパン、
2,2−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1−イル]プロパン、
ビス[4−(4−ヒドロキシフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]メタン、
ビス[4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]メタン、
1,1−ビス[4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]エタン、
1,2−ビス[4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]エタン、
3−メチル−2,2−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]ペンタン、
1,1−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]シクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]シクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
2−[4−(4−ヒドロキシフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]−2−[4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]プロパン、
等を挙げることができる。
反応式(1)
一般式(4)において、式中、R1、R2、a、b、Xは一般式(1)のそれと同じである。
直接原料であるビス{4,4−ジ(ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル}アルカンとしては、一般式(4)で示されるように4,4−位の2つの末端ヒドロキシフェニルが同一であるものが好ましいが、これに限らず相互に異なっていてもよい。
反応式(2)
2,2−ビス[4,4−ジ(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]プロパン、
2,2−ビス[4,4−ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキシル]プロパン、
2,2−ビス[4,4−ジ(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)シクロヘキシル]プロパン、
2,2−ビス[4,4−ジ(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキシル]プロパン、
2,2−ビス[4,4−ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3−メチルシクロヘキシル]プロパン、
2,2−ビス[4,4−ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキシル]メタン、
1,1−ビス[4,4−ジ(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]シクロヘキサン、
2−[4,4−ジ(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]−2−[4,4−ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキシル]プロパン、
等を挙げることができる。
反応式(3)
a及び/又はR1が非対称な原料ビス{4,4−ジ(ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルアルカンを得る場合には、2種類のフェノール類を併用すればよい。
上記ビス{4,4−ジ(ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル}アルカンの熱分解は、反応に際し、操作性に問題がなければ、溶媒は使用してもしなくてもよいが、出発原料であるビス{4,4−ジ(ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル}アルカン類及び、目的物であるビスシクロヘキセニルアルカン類の融点が高いので、熱分解温度において、その液状性の改善を図るため、更には生成した目的物の熱重合を防止するために、使用するほうが好ましい。
溶媒を使用する場合には、使用する溶媒としては熱分解温度で反応に不活性であれば特に制限はなく1種類でも、2種類以上を混合して用いても良い。
また、市販の有機熱媒体である「サームエス」(新日鉄化学株式会社製)又は「SK−OIL」(綜研化学株式会社製)等も用いることができる。
ビス(4,4−ジヒドロキシフェニルシクロヘキシル)アルカン類の熱分解は、熱分解温度が低すぎると反応速度が遅くなり、熱分解温度が高すぎる時は望ましくない副反応が多くなるので、通常、150〜300℃の範囲、好ましくは、180〜250℃の範囲の温度で行われる。
また、熱分解の反応圧力は、特に限定されるものではないが、熱分解反応を行いながら、生成するフェノール類を留出させることができる圧力が好ましく、通常、常圧ないし減圧下の範囲であり、例えば、1〜101kPa(ゲージ圧)の範囲、好ましくは10〜70kPa(ゲージ圧)の範囲である。
好ましい態様によれば、例えば、反応容器にビス{4,4−ジ(ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル}アルカン類、テトラエチレングリコール等の溶媒及び水酸化ナトリウムを仕込み、温度190〜220℃、圧力10〜40kPa(ゲージ圧)で3〜6時間程度、分解反応によって生成したフェノール類を溜去しながら、撹拌することによって行われる。反応終了後、得られた反応終了液から、目的物を取り出す方法は、公知の方法で行うことがでる。例えば、反応終了液を必要に応じて中和し、蒸留水および必要に応じて溶媒を加え、水洗した後、必要ならば濃縮し、析出してくる結晶または非結晶状態の固体をろ別して回収する。得られた結晶や固体の純度が低い場合、必要に応じて、このような晶析または沈殿濾過をさらに1回〜複数回行っても良い。
また、本発明の一般式(1)で表されるビスシクロヘキセニルアルカン類の製造方法として、もうひとつの具体例としては、Journal of American Chemical Society, vol.74, p.5631-5632(1952年)に記載の方法に準じて、ビス(4−オキソシクロヘキシル)アルカン類と4−アルコキシベンゼンマグネシウムブロミド類とを反応させて、ビス{4−(4−アルコキシフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル}アルカン類を合成し、その後得られたビス{4−(4−アルコキシフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル}アルカン類のアルコキシル基のアルキル基を公知の方法により、例えば、三臭化ホウ素で脱離させて水素原子に置換することによっても、本発明の一般式(1)で表されるビスシクロヘキセニルアルカン類を得ることができる。
温度計、撹拌器、蒸留装置を備えた200mL容量の四つ口フラスコに、2,2−ビス[4,4−ジ(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]プロパン20gとエチレングリコール50gと水酸化ナトリウム0.6gを仕込み、系内を窒素ガス置換した後、撹拌下に内温189℃、30kPaを保ち、フェノールを留出させながら5時間反応を行った。反応終了後、得られた反応液を90℃まで冷却した後、酢酸0.9gを加えて中和し、メチルイソブチルケトン80g、蒸留水40gを順に加えて撹拌した後、静置して水層を分離、除去した。得られた油層に水を加えて撹拌した後、静置して水層を除去した。
さらに、同様の操作を行い、油層を水洗した。得られた油層を減圧下に濃縮し、残った液にトルエン40gを加え、晶析を行った。析出した結晶をろ別して回収し、得られた結晶を減圧下、150℃で乾燥させ、目的物の2,2−ビス[4−(4−ヒドロキシフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]プロパン8.6gを純度97%(高速液体クロマトグラフィー分析による)の薄茶色結晶として得た。
原料の2,2−ビス[4,4−ジ(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]プロパンに対する収率は64モル%であった。
温度計、撹拌器、蒸留装置を備えた200mL容量の四つ口フラスコに、2,2−ビス[4,4−ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキシル]プロパン20gとテトラエチレングリコール35gと水酸化ナトリウム0.6gを仕込み、系内を窒素ガス置換した後、撹拌下に、内温200℃、10kPaでo−クレゾールを留出させながら4時間反応を行った。反応終了後、得られた反応液を45℃まで冷却した後、酢酸0.9gを加えて中和し、メチルイソブチルケトン80g、蒸留水40gを順に加えて撹拌した後、静置して水層を分離、除去した。得られた油層に水を加えて撹拌した後、静置して水層を除去した。
さらに、同様の操作を2回行い、油層を水洗した。得られた油層を減圧下に濃縮し、残った液にトルエン40gを加え、晶析を行った。析出した結晶をろ別して回収し、得られた結晶を減圧下、150℃で乾燥させ、目的物の2,2−ビス[4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]プロパン7.4gを純度98%(高速液体クロマトグラフィー分析による)の薄茶色結晶として得た。
原料の2,2−ビス[4,4−ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキシル]プロパンに対する収率は56モル%であった。
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